(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
心臓疾患は非常に深刻であり、多くの場合、命を救うためには緊急手術を要する。心臓疾患の主因は、血管内にプラークが蓄積し、最終的に血管を閉塞することである。閉塞した血管を開通させるために利用可能な一般的な治療オプションとして、バルーン血管形成術、回転式粥腫切除術及び血管内ステントが挙げられる。従来、外科医は、治療のガイドとして、X線透視画像に依存してきた。X線透視画像は、血管内腔の影像の外部形状を示す平面像である。残念ながら、X線透視画像では、閉塞の原因となる狭窄の正確な範囲及び方向についてかなりの不確定性があり、狭窄の正確な位置の特定を困難にしている。加えて、同じ場所で再狭窄が起こり得ることは知られているが、X線を用いた手術の後に血管内の状態を確認することは困難である。
【0003】
現時点で受け入れられている、虚血性病変を含む血管内の狭窄の深刻度を評価するための手法は、冠血流予備量比(FFR:fractional flow reserve)である。FFRは、近位部圧力測定値(proximal pressure measurement)(狭窄の近位側で測定)に対する、遠位部圧力測定値(distal pressure measurement)(狭窄の遠位側で測定)の比の計算値である。FFRは、狭窄の深刻度の指標を提供し、閉塞が、治療が必要な程度まで血管内の血流を制限しているかどうかについての決定を可能にする。健康な血管のFFRの正常値は1.00であり、その一方で、約0.80未満の値は、一般に、著しいものであり、治療を要するものと判断される。
【0004】
多くの場合、血管内カテーテル及びガイドワイヤは、血管内の圧力を測定するため、血管の内部内腔を可視化するため、及び/又はそうでなければ、血管に関するデータを得るために利用される。これまで、圧力センサ、撮像素子及び/又は他の電子的、光学的若しくは電子光学的構成要素を含むガイドワイヤは、そのような構成要素を含まない標準的なガイドワイヤと比較して性能特性が不完全であるという難点があった。例えば、幾つかの場合、電子構成要素の導体又は通信線に必要な空間、電子構成要素を含む剛体の筐体の剛性、及び/又はガイドワイヤ内で利用可能な限られた空間内の電子構成要素の機能の提供に関連付けられた他の制限を考慮した上で、コアワイヤに利用可能な空間が限られていることにより、電子構成要素を含む従来のガイドワイヤのハンドリング性能が妨げられていた。
【0005】
ガイドワイヤは、血管構造内を疑わしい病変部位まで進められ、これらの病変の治療を可能にするように設計される。ガイドワイヤ設計のために検討されなくてはならない多くの所望の性能特性が存在する。これらの特性は、トルク伝達性、サポートレベル、先端部剛性、潤滑性、円滑な移行及びデバイス適合性である。設計の需要にかかわらず、ワイヤ先端部の良好なトルク伝達性は、ワイヤの最も重要な性能出力のままである。ワイヤの先端部の良好なトルク制御なしでは、医師は、先端部を適切な分岐内に進めて所望の病変に到達することが困難である。
【0006】
所望の出力要件を満たすガイドワイヤを作製するために、ガイドワイヤの可撓性セクション(通常、血管系に挿入されるワイヤの最も遠位の20cm乃至40cm)が、コアワイヤを研磨して所望の支持及び移行状態を生成することによって生成され得る。ガイドワイヤ上を進められる他のデバイスとの適合性を改善するために、コアワイヤのグラウンドセクションの上にカバーが多くの場合に配置され、潤滑性を改善するために潤滑性コーティングでコーティングされる。可撓性カバーは、1つ又は複数のコイル、チューブ、及び/又は一体化された螺旋状のコイル支持部を有するチューブを含むことができる。可撓性カバーは、ガイドワイヤの隣接構成要素に位置合わせすることができ、接着剤又は半田により各端部の適所にロックすることができる。これらのタイプの可撓性カバーは、通常、可撓性カバーの近位端及び遠位端の2箇所のみにおいて、コアワイヤに取り付けられる。この点に関して、可撓性カバーの端部をコアワイヤに定着させて固定するために硬質接着剤が多くの場合に用いられる。これらのカバーに施される潤滑性コーティングは、血管系内に軸方向の優れた動きをもたらし、デバイスがワイヤの上を潤滑に動くのにも役立つ。一方、従来の可撓性カバーの使用は、可撓性カバーを含むガイドワイヤの遠位セクションが湾曲しているときに、ガイドワイヤの先端部にトルクを与えることに関する大きな欠陥を有する。この点に関して、可撓性カバーが更なる湾曲に押し込まれ、且つ/又は湾曲が更に急になるほど、ガイドワイヤ先端部のトルク伝達性が劣化する。
【0007】
ガイドワイヤの近位セクションに対するガイドワイヤの遠位セクションのトルク伝達性のこの劣化は、可撓性カバーが非常に不良なトルク伝達性特性を有することに起因して生じる。例えば、ワイヤの近位端が回転される際にガイドワイヤの遠位セクションが大きく湾曲しているとき、可撓性カバーは通常、各端部にしか取り付けられないので、可撓性カバーを通ってコアワイヤから先端部にトルクが十分伝達されない。この結果、ガイドワイヤは、先端部の回転が近位の回転から遅れた状態でトルクを蓄積することになる。可撓性カバーがその端部でのみロックされるとき、コアワイヤは可撓性カバーの非潤滑性の内面に対し回転しており、したがって、可撓性カバーの外側コーティングの潤滑性の利益を受けない。あるポイントにおいて、トルクは、可撓性カバーにおける湾曲効果に打ち勝つように十分蓄積し、可撓性カバーが突如回転し、ガイドワイヤの遠位先端部が大きな角度を迅速にホイッピングする。遠位先端部のこのホイッピングは、重大な湾曲及び/又は湾曲の長さの増大とともに悪化する。遠位先端部の望ましくないホイッピングは、ガイドワイヤを患者の解剖学的構造内の所望の位置に配置することに関する問題を引き起こす可能性があり、深刻な場合には、患者の解剖学的構造に損傷を引き起こす可能性さえある。
【0008】
更に、可撓性カバーの使用は、血管内デバイスの所望の外径全体を維持しながら、可撓性カバーのための十分な余裕を与えるために、コアの直径の低減を必要とする可能性がある。また、通信線は、可撓性カバーとコアとの間の血管内デバイスの長さに沿って延在し、それによって、通信線のための十分な空間が存在することを確保するために、可撓性カバーの内径及びコアの外径が、所望の許容範囲内になくてはならない。そのようなデバイスの組み立ては、複雑であり、複数の入り組んだ組み立てステップを必要とする可能性がある。
【0009】
したがって、1つ又は複数の電子的、光学的又は電子光学的構成要素を含み、改善されたハンドリング特性を有する血管内デバイス、システム及び方法に対する需要は依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、通信線及びコア部材の上に施されたポリマージャケットを有するガイドワイヤを含む血管内デバイス、システム及び方法に関する。ここで、通信線はコア部材に巻きつけられている。
【0011】
例えば、幾つかの実施態様では、近位部及び遠位部を含むセンシングガイドワイヤが提供される。遠位部は、コア部材と、コア部材に巻きつけられた複数の通信線と、コア部材及び複数の通信線の周りに形成されたポリマージャケットと、ポリマージャケットの遠位に配置され、複数の通信線に通信可能に結合されたセンシング要素とを含む。センシング要素は、圧力センサとするか、フローセンサとするか、又は圧力センサ及びフローセンサの双方を含むことができる。通信線は、電気伝導体及び/又は光ファイバを含むことができる。幾つかの例では、通信線は、40AWG以下の直径を有する電気伝導体である。複数の通信線は、2乃至10の通信線を含むことができる。幾つかの特定の実施形態では、複数の電気伝導体は、3つの導体からなる。複数の通信線は、約0.25mm乃至約1,000mmのピッチを有するコア部材に巻きつけられ、好ましいピッチは3mm乃至5mmである。他の例では、通信線は、コアに巻きつけられるのではなく、コアに沿って線形に(例えば、コアに対し並行に)延在する。複数の通信線は、ガイドワイヤの近位部に沿って延在する複数の通信線に通信可能に結合され得る。
【0012】
幾つかの例では、ポリマージャケットは、X線不透過性マーカー要素を定義するためのX線不透過性材料が埋設された少なくとも1つの部分を含む。更に、X線不透過性マーカー要素は、X線不透過性マーカー要素の周りにポリマージャケットが形成されるように、コア部材の周りに配置され得る。ポリマージャケットは、コア部材の全長に延在するか、又はコア部材の一部分のみに沿って延在することができる。ポリマージャケットは、ポリウレタン、ペバックス、ナイロン及び/又はそれらの組み合わせからなるポリマーの群から選択されたポリマーから形成され得る。ポリマージャケットは、約0.014”、約0.018”、約0.035”又は他の所望のサイズの外径を有することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、センシングガイドワイヤを形成する方法が提供される。当該方法は、複数の通信線をセンシング要素に通信可能に結合することと、複数の通信線をコア部材に巻きつけることと、ポリマージャケットをコア部材及び複数の通信線の周りに形成することと、を含む。センシング要素は、圧力センサとするか、フローセンサとするか、又は圧力センサ及びフローセンサの双方を含むことができる。通信線は、電気伝導体及び/又は光ファイバを含むことができる。幾つかの例では、通信線は、40AWG以下の直径を有する電気伝導体である。複数の通信線は、2乃至10の通信線を含むことができる。幾つかの特定の実施形態では、複数の電気伝導体は3つの導体からなる。複数の通信線は、約0.25mm乃至約1,000mmのピッチでコア部材に巻きつけられ、好ましいピッチは3mm乃至5mmである。複数の通信線を、ガイドワイヤの近位部の複数の通信線に通信可能に結合することができる。
【0014】
幾つかの例では、本方法は、ポリマージャケットの少なくとも一部分にX線不透過性マーカー要素を定義するためのX線不透過性材料を埋設することを含む。幾つかの実施態様において、本方法は、コア部材の周りにX線不透過性マーカー要素を配置することを含む。この点に関して、ポリマージャケットを形成することは、X線不透過性マーカー要素の周りにポリマージャケットを形成することを含むことができる。ポリマージャケットは、コア部材の全長に延在するか、又はコア部材の一部分のみに沿って延在するように形成することができる。ポリマージャケットは、ポリウレタン、ペバックス、ナイロン及び/又はそれらの組み合わせからなるポリマーの群から選択されたポリマーから形成することができる。ポリマージャケットは、約0.014”、約0.018”、約0.035”又は他の所望のサイズの外径を有するように形成することができる。
【0015】
幾つかの例では、複数の通信線は、ポリマージャケットを形成する前にコア部材に巻きつけられる。他の例では、複数の通信線は、ポリマージャケットの形成と同時にコア部材に巻きつけられる。ポリマージャケットを形成することは、ポリマーを含むチャンバを通してコア部材及び複数の通信線を動かすことを含むことができる。幾つかの実施形態では、チャンバの近傍の開口部は、ポリマージャケットの所望の外径に概ね等しい外径を有することができる。他の例では、ポリマージャケットを形成することは、ポリマーを含むチャンバをコア部材及び複数の通信線の上で動かすことを含むことができる。そのような手法において、チャンバの近傍の開口部は、ポリマージャケットの所望の外径に概ね等しい外径を有することができる。
【0016】
本開示の更なる態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0017】
本開示の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態による血管内デバイスの図式概略側面図である。
【
図2】本開示の実施形態による
図1の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図3】本開示の実施形態による血管内デバイスの遠位部の写真による側面図である。
【
図4-11】集合的に、本開示による血管内デバイスを製造する方法の態様を示す。
【
図4】本開示による、コアに巻きつけられている通信線の初期段階を示す、血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図5】本開示による、コアに巻きつけられている通信線の中間段階を示す、
図4の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図6】本開示による、コアに巻きつけられている通信線の最終段階を示す、
図4及び
図5の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図7】本開示による、コアに巻きつけられた通信線を示す、
図4〜
図6の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図8】本開示による、通信線及びコアの周りにポリマージャケットを施す初期段階を示す、
図4〜
図7の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図9】本開示による、通信線及びコアの周りにポリマージャケットを施す中間段階を示す、
図4〜
図8の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図10】本開示による、通信線及びコアの周りにポリマージャケットを施す最終段階を示す、
図4〜
図9の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図11】本開示による、通信線及びコアの周りにポリマージャケットを施す最終段階を示す、
図4〜
図9の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図12-14】集合的に、本開示による、血管内デバイスを製造する方法の態様を示す。
【
図12】本開示による、ポリマージャケットを施しながらコアに巻きつけられている通信線の初期段階を示す、血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図13】本開示による、ポリマージャケットを施しながらコアに巻きつけられている通信線の中間段階を示す、
図12の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図14】本開示による、ポリマージャケットを施しながらコアに巻きつけられている通信線の最終段階を示す、
図12及び
図13の血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、X線不透過性マーカー要素を有する血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【
図16】本開示の別の実施形態による、X線不透過性マーカー要素を有する血管内デバイスの遠位部の図式概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の原理の理解を促す目的で、ここで、図面に示される実施形態が参照され、これを説明するために特定の言語が用いられる。しかし、本開示の範囲を制限することを意図していないことは理解されたい。記載されるデバイス、システム及び方法に対する任意の変更並びに更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関係する当業者が通常想起するものとして完全に考えられるとともに、本開示内に含まれる。特に、一実施形態に関して記載される特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わされてもよいと完全に考えられる。しかしながら、簡略化のため、これら組み合わせの数多くの繰り返しについて別個に記載されることはない。
【0020】
本明細書で使用される、「可撓性長尺状部材(flexible elongate member)」又は「長尺状可撓性部材(elongate flexible member)」は、患者の血管系に挿入され得る少なくとも任意の細く長い可撓性構造体を含む。本開示の「可撓性長尺状部材」の図示される実施形態は、可撓性長尺状部材の外径を画定する円形断面形状を持つ円筒状形状を有するが、他の例では、可撓性長尺状部材の全て又は一部が他の幾何学的断面形状(例えば、卵形、矩形、正方形、楕円形等)又は非幾何学的断面形状を有してもよい。可撓性長尺状部材は、例えば、ガイドワイヤ及びカテーテルを含む。この点に関して、カテーテルは、その長さに沿って延在する、他の器具を受け入れる及び/又は案内するためのルーメンを含んでも含まなくてもよい。カテーテルがルーメンを含む場合、ルーメンは、デバイスの断面形状に対して、中央に配置されても、中心からずれていてもよい。
【0021】
殆どの実施形態では、本開示の可撓性長尺状部材は、1つ又は複数の電子的、光学的又は電子光学的構成要素を含む。例えば、可撓性長尺状部材は、以下の種類の構成要素、つまり、圧力センサ、フローセンサ、温度センサ、撮像素子、光ファイバ、超音波トランスデューサ、反射器、ミラー、プリズム、アブレーション要素、RF電極、導体及び/又はそれらの組み合わせの1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。概して、これら構成要素は、可撓性長尺状部材が配置される血管又は解剖学的構造の他の部分に関するデータを得るように構成されている。また、多くの場合、構成要素は、処理及び/又は表示のために外部デバイスにデータを通信するように構成されている。幾つかの態様においては、本開示の実施形態は、医療及び非医療用途の両方を含む、血管の内腔内を画像化するための撮像デバイスを含む。しかしながら、本開示の幾つかの実施形態は、ヒトの血管系という状況での使用に特に好適である。血管内空間、特に、ヒトの血管系の内壁の画像化は、超音波法(多くの場合、血管内超音波法(「IVUS:intravascular ultrasound」)及び心腔内心エコー法(「ICE:intracardiac echocardiography」)と呼ばれる)並びに光干渉断層法(「OCT:optical coherence tomography」)を含む、幾つかの異なる技術によって実施され得る。他の例においては、赤外線、熱又は他の画像化手法が利用される。
【0022】
本開示の電子的、光学的及び/又は電子光学的構成要素は、多くの場合、可撓性長尺状部材の遠位部内に配置される。本明細書で使用する、可撓性長尺状部材の「遠位部(distal portion)」は、可撓性長尺状部材の、中間点から遠位先端部までの任意の部分を含む。可撓性長尺状部材は中実とされ得るため、本開示の幾つかの実施形態は、遠位部に、電子的構成要素を受け入れるための筐体部を含む。このような筐体部は、長尺状部材の遠位部に取り付けられた管状構造とされ得る。幾つかの可撓性長尺状部材は管状であり、1つ又は複数のルーメンを有する。1つ又は複数のルーメンでは、遠位部内に電子的構成要素が配置され得る。
【0023】
電子的、光学的及び/又は電子光学的構成要素並びに関連する通信線は、可撓性長尺状部材の直径を非常に小さくすることができるようなサイズ及び形状である。例えば、本明細書中に記載される1つ又は複数の電子的、光学的及び/又は電子光学的構成要素を収容するガイドワイヤ又はカテーテル等の長尺状部材の外径は、約0.0007”(0.0178mm)乃至約0.118”(3.0mm)であり、幾つかの特定の実施形態では、約0.014”(0.3556mm)、約0.018”(0.4572mm)及び約0.035”(0.889mm)の外径を有する。したがって、本願の電子的、光学的及び/又は電子光学的構成要素を組み込んだ可撓性長尺状部材は、心臓の一部又は心臓を直に取り囲む内腔以外に、四肢の静脈及び動脈、腎動脈、脳内及び脳の周囲の血管、並びに他の内腔を含む、ヒト患者内の多種多様な内腔での使用に好適である。
【0024】
本明細書で使用する、「接続された(connected)」及びその変化形は、別の要素に対し、別の要素上に、別の要素内に等、直接接着される又は他の手法で留められる等の直接接続、及び接続された要素間に1つ又は複数の要素が配置される間接接続を含む。
【0025】
本明細書で使用する、「固定された(secured)」及びその変化形は、ある要素が、別の要素に対し、別の要素上に、別の要素内に等、直接接着される又は他の手法で留められる等の、別の要素に直接固定される方法、並びに固定された要素間に1つ又は複数の要素が配置される、2つの要素を共に固定する間接手法を含む。
【0026】
ここで
図1を参照すると、本開示の実施形態による血管内デバイス100の一部が示されている。この点に関して、血管内デバイス100は可撓性長尺状部材102を含む。可撓性長尺状部材102は、遠位先端部105の近傍の遠位部104と、近位端107の近傍の近位部106と、を有する。構成要素108は、遠位先端部105の近位の可撓性長尺状部材102の遠位部104に配置されている。概して、構成要素108は、1つ又は複数の電子的、光学的及び/又は電子光学的構成要素を表す。この点に関して、構成要素108は、圧力センサ、フローセンサ、温度センサ、撮像素子、光ファイバ、超音波トランスデューサ、反射器、ミラー、プリズム、アブレーション要素、RF電極、導体及び/又はそれらの組み合わせである。血管内デバイスの意図される使用に基づいて、特定の種類の構成要素又は構成要素の組み合わせが選択され得る。幾つかの例では、構成要素108は、遠位先端部105から、10cm未満、5cm未満又は3cm未満に配置される。幾つかの例では、構成要素108は、可撓性長尺状態部材102の筐体内に配置される。この点に関して、筐体は、幾つかの例において、可撓性長尺状部材102に固定された別個の構成要素である。他の例では、筐体は、可撓性長尺状部材102の一部として一体形成される。
【0027】
血管内デバイス100は、また、デバイスの近位部106の近傍のコネクタ110を含む。この点に関して、コネクタ110は、可撓性長尺状部材102の近位端107から距離112だけ離間される。概して、距離112は、可撓性長尺状部材102の全長の0%乃至50%である。可撓性長尺状部材の全長は任意の長さとすることができるが、幾つかの実施形態において、全長は約1300mm乃至約4000mmであり、幾つかの特定の実施形態では1400mm、1900mm及び3000mmの長さを有する。したがって、幾つかの例では、コネクタ110は、近位端107に配置される。他の例では、コネクタ110は、近位端107から離間される。例えば、幾つかの例では、コネクタ110は、近位端107から約0mm乃至約1400mm離間される。幾つかの特定の実施形態では、コネクタ110は、0mm、300mm及び1400mmの距離だけ近位端から離間される。
【0028】
コネクタ110は、血管内デバイス100と別のデバイスとの間の通信を容易にするように構成される。より詳細には、幾つかの実施形態において、コネクタ110は、構成要素108によって得られたデータの、コンピューティングデバイス又はプロセッサ等の別のデバイスへの通信を容易にするように構成される。したがって、幾つかの実施形態において、コネクタ110は電気コネクタである。そのような例では、コネクタ110は、可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在し、構成要素108に電気的に結合された1つ又は複数の電気伝導体に電気的接続を提供する。幾つかの実施形態において、電気伝導体は、可撓性長尺状部材のコア内に埋設されている。他の実施形態では、コネクタ110は光コネクタである。そのような例において、コネクタ110は、可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在し、構成要素108に光学的に結合される、1つ又は複数の光通信経路(例えば、光ファイバケーブル)への光学的接続を提供する。同様に、幾つかの実施形態において、光ファイバは、可撓性長尺状部材のコア内に埋設されている。更に、幾つかの実施形態において、コネクタ110は、構成要素108に結合された電気伝導体及び光通信経路の双方に電気的接続及び光学的接続の双方を提供する。この点に関して、幾つかの例では、構成要素108は複数の要素で構成されることに留意されるべきである。コネクタ110は、別のデバイスとの物理接続を直接又は間接的に提供するように構成される。幾つかの例では、コネクタ110は、血管内デバイス100と別のデバイスとの間の無線通信を容易にするように構成される。概して、任意の現在の又は未来に開発される無線プロトコルが利用される。更に他の例において、コネクタ110は、別のデバイスへの物理的接続及び無線接続の双方を容易にする。
【0029】
上述したように、幾つかの例では、コネクタ110は、血管内デバイス100の構成要素108と外部デバイスとの間の接続を提供する。したがって、幾つかの実施形態において、1つ又は複数の電気伝導体、1つ又は複数の光経路及び/又はそれらの組み合わせが、コネクタ110と構成要素108との間の可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在し、コネクタ110と構成要素108との間の通信を容易にする。幾つかの例では、その全体が参照により本明細書に援用される、2014年2月3日に出願された米国仮特許出願第61/935,113号に記載されているように、電気伝導体及び/又は光経路のうちの少なくとも1つが、可撓性長尺状部材102のコア内に埋設されている。概して、任意の数の電気伝導体、光経路及び/又はそれらの組み合わせが、コア内に埋設されて又は埋設されずに、コネクタ110と構成要素108との間で可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在し得る。幾つかの例では、1個乃至10個の電気伝導体及び/又は光経路が、コネクタ110と構成要素108との間で可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在する。可撓性長尺状部材102の長さに沿って延在する通信経路の数並びに電気伝導体及び光経路の数は、構成要素108の所望の機能と、そのような機能を提供するように構成要素108を定義する対応する要素によって決まる。
【0030】
ここで
図2及び
図3を参照すると、本開示の血管内デバイスの態様が示されている。この血管内デバイスは、通信線及びコアの上に施されたポリマージャケットを含む。ここで、通信線はコアに巻きつけられている。この点に関して、既存の機能ガイドワイヤに関連付けられた主な問題のうちの1つは、最先端のガイドワイヤと比較して機械的性能が劣っていることである。(通信線及びコアワイヤの上に事前に形成されたポリマーチューブを取り付けることと対称的に)通信線及びコアワイヤの上に直接ポリマージャケットを形成することによって、ポリマージャケットは、ポリマージャケットの全長に沿ってコアワイヤに対し強い接着を有する。これによって、コアからポリマージャケットへのトルクの伝達が増大する。更に、ポリマージャケットは、既存の可撓性カバー(例えば、コイル、ポリマーチューブ等)と比較して、より小さい断面の厚みを有することができるため、コアの直径を増大させることができる。コアの直径を増大させることにより、構造支持及び/又はトルク伝達性を増大させることができる。結果として、本開示によるポリマージャケット手法を利用する血管内デバイスは、機械的性能を大幅に改善したことがわかっている。特に、ガイドワイヤの遠位部のトルク応答は、既存のセンシングガイドワイヤと比較して大幅に改善される。
【0031】
ここで
図2を参照すると、本開示の実施形態による血管内デバイス100の遠位部104の図式概略側面図が示されている。示されるように、遠位部104は、構成要素108を含む筐体124の各側に、近位可撓性要素120と、遠位可撓性要素122とを含む。コア部材126が近位可撓性要素120を通って延在する。同様に、コア部材128が遠位可撓性要素122を通って延在する。幾つかの実施態様では、コア部材126及び128は一体構成要素である(すなわち、コア部材126が筐体124を通って延在し、コア部材128を画定する)。概して、コア部材126、128は、血管内デバイス100の遠位部104のための所望の機械的性能を生じるように、大きさを決められ、形状を決められ、且つ/又は特定の材料から形成される。この点に関して、幾つかの例では、コア部材128は、シェーピングリボンに結合される。例えば、幾つかの特定の実施態様では、コア部材128は、その全体が参照により本明細書に援用される、2014年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/027,556号に記載されているように、マルチフラット移行部を利用してシェーピングリボンに結合される。
【0032】
概して、近位可撓性要素120及び遠位可撓性要素122は、コイル、ポリマーチューブ及び/又はコイルが埋設されたポリマーチューブを含む任意の適切な可撓性要素を含むことができるが、本開示によれば、近位可撓性要素120の少なくとも一部はポリマージャケットによって画定される。以下で論じるように、ポリマージャケットは、コア部材126と、コア部材126に巻きつけられた通信線129との周りに直接形成される。
図3は、コア部材126に螺旋状に巻きつけられた通信線129の周りに形成されたポリマージャケット120を示す血管内デバイス100の遠位部104の画像を提供する。
【0033】
半田ボール130又は他の適切な要素が遠位可撓性要素122の遠位端に固定される。示されるように、半田ボール130は、血管系等の患者の血管を通って進むのに適した無傷先端部を有する、血管内デバイス100の遠位先端部105を画定する。幾つかの実施形態では、半田ボール130の代わりに、フローセンサが遠位先端部105に配置される。
【0034】
近位可撓性要素122が本開示による通信線及びコアの周りに形成されたポリマージャケットを含む限り、血管内デバイス100の遠位部104、並びに近位部106及び可撓性長尺状部材102は、任意の適切な手法を用いて形成される。したがって、幾つかの実施態様では、血管内デバイス100は、その各々の全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,125,137号、米国特許第5,873,835号、米国特許第6,106,476号、米国特許第6,551,250号、2013年6月28に出願された米国特許出願第13/931,052号、2013年12月19日に出願された米国特許出願第14/135,117号、2013年12月20日に出願された米国特許出願第14/137,364号、2013年12月23日に出願された米国特許出願第14/139,543号、2013年12月30日に出願された米国特許出願第14/143,304号、2014年2月3日に出願された米国仮特許出願第61/935,113号のうちの1つ又は複数に記載されている遠位セクション、中間セクション及び/又は近位セクションに類似した特徴を含む。
【0035】
幾つかの例において、本開示によるセンシングガイドワイヤを形成又は製造する方法は、必須の構成要素を提供することと、血管内デバイス100を形成する方式でこれらを共に結合することとを含む。この点に関して、通信線129は、コア部材126に巻きつけることができ、ポリマージャケットは、他の構成要素を共に結合する前及び/又は後に施すことができる。幾つかの例では、血管内デバイス100の遠位部104は、サブアセンブリとして形成され、このサブアセンブリは次に、可撓性長尺状部材102及び/又は近位部106等のより近位部に結合される。本開示によるセンシングガイドワイヤを形成又は製造する方法は例示であり、本開示のデバイスが作製され得る方式を制限しないことが理解される。
【0036】
集合的に、
図4〜
図11は、
図1〜
図3に示され上述された血管内デバイス等の、本開示による血管内デバイスを製造する方法の態様を示す。最初に
図4を参照すると、通信線129は、センシング要素108に通信可能に結合されている。この点に関して、接続のタイプは、利用される通信線129のタイプに依拠する。例えば、電気伝導体の場合、適切な電気接続(例えば、半田、ワイヤボンディング等)が用いられるが、光ファイバの場合、適切な光接続が用いられる。
【0037】
センシング要素に結合された通信線129を用いて、通信線129は、コア部材126に巻きつけることができる。一方、他の実施態様において、通信線129は、センシング要素108に結合される前にコア部材126に巻きつけられてもよいことが理解される。更に、また他の例では、通信線は、コアに巻きつけられるのではなく、コアに沿って線形に(例えば、コアに対し並行に)延在する。示される実施形態では、通信線の対応する供給部140、142、144を有する3つの通信線129が示されている。幾つかの例では、通信線の供給部140、142、144は、巻きつけプロセス中、通信線129をまとまった状態にしておくのに利用される。例えば、幾つかの例では、通信線の供給部140、142、144は、コア部材126に巻きつけるための通信線の予測供給を提供する、ワイヤ、ケーブル、ファイバ等のスプールである。幾つかの実施態様では、より小さなゲージの電気伝導体(例えば、40ゲージ乃至60ゲージ、好ましくは48ゲージ乃至50ゲージ)を利用して、コア部材126への通信線129の巻きつけをより均一にし、且つ/又は通信線129が巻きつけられたコア部材126にポリマーをより均一に施す。更に、CS−95等の、より高い張力のリード材料を有する電気伝導体を利用して、デバイスの製造及び/又は使用中の破損を最小限にすることができる。
【0038】
概して、通信線129は、通信線の供給部140、142、144に対してコア部材126を回転及び並進させることによって、コア部材126に巻きつけることができる。この点に関して、回転及び並進の速度は、巻きつけられた通信線129の所望のピッチを達成するように選択することができる。幾つかの例では、巻きつけられた通信線129のピッチは、約0.25mm乃至約1,000mmであり、好ましいピッチは3mm乃至5mmである。代替的に、通信線129は、コア部材126の周りで通信線の供給部140、142、144を回転及び並進させることによって、コア部材126に巻きつけることができる。ここでもまた、回転及び並進の速度は、巻きつけられた通信線129の所望のピッチを達成するように選択することができる。
図4〜
図6は、通信線129を巻きつける双方の手法を表す。特に、
図4は、巻きつけの初期段階を示し、
図5は、巻きつけの中間段階を示し、
図6は、巻きつけの最終段階を示す。
【0039】
この点に関して、
図6はコア部材に巻きつけられた通信線129を示しているが、通信線129の近位端は依然として通信線の供給部140、142、144に取り付けられている。したがって、巻きつけが完了すると、通信線129の各々が通信線の供給部140、142、144から分離される(例えば、切断される)。この点に関して、センシング要素108とコネクタ110との間のガイドワイヤの長さに沿って信号を送信することができるように、ガイドワイヤの近位部の通信線に通信線129の各々が結合されることを可能にするように、十分な通信線129が提供される必要がある。
図7は、コア部材126の近位に延在する通信線129のそのような延長部を示す。通信線129のこれらの延長部は、近位の通信線に実際に結合されるとき、より固有の長さを有するように切断することができる。
【0040】
幾つかの例では、通信線129は、機械的ホルダ(例えば、通信線を適所に保持するように圧力を加えるためのクランプ又は他のデバイス)、接着剤(例えば、ポリマージャケットが施されるまで固定点を提供するように通信線の長さに沿った様々な点において接着剤を用いる)、又は通信線を引張状態に維持する、適切な点に施された収縮チューブ、及び/又はそれらの組み合わせの使用を通じて、ポリマージャケット120を施す前に巻きつけられた構成で維持される。
【0041】
通信線129がコア部材126に巻きつけられた状態で、ポリマージャケット120を通信線129及びコア部材126の周りに形成することができる。この点に関して、
図8〜
図10は、ポリマージャケット120が形成されていることを示す。特に、
図8は、ポリマージャケットが形成された初期段階を示し、
図9は、中間段階を示し、
図10は、最終段階を示す。
【0042】
概して、ポリマージャケット120は、成形、
押し出し加工及び/又はそれらの組み合わせを含む、任意の適切な手段を用いて形成することができる。例えば、幾つかの実施態様では、通信線129を巻きつけられたコア部材126は、モールド内に配置することができ、ポリマーは、ポリマージャケット120を形成するようにモールド内に注入することができる。幾つかの実施態様では、巻きつけられた通信線129を有するコア部材126は、ポリマーを含むチャンバに対して移動される。例えば、巻きつけられた通信線129を有するコア部材126は、ポリマーが、ポリマージャケット120を画定するようにコア部材126の長さに沿って施されるように、ポリマーを含むチャンバを通して引く(又は押す)ことができる。代替的に、ポリマーを含むチャンバは、コア部材126が動かないようにしながら、複数の通信線129が巻きつけられたコア部材126上を動かされ得る。チャンバは、コア部材126をコーティングしてポリマージャケットを形成するためにポリマーの適切な供給が常に存在することを確実にするために、ポリマーの加圧供給部を有することができる。幾つかの例では、チャンバの近傍の開口部(例えば、チャンバの出口又はチャンバの出口の近傍の別個の構成要素)は、ポリマージャケットの所望の外径に概ね等しい外径を有する。この点に関して、チャンバからポリマーが施されたコア部材126が開口部を通過するとき、所望の直径を超えて延在する余剰のポリマーは、開口部の境界への接触により除去され得る。
【0043】
ポリマージャケット120は、血管内デバイス100の可撓性を維持しながら、通信線129を、使用中に損傷から保護する。したがって、利用されるポリマーは、耐久性があり、可撓性があり、且つ生体適合性がなくてはならない。したがって、ポリマージャケット120は、ペレセン、他のポリウレタン、ナイロン、ペバックス、若しくは適切な可撓性の他の熱可塑性プラスチック、及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な材料又は材料の組み合わせから形成することができる。また、幾つかの実施形態では、ポリマージャケット120は、滑らかな親水性のコーティングでコーティングされる。
【0044】
図8〜
図10に示すように、ポリマージャケット120は、コア部材に通信線129を巻きつけた結果として直径に均一性がなくなるにもかかわらず、実質的に均一な外径150を有するように形成することができる。概して、直径150は、血管内デバイス100の所望の最大外径に概ね等しい。したがって、幾つかの特定の実施態様では、直径150は、約0.014”、0.018”又は0.035”である。幾つかの実施態様では、外径は、ポリマーが施されたコア部材126を、所望の外径を有する開口部に通すこと、施されたポリマーを機械加工/レーザーアブレーション/切断する若しくは他の手法で処理して、所望の外径を達成すること、及び/又はそれらの組み合わせによって達成される。
【0045】
幾つかの例では、ポリマージャケット120は、センシング要素108の近位に配置されたコア部材126の全長に延在する。この点に関して、幾つかの例では、ポリマージャケット120は、可撓性長尺状部材102の対応する外側部材に接するか、又はポリマージャケット120と同じ外径を通常有する、ガイドワイヤ100の他の構成要素に接する。
【0046】
幾つかの実施態様では、ポリマージャケット120は、センシング要素108の近位に配置されたコア部材126の長さの一部にのみ延在する。例えば、
図11は、コア部材126の近位セクション152が露出されるように、ポリマージャケット120がコア部材126の長さの一部のみに延在する実施形態を示す。そのような例では、ポリマージャケット120は、近位セクション152を露出させる所望の長さを有するように形成されるか、又はコア部材126に最初に施されたポリマーの一部分が、近位セクション152を露出させるように除去される。この点に関して、ポリマージャケット120を、コア部材の一部分のみに沿って延在させ、可撓性要素102及び/又は近位セクション106等の、ガイドワイヤのより近位部への結合を容易にすることが望ましい。(例えば、通信線129がポリマージャケット120の形成後にセンシング要素108に結合される実施形態において、)ガイドワイヤの遠位部への結合を容易にする同様の手法も利用される。幾つかの例では、ポリマージャケット120と、ガイドワイヤの隣接構成要素との間の間隙は、その後、コア部材126及び/又は通信線129を、隣接する近位構成要素及び/又は遠位構成要素に結合した後に、ポリマー、接着剤及び/又は他の適切な材料で充填される。幾つかの特定の例では、間隙は、ポリマージャケット120を形成するのに利用されたのと同じ材料で充填される。
【0047】
通信線129及びコア部材126の周りに直接ポリマージャケット120を形成することによって、ポリマージャケット120の長さ全体に沿って強力な機械的結合が提供される。これによって、コイル、ポリマーチューブ及び/又はそれらの組み合わせを用いた以前の手法と比較して、トルク伝達が大幅に増大する。更に、特に、コアの一方の側に沿って線形に電気伝導体を延在させ、これにより、湾曲した状態において大幅なホイッピングを生じ得る従来の手法と比較して、巻きつけられた通信線129は、ガイドワイヤが湾曲しているときであっても予測可能な対称トルク応答を与える。更に、ポリマージャケット120は、一定の厚さを有しておらず、代わりに、均一な外径を保ちながら、通信線129及びコア部材126の形状に合わせるので、コア部材及び通信線に利用可能な空間は最大限にすることができ、これによって、より大きな直径のコア部材の使用を可能にすることにより、改善されたハンドリング性能を提供することができる。また更に、ポリマージャケット120は、そのような接続に関連付けられた位置合わせ問題も解消しながら、接着剤がコイル及び/又はチューブを他の構成要素に接続する必要性をなくすことができる。この点に関して、ポリマージャケット120は、筐体124及び/又は可撓性長尺状要素102に平滑に移行するように付けることができる。最終的に、本開示によるポリマージャケット120の使用は、製造のコスト及び複雑度を低減することができる。なぜなら、ポリマー加工は合理的に高速であり、ポリマー加工システムは、加工プロセス中のポリマーの位置合わせを提供し、ポリマーのコストが、より従来的なコイル又はチューブと比較して最小限であるためである。より従来的なコイル又はチューブは、製造された後に、接着剤により組み立てられなくてはならない。
【0048】
集合的に、
図12〜
図14は、
図1〜
図3に示され上述された血管内デバイス等の、本開示による血管内デバイスを製造する方法の態様を示す。この点に関して、
図4〜
図11は、ポリマージャケット120を形成する前にコア部材126に通信線129が巻きつけられる実施形態を示していたのに対し、
図12〜
図14は、通信線129が、ポリマージャケット120を形成するのと同時にコア部材126に巻きつけられる実施形態を示す。特に、
図12は、通信線129を巻きつけ、ポリマージャケットを形成する初期段階を示し、
図13は中間段階を示し、
図14は最終段階を示す。
【0049】
幾つかの実施態様では、コア部材126は、通信線の供給部140、142、144に対し回転及び並進され、コア部材126に通信線129を巻きつけ、同時に、コア部材12
6及び巻きつけられた通信線129
に施されるポリマーを含むチャンバ154を通って並進される。他の例において、コア部材126は、動かないように保持され、通信線の供給部140、142、144及びチャンバ154は、コア部材126に対し移動し、通信線129を巻きつけ、ポリマージャケット120を形成する。
【0050】
幾つかの実施態様では、ポリマージャケット120の一部分に、X線不透過性材料粒子が埋設され、X線不透過性マーカー要素が生成される。例えば、
図15に示すように、X線不透過性マーカー要素160は、X線不透過性材料粒子が埋め込まれたポリマーを利用してポリマージャケット120を形成することによって生成することができ、このポリマージャケット120にX線不透過性マーカー要素が配置されることが望ましい。同様に、ポリマー材料が、X線不透過性マーカー要素が配置されることが望ましい位置においてコア部材126及び通信線129の周りに施されるとき、ポリマー材料に、X線不透過性材料粒子を選択的に埋設することができる。ポリマー内にX線不透過性材料を埋設することに対する代替として、
図16に示すように、ポリマージャケット120を施す前にコア部材126の周りに別個のX線不透過性マーカー要素162を配置することができる。X線不透過性マーカー要素162は、
図16において通信線129にわたって配置されているものとして示されているが、他の実施態様では、巻きつけられた通信線129の下にあってもよい。上記で説明したように、ポリマージャケット120は、基礎をなす構造にかかわらず、一貫した外径を有して形成されるので、ポリマージャケット120の外径は、別個のX線不透過性マーカー要素162を用いる場合であっても、所望のサイズに留まることができる。
【0051】
X線不透過性マーカー要素160、162は、外部撮像及び内部撮像等の他の診断技法を用いた血管内デバイス100の位置のコレジストレーションを可能にする。例えば、幾つかの例では、X線不透過性マーカー要素160、162は、X線不透過性マーカー要素のパターンを定義するように筐体124と組み合わせて利用される。例えば、筐体124及びX線不透過性マーカー要素160、162をマーカーとして用い、ポリマージャケット120の非X線不透過性セクションをスペーサーとして用いると、既知の間隔を有するX線不透過性マーカーの繰り返しパターンを提供することができる。このX線不透過性パターンを有するセンシングガイドワイヤを利用して、X線不透過性筐体及びマーカー要素の位置に基づいて、センシング要素の正確な位置を特定することができる。幾つかの例では、血管内デバイスは、その全体が参照により本明細書に援用される、2014年11月3日に出願された、「INTRAVASCULAR DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS HAVING A RADIOPAQUE PATTERNED FLEXIBLE TIP」と題する米国仮特許出願第62/074,320号に記載されているようなX線不透過性のパターニングされた可撓性先端部を含むことができる。
【0052】
本開示のガイドワイヤは、センサによって受信した信号を圧力及び速度読取値に変換する、コンピューティングデバイス(例えば、ラップトップ、デスクトップ又はタブレットコンピュータ)又は生理学モニタ等の機器に接続することができる。機器は、更に、冠血流予備能(CFR:Coronary Flow Reserve)及び冠血流予備量比(FFR)を計算することができ、ユーザインタフェースを介してユーザに読取値及び計算値を提供することができる。幾つかの実施形態では、ユーザはビジュアルインターフェースと対話し、本開示の血管内デバイスにより得られたデータに関連する画像を見る。ユーザからの入力(例えば、パラメータ又は選択)は、電子デバイス内のプロセッサによって受け取られる。この選択は、可視表示にされ得る。
【0053】
当業者であれば、上述の装置、システム及び方法が種々の手法で修正され得ることも理解するであろう。したがって、当業者であれば、本開示により包含される実施形態が上述の特定の例示的実施形態に限定されないことを理解するであろう。この点に関しては、例示的な実施形態が示され且つ記載されたが、前述の開示では、広範な修正、変更及び置換が企図される。前述のものに対し、本開示の範囲から逸脱することなくそのような変更が施されてもよいことは理解される。したがって、添付の特許請求の範囲が広く且つ本開示に合致する手法で解釈されることが適切である。