(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945457
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】複数のホスト材料及びそれを含む有機電界発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20210927BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
H05B33/14 B
C09K11/06 690
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-565295(P2017-565295)
(86)(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公表番号】特表2018-521506(P2018-521506A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】KR2016004296
(87)【国際公開番号】WO2016204394
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0086367
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0047459
(32)【優先日】2016年4月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビトナリ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒー−リョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−ムク・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジン−リ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】テ−ジン・リー
(72)【発明者】
【氏名】サン−ヒー・チョ
【審査官】
中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−522401(JP,A)
【文献】
特表2014−532303(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/114264(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0167003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスであって、前記発光層が、ホスト及びリン光ドーパントを含み、前記ホストが、複数のホスト化合物を含み、前記複数のホスト化合物の少なくとも第1のホスト化合物が、以下の式1によって表され、
【化1】
式中、
L
1が、置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレンを表し、
Arが、置換もしくは非置換(C6−C60)アリールを表し、
R
1〜R
8が、各々独立して、水素または重水素を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結されて、非置換のベンゼン環、非置換のベンゾチオフェン環または非置換のベンゾフラン環を形成してもよく、
R
9及びR
10が、各々独立して、水素または重水素を表し
、
aが、1〜4の整数を表し、bが、1〜7の整数を表し、a及びbが各々独立して2以上の整数を表す場合、R
9及びR
10の各々が、同じであっても異なってもよく、
前記複数のホスト化合物の少なくとも第2のホスト化合物が、以下の式2によって表され、
【化2】
式中、
L
2が、単結合、置換もしくは非置換窒素含有(5〜18員)ヘテロアリーレン、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレンを表し、
Maが、置換トリアジニル、置換ピリミジニル、置換ピリジル、置換キナゾリニル
、置換キノキサリニル
または置換キノリルを表し、
R
11及びR
12が、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルケニル、置換もしくは非置換(3〜7員)ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリール、−NR
13R
14、または−SiR
15R
16R
17を表し、
R
13〜R
17が、各々独立して、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリールを表し、
前記
置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリー
ル及び前記
置換もしくは非置換(3〜7員)ヘテロシクロアルキルが、
環骨格原子としてB、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
前記置換もしくは非置換窒素含有(5〜18員)ヘテロアリーレンが、環骨格原子として少なくとも1個の窒素原子を含み、かつ
c及びdが、1〜6の整数を表し、c及びdが各々独立して2以上の整数を表す場合、R
11及びR
12の各々が、同じであっても異なってもよい、有機電界発光デバイス。
【請求項2】
式1のArが、置換もしくは非置換(C6−C20)アリールを表す、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項3】
R1〜R10が、各々独立して、水素を表す、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項4】
式1及び2の前記置換アルキル、前記置換シクロアルキル、前記置換シクロアルケニル、前記置換ヘテロシクロアルキル、前記置換アリール、前記置換アリーレン、前記置換ヘテロアリール、前記置換ヘテロアリーレン、及び前記置換の単環式もしくは多環式の脂環式もしくは芳香族環の前記置換基が、各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1−C30)アルキル、ハロ(C1−C30)アルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、(C1−C30)アルコキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C3−C30)シクロアルキル、(C3−C30)シクロアルケニル、(3〜7員)ヘテロシクロアルキル、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、非置換もしくは(C6−C30)アリールで置換された(3〜30員)ヘテロアリール、非置換もしくは(3〜30員)ヘテロアリールで置換された(C6−C30)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、アミノ、モノもしくはジ(C1−C30)アルキルアミノ、モノもしくはジ(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、ジ(C6−C30)アリールボロニル、ジ(C1−C30)アルキルボロニル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールボロニル、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、及び(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項5】
式1で表される前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【請求項6】
式2で表される前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のホスト材料及びそれを含む有機電界発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光(EL)デバイスは、より広い視角、より高いコントラスト比、及びより速い応答時間を提供するという点で利点を有する、自己発光デバイスである。有機ELデバイスは、最初に、発光層を形成するための材料として芳香族ジアミン小分子及びアルミニウム錯体を使用することにより、Eastman Kodakによって開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機電界発光デバイス(OLED)では、電気が、電気エネルギーを光に変換する有機発光材料に印加される。一般に、OLEDは、アノード、カソード、及び2つの電極の間に配置された有機層を備えた構造を有する。OLEDの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、(ホスト及びドーパント材料を含む)発光層、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等から構成されてもよい。有機層を調製するための材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等として、その機能に従って分類することができる。正孔及び電子は、それぞれ、電気をOLEDに印加することによって、アノード及びカソードから発光層に注入され、高いエネルギーを有する励起子が正孔及び電子の再結合によって形成され、このエネルギーによって、有機発光化合物を励起状態にし、発光化合物の励起状態が基底状態に戻り、それによりエネルギーが光に変換され、発光をもたらす。
【0004】
OLEDにおける発光効率を決定する最も重要な要因は、発光材料である。発光材料は、高量子効率、高電子移動度、及び高正孔移動度を有する必要がある。さらに、発光材料によって形成された発光層は、均一で安定している必要がある。発光によって視覚化された色に従って、発光材料は、青色、緑色、または赤色発光材料に分類することができ、さらに、黄色または橙色発光材料をその中の含むことができる。さらに、発光材料は、その機能に従って、ホスト材料及びドーパント材料として分類することができる。近年、高い効率及び長い寿命を提供するOLEDの開発は、急を要する。具体的には、中型または大型OLEDパネルのEL要件を考慮して、従来のものよりも優れた性能を示す材料が、至急開発されなければならない。開発を達成するために、固体の状態で溶媒及びエネルギー担体としての役割を果たすホスト材料は、真空下で蒸着するために、高純度及び適切な分子量を有しなければならない。加えて、ホスト材料は、熱安定性、長寿命を有するための高電気化学的安定性、非晶質薄膜調製の容易さ、及び隣接する層の材料への良好な接着を確実にするために、高いガラス転移温度及び高い熱分解温度を有しなければならない。さらに、ホスト材料は、隣接する層へ移動してはならない。
【0005】
発光材料は、色純度、発光効率、及び安定性を向上させるために、ホストをドーパントと組み合わせることによって調製することができる。一般に、良好なEL性能を示すデバイスは、ドーパントをホストにドーピングすることによって調製される発光層を備える。ホスト材料は、ホスト/ドーパントシステムを使用するとき、ELデバイスの効率及び寿命に大きく影響を及ぼし、したがって、その選択は重要である。
【0006】
一方、韓国特許第10−1405725号は、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたアミン誘導体を発光層のホストとして含む有機発光デバイスを開示し、アミン誘導体以外にホストとして任意に使用することができるいくつかのホストをさらに開示する。しかしながら、上記の公報は、単独のホスト化合物を使用することと比較して、特定の構造を有するホストを組み合わせることによって発光効率を向上させることを示唆していない。
【0007】
この点で、本発明者らは、ナフチル−フェニル及びアリールで置換されたアミン−カルバゾール誘導体、ならびにジ−C−ベンゾカルバゾール誘導体をホストとして含む複数のホスト材料を使用することで効率の向上が達成され得ることを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、高い発光効率及び長寿命を有する有機電界発光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的が、アノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスによって達成することができることを発見し、発光層は、ホスト及びリン光ドーパントを含み、ホストは、複数のホスト化合物を含み、複数のホスト化合物の少なくとも第1のホスト化合物は、以下の式1によって表され、
【0010】
【化1】
【0011】
式中、
L
1は、置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレンを表し、
Arは、置換もしくは非置換(C6−C60)アリールを表し、
R
1〜R
10は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C2−C30)アルケニル、置換もしくは非置換(C2−C30)アルキニル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C6−C60)アリール、置換もしくは非置換(3−30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換トリ(C1−C30)アルキルシリル、置換もしくは非置換トリ(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、または置換もしくは非置換モノもしくはジ(C6−C30)アリールアミノを表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)脂環式もしくは芳香族環を形成してもよく、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられてもよく、
隣接する置換基(複数可)に連結することによって形成される(ヘテロ)芳香族環は、ベンゼン、シクロペンタジエン、インドール、インデン、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェンからなる群から選択され、(C1−C10)アルキルまたは(C6−C15)アリールで置換されてもよく、
ヘテロアリールは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
aは、1〜4の整数を表し、bは、1〜7の整数を表し、a及びbが各々独立して2以上の整数を表す場合、R
9及びR
10の各々は、同じであっても異なってもよく、
複数のホスト化合物の少なくとも第2のホスト化合物は、以下の式2によって表され、
【0012】
【化2】
【0013】
式中、
L
2は、単結合、置換もしくは非置換窒素含有(5〜18員)ヘテロアリーレン、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレンを表し、
Maは、置換もしくは非置換窒素含有(5〜30員)ヘテロアリールを表し、
R
11及びR
12は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルケニル、置換もしくは非置換(3〜7員)ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリール、−NR
13R
14、または−SiR
15R
16R
17を表し、
R
13〜R
17は、各々独立して、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリールを表し、
ヘテロアリール(アリーレン)及びヘテロシクロアルキルは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、かつ
c及びdは、1〜6の整数を表し、c及びdが各々独立して2以上の整数を表す場合、R
11及びR
12の各々は、同じであっても異なってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示に従って、高効率及び長寿命を有する有機電界発光デバイスが提供される。さらに、本開示の有機電界発光デバイスは、表示デバイスまたは照明デバイスの製造に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。しかしながら、以下の記述は、本開示を説明するよう意図されており、本開示の範囲をいかようにも制限するようには意図されていない。
【0016】
本発明者らは、従来のホスト材料を発光層に使用した場合と比較して、ナフチル−フェニル及びアリールで置換されたアミン−カルバゾール誘導体の第1のホスト、ならびにジ−C−ベンゾカルバゾール誘導体の第2のホストの組み合わせを使用した場合に、効率の向上が提供されることを発見した。
【0017】
具体的には、第2のホスト単独では、輝度が高くなるにつれて効率の低下(以下、「ロールオフ」特性と称される)及び寿命特性の劣化を示す。しかしながら、第2のホストを、ナフチル−フェニル及びアリールで置換されたアミン−カルバゾール誘導体の第1のホストと組み合わせた場合、ロールオフ特性が向上し、寿命特性もまた大幅に向上する。
【0018】
高輝度で高効率を維持する理由は、ますます高解像度を必要とする現在のディスプレイ産業を満たすことである。低画素化が要求される現状では、高解像度化は、高輝度でも高効率を維持したときに実現することができる。寿命特性の向上は、ビフェニルまたはフェニルを含まないナフチルで置換されたアミンを含むことと比較して、「ナフチル−フェニル」で置換されたアミンを第1のホストとして含むことによって達成される。
【0019】
式1中、Arは、好ましくは、置換もしくは非置換(C6−C20)アリール、より好ましくは、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ビフェニル、置換もしくは非置換ナフチルフェニル、または置換もしくは非置換フルオレニル、さらにより好ましくは、非置換フェニル、非置換ビフェニル、非置換ナフチルフェニル、またはジメチルで置換されたフルオレニルを表す。
【0020】
式1中、L
1は、好ましくは、置換もしくは非置換(C6−C20)アリーレン、より好ましくは、置換もしくは非置換フェニレン、置換もしくは非置換ビフェニレン、置換もしくは非置換ナフチレン、置換もしくは非置換ナフチルフェニレン、置換もしくは非置換フェニルナフチレン、または置換もしくは非置換フルオレニレン、さらにより好ましくは、非置換フェニレン、非置換ビフェニレン、非置換ナフチレン、ジメチルで置換されたフルオレニレン、非置換ナフチルフェニレン、または非置換フェニルナフチレンを表す。
【0021】
式1中、R
1〜R
10は、好ましくは、各々独立して水素を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)芳香族環を形成してもよく、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられてもよく、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)芳香族環は、非置換ベンゼン環、ジメチルで置換されたシクロペンタジエン環、ジメチルで置換されたインデン環、非置換ベンゾチオフェン環、または非置換ベンゾフラン環であってもよい。
【0022】
式2中、Maは、好ましくは、置換もしくは非置換窒素含有(5〜20員)ヘテロアリール、より好ましくは、置換もしくは非置換トリアジニル、置換もしくは非置換ピリミジニル、置換もしくは非置換ピリジル、置換もしくは非置換キナゾリニル、置換もしくは非置換キノキサリニル、置換もしくは非置換ジベンゾキノキサリニル、または置換もしくは非置換キノリル、さらにより好ましくは、置換トリアジニル、置換ピリミジニル、置換ピリジル、置換キナゾリニル、置換キノキサリニル、非置換ジベンゾキノキサリニル、または置換キノリルを表す。
【0023】
式2中、L
2は、好ましくは、単結合、置換もしくは非置換窒素含有(5〜15員)ヘテロアリーレン、または置換もしくは非置換(C6−C18)アリーレン、より好ましくは、単結合、置換もしくは非置換フェニレン、置換もしくは非置換ビフェニレン、置換もしくは非置換ナフチレン、置換もしくは非置換カルバゾリレン、または置換もしくは非置換ピリジレン、さらにより好ましくは、単結合、置換フェニレン、非置換ビフェニレン、非置換ナフチレン、非置換カルバゾリレン、または非置換ピリジレンを表す。
【0024】
式2中、R
11及びR
12は、好ましくは、各々独立して、水素または置換もしくは非置換(C6−C20)アリール、より好ましくは、各々独立して、水素、非置換フェニル、または非置換ナフチルを表す。
【0025】
本明細書において、「(C1−C30)アルキル」は、炭素原子の数が好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個である鎖を構成する1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを意図し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等を含み、「(C2−C30)アルケニル」は、炭素原子の数が好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個である鎖を構成する2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニルを意図し、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルブト−2−エニル等を含み、「(C2−C30)アルキニル」は、炭素原子の数が好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個である鎖を構成する2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニルを意図し、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチルペント−2−イニル等を含み、「(C3−C30)シクロアルキル」は、炭素原子の数が好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜7個である3〜30個の環骨格炭素原子を有する単環式もしくは多環式の炭化水素であり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含み、「(3〜7員)ヘテロシクロアルキル」は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜7個、好ましくは5〜7個の環骨格原子を有するシクロアルキルであり、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等を含み、「(C6−C30)アリール(アリーレン)」は、炭素原子の数が好ましくは6〜20個、より好ましくは6〜15個である6〜30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導された単環式環または縮合環であり、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル等を含み、「(3〜30員)ヘテロアリール
(アリーレン)」は、B、N、O、S、Si、及びPからなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含む3〜30個の環骨格原子、好ましくは3〜20個の環骨格原子、より好ましくは3〜15個の環骨格原子を有するアリールであり、単環式環、または少なくとも1個のベンゼン環で縮合した縮合環であってもよく、部分的に飽和していてもよく、単結合(複数可)を介して少なくとも1個のヘテロアリールまたはアリール基をヘテロアリール基に連結することにより形成されるものであってもよく、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等を含む単環式環型ヘテロアリールと、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル等を含む縮合環型ヘテロアリールと、を含み、「窒素含有5〜18員ヘテロアリール(アリーレン)」は、ヘテロ原子として少なくとも1個の、好ましくは1〜4個の窒素を含有する、5〜18個の環骨格原子、好ましくは5〜17個の環骨格原子、より好ましくは5〜15個の環骨格原子を有するアリール基を示し、単環式環、または少なくとも1個のベンゼン環で縮合された縮合環であってもよく、部分的に飽和されていてもよく、単結合(複数可)を介して少なくとも1個のヘテロアリールまたはアリール基をヘテロアリール基に連結することにより形成されるものであってもよく、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式環型ヘテロアリールと、ベンゾイミダゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル等の縮合環型ヘテロアリールと、を含む。さらに、「ハロゲン」は、F、Cl、Br、及びIを含む。
【0026】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という表現における「置換」とは、ある特定の官能基中の水素原子が別の原子または基、すなわち置換基で置き換えられることを意味する。式1及び2の置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール(アリーレン)、置換ヘテロアリール(アリーレン)、置換トリアルキルシリル、置換トリアリールシリル、置換ジアルキルアリールシリル、置換モノもしくはジアリールアミノ、及び置換単環式もしくは多環式の脂環式もしくは芳香族環の置換基は、各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1−C30)アルキル、ハロ(C1−C30)アルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、(C1−C30)アルコキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C3−C30)シクロアルキル、(C3−C30)シクロアルケニル、(3〜7員)ヘテロシクロアルキル、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、非置換もしくは(C6−C30)アリールで置換された(3〜30員)ヘテロアリール、非置換もしくは(3〜30員)ヘテロアリールで置換された(C6−C30)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、アミノ、モノもしくはジ(C1−C30)アルキルアミノ、モノもしくはジ(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、ジ(C6−C30)アリールボロニル、ジ(C1−C30)アルキルボロニル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールボロニル、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、及び(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0027】
式1の第1のホスト化合物は、以下の化合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0032】
式2の第2のホスト化合物は、以下の化合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0037】
本開示の有機電界発光デバイスは、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つの発光層を備え、発光層はホスト及びリン光ドーパントを含み、ホストは複数のホスト化合物を含み、式1に表される複数のホスト化合物のうちの少なくとも第1のホスト化合物は、ナフチル−フェニル及びアリールで置換されたアミン−カルバゾール構造を有し、窒素含有ヘテロアリールを含むジ−C−ベンゾカルバゾール構造を有する第2の化合物は、式2に表される。
【0038】
発光層は、光が放射される層を示し、単層または2つ以上の層が蒸着された多層であり得る。ホスト化合物及びドーパント化合物の総量に基づくドーパント化合物のドーピング量が20重量%未満であることが望ましい。
【0039】
本開示の有機電界発光デバイスに含まれるドーパントは、好ましくは少なくとも1つのリン光ドーパントである。本開示の有機電界発光デバイスのためのリン光ドーパント材料は、限定されるものではないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及びプラチナ(Pt)の金属化錯体化合物から選択され得、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及びプラチナ(Pt)のオルト金属化錯体化合物から選択され得、さらにより好ましくは、オルト金属化イリジウム錯体化合物から選択され得る。
【0040】
リン光ドーパントは、好ましくは、以下の式101〜103で表される化合物から選択され得る。
【0042】
式中、Lは、以下の構造から選択され、
【0044】
R
100は、水素または置換もしくは非置換(C1−C30)アルキルを表し、R
101〜R
109及びR
111〜R
123は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくは重水素もしくはハロゲン、シアノで置換された(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルコキシ、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリールを表し、R
106〜R
109は、隣接する置換基(複数可)に連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)脂環式もしくは(ヘテロ)芳香族環、例えばジベンゾフランを形成してもよく、R
120〜R
123は、隣接する置換基(複数可)に連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)脂環式もしくは芳香族環、例えばキノリンを形成してもよく、R
124〜R
127は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリールを表し、R
124〜R
127がアリールである場合、R
124〜R
127の隣接する置換基は、互いに連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)脂環式もしくは(ヘテロ)芳香族環、例えばフルオレン、ジベンゾチオフェン、またはジベンゾフランを形成してもよく、R
201〜R
211は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくは重水素もしくはハロゲンで置換された(C1−C30)アルキル、または非置換もしくは重水素もしくはアルキルで置換された(C6−C30)アリールを表し、R
208〜R
211は、隣接する置換基(複数可)に連結されて、置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式の(C3−C30)脂環式もしくは芳香族もしくはヘテロ芳香族環、例えばフルオレン、ジベンゾチオフェン、またはジベンゾフランを形成してもよく、r及びsは、各々独立して、1〜3の整数を表し、rまたはsが2以上の整数である場合、R
100の各々は、同じであっても異なってもよく、eは、1〜3の整数を表す。
【0045】
具体的には、リン光ドーパント材料は、以下を含む。
【0050】
本開示の有機電界発光デバイスは、有機層にアリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含み得る。
【0051】
また、本開示の有機電界発光デバイスにおいて、有機層は、周期表の第1族金属、第2族金属、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、ランタニド、及びd軌道遷移元素有機金属からなる群から選択される少なくとも1つの金属、または金属を含む少なくとも1つの錯体化合物をさらに含み得る。
【0052】
好ましくは、本開示の有機電界発光デバイスにおいて、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下、「表面層」)が、一方の電極の内面または両方の電極の内面(複数可)に設置され得る。具体的には、シリコンまたはアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)層が、好ましくは、電界発光媒体層のアノード表面に設置され、金属ハロゲン化物層または金属酸化物層が、好ましくは、電界発光媒体層のカソード表面に設置される。そのような表面層は、有機電界発光デバイスに動作安定性を提供する。好ましくは、カルコゲニドは、SiO
X(1≦X≦2)、AlO
X(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等を含み、金属ハロゲン化物は、LiF、MgF
2、CaF
2、希土類金属フッ化物等を含み、金属酸化物は、Cs
2O、Li
2O、MgO、SrO、BaO、CaO等を含む。
【0053】
アノードと発光層との間に、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、またはこれらの組み合わせが配置され得る。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層もしくは電子阻止層への正孔注入エネルギー障壁(または正孔注入電圧)を下げるために、2つ以上の層で構成され得る。層の各々は、2つ以上の化合物を含み得る。正孔輸送層または電子阻止層は、2つ以上の層で構成され得る。
【0054】
発光層とカソードとの間に、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、またはこれらの組み合わせが配置され得る。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために、2つ以上の層で構成され得る。層の各々は、2つ以上の化合物を含み得る。正孔阻止層または電子輸送層は、2つ以上の層で構成され得、層の各々は、2つ以上の化合物を含み得る。
【0055】
本開示の有機電界発光デバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントの混合領域、または正孔輸送化合物と酸化性ドーパントの混合領域が、一対の電極の少なくとも1つの表面に設置され得る。この場合、電子輸送化合物が還元されてアニオンになり、それ故に混合領域から電界発光媒体までの電子の注入及び輸送が容易になる。さらに、正孔輸送化合物が酸化されてカチオンになり、それ故に混合領域から電界発光媒体までの正孔の注入及び輸送が容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントとしては、様々なルイス酸及び受容体化合物が挙げられ、還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びこれらの混合物が挙げられる。還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、かつ白色光を放出する電界発光デバイスを調製することができる。
【0056】
本開示の有機電界発光デバイスの各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマめっき法、イオンめっき法等の乾式膜形成法、またはスピンコーティング法、ディップコーティング法、及びフローコーティング法等の湿式膜形成法が使用され得る。本開示の第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物は、同時蒸着または混合物蒸着によって膜形成されてもよい。
【0057】
湿式膜形成法を使用する場合、各層を形成する材料を任意の好適な溶媒、例えば、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等中に溶解または拡散することにより、薄い膜が形成され得る。この溶媒は、各層を形成する材料を溶解または拡散させることができ、かつ膜形成能力に問題のない、任意の溶媒であり得る。
【0058】
また、本開示の有機電界発光デバイスは、表示デバイスまたは照明デバイスの製造に使用することができる。
【0059】
以下、本開示のホスト化合物を含むデバイスの発光特性を、以下の実施例を参照して詳細に説明する。
【0060】
[デバイス実施例1−1]ホストとしての本開示の第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物の同時蒸着によるOLEDデバイスの製造
本開示の複数のホスト化合物を含むOLEDデバイスを、以下のように製造した。有機電界発光デバイス(OLED)(Geomatec)用のガラス基板上の透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、アセトン、エタノール、及び蒸留水での連続超音波洗浄に供し、次いで、イソプロパノール中で保管した。その後、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダ上に載置した。化合物HILを真空蒸着装置のセル内へ導入し、次いで、装置のチャンバ内の圧力を10
−6トルに制御し、電流をセルに印加することにより蒸着させ、それにより、90nmの厚さを有する第1の正孔注入層をITO基板上に形成した。その後、次いで、化合物HITLを真空蒸着装置の別のセル内へ導入し、電流をセルに印加することにより蒸着させ、それにより、5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層上に形成した。化合物HTL1を真空蒸着装置の1つのセル内へ導入し、電流をセルに印加することにより蒸着させ、それにより、10nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を第2の正孔注入層上に形成した。次いで、以下の表1に示される化合物HTL(化合物HTL5)を真空蒸着装置の別のセル内へ導入し、電流をセルに印加することにより蒸着させ、それにより、60nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層上に形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後に、次いで、発光層を、以下のように蒸着させた。ホスト材料として、以下の表1に示される第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物を、真空蒸着装置の2つのセル内へそれぞれ導入した。化合物D−71を、ドーパントとして別のセル内へ導入した。2つのホスト化合物を同じ1:1の比率で蒸着させた一方、ホスト及びドーパントの総量に基づいて2重量%のドーピング量でドーパントが蒸着されて、第2の正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を形成するように、ドーパントをホスト化合物とは異なる比率で蒸着させた。次に、化合物ETL及び化合物EILを、真空蒸着装置の別の2つのセル上で、1:1の割合で蒸発させて、35nmの厚さを有する電子輸送層を発光層上に形成した。電子輸送層上に2nmの厚さを有する化合物EILを電子注入層として蒸着させた後、次いで、80nmの厚さを有するAlカソードを別の真空蒸着装置により電子注入層上に蒸着させた。このように、OLEDデバイスを製造した。
【0061】
以下の表1中の駆動電圧は、1,000ニットの輝度で測定した。ロールオフは、1,000ニット及び5,000での効率の差を表し、すなわち「ロールオフ=Δ効率(1,000ニット−5,000ニット)=1,000ニットの輝度での効率−5,000ニットの輝度での効率」であり、これは、輝度が増加するにつれて効率がどれほど低下するかを示す。より小さいロールオフ値が好ましい。寿命は、一定温度及び湿度を維持するシステムにおいて、5,000ニット及び定電流での輝度が100%から97%に低減されるのにかかる時間である。
【0063】
[デバイス実施例1−2、1−3、2−1、3−1〜3−6、4−1、5−1、7−1、及び7−2、ならびに比較例1−1、2−1、3−1、4−1、5−1、及び7−1のOLEDデバイスの製造]
OLEDデバイスを、表1に示される化合物のみを第1のホスト、第2のホスト、及び化合物HTLとして使用したことを除いて、デバイス実施例1−1と同じ様式で製造した。
【0064】
[デバイス実施例8−1、9−1、10−1、10−2、12−1、13−1、及び14−1、ならびに比較実施例8−1、9−1、10−1、12−1、13−1、及び14−1のOLEDデバイスの製造]
OLEDデバイスを、表1に示される化合物のみを第1のホスト、第2のホスト、及び化合物HTLとして使用し、80nmの厚さを有する第1の正孔注入層(HIL)を形成し、30nmの厚さを有する電子輸送層(ETL)を形成し、かつドーピング量を3重量%に変更したことを除いて、デバイス実施例1−1と同じ様式で製造した。
【0067】
[デバイス実施例15−1〜15−6及び比較実施例15−1のOLEDデバイスの製造]
OLEDデバイスを、表2に示される化合物のみを第1のホスト、第2のホスト、及び化合物HTLとして使用し、化合物D−134をドーパントとして使用したことを除いて、デバイス実施例1−1と同じ様式で製造した。寿命は、5,000ニット及び定電流での輝度が100%から99%に低減されるのにかかる時間である。
【0069】
本開示の有機電界発光デバイスは、複数のホスト化合物を含む発光層及びリン光ドーパントを含み、複数のホスト化合物のうちの少なくとも第1のホスト化合物は、ナフチル−フェニル及びアリールで置換されたアミン−カルバゾール構造を有し、第2のホスト化合物は、特定の窒素含有ヘテロアリールを含むジ−C−ベンゾカルバゾール構造を有する。上記の構造を有することにより、高輝度で高効率が維持され、従来のデバイスと比較して寿命が高度に向上していることがわかる。