特許第6945458号(P6945458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6945458ポリアルキレングリコール誘導体を含む医薬組成物ならびに非治療的方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945458
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】ポリアルキレングリコール誘導体を含む医薬組成物ならびに非治療的方法および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/08 20060101AFI20210927BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20210927BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210927BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210927BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20210927BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20210927BHJP
   A61K 31/22 20060101ALN20210927BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALN20210927BHJP
【FI】
   A61K31/08
   A61P17/04
   A61K8/86
   A61Q19/00
   A61Q5/12
   A61Q5/02
   !A61K31/22
   !A61Q17/04
【請求項の数】5
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-565942(P2017-565942)
(86)(22)【出願日】2016年6月19日
(65)【公表番号】特表2018-518496(P2018-518496A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016064109
(87)【国際公開番号】WO2016207084
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月4日
(31)【優先権主張番号】15173373.0
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】シュマウス, ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ, サビーネ
【審査官】 六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−005031(JP,A)
【文献】 特表2005−511637(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/128892(WO,A1)
【文献】 Experimental Dermatology,2014年,23(12),p.922-923
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/327
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PEG−9トリデシルエーテルおよびPEG−5イソノナノエートを含む群から選択される少なくとも1つのポリアルキレングリコール誘導体を含むかまたはからなる医薬組成物であって
AR−2の活性化によって引き起こされるヒトの皮膚および頭皮の痒い状態の予防、治療および/または治癒
使するための、医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物は、
(a)PEG−9トリデシルエーテルと
(b)PEG−5イソノナノエート
の混合物を含むかまたはからなる、請求項1に記載の前記組成物。
【請求項3】
前記成分(a)および(b)は約1:5〜5:1の重量比で存在する、請求項2に記載の前記組成物。
【請求項4】
ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態を処置し、軽減しまたは予防する非治療的方法であって、以下のステップを含む、前記方法:
(i)PEG−9トリデシルエーテルおよびPEG−5イソノナノエートを含む群から選択される少なくとも1つのポリアルキレングリコール誘導体を準備するステップ、
(ii)痒い状態を処置し、軽減しまたは予防するのに十分な量の前記誘導体をヒトの皮膚または頭皮に局所投与により適用するステップ。
【請求項5】
痒い状態を処置し、軽減しまたは予防するためのPEG−9トリデシルエーテルおよびPEG−5イソノナノエートを含む群から選択されるポリアルキレングリコール誘導体の非治療的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野、特にいわゆる「化粧品」の分野に属し、ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態の治療(処置)のための新規な活性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
先進国の人口の約10〜20%に、増加傾向で、アトピーが観察されている。アトピー自体は、乾燥した痒みのある皮膚、アトピー傾向の皮膚炎として、または重篤な疾患状態のアトピー性皮膚炎として現れ得る。様々な重症度の状態は、損傷した皮膚および頭皮バリアの様々な重症度と関連し、皮膚はしばしば痒みを伴う。内因性、遺伝的要因の他に、例えば環境汚染、UVに起因するストレス、アトピーを引き起こし得る多様な化学物質などの外因性因子もある。石鹸、シャンプーまたは他のヘアケアおよび/または着色組成物の使用頻度が高すぎると、一般的に、皮膚および頭皮の脱脂および乾燥を引き起こす界面活性剤により、アトピーの発生およびその結果としての痒い皮膚状態が助長され得る。
【0003】
ごくわずかな既知の活性化合物、例えばクロモグリク酸ナトリウムのような肥満細胞安定化剤、アプレピタントのようなNK1受容体アンタゴニストがあり、または多数の植物抽出物、例えばオートムギ由来の、痒み軽減作用を有する抽出物があるが、それらは前記した技術分野で既に使用されているにもかかわらず代替物が今なお求められている。
【0004】
本明細書に記載の本発明に関連して、痒み軽減作用は、好ましくは、痒い皮膚(例えば、頭皮の皮膚であるが、これに限定されない)の、特に余すところなく掻き傷を生じ、深刻な場合には皮膚の損傷を結果的にもたらす不快な掻痒感の痒い皮膚の、調節、鎮静、軽減、緩和、排除または予防を意味すると理解されるべきである。
【0005】
当業者は既に皮膚の痒みの問題に対処しており、例えば、ヒドロコルチゾンまたは抗ヒスタミン剤の皮膚の痒み軽減特性について記載している。しかしながら、強力な抗炎症剤であると考えられているヒドロコルチゾンは、乾燥した頭皮および/または皮膚、アトピー傾向の皮膚またはアトピー性皮膚炎ならびに皮膚および頭皮バリアの欠陥に関連する状態の治療に使用されるが、痒み軽減活性は乏しい。これに関して、抗炎症作用は必ずしも痒み軽減作用を伴わないことに注意すべきである。抗ヒスタミン剤に関しては、科学文献には、それらが例えば虫刺されの場合には有効であることが記載されているが、それらは例えばアトピー性皮膚炎、アトピー傾向の皮膚炎および、低く乾燥しきった温度状態に曝された乾燥した、痒いしばしば冬の皮膚に関連した痒みを伴う皮膚状態の治療において臨床的な有効性は低い。
【0006】
科学文献によれば、痒み軽減作用は、主として、本明細書に記載の化合物および混合物の、PAR−2受容体の阻害を介したまたは、それぞれに、PAR−2拮抗作用を介した、好ましくは直接的なそのPAR−2拮抗作用を介した皮膚の鎮静に基づく。特に好ましくは、本発明の(痒み軽減)作用は(直接的な)PAR−2拮抗活性に基づき、(複数の)前記PAR−2アンタゴニスト(すなわち、本明細書に記載されたような本発明に従って使用される(複数の)化合物)は、PAR−2受容体上の活性部位または(複数の)アロステリック部位に結合することによってそれ/それらの(複数の)効果を仲介するか、または通常は前記受容体活性の生物学的調節に関与しない独特の(複数の)結合部位で相互作用する。痒い皮膚状態を克服するかまたは少なくとも軽減するための周知のアプローチは、PAR−2アンタゴニストの局所投与に関連し、これは環境からの汚染物質の浸透に対する表皮バリアを強化するさらなる利点を包含する。痒み軽減作用は必ずしも抗炎症効果を指すものではないことに留意されたい。
【0007】
プロテイナーゼ活性化受容体−2(PAR−2)は4つのGタンパク質共役受容体(GPCR)のファミリーに属する。PAR−2シグナル伝達は、繋留リガンド活性化と呼ばれるメカニズムである、細胞外N末端ドメインの切断およびマスキングを外すことによる肥満細胞トリプターゼ、トリプシン、カリクレインおよびその他を含む種々のセリンプロテイナーゼによって不可逆的に誘導される(文献:例えば、U.J.K. Soh et al., British Journal of Pharmacology, 160:191−203, 2010またはS.E. Lee et al., Yonsei Med. J., 51 (6): 808−822, 2010参照)。PARは、それらの活性化がN末端の不可逆的なタンパク質分解切断によって起こる点で、GPCRの中で独特である。トリプシン様セリンプロテアーゼは、PAR−2のN末端の潜在的リガンド配列(SKGR|SLIGR)を切断する。結果として、露出したN末端はPAR−2の第2の細胞外ループの表面に結合し、Gαq、Gα12/13およびGαqi/oによって典型的に仲介されるシグナル伝達カスケードを始動させる。トリプシン誘導繋留リガンド活性化は、ペプチドN末端配列SLIGRLおよび例えばGαq−タンパク質始動シグナル伝達カスケードのマスキングを外し、そして細胞内カルシウムの上昇が誘導される。したがって、PAR−2活性化はまた、SLIGRおよびSLIGRLのような小さな拮抗性ペプチドの適用を介して誘発され得る。活性化されたPAR−2とその付随するヘテロ三量体(αβγ)−Gタンパク質との相互作用は、Gタンパク質のα−サブユニットでの(GDPからGTPへの)ヌクレオチド交換をもたらす。活性化されたGタンパク質は、Gα−GTPサブユニットとβγサブユニット複合体に解離し、それぞれは異なるシグナルトランスデューサータンパク質と相互作用することができる。前記Gαq−GTPサブユニットは、膜結合ホスファチジルイノシトール(4,5)−ビホスフェート[Ptdlns(4,5)P2]のジアシルグリセロール(DAG)およびイノシトール(1,4,5)トリホスフェート(IP3)への加水分解を次いで触媒するホスホリパーゼCと特異的に相互作用しかつ活性化することができる。IP3形成は結果的に蛍光感受性色素で検出することができるCa2+の放出をもたらす。同時に、IP3はプロテインキナーゼC(PKC)も活性化し、これは例えば適切なレポーター遺伝子アッセイを用いて遺伝子転写のレベルで測定することができる。
【0008】
外因性に適用されたPAR−2活性化プロテアーゼおよびSLIGRまたはSLIGRLのような作動性ペプチドへの皮膚曝露により、PAR−2を介して痒みが誘発され得る。科学的研究には、表皮KLK7を過剰発現するマウスが大規模な痒み行動を示すことが報告されている(M. Steinhoff et al., J. Invest, Dermatology, Vol. 126, p. 1705−1718, 2006)。別の科学的研究には、マウスにおけるPAR−2作動性(活性化)トリプシン誘導性引っ掻き行動がPAR−2拮抗性(阻害性)ペプチドによって阻害され、痒み感受性におけるトリプターゼのようなセリンプロテアーゼを介するPAR−2活性化の重要な役割が示唆される(R. Costa et al.; Br. J. Pharmacol., Vol. 154, p. 1094−1103, 2008)。その結果、PAR−2拮抗性ペプチドは痒い皮膚状態の予防および/または治療のための有望な治療ツールであるため、痒い皮膚状態で観察される悪質な痒み−引っ掻きのサイクルを中断させる助けとなりうることが示唆される。PAR−2拮抗性ペプチドは、PAR−2シグナル伝達経路を調べるためのツールとして科学文献に記載されている。しかしながら、それらは時折、痒い皮膚状態の予防および/または治療のための臨床的に効率的な治療ツールとして記載されているに過ぎない。ペプチドは大量に合成することが困難であることが一般的に知られている。さらに、それらはまた、皮膚に浸透する能力が非常に低いことが知られており、結果的に、皮膚細胞および感覚神経終末に位置するPAR−2受容体シグナル伝達に拮抗する能力はわずかであるため、ヒトの臨床的有効性は低い。
【0009】
適切な薬剤の探索においては、使用される物質が毒性学的に許容可能であり、皮膚によって安定して良好に耐えられなければならず(特に標準的な化粧品および/または医薬製剤において)、好ましくは最低限の固有の臭気および可能な限り低い固有の色を有し、安価に製造する必要があることを念頭に置く必要がある。天然の活性化合物への持続的なトレンドにより、天然の新規な活性化合物、特に植物起源が特に求められている。
【0010】
例えば、国際特許出願、国際公開第2012/143576 A1号パンフレット(SYMRISE)では、皮膚の痒い状態の治療のために1,7−ビス−(−4−メトキシフェニル)−3,5−ヘプタンジオン(式3)
【化1】
および1,7−ビス−(−4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3,5−ヘプタンジオン(式4)
【化2】
が示唆される。これらの化合物は良好に作用することが判明しているが、高価であり、化粧用製剤に組み入れることが困難であり、保存中、特に高温で、劣化または分解する。この文献にはまた、PEG−9−トリデシルエーテルとPEG−5−イソノナノエートとの混合物が記載されているが、これらの化合物の目的は言及されていない。
【0011】
国際特許出願、国際公開第2008/128892 A1号パンフレット(SYMRISE)には、化粧品および皮膚科学的目的のためのポリエチレングリコールエステルおよびポリエチレングリコールエーテルとのそれらの混合物が開示されている。PEG−9−トリデシルエーテルとPEG−5−イソノナノエートの混合物は文字通り言及されているが、これらの化合物の能力については開示されていない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、皮膚および頭皮の痒い状態を、好ましくは低濃度で、治療に有効な新規な化合物を提供することであり、これは調製および調合が容易であり、高温で数週間にわたって保存されても安定である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の第1の目的は、
少なくとも1つの一般式(I)に従ったポリアルキレングリコール誘導体を含むかまたはからなる医薬組成物であって、
【化3】
式中、
は水素または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表し;
は水素またはメチルを表し;
nは約3〜約20の整数を表し
は6〜18個の炭素原子および0または1〜3個の二重結合を有する直鎖または分岐のアルキルまたはアルケニル基または−CORアシル基を表し;かつ
は水素、5〜17個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルまたはアルケニル基、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニアを表し、
(i)ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態の予防、治療および/または治癒に、そして/または
(ii)ヒトの皮膚および頭皮に拮抗活性をもたらすための、PAR−2に関連する生物活性の阻害に、
使用される、医薬組成物に向けられる。
【0014】
驚くべきことに、疎水性部分の鎖長および親水性部分中のポリアルキレングリコール単位の数に依存するポリアルキレングリコール誘導体、例えばPEGエーテル、PEGエステルおよびそれらの組み合わせは、非常に有効なPAR−2アンタゴニストを表すことが観察されたため、ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態を予防、治療、軽減および治癒するのに有用である。生成物は入手が容易であり、困難なく化粧品組成物に配合することができる。もう1つの大きな利点はそれらの安定性が高いことである:6週間にわたって40℃超で保存しても劣化は起こらない。
【0015】
定義
【0016】
本発明の文脈において、痒い皮膚は、好ましくは、ヒトにおいて感覚的な不快感を誘発する、かつ/または乾燥した、赤みを帯びたまたは鱗屑状の皮膚のような症状によって特徴付けられる皮膚に対する任意の変化を意味すると理解されるべきである。皮膚の痒みは、痒みの重症度が高いいずれの場合も現れうる、敏感な頭皮、容易に損傷する皮膚、アトピー性皮膚、炎症を起こした皮膚または赤くなった皮膚を含む、繊細な皮膚、敏感な皮膚などの現象としては異なる皮膚状態を含むか、この状態によって引き起こされるかまたは、それぞれに、この状態に付随して生じ得る。加えて、痒みはさらに、直ぐに掻きたいという欲求を引き起こす皮膚への任意の変化を意味すると理解されるべきである。痒みは最もよく見られる憂慮すべき皮膚の状態のうちの1つであり、生活の質に大きな影響を与える得る。痒みは、例えば、温度および/または風の急激な変化によって、特定の全身投薬によってまたは表皮バリアの乱れによって引き起こされ得る。一方では、種々の受容体(例えばヒスタミン1〜4−、NK1−、TNF−アルファ−、PAR−2−受容体)およびそれぞれのメディエーター(ヒスタミン1〜4、サブスタンスP、TNF−α、トリプターゼ、トリプシンならびに例えばSLIGRおよびSLIGRLのようなペプチド)との神経学的現象が関与していることが明確ではあるが、他方で、痒みは損なわれた表皮バリアとも明確に相関している。PAR−2シグナル伝達が、痒い皮膚に悩まされている、例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー傾向の皮膚炎および乾燥皮膚に関与しているという近く発表される報告がある。Steinhoffら(J. Neuroscience, Vol. 23(15), p.6176−6180, 2003)に記載されているように、アトピー性皮膚炎の患者では、PAR−2アゴニストであるトリプターゼが最大4倍増加したことが示された。さらに、PAR−2受容体は、アトピー性皮膚炎患者の皮膚生検において、原発性求心性神経線維上で著しく増加した。
【0017】
本発明の文脈において、「拮抗活性」はPAR−2に関連する生物活性の医薬的および/または美容的な活性阻害を指す。好ましい実施形態によれば、本明細書に記載の式1の(複数の)化合物および/またはそ(れら)の塩または本発明の組成物は、拮抗するのに有効な量、すなわち調節するのに十分な量で、好ましくは実施例に記載のように測定される、PAR−2受容体活性を好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは80%以上低下させる量で使用される。
【0018】
本発明の文脈において、医薬活性物質は医薬品の意味を有する。
【0019】
本発明の文脈において、前記誘導体のポリアルキレングリコール部分はPAGと略記され、PEGはポリエチレングリコールを表す。PEG−X化合物は、「X」の数のPEG単位を含むポリエチレングリコール誘導体の意味を有する。
【0020】
ポリアルキレングリコールエーテル誘導体
【0021】
本発明によるポリアルキレングリコール誘導体は、一般的にポリアルキレングリコール(PAG)および特にポリエチレングリコール(PEG)のエーテルまたはエステルのいずれかを表す。それらは、式(I)
【化4】
式中、
は水素または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を、好ましくは水素を表し;
は水素またはメチルを、好ましくは水素を表し;
nは約3〜約20の整数を、好ましくは5〜12の整数を表し
は6〜18個の炭素原子および0または1〜3個の二重結合を有する直鎖または分岐のアルキルまたはアルケニル基または−CORアシル基を、好ましくは8〜15個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表し;かつ
は水素、5〜17個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルまたはアルケニル基、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニアを、好ましくは7〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表す、
によって表される。前記誘導体は、例えば国際公開第2008/128892 A1号パンフレット(SYMRISE)に記載されているように、有機化学の標準的な方法によって得ることができる。
【0022】
より特に好ましいのは、少なくとも1つの式(Ia)に従ったポリアルキレングリコール誘導体を含むかまたはからなり、
【化5】
式中、
nは約7〜12の整数を表し、Rは8〜15個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表す、組成物、および/または
少なくとも1つの式(Ib)に従ったポリアルキレングリコール誘導体を含むかまたはからなり、
【化6】
式中、
nは約3〜約7の整数を表し、Rは7〜11個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表す、組成物である。
【0023】
式(Ia)に従ったポリアルキレングリコールエーテルの適切な例には、以下が包含される:
・PEG−7オクチルエーテル
・PEG−7ノニルエーテル
・PEG−7デシルエーテル
・PEG−7ウンデシルエーテル
・PEG−7ドデシルエーテル
・PEG−7トリデシルエーテル
・PEG−7テトラデシルエーテル
・PEG−8オクチルエーテル
・PEG−8ノニルエーテル
・PEG−8デシルエーテル
・PEG−8ウンデシルエーテル
・PEG−8ドデシルエーテル
・PEG−8トリデシルエーテル
・PEG−8テトラデシルエーテル
・PEG−9オクチルエーテル
・PEG−9ノニルエーテル
・PEG−9デシルエーテル
・PEG−9ウンデシルエーテル
・PEG−9ドデシルエーテル
・PEG−9トリデシルエーテル
・PEG−9テトラデシルエーテル
・PEG−10オクチルエーテル
・PEG−10ノニルエーテル
・PEG−10デシルエーテル
・PEG−10ウンデシルエーテル
・PEG−10ドデシルエーテル
・PEG−10トリデシルエーテル
・PEG−10テトラデシルエーテル
・PEG−11オクチルエーテル
・PEG−11ノニルエーテル
・PEG−11デシルエーテル
・PEG−11ウンデシルエーテル
・PEG−11ドデシルエーテル
・PEG−11トリデシルエーテル
・PEG−11テトラデシルエーテル
・PEG−12オクチルエーテル
・PEG−12ノニルエーテル
・PEG−12デシルエーテル
・PEG−12ウンデシルエーテル
・PEG−12ドデシルエーテル
・PEG−12トリデシルエーテル
・PEG−12テトラデシルエーテル。
【0024】
好ましいポリアルキレングリコールエーテルはPEG−9トリデシルエーテルである。
【0025】
式(Ib)に従ったポリアルキレングリコールエステルの好適な例には、以下が包含される:
・PEG−3オクタノエート
・PEG−3ノナノエート
・PEG−3イソノナノエート
・PEG−3デカノエート
・PEG−3ウンデカノエート
・PEG−3ドデカノエート
・PEG−4オクタノエート
・PEG−4ノナノエート
・PEG−4イソノナノエート
・PEG−4デカノエート
・PEG−4ウンデカノエート
・PEG−4ドデカノエート
・PEG−5オクタノエート
・PEG−5ノナノエート
・PEG−5イソノナノエート
・PEG−5デカノエート
・PEG−5ウンデカノエート
・PEG−5ドデカノエート
・PEG−6オクタノエート
・PEG−6ノナノエート
・PEG−6イソノナノエート
・PEG−6デカノエート
・PEG−6ウンデカノエート
・PEG−6ドデカノエート
・PEG−7オクタノエート
・PEG−7ノナノエート
・PEG−7イソノナノエート
・PEG−7デカノエート
・PEG−7ウンデカノエート
・PEG−7ドデカノエート。
【0026】
好ましいポリアルキレングリコールエーテルは、PEG−5イソノナノエート(PEG−5 Isononanoate)である。
【0027】
非常に好ましい組成物は、少なくとも1つのPEGエーテルおよび少なくとも1つのPEGエステルを含むかまたはこれらからなる特定の相乗混合物、好ましくはPEG−9トリデシルエーテルとPEG−5イソノナノエートの混合物を指す。
【0028】
本発明に従った組成物は以下を含み得るかまたは以下からなり得:
(i)式(Ia)に従ったエーテルおよび
(ii)式(Ib)に従ったエステル、
【0029】
その中で、前記成分(a)および(b)は約1:5〜約5:1、好ましくは約1:3〜約3:1、より好ましくは約1:2〜約2:1の重量比(ratio by weight)で存在する。これらの比は、PEG−9トリデシルエーテルとPEG−5イソノナノエートの混合物を使用する場合に、特に有用である。
【0030】
組成物
【0031】
本発明の別の目的は、化粧品組成物、パーソナルケア組成物または医薬組成物であって、
(a)少なくとも1つの式(Ia)に従ったポリアルキレングリコール誘導体、
【化7】
式中、
nは約7〜12の整数を表し、Rは8〜15個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表し、および
(b)少なくとも1つの式(Ib)のポリアルキレングリコール誘導体、
【化8】
式中、
nは約3〜約7の整数を表し、Rは7〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表す、を含む前記組成物に向けられる。
【0032】
より詳細には、前記組成物は、
(a)PEG−9トリデシルエーテルと
(b)PEG−5イソノナノエート
の混合物を含む。
【0033】
好ましくは、前記成分(a)および(b)は約1:5〜約5:1、好ましくは約1:3〜約3:1、より好ましくは約1:2〜約2:1の重量比(ratio by weight)で存在し、また好ましくは、それらは前記組成物に、最終組成物で計算して、約0.01〜約10重量%(%b.w.)の量で、より好ましくは約0.05〜5重量%の量で、最も好ましくは約0.1〜約1重量%の量で添加される。
【0034】
前記組成物はスキンケア、パーソナルケア、ヘアケア、またはサンケア組成物を表すことができる。
【0035】
補助剤
【0036】
別の好ましい実施形態では、前記組成物は、抗炎症剤、生理学的冷却剤およびスキンケア剤からなる群から選択される少なくとも1つの補助剤を含んでいてもよい。これらの補助剤は、最終組成物で計算して、0.01〜約10重量%(%b.w.)の量で、より好ましくは約0.05〜5重量%の量で、最も好ましくは約0.1〜約1重量%の量で存在し得る。
【0037】
抗炎症剤
【0038】
適切な抗炎症剤は、以下によって形成される群から選択され得る:
(i)コルチコステロイド型のステロイド系抗炎症物質、特にヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン誘導体、例えばヒドロコルチゾン17−ブチレート、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンまたはコルチゾン;
(ii)非ステロイド系抗炎症物質、特にオキシカム、例えばピロキシカムまたはテノキシカム、サリチレート、例えばアスピリン、ジスラシッド、ソルプリンまたはフェンドサル、酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、フェンクロフェナック、インドメタシン、スリンダク、トルメチンまたはクリンダナック、フェナメート、例えばメフェナム、メクロフェナム、フルフェナムまたはニフルム、プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセンまたはベノキサプロフェン、ピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾンまたはアザプロパゾン;
(iii)天然のまたは天然に存在する抗炎症物質または発赤および/または痒みを軽減する物質、特にカモミール、アロエベラ、コミフォラ種、ルビア種、ヤナギ、アカバナ、オートムギ、キンセンカ、アルニカ、セイヨウオトギリソウ、スイカズラ、ローズマリー、パッシフロラ インカルナタ(チャボトケイソウ)、マンサク、ショウガまたはエキナシアからの抽出物または画分、またはその単一活性化合物、
(iv)ヒスタミン受容体アンタゴニスト、セリンプロテアーゼ阻害剤(例えば大豆抽出物のセリンプロテアーゼ阻害剤)、TRPV1アンタゴニスト(例えば4−t−ブチルシクロヘキサノール)、NK1アンタゴニスト(例えば、アプレピタント、ヒドロキシフェニルプロパミド安息香酸)、カンナビノイド受容体アゴニスト(例えばパルミトイルエタノールアミン)およびTRPV3アンタゴニスト。
【0039】
生理学的冷却剤
【0040】
適切な生理学的冷却剤は以下からなる群から選択され得る:
メントール、メントングリセロールアセタール、メントングリセリルケタール、乳酸メンチル、好ましくはl−メンチルラクテート、特にl−メンチルl−乳酸)、メンチルエチルオキサメート、置換メンチル−3−カルボン酸アミド(例えばメンチル−3−カルボン酸N−エチルアミド、N−(L−メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル、2−イソプロピル−N−2,3−トリメチルブタンアミド、置換シクロヘキサンカルボン酸アミド、3−メントキシプロパン−1,2−ジオール、2−ヒドロキシエチルメンチルカーボネート、2−ヒドロキシプロピルメンチルカーボネート、N−アセチルグリシンメンチルエステル、イソプレゴール、メンチルヒドロキシカルボン酸エステル(例えば3−ヒドロキシ酪酸メンチル)、コハク酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、2−メルカプトシクロデカノン、メンチル2−ピロリジン−5−オンカルボキシレート、2,3−ジヒドロキシ−p−メンタン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノングリセロールケタール、3−メンチル3,6−ジ−およびトリオキサアルカノアート、3−メンチルメトキシアセテートおよびイシリン。
【0041】
スキンケア剤
適切なスキンケア剤は、例えば、皮膚水分保持調整剤または皮膚修復剤を包含し、好ましくは、乳酸ナトリウム、尿素および誘導体、グリセロール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−オクタンジオール、アルファ−ビサボロール、アピゲニン、アピゲニン−7−グルコシド、ギンゲロール、ショウガオール、ギンゲルジオール、デヒドロギンゲルジオール、パラドール、天然アベナンスラミド、非天然アベナンスラミド、好ましくはジヒドロアベナンスラミドD、ボスウェル酸、フィトステロール、グリシルリジン、グラブリジンおよびリコカルコンA、好ましくは純粋な物質の形態で、コラーゲン、エラスチンまたはヒアルロン酸、ジアシルアジペート、ペトロラタム、ウロカニン酸、レシチン、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、リコピン、(擬)セラミド(好ましくはセラミド2、ヒドロキシプロピルビスパルミトアミドMEA、セチルオキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリストアミド、N−(1−ヘキサデカノイル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(1−ヘキサデシル)エステル、ヒドロキシエチルパルミチルオキシヒドロキシプロピルパルミトアミド)、スフィンゴ糖脂質、コレステロール、フィトステロール、キトサン、コンドロイチン硫酸、ラノリン、ラノリンエステル、アミノ酸、ビタミンEおよび誘導体(好ましくはトコフェロール、酢酸トコフェロール)、アルファ-ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)およびそれらの誘導体、モノ−、ジ−およびオリゴ糖、好ましくはグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、果糖およびラクトース、多糖、例えばベータ−グルカン、特にオートムギ由来の1,3−1,4−p−グルカン、アルファ−ヒドロキシ−脂肪酸、トリテルペン酸、例えばベツリン酸またはウルソール酸、および藻類抽出物またはそれらの単一活性化合物からなる群から選択されるものである。
【0042】
添加剤
【0043】
本発明による調製物は、さらなる添加剤、例えば研磨剤、抗ざ瘡剤、皮膚の老化に対する薬剤、抗セルライト剤、フケ防止剤、抗炎症剤、刺激防止剤、刺激抑制剤、酸化防止剤、収れん剤、発汗抑制剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、クレンジング剤、ケア薬剤、脱毛剤、界面活性物質、脱臭剤、制汗剤、柔軟剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、固定剤、泡形成剤、泡安定化剤、泡防止用物質、泡ブースター、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアセッティング剤、直毛化剤、水分付与剤、保湿物質、水分保持物質、漂白剤、増強剤、汚れ除去剤、光学的な光沢剤、含浸剤、防汚剤、摩擦低減剤、滑剤、保湿クリーム、軟膏、不透明化剤、可塑剤、被覆剤、研磨剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、再潤滑剤、研磨用剤、シリコーン、皮膚緩和剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、毛髪促進剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、UV吸収剤、UVフィルター、洗剤、繊維調整剤、懸濁剤、皮膚日焼け剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノまたはポリ不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色彩保護剤、顔料、防食剤、アロマ剤、香味物質、臭気物質、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒またはシリコーン誘導体なども追加の補助剤および添加剤として含み得る。
【0044】
界面活性剤
【0045】
好ましい補助剤および添加剤は、アニオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の典型例としては、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノ−およびジ−アルキルスルホスクシネート、モノ−およびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびそれらの塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N−アシルアミノ酸、例えばアシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドサルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特にコムギに基づく野菜製品)およびアルキル(エーテル)ホスフェートが挙げられる。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、それらは、好ましくは狭い範囲の同族体分布を有するが、従来の同族体分布を有していてもよい。両性または双性イオン界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。上記界面活性剤は全て既知の化合物である。それらの構造と製造に関する情報は、関連する総論の中に見出すことができ、例えば、J. Falbe (ed.), ’’Surfactants in Consumer Products’’, Springer Verlag, Berlin, 1987, pages 54 to 124またはJ. Falbe (ed.), ’’Katalysatoren, Tenside und Mineraloeladditive (触媒、界面活性剤および鉱油添加剤)’’, Thieme Verlag, Stuttgart, 1978, pages 123−217を参照されたい。調製物中の界面活性剤の含有率は、調製物に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%であってもよい。
【0046】
油体
【0047】
O/Wエマルジョンの構成成分を形成する、好適な油体は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の、炭素原子を含有する脂肪族アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖または分岐のC〜C22の脂肪族アルコールとの直鎖のC〜C22の脂肪酸のエステル、または直鎖または分岐のC〜C22の脂肪族アルコールとの分岐のC〜C13のカルボン酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、ドコセン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、ドコセン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、ドコセン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、ドコセン酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、ドコセン酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびドコセン酸エルシルなどである。さらに適したものは、分枝アルコール、特には2−エチルヘキサノールとの直鎖のC〜C22の脂肪酸のエステル、直鎖または分岐のC〜C22の脂肪族アルコール、特にはマレイン酸ジオクチルとのC18〜C38のアルキルヒドロキシカルボン酸のエステル、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオールなど)および/またはゲルベアルコールとの直鎖および/または分岐の脂肪酸のエステル、C〜C10の脂肪酸に基づくトリグリセリド、C〜C18の脂肪酸に基づく液状モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、芳香族カルボン酸、特には安息香酸とのC〜C22の脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールのエステル、直鎖または分岐の1〜22個の炭素原子を有するアルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのC〜C12のジカルボン酸のエステル、植物油、分岐した第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝のC〜C22の脂肪族アルコールカーボネート、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標) CC)など、6〜18個、好ましくは8〜10個の、炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づく、ゲルベカーボネート、直鎖および/または分岐のC〜C22のアルコールとの安息香酸のエステル(例えば、Finsolv(登録商標) TN)、1つのアルキル基当たり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝の、対称または非対称のジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)など、ポリオールとのエポキシド化された脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコーン、シリコーン・メチコーン・グレードなど)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクアラン、スクアレン、またはジアルキルシクロヘキサンなどである。
【0048】
乳化剤
【0049】
他の界面活性剤も乳化剤として調製物に添加することができ、例えば、以下を含む:
・直鎖C8〜22の脂肪族アルコールへの、C12〜22の脂肪酸への、およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、2〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物;
・グリセロールへの1〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
・6〜22個の炭素原子を含有する飽和および不飽和脂肪酸およびそれらのエチレンオキシド付加物のグリセロールモノおよびジエステルおよびソルビタンモノおよびジエステル;
・ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への15〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物;
・ポリオールエステル、特にポリグリセロールエステル、例えばポリグリセロールポリリシノレート、ポリグリセロールポリ−12−ヒドロキシステアレートまたはポリグリセロールジメレートイソステアレートなど。これらのクラスのいくつかに由来の化合物の混合物も適切である;
・ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への2〜15モルのエチレンオキシドの付加生成物;
・直鎖状、分岐した、不飽和または飽和のC6/22の脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸およびグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)に基づく部分エステル;
・モノ−、ジ−およびトリアルキルホスフェートおよびモノ−、ジ−および/またはトリ−PEG−アルキルホスフェートおよびそれらの塩;
・ウールワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテル・コポリマーおよび対応する誘導体;
・ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪族アルコールの混合エステルおよび/またはC6−22の脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル、
・ポリアルキレングリコールおよび
・グリセロールカーボネート。
【0050】
脂肪族アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセロールモノ−およびジエステルおよびソルビタンモノ−およびジエステルへのまたはヒマシ油へのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は既知の市販の製品である。それらは同族混合物であり、それらの平均アルコキシル化度はエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと付加反応が行われる物質との量の間の比率に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品処方のための脂質層エンハンサーとして知られている。好ましい乳化剤を以下により詳細に記載する:
【0051】
部分グリセリド。適した部分グリセリドの典型的な例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、およびそれらの工業用混合物であり、それらは生産工程由来の少量のトリグリセリドを依然として含み得る。前記の部分グリセリドへの1〜30モル、好ましくは5〜10モルのエチレンオキシドの付加生成物も好適である。
【0052】
ソルビタンエステル。適したソルビタンエステルは、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、ソルビタンモノオレート、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート、モノエルカ酸ソルビタン、セスキエルカ酸ソルビタン、ジエルカ酸ソルビタン、トリエルカ酸ソルビタン、ソルビタンモノリシノレート、ソルビタンセスキリシノレート、ソルビタンジリシノレート、ソルビタントリリシノレート、モノヒドロキシステアリン酸ソルビタン、セスキヒドロキシステアリン酸ソルビタン、ジヒドロキシステアリン酸ソルビタン、トリヒドロキシステアリン酸ソルビタン、モノ酒石酸ソルビタン、セスキ酒石酸ソルビタン、ジ酒石酸ソルビタン、トリ酒石酸ソルビタン、モノクエン酸ソルビタン、セスキクエン酸ソルビタン、ジクエン酸ソルビタン、トリクエン酸ソルビタン、モノマレイン酸ソルビタン、セスキマレイン酸ソルビタン、ジマレイン酸ソルビタン、トリマレイン酸ソルビタン、およびそれらの工業用混合物である。前記のソルビタンエステルへの1〜30モル、好ましくは5〜10モルのエチレンオキシドの付加生成物も好適である。
【0053】
ポリグリセロールエステル。適したポリグリセロールエステルの典型的な例は、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls(登録商標) PGPH)、ポリグリセリン−3−ジイソステアレート(Lameform(登録商標) TGI)、ポリグリセリル−4イソステアレート(Isolan(登録商標) GI 34)、ポリグリセリル−3オレエート、ジイソステアロイル・ポリグリセリル−3ジイソステアレート(Isolan(登録商標) PDI)、ポリグリセリル−3メチルグルコースジステアレート(Tego Care(登録商標) 450)、ポリグリセリル−3蜜蝋(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル−4カプレート(カプリン酸ポリグリセロール T2010/90)、ポリグリセリル−3セチルエーテル(Chimexane(登録商標) NL)、ポリグリセリル−3ジステアレート(Cremophor(登録商標) GS 32)およびポリグリセリルポリリシノレート(Admul(登録商標) WOL 1403)、ポリグリセリルジメレ−トイソステアレート、およびそれらの混合物である。さらに適当なポリオールエステルの例は、1〜30モルのエチレンオキシドと任意に反応した、ラウリン酸、ココ脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとのトリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールの、モノ−、ジ−およびトリエステルである。
【0054】
アニオン性乳化剤。典型的なアニオン性乳化剤はC12−22の脂肪族脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸などであり、C12−22のジカルボン酸、例えば、アゼライン酸またはセバシン酸などである。
【0055】
両性乳化剤。他の好適な乳化剤は両性または双性イオン性界面活性剤である。双性イオン性界面活性剤は、分子中に1つ以上の第四級アンモニウム基および1つ以上のカルボキシレートおよび1つのスルホネート基を含む表面活性化合物である。特に適した双性イオン性界面活性剤はいわゆるベタインであり、具体的には、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシナート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシナート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシナート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシナート、およびアルキル基またはアシル基にそれぞれ8〜18個の炭素原子を有する2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシナートなどである。CTFAの名称コカミドプロピルベタインで知られている脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。同様に、両性界面活性剤も好適な乳化剤である。両性界面活性剤は、C8/18のアルキル基またはアシル基に加えて、分子中に1つ以上の遊離のアミノ基および1つ以上の−COOHまたは−SOH基を含み、内部塩を形成することができる表面活性化合物である。適当な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキル基中に約8〜18個の炭素原子を含むアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
【0056】
過脂肪剤および稠度因子
【0057】
過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチンならびにポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどのような物質から選択されてもよく、前記脂肪酸アルカノールアミドは泡安定化剤としても機能する。
【0058】
主に使用される稠度因子は、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪族アルコールまたはヒドロキシ脂肪族アルコールであり、さらに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質と、同一鎖長のアルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N−メチルグルカミドおよび/またはポリグリセロールポリ−12−ヒドロキシステアレートとの組み合わせが好ましく使用される。
【0059】
増粘剤およびレオロジー添加剤
【0060】
適切な増粘剤はポリマー増粘剤、例えばAerosil(登録商標)型(親水性シリカ)、多糖類、より特定的にはキサンタンガム、グアーグアー、寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースであり、さらに脂肪酸の比較的高分子量のポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopols(登録商標)[Goodrich]またはSynthalens(登録商標)[Sigma])、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド、ポリオール、例えばペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパンとの脂肪酸のエステル、狭い範囲の脂肪族アルコールエトキシレートおよび電解質、例えば塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムである。
【0061】
ポリマー
【0062】
適当なカチオン性ポリマーは、具体的には、カチオン性セルロース誘導体、例えば、Polymer JR 400(登録商標)の商品名でAmercholより入手可能な第四級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えば Luviquat(登録商標)(BASF)など、ポリグリコールおよびアミンの縮合生成物、第四級化コラーゲンポリペプチド、例えば、ラウリルジモニウム・ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)など、第四級化コムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えば、アモジメチコンなど、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸のジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(登録商標)550/Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびそれらの架橋水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体、例えば、第四級化キトサン(任意に、微結晶分散した形態)など、ジハロゲンアルキル、例えば、ジブロモブタンのビス−ジアルキルアミン(例えば、ビス−ジメチルアミノ−1,3−プロパンなど)との縮合生成物、カチオン性グアーガム、例えば、CelaneseのJaguar(登録商標) CBS、Jaguar(登録商標) C−17またはJaguar(登録商標) C−16など、第四級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、MiranolのMirapol(登録商標) A−15、Mirapol(登録商標) AD−1、Mirapol(登録商標) AZ−1、およびRheocare(登録商標) CCまたはUltragel(登録商標) 300の商標名で見出すことができる種々のポリクオタニウム型(例えば、6、7、32または37)などである。
【0063】
適当なアニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそれらのエステル、未架橋およびポリオールと架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリルレート/tert−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、ならびに任意に誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0064】
パール化ワックス
【0065】
適切なパール化ワックスには、例えば、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多価の、任意にヒドロキシ置換したカルボン酸の6〜22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪性物質、例えば、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、脂肪族エーテルおよび脂肪族カーボネート(合計24以上の炭素原子数を含む)など、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子を含みかつ2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールとの開環生成物;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0066】
シリコーン
【0067】
好適なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、ならびに室温で液状および樹脂様の両方でありうる、アミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシドおよび/またはアルキルで修飾されたシリコーン化合物である。他の適切なシリコーン化合物は200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長と水素化シリケートを有するジメチコーンの混合物であるシメチコーンである。適切な揮発性シリコーンの詳細な概要は、Todd et al. Cosm. Toil. 91,27(1976)に見出すことができる。
【0068】
ワックスおよび安定剤
【0069】
使用する天然油の他に、調製物中にワックスも、特に、天然ワックス、例えば、キャンデリラ蝋、カルナバワックス、和蝋、エスパルトワックス、コルクワックス、グアルマワックス、コメ油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリーワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛蝋)、尾脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、マイクロワックスなど;化学的に修飾したワックス(ハードワックス)、例えば、モンタンエステルワックス、サソールワックス(sasol waxes)など、水素化ホホバワックス、具体的には、合成ワックス、例えば、ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスなども存在していてもよい。
【0070】
脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、リシノール酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛および/またはリシノール酸亜鉛などを安定剤として使用することができる。
【0071】
一次日焼け防止因子
【0072】
本発明の文脈における一次日焼け防止因子は、例えば、室温で液体または結晶質であり、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを長波放射の形態で、例えば熱を放出することができる有機物質(光フィルター)である。
【0073】
本発明による調合物は、有利には、少なくとも1つのUV−Aフィルターおよび/または少なくとも1つのUV−Bフィルターおよび/または広帯域フィルターおよび/または少なくとも1つの無機顔料を含有する。本発明による調合物は、好ましくは、少なくとも1つのUV−Bフィルターまたは広帯域フィルター、より特に好ましくは少なくとも1つのUV−Aフィルターおよび少なくとも1つのUV−Bフィルターを含む。
【0074】
本発明による好ましい化粧品組成物、好ましい局所調合物は、以下からなる群から選択される1、2、3またはそれより多くの日焼け防止因子を含む:4−アミノ安息香酸および誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸およびそのエステル、ベンゾフラン誘導体、マロン酸ベンジリデン誘導体、1つ以上の有機ケイ素基を含有するポリマーUV吸収剤、桂皮酸誘導体、カンファー誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸誘導体およびそれらの塩、アントラニル酸メンチルエステル、ベンゾトリアゾール誘導体およびインドール誘導体。
【0075】
さらに、式(I)の化合物を皮膚に浸透し、日光誘発損傷に対して皮膚細胞を内部から保護し、皮膚マトリックスメタロプロテアーゼのレベルを低下させる活性成分と組み合わせることが有利である。好ましい個々の成分、いわゆるアリール炭化水素受容体アンタゴニストは、参照として本明細書に援用される、国際公開第2007/128723号パンフレットに記載されている。2−ベンジリデン−5,6−ジメトキシ−3,3−ジメチルインダン−1−オンが好ましい。
【0076】
本発明の文脈内で使用することができる以下に挙げるUVフィルターが好ましいが、当然これらに限定されるものではない。
【0077】
好ましく使用されるUVフィルターは、以下からなる群から選択される:
・p−アミノ安息香酸
・エトキシル化したp−アミノ安息香酸エチルエステル(25モル)(INCI名:PEG−25PABA)
・p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル
・N−プロポキシル化したp−アミノ安息香酸エチルエステル(2モル)
・p−アミノ安息香酸グリセロールエステル
・サリチル酸ホモメンチルエステル(ホモサレート)(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・サリチル酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・サリチル酸トリエタノールアミン
・4−イソプロピルベンジルサリチレート
・アントラニル酸メンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・ジイソプロピル桂皮酸エチルエステル
・p−メトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・ジイソプロピル桂皮酸メチルエステル
・p−メトキシ桂皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E1000)
・p−メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン塩
・p−メトキシ桂皮酸イソプロピルエステル
・2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸および塩(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート
・ベータ−イミダゾール−4(5)−アクリル酸(ウロカニン酸)
・3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよび塩
・3−(4’−メチルベンジリデン)−D,L−カンファー(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3−ベンジリデン−D,L−カンファー
・N−[(2および4)−[2−(オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・4,4’−[(6−[4−(1,1−ジメチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]−ビス−(安息香酸−2−エチルヘキシルエステル)(Uvasorb(登録商標)HEB)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート
・ジプロピレングリコールサリチレート
・トリス(2−エチルヘキシル)−4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリベンゾエート(=2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン)(Uvinul(登録商標)T150)。
【0078】
本発明による調製物中の1つ以上の式(I)の化合物と好ましく組み合わせられる広帯域フィルターは、以下からなる群から選択される:
・2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
・ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
・2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
・テトラヒドロキシベンゾフェノン
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
・2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
・2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン
・ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム
・二ナトリウム−2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5,5’−ジスルホベンゾフェノン
・フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキシアニル)プロピル)(Mexoryl(登録商標)XL)
・2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M)
・2,4−ビス−〔4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−〔{(4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・2,4−ビス−〔{(4−(3−スルホナト)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンナトリウム塩
・2,4−ビス−〔{(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−〔4−(2−メトキシエチルカルボニル)フェニルアミノ〕−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−〔{4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−〔4−(2−エチルカルボキシ)フェニルアミノ〕−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル〕−6−(1−メチルピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−トリス−(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(2’’−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−〔{4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2’’−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0079】
前記組成物は、さらに典型的な洗剤およびクレンジング組成物の成分、例えば、本発明の調製物中の1つまたは複数の式(I)の化合物と好ましく組み合わせられ、以下からなる群から選択されるUV−Aフィルターなどの成分を含むことができる:
・4−イソプロピルジベンゾイルメタン
・テレフタリリデンジボルナンスルホン酸および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)/(Neo Heliopan(登録商標)357)
・フェニレンビスベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス−(1H−ベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)、一ナトリウム塩
・2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標) A Plus)
・独国特許出願公開第100 55 940 A1号明細書(=国際公開第2002/038537 A1号パンフレット)によるインダニリデン化合物。
【0080】
前記組成物は、さらに典型的な洗剤およびクレンジング組成物成分、例えば、本発明の調製物中の1つまたは複数の式(I)の化合物とより好ましく組み合わせられ、以下からなる群から選択されるUVフィルターなどの成分を含むことができる:
・p−アミノ安息香酸
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート
・サリチル酸ホモメンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・テレフタリリデンジボルナンスルホン酸および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Neo Heliopan(登録商標)357)
・3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよび塩
・2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・N−[(2および4)−[2−(オキソボルン(oxoborn)−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・p−メトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・エトキシル化したp−アミノ安息香酸エチルエステル(25モル)(INCI名:PEG−25PABA)
・p−メトキシ桂皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E1000)
・2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(Uvinul(登録商標)T150)
・フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキシアニル)プロピル)(Mexoryl(登録商標)XL)
・4,4’−[(6−[4−(1,1−ジメチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]−ビス−(安息香酸−2−エチルヘキシルエステル)(Uvasorb HEB)
・3−(4’−メチルベンジリデン)−D,L−カンファー(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3−ベンジリデンカンファー
・サリチル酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル(Padimate O)
・ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびNa塩
・2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M)
・フェニレンビスベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・アントラニル酸メンチル(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標) A Plus)
・独国特許出願公開第100 55 940号明細書(=国際公開第2002/038537号パンフレット)によるインダニリデン化合物。
【0081】
有利な一次およびさらに二次日焼け防止因子は、国際公開第2005/123101 A1号パンフレットに記載されている。有利には、これらの調製物は、少なくとも1つのUVAフィルターおよび/または少なくとも1つのUVBフィルターおよび/または少なくとも1つの無機顔料を含有する。前記調製物は日焼け止め調製物のために従来から使用されているような様々な形態で本明細書に存在し得る。したがって、それらは溶液、油中水型(W/O)のまたは水中油型(O/W)のエマルジョン、または多重エマルジョン、例えば水中油中水型(W/O/W)の多重エマルジョン、ゲル、ハイドロディスパージョン、固体スティック、またはその他のエアロゾルの形態であってもよい。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、本発明による調合物が2以上(好ましくは5以上)のライトプロテクションファクターを有するように、本発明による調合物は、日焼け止め剤、すなわち特にUVフィルターおよび/または無機顔料(UV濾過顔料)の全量を含有する。本発明によるこのような調合物は、皮膚および毛を保護するのに特に適している。
【0083】
二次日焼け防止因子
【0084】
上記の一次日焼け防止因子の群に加えて、酸化防止剤型の二次日焼け防止因子も使用することができる。酸化防止剤型の二次日焼け防止因子は、紫外線が皮膚内に浸透すると開始される光化学反応連鎖を中断する。典型的な例としては、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロチン(例えばアルファ−カロチン、ベータ−カロチン、リコピン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポン酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えばそのチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、アルファ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)および非常に少ない適合用量でのスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタ−チオニンスルホキシミン)、さらに(金属)キレート化剤(例えば、アルファ−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、アルファ−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えばリノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、Mgリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドロキシグアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、二酸化チタン(例えばエタノール中の分散液)、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびそれらの誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)および本発明の目的に適したこれらの活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)が挙げられる。
【0085】
有利な無機二次光保護顔料は、国際公開第2005/123101 A1号パンフレットにも言及されている、微細に分散された金属酸化物および金属塩である。本発明による完成した化粧品調製物中の無機顔料、特に疎水性無機ミクロ顔料の総量は、有利には、前記調製物の全重量に対してそれぞれの場合、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10.0重量%である。
【0086】
さらに好ましいものは、任意に疎水化できる、粒状UVフィルターまたは無機顔料、例えばチタンの酸化物(TiO)、亜鉛の酸化物(ZnO)、鉄の酸化物(Fe)、ジルコニウムの酸化物(ZrO)、ケイ素の酸化物(SiO)、マンガンの酸化物(例えばMnO)、アルミニウムの酸化物(Al)、セリウムの酸化物(例えばCe)および/またはそれらの混合物である。
【0087】
皮膚および/または毛の色素沈着を調節する活性物質
【0088】
皮膚および/または毛の淡色化のために好ましい活性成分は、以下からなる群から選択される:コウジ酸(5−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−ピラノン)、コウジ酸誘導体、好ましくはコウジ酸ジパルミテート、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、好ましくはマグネシウムリン酸アスコルビル、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、好ましくは4−アルキルレゾルシノールおよび4−(1−フェニルエチル)1,3−ジヒドロキシベンゼン(フェニルエチルレゾルシノール)、シクロヘキシルカルバメート(好ましくは、国際公開第2010/122178号および国際公開第2010/097480号各パンフレットに開示されている1つ以上のシクロヘキシルカルバメート)、硫黄含有分子、好ましくはグルタチオンまたはシステイン、アルファ−ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、それらの塩およびエステル、N−アセチルチロシンおよび誘導体、ウンデセノイルフェニルアラニン、グルコン酸、クロモン誘導体、好ましくはアロエシン、フラボノイド、1−アミノエチルホスフィン酸、チオ尿素誘導体、エラグ酸、ニコチンアミド(ナイアシンアミド)、亜鉛塩、好ましくは塩化亜鉛またはグルコン酸亜鉛、ツヤプリシンおよび誘導体、トリテルペン、好ましくはマスリニン酸、ステロール、好ましくはエルゴステロール、ベンゾフラノン、好ましくはセンキュノリド、ビニルギアコール(vinyl guiacol)、エチルギアコール(ethyl guiacol)、ジオン酸(dionic acid)、好ましくはオクタデセンジオン酸および/またはアゼライン酸、窒素酸化物合成の阻害剤、好ましくはL−ニトロアルギニンおよびその誘導体、2,7−ジニトロインダゾールまたはチオシトルリン、金属キレート化剤(好ましくはアルファ−ヒドロキシ脂肪酸、フィチン酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体)、レチノイド、豆乳および抽出物、セリンプロテアーゼ阻害剤またはリポ酸または皮膚および毛の淡色化のための他の合成または天然活性成分、後者は好ましくは植物由来の抽出物の形態で使用され、好ましくはベアベリー抽出物、コメ抽出物、パパイヤ抽出物、ターメリック抽出物、クワ抽出物、ブンコアン抽出物、ハマスゲ抽出物、カンゾウ根抽出物またはそれらから濃縮または単離された成分、好ましくはグラブリジンまたはリコカルコンA、アルトカルパス抽出物、ルメックスおよびラムルス種の抽出物、パイン種(マツ属)の抽出物、ビチス種の抽出物、そこから単離または濃縮されたスチルベン誘導体、ユキノシタ抽出物、スクテレリア抽出物、ブドウ抽出物および/または微細藻類抽出物、特にテトラセルミス スーシカ抽出物。
【0089】
成分(b)としての好ましいスキンライトナーは、チロシナーゼ阻害剤としてのコウジ酸およびフェニルエチルレゾルシノール、ベータ−およびアルファ−アルブチン、ヒドロキノン、ニコチンアミド、ジオイック酸(dioic acid)、Mgリン酸アスコルビルおよびビタミンCおよびその誘導体、クワ抽出物、ブンコアン抽出物、パパイヤ抽出物、ターメリック抽出物、ハマスゲ抽出物、カンゾウ抽出物(グリシルリジンを含む)、アルファ−ヒドロキシ酸、4−アルキルレゾルシノール、4−ヒドロキシアニソールである。これらのスキンライトナーは、それらの非常に良好な活性のために、特に本発明に従ってスクラレオリドと組み合わせて好ましい。加えて、前記好ましいスキンライトナーは容易に入手可能である。
【0090】
この点で有利な皮膚および毛の日焼け活性成分は、チロシナーゼの基質または基質類似体、例えばL−チロシン、N−アセチルチロシン、L−DOPAまたはL−ジヒドロキシフェニルアラニン、キサンチンアルカロイド、例えばカフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンおよびそれらの誘導体、プロピオメラノコルチンペプチド、例えばACTH、アルファ−MSH、それらのペプチド類似体およびメラノコルチン受容体に結合する他の物質、ペプチド、例えばVal−Gly−Val−Ala−Pro−Gly、Lys−Ile−Gly−Arg−LysまたはLeu−Ile−Gly−Lys、プリン、ピリミジン、葉酸、銅塩、例えばグルコン酸銅、塩化銅またはピロリドン酸銅(copper pyrrolidonate)、1,3,4−オキサジアゾール−2−チオール、例えば5−ピラジン−2−イル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオール、クルクミン、ジグリシネート亜鉛(Zn(Gly)2)、例えば欧州特許第0 584 178号明細書に記載されているようなマンガン(II)重炭酸塩錯体(「偽カタラーゼ」)、例えば国際公開第2005/032501号パンフレットに記載されているような四置換シクロヘキセン誘導体、国際公開第2005/102252号および国際公開第2006/010661号各パンフレットに記載されているようなイソプレノイド、メラニン誘導体、例えばMelasyn−100およびMelanZe、ジアシルグリセロール、脂肪族または環状ジオール、ソラレン、プロスタグランジンおよびそれらの類似体、アデニル酸シクラーゼの活性化剤およびメラノソームのケラチノサイトへの転移を活性化する化合物、例えばセリンプロテアーゼまたはPAR−2受容体のアゴニスト、キク属の種、ワレモコウ属の種の植物および植物部分の抽出物、クルミ抽出物、ウルクム(urucum)抽出物、ルバーブ抽出物、微細藻類抽出物、特にイソクリシス ガルバナ、トレハロース、エリトルロースおよびジヒドロキシアセトンである。皮膚および毛の着色または褐色化をもたらすフラボノイド(例えばケルセチン、ラムネチン、ケンペロール、フィセチン、ゲニステイン、ダイゼイン、クリシンおよびアピゲニン、エピカテキン、ジオスミンおよびジオスメチン、モリン、クエルシトリン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、フロリジンおよびフロレチン)も使用することができる。
【0091】
次いで、本発明による製品中の皮膚および毛の色素沈着の調節のための追加の活性成分の前述の例(1つまたは複数の化合物)の量は、前記製品の全重量に対して、好ましくは0.00001〜30重量%(wt.%)、好ましくは0.0001〜20重量%、特に好ましくは0.001〜5重量%である。
【0092】
アンチエイジング活性物質
【0093】
本発明の文脈において、アンチエイジング剤または生物剤は、例えば酸化防止剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)、皮膚保湿剤、グリコサミノグリカン刺激剤、抗炎症剤、TRPV1アンタゴニストおよび植物抽出物である。
【0094】
酸化防止剤。適切な抗酸化剤には、アミノ酸(好ましくはグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(好ましくはウロカニン酸)およびそれらの誘導体、ペプチド、好ましくはD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびそれらの誘導体(好ましくはアンセリン)、カルニチン、クレアチン、マトリキンペプチド(好ましくはリシル−トレオニル−トレオニル−リシル−セリン)およびパルミトイル化ペンタペプチド、カロチノイド、カロチン(好ましくはアルファ−カロチン、ベータ−カロチン、リコピン)およびそれらの誘導体、リポ酸およびその誘導体(好ましくはジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(好ましくはそれらのチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、ガンマ−リノレイル、コレステリル、グリセリルおよびオリゴグリセリルエステル)およびそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(好ましくはエステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)および非常に少ない許容量(例えば、pmol〜μmol/kg)でのスルホキシミン化合物(好ましくはブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン)、さらに(金属)キレート化剤(好ましくはアルファ-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、アルファ−ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、タンニン、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体)、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(好ましくはガンマ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびその誘導体、ユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(好ましくはパルミチン酸アスコルビル、Mgリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド)、トコフェロールおよび誘導体(好ましくはビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)および安息香樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸(rutinic acid)およびその誘導体、フラボノイドおよびそのグリコシル化前駆体、特にケルセチンおよびその誘導体、好ましくはアルファ−グルコシルルチン、ロスマリン酸、カルノソール、カルノソール酸、レスベラトロール、コーヒー酸およびその誘導体、シナピン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、クルクミノイド、クロロゲン酸およびその誘導体、レチノイド、好ましくはパルミチン酸レチニル、レチノールまたはトレチノイン、ウルソル酸、レブリン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(好ましくはZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(好ましくはセレンメチオニン)、スーパーオキシドジスムターゼ、スチルベンおよびそれらの誘導体(好ましくはスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)および本発明に従った適切なこれらの引用した活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)または酸化防止作用を有する植物の抽出物または画分、好ましくは緑茶、ルイボス、ハニーブッシュ、ブドウ、ローズマリー、セージ、メリッサ、タイム、ラベンダー、オリーブ、オートムギ、ココア、イチョウ、ジンセン(ginseng)、カンゾウ、スイカズラ、エンジュ、プエラリア、マツ、柑橘類、フィランサス エンブリカまたはセイヨウオトギリソウ、ブドウの種子、小麦胚芽、フィランサス エンブリカ、補酵素、好ましくはコエンザイムQ10、プラストキノンおよびメナキノンが包含される。好ましい酸化防止剤は、ビタミンAおよび誘導体、ビタミンCおよび誘導体、トコフェロールおよび誘導体、好ましくは酢酸トコフェロール、およびユビキノンからなる群から選択される。
【0095】
ビタミンEおよび/またはその誘導体が(複数の)酸化防止剤として使用される場合、調合物の総重量に基づいてそれらの濃度を、約0.001〜約10重量%(%b.w.)の範囲から選択することが有利である。ビタミンAまたはビタミンA誘導体またはカロチンまたはそれらの誘導体が(複数の)酸化防止剤として使用される場合、調合物の総重量に基づいてそれらの濃度を約0.001〜約10重量%の範囲から選択することが有利である。
【0096】
マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)。好ましい組成物はマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、特に、コラーゲンを酵素作用により開裂させるマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害し、以下からなる群から選択される前記阻害剤を含む:ウルソル酸、パルミチン酸レチニル、没食子酸プロピル、プレコセン、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチル−1(2H)−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチル−1(2H)−ベンゾピラン、ベンズアミジン塩酸塩、システインプロテイナーゼ阻害剤N−エチルマレイミドおよびイプシロン−アミノ−n−カプロン酸のセリンプロテアーゼ阻害剤:フェニルメチルスルホニルフルオライド、コルヒビン(会社名、Pentapharm;INCI:加水分解コメタンパク質)、エノテロール(oenotherol)(会社名、Soliance;INCI:プロピレングリコール、水、マツヨイグサ(Oenothera biennis)根抽出物、エラグ酸およびエラジタンニン、例えばザクロ由来のもの)、ホスホラミドンヒノキチオール、EDTA、ガラルディン(galardin)、EquiStat(会社名、Collaborative Group;リンゴ果実抽出物、ダイズ種子抽出物、ウルソル酸、ダイズイソフラボンおよびダイズタンパク質)、セージ抽出物、MDI(会社名、Atrium;INCI:グリコサミノグリカン)、fermiskin(会社名、Silab/Mawi;INCI:水およびシイタケ抽出物)、actimp 1.9.3(会社名、Expanscience/Rahn;INCI:加水分解ルピンタンパク質)、リポベル ソーヤグリコン(会社名、Mibelle;INCI:アルコール、ポリソルベート80、レシチンおよびダイズイソフラボン)、国際公開第2002/069992 A1号パンフレットに列挙された(本明細書に援用される、該パンフレットの表1〜12参照)、緑茶および紅茶からの抽出物およびさらなる植物抽出物、ダイズ由来のタンパク質または糖タンパク質、コメ、エンドウまたはルピナス由来の加水分解タンパク質、MMPを阻害する植物抽出物、好ましくは、シイタケからの抽出物、バラ科、バラ亜科の葉からの抽出物、極めて特に好ましくはブラックベリー葉の抽出物(好ましくは、参照により本明細書に援用される国際公開第2005/123101 A1号パンフレットに記載されているような抽出物)、例えばSymMatrix(会社名、Symrise、INCI:マルトデキストリン、ルブス フルチコサス(ブラックベリー)葉抽出物)。好ましい活性物質は、パルミチン酸レチニル、ウルソル酸、バラ科、バラ亜科の葉からの抽出物、ゲニステインおよびダイゼインからなる群から選択される。
【0097】
皮膚保湿剤。好ましい皮膚保湿剤は、3〜12個の炭素原子を含むアルカンジオールまたはアルカントリオール、好ましくはC〜C10のアルカンジオールおよびC〜C10のアルカントリオールからなる群から選択される。より好ましくは、皮膚保湿剤は以下からなる群から選択される:グリセロール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールおよび1,2−デカンジオール。
【0098】
グリコサミノグリカン刺激剤。好ましい組成物は、以下からなる群から選択されるグリコサミノグリカンの合成を刺激する物質を含む:ヒアルロン酸および誘導体または塩、Subliskin(Sederma、INCI:シノリゾビウム メリロティ発酵濾液、セチルヒドロキシエチルセルロース、レシチン)、Hyalufix(BASF、INCI:水、ブチレングリコール、アルピニア ガランガ(ナンキョウソウ)葉抽出物、キサンタンガム、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、Stimulhyal(Soliance、INCI:ケトグルコン酸カルシウム)、Syn−Glycan(DSM、INCI:テトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸尿素トリフルオロアセテート、グリセリン、塩化マグネシウム)、Kalpariane(Biotech Marine)、DC Upregulex(Distinctive Cosmetic Ingredients、INCI:水、ブチレングリコール、リン脂質、加水分解セリシン)、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、レチノイド、好ましくはレチノールおよびビタミンA、アルクティウム ラッパ(ゴボウ)果実抽出物、エリオボトリヤ ジャポニカ(ビワ)抽出物、ゲンクワニン、N−メチル−L−セリン、(−)−アルファ−ビサボロールまたは合成アルファ−ビサボロール、例えばSymrise社からのDragosantolおよびDragosantol 100、オートムギグルカン、エキナセア プルプレア抽出物およびダイズタンパク質加水分解物。好ましい活性物質は以下からなる群から選択される:ヒアルロン酸および誘導体または塩、レチノールおよび誘導体、(−)−アルファ−ビサボロールまたは合成アルファ−ビサボロール、例えばSymrise社のDragosantolおよびDragosantol 100、オートムギグルカン、エキナセア プルプレア抽出物、シノリゾビウム メリロティ発酵濾液、ケトグルコン酸カルシウム、アルピニア ガランガ葉抽出物およびテトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸尿素トリフルオロアセテート。
【0099】
抗炎症剤。前記組成物はまた、抗炎症剤および/または赤みおよび/または痒み改善成分を含有することができ、特にコルチコイド型のステロイド物質(ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンホスフェート、メチルプレドニゾロン、またはメチルコルチゾンからなる群から選択されるもの)は、抗炎症性活性成分として、または発赤と痒みを緩和させるための活性成分として、有利に使用でき、上記活性成分のリストは他のステロイド系抗炎症剤を加えることによって拡張できる。非ステロイド型の抗炎症剤も使用できる。本明細書に挙げることができるその例は、オキシカム、例えばピロキシカムまたはテノキシカム;サリチレート、例えばアスピリン、ジサリシド、ソルプリンまたはフェンドサール;酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチンまたはクリンダナク;フェナメート、例えばメフェナミック、メクロフェナミック、フルフェナミックまたはニフルミック;プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェンまたはピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾンまたはアザプロパゾンである。アントラニル酸誘導体、特に国際公開第2004/047833 A1号パンフレットに記載のアベナンスラミドは、本発明による組成物において、好ましい痒み防止成分である。
【0100】
さらに有用なものは、天然のまたは天然由来の抗炎症性の物質の混合物、または赤みおよび/または痒みを軽減する物質の混合物であり、特に以下に由来する抽出物または画分であり:カモミール、アロエベラ、コミフォラ種、ルビア種、ヤナギ、アカバナ、オートムギ、キンセンカ、アルニカ、セイヨウオトギリソウ、スイカズラ、ローズマリー、パッシフロラ インカルナタ(チャボトケイソウ)、マンサク、ショウガまたはエキナシア;好ましいものは、以下に由来する抽出物または画分からなる群から選択され:カモミール、アロエベラ、オートムギ、キンセンカ、アルニカ、スイカズラ、ローズマリー、マンサク、ショウガまたはエキナシア、および/または純粋物質、好ましくはアルファ−ビサボロール、アピゲニン、アピゲニン‐7‐グルコシド、ギンゲロール、ショウガオール、ギンゲルジオール、デヒドロギンゲルジオール、パラドール、天然または天然由来のアベナンスラミド、好ましくはトラニラスト、アベナンスラミドA、アベナンスラミドB、アベナンスラミドC、非天然または非天然由来のアベナンスラミド、好ましくはジヒドロアベナンスラミドD、ジヒドロアベナンスラミドE、アベナンスラミドD、アベナンスラミドE、アベナンスラミドF、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリチン、グラブリジンおよびリコカルコンA;好ましくは以下からなる群から選択される:アルファ−ビサボロール、天然アベナンスラミド、非天然アベナンスラミド、好ましくはジヒドロアベナンスラミドD(国際公開第2004/047833 A1号パンフレットに記載されたようなもの)、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリチン、およびリコカルコンA、および/またはアラントイン、パンテノール、ラノリン、(擬)セラミド[好ましくはセラミド2、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、セチルオキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミド、N‐(1‐ヘキサデカノール)‐4‐ヒドロキシ‐L‐プロリン(1‐ヘキサデシル)エステル、ヒドロキシエチルパルミチルオキシヒドロキシプロピルパルミタミド]、スフィンゴ糖脂質、フィトステロール、キトサン、マンノース、ラクトース、およびβ‐グルカン、特にオートムギ由来の1,3‐1,4‐β‐グルカン。
【0101】
ビサボロールが本発明の文脈で使用される場合、それは天然または合成由来であり得、好ましくは「アルファ−ビサボロール」である。好ましくは、使用されるビサボロールは、合成的に製造されたまたは天然の(−)−アルファ−ビサボロールおよび/または合成混合異性体アルファ−ビサボロールである。天然(−)−アルファ−ビサボロールが使用される場合、これは精油または植物抽出物またはその画分の構成成分として、例えば油の(画分の)のまたはカモミールの抽出物のまたはヴァニロスモプシス(Vanillosmopsis)の抽出物の構成成分として使用することもできる(特にヴァニロスモプシス エリスロパッパ(erythropappa)またはヴァニロスモプシス アロボレア(arborea))。合成アルファ−ビサボロールは、例えばSymrise社から’’Dragosantol’’の名称で入手可能である。
【0102】
本発明の文脈においてショウガ抽出物を用いる場合、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、二酸化炭素(CO2)、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルムまたはその他の溶媒もしくは同等の極性を有する溶剤混合物を用いて調製される生または乾燥ショウガ根の抽出物を用いる。前記抽出物は、有効に皮膚刺激を抑制する量の構成成分、例えばギンゲロール、ショウガオール、ギンゲルジオール、デヒドロギンゲルジオン、および/またはパラドールが存在することにより特徴付けられる。
【0103】
TRPV1アンタゴニスト。TRPV1アンタゴニストとしてのそれらの作用に基づいて皮膚神経の過敏症を減少させる好適な化合物は、例えば、国際公開第2009/087242 A1号パンフレットに記載されているようなtrans−4−tert−ブチルシクロヘキサノールを包含し、またはμ−受容体の活性化によるTRPV1の間接的モジュレーター、例えば、アセチルテトラペプチド−15が好ましい。
【0104】
落屑剤。前記組成物はまた、その調製物の総重量に基づいて約0.1〜約30重量%(% b.w.)、好ましくは約0.5〜約15重量%、特に好ましくは約1〜約10重量%の量の落屑剤(成分b5)を含むことができる。「落屑剤」という表現は、以下の作用をすることができる任意の化合物を意味すると理解される:
・剥離促進による直接の落屑作用、例えばβ‐ヒドロキシ酸、特にサリチル酸およびその誘導体(5−n−オクタノイルサリチル酸を含む);α−ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース;桂皮酸;ソフォラ ジャポニカ(エンジュ)の抽出物;レスベラトロールおよびジャスモン酸の所定の誘導体による作用;
・またはコルネオデスモソーム、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)またはその他のプロテアーゼ(トリプシン様、キモトリプシン様)の落屑または分解に関係する酵素による作用のいずれか。無機塩キレート剤には以下のものが挙げられ得る:EDTA;N−アシル−N,N’,N’−エチレンジアミン三酢酸;アミノスルホン化合物および特に(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタン)スルホン酸(HEPES);2−オキソチアゾリジン−4−カルボン酸(プロシステイン)の誘導体;グリシン型のアルファ−アミノ酸の誘導体(欧州特許出願公開第0 852 949号明細書に記載されるような、および商標名TRILON MとしてBASF社より市販されているメチルグリシンジアセタートナトリウム);蜂蜜;糖誘導体、例えばO−オクタノイル−6−D−マルトースおよびN−アセチルグルコサミン;クリ抽出物、例えばSILAB社よりRecoverine(登録商標)という商品名で市販されているもの、ウチワサボテン抽出物、例えばSILAB社よりExfolactive(登録商標)という商品名で市販されているもの、またはDegussa社よりPhytosphingosine SLC(登録商標)(サリチル酸を付加したフィトスフィンゴシン)という商品名で市販されているもの。
【0105】
本発明において好適な落屑剤は具体的には以下を含む群から選択され得る:スルホン酸、カルシウムキレート化剤、α‐ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸;アスコルビン酸およびその誘導体、例えばアスコルビルグルコシドおよびマグネシウムリン酸アスコルビル;ニコチンアミド;尿素;(N‐2‐ヒドロキシエチルピペラジン‐N‐2‐エタン)スルホン酸(HEPES)、β‐ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸およびその誘導体、レチノイド、例えばレチノールおよびそのエステル、レチナール、レチン酸およびその誘導体、仏国特許出願公開第2570377 A1号、欧州特許出願公開第0199636 A1号、欧州特許出願公開第0325540 A1号、欧州特許出願公開第0402072 A1号各明細書に記載の落屑剤、クリまたはウチワサボテンの抽出物、特にSILAB社より市販されているもの;分解化合物、例えばシステインまたはシステイン前駆体。
【0106】
使用可能な落屑剤はまた、ニコチン酸とそのエステルおよびニコチンアミド(ビタミンB3またはビタミンPPとも呼ばれる)、およびアスコルビン酸とその前駆体であり、特に欧州特許出願公開第1529522 A1号明細書に記載されている。
【0107】
抗セルライト剤。抗セルライト剤および脂肪分解剤は好ましくは、国際公開第2007/077541号パンフレットに記載のもの、ベータ−アドレナリン受容体作動薬、例えばシネフリンおよびその誘導体、および国際公開第2010/097479号パンフレットに記載のシクロヘキシルカーバメートからなる群から選択される。抗セルライト剤の活性を増強またはブーストする薬剤、特にC神経線維を刺激しかつ/または脱分極させる薬剤は好ましくは、カプサイシンとその誘導体、バニリル−ノニルアミドおよびその誘導体、L‐カルニチン、コエンザイムA、イソフラボノイド、ダイズ抽出物、アナナス属(パイナップル)抽出物および共役リノール酸からなる群から選択される。
【0108】
脂肪増強剤。本発明による調合物および製剤はまた、1つまたは複数の脂肪増強剤および/または脂肪生成剤ならびに脂肪増強剤の活性を増強またはブーストする物質を含んでいてもよい。脂肪増強剤は、例えばヒドロキシメトキシフェニルプロピルメチルメトキシベンゾフラン(商標名:Sym3D(登録商標))である。
【0109】
発毛活性剤または阻害剤
【0110】
本発明による調合物および製剤はまた、1つまたは複数の発毛活性剤、すなわち発毛刺激剤を含んでいてもよい。好ましい発毛活性剤は、ピリミジン誘導体、例えば2,4−ジアミノピリミジン−3−オキシド(Aminexil)、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキシド(Minoxidil)およびその誘導体、6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジンおよびその誘導体、キサンチンアルカロイド、例えばカフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンおよびそれらの誘導体、ケルセチンおよび誘導体、ジヒドロケルセチン(タキシホリン)および誘導体、カリウムチャネル開口薬、抗アンドロゲン剤、合成または天然5‐還元酵素阻害剤、ニコチン酸エステル、例えばトコフェリルニコチネート、ベンジルニコチネートおよびC1〜C6アルキルニコチネート、タンパク質、例えばトリペプチドLys‐Pro‐Val、ジフェンシプレン、ホルモン、フィナステリド、デュタステリド、フルタミド、ビカルタミド、プレグナン誘導体、プロゲステロンおよびその誘導体、シプロテロンアセテート、スピロノラクトンおよび他の利尿薬、カルシニューリン阻害剤、例えばFK506(タクロリムス、フジマイシン)およびその誘導体、シクロスポリンAおよびその誘導体、亜鉛および亜鉛塩、ポリフェノール、プロシアニジン、プロアントシアニジン、フィステロール、例えばベータ−シトステロール、ビオチン、オイゲノール、(±)−ベータ−シトロネロール、パンテノール、グリコーゲン(例えばムール貝由来のもの)、微生物、藻類、植物、植物部分からの抽出物、例えばタンポポ属(レオントドンまたはタラキサクム)、オルトシフォン属、ハマゴウ(Vitex)属、コーヒーノキ属、ガラナ属、テオブロマ属、ウスバサイシン属、カボチャ属またはエンジュ属、セレノア レペンス(ノコギリヤシ)、ソフォラ フラベセンス(Sophora flavescens)、ピジウム アフリカヌム(Pygeum africanum)、パニクム ミリアセウム(キビ)、シミシフーガ ラセモサ(サラシナショウマ)、グリシン マックス(ダイズ)、ユーゲニア カリオフィラタ(チョウジ)、コティヌス コッギグリア(ハグマノキ)、ハイビスカス ローザ−シネンシス(ブッソウゲ)、カメリア シネンシス、イレックス パラグアリエンシス(イェルバ・マテ)、イソクリシス ガルバナ(Isochrysis galbana)、カンゾウ、ブドウ、リンゴ、オオムギまたはホップからの抽出物、または/およびコメもしくはコムギ由来の加水分解産物からなる群から選択される。
【0111】
あるいは、本発明による調合物または製剤は1つ以上の(前記したような)発毛阻害剤、すなわち発毛を減じるかまたは予防する薬剤を含んでいてもよい。発毛阻害剤は好ましくは以下からなる群から選択される:アクチビン、アクチビン誘導体またはアクチビン作動薬、オルニチン脱炭酸酵素阻害剤、例えばアルファ−ジフルオロメチルオルニチンまたは五環系トリテルペン、例えばウルソル酸、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸およびその誘導体、5アルファ−還元酵素阻害剤、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、ダイズ由来セリンタンパク質分解酵素阻害剤、ならびに微生物、藻類、異なる微細藻類または植物および植物部分からの抽出物、例えばマメ科(Leguminosae)、ナス科(Solanaceae)、イネ科(Graminae)、ガガイモ科(Asclepiadaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)、ツノマタ属(Chondrus)、フノリ属(Gloiopeltis)、イギス属(Ceramium)、デュルビレア属(Durvillea)、ダイズ(Glycine max)、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)、キンセンカ(Calendula officinalis)、アメリカマンサクナ(Hamamelis virginiana)、アルニカ モンタナ(Arnica montana)、セイヨウシロヤナギ(Salix alba)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)およびホウライアオカズラ(Gymnema sylvestre)からの抽出物からなる群から選択される。
【0112】
抗菌剤
【0113】
好適な抗菌剤は基本的にグラム陽性菌に対し有効な全ての物質であり、例として下記を含む:4−ヒドロキシ安息香酸ならびにその塩およびエステル、N−(4−クロロフェニル)−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−ブロモ−4−クロロフェノール)、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、3−(4−クロロフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸N−アルキルアミド、例えばN‐オクチルサリチルアミドまたはN−デシルサリチルアミドなど。
【0114】
酵素阻害剤
【0115】
好適な酵素阻害剤は、例えばエステラーゼ阻害剤である。これらは好ましくは、クエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルであり、特に好ましいのはクエン酸トリエチル(Hydagen CAT)である。前記物質は、酵素活性を阻害することにより、臭気の生成を抑制する。好適なエステラーゼ阻害剤であるその他の物質としては、ステロールスルフェートまたはホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールのスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチル、およびグリシン酸亜鉛が挙げられる。
【0116】
臭気吸収剤および制汗活性剤
【0117】
好適な臭気吸収剤は、臭気を形成する化合物を吸収し、そして大部分を保持することができる物質である。それらは個々の成分の分圧を下げることによっても、それらの拡散速度を落とさせる。この過程で香りが損なわれず維持されなければならないことが重要である。臭気吸収剤は細菌に対して効果がない。それらは例えば、主成分として、リシノール酸の錯亜鉛塩または、「固定剤」として当業者に知られている、所定の、大部分は中性臭気の香料、例えばラブダナムまたはスティラックスの抽出物、またはある種のアビエチン酸誘導体を含有する。臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤としてのそれらの機能に加えて、防臭剤にそれらのそれぞれの香料ノートを付与する香料または香油である。挙げることができる香油は、例えば、天然および合成の香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状物および枝からの抽出物、ならびに樹脂およびバルサムである。また、動物製品、例えば、シベットおよびカストリアムが適している。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の香料化合物は、例えばベンジルアセテート、p‐tert‐ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルは例えば、ベンジルエチルエーテルを含み、アルデヒドは例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナールを含み、ケトンは例えば、イオノンおよびメチルセドリルケトンを含み、アルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールを含み、炭化水素は主として、テルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、一緒になって快い香料ノートを生成する種々の香料の混合物を使用することが好ましい。アロマ成分として主に用いる、比較的低い揮発性の精油もまた、香油として適しており、その例は、セージ油、カモミール油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、リンデン花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラブダナム油およびラバンジン油である。下記のものを単独で、または混合物として使用することが好ましい:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α‐ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボアザンブレンフォルト(boisambrene forte)、アンブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタル(cyclovertal)、ラバンジン油、クラリセージ油、β−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、バートフィックスクール(Vertofix coeur)、イソ‐E−スーパー、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミレート(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラメート(floramat)。
【0118】
好適な収れん制汗活性成分は、主として、アルミニウム、ジルコニウムのまたは亜鉛の塩である。このような好適な抗発汗活性成分は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、およびそれらの、例えば1,2‐プロピレングリコールとの錯化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタートレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、およびそれらの、アミノ酸、例えばグリシンとの錯化合物である。
【0119】
フィルム形成剤およびフケ防止剤
【0120】
標準的なフィルム形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系のポリマー、第四級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸ならびにそれらの塩および類似化合物である。
【0121】
好適なフケ防止剤は、ピロクトンオラミン(1−ヒドロキシ−4‐メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−(1H)−ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(登録商標)(Climbazole)、Ketoconazol(登録商標)(4−アセチル−1−{4−[2−(2,4−ジクロロフェニル) r−2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキシラン−c−4−イルメトキシフェニル}−ピペラジン)、ケトコナゾール、エルビオール、二硫化セレン、コロイド硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫化リシノールポリエトキシレート、硫黄タール留分、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組合せ)、ウンデシレン酸、モノエタノールアミドスルホスクシネートNa塩、Lamepon(登録商標) UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン、およびマグネシウムピリチオン/ジピリチオン硫酸マグネシウムである。
【0122】
担体およびヒドロトロープ
【0123】
好ましい化粧品担体材料は、25℃および1013mbarで固体または液体であり(非常に粘稠な物質を含む)、例えば、以下を含む:グリセロール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エタノール、水および前記液体担体材料の2つ以上の水との混合物。必要に応じて、本発明によるこれらの調製物は、防腐剤または可溶化剤を用いて製造し得る。本発明による調製物の成分であり得る、他の好ましい液体担体物質は、油、例えば植物油、中性油、および鉱油からなる群から選択される。
【0124】
本発明による調製物の成分であり得る、好ましい固体担体材料は例えば以下を含む:親水コロイド、例えばデンプン、分解デンプン、化学的にまたは物理的に変性されたデンプン、デキストリン、(粉末状)マルトデキストリン(好ましくは5〜25、より好ましくは10〜20のデキストロース相当値を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素、グルコース、変性セルロース、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガント、カラヤ、カラギーナン、プルラン、カードラン、キサンタンガム、ゲランゴム、グアー粉、イナゴマメ粉、アルギン酸塩、寒天、ペクチンおよびイヌリンおよびこれらの固形物、特にマルトデキストリン(好ましくは15〜20のデキストロース相当値を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素および/またはグルコースの2つ以上の混合物。
【0125】
さらに、流動挙動を改善するために、ヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することができる。好適なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を含む。ポリオールは、他の官能基、より特定的にはアミノ基を含有していてもよく、または窒素で変性されていてもよい。典型的な例は以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびポリエチレングリコール(100〜1000ダルトンの平均分子量を有する)など;
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物など;
・メチロール化合物、例えば、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基中に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2−アミノプロパン−1,3−ジオール。
【0126】
防腐剤
【0127】
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、およびKosmetikverordnung(「化粧品指令」)のパートAおよびBの付録6に記載の他のクラスの物質化合物である。
【0128】
香油および香料
【0129】
適切な香油は天然および合成香料の混合物である。天然香料には、例えば、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イラン‐イラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、ショウブ)、木(マツ材、ビャクダン材、グアヤク材、シーダー材、シタン材)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低木マツ)の抽出物、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナクス)が含まれる。動物性原料、例えばジャコウネコおよびビーバーを使用してもよい。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の香料化合物の例は、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、p‐tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカービニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルは例えば、ベンジルエチルエーテルを含むが、アルデヒドは例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナールを含む。好適なケトンは例えば、イオノン、α‐イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンである。好適なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素は主として、テルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、一緒になって心地よい香りを生成する種々の香料化合物の混合物を使用することが好ましい。別の好適な香油は、アロマ成分として主に用いられる比較的低い揮発性の精油である。例としては、セージ油、カモミール油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラダナム油およびラバンジン油が挙げられる。好ましくは以下を単独で、または混合物の形態でのいずれかで用いる:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラル(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボアザンブレンフォルト(Boisambrene Forte)、アンブロキサン(Ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(Sandelice)、シトラス油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロバータル(Cyclovertal)、ラバンジン油、クラリー油、ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、バートフィックスクール(Vertofix Coeur)、イソ−E−スーパー、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミレート(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラメート(floramat)。
【0130】
染料
【0131】
適切な染料は、例えば、Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft, Verlag Chemie, Weinheim, 1984, pages 81 to 106の「Kosmetische Faerbemittel」刊行物に記載されているような化粧目的に適しかつ承認されている物質のいずれかである。例えば、コチニールレッドA(C.I. 16255)、パテントブルーV(C.I. 42051)、インジゴチン(C.I. 73015)、クロロフィリン(C.I. 75810)、キノリンイエロー(C.I. 47005)、二酸化チタン(C.I. 77891)、インダスレンブルーRS(C.I. 69800)およびマダーレーキ(C.I. 58000)を含む。ルミノールはまた、発光色素として存在してもよい。有利な有色顔料は、例えば、二酸化チタン、マイカ、酸化鉄(例えば、Fe Fe、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカーマイン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、ウルトラマリンブルーおよび/またはマンガンバイオレットである。
【0132】
調製物
【0133】
本発明による好ましい組成物は、皮膚および/または毛の治療、保護、ケアおよびクレンジングのための製品の群から選択されるか、メーキャップ製品として、好ましくはリーブオン製品として選択される(前記リーブオン製品とは、式(I)の化合物のうち1つまたは複数が、リンスオフ製品に比して、皮膚および/または毛により長時間残留するものを指し、結果として、前記化合物の湿潤および/またはアンチエイジングおよび/または創傷治癒促進作用はより顕著である)。
【0134】
本発明による調合物は、好ましくは、エマルジョン、例えば、W/O(油中水型)、O/W(水中油型)、W/O/W(水中油中水型)、O/W/O(油中水中油型)エマルジョン、PITエマルジョン、ピッカリングエマルジョン、低油分エマルジョン、マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョン、溶液、例えば油(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC〜C32脂肪酸C〜C30エステルの)またはシリコーン油中の溶液、分散液、懸濁液、クリーム、ローションまたはミルク、製造法および成分に依存して、ゲル(ヒドロゲル、水分散体ゲル、オレオゲルを含む)、スプレー(例えばポンプスプレーまたは高圧ガスを含むスプレー)またはフォームまたは化粧品拭き取り用の含浸液、清浄剤、例えば石鹸、合成清浄剤、液体洗浄液、シャワーおよびバス用製品、浴用剤(カプセル、オイル、錠剤、塩、入浴剤、石鹸など)、発泡製品、スキンケア製品、例えばエマルジョン(上記したようなもの)、軟膏、ペースト、ゲル(上記したようなもの)、油、バルサム、血清、パウダー(例えば、フェースパウダー、ボディパウダー)、マスク、ペンシル、スティック、ロールオン、ポンプ、エアロゾル(発泡性、非発泡性または後発泡性のもの)、デオドラントおよび/または制汗剤、マウスウォッシュおよびマウスリンス、フットケア製品(角質溶解剤、脱臭剤を含む)、防虫剤、日焼け止め、日焼け後用製剤、シェービング製品、アフターシェーブバーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、脱毛剤、ヘアケア製品、例えばシャンプー(2‐in‐1シャンプー、フケ防止シャンプー、ベビーシャンプー、乾燥頭皮用シャンプー、濃縮シャンプーを含む)、コンディショナー、ヘアトニック、ヘアウォーター、ヘアリンス、スタイリングクリーム、ポマード、パーマおよびセット用ローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングエイド(例えば、ゲルまたはワックス)、ヘアスムージング剤(髪のもつれ解除剤、リラクサー)、毛染め剤、例えば一時的に直接染める毛染め剤、半永久的な毛染め剤、永久的な毛染め剤、ヘアコンディショナー、ヘアムース、アイケア製品、メーキャップ製品、メーキャップリムーバー製品またはベビー製品の形態である。
【0135】
本発明による調合物は、特に、好ましくはエマルジョンの形態で、特にW/O、O/W、W/O/W、O/W/Oエマルジョン、PITエマルジョン、ピッカリングエマルジョン、低油分エマルジョン、マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョン、ゲル(ヒドロゲル、水分散体ゲル、オレオゲルを含む)、溶液、例えば油(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC〜C32脂肪酸C〜C30エステル)またはシリコーン油中の溶液、またはスプレー(例えばポンプスプレーまたは高圧ガスを含むスプレー)の形態である。
【0136】
補助物質および添加剤は、調合物の全重量に対して、5〜99重量%(%b.w.)、好ましくは10〜80重量%の量で含まれ得る。各場合において用いられる化粧品用または皮膚科学的な補助剤および添加剤および香料の量は、具体的な製品の種類に依存して、単純な試行錯誤で当業者が容易に測定し得る。
【0137】
前記調製物はまた、調製物の全質量に基づいて、99重量%まで、好ましくは5〜80重量%の量で水を含有し得る。
【0138】
産業上の利用
本発明の別の目的は、ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態を処置し、軽減しまたは予防する非治療的方法であって、以下のステップを含む、前記方法:
(i)少なくとも1つの式(I)に従ったポリアルキレングリコール誘導体を準備するステップ、
(ii)PAR−2拮抗効果を達成するのに十分な量の前記誘導体をヒトの皮膚または頭皮に局所投与により適用するステップ、
に向けられる。
【0139】
本発明の最後の目的は、ヒトの皮膚および頭皮の痒い状態を処置し、軽減しまたは予防する作用物質としての式(I)のポリアルキレングリコール誘導体の非治療的使用に向けられる。
【0140】
上記で説明したような好ましい構造、成分、混合物、それらの比率および量は、前記方法および前記使用に関しても適用されるため、繰り返す必要はないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1図1は、シャンプーSL15VS021−2およびシャンプーSL15VS021−1(プラセボ)の痒み効果の短期評価の結果を示す。
図2図2は、痒み防止シャンプーSL15VS021−2の長期評価の結果を示す。
【実施例】
【0142】
実施例1
インビトロPAR−2アッセイ
【0143】
アッセイ原理:PAR−2を内因的に発現するヒト胚性腎293細胞(HEK293)を用いて、細胞内インビトロアッセイを行った。PAR−2活性化プロテアーゼであるトリプシン(EC50:約1nM)をアゴニスト刺激剤として使用し、その後のFluo−4依存性細胞内カルシウム検出(カルシウムイメージング)を行った。前記トリプシンが介在するPAR−2活性化を有意に低下させるポリエチレングリコールエステルおよびポリエチレングリコールエーテルを、用量応答効果について、そしてPAR−2拮抗活性のIC50値の測定についてさらに評価した。
【0144】
細胞ベースのカルシウムアッセイを、ポリエチレングリコールエステルおよびポリエチレングリコールエーテルのPAR−2拮抗作用の同定のために適用した。試験した化合物によるPAR−2の機能的調節を、蛍光マイクロプレートリーダー上のカルシウム感受性蛍光プローブFluo−4 AMを用いて測定し定量した。アゴニスト(トリプシン)によるPAR−2の活性化により、細胞内カルシウム濃度が上昇するため、蛍光強度の増加がもたらされた。アンタゴニストによるPAR−2関連生物活性の阻害は、アゴニスト誘発性の蛍光強度の増加を有意に減少させるか、好ましくはアゴニスト誘発シグナルを完全に遮断した。
【0145】
手順:PAR−2を内因的に発現するヒト胚性腎293細胞(HEK293)を、テトラサイクリンを含まないFCS(10%v/v)、L−グルタミン(4mM)、ブラストサイジン(15μg/ml)、ゼオシン(100μg/ml)およびピューロマイシン(2μg/ml)を補充したDMEM(高グルコース)中で37℃、5%COの水飽和雰囲気下で培養した。
【0146】
細胞を、100μlの細胞培養培地中、1ウェルあたり45.000細胞の密度で、96ウェル透明底黒色壁アッセイプレート上に播種した。蛍光マイクロプレートリーダー(FlexStation(登録商標)システム、Molecular Devices)上でカルシウム感受性蛍光プローブFluo−4 AMを用いて24時間後、受容体活性化による生細胞の細胞内カルシウム増加をモニターした。したがって、スルフィンピラゾン(250μM)およびFluo−4 AM(4μM)を補充したKrebs−HEPES(KH)緩衝液(118mM NaCl;4.7mM KCl;1.3mM CaCl;1.2mM MgSO;1.2mM KHPO;4.2mM NaHCO;10mM Hepes、pH7.4)100μlを添加し、前記細胞を37℃および5%COの水飽和雰囲気中でさらに1時間インキュベートした。
【0147】
拮抗活性の測定:培地を、スルフィンピラゾン(250μM)を補充した150μlのKH緩衝液で置換した。続いて、スクリーニング化合物または対照物質を補充した50μlのKH緩衝液を添加し、前記細胞を前記マイクロプレートリーダー内のアッセイ条件下で10分間インキュベートした。蛍光の変化を、PAR−2アゴニストであるトリプシン(測定条件下で4nMの最終濃度)を補充した50μlのKH緩衝液の添加後、37℃で記録した。
【0148】
分析:カルシウム動員を、ベースラインレベル(F)を超えるピーク蛍光の変化(△F)として定量化した。データは前記マイクロプレートリーダーのソフトウェアで分析した。可能性のあるPAR−2アンタゴニストを、トリプシン誘発シグナルを減少させる能力について1〜100μMの有効範囲で試験を行った。
【0149】
実施例1.1
細胞ベースの蛍光分析におけるPEG−5イソノナノエートのPAR−2拮抗活性。
4nMトリプシンの存在下で、PAR−2拮抗作用について試験した試料は、100μMのIC50で用量依存的阻害をもたらした。
【0150】
実施例1.2
細胞ベースの蛍光分析におけるPEG−9トリデシルエーテルのPAR−2拮抗活性。
【0151】
4nMトリプシンの存在下で、PAR−2拮抗作用について試験した試料は、65μMのIC50で用量依存的阻害をもたらした。
【0152】
実施例1.3
1:2(w/w)の比のPEG−5イソノナノエートおよびPEG−9トリデシルエーテルを含む、本発明による組成物の細胞ベース蛍光分析における相乗的PAR−2拮抗活性
【0153】
4nMトリプシンの存在下で、PAR−2拮抗作用について試験した組み合わせは、26μMのIC50で用量依存的阻害をもたらした。
【0154】
試験の結果を以下の表1にまとめる。
【0155】
【表1】
【0156】
相乗指数(SI)はIC50値に関してKullの式に従って算出した。相乗指数が1未満である場合、組成物において相乗効果があり、SIが低いほど相乗効果が大きいことを意味する。PEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル(1:2;w/w)のSIは0.35であると算出された。
【0157】
PEG−5イソノナノエートとPEG−9トリデシルエーテルとを1:2(w/w)の比で含む組合せの26μMの有意に低いIC50値により、前記組成物のPAR−2拮抗活性が単一化合物PEG−5イソノナノエートおよびPEG−9トリデシルエーテルのそれぞれに対して相乗的に増加するという明確な証拠がもたらされた。
【0158】
同定されたアンタゴニストのPAR−2特異性に対する高度な検証分析は、特異的なPAR−2標的shRNA(sh65)を安定して過剰発現するHEK293−sh65細胞に対して非特異的ランダムshRNA(sh20)を安定して発現するHEK293−sh20細胞を用いて行った。本発明によるポリエチレングリコールエステルおよびポリエチレングリコールエーテルならびにポリエチレングリコールエステルとポリエチレングリコールエーテルを含む組成物は、HEK293−sh20細胞で観察されたものと比較して、HEK293−sh65細胞におけるPAR−2阻害に関するより低い濃度へのIC50値の有意なシフトとして、非常に特異的なPAR−2アンタゴニストであることが立証された。このことにより、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテルおよびポリエチレングリコールエステルとポリエチレングリコールエーテルを含む組成物が、PAR−2および下流のシグナル伝達経路の高度に特異的な阻害を介して皮膚の鎮静および抗痒み活性を示すことが明確に示された。
【0159】
実施例3
臨床試験
【0160】
一重盲検臨床クロスオーバー研究の目的は、2つの例示的な痒み防止シャンプー(2%のPEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル比1:2;w/w%を含むSL15VS021−2対プラセボのシャンプーSL15VS021−1)の有効性、皮膚適合性および忍容性を、1回適用した後、および繰り返し適用した後に評価し、比較することであった。前記研究は温湿度制御室(24+/−2℃;50+/−10%R.U.)で行った。頭皮の痒みのある20人のボランティア(男性13人および女性7人)が研究のために選ばれた。
【0161】
試験の全期間中、彼らには頭皮に痒み防止剤を使用しないように求めた。さらに、ボランティアには、各訪問の48時間前に髪を洗って、スタイリング製品の使用を控えるように求めた。
【0162】
前記ボランティアは、試験開始前に標準的なシャンプー、コード SL15VS021−1を使用するように要求された7日間のウォッシュアウト期間を過ごした。
【0163】
各ボランティアは、ランダム化チャートに従って、両方のシャンプーを1つずつ試験する。被験者番号の割り当てとその後のランダム化チャートの配置は、最初の日にスタディセンターに出された順に行った。製品は、無記名の容器に入れられており、治療に関する情報は提供されていなかった。
【0164】
最初に、ベースラインにおいて、ボランティアを臨床的に検査し、フケの程度、脂漏および紅斑についてスコア付けを行った。加えて、彼らに灼熱感や痒みの感覚について尋ねた。フケ、脂漏、紅斑、灼熱感および痒みの評価は、以下の4点臨床スケールに基づいて行った:0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度。
【0165】
次に、ボランティアに、シャンプーの最初の使用から1、5、15および30分後に、スケール:0=減少しない、1=わずかな減少、2=中程度の減少、3=良好な減少に従って、痒み感の減少のスコア付けを依頼した。
【0166】
最後に、各ボランティアに割り当てたシャンプーを渡し、週に少なくとも3回、1週間使用してもらった。次の検査は、7日間の処置の終わりに行った。
【0167】
前記ボランティアは、標準的なシャンプー、コード SL15VS021−1の使用を依頼された7日間のウォッシュアウト期間をさらに過ごした。ウォッシュアウト期間の後、被験者らは検査室に戻って第2のシャンプーを受け取り、上記と同じ手順:基本的な訪問、痒みの減少の短期評価、製品の7日間の処置および最終的な臨床評価に従った。
【0168】
さらに、各シャンプーの全体的な忍容性を、スケール:1=乏しい忍容性;2=中程度の忍容性;3=良好な忍容性に従って、処置の終わりに臨床的にスコア化した。組成を表2に示す。
【0169】
【表2】
【0170】
短期評価の結果
【0171】
2つの製品の比較により、最初の製品使用から1、5、15および30分後、シャンプーSL15VS021−2(PEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル 比1:2w/w%を2%含む)がプラセボのシャンプーSL15VS021−1よりも強くかつ統計的に有意な痒みの減少を誘導したことが示された。表3および図1は、シャンプーSL15VS021−2(PEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル、比1:2w/w%を2%含む)およびシャンプーSL15VS021−1(プラセボ)の痒み効果の短期評価の結果;1、5、15および30分後に受け取ったデータを示す。
【0172】
【表3】
【0173】
長期評価の結果
【0174】
臨床評価により、シャンプーSL15VS021−2(PEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル 比1:2w/w%を2%含む)を使用することで、プラセボのシャンプーSLVS021−1と比較して、紅斑および痒み感においてより統計的に有意な減少が誘導されたことが立証された。フケ、脂漏および灼熱感について統計的に有意な変化は見られなかった。製品は悪影響を及ぼさず、頭皮に刺激を誘導しなかった;すべてのボランティアは全体的に非常に良好な忍容性を示した。7日間の反復適用後に2%のPEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル 比1:2w/w%を含む痒み防止シャンプーSL15VS021−2の長期評価の結果を、表4〜6および図2にまとめている。
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
臨床評価により、シャンプーSL15VS021−2(2%のPEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル 比1:2w/w%を有する)を使用することで、7日間の反復適用後のプラセボと比較して、紅斑において、そして痒み感において統計的に有意な減少が誘導されることが明らかとなった。
【0179】
さらに、フケ、脂漏、および灼熱感について、データセット間の有意な変化は見られなかった。このことにより、製品の使用が悪影響を及ぼすことなく皮膚部位に刺激を引き起こすこともないことが証明された。
【0180】
迅速かつ即時の痒み減少を参照すると、最初の製品使用から1、5、15および30分後に、シャンプーSL15VS021−2(2%のPEG−5イソノナノエート/PEG−9トリデシルエーテル 比1:2w/w%を含む)は、プラセボのシャンプーよりも強く、統計的に有意な変化を誘導した。
調合物例1〜15
(皮膚鎮静)痒み低減作用を有する式1に従った化合物を含む調合物(組成物):
1:スキンライトニングデイクリームo/w
2:皮膚鎮静ローション
3:日焼け後、痒み低減剤
4:カーミングボディスプレー
5:サンスクリーンローション(o/w、ブロードバンド保護剤)
6:w/oナイトクリーム
7:頭皮鎮静フケ防止シャンプー
8:セルフタンニングクリーム
9:痒み防止バリア修復クリーム
10:制汗剤/脱臭剤ロールオン
11:UV−A/B−ブロードバンド保護剤を有するエマルジョン
12:低油含有量のUV−A/B−ブロードバンド保護剤を有するサンスプレー
13:UV−A/UV−B保護剤を有するスキンライトニングバルム
14:UV−B/UV−A保護剤を有する頭皮鎮静ヘアコンディショナー、リンスオフ
15:痒み防止のヘアコンディショナー、リーブオン
【表7】
図1
図2