特許第6945461号(P6945461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945461
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】安全情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/907 20190101AFI20210927BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20210927BHJP
【FI】
   G06F16/907
   G06Q50/08
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-1066(P2018-1066)
(22)【出願日】2018年1月9日
(65)【公開番号】特開2019-121210(P2019-121210A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健一
(72)【発明者】
【氏名】内田 佳親
(72)【発明者】
【氏名】犬窪 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】小澤 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏泰
(72)【発明者】
【氏名】浅谷 輝暁
(72)【発明者】
【氏名】浅葉 耕規
【審査官】 原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−218772(JP,A)
【文献】 特開2017−134675(JP,A)
【文献】 特開平09−016100(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設の安全に係る安全情報を提供する安全情報提供システムであって、
提供対象となる安全情報を記憶する提供用データベースと、
関連語の学習に用いると共に建設に係る学習用情報を記憶する学習用データベースと、
前記学習用データベースに記憶された学習用情報から機械学習によって互いに関連する関連語のセットを特定する関連語特定手段と、
キーワードを入力する検索用情報入力手段と、
前記関連語特定手段によって、前記検索用情報入力手段によって入力されたキーワードの関連語とされた関連キーワードを特定する関連キーワード特定手段と、
前記関連キーワード特定手段によって特定された関連キーワードを用いて、前記提供用データベースに記憶された安全情報の検索を行って提供する安全情報を抽出する検索手段と、
前記検索手段によって抽出された安全情報を出力する出力手段と、
を備え
前記検索用情報入力手段は、予め時刻及び災害のタイプ毎に設定されて記憶されたと共に災害のタイプに対応する複数の設定キーワードから、時刻に応じて設定キーワードを取得して入力し、
前記検索手段は、前記検索用情報入力手段によって入力された設定キーワードも用いて検索を行う、安全情報提供システム。
【請求項2】
前記検索用情報入力手段は、天気に係る情報を入力し、
前記検索手段は、前記検索用情報入力手段によって入力された天気に係る情報も用いて検索を行う、請求項1に記載の安全情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設の安全に係る安全情報を提供する安全情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設現場における災害の情報を今後の作業の安全に役立てることが提案されている。例えば、特許文献1には、過去に発生した災害の情報を記憶しておき、これから実施する作業のデータの入力に応じて情報を表示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−44211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過去の災害事例を示す情報をデータベースに記憶させておき、作業に関するキーワードを入力して、キーワードに基づいてデータベースから類似の災害事例を検索することによって、その作業による過去の災害及び対策を確認することが可能になる。しかしながら、入力されたキーワードそのものが災害事例を示す情報に含まれていなければ、仮に当該災害事例が当該キーワードに関連するものであっても検索によってその情報が抽出されない。即ち、キーワード次第で適切な情報を出力できないおそれがあった。キーワードの類義語を予め用意しておくことも考えられるが、災害事例の検索において適切な類義語を用意することは容易ではなく、また、大きな手間が必要になる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、入力に対して適切な安全情報を提供することができる安全情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る安全情報提供システムは、建設の安全に係る安全情報を提供する安全情報提供システムであって、提供対象となる安全情報を記憶する提供用データベースと、関連語の学習に用いると共に建設に係る学習用情報を記憶する学習用データベースと、学習用データベースに記憶された学習用情報から機械学習によって互いに関連する関連語のセットを特定する関連語特定手段と、キーワードを入力する検索用情報入力手段と、関連語特定手段によって、検索用情報入力手段によって入力されたキーワードの関連語とされた関連キーワードを特定する関連キーワード特定手段と、関連キーワード特定手段によって特定された関連キーワードを用いて、提供用データベースに記憶された安全情報の検索を行って提供する安全情報を抽出する検索手段と、検索手段によって抽出された安全情報を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る安全情報提供システムでは、学習用情報から機械学習によって特定された関連語のうち入力されたキーワードの関連語が関連キーワードとして安全情報の検索に用いられる。従って、入力されたキーワードそのものが安全情報に含まれていなくても、適切な安全情報が検索によって抽出される。これにより、本発明に係る安全情報提供システムによれば、入力に対して適切な安全情報を提供することができる。
【0008】
検索用情報入力手段は、天気に係る情報を入力し、検索手段は、検索用情報入力手段によって入力された天気に係る情報も用いて検索を行う、こととしてもよい。この構成によれば、建設現場等の天気に応じた適切な安全情報を提供することができる。
【0009】
検索用情報入力手段は、予め時刻及び災害のタイプ毎に設定されて記憶されたと共に災害のタイプに対応する複数の設定キーワードから、時刻に応じて設定キーワードを取得して入力し、検索手段は、検索用情報入力手段によって入力された設定キーワードも用いて検索を行う。この構成によれば、検索結果のマンネリ化を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、入力されたキーワードそのものが安全情報に含まれていなくても、適切な安全情報が検索によって抽出されるため、入力に対して適切な安全情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る安全情報提供システムである現地KY支援システムの構成を示す図である。
図2】災害事例データベースに記憶される災害情報の例を示す図である。
図3】翌日予定している作業に関する情報の入力画面の例を示す図である。
図4】予め記憶される設定キーワードの例を示すテーブルである。
図5】送信される電子メールの例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る安全情報提供システムである現地KY支援システムで実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面と共に本発明に係る安全情報提供システムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に本実施形態に係る安全情報提供システムである現地KY支援システム10を示す。現地KY支援システム10の建築又は土木等の建設の現場における、KY(危険予知)を支援するシステムである。現地KY支援システム10は、建設現場の作業員又は作業の管理者に建設の安全に係る安全情報を提供する。提供される安全情報は、過去の災害事例に関する災害情報である。
【0015】
建設現場では、例えば、以下のように作業が行われる。建設会社の協力会社の社員が、建設現場における作業を行う。通常、1つの建設現場に複数の協力会社が参加しており、建設現場における各作業に対してそれぞれの協力会社が割り振られる。建設会社の社員が作業の管理者、即ち、協力会社の管理者となる。建設会社の社員には、社員毎に管理(担当)する作業、即ち、協力会社が割り振られる。
【0016】
上記の状況のもと、現地KY支援システム10は、例えば、以下のように用いられる。現地KY支援システム10は、協力会社の社員のリーダーである職長の入力操作に応じて、入力端末20から、建設現場において翌日予定している作業に関する情報を毎日入力する。現地KY支援システム10は、入力した情報に基づいて、翌日予定している作業のKYに資する災害情報を検索する。現地KY支援システム10は、検索によって抽出された情報を、当該協力会社を管理する建設会社の社員が所持する受信端末30に送信する。建設会社の社員は、当該情報を参照して、作業が行われる日の朝礼や朝礼後のTBM(ツールボックスミーティング)等で災害事例を作業員である協力会社の社員に周知、指導して、危機意識付けを行う。
【0017】
現地KY支援システム10は、具体的には、CPU(CentralProcessing Unit)、メモリ等のハードウェアを含むコンピュータであるサーバ装置によって構成されている。現地KY支援システム10の後述する各機能は、これらの構成要素がプログラム等により動作することによって発揮される。なお、現地KY支援システム10は、一つのコンピュータで実現されてもよいし、複数のコンピュータがネットワークにより互いに接続されて構成されるコンピュータシステムにより実現されていてもよい。
【0018】
現地KY支援システム10は、無線通信網及びインターネット等のネットワークNを介して、入力端末20及び受信端末30との間で情報の送受信を行うことができる。入力端末20は、例えば、建設現場の職長によって用いられ、災害情報の検索に用いられる情報を入力する端末である。受信端末30は、例えば、建設会社の社員によって用いられ、災害事例に関する情報を受信する端末である。入力端末20及び受信端末30は、具体的には、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートフォン等のコンピュータである。
【0019】
引き続いて、本実施形態に係る現地KY支援システム10の機能について説明する。図1に示すように、現地KY支援システム10は、災害事例データベース11と、学習用データベース12と、関連語特定部13と、検索用情報入力部14と、関連キーワード特定部15と、検索部16と、出力部17とを備えて構成される。
【0020】
災害事例データベース11は、提供対象となる災害情報を記憶する提供用データベースである。図2に災害事例データベース11に記憶される災害情報の例を示す。災害情報は、例えば、建設会社が請け負った過去の建設現場で実際に発生した災害事例に係るものである。1つの災害情報は1つの災害事例を示すものであり、災害事例データベース11は、複数の災害情報を記憶する。災害情報は、様々な災害に係るものであることとするのがよい。例えば、災害情報には、死亡災害及びケガに係るものだけでなく、重大なヒヤリハット事例に係るものも含まれることとするのがよい。
【0021】
図2に示すように災害情報は、災害に関する文字列(テキスト)を含む。図2に示すように、当該文字列は、どのような工事及び作業で災害(事故)が生じたか、災害のタイプ、発生した日時、天気、災害に巻き込まれた作業者、災害の発生の状況の説明、災害の原因の説明及び災害への対策の説明等の災害に関する任意の事項を示すものである。また、災害情報は、災害の状況等を示す図面を含んでいてもよい。災害事例データベース11に記憶される災害情報は、例えば、現地KY支援システム10の管理者等によって予め生成されて現地KY支援システム10に入力されている。
【0022】
学習用データベース12は、関連語の学習に用いると共に建設に係る学習用情報を記憶するデータベースである。学習用データベース12は、例えば、災害事例データベース11に記憶される災害情報を学習用情報として記憶する。また、学習用データベース12は、提供対象となる災害情報以外の災害情報(公的な労働災害データベースに格納された災害情報)を記憶してもよい。また、学習用データベース12は、災害情報以外にも建設に係る情報であれば学習用情報として記憶することとしてもよい。例えば、学習用データベース12は、建設会社における議事録、教育用資料、現場パトロールに関する情報を学習用情報として記憶することとしてもよい。学習用データベース12に記憶される学習用情報は、関連語の学習に用いることができるように文字列を含む。学習用データベース12に記憶される学習用情報は、適切な学習が行われるようなるべく多く用意されるのがよい。
【0023】
なお、災害事例データベース11に記憶される災害情報のみを関連語の学習に用いる学習用情報とする場合には、学習用データベース12を災害事例データベース11と別に設ける必要はない(この場合、災害事例データベース11が学習用データベース12を兼ねる)。また、学習用データベース12は、必ずしも災害事例データベース11に記憶される災害情報を記憶する必要はない。学習用データベース12に記憶される学習用情報は、例えば、現地KY支援システム10の管理者によって予め取得されて現地KY支援システム10に入力されている。
【0024】
関連語特定部13は、学習用データベース12に記憶された学習用情報から機械学習によって互いに関連する関連語のセットを特定(学習)する関連語特定手段である。関連語特定部13は、学習用データベース12に記憶された学習用情報を読み出して、読み出した学習用情報を用いて機械学習を行って、互いに関連する関連語のセットを特定する。関連語特定部13は、従来の機械学習の方法(AI(人工知能)プログラム)によって関連語のセットを特定する。関連語のセットとは、互いに関連する単語の組み合わせである。関連語のセットには、複数の単語が含まれる。具体的には例えば、関連語特定部13は、機械学習プログラム「Word2Vec」によって各単語の意味ベクトルを算出して、算出した意味ベクトルから単語間の類似度(スコア)を算出する。関連語特定部13は、類似度が予め設定された閾値以上とされた単語のひとまとまりを関連語のセットとする。例えば、「H鋼」という単語に対して「SRC」、「胴縁」という単語群が関連語のセットとされる。あるいは、「転落」という単語に対して「しり」、「転倒」という単語群が関連語のセットとされる。
【0025】
上記のように、建設に係る学習用情報を用いて関連語を学習することで、一般的な関連語ではなく、建設に係る情報、即ち、安全情報を検索するために適切な関連語のセットを得ることができる。なお、関連語は、必ずしも意味が類似する単語(類義語)でなくてもよく、機械学習によって何らかの関連が見いだされたものであればよい。関連語特定部13によって特定された関連語のセットは、現地KY支援システム10に記憶されて関連キーワード特定部15によって参照される。
【0026】
検索用情報入力部14は、災害事例データベース11の災害情報の検索に用いる情報を入力する検索用情報入力手段である。検索用情報入力部14は、キーワードを入力する。検索用情報入力部14は、天気に係る情報を入力する。検索用情報入力部14は、時刻に応じて予め設定された設定キーワードを入力する。具体的には、検索用情報入力部14は、以下のように各情報を入力する。
【0027】
検索用情報入力部14は、以下のように入力端末20からキーワードを入力する。入力端末20は、職長の操作によって現地KY支援システム10に対して、翌日予定している作業に関する情報の入力の要求を行う。現地KY支援システム10は、当該要求に応じて入力端末20に対して図3に示す入力のフォームを送信する(図3の例では、各情報が既にフォームに入力されている)。入力端末20は、職長の操作によってフォームに入力された情報を現地KY支援システム10に送信する。
【0028】
フォームに入力される情報は、建設現場において翌日予定している作業に関する情報である。当該情報は、図3に示すように作業の場所(棟、階、エリア)、作業内容、予想される危険、安全指示事項及び他職への注意事項等である。当該情報には、文字列で入力される情報が含まれる。図3では、文字列で入力される情報は、作業内容、予想される危険、安全指示事項及び他職への注意事項の欄Fの情報である。文字列は、例えば、職長によって自由に入力される(入力を容易にするために過去の入力の履歴を用いることができるようにしてもよい)。
【0029】
検索用情報入力部14は、入力端末20から送信された情報を受信して入力する。検索用情報入力部14は、入力した情報に含まれる文字列からキーワードを抽出して入力する。例えば、検索用情報入力部14は、入力した文字列に対して形態素解析を行って単語に分割して、当該単語から予め除外する単語として設定された単語を除外して、残った単語をキーワードとして抽出する。検索用情報入力部14は、抽出したキーワードを関連キーワード特定部15に出力する。
【0030】
なお、翌日予定している作業に関する情報は、現地KY支援システム10とは別のシステム(例えば、建設現場における作業を管理するシステム)によって入力、管理されていてもよい。その場合、検索用情報入力部14は、当該別のシステムから、翌日予定している作業に関する情報を取得してもよい。
【0031】
検索用情報入力部14は、外部の天気予報サービスから天気に係る情報をAPI(アプリケーション プログラミング インタフェース)で取得して入力する。取得される天気に係る情報は、検索される災害情報が利用される日及び場所のものである。例えば、災害情報が利用される前日に検索が行われる場合には、検索用情報入力部14は、建設現場の翌日の天気に係る情報を取得する。取得される天気に係る情報は災害情報の検索に利用が可能な形式であり、例えば、「雨」、「晴」、「台風」、「強風」等の文字列である。また、天気に係る情報には、「熱中症」といった天気が主な原因によって生じる事象等を示す文字列が含まれていてもよい。なお、天気に係る情報の入力は、上記以外の方法(例えば、人手による入力)によって行われてもよい。
【0032】
検索用情報入力部14は、予め記憶された設定キーワードのテーブルから、取得時点の時刻に応じて設定キーワードを取得して入力する。図4に示すように設定キーワードは、分類及び日毎に記憶されている。分類は、災害のタイプを示したものであり、図4に示すように墜落転落タイプ、重機接触タイプ、飛来落下タイプ及び火事火災タイプの4つのタイプがある。なお、分類には上記の4つ以外のものがあってもよい。テーブルに格納される設定キーワードは、例えば、現地KY支援システム10の管理者によって予め現地KY支援システム10に入力されている。検索用情報入力部14は、取得日に応じて日替わりで各分類の設定キーワードを取得する。例えば、前日に「Day−1」の設定キーワードを取得していたら、「Day−2」の設定キーワードを取得する。
【0033】
検索用情報入力部14は、取得した天気に係る情報及び設定キーワードを検索部16に出力する。なお、検索用情報入力部14による各情報の入力は、検索部16による検索が行われる前のタイミングで行われていればよい。
【0034】
関連キーワード特定部15は、関連語特定部13によって、検索用情報入力部14によって入力されたキーワードの関連語とされた関連キーワードを特定する関連キーワード特定手段である。関連キーワード特定部15は、検索用情報入力部14からキーワードを入力する。関連キーワード特定部15は、関連語特定部13によって特定された関連語のセットを読み出す。関連キーワード特定部15は、読み出した関連語のセットにおいて、入力したキーワードと関連語となっている単語を関連キーワードと特定する。例えば、「H鋼」が入力したキーワードであったら、「SRC」、「胴縁」が関連キーワードと特定される。検索用情報入力部14から入力したキーワードが複数あった場合には、関連キーワード特定部15は、入力したキーワード毎に関連キーワードを特定する。また、1つのキーワードについて、(複数ではなく)1つの関連キーワードがあってもよい。
【0035】
また、関連キーワード特定部15は、関連語特定部13によって特定された関連語のセット以外の関連語も用いて、キーワードから関連キーワードを特定してもよい。例えば、予め類義語辞書を記憶しておき、類義語辞書によってキーワードから関連キーワードを特定してもよい。関連キーワード特定部15は、入力したキーワード及び特定した関連キーワードを検索部16に出力する。
【0036】
検索部16は、災害事例データベース11に記憶された災害情報の検索を行って提供する災害情報を抽出する検索手段である。検索部16は、当該検索に関連キーワード特定部15によって特定された関連キーワードを用いる。また、検索部16は、検索用情報入力部14によって入力された天気に係る情報及び設定キーワードも用いて検索を行う。
【0037】
検索部16は、関連キーワード特定部15から、キーワード及び関連キーワードを入力する。検索部16は、検索用情報入力部14から、天気に係る情報及び設定キーワードを入力する。検索部16は、入力した情報全てを検索用のキーワードとして用いて、災害の分類毎に災害事例データベース11に記憶された災害情報の検索(災害情報に含まれる文字列に対する検索)を行う。検索部16は、キーワード、関連キーワード及び天気に係る情報については、全ての分類の検索に用いる。検索部16は、設定キーワードについては、対応する分類の検索に用いる。
【0038】
検索部16による検索は、従来のテキスト検索を行う検索エンジン(例えば、Fess等の全文検索エンジン)によって行うことができる。検索部16は、例えば、当該従来の検索エンジンによって、各災害情報の検索のスコア(検索用のキーワードがヒットした度合い)を算出する。検索部16は、災害の分類毎に最もスコアが高い災害情報を検索結果として抽出する。検索部16は、災害の分類毎に検索結果として抽出した災害情報を示す情報を出力部17に出力する。
【0039】
上記の検索は、協力会社の職長による、翌日予定している作業に関する情報の入力毎に行われる。即ち、検索によって抽出される災害情報は、当該協力会社(当該作業)に対応したものとなる。また、検索部16による検索に用いられる検索用のキーワードとしては、上記に加えて上記以外のものが入力されて用いられてもよい。例えば、作業員の職種を示すキーワードが検索に用いられてもよい。
【0040】
検索部16による検索における関連キーワードの利用は、上記以外の方法で行われてもよい。例えば、まず、関連キーワードを用いずに検索を行って、災害情報が抽出できなかった場合(災害情報がヒットしなかった場合)、あるいは、一定以上のスコアを超える災害情報がなかった場合に、関連キーワードを検索用のキーワードとして用いて検索を行うこととしてもよい。
【0041】
出力部17は、検索部16によって抽出された災害情報を出力する出力手段である。出力部17は、検索用情報入力部14によるキーワードの入力元に応じた出力先に災害情報を出力する。
【0042】
出力部17は、検索部16から災害情報を示す情報を入力する。出力部17は、入力した災害情報を示す情報を受信端末30に送信する。例えば、出力部17は、当該災害情報を示す情報を含む電子メールを生成して受信端末30に送信する。当該電子メールの例を図5に示す。当該電子メールには、当該災害情報を示す情報として、災害の分類毎の災害情報へのリンクL(例えば、URL(Uniform Resource Locator))が含められる。なお、電子メールの文面については、出力部17に予め記憶されており、それが電子メールの生成に用いられる。電子メールを受信した受信端末30が当該URLへのアクセスを行うと、出力部17は当該アクセスに応じてURLに対応する災害情報を受信端末30に送信する。これにより、受信端末30は図2に示すような災害情報を表示する。
【0043】
また、図5に示すように当該電子メールから災害情報が参考になったか否かのフィードバックの情報を入力できるようにしてもよい。フィードバックの情報は、例えば、災害情報の表示の順番を決める際に利用することができる。例えば、参考になったとされた数が多い災害情報は上位に表示し、参考にならなかったとされた数が多い災害情報は下位に表示する。
【0044】
出力部17は、予め設定された時刻に当該電子メールを送信する。例えば、出力部17は、作業が行われる当日の朝7時に電子メールを送信する。出力部17による電子メールの送信は、現地KY支援システム10の管理者によって送信先と送信される電子メールの内容がチェックされた上で現地KY支援システム10の管理者の操作をトリガとして、一斉又は個別で行われてもよい。また、電子メールの内容は、現地KY支援システム10の管理者によって編集されてもよい。
【0045】
上記のように、検索によって抽出される災害情報は、協力会社毎(作業毎)のものである。出力部17は、抽出された災害情報に対応する協力会社を管理する建設会社の社員の受信端末30に、当該災害情報に係る上記の電子メールを送信する。協力会社と管理する建設会社の社員との対応付けは、予め出力部17に記憶されている。協力会社の割り当てがない建設会社の社員については、出力部17は、リスクが高い協力会社に対応する災害情報の電子メールを送信することとしてもよい。例えば、現場に入って日が浅い協力会社は事故を起こしやすいという統計データがあるため、建設現場での協力会社の登録日を記憶させておき、登録日からの日数が最も短い協力会社に対応する災害情報の電子メールを送信する。以上が、本実施形態に係る現地KY支援システム10の機能である。
【0046】
引き続いて、図6のフローチャートを用いて、本実施形態に係る現地KY支援システム10で実行される処理を説明する。本処理では、まず、関連語特定部13によって、学習用データベース12に記憶された学習用情報から機械学習によって互いに関連する関連語のセットが特定(学習)される(S01)。特定された関連語のセットは、現地KY支援システム10に記憶されて以降の関連キーワード特定部15による処理によって参照される。なお、上記の処理(S01)は、以降の一連の処理(S02〜S05)の前に予め一度だけ行っておけばよく、必ずしも毎回の処理で行われる必要はない。
【0047】
続いて、検索用情報入力部14によって、災害事例データベース11の災害情報の検索に用いられる情報が入力される(S02)。具体的には、職長の操作によって入力端末20から送信された情報が受信されて当該情報に基づくキーワードが抽出されて入力される。また、天気に係る情報及び設定キーワードが取得されて入力される。続いて、関連キーワード特定部15によって、入力されたキーワードの関連語とされた関連キーワードが特定される(S03)。
【0048】
続いて、検索部16によって、キーワード、関連キーワード、天気に係る情報及び設定キーワードが検索用のキーワードとして用いられて、災害事例データベース11に記憶された災害情報の検索が行われる(S04)。続いて、検索によって抽出された災害情報が、出力部17によって、建設会社の社員が所持する受信端末30に送信される(S05)。上記の一連の処理(S02〜S05)は、繰り返し行われる。例えば、毎日災害情報(を通知する電子メール)の受信端末30への送信が行われる。以上が、本実施形態に係る現地KY支援システム10で実行される処理である。
【0049】
上述した実施形態では、学習用データベース12に記憶された学習用情報から機械学習によって特定された関連語のうち、入力されたキーワードの関連語が関連キーワードとして災害情報の検索に用いられる。従って、入力されたキーワードそのものが災害情報に含まれていなくても、適切な災害情報が検索によって抽出される。これにより、実施形態によれば、入力に対して適切な災害情報を提供することができる。
【0050】
大きな建設現場になると建設会社の社員及び協力会社の職長がそれぞれ数百人規模となることもあり、それらの中には過去の災害を実際に経験しておらず、過去の災害事例を効率的かつ適切に検索できない者もいる。また、建設会社の社員等の数が多くなってくるとベテラン社員からの知識及びノウハウの継承にも限界がある。そのような状況では、適切な災害事例を周知、指導して適切にKYを行うことが困難である。一方、本実施形態では、適切な災害情報が建設会社の社員に配信されるため、建設現場において、それが作業を行う協力会社の作業員に周知、指導されることで適切かつ効率的なKYが可能になる。
【0051】
また、上述した実施形態のように天気に係る情報を入力し、それを検索に用いることとしてもよい。この構成によれば、建設現場等の天気に応じた適切な災害情報を提供することができる。但し、天気に係る情報は必ずしも用いられる必要はなく、天気に係る情報を用いない構成としてもよい。
【0052】
また、本実施形態のように日替わりの設定キーワードを入力して、それを検索に用いることとしてもよい。この構成によれば、仮に職長によって入力される翌日予定している作業に関する情報に変化がなかったとしても、日毎に検索される災害情報を変化させることができる。即ち、この構成によれば、検索結果のマンネリ化を防止することができる。なお、設定キーワードは必ずしも日替わりにする必要はなく、時刻に応じて変化することとすればよい。また、設定キーワードは必ずしも用いられる必要はなく、設定キーワードを用いない構成としてもよい。
【0053】
また、本実施形態のようにキーワードの入力元、即ち、翌日予定している作業に関する情報を入力した職長(協力会社)に応じた送信先に災害情報を送信することとしてもよい。この構成によれば、適切な出力先、即ち、適切な建設会社の社員に対して災害情報を出力することができる。但し、必ずしもこのような構成を取る必要はなく、予め固定的に設定された出力先に災害情報を出力することとしてもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、提供される安全情報は過去の災害事例に関する災害情報であるものとしたが、安全情報は必ずしも災害事例である必要はなく、建設の安全に係る情報であればどのような情報であってもよい。また、提供される安全情報には、例えば、動画や音声情報等が含まれてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、協力会社の職長が入力した情報に基づいて、建設会社の社員に災害情報が送信されていたが、本発明は、必ずしも上記のような背景に限られず、入力した情報を用いて災害情報を出力するものであれば、どのような背景に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…現地KY支援システム、11…災害事例データベース、12…学習用データベース、13…関連語特定部、14…検索用情報入力部、15…関連キーワード特定部、16…検索部、17…出力部、20…入力端末、30…受信端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6