【実施例1】
【0016】
図1〜
図23を用いて第1実施例を説明する。本実施例では、地下埋設管や施設の維持管理と保守を行うユーザに対して、自組織が管理する構築物等に設置したセンサに加えて、他の様々な組織が構築物等に設置したセンサからの詳細なデータや、それらのデータが一次処理された他システムからの俯瞰的な情報を活用する。これにより、本実施例では、地下埋設管の状態や保守活動の管理にとどまらず、それが及ぼす影響やリスクに関する情報をユーザへ提供することができる。
【0017】
本実施例の「構造物情報管理システム」としての構造物統合管理システム1は、地下埋設管等の管理に限らず、例えば物流倉庫、配送活動の管理、道路および交通の管理等に利用しても良い。
【0018】
図1は、構造物統合管理システム1の全体構成図である。構造物統合管理システム1は、計算機10を利用して構築される。計算機10は、例えば、マイクロプロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、入出力回路、通信回路(いずれも不図示)といった各種コンピュータ資源を備えている。マイクロプロセッサが、補助記憶装置に格納された所定のコンピュータプログラムを主記憶装置に呼び出して実行することにより、後述する構造物統合管理システム1としての所定の機能11〜16が実現される。なお、コンピュータプログラムだけでなく、専用のハードウェア回路とコンピュータプログラムとの協同作業により所定の機能を実現してもよい。
【0019】
構造物統合管理システム1は、それぞれ後述するように、例えば、データ収集部11と、データ統合管理部12と、影響算出部13と、ユーザ管理部14と、アプリケーション管理部15と、インタフェース部16とを備える。以下の説明および図面では、アプリケーションをアプリと略記する。
【0020】
データ収集部11は、所定のデータ源から所定の元データを収集して保持する。所定のデータ源としては、例えば、インフラ供給事業者や防災関連機関等の組織が保有する各種システム2A,2Bや、構造物等に設置した各種センサ3A,3Bがある。これらのシステム2A,2Bおよびセンサ3A,3Bからのデータは、通信ネットワークCNを介して、データ収集部11へ送られて保持される。
【0021】
システム2A,2Bを区別しない場合、システム2と呼ぶ。同様に、センサ3A,3Bを区別しない場合、センサ3と呼ぶ。センサ3には、例えば、漏水検知センサ、圧力センサ、ガス検出センサ、色センサ、温度センサ、湿度センサ、画像センサ、超音波センサ、赤外線センサ、トルクセンサ等がある。
【0022】
データ収集部11は、センサ3からのデータ(センサデータまたは生データとも呼ぶ)や、一つまたは複数のセンサ3からのデータをシステム2で一次処理したデータを、通信ネットワークCNを介して取得し、保存する。
【0023】
「データ管理部」としてのデータ統合管理部12は、データ収集部11で保存されたデータに対して所定のメタデータを付与して管理する。所定のメタデータとしては、例えば、時空間モデルとの関係性(時間や地理空間との関係性)、他のデータとの関係性、データの属性(基盤地図・地物、インシデント、状態・被害、行動など)等がある。
【0024】
データ統合管理部12は、アプリ管理部15からの要求に応じて、付与されたメタデータに基づき、1つのデータあるいは複数のデータを加工処理してデータを生成し、アプリ管理部15に送信する。
【0025】
影響算出部13は、データ収集部11で保存されたデータから、構造物や保守工事などの活動に対する影響を算出する。
【0026】
ユーザ管理部14は、構造物統合管理システム1をユーザ端末4A,4Bを介して利用するユーザ(不図示)を管理し、ユーザが本システム1を利用する際のアクセス認証を実行する。特に区別しない場合、ユーザ端末4A,4Bをユーザ端末4と呼ぶ。
【0027】
アプリ管理部15は、構造物の状態や保守活動等の管理と、それが及ぼす影響やリスクに関する情報を生成するアプリケーションを保持する。
【0028】
インタフェース部16は、ユーザ端末4から入力される情報を受け付けたり、ユーザ端末4に対して情報を提供したりする。構造物統合管理システム1と各ユーザ端末4とは、直接接続されていてもよいし、または、ローカルネットワークやインターネットなどのネットワーク経由で接続されていてもよい。通信ネットワークに代えて、フラッシュメモリ等の記憶媒体を用いてデータを移動させる構成としてもよい。
【0029】
ユーザ端末4は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、ウエアラブル型パーソナルコンピュータ等のようなコンピュータ端末として構成される。ユーザ端末4は、情報入力装置と情報出力装置(いずれも不図示)を備える。情報入力装置としては、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル、音声入力装置等がある。情報出力装置としては、例えば、ディスプレイ、プリンタ、音声合成装置等がある。
【0030】
図2は、構造物統合管理システム1の機能構成図である。データ収集部11は、例えば、データ収集機能111と、データ登録機能112と、取得データ管理DB113とを備える。
【0031】
データ収集機能111は、各センサ3からのデータ(センサデータ)と、各システム2からのデータ(センサデータを一次処理したデータ)とを収集する。データ登録機能112は、それら収集されたデータを取得データ管理DB113に登録させる。
【0032】
データ統合管理部12は、例えば、時空間マッピング機能121と、関係性抽出機能122と、データ提供機能123と、時空間マッピングDB124と、データ関係性管理DB125と、生成データ管理DB126とを備える。
【0033】
「時空間マッピング部」としての時空間マッピング機能121は、取得データ管理DB113に保存されたデータに対して、時空間モデルに関連付けて(時間や地理空間と関連付けて)、各データとその関係性を時空間マッピングDB124に登録する。
【0034】
「関係性抽出部」である関係性抽出機能122は、取得データ管理DB113に保存されたデータ同士を関連付け、その関係性をデータ関係性管理DB125に登録させる。さらに関係性抽出機能122は、それぞれのデータの属性(基盤地図・地物、インシデント、状態・被害、行動など)などのメタデータを付与して、データ関係性管理DB125へ登録させる。
【0035】
データ提供機能123は、データを生成し、生成したデータを生成データ管理部126に登録させたり、アプリ管理部15へ提供したりする。データ提供機能123は、例えば、アプリ管理部15からの要求に応じて、付与されたメタデータに基づき、1つのデータ、あるいは複数のデータを加工処理してデータを生成する。さらにデータ提供機能123は、影響算出部13により構造物や活動への影響を算出させてデータを生成する。
【0036】
影響算出部13は、例えば、データ受信機能131と、データ作成機能132とを備えている。データ受信機能131は、時空間マッピングDB124に保存されたデータから構造物や保守工事などの活動への影響を算出するためのデータを受信したり、データ提供機能123から影響算出要求を受信したりする。データ作成機能132は、受信したデータを用いて、構造物や保守工事などの活動への影響を算出する。
【0037】
ユーザ管理部14は、ユーザ認証機能141と、データ検証機能142と、ユーザ管理DB143と、データ利用管理DB144とを備える。ユーザ認証機能141は、本システム1を利用するユーザに関する情報(ユーザ名やパスワードなど)をユーザ管理DB143に登録し、本システム1を利用する際のアクセス認証を行う。データ検証機能142は、本システム1で扱う各データを利用可能なユーザを設定して、データ利用管理DB144に登録し、データを生成または提供する際に、ユーザに応じてデータの生成または提供可否を判定する。
【0038】
アプリ管理部15は、地下埋設管等の構造物の状態や保守活動の管理、およびそれらが及ぼす影響やリスクに関する情報を生成するアプリケーション151〜154を保持している。
【0039】
異常検知アプリ151は、例えば、漏水発生箇所などの構造物被害を検知してユーザに提示する。工事計画支援アプリ152は、漏水発生等の被害やそれに対する復旧活動が自組織の管理する構造物へ及ぼす影響を算出し、センサ3の観測したデータと共に、ユーザの活動や工事計画を支援する情報としてユーザに提示する。
【0040】
復旧計画支援アプリ153は、災害時におけるセンサ3などの観測データや、漏水発生等の被害やそれに対する復旧活動、防災システム等のシステム2から提供される災害関連データを用いて、優先的に復旧すべき箇所を提示する。安全確保アプリ154は、復旧活動情報と、防災システム等のシステム2から提供される災害関連データとを用いて、復旧活動へ影響を及ぼすリスク情報を生成して提示する。
【0041】
インタフェース部16は、例えば、メニュー選択機能161と、情報入力機能162と、情報出力機能163とを備える。メニュー選択機能161は、例えば、ユーザ端末4に対して、本システム1が提供する機能から、利用する機能を選択するためのメニュー選択画面を提供する。情報入力機能162は、ユーザ端末4からの情報表示要求などの入力を受け付ける。情報出力機能163は、アプリ管理部15の各アプリが出力する情報をユーザ端末4へ提示する。
【0042】
図3は、構造物統合管理シーケンスの一例を示す。本シーケンスは、構造物統合管理システム1において、地下埋設管などの構造物の状態や保守活動の管理、およびそれらが及ぼす影響やリスクに関する情報をユーザへ提示し、ユーザにおける異常の把握、保守活動の迅速かつ効率化を支援するまでの基本的な処理である。
【0043】
データ収集部11のデータ収集機能111は、インフラ供給事業者や防災関連機関等の組織が保有する各種システム2や、構造物等に設置した各種センサ3から、通信ネットワークCNを介して、センサデータや、それらのデータがシステムにより一次処理されたデータを収集する(S1)。データ登録機能112は、収集されたデータを、取得データ管理DB113へ登録する(S12)。
【0044】
取得データ管理DB113に新たなデータが追加されると、データ統合管理部12の関係性抽出機能122は、追加されたデータが取得済みのデータに対する更新データであるか調べ、更新データの場合には、更新前後のデータ間の関係性をデータ関係性管理DB125に登録する(S13)。
【0045】
時空間マッピング機能121は、取得データ管理DB113に追加されたデータに対して、共通の時空間モデルに関連付けて(時間や地理空間と関連付けて)、各データとその関係性を時空間マッピングDB124に登録する(S14)。
【0046】
関係性抽出機能122は、取得データ管理DB113に追加されたデータに対して、それぞれのデータの属性(基盤地図・地物、インシデント、状態・被害、行動など)などのメタデータを付与し、データ関係性管理DB125に登録する(S15)。
【0047】
ユーザがユーザ端末4から本システム1に、予め登録されたユーザIDおよびパスワードを用いてログインすると、メニュー選択機能161の提供するメニュー選択画面がユーザ端末4の画面に表示される(S16)。
【0048】
メニュー選択画面では、例えば、異常検知アプリ151、工事計画支援アプリ152、復旧計画支援アプリ153、安全確保アプリ154の中からユーザの希望するアプリを選択することができる。ユーザがいずれかのアプリを選択すると、情報入力機能162により情報入力画面がユーザ端末4に提供される。ユーザは、情報入力画面を介して、所望の情報を得るための要求を入力する(S16)。
【0049】
ユーザから要求が入力されると、アプリ管理部15の各アプリケーション(図中、「app」)は、その要求に応じて、データ統合管理部12のデータ提供機能123に対し、必要な情報を要求する(S17)。
【0050】
データ提供機能123は、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154のいずれかからの要求に応じて、データを生成し、生成したデータを影響算出部13に送信する(S18)。例えば、データ提供機能123は、時空間マッピングDB124より1つのデータ、あるいは複数のデータを取得し、統合処理をしてデータを生成し、生成したデータと影響算出要求とを影響算出部13のデータ受信機能131へ送信する。
【0051】
影響算出部13のデータ受信機能131は、データ提供機能123から受信したデータおよび影響算出要求をデータ生成機能132に渡す(S19)。データ生成機能132は、渡されたデータについて、影響算出要求に基づき、構造物や活動への影響を算出してデータを生成し、データ提供機能123に生成したデータを送信する(S20)。
【0052】
データ提供機能123は、受信した生成データを、生成データ管理DB126に登録し、要求元のアプリ管理部15のアプリケーション151〜154に生成データを送信する(S21)。
【0053】
時空間マッピング機能121は、生成データ管理DB126に追加された生成データに対して、時空間モデルと関連付けて、生成データとその関係性を時空間マッピングDB124に登録する(S22)。
【0054】
関係性抽出機能122は、生成データとその元となったデータ(統合した複数のデータや影響算出に使用したデータ)とを関連付け、その関係性をデータ関係性管理DB125に登録する(S23)。さらに、関係性抽出機能122は、生成データに対する属性(インシデント、状態・被害、行動など)などのメタデータを付与して、データ関係性管理DB125に登録する(S23)。
【0055】
アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、データ提供機能123から受信した生成データ、あるいは受信した生成データをアプリ内の加工機能で生成したデータを、インタフェース部16に送信する(S24)。アプリ内の加工機能で生成されたデータは、生成データ管理DB126に登録される(S24)。
【0056】
インタフェース部16の情報表示機能163は、各アプリケーション151〜154から受信したデータを、ユーザ端末4の画面に表示させる(S25)。
【0057】
図4〜
図7を用いて、構造物統合管理システム1が使用するデータベースの構成例を説明する。
【0058】
図4は、取得データ管理DB113の例である。取得データ管理DB113のテーブルは、例えば、データID1130、データ名称1131、取得時刻1132、提供元1133、利用範囲1134といったカラムを有する。
【0059】
データID1130は、各システム2や各センサ3から通信ネットワークCNを介して取得した生データ(緯度経度、測定時刻、数値など)RDを関連付けて識別するための情報である。データ名称1131は、データ内容を表現する情報である。取得時刻1132は、データを取得した時刻を示す。提供元1133は、データの取得元を示す。利用範囲1134は、データの公開範囲などの制限を示す。
【0060】
図5は、時空間マッピングDB124の例である。時空間マッピングDB124のテーブルは、例えば、時空間ID1240、エリア名1241、データID1242、データ名称1243、緯度・経度・高度1244、時刻1245、値1246、属性1247を備える。
【0061】
本実施例のマッピング情報SMは、共通の時空間モデルをある一定間隔ごとに区分けし、その対象領域と区分けした間隔、および区分けされた各区画とその区画を識別するための時空間IDを含む。
【0062】
時空間ID1240は、各システム2や各センサ3から収集したデータについて、時空間モデル上の各区画との関係性を紐付けるための情報である。エリア名1241は、各区画の名称を示す。データID1242は、データを識別する情報である。データ名称1243は、データの内容を示す名称である。緯度・経度・高度1244は、データIDにより特定される生データRDに含まれる場所情報を示す。時刻1245は、データIDにより特定される生データRDに含まれる時間情報を示す。
【0063】
値1246は、データIDにより特定される生データRDに含まれる数値やテキスト情報を示す。属性1247は、データIDによりデータ関係性DB125の項目「属性」1252から特定される情報である。
【0064】
緯度経度高度1244、時刻1245、値1246、属性1247は、必要に応じて登録しなくてもよい。すなわち、不要な場合は省略できる。
【0065】
時空間マッピングDB124に登録された各レコードの時空間ID1240とデータID1242とによって、各データが時空間モデル上のどの区間に存在しているかを特定することが可能となる。また、或る時空間モデルにのみ存在するデータだけを抽出することもできる。
【0066】
なお、マッピング情報SMは、時空間モデルのうち或る領域をさらに細分化し、1つ1つの区分を小さく設定して時空間ID1240を設定してもよい。または、時空間モデルの同一領域をそれぞれ異なる複数の解像度(粒度)で区分し、それぞれの区分での時空間ID1240を設定してもよい。
【0067】
図6は、データ関係性管理DB125の例である。データ関係性管理DB125のテーブルは、例えば、データID1250、データ名称1251、属性1252、関連データID1253、処理ID1254、関係性1255を備える。
【0068】
データID1250は、データを識別するための情報である。データ名称1251は、データ内容を表現する情報である。属性1252は、データの属性(例えば、地物、インシデント、状態・被害、行動等)を示す情報である。関連データID1253は、データIDを持つデータと関係するデータを紐付けて特定するための情報である。処理ID1254は、データIDを持つデータがどの処理によって生成されたものであるかを特定する情報である。関係性1255は、データIDを持つデータと関連データIDに登録されたデータIDを持つデータとの間の関係性(例えば、新旧の更新関係、データ(異常)の結果として得られたデータ(被害)を示す因果関係、複数のデータを統合して得られたデータであることを示す統合関係など)を示す情報である。
【0069】
図7は、生成データ管理DB126の例を示す。生成データ管理DB126のレコードは、例えば、データID1260、データ名称1261、取得時刻1262、処理ID1263、生成元1264、利用範囲1265を備える。
【0070】
データID1260は、データ提供機能123により登録された生成データ(緯度経度、測定時刻、数値など)GDを関連付けて識別するための情報である。データ名称1261は、データ内容を表現する情報である。取得時刻1262は、データを生成した時刻を示す。処理ID1263は、どの処理によって生成されたものであるかを特定するための情報である。生成元1264は、データの生成元を示す情報である。利用範囲1265は、データの公開範囲などの制限を示す情報である。
【0071】
図8は、データ統合管理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS101において、データ収集部11のデータ収集機能111は、各システム2や各センサ3から、通信ネットワークCNを介してデータを取得する。
【0073】
ステップS102では、データ収集部11のデータ登録機能112は、ステップS101で取得したデータそれぞれに対して、識別用のデータIDを付与する。
【0074】
ステップS103では、データ登録機能112は、ステップS101で取得したデータに関する情報、およびステップS102で付与したデータIDを、取得データ管理DB113に登録する。例えば、データID=”00001”、データ名称=”データA”、取得時刻=”2017年7月1日12:00:00”、提供元=”センサA”、利用範囲=”制限なし”をレコード1135として登録する。
【0075】
ステップS104では、データ統合管理部12の時空間マッピング機能121は、取得データ管理DB113への新規レコード追加を検知する。
【0076】
ステップS105では、ステップS104で検知した取得データ管理DB113に追加されたレコード(例えば、レコード1135)に対応するデータについて、データ名称1131(”データA”)や取得元1133(”センサA”)等を参照して、これまでに取得済みのデータに対する更新データであるか否かを判定する。更新データの場合、ステップS106を実行する。更新データではない場合、ステップS107を実行する。
【0077】
ステップS106では、データ統合管理部12の関係性抽出機能122は、ステップS103で新規登録されたデータと既存データとの関係性をデータ関係性管理DB125に登録し、ステップS107を実行する。例えば、レコード1135で登録されたデータRDが、データID=”00100”で登録されたデータの更新データである場合、データID=”00001”、データ名称=”データA”、関連データID=”00100”、関係性=”更新”をレコード1256として登録する。
【0078】
ステップS107では、ステップS101で取得したデータについて、時刻情報や場所情報(例えば、緯度・経度・高度)に基づき、時空間マッピングDB124の時空間ID1240を特定し、ステップS101で取得したデータに付与されたデータID1130と時空間ID1240を関係付けて登録する。例えば、レコード1135で登録されたデータRDに含まれる時刻と場所に該当する時空間上の位置が、マッピング情報1249上の時空間ID=”000010”で示される区分内に存在する場合、時空間ID=”000010”、データID=”00001”、および関連する情報(緯度・経度・高度、時刻など)をレコード1248として登録する。
【0079】
ここで、水道管のように長さがあるデータ、浸水エリアのように領域を持つデータ、浸水変化予測のように複数の時間を持つデータなど、複数の区分にまたがるデータについては、同一のデータIDで時空間IDが異なるレコードが登録される。これにより、多様なデータ源からの異なる解像度を持つデータを共通に扱うことができる。
【0080】
ステップS108では、ステップS107で登録したレコードに該当するデータについて、属性(例えば、地物、インシデント、状態・被害、行動等)を判定し、時空間マッピングDB124の当該データのレコードの属性1247に登録する。さらに、データ関係性管理DB125の前記データIDに該当するレコードの属性1252にも登録する(S108)。例えば、データ関係性管理DB125において”更新”の関係にあるデータと比較して場所情報が変化している場合は”移動”、値が変化している場合は、”動的”と判定する。
【0081】
ステップS101で取得したデータに記載されたメタデータ(情報提供元で設定された属性情報)や、後述するステップS117の関係性抽出機能や、後述するステップS132における各種アプリケーションから提供されたメタデータにより、”行動”や”被害”などを特定して登録する。ここで、情報提供元などで独自に付与された属性情報を、言語解析処理により共通的な用語に変換して、その用語も併せて属性情報として登録してもよい。例えば、”倒壊”と設定された属性情報について、言語解析処理により、類似の意味を持つ”被害”に変換して、”倒壊”と”被害”を併せて登録する。これにより、多様なユーザが意味付けした情報を統一的に扱うことができる。
【0082】
図9は、影響算出の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS111では、データ統合管理部12のデータ提供機能123は、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154からの要求に応じて、時空間マッピングDB124を参照して取得データ管理DB113から1つのデータ、あるいは複数のデータを取得し、影響算出部13のデータ受信機能131に取得したデータおよび影響算出要求を送信する。ここで、各アプリケーションは、ある構造物や活動を指定してそれに対する影響を算出するように要求したり、ある空間的な範囲や時間を指定して、その範囲にある構造物や活動への影響を算出するように要求する。なお、各アプリケーションからの要求の中で、アプリケーションを利用するユーザに関する情報を含め、取得データ管理DB113の利用範囲1134を参照して上記ユーザが利用可能なデータのみ取得するようにしてもよい。
【0084】
ステップS112では、データ受信機能131は、指定範囲の影響算出に必要なデータを受信する。
【0085】
ステップS113では、影響算出部13のデータ生成機能132は、ステップS112で受信したデータについて、影響算出要求に基づき、構造物や活動への影響を算出してデータを生成する。ここで、算出方法としては、構造物や活動に対する他構造物や活動、観測データの影響を算出関数に基づき算出する。
【0086】
算出関数は、例えば、「(影響を算出する構造物や活動と他の構造物の状態や被害、活動との間の時空間的な距離)×関係性×重みパラメータ」である。関係性は、構造物と他構造物異常の相関関係(どれだけ影響を与えるか)、構造物と他構造物被害の相関関係、構造物と活動の相関関係、構造物とリスク(地震等の災害)の相関関係、活動とリスク(地震等の災害)の相関関係である。例えば、自組織構造物(ガス管)付近の被害(水道管の漏水)、活動(他組織が実施している工事)、センサ観測データ(土中水分量)からガス管への影響度を算出したり、自組織構造物(道路)付近の被害(水道管の漏水)から道路への影響度(道路損傷など)を算出したり、自組織活動付近の被害リスク(土砂災害警戒データ)から活動への影響度(危険性)を算出する。重みパラメータは、実際に影響が観測された場合に、それに基づき相関関係を補正するためのパラメータである。
【0087】
ステップS114では、データ生成機能132は、ステップS113で生成したデータについて識別用の処理IDを付与し、データ統合管理部12のデータ提供機能123に、生成したデータおよび処理IDを送信する。
【0088】
ステップS115では、データ提供機能123は、受信した生成データおよび処理IDを、生成データ管理DB126に登録する。例えば、データID=”00101”、データ名称=”データY”、生成時刻=”2017年7月1日12:35:02”、処理ID=”002”、生成元=”データ提供”、利用範囲=”ユーザBのみ”をレコード1267として登録する。さらに、要求元のアプリ管理部15のアプリケーション151〜154に生成データを送信する。ここで、利用範囲は、影響算出に使用したデータ(ステップS111で取得したデータ)の利用範囲1134から特定する。なお、処理の内容(影響算出処理に利用したデータのデータIDや算出関数など)を処理ログとして処理IDと紐付けて保管してもよい。
【0089】
ステップS116では、時空間マッピング機能121は、生成データ管理DB126に追加された生成データに対して、時刻情報や場所情報(例えば、緯度・経度・高度)に基づき、時空間マッピングDB124の時空間ID1240を特定し、生成データに付与された処理IDをデータID1130と時空間ID1240を関係付けて登録する。例えば、ステップS115で受信した生成データに含まれる時刻と場所に該当する時空間上の位置が、マッピング情報1249上の時空間ID=”000020”で示される区分内に存在する場合、時空間ID=”000020”、データID=”00101”、および関連する情報(緯度・経度・高度、時刻など)をレコード1249として登録する。
【0090】
ステップS117では、関係性抽出機能122は、生成データとその元となったデータ(統合した複数のデータや影響算出に使用したデータ)とを関連付け、その関係性をデータ関係性管理DB125に登録する。ここで、関係性とは、データIDを持つデータと、関連データIDに登録されたデータIDを持つデータとの間の関係性(例えば、新旧の更新関係、データ(異常)の結果として得られたデータ(被害)を示す因果関係、複数のデータを統合して得られたデータであることを示す統合関係など)1245などから構成される。例えば、ステップS115で受信した生成データのデータID=”00101”、関連データID=”00001、00002”(影響算出に使用したデータのデータID)、処理ID=”002”、関係性=”統合”をレコード1257として登録する。ここで、データID=”00001”とデータID=”00002”のデータを統合して生成された生成データ(データ関係性管理DB上で関連データIDに同一の値を持つ)が既に生成データ管理ID126に登録されている(例えば、データID=”00090”として登録)場合は、データID=”00090”のデータとの関係性を”更新”として、新たにレコードを追加する。
【0091】
ステップS118では、生成データに対する属性(インシデント、状態・被害、行動など)などのメタデータを付与してデータ関係性管理DB125および時空間マッピングDB124の当該データのレコードの属性に登録する。例えば、データ関係性管理DB125において”更新”の関係にあるデータと比較して場所情報が変化している場合は”移動”と判定し、値が変化している場合は、”動的”と判定する。統合に利用したデータの属性から判定してもよいし、または、設定ルール(例えば、データAとデータBを統合して得られるデータYは、”被害”であるなど)に基づき、データ提供機能により、設定してもよい。
【0092】
図10は、ユーザに情報を表示する際のデータ生成・表示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0093】
ステップS121では、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、その要求に応じて、データ統合管理部12のデータ提供機能123に対して、必要な情報を要求する。
【0094】
要求の種類としては、データ名称や情報提供元を指定してデータを要求する場合(要求タイプTA)、場所や時間を指定してデータを要求する場合(要求タイプTB)、指定した範囲あるいは直接指定した構造物や活動への影響算出を要求する場合(要求タイプTC)、監視対象の範囲のデータや構造物や活動を予め設定してデータや新たに算出された影響がある場合に、自動でそのデータを受信する場合(要求タイプTD)などがある。情報要求は、複数の情報を複数のタイプで同時に要求してもよい。
【0095】
ステップS122では、ステップS121における情報要求がどのタイプであるかを判定し、要求タイプTAの場合、ステップS123を実行する。要求タイプTBの場合、ステップS125を実行する。要求タイプTCの場合、ステップS112〜ステップS118の処理を実行する。要求タイプTDの場合、ステップS134以降を実行する。
【0096】
ステップS123では、データ統合管理部12のデータ提供機能123は、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154からの要求に応じて、指定されたデータ名称や情報提供元などに基づき、取得データ管理DB113、生成データ管理DB126を検索して、要求されたデータ(目的データ)を取得する。
【0097】
ステップS124では、ステップS123で取得した目的データのデータIDを基に、目的データに関係するデータをデータ関係性管理DB125、時空間マッピングDB124より取得する。ここで関係するデータとは、例えば、データの生成元となったデータや時空間上の距離が近いデータである。ステップS124は、必要に応じて実行せずスキップしてもよい。ここでステップS124の処理内容は、ステップS126の処理内容と同様である。そこで、
図10では、ステップS126の内容を図示し、ステップS124の内容を省略している。
【0098】
要求タイプTBの場合、ステップS125では、データ統合管理部12のデータ提供機能123は、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154からの要求に応じて、時空間マッピングDB124より1つのデータあるいは複数のデータ(目的データ)を特定し、取得データ管理DB113、あるいは生成データ管理DB126よりデータを取得する。
【0099】
ステップS126では、ステップS125で取得した目的データのデータIDを基に、目的データに関係するデータをデータ関係性管理DB125、時空間マッピングDB124より取得する。ここで関係するデータとは、例えば、データの生成元となったデータや時空間上の距離が近いデータである。ステップS126は、必要に応じて実行せずスキップしてもよい。
【0100】
ステップS127では、ステップS123及びステップS124で取得したデータ、あるいはステップS125およびステップS126で取得したデータを、ステップS121の要求元の各アプリケーション151〜154に送信する。
【0101】
ステップS128では、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、受信したデータを用いて、アプリケーション固有のアルゴリズムに基づく処理を行い、ユーザに提供する情報を生成する。なお、影響算出部13を用いて、ステップS113の処理により、情報を生成してもよい。また特別な処理を行わず、受信したデータをそのまま用いて、ステップS133を実行してもよい。
【0102】
ステップS129では、生成したデータにデータIDを付与して、データ統合管理部12のデータ提供機能123に送信する。
【0103】
ステップS130では、データ提供機能123は、受信したデータおよびデータIDを、生成データ管理DB126に登録する。例えば、データID=”00100”、データ名称=”データX”、生成時刻=”2017年7月1日12:30:00”、処理ID=”001”、生成元=”アプリα”、利用範囲=”制限なし”をレコード1266として登録する。
【0104】
ステップS131では、時空間マッピング機能121は、生成データ管理DB126に追加されたデータに対して、時刻情報や場所情報(例えば、緯度・経度・高度)に基づき、時空間マッピングDB124の時空間ID1240を特定し、生成データに付与された処理IDをデータID1130と時空間ID1240を関係付けて登録する。
【0105】
ステップS132では、関係性抽出機能122は、S130で受信したデータとその元となったデータ(統合した複数のデータや影響算出に使用したデータのデータID)がアプリケーションから提供されていれば(受信したデータに記載されていれば)、その関係性をデータ関係性管理DB125に登録する。さらに、関係性抽出機能122は、生成データに対する属性(インシデント、状態・被害、行動など)などのメタデータが、アプリケーションからS130で受信したデータに記載されていれば、そのメタデータをデータ関係性管理DB125に登録する。
【0106】
ステップS133では、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、ステップS128で受信したデータ、あるいは、そのデータを用いて生成したデータを、インタフェース部16の情報出力機能163を通じてユーザ端末4へ送信させ、端末画面に表示させる。
【0107】
要求タイプTCの場合、ステップS112〜S118を実行する。
【0108】
要求タイプTDの場合、ステップS134では、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、データや新たに算出された影響がある場合に、自動でそのデータを受信するように設定された監視対象範囲のデータや構造物や活動について、時空間マッピングDB124を参照して新着データの有無を監視する。
【0109】
ステップS135では、新着があった場合に、ステップS136を実行し、新着が無かった場合には、定期的、あるいは予め設定されたタイミングで、再びステップS134を実行する。
【0110】
ステップS136では、ステップS134で検知した新着データに基づき、アプリ管理部15の各アプリケーション151〜154は、ステップS121を実行し、要求タイプTA〜TCの要求を行う。
【0111】
図11は、データ関係性管理DBの各レコードを変更する際のデータ編集の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0112】
ステップS141では、ユーザはユーザ端末4を操作することにより、インタフェース部16の情報入力機能162を用いて、編集するデータを指定する。データ名称や情報提供元を指定してもよいし、場所や時間を指定して編集するデータを指定してもよい。
【0113】
ステップS142では、時空間マッピング機能113は、指定されたデータが登録されているレコードの値をインタフェース部16の情報出力機能163により表示する。
【0114】
ステップS143では、ユーザはユーザ端末4を操作することにより、インタフェース部16の情報入力機能162を用いて、情報出力機能163で表示されたレコードの値を編集する。例えば、属性に”被害”などの識別情報や値に”保守担当者G”といった関連情報を追加登録する。
【0115】
ステップS144では、時空間マッピング機能113は、編集されたデータのレコードの内容を、時空間マッピングDB124に登録する。時空間マッピングDB124以外のDBにも同じ項目がある場合(例えば、データ関係性DB125の項目「属性」)、それらのDBにも編集された内容を反映する、
【0116】
なお、時空間マッピングDB124に登録されたレコードを編集する場合について記載したが、データ関係性DB125などの他のDBの内容やデータを編集する場合も同様である。
【0117】
図12〜
図14を用いて、漏水発生箇所などの構造物被害を検知してユーザに提示する異常検知アプリ151の被害状況把握画面の一例を説明する。
【0118】
インタフェース部16により、ユーザ端末4に提供される情報表示画面G1は、例えば、メニュー表示部GP1と、情報入力部GP2と、時刻選択部GP3と、情報表示部GP4とを含む。例えば、ユーザが被害把握メニューGP11を選択すると、異常検知アプリ151より、被害状況把握を支援する情報を取得するための情報が情報入力部GP2に表示される。
【0119】
図12に示すように、ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2において「被害検知」を選択する場合を説明する。この場合、アプリ管理部15は、ステップS121における要求タイプTBに移行し、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうちの属性が”被害”であるデータを取得し、情報表示部GP4の地図上の各データの緯度・経度・高度に該当する場所に、そのデータ(被害)を示すシンボルを表示させる。
【0120】
さらに、ユーザが情報入力部GP2において、「構造物」を選択すると、ステップS121の要求タイプTCに移行する。情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上に存在する構造物について、上記表示されたデータ(被害)による影響が影響算出部13により算出され、影響を受ける構造物が情報表示部GP4の地図上の該当する場所に表示される。例えば、漏水被害(漏水箇所)GP12とガス管被害(ガス漏れ箇所)GP13により影響を受ける構造物として、水道管GP14,GP15と建物GP16とが表示される。
【0121】
図13の情報表示画面G2に示すように、ユーザが情報入力部GP2において「影響度」を選択すると、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上の一定間隔のエリアに対して、異常を示すセンサデータが及ぼす影響度(確度)が表示される。例えば、ステップS121における要求タイプTCにより、エリアごとに上記表示されたデータ(被害)による影響が算出され、異常を示すセンサデータGP12,GP13による各エリアの影響度GP17が情報表示部GP4の地図上の該当する場所に表示される。この影響度により、情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上に存在する構造物(例えば、水道管や建物)について、構造物の損傷可能性(リスク)を判定することができる。
【0122】
図14の情報表示画面G3に示すように、ユーザが情報入力部GP2において「エリア状況」を選択すると、要求タイプTBへ移行し、現在時刻および情報表示部GP4で指定する地理空間上のエリアに対して、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータが取得される。そして、それら取得されたデータの属性に応じて情報表示部GP4に表示させる。例えば、エリアGP18の状況を”被害”、エリアGP19の状況を”被害、活動”として、情報表示部GP4に表示させる。
【0123】
図15および
図16は、工事計画支援アプリ152が提供する工事計画画面G4の一例を示す。
【0124】
情報表示画面の一部である工事計画画面G4において、例えば、ユーザが工事計画メニューGP21を選択すると、工事計画支援アプリ152より、工事計画を支援する情報を取得するための選択項目「リスク」「工事情報」が情報入力部GP2に表示される。
【0125】
ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2の「リスク」を選択すると、ステップS121における要求タイプTBに移行する。これにより、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータが取得される。
【0126】
工事計画支援アプリ152は、それら取得されたデータのうち、ユーザの保有する構造物に関するデータが、情報表示部GP4の地図上の各データの緯度・経度・高度に該当する場所に、そのデータを示すシンボル(図形)として表示される。
【0127】
さらに、情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上に存在する構造物について、ステップS121における要求タイプTCにより、上記表示された構造物に対する影響が算出される。そして、算出された影響および構造物自体のリスク(経年劣化)等から、構造物のリスクが算出され、情報表示部GP4の地図上の該当する構造物についてリスクの度合いが表示される。
【0128】
例えば、設置年度やガス管被害(ガス漏れ箇所)GP22などによりリスクが高い構造物として、水道管GP23が表示される。これにより、ユーザは、自組織の構造物のリスク(経年劣化)に加えて、他組織の構造物の異常・被害情報から自組織の構造物への影響リスクを把握することができる。
【0129】
図16の画面G5に示すように、ユーザが情報入力部GP2において「工事情報」を選択すると、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上の工事に関する情報が表示される。
【0130】
例えば、要求タイプTBによって、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうちの属性が”活動”であるデータが取得され、情報表示部GP4の地図上の各データの緯度・経度・高度に該当する場所に、そのデータ(活動)を示すシンボルが表示される。さらに、上記取得されたデータを、ユーザが計画した工事であるか、他ユーザにより実施されている工事であるかを区別して表示させる。例えば、ユーザが計画した工事GP24と、他ユーザにより実施されている工事GP25とが区別して表示される。
【0131】
さらに、情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上に存在する構造物について、要求タイプTCにより、上記表示された構造物に対する上記他ユーザにより実施されている工事GP25による影響が算出される。そして、影響があると予測された構造物が情報表示部GP4の地図上に表示される。例えば、他ユーザにより実施されている工事GP25により影響を受ける構造物として、水道管GP26が表示される。これにより、ユーザは、他組織から提供された工事情報やセンサから得られた工事情報(工事振動)から自組織の構造物に影響する他工事情報(他組織活動)を把握することができる。
【0132】
図17〜
図18は、復旧計画支援アプリ153が提供する情報表示画面の一部である復旧計画画面G6の一例を示す。
【0133】
ユーザが復旧計画メニューGP31を選択すると、復旧計画支援アプリ153により、災害時等での復旧計画を支援する情報を取得するための項目「被害箇所」「被害エリア」「構造物」「復旧エリア」「復旧工事」が情報入力部GP2に表示される。
【0134】
図17に示すように、ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2において「被害箇所」を選択すると、要求タイプTBによって、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうちの属性が”被害”であるデータが取得される。
【0135】
それら取得されたデータは、情報表示部GP4の地図上の各データの緯度・経度・高度に該当する場所に、そのデータ(被害)を示すシンボルとして表示される。さらにユーザが「被害エリア」を選択すると、要求タイプTCにより、地理空間上で設定されたエリア(例えば、ユーザが管理上設定したエリア)について、上記表示されたデータ(被害)による影響が算出され、影響があると予測されたエリアが情報表示部GP4の地図上に表示される。例えば、被害箇所GP32,GP33,GP34と、影響があるエリアGP35,GP36,GP37が表示される。
【0136】
図18の画面G7に示すように、ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2において「被害エリア」と「構造物」を選択すると、要求タイプTBによって、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうちの構造物を示すデータが取得される。そして、ステップS128の処理において、上記取得された構造物のデータについて、要求タイプTCにより、前述の影響があるエリアに関するGP32,GP33,GP34による影響が算出される。この結果、影響があると予測された構造物は、情報表示部GP4の地図上に表示される。例えば、影響が及ぶと予測された構造物として病院GP38と避難所GP39,GP40とが表示される。
【0137】
図19の画面G8に示すように、ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2において「復旧エリア」を選択すると、復旧計画支援アプリ153は、前述の影響があると予測されたエリアGP41(
図18のGP35に対応),GP42(
図18のGP36に対応),GP37のうち、前記影響がある構造物の数が多いエリアを特定して、情報表示部GP4の地図上に表示させる。例えば、エリアGP41,GP42が表示される。これにより、例えば、ユーザは、多数の構造物に影響があるエリアを優先的に復旧すべきエリアとして認識することができる。
【0138】
図20の画面G9に示すように、ユーザが時刻選択部GP3で現在時刻に設定し、情報入力部GP2において、復旧工事を選択すると、要求タイプTBによって、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうち、ユーザの管理する構造物(配管)を示すデータが取得される。
【0139】
そして、ステップS128の処理において、要求タイプTCにより、取得した構造物(配管)データについて、前述の影響がある構造物の数が多いエリアによる影響が算出され、影響がある構造物(配管)が情報表示部GP4の地図上に表示される。例えば、構造物(配管)GP43,GP44,GP45,GP46が表示される。これにより、例えば、ユーザは、優先的に復旧すべき構造物(配管)を認識することができ、復旧が必要な構造物に対して、工事計画(活動)GP48を登録する。
【0140】
復旧計画支援アプリ153は、ユーザにより登録された工事計画(活動)を、データ収集部11のデータ登録機能112に渡して、ステップS102〜ステップS108の処理を実行させる。これにより、工事計画(活動)を各データベースに登録できる。
【0141】
図21の画面G10に示すように、ユーザが情報入力部GP2において「被害箇所」を選択すると、要求タイプTBによって、現在時刻および情報表示部GP4に表示されている範囲の地理空間上のデータのうちの属性が”被害”であるデータが取得される。そして、ステップS126により、上記取得したデータに関係するデータとして、時空間的な距離が近いデータである上記工事計画(活動)データが取得される。ステップS128の処理において、上記取得された被害データについて、要求タイプTCにより、上記工事計画(活動)データによる影響が算出され、影響がある被害データが情報表示部GP4の地図上に表示される。例えば、工事計画(活動)データGP48により影響を受ける被害データとして被害データ949が表示される。これにより、ユーザは、構造物における被害データと工事(活動)情報とから、活動による被害箇所への影響(作用)を抽出し、活動が実施されている被害箇所は古い情報として表示することができる。
【0142】
図22および
図23は、安全確保アプリ154の提供する情報表示画面の一部である警戒情報提示画面G11の一例を示す。
【0143】
例えば、復旧計画支援アプリ154は、ステップS121の要求タイプTDにより、予めユーザが設定した範囲(時間、空間)の新着データを監視し、新着データによりユーザの工事計画(活動)に影響がある場合には、警戒情報メニューGP61を点滅させるなどして、ユーザに知らせる。
【0144】
ユーザが警戒情報メニューGP61を選択すると、工事の安全確保を支援する情報を取得するための項目「工事危険性」「土砂災害警戒」「浸水予測」が情報入力部GP2に表示される。
【0145】
ユーザの工事計画(活動)データについて、復旧計画支援アプリ154は、ステップS121の要求タイプTAあるいは要求タイプTBによって取得する。復旧計画支援アプリ153は、ステップS128の処理において、上記取得した工事計画(活動)データについて、要求タイプTCにより、上記新着データによる影響を算出し、影響を受ける工事計画(活動)を特定する。
【0146】
図22の画面G11に示すように、ユーザが情報入力部GP2において「工事危険性」を選択すると、上記取得した工事計画(活動)データおよび上記新着データにより影響を受ける工事計画(活動)データが情報表示部GP4の地図上に表示される。
【0147】
例えば、工事計画(活動)データのうち、上記新着データにより影響を受けることを示すアイコンGP62,GP63が工事計画(活動)データと併せて表示される。これにより、ユーザは安全性が確保できない危険な工事を、認識することができる。
【0148】
さらに、復旧計画支援アプリ154は、ユーザの工事計画(活動)に影響を及ぼすデータを自動で取得し、影響を受ける工事計画(活動)データを表示する。これにより、ユーザは、本システム1が保有する全ての情報を把握することなく、工事の安全を確保する上で判断に必要な情報を認識することができる。
【0149】
図23の画面G12に示すように、上記工事計画(活動)に影響を与えるデータについては、データ名称を情報入力部GP2に表示して選択可能とする。ユーザが選択すると、それらの情報は情報表示部GP4の地図上に表示される。
【0150】
例えば、ユーザが「土砂災害警戒」を選択すると、土砂災害警戒データGP65(土砂災害の危険性がある区域)が地図上に表示される。ユーザが「浸水予測」を選択すると、浸水予測範囲GP66が地図上に表示される。
【0151】
情報入力部GP2の時刻選択部GP3において、ユーザが時刻を指定することによって、例えば、数時間後までの予測データを用いて、工事計画(活動)データへの影響を再度算出することもできる。本システム1を用いれば、時空間マッピングDB124上のどのくらい先までのデータを用いて影響を算出するかを決定することができる。これにより、ユーザは、安全性が確保できない危険な工事を、実際に危険にさらされる前に、前もって認識することができる。
【0152】
以上、本実施例によれば、時空間を共通軸として各種データの効率的かつ効果的な利活用を実現することができる。例えば、時空間マッピングDB124に登録された各レコードの時空間ID1240とデータID1242によって、各データはどの時空間に存在しているかを特定することが可能となる。
【0153】
さらに本実施例によれば、ある時空間に存在するデータだけを抽出することも可能となり、データ取得の高速化に寄与する。
【0154】
さらに本実施例によれば、上記時空間上で管理された複数のデータを用いて、地下埋設管などの構造物の状態や保守活動の管理およびそれが及ぼす影響やリスクに関する情報を生成してユーザに提示し、ユーザにおける異常の把握、保守活動の迅速かつ効率化を支援することができる。