【実施例】
【0065】
実施例1
Fe/SSA錯体のジョブプロット
Fe
3+/SSA錯体の形成は鉄の定量のための比色法として一般的に用いられてきた。鉄とSSAとは、酸性媒体中で1:1の紫色の錯体を形成し、pHが中性および塩基性範囲に増加するにつれてオレンジ色および黄色に変化する。我々の試験では、SSAの存在により酸性である水溶液中でFe/SSA試薬を調製した。様々な量の1mM Fe
3+と1mM SSA溶液とを混合し、全容量を2mLで一定に保った。Fe
3+およびSSAの総モル濃度を一定に保った。Ocean Opticsの光ファイバ分光計を設置し、UV−Vis光源を吸光度測定に使用した。
図1に示すように、Fe
3+のモル比を連続的に変化させて吸光度変化を測定することによってジョブプロットを得た。例えば、0.2のFe(III)比で、0.4mLの1mM Fe
3+と1.6mLの1mM SSA溶液とを混合した。490nmでのピーク吸光度はモル比0.5で最大に達し、これはFe
3+のSSAに対する1:1の化学量論に相当する。
【0066】
実施例2
酢酸塩、Fe
3+、SSA混合物試験
予測されたように、Fe
3+と酢酸塩のみを混合しても色は発生しなかった。試薬A(0.5mM Fe
3+、200mM酢酸塩)と試薬B(0.5mM Fe
3+、200mM SSA)とを様々なモル比で混合して、酢酸塩、Fe
3+およびSSAの混合物を試験した。例えば、酢酸塩のモル比が0.2である場合、0.4mLの試薬Aと1.6mLの試薬Bとを混合した。SSAと酢酸塩とを組み合わせた総濃度に対して、鉄濃度を一定に保った。結果を
図2に示す。
図2に見られるように、酢酸塩のモル分率が0.5未満である場合、吸光度スペクトルは490nmで最大の吸光度を有し、Fe/SSA錯体の吸光度と一致した。酢酸塩のモル分率が増加するにつれて、最大の吸光度は470nmに変化した。ピーク吸光度は最初に増加し、次いでモル分率が0.7を超えると減少した。0.5〜1.0のモル分率範囲内のデータ点は、0.75モル比で最大値を示す第2次多項式関数に適合させた。これは、Fe
3+1モル当たりSSA 1モル当たり3モルの酢酸塩のモル比を有する酢酸塩、Fe
3+およびSSAの錯体(「酢酸塩/Fe/SSA錯体」)に相当する(すなわち、3:1:1の酢酸塩:Fe
3+:SSAのモル比)。
【0067】
Fe
3+濃度は、精度と再現性の観点から、99%の吸光度(A=2)を超えずに比較的大きな吸光度信号を得るために、0.5〜0.65mMの範囲内に保った。
図3は、酢酸塩のモル分率が0.5から0.7まで増加することにより、最大の吸光度変化対酢酸塩濃度が達成されたことを示す。必要とされる酢酸塩の定量の濃度範囲は200〜300mMであるため、この濃度範囲の酢酸塩の最適SSA濃度は130〜200mMであると算出された。
【0068】
実施例3
酢酸塩/Fe/SSA錯体の調製
最終濃度が0.65mM Fe
3+および200mM SSAになるようにFeCl
3および5−スルホサリチル酸二水和物を水に溶解することにより、Fe
3+およびスルホサリチル酸(「SSA」)試薬(「Fe/SSA試薬」)を調製した。Fe/SSA試薬溶液はSSAの存在により酸性であった。
【0069】
トリスおよび水酸化ナトリウムを含む塩基性緩衝液に酢酸を希釈することによって、酢酸塩標準物質を調製した。例えば、5gの酢酸と83.6gの塩基性緩衝液(720mM NaOHおよび400mM TRIS)および110gの希釈媒体(0.1%EDTA水溶液)とを混合して、pH7.6で410mM前後の酢酸塩原液の最終酢酸塩原液を作製した。次に、必要に応じて酢酸塩原液を希釈媒体により希釈して、200〜300mMの酢酸塩試料を作製した。
【0070】
Fe/SSA試薬溶液(1mL)と酢酸塩標準物質(1mL)の水溶液とを1:1の容積比で混合して、酢酸塩、Fe
3+およびSSAの酢酸塩錯体(「酢酸塩/Fe/SSA錯体」)溶液を調製した。
【0071】
実施例4
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体−分光測定
実施例3で調製した酢酸塩/Fe/SSA錯体溶液の吸光度測定により酢酸塩の定量を行った。吸光度測定は、1cmの経路長のキュベットを通して実施した。初期評価には、Ocean Opticsの光ファイバ分光計(USB4000)とUV−Vis光源とを使用した。ゲージおよび伝達関数の試験中に、市販のシステムのピルビン酸検出用に設計されたLEDフォトダイオード(PD)に基づくQCプレートを使用した。具体的には、1cmの経路長のTOPAS(登録商標)キュベット(照射およびエージング)、チャネル4 LED(450nm)およびチャネル3 PD検出を使用した。吸光度測定の結果を
図4に示す。
【0072】
実施例5
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体−酢酸塩濃度の決定のための校正
図5は、pH6.8および8.2での酢酸塩/Fe/SSA錯体の吸光度値に基づく酢酸塩標準物質の検量線を示す。400mM酢酸塩原液の調製中に、様々な量の中和緩衝液と酢酸とを混合して6.8および8.2の最終pHにした。次いで、200〜300mMまでの5種類の濃度に400mM酢酸塩原液を希釈した。1mLのこれらの酢酸塩溶液と1mLのFe/SSA試薬とを混合し、Ocean Opticsの光ファイバ分光計により吸光度を測定した。
【0073】
実施例6
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体−ゲージおよび伝達関数解析
中心複合(応答曲面)計画を使用して実験的因子を調べ、QCモジュール(表1)を用いて酢酸塩濃度を校正するための伝達関数を決定した。各温度ブロック内でランダムな順序で合計50回の実行を実施し、各温度ブロックを実行する順序もランダム化した。EPAは電子常磁性剤の略であり、この試験のEPAは、トリス(8−カルボキシル−2,2,6,6−テトラ(2−(1−メトキシ−2,2−d2−エチル))−ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビス(ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩であった。最終的に溶解した分極酢酸塩溶液中にEPAが存在し、可視領域内のその吸光度のために、実験デザイン(「DOE」)にEPAを含めた。pH調整に用いたトリス緩衝液(−0.03pH/温度)の温度感受性を考慮した。30℃で所望の実験デザインに対応するように、あらゆる標準物質のpH値を室温で調整した。例えば、酢酸塩標準物質を21℃でpH=7.47に調整した。これは30℃でpH=7.2に相当する。DOEの吸光度値をDESIGN−EXPERT(登録商標)(バージョン8.0.6)にインポートして分析した。変換は行わなかった。表1は、中心複合(応答曲面)計画に基づく実験パラメータ設定に関する情報を提供する。
【0074】
【表1】
表2は、DOE実行のANOVA分析結果を示す。酢酸塩濃度、pH、温度、酢酸塩濃度*pHおよびpH
2は有意であることが判明した。EPAは有意ではなく、酢酸塩/Fe/SSA錯体からの大きな吸光度の寄与のためである可能性が最も高いと考えられる。濃度±2%のEDTAも有意ではないことが判明した。R
2(0.9920)とR
2adjusted(0.9911)との間の良好な一致は、伝達関数に使用される項が有意であることを示唆した。R
2(0.9920)とR
2predicted(0.9888)との間の一致は、モデルの品質が非常に高いことを示した。
【0075】
伝達関数を用いて、50点の測定吸光度値に基づいて酢酸塩濃度を予測した。残差標準偏差(RSD)、具体的にはRSD
250mMは0.7%(1.8mM)であると算出された(表3、
図6)。伝達関数から温度入力を除く場合、方程式がわずかに調整される(表2参照)。RSD
250mMは0.8%(2mM)までわずかに悪化すると算出されたが、依然として仕様の3%以内に十分に収まっている。
【0076】
【表2】
表2は、酢酸塩の定量に重要な因子や、Abs、pH、温度などの入力因子に基づいて酢酸塩濃度を導出するための実験データおよび伝達関数にモデルがどの程度適合しているかを含め、DESIGN−EXPERT(登録商標)の分析結果を示している。
【0077】
表2の方程式1および2の記号は以下の意味を有する。
【0078】
「[酢酸塩]」は、「酢酸塩のモル濃度」の意味を有する。
【0079】
「−」記号は「マイナス」の意味を有する。
【0080】
「+」記号は「プラス」の意味を有する。
【0081】
「E−03」は「10
−3倍」、すなわち「0.001倍」の意味を有する。
【0082】
略語「Abs」は「吸光度」の意味を有する。
【0083】
「pH」は「酢酸塩/Fe/SSA錯体を含む溶液のpH値」の意味を有する。
【0084】
「温度」は「酢酸塩/Fe/SSA錯体を含む溶液の温度(℃)」の意味を有する。
【0085】
「*」記号は「乗算」の意味を有する。
【0086】
「/」記号は「除算」の意味を有する。
【0087】
「^」記号は「乗」の意味を有する。
【0088】
【表3】
表3は、表2からの方程式1または2を使用した場合の酢酸塩の定量に導入された相対誤差を示す。表3は、入力パラメータの1つとしての温度を削除すると、酢酸塩の定量に対する影響を無視できることを示す。
【0089】
酢酸塩濃度、pHおよび温度の範囲にわたってさらに10個の検証点を作成した。10個の酢酸塩試料を調製し、次いでFe/SSA試薬(1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2、200mM SSA)と1:1の容積で混合した。表2からの方程式2を予測に使用した。
図6は、50個のDOE点と10個の検証点の両方をプロットしている。pH6.8の1つの検証試料が他の検証点よりも線形モデルから有意に逸脱しており、これはこのpHでの緩衝能が低いことに関連している可能性がある。検証セットのRSD
250mMは2.66%であると算出され、依然として仕様要件の3%以内に収まっている(pH6.8のデータを除くRSD
250mMは2%に等しい)。
【0090】
QC光モジュールを用いた伝達関数解析
発光ダイオード−フォトダイオードモジュールは、ゲージ試験で酢酸塩濃度を区別するのに十分であることが実証されているが、検出された吸光度信号に影響を及ぼし測定誤差につながる可能性のある多くの因子が存在する。
図11は、考えられる因子の範囲を列挙した因果関係図である。
【0091】
完全な実験デザイン(「DOE」)の前に因子をスクリーニングするために一連の実験を行った。pHおよび温度は既知の因子である。1.2〜1.8%のグリセロールは、吸光度信号に有意に影響を及ぼさないことが判明した。EDTAは強力な錯体剤であり、Fe
3+と錯体を形成して無色の錯体を形成した際に吸光度を低下させる。
【0092】
溶解媒体中の0.1g/L EDTA(0.27mM)の存在は酢酸塩/Fe/SSA錯体の形成を停止させないが、EDTAの20%の変動は大きな影響を及ぼす。EDTAの変動に対する可能な緩和は、EDTAと錯体を形成する第2の金属イオンを提供して、EDTAノイズを「緩衝する」ことである。EDTAの濃度が20%変化する場合に、200mM ZnCl
2を添加すると、吸光度変動が0.08%に減少することが実証されている。その後、ZnCl
2を含む反応混合物がゆっくりと減衰する(20分後に15%の損失)ことが判明した。検出は数秒以内に行われるため、これがQC法の因子となることはない。
【0093】
実施例7
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体−酢酸塩試料中のEDTA効果の補償
EDTAが酢酸塩試料の水溶液中に存在し、EDTA濃度が試料間で大きく変動する場合、酢酸塩の校正に影響を及ぼす可能性がある。Cu
2+および/またはZn
2+などの金属イオンを添加することにより、Fe/SSA試薬のEDTA変動に対する堅牢性を改善することができる。調整されたFe/SSA試薬は、1mM Fe
3+の供給源である1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2と、200mM 5−スルホサリチル酸と、200mM ZnCl
2とを含んでもよい。Fe/SSA試薬の別の例は、1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2と、200mM 5−スルホサリチル酸と、200mM CuCl
2とを含んでもよい。次いで、Fe/SSA試薬と、酢酸塩試料(pH6.8〜8.2)の水溶液とを1:1の容積で混合する。例えば、1mLのFe/SSA試薬溶液と1mLの酢酸塩試料の水溶液とを混合する。
【0094】
実施例8
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体−乾燥Fe/SSA試薬の使用
酢酸塩の定量工程を簡略化するために、一定量のFe/SSA試薬を空の容器または光学キュベットに分注し、室温またはヒーターで乾燥させることができる。次いで、乾燥したFe/SSA試薬を得てもよい。その後に酢酸塩試料の水溶液を添加して乾燥したFe/SSA試薬粉末を溶解し、酢酸塩/Fe/SSA錯体を形成する。この手順は、フィールドアプリケーションおよびQCアプリケーションに適している。乾燥したFe/SSA試薬はきわめて水溶性が高く、迅速な反応および迅速な測定が容易になる。例えば、1cmの経路長のキュベット内で、1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2および200mM 5−スルホサリチル酸の水溶液などのFe/SSA試薬1mLを乾燥させることができる。その後に酢酸塩試料(pH6.8〜8.2)の水溶液を1〜2mL添加して、試料中の酢酸塩の吸光度測定および定量のための酢酸塩/Fe/SSA錯体を形成する。さらに高濃度でさらに少量のFe/SSA試薬を用いて、乾燥工程を高速化することもできる。
【0095】
実施例9
Fe/SA錯体のジョブプロット
図7に示されるジョブプロットは、Fe
3+のモル比を連続的に変化させながら吸光度の変化を測定することによって得られた。Fe
3+およびサリチル酸(「SA」)の総モル濃度を一定に保った。様々な量の1mM Fe
3+と1mM SA溶液とを混合し、全容量を2mLで一定に保った。例えば、Fe
3+のモル比が0.2の場合、0.4mLの1mM Fe
3+と1.6mLの1mM SA溶液とを混合した。Ocean Opticsの光ファイバ分光計を設置し、UV−Vis光源を吸光度測定に使用した。520nmでのピーク吸光度は、SAのモル比0.6〜0.7で最大に達し、これはFe:SAの1:3の化学量論に相当する。
【0096】
実施例10
酢酸塩、Fe
3+およびSA混合試験
酢酸塩、Fe
3+およびSAの錯体(「酢酸塩/Fe/SA錯体」)を試験するために、試薬A(1mM Fe
3+、15mM酢酸塩)と試薬B(1mM Fe
3+、15mM SA)とを様々なモル比で混合した。鉄濃度と、SAと酢酸塩とを組み合わせた総濃度とを一定に保った。例えば、酢酸塩のモル比が0.2の場合、0.4mLの試薬Aと1.6mLの試薬Bとを混合した。Ocean Opticsの光ファイバ分光計を設置し、UV−Vis光源を吸光度測定に使用した。結果を
図8に示す。酢酸塩を添加すると、最大の吸光度は、さらに低い波長に変化し始めた(Fe
3+/SAの520nmから465nmへ)。
【0097】
図9に示すように、ピーク吸光度は最初に増加し、次いでモル分率が0.5を超えると減少した。これは、Fe
3+(酢酸塩)
m(SA)
mの酢酸塩/Fe/SA錯体式に相当し、式中、mは1、2または3であってよい。
【0098】
このデータは、酢酸塩濃度がSA濃度よりも低いと、酢酸塩濃度とともに吸光度が増加することを示唆している。酢酸塩濃度がSA濃度よりも高くなると、酢酸塩濃度の増加とともに吸光度が減少する。
【0099】
実施例11
酢酸塩/Fe/SA錯体の調製および校正
アンモニウム鉄(III)硫酸塩とサリチル酸とを溶解して最終濃度1mMのFe
3+および15mMのSAにすることにより、Fe
3+およびサリチル酸(「SA」)試薬(「Fe/SA試薬」)を調製した。酢酸塩標準物質は、実施例3に記載されたものと同様の手順によって調製した。
【0100】
Fe/SA試薬溶液と酢酸塩標準物質の水溶液とを1:1の容積比で混合することにより、酢酸塩、Fe
3+およびSAの酢酸塩錯体(「酢酸塩/Fe/SA錯体」)の溶液を調製した。Ocean Opticsの光ファイバ分光計を設置し、UV−Vis光源を吸光度測定に使用した。
【0101】
200〜300mM酢酸塩の定量のために、酢酸塩溶液と1mM Fe
3+/15mM SAとの1:1混合物により
図10に示す検量線を生成した。吸光度変化対酢酸塩濃度の相関が存在する。吸光度は、酢酸塩濃度と線形的に相関する。
【0102】
実施例12
酢酸塩の定量のための酢酸塩/Fe/SA錯体−酢酸塩試料に対するEDTA効果の補償
EDTAが酢酸塩試料の水溶液中に存在し、EDTA濃度が試料間で大きく変動する場合、酢酸塩の校正に影響を及ぼす可能性がある。Cu
2+および/またはZn
2+などの金属イオンを添加することにより、Fe/SA試薬のEDTA変動に対する堅牢性を改善することができる。調整されたFe/SA試薬は、1mM Fe
3+の供給源である1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2と、200mMサリチル酸と、200mM ZnCl
2とを含んでもよい。Fe/SA試薬の別の例は、1mM Fe(NH
4)(SO
4)
2と、200mMサリチル酸と、200mM CuCl
2とを含んでもよい。次いで、Fe/SA試薬と、酢酸塩試料(pH6.8〜8.2)の水溶液とを1:1の容積で混合する。例えば、1mLのFe/SA試薬溶液と1mLの酢酸塩試料の水溶液とを混合する。
【0103】
実施例13
過分極酢酸塩のQC
過分極造影剤のQCのための一般的な手順は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第7,803,320号および第7,519,492号に記載されている。過分極酢酸塩のQCのための方法を本明細書に記載するために、これらの手順を採用することができる。
【0104】
例えば、一実施形態では、生成物のQC分析を可能にするキュベットを含むQC付属物に過分極
13C酢酸塩試料を入れる。キュベット内または流路内でFe/SSA試薬を予備乾燥することができる。LEDフォトダイオードの設定または他の形態を用いて、形成された錯体の光学的測定を行うことができる。特別なQC付属物には、ピルビン酸塩剤のQC使用のために既存の付属物に加えられた追加のキュベットが挙げられる。
【0105】
オフラインバージョンも実装できる。Ocean Opticsの分光計またはLEDフォトダイオードの設定を測定に使用できる。Fe/SSA試薬をキュベットにあらかじめ分注したりキュベット内で乾燥させたりしてから、一定量の溶解した
13C酢酸塩溶液をキュベットに加えて測定することができる。錯体の形成および測定は数秒内で行うことができ、QCの速度要件を満たす。
【0106】
図12は、過分極
13C酢酸塩QC用に考えられる流路底板設計の概略図を示す。流路底板は、吸光度/蛍光測定のための成形されたTOPAS(登録商標)キュベットと、NMRでの液体状態分極(LSP)測定のための円筒形ホルダーとを含む。電子常磁性剤(「EPA」)は、そのUV−Vis吸光度によって直接測定されるため、追加の試薬は必要とされない。受け取った生成物を最初にEPAキュベットに入れる。次いで、生成物をNMRバルブに通した後に、pHおよび酢酸塩検出のためにアッセイキュベットに到達させる。このフローは、順次または同時に発生してもよい。pH測定のために、NMRバルブの先端内部にpH感受性蛍光色素をあらかじめ沈着させる。受け取った生成物が染料を溶解し、混合物は測定のための1cmの経路長のキュベットに到達する。乾燥したFe/SSA試薬を保持するために、追加のNMRバルブ/キュベットを組み込むことができる。受け取った生成物がFe/SSA試薬を溶解し、混合物は1cmの経路長のキュベットに到達する。このように、過分極
13C酢酸塩の定量のために、酢酸塩/Fe/SSA錯体の測光測定を行うことができる。
【0107】
本発明の特定の特徴のみを本明細書において例示および説明してきたが、当業者であれば多くの修正および変更を思い付くであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲内にあるすべてのこのような修正および変更を含むことが意図されることを理解すべきである。
【0108】
この出願を通じて、様々な参考文献に言及している。これらの参考文献の開示は、それらの全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。