(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流動促進剤(e)が、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、コロイド状シリカ、コロイド状無水シリカ、およびその混合物から選ばれる、請求項2に記載の医薬組成物。
滑沢剤(f)が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、軽油、硬化植物油、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、およびその混合物から選ばれる、請求項4に記載の医薬組成物。
炎症性または自己免疫性の疾患または障害が、リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病および乾癬から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
炎症性または自己免疫性の疾患または障害が、リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病および乾癬から選ばれる、請求項9に記載の使用。
【背景技術】
【0002】
リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病または乾癬のような炎症性または自己免疫性の疾患または障害は、特に先進工業国において保健上の主な負担となっている。一般的にこれらの障害を治癒することはできないが、多くの場合病状を制御または低減することはできる。
【0003】
フマル酸エステル(FAE)は不飽和ジカルボン酸フマル酸から誘導される化学化合物であり、ドイツ人化学者Walter Schweckendiekにより最初に提案され、長年乾癬の治療に用いられてきた。
【0004】
1994年、ドイツで、フマル酸ジメチル(DMF)と、フマル酸モノエチル(MEF)のカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛塩との混合物であるFumaderm(登録商標)(Fumapharm AG)が、乾癬の治療用に承認された。Fumaderm(登録商標)は2つの異なる有効成分含量で利用可能である:30mgのフマル酸ジメチル、67mgのCa−フマル酸水素エチル、5mgのMg−フマル酸水素エチル、および3mgのZn−フマル酸水素エチルを含む低含量錠剤(Fumaderm(登録商標)initial(イニシャル));並びに120mgのフマル酸ジメチル、87mgのCa−フマル酸水素エチル、5mgのMg−フマル酸水素エチル、および3mgのZn−フマル酸水素エチルを含む高含量錠剤(Fumaderm(登録商標))。
【0005】
Fumaderm(登録商標)initial(イニシャル)とFumaderm(登録商標)はいずれも、以下の賦形剤を含む腸溶コート錠である:クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、着色剤E171およびE132(Fumaderm(登録商標)のみ)、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(1:1)、マクロゴール 6000、シメチコン、ポビドン、クエン酸トリエチル、微結晶性セルロース、並びに高分散性二酸化ケイ素。
さらに、錠剤は25℃を超えない温度で保存しなくてはならない。(Fumaderm(登録商標)initial(イニシャル)/Fumaderm(登録商標);製品概要、2009年2月版)。
【0006】
FAE治療は、消化器の症状、紅潮またはリンパ球数の減少のような有害事象と関連がある。Fumaderm(登録商標)の安全性および有効性を改善するために、FAEを用いた重度の乾癬の治療ガイドラインが1999年に確立された(Mrowietz U. et al, British Journal of Dermatology 1999, 141, 424-429)。Fumaderm(登録商標)の2つの有効成分含量は個々の投与法に適用され、Fumaderm(登録商標)initial(イニシャル)から始め、用量を漸増させながら、治療の数週間後、例えば3週間後に、Fumaderm(登録商標)に切り替えることを目的としている。
【0007】
2013年3月、米国食品医薬品局により、フマル酸ジメチルを遅延して放出する経口用カプセルであるTecfidera(登録商標)(Biogen Idec)が、再発性多発性硬化症に罹患した患者の治療用に承認された。
Tecfidera(登録商標)は、120mgまたは240mgのフマル酸ジメチル、および以下の賦形剤を含む経口投与用の遅延放出型硬ゼラチンカプセルとして提供されている:微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、タルク、コロイド状シリカ二酸化ケイ素(silica colloidal silicon dioxide)、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸トリエチル、メタクリル酸共重合体−A型、メタクリル酸共重合体分散液、シメチコン(30%乳濁液)、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート 80。さらに、カプセルは15〜25℃で保存しなくてはならない(承認された2013年3月27日付けのTecfidera(登録商標)のラベル表示)。
Tecfidera(登録商標)は、用量を漸増させながら、最初の7日間は120mgを1日2回、その後240mg用量を1日2回投与しなければならない。
【0008】
固形剤型、すなわち錠剤およびカプセルなどの外観は、患者が認識する方法にとって非常に重要である。錠剤の肉眼的外観、その形状、サイズ、色および印は全て医薬品に対する患者の期待と関係する一方、表面粗さおよび色の均一性のような顕微鏡的外観は品質の尺度として容易に認識される。典型的には、新製品は、形状、サイズ、色および表面の印の組み合わせによりもたらされる、その独特な外観によって識別される。
【0009】
Fumaderm(登録商標)およびTecfidera(登録商標)の投与法は、低用量から始め、数日/週間の治療の後に高用量に切り替える。いずれの場合も、2つの含量の組成物は定性的かつ定量的に異なり、従って製造工程が独立していることから、製造コストが増大する。
【0010】
さらに、患者が低および高用量を見分ける唯一の方法は色であることから、視覚障害がある人々にとって制約となる。
【0011】
さらに、Fumaderm(登録商標)およびTecfidera(登録商標)は、保存条件上の制約を示す。保存仕様上の制約は、製品の経済コストを増大させ、その保存可能期間を縮め、薬剤師に不便を感じさせ、薬局に製品の仕入れを躊躇させ、ひとたび患者宅に置かれると製品の性能に悪影響を及ぼし得る。
【0012】
従って、保存条件上に制約があり、含量(定性的かつ定量的に異なる)が異なり、患者が色でしか見分けることができないフマル酸エステル、特にフマル酸ジメチルを含む医薬組成物には、前記の欠点を克服する必要がある。
【0013】
フマル酸ジメチルを含む医薬組成物は当該技術分野において既知である。例えば、欧州特許第0 312 697号には、フマル酸ジメチル、並びにフマル酸モノエチルのカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛塩を含む腸溶コート錠の形態をとる医薬組成物が記載されている。
【0014】
米国特許第6,355,676号および米国特許第第6,509,376号は、フマル酸ジメチルを含む腸溶コートマイクロタブレットまたはマイクロペレットの形態をとる医薬組成物について記載しており、当該マイクロタブレットまたはマイクロペレットのサイズまたは平均直径はそれぞれ、300〜2,000μmの範囲内、特に500または1,000μmの範囲内である。米国特許第第6,355,676号および米国特許第第6,509,376号によると、慣習の錠剤と比べて、マイクロタブレットは、消化管において改善された耐容性を示すことがある。
【0015】
国際公開公報WO 2010/126605号には、腸溶コートマイクロタブレットを含むカプセルの形態をとり、フマル酸ジメチルを含む医薬組成物が記載されている。
【0016】
国際公開公報WO 2006/037342号、国際公開公報WO 2007/042034号、国際公開公報WO 2010/079221号および国際公開公報WO 2010/079222号には、活性物質として、フマル酸のジ−(C
1−C
5)アルキルエステル、すなわちフマル酸ジメチル、およびフマル酸のモノ−(C
1−C
5)アルキルエステルから選ばれる1またはそれ以上のフマル酸エステルを含む制御放出型医薬組成物にが記載されている。特に、これらの文献には、フマル酸エステル、特にフマル酸ジメチルが錠剤またはカプセルに加工されその後腸溶コーティングされるのに先だって、胃耐性コーティングで覆われている顆粒、粒子または(マイクロ)結晶の形態をとることが記載されている。フマル酸ジメチルの顆粒、粒子または(マイクロ)結晶のこのコーティングは、Fumaderm(登録商標)と比べて、活性成分が、長期にわたり、ゆっくりと、および/または遅延した様式で送達されることを可能にする。
【0017】
国際公開公報WO 2013/076216には、医薬的に許容されるpH依存性の腸溶耐性重合体を含む少なくとも1つの層によりコーティングされたフマル酸ジメチルの粒子が記載されている。
【0018】
国際公開公報WO 2013/119677には、組成物中のフマル酸ジメチルの総量が43〜95重量%の範囲であるフマル酸ジメチルを含む医薬組成物が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本明細書で用いられるように、用語「治療」は、以下のものを含むヒト患者における疾患または医学的状態の治療を指す:
(a)疾患または医学的状態の発生を予防すること、すなわち患者の予防的治療、
(b)疾患または医学的状態を改善すること、すなわち患者における疾患または医学的状態の退行をもたらすこと、
(c)疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち患者における疾患または医学的状態の進行を減速させること、あるいは、
(d)患者における疾患または医学的状態の症状を低減すること。
【0029】
本明細書で用いられるように、化合物の、用語「治療的有効量」は、記載した疾患およびその合併症の臨床症状を治癒する、低減するあるいは部分的に停止させるのに十分な量を指す。これを達成するのに十分な量は「治療的有効量」として定義される。目的ごとの有効量は、疾患または傷害の重症度、並びに対象の体重および全身状態に依存するであろう。適切な用量は、値の行列を作成して行列中の様々な点を試験することにより、通常の試験を用いて決定してもよく、これらは全て訓練を受けた医師の通常の技術の範囲内であることが理解されるであろう。
【0030】
本明細書で用いられるように、用語「胃耐性コーティングで覆われていない」は、フマル酸ジメチル粒子が予め、エチルセルロース、メタクリル/アクリル酸共重合体またはメタクリル酸アンモニウム共重合体(メタクリル酸アンモニウム共重合体AもしくはB型、またはメタクリル酸共重合体AもしくはBなど)、ポリ酢酸ビニル重合体、メタクリル−酢酸エチル重合体;あるいは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの親水性の賦形剤のような医薬的に許容される重合体でコーティングされてないことを指す。
【0031】
(a)フマル酸ジメチル
フマル酸ジメチル(ジメチル(E)−ブテンジオエート;CAS登録番号 624−49−7)はフマル酸のメチルエステルであり、分子式 C
6H
8O
4、分子量 144.13g/mol、および以下の化学式を示す。
【化1】
2004年のドイツ薬局方(DAC 2004)によると、融点が102〜105℃の範囲内である白色結晶性粉末である。
フマル酸ジメチルの結晶学的特性は、Kooijman H et al, Acta Cryst. (2004), E60, o917-o918に記載されている。
フマル酸ジメチルは、触媒として濃硫酸の存在下でフマル酸とメタノールを反応させることにより得ることができる(Ma Hongfei, Chemical industry Times, 2005, Vol. 19, No. 4, 18-19)。
典型的には、フマル酸ジメチルは、篩過および/または粉砕してその粒子径を制御する。好ましい態様において、レーザー回折粒径分析器 Mastersizer 2000(Malvern Instruments)を用いて測定されるフマル酸ジメチルの粒子径分布は、d(10)が5〜20μmの間、d(50)が30〜70μmの間、およびd(90)が80〜150μmの間である。
【0032】
(b)希釈剤
希釈剤は、剤型、すなわち錠剤の必要なバルクを構成するのに指定される増量剤であり、薬物用量それ自体ではこのバルクをもたらすのに不十分な場合に用いられる(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd edition, 1986, ISBN 0-8121-0977-5)。
典型的には、希釈剤は、単糖、二糖、デンプンおよびデンプン誘導体、カルシウムおよびマグネシウム無機塩、糖アルコール、並びにその混合物から選ばれる。
【0033】
単糖は、水に溶けやすいが非極性溶媒には不溶である、無色の結晶性固体である。最も単純な単糖は2種類の3炭素トリオース、すなわち、グリセルアルデヒド(アルドトリオース)およびジヒドロキシアセトン(ケトトリオース)である。主鎖中に4、5、6および7の炭素原子を含む単糖はそれぞれ、テトロース、ペントース、ヘキソースおよびヘプトースと称する(Lehninger Principles of Biochemistry, 4th edition)。本発明の適切な単糖は、D−リボース、D−アラビノース、D−キシロース、D−グルコース(デキストロース)、D−マンノース、D−ガラクトースおよびD−フルクトースである。
【0034】
二糖は、一方の糖のヒドロキシル基がもう一方のアノマー炭素と反応する場合に形成されるO−グリコシド結合により共有結合した2の単糖からなる(Lehninger Principles of Biochemistry, 4th edition)。本発明の適切な二糖は、ラクトース、マルトース(α−D−グルコピラノシル−(1−4)−D−グルコピラノース)、スクロース(α−D−グルコピラノシル β−D−フルクトフラノシド)およびトレハロース(α−D−グルコピラノシル α−D−グルコピラノシド)である。
【0035】
デンプン(CAS登録番号 9005−25−8;分子式 (C
6H
10O
5)
n、式中n=300〜1000)は、α−(D)−グルコースをベースにした2種類の多糖、すなわち直鎖状アミロースおよび分岐したアミロペクチンからなる天然のホモ多糖である。いずれの重合体も半結晶性構造に組織化し、アミロペクチンはデンプン粒中で結晶性部分を形成する。デンプンは、無味無臭の微細な白色〜黄色がかった白色の粉末として存在する。デンプンは非常に小さい球状または卵形の顆粒または粒子からなり、それらのサイズおよび形状は各植物種に特有である(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009; ISBN 9780853697923, UK)。
【0036】
本発明のデンプン誘導体は、部分または完全アルファー化デンプン(デンプン顆粒の全てまたは一部を破裂させるために、化学的および/または機械的に加工されたデンプン)、加水分解デンプン、デキストリン化(dextrinized)デンプン、アルカリ処理デンプン(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムによる)、漂白デンプン(過酸化水素による)、酵素処理デンプン、リン酸化デンプン、リン酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、オクテニルコハク酸無水物(OSA)デンプン、カチオン性デンプン(正の電荷が付加されたデンプン)、カルボキシメチル化デンプン(モノクロロ酢酸により負電荷が付加された)、あるいはその混合物を指す。
【0037】
本発明のカルシウムおよびマグネシウム無機塩は、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、またはその混合物を指す。
【0038】
糖アルコールは、単糖中のカルボニル基をヒドロキシル基に還元することにより得られる多価アルコールである。糖アルコールは天然に存在し、増粘剤および甘味剤として食品産業において広く用いられる水溶性の白色固体である。本発明の適切な糖アルコールは、エリトリトール、イソマルト、ラクチトール、マンニトール、マルチトール、ソルビトールおよびキシリトールである。
【0039】
好ましくは、希釈剤(b)は、ラクトース、D−グルコース(デキストロース)、スクロース(D−スクロース)、フルクトース(D−フルクトース)、ガラクトース(D−ガラクトース)、デンプン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、イソマルト、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、およびその混合物から選ばれる。
【0040】
好ましい態様において、希釈剤(b)は、フルクトース、ラクトース、リン酸水素カルシウム、マンニトール、およびその混合物から選ばれる。より好ましい態様において、希釈剤(b)はラクトースである。
【0041】
フルクトース
フルクトース(D−フルクトース)は、強い甘味がある、無臭の無色結晶または白色結晶性粉末として存在する単糖である(CAS登録番号 57−48−7;分子式 C
6H
12O
6;分子量 180.16g/m)。フルクトースは蜂蜜および多くの果物中に天然に存在する。フルクトースは、イヌリン、デキストロースまたはスクロースから多くの方法により調製してもよい。商業的には、フルクトースは主に、加水分解および異性化された穀類デンプン、または甘蔗糖および甜菜糖から誘導される高フルクトースシロップから結晶化により製造される(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009)。
【0042】
ラクトース
ラクトースは乳から得られ、1つのガラクトースと1つのグルコース部分からなる天然の単糖である。ラクトースは、白色〜黄色がかった白色の結晶性粒子または粉末として存在する。ラクトースは無臭であり、わずかな甘味がある。The Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009には、本発明に照らして適切な様々なラクトースの種類が記載されている:無水ラクトース(CAS登録番号 63−42−3;分子式 C
12H
22O
11;分子量 342.30g/m)、吸入ラクトース、ラクトース一水和物(CAS登録番号 5989−81−1;分子式 C
12H
22O
11.H
2O;分子量 360.31g/m)、並びに非結晶質ラクトース(α−およびβ−ラクトースの1:1混合物)およびラクトース一水和物の混合物である噴霧乾燥ラクトース。
【0043】
好ましい態様において、ラクトースは、ラクトース一水和物または噴霧乾燥ラクトース、好ましくは噴霧乾燥ラクトースから選ばれる。
典型的には、噴霧乾燥ラクトースのかさ密度は0.55〜0.68g/cm
3の間、タップ密度は0.65〜0.75g/cm
3の間である。好ましい態様において、噴霧乾燥ラクトースの粒子径分布(エアジェットシーブ上に保持されるもの、積算)は、60〜80%が75μm(米国規格 #200)、30〜55%が106μm(米国規格 #140)、および0.0〜0.5%が250μm(米国規格 #60)である。
【0044】
リン酸水素カルシウム
本発明のリン酸水素カルシウムは、無水リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素カルシウム水和物を指す。
【0045】
無水リン酸水素カルシウム(リン酸カルシウム、二塩基性無水物;CAS登録番号 7757−93−9;分子式 CaHPO
4;分子量 136.06g/m)は、三斜晶系結晶として存在する無味無臭の白色の粉末または結晶性固体である(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009)。
【0046】
リン酸水素カルシウム水和物(リン酸カルシウム、二塩基性二水和物;CAS登録番号 7789−77−7;分子式 CaHPO
4.2H
2O;分子量 172.09g/m)は、単斜晶系結晶として存在する無味無臭の白色の粉末または結晶性固体である(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009)。
【0047】
好ましい態様において、リン酸水素カルシウムは無水リン酸水素カルシウムである。
【0048】
マンニトール
マンニトール(D−マンニトール;CAS登録番号 69−65−8;分子式 C
6H
14O
6;分子量 182.17g/m)は、マンノースに関連がありソルビトールの異性体である六水酸基アルコールである。マンニトールは、無臭の白色の結晶性粉末または自由流動性の顆粒として存在する。マンニトールは、およそ、グルコースと同程度、スクロースの半分程度の甘味があり、口内で冷却感を感じさせる。The Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009には、Pearlitol 300 DC、Pearlitol 400 DCおよびPearlitol 500 DC(全てRoquette Freresにより製造されている)のような、本発明に照らして適切な様々なグレードの市販のマンニトールが記載されている。
【0049】
(c)微結晶性セルロース
微結晶性セルロース(CAS登録番号 9004−34−6;分子式 (C
6H
10O
5)
n、式中nは約220;分子量 約36000g/m)は、多孔質粒子からなる無味無臭の白色結晶性粉末として存在する、精製され部分的に解重合したセルロースである(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009)。
典型的には、微結晶性セルロースのかさ密度は0.28〜0.33g/cm
3の間である。好ましい態様において、レーザー回折粒径分析器 Mastersizer 2000(Malvern Instruments)を用いて測定される微結晶性セルロースの粒子径分布は、d(10)が25〜50μmの間、d(50)が100〜150μmの間、およびd(90)が195〜280μmの間である。
【0050】
(d)クロスカルメロースナトリウム
クロスカルメロースナトリウム(セルロース、カルボキシメチルエーテル、ナトリウム 塩、架橋物;CAS登録番号 74811−65−7)は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋重合体である。クロスカルメロースナトリウムは、無臭の白色または灰色がかった白色の粉末として存在する(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, 2009)。
典型的には、クロスカルメロースナトリウムのかさ密度は約0.529g/cm
3、タップ密度は約0.819g/cm
3である。好ましい態様において、レーザー回折粒径分析器 Mastersizer 2000(Malvern Instruments)を用いて測定される微結晶性セルロースの粒子径分布は、d(10)が25μm以下、d(50)が25〜55μmの間、およびd(90)が60μm以上である。
【0051】
医薬組成物
典型的には、本発明は、(a)フマル酸ジメチル、(b)単糖、二糖、デンプンおよびデンプン誘導体、カルシウムおよびマグネシウム無機塩、糖アルコール、およびその混合物から選ばれる希釈剤、(c)微結晶性セルロース、並びに(d)クロスカルメロースナトリウムを含み、フマル酸ジメチルが胃耐性コーティングで覆われていない、医薬組成物を提供する。
【0052】
好ましくは、希釈剤(b)は、ラクトース、D−グルコース(デキストロース)、スクロース、フルクトース、ガラクトース、デンプン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、イソマルト、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、およびその混合物から選ばれる。
【0053】
好ましい態様において、希釈剤(b)は、ラクトース、リン酸水素カルシウム、イソマルト、マンニトール、およびその混合物から選ばれる。より好ましい態様において、希釈剤(b)はラクトースである。
【0054】
特定の好ましい態様において、本発明は、(a)フマル酸ジメチル、(b)ラクトース、(c)微結晶性セルロース、および(d)クロスカルメロースナトリウムを含む医薬組成物を提供する。
【0055】
好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物はさらに(e)少なくとも1つの流動促進剤を含む。
【0056】
典型的には、流動促進剤(e)は、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムデンプン、二酸化ケイ素、タルク、コロイド状シリカ、コロイド状無水シリカ(コロイド状二酸化ケイ素またはヒュームド・二酸化ケイ素)、およびその混合物から選ばれる。
【0057】
好ましくは、流動促進剤(e)は、コロイド状無水シリカ、タルク、またはその組み合わせ、より好ましくはコロイド状無水シリカから選ばれる。
【0058】
好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物はさらに(f)少なくとも1つの滑沢剤を含む。
【0059】
典型的には、滑沢剤(f)は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール(特にポリエチレングリコール 4000および6000)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、軽油、硬化植物油(特に硬化ヒマシ油)、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、およびその混合物から選ばれる。
【0060】
好ましくは、滑沢剤(f)はステアリン酸マグネシウムである。
【0061】
好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物における(c)微結晶性セルロースの(b)希釈剤に対する重量比は、2:5〜5:2の範囲内、好ましくは2:1〜1:2の範囲内、より好ましくは4:3である。
【0062】
別の好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物における(c)微結晶性セルロースの(c)フマル酸ジメチルに対する重量比は、5:1〜1:5の範囲内、好ましくは3:1〜1:3の範囲内、より好ましくは8:5である。
【0063】
別の好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物における(b)希釈剤の(c)フマル酸ジメチルに対する重量比は、5:1〜1:5の範囲内、好ましくは3:1〜1:3の範囲内、より好ましくは6:5である。
【0064】
別の好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物における(c)微結晶性セルロースの(d)クロスカルメロースナトリウムに対する重量比は、30:1〜1:5の範囲内、好ましくは20:1〜1:2の範囲内、より好ましくは10:1である。
【0065】
別の好ましい態様において、上記で定義される医薬組成物における(b)希釈剤の(d)クロスカルメロースナトリウムに対する重量比は、20:1〜1:5の範囲内、好ましくは10:1〜1:3の範囲内、より好ましくは15:2である。
【0066】
本発明の医薬組成物は、適宜、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤および矯味剤のような他の慣習の成分を含んでいてもよい。
【0067】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は経口投与される(経口投与;per os(ラテン語))。
【0068】
典型的には、本発明の医薬組成物は、固形剤型、すなわち、即時放出型錠剤、即時放出型カプセル、遅延放出型錠剤、遅延放出型カプセル、持続放出型錠剤、持続放出型カプセル、溶解錠、分散錠、発泡錠、チュアブル錠、チューインガム、バッカル錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、トローチ、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセルである。
【0069】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、遅延放出型錠剤、より好ましくは胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとる。胃耐性錠は、胃液に耐え腸媒体内でその活性物質を放出するための遅延放出型錠剤である。通常、胃耐性錠は、既に胃耐性コーティングで覆われている顆粒または粒子から調製されるか、あるいは、ある場合には、錠剤コアを胃耐性コーティングでコーティングする(腸溶コート錠)ことにより調製される(European Pharmacopoeia 6.0, 2007, ISBN 9789287160546)。好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、錠剤コアを胃耐性コーティングでコーティングすることにより調製される胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとる。
【0070】
上記で示されるように、フマル酸ジメチルは胃耐性コーティングで覆われていない、すなわち、錠剤コア(コーティングされる前の錠剤)が調製される時に、フマル酸ジメチル粒子は予め医薬的に許容される重合体または親水性の賦形剤でコーティングされていない。
【0071】
錠剤配合物は、直接またはローラーにより圧縮して錠剤を形成してもよい。あるいは、錠剤配合物または配合物の一部を、打錠の前に、湿式、乾式または溶融造粒するか、溶融凝固するか、あるいは押し出し成形してもよい。錠剤の製剤化は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, ISBN 0781746736に詳細に考察されている。
【0072】
錠剤コア上のコーティングは、通常、物質の混合物、例えば、1またはそれ以上の可塑剤、1またはコア(one or core)重合体、1またはそれ以上の共重合体、1またはそれ以上の流動促進剤、1またはそれ以上の顔料、あるいはその混合物からなる。錠剤コアのコーティングは、Pharmaceutical Manufacturing Handbook: Production and Processes, 2008, ISBN 9780470259580に詳細に考察されている。
【0073】
コーティング中の適切な可塑剤(最低フィルム形成温度およびガラス遷移温度を下げる化合物)の例としては、1またはそれ以上のアセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、酢酸フタル酸セルロース、クロルブタノール、デキストリン、フタル酸ジブチル、ジブチルセカケート(dibutyl secacate)、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、プロピレングリコール、2−ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリエタノールアミン、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0074】
コーティング中の適切な重合体の例としては、1またはそれ以上のメタクリル酸重合体、アクリル重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)が挙げられる。これらの重合体は、水性分散液、粉末または有機溶液(例えばアルコール、アセトン)として利用可能である。市販の有機溶液の1例は、ポリ(ビニルアルコール)、メタクリル酸共重合体−C型、ポリエチレングリコール、タルク、中和剤および顔料の混合物であり、Colorcon,Inc.からOPADRY(登録商標)の商標で販売されている。
【0075】
コーティング中の適切な共重合体の例としては、1またはそれ以上のメタクリル酸−メタクリル酸メチル(50:50)共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル(30:70)共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル(50:50)共重合体、またはメタクリル酸−アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。これらの共重合体は、水性分散液、粉末または有機溶液(例えばアルコールおよびアセトン)として利用可能である。市販の共重合体の例としては、EvonikからEUDRAGIT(登録商標)の登録商標で販売されており、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55(メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(1:1)、30%水性分散液)、EUDRAGIT(登録商標)L 100−55(メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(1:1)、粉末形態)、EUDRAGIT(登録商標)L 100(メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、粉末形態)、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5(メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、12.5%有機溶液)、EUDRAGIT(登録商標)S 100(メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(1:2)、粉末形態)、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5(メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、12.5%有機溶液)およびEUDRAGIT(登録商標)FS 30 D(メタクリル酸−アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル共重合体、30%水性分散液)を含むメタクリル酸共重合体が挙げられる。
【0076】
コーティング中の適切な流動促進剤の例としては、タルクまたはモノステアリン酸グリセリンが挙げられる。
【0077】
コーティング中の適切な顔料の例としては、二酸化チタン、アルミニウム・レーキ、インジゴカルミン・レーキまたは酸化鉄顔料が挙げられる。
【0078】
特定の態様において、コーティングは、i)1またはそれ以上の重合体および/または共重合体、ii)1またはそれ以上の流動促進剤、iii)1またはそれ以上の可塑剤、並びにiv)1またはそれ以上の顔料を含むコーティング製剤を用いて実施される。適宜、コーティング製剤は1またはそれ以上の消泡剤を含み得る。
【0079】
特定の態様において、本発明の医薬組成物は胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)20〜30重量%のフマル酸ジメチル(胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)ラクトース、D−グルコース(デキストロース)、スクロース、フルクトース、ガラクトース、デンプン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、イソマルト、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、およびその混合物から選ばれる、25〜35重量%の希釈剤;
(c)35〜45重量%の微結晶性セルロース;
(d)1〜10重量%のクロスカルメロースナトリウム。
【0080】
別の特定の態様において、本発明の医薬組成物は胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)20〜30重量%のフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)ラクトース、リン酸水素カルシウム、イソマルト、マンニトール、およびその混合物から選ばれる、25〜35重量%の希釈剤;
(c)35〜45重量%の微結晶性セルロース;
(d)1〜10重量%のクロスカルメロースナトリウム。
【0081】
特定の好ましい態様において、本発明の医薬組成物は胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)20〜30重量%のフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)25〜35重量%のラクトース;
(c)35〜45重量%の微結晶性セルロース;
(d)1〜10重量%のクロスカルメロースナトリウム。
【0082】
好ましい態様において、上記で定義される胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとる医薬組成物は、さらに(e)少なくとも1つの流動促進剤を含む。
【0083】
好ましくは、流動促進剤(e)は、コロイド状無水シリカ、タルク、またはその組み合わせ、より好ましくはコロイド状無水シリカから選ばれる。
【0084】
上記で定義される胃耐性(腸溶コート)錠が(e)少なくとも1つの流動促進剤を含む場合、流動促進剤(または流動促進剤の組み合わせ)は、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲の量にて含まれる。
【0085】
別の好ましい態様において、上記で定義される胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとる医薬組成物は、さらに(f)少なくとも1つの滑沢剤を含む。
【0086】
好ましくは、滑沢剤(f)はステアリン酸マグネシウムである。
【0087】
上記で定義される胃耐性(腸溶コート)錠が(f)少なくとも1つの滑沢剤を含む場合、滑沢剤(または滑沢剤の組み合わせ)は、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲の量にて含まれる。
【0088】
特定の態様において、本発明の医薬組成物は、胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)20〜30重量%のフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)25〜35重量%のラクトース;
(c)35〜45重量%の微結晶性セルロース;
(d)1〜10重量%のクロスカルメロースナトリウム;
(e)好ましくは、コロイド状無水シリカ、タルク、またはその組み合わせ、より好ましくはコロイド状無水シリカから選ばれる、0.1〜5重量%の少なくとも1つの流動促進剤;
(f)0.1〜10重量%の少なくとも1つの滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム。
【0089】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)25重量%のフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)30重量%のラクトース;
(c)40重量%の微結晶性セルロース;
(d)4重量%のクロスカルメロースナトリウム;
(e)好ましくは、コロイド状無水シリカ、タルク、またはその組み合わせ、より好ましくはコロイド状無水シリカから選ばれる、0.5重量%の少なくとも1つの流動促進剤;
(f)0.5重量%の少なくとも1つの滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム。
【0090】
特定の好ましい態様において、本発明の医薬組成物は胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)30mgのフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)36mgのラクトース;
(c)48mgの微結晶性セルロース;
(d)4.8mgのクロスカルメロースナトリウム;
(e)0.6mgのコロイド状無水シリカ;
(f)0.6mgのステアリン酸マグネシウム。
【0091】
他の特定の好ましい態様において、本発明の医薬組成物は胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとり、コーティングされる前の錠剤(錠剤コア)の総重量に基づいて以下のものを含む:
(a)120mgのフマル酸ジメチル(予め胃耐性コーティングで覆われていない);
(b)144mgのラクトース;
(c)192mgの微結晶性セルロース;
(d)19.2mgのクロスカルメロースナトリウム;
(e)2.4mgのコロイド状無水シリカ;
(f)2.4mgのステアリン酸マグネシウム。
【0092】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物が胃耐性(腸溶コート)錠の形態をとる場合、錠剤コアは、上記のもの、すなわち、(b)希釈剤、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム、適宜(e)コロイド状無水シリカ;および(f)ステアリン酸マグネシウム以外にさらなる賦形剤を含まない。
【0093】
本発明また、炎症性または自己免疫性の疾患または障害、特に、リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病または乾癬から選ばれる炎症性または自己免疫性の疾患または障害の治療または予防に用いるための、特に多発性硬化症または乾癬の治療または予防に用いるための、上記で定義される医薬組成物にも関する。
【0094】
本発明はまた、炎症性または自己免疫性の疾患または障害、特に、リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病または乾癬から選ばれる炎症性または自己免疫性の疾患または障害の治療または予防のための、特に多発性硬化症または乾癬の治療または予防のための、薬剤を製造するための上記で定義される医薬組成物の使用も提供する。
【0095】
本発明はさらに、炎症性または自己免疫性の疾患または障害、特に、リウマチ性関節炎、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、1型糖尿病または乾癬から選ばれる炎症性または自己免疫性の疾患または障害に罹患した対象を治療するための、特に多発性硬化症または乾癬に罹患した対象を治療する方法であって、当該患者に上記で定義される治療的有効量の医薬組成物を投与することを特徴とする方法に関する。
【0096】
本発明はまた、上記の医薬組成物を製造するための、以下の工程を含む方法にも関する:
i)(a)予め胃耐性コーティングで覆われていないフマル酸ジメチル、(b)単糖、二糖、デンプンおよびデンプン誘導体、カルシウムおよびマグネシウム無機塩、糖アルコール、およびその混合物から選ばれる希釈剤、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム、並びに適宜他の医薬賦形剤を混合して均一な配合物を形成する工程;並びに
ii)適宜配合物を篩過する工程。
本発明はまた、この方法により得られうる医薬組成物も提供する。
【0097】
好ましい態様において、上記の医薬組成物を製造するための方法は以下の工程を含む:
i)(a)予め胃耐性コーティングで覆われていないフマル酸ジメチル、(b)単糖、二糖、デンプンおよびデンプン誘導体、カルシウムおよびマグネシウム無機塩、糖アルコール、およびその混合物から選ばれる希釈剤、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム、並びに(e)少なくとも1つの流動促進剤を混合して均一な配合物を形成する工程;
ii)適宜配合物を篩過する工程;
iii)前記の配合物に(e)少なくとも1つの流動促進剤を加え、得られた配合物を混合する工程;並びに
iv)適宜最終配合物を篩過する工程。
本発明はまた、この方法により得られうる医薬組成物にも関する。
【0098】
本発明はまた、上記の胃耐性(腸溶コート)錠を製造するための、以下の工程を含む方法にも関する:
i)上記の配合物を打錠して錠剤コアを得る工程;および
ii)錠剤コアのコーティング工程。
本発明はまた、この方法により得られうる胃耐性(腸溶コート)錠も提供する。
【0099】
本発明はまた、(1)上記で定義される医薬組成物と、(2)治療的有効量の、紅潮を低減するまたは取り除く化合物とを含む組み合わせも提供する。
【0100】
紅潮は初期の臨床研究以来フマル酸エステルの副作用として知られており、一部の患者において治療を中止させてきた(Nieboer C et al., Journal of the American Academy of Dermatology, 1989, 20:4, 601-608); Nieboer C et al., Dermatologica, 1990, 181:33-37)。従って、「紅潮を低減するまたは取り除く化合物」は、紅潮が現れた場合に、紅潮の重症度を低減する、あるいは紅潮の発生を本来現れたであろうよりも少なくする化合物の能力を指す。本明細書で用いられるように、用語「治療的有効量」は、紅潮が現れた場合に、紅潮の重症度を低減する、あるいは紅潮の発生を本来現れたであろうよりも少なくするのに十分な量を指す。これを達成するのに十分な量は「治療的有効量」として定義される。
【0101】
組み合わせにおける活性化合物は、同じ医薬組成物として一緒に投与してもよく、あるいは同じまたは異なる経路により、別々に、同時に、付随してまたは連続して投与するための異なる組成物として投与してもよい。
【0102】
本明細書は、上記で定義される病的状態または疾患に罹患したまたは罹患しやすいヒトまたは動物患者の治療において、同時に、別々にまたは連続して用いるための組み合わせ製剤として、(1)上記で定義される医薬組成物と、(2)治療的有効量の、紅潮を低減するまたは取り除く化合物とを含む製品も提供する。
【0103】
本明細書は、(1)上記で定義される医薬組成物を、(2)治療的有効量の、紅潮を低減するまたは取り除く化合物と組み合わせて、同時に、別々にまたは連続して使用するための指示書とともに含む、上記で定義される病的状態または疾患に罹患したまたは罹患しやすいヒトまたは動物患者を治療するためのパーツキットも提供する。
【0104】
本明細書は、上記で定義される病的状態または疾患の治療において、同時に、別々にまたは連続して用いるための、(1)上記で定義される医薬組成物と、(2)治療的有効量の、紅潮を低減するまたは取り除く化合物とを含むパッケージも提供する。
【0105】
典型的には、紅潮を低減するまたは取り除く化合物(2)は、アセチルサリチル酸、ラロピプラント(laropripant)((−)−[(3R)−4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−(メチルスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸)、COX阻害剤、またはその組み合わせから選ばれる。
【0106】
本明細書で用いられるように、用語COX阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ−1酵素とシクロオキシゲナーゼ−2酵素の両方を阻害する化合物を指す。ある態様において、ヒト全血アッセイ(Brideau et al., Inflamm Res., 45: 68-74 (1996)に記載されている)において、化合物のシクロオキシゲナーゼ−1 IC
50値は、約200μMより小さく、好ましくは約100μMより小さく、より好ましくは約50μMより小さく、さらにより好ましくは約20μMより小さく、シクロオキシゲナーゼ−2 IC
50値は、約50μMより小さく、好ましくは25μMより小さく、より好ましくは約15μMより小さく、さらにより好ましくは約2μMより小さく、化合物の、シクロオキシゲナーゼ−1阻害に対するシクロオキシゲナーゼ−2阻害の選択比(IC
50 COX−1/IC
50 COX−2比として決定される)はまた、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも1、さらにより好ましくは少なくとも2、最も好ましくは少なくとも10である。
【0107】
ある態様において、COX阻害剤は、オキシカム、ピロキシカム、メロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム、CP−14,304、サリチル酸塩、ジサルシド、ベノリレート、トリリサート、サファピリン(safapryn)、ソルプリン、ジフルニサル、フェンドサル、酢酸誘導体、アセクロフェナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン(acematacin)、フェンチアザク、ゾメピラック、クリンダナク(clindanac)、オキセピナク、フェルビナク、エトドラク、ケトロラック、フェナメート、メフェナミック、メクロフェナミック(meclofenamic)、フルフェナミック(flufenamic)、ニフルミック(niflumic)、トルフェナム酸、プロピオン酸誘導体、アセトアミノフェン(パラセタモール)、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ピケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン(indopropfen)、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン、ピラゾール、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、トリメタゾン(trimethazone)、アプリコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウム、ロフェコキシブ、セレノコキシブ−1(selenocoxib−1)、バルデコキシブ、2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブトキシ)−5−(4−メタンスルホニル−フェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(ABT−963)、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾール−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE−522)、N−[2−シクロヘキシルオキシ−4−ニトロフェニル]メタンスルホンアミド(NS 398)、(E)−(5)−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジリデン)−2−エチル−1,2−イソチアゾリジン−1,1−ジオキシド(S−2474)、5(R)−チオスルホンアミド−3(2H)−ベンゾフラノン(SVT−2016)、N−[7−[(メタンスルホニル)アミノ]−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−3−イル] ホルムアミド(T−614)、BMS−347070(Bristol Myers Squibb)、GSK−644784(GlaxoSmithKline)、RS 57067(Roche Bioscience)、SC−75416(Pfizer)、SC−58125(Pfizer)、SD−8381、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロール、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、3−(4−クロロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、3−(4−ブロモ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、3−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、3−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(S)−3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(S)−3−(4−ブロモ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(S)−3−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(R)−3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(R)−3−(4−ブロモ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、(R)−3−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、4−(3−(2−フルオロフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−m−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−p−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、(R)−4−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−3−フェニルフラン−2(5H)−オン、(S)−4−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−3−フェニルフラン−2(5H)−オン、4−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−3−フェニルフラン−2(5H)−オン、5−クロロ−6’−メチル−3−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−2,3’−ビピリジン、(S)−5−クロロ−6’−メチル−3−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−2,3’−ビピリジン、(R)−5−クロロ−6’−メチル−3−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−2,3’−ビピリジン、それらの医薬的に許容される塩、それらの溶媒和物、それらのN−オキシド、それらの立体異性体、またはそれらの重水素化誘導体からなる群から選ばれる。
【0108】
好ましい態様において、COX阻害剤は、アセクロフェナク、ジクロフェナク、アセトアミノフェン(パラセタモール)、イブプロフェン、ナプロキセン、アプリコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウム、ロフェコキシブ、セレノコキシブ−1、バルデコキシブ、2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブトキシ)−5−(4−メタンスルホニル−フェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(ABT−963)、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾール−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE−522)、N−[2−シクロヘキシルオキシ−4−ニトロフェニル]メタンスルホンアミド(NS 398)、(E)−(5)−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジリデン)−2−エチル−1,2−イソチアゾリジン−1,1−ジオキシド(S−2474)、5(R)−チオスルホンアミド−3(2H)−ベンゾフラノン(SVT−2016)、N−[7−[(メタンスルホニル)アミノ]−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−3−イル]ホルムアミド(T−614)、3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、4−(3−(2−フルオロフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−m−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−p−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、それらの医薬的に許容される塩、それらの溶媒和物、それらのN−オキシド、それらの立体異性体、またはそれらの重水素化誘導体からなる群から選ばれる。
【0109】
さらに好ましい態様において、COX阻害剤は、アセクロフェナク、ジクロフェナク、アセトアミノフェン(パラセタモール)、イブプロフェン、ナプロキセン、アプリコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウム、ロフェコキシブ、セレノコキシブ−1、バルデコキシブ、3−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−6−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−4H−ピラン−4−オン、4−(3−(2−フルオロフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−m−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−オキソ−3−p−トリル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、それらの医薬的に許容される塩、それらの溶媒和物、それらのN−オキシド、それらの立体異性体、またはそれらの重水素化誘導体からなる群から選ばれる。
【0110】
本発明はまた、(1)上記で定義される医薬組成物と、(3)治療的有効量のプロトンポンプ阻害剤(PPI)とを含む組み合わせも提供する。プロトンポンプ阻害剤は、主作用が胃酸生成の顕著かつ長期にわたる低減であり、従って胃腸障害を低減する、一群の薬である。
【0111】
典型的には、プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、イラプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、またはその混合物から選ばれる。
【0112】
好ましい態様において、プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、またはその混合物から選ばれる。
【0113】
組み合わせにおける活性化合物は、同じ医薬組成物として一緒に投与してもよく、あるいは、同じまたは異なる経路により、別々に、同時に、付随してまたは連続して投与するための異なる組成物として投与してもよい。
【0114】
本明細書は、上記で定義される病的状態または疾患に罹患したまたは罹患しやすいヒトまたは動物患者の治療において、同時に、別々にまたは連続して用いるための組み合わせ製剤として、(1)上記で定義される医薬組成物と、(3)治療的有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む製品も提供する。
【0115】
本明細書は、(1)上記で定義される医薬組成物を、(3)治療的有効量のプロトンポンプ阻害剤と組み合わせて、同時に、別々にまたは連続して使用するための指示書とともに含む、上記で定義される病的状態または疾患に罹患したまたは罹患しやすいヒトまたは動物患者を治療するためのパーツキットも提供する。
【0116】
本明細書は、上記で定義される病的状態または疾患の治療において、同時に、別々にまたは連続して用いるための、(1)上記で定義される医薬組成物と、(3)治療的有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含むパッケージも提供する。
【0117】
本発明はまた、(1)上記で定義される医薬組成物と、(2)上記で定義される、治療的有効量の、紅潮を低減するまたは取り除く化合物と、(3)上記で定義される、治療的有効量のプロトンポンプ阻害剤(PPI)とを含む三剤併用も提供する。
【0118】
以下の実施例は、当業者に十分明確かつ完全に本発明を説明するために示すものであって、本明細書の上述部分に提示された、本発明の主題の本質的な局面を制限するものと見なすべきではない。
【実施例】
【0119】
実施例1−バルク組成物
60kgのバルク組成物は、表1に詳細に記載した量の成分を混合することにより調製した。
【表1】
フマル酸ジメチル、ラクトース、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびコロイド状無水シリカを混合して配合物を形成した。次いで配合物を0.8mmふるいに通した。篩過した配合物を再び混合した。次いで得られたものを再び0.8mmふるいに通し、最後に再び混合した。
ステアリン酸マグネシウムを0.5mmふるいに通し、上記の配合物に加え、混合して最終配合物を得た。
【0120】
実施例2−錠剤
2.1.本発明の錠剤
実施例1の最終配合物を2つの相似の部分に分けて含量(フマル酸ジメチル30および120mg)が異なる錠剤を得た。12kgのバルク組成物をロータリー式打錠機を用いて直接圧縮により打錠し、最終重量が120mg(フマル酸ジメチル30mg)、直径が6.5mmの、100,000の錠剤コアを得た。
48kgのバルク組成物をロータリー式打錠機を用いて直接圧縮により打錠し、最終重量が480mg(120mgのフマル酸ジメチル)、直径が11mmの、100,000の錠剤コアを得た。
次いで錠剤コアを、水およびメタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(1:1)30%水性分散液に懸濁したクエン酸トリエチル、シメチコン、タルクおよび二酸化チタンを含む水性フィルムコーティング懸濁液でコーティングした(表2中の量を参照のこと)。120mgのフマル酸ジメチル錠剤コアの場合、コーティング懸濁液にはまた、インジゴカルミン・レーキおよび水酸化ナトリウムも含めた。
【表2】
【0121】
上記の腸溶コート錠は、色だけでなくサイズ(低用量−短い直径;高用量−長い直径)によっても識別することができ、これは視覚障害がある人々にとって有利である。
【0122】
さらに、上記の腸溶コート錠を用いて、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の安定性ガイドラインに従って、安定性試験を実施した。錠剤を、気候室内で、相対湿度40℃/75%で6ヶ月間、相対湿度30℃/65%で12ヶ月間、および相対湿度25℃/60%で24ヶ月間、保存した。外観、水分含量、硬度、溶出および関連する内容を定期的に試験した。結果から、錠剤が安定であると結論づけた。従って、保存条件上の制約は必要ない。
【0123】
2.2.さらなる本発明の錠剤
上記と同様に、フマル酸ジメチル30および120mg腸溶コート錠を、表3、4および5中に示されるように、ラクトースを、フルクトース、マンニトールおよびリン酸水素カルシウム(CaHPO
4 2H
2O)で置き換えて調製した。この錠剤を用いて、気候室内で、相対湿度40℃/75%で6ヶ月間、安定性試験を実施した。結果から、錠剤が安定であると結論づけた。
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
2.3.比較実験
上記と同様に、フマル酸ジメチル120mg腸溶コート錠を、ラクトースを微結晶性セルロースで置き換えて調製した。この錠剤を用いて、気候室内で、相対湿度40℃/75%で6ヶ月間、安定性試験を実施した。結果から、錠剤が安定でないと結論づけた。
【0127】
実施例3−溶出試験
固形剤型用の標準の溶出試験に従って、上記の本発明の腸溶コート錠におけるフマル酸ジメチルの溶出速度を決定した。これらの溶出試験は、European Pharmacopoeia 6.0, Chapter 2.9.3、およびUS Pharmacopoiea USP36-NF31, Chapter 711に記載されている。
【0128】
溶出試験は以下のように実施した:1リットル容器付きのUSP装置II(パドル)を用いた。浴温を37℃±0.5℃に、パドル速度を75rpmに設定した。1錠を、750mLの0.1N HCl(pH1.2)を入れた1つの容器に2時間にわたって入れておく。その後、220mLの0.2M リン酸ナトリウム緩衝液を加えることにより、pHを6.2に変える(0.05M リン酸緩衝液)。錠剤を、緩衝化したpHの下で2時間にわたって保持する。その後、各サンプリング時点(10または20分間隔)で試料を採取する。フマル酸ジメチルをUVにより検出する;細胞体積 0.1cm
3、検出器波長 220nm、参照波長 400〜500nm。
【0129】
本発明の医薬組成物は、活性成分の数が少なく賦形剤が異なるにも関わらず、Fumaderm(登録商標)と類似の溶出プロファイルを示す。さらに、錠剤コアにラクトース、フルクトース、マンニトールまたはリン酸水素カルシウムを用いて得た本発明の医薬組成物の様々な溶出プロファイルの間で有意な差は観察されなかった。
【0130】
記載した医薬組成物の本質的な局面に影響を及ぼさない、改変しない、変更しないまたは修正しない変更は、本発明の範囲内に含まれる。