(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2駆動部は、交流電力を出力する電源部と前記所定の第2抵抗発熱体との間に介在しており、前記交流電力がゼロクロスするときに前記第1期間と前記第2期間との切り換えを行うソリッドステートリレーを有している
請求項6〜8のいずれか1項に記載のヒータシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態に係るヒータ及びヒータシステムについて、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータ及びヒータシステムは、各図に示されていない周知の構成部材をさらに備えていても構わない。
【0009】
また、第2実施形態以降においては、先に説明された実施形態の構成と同様の構成について、先に説明された実施形態の構成に付された符号と同一の符号を付し、また、説明を省略することがある。先に説明された実施形態の構成に対応する(類似する)構成に対して、先に説明された実施形態の構成に付した符号とは異なる符号を付した場合においても、特に断りがない事項については、先に説明された実施形態の構成と同様とされてよい。
【0010】
<第1実施形態>
(ヒータシステム)
図1は、実施形態に係るヒータシステム100の構成を示す概略図である。
【0011】
ヒータシステム100は、ヒータ10と、ヒータ10を駆動する駆動装置50とを有している。以下、これらについて順に説明する。
【0012】
なお、ヒータ10は、必ずしも
図1の紙面上方を実際の上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、
図1の紙面上方が実際の上方であるものとして、上面及び下面等の用語を用いることがある。なお、例えば、上面が第1面であり、下面が第2面である。
【0013】
(ヒータ)
ヒータ10は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータ本体10aと、ヒータ本体10aから下方へ延びているパイプ10bとを有している。
【0014】
ヒータ本体10aは、その上面10cに加熱対象物の一例としてのウェハが載置され、ウェハの加熱に直接に寄与する部分である。パイプ10bは、例えば、ヒータ本体10aの支持、及び/又はヒータ本体10aに接続されるケーブル(不図示)の保護に寄与する部分である。なお、パイプ10bを除くヒータ本体10aのみによってヒータが定義されてもよい。
【0015】
ヒータ本体10aの上面10c及び下面(符号省略)は、例えば、概ね平面である。ヒータ本体10aの平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)または矩形である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは5mm以上30mm以下である。
【0016】
パイプ10bは、上下(軸方向両側)が開口している中空部材である(
図2も参照)。その横断面(軸方向に直交する断面)及び縦断面(軸方向に平行な断面)の形状は適宜に設定されてよい。また、パイプ10bの寸法は適宜に設定されてよい。
【0017】
平面透視において、ヒータ本体10aのうちパイプ10bの内縁によって規定される領域は、後述する複数の端子5(
図2参照)が配置される端子配置領域10d(
図3参照)となっている。複数の端子5は、ヒータ本体10aの下面からヒータ本体10aの外部へ露出している。
【0018】
パイプ10b内には不図示の複数のケーブルが挿通される。複数のケーブルは、一端が複数の端子5に接続され、他端が駆動装置50に接続される。これにより、ヒータ本体10aと駆動装置50とが電気的に接続される。
【0019】
(ヒータ本体の内部構造)
図2は、ヒータ10の分解斜視図である。なお、完成後のヒータ10又はヒータ本体10aは、例えば、分解不可能に一体的に形成されている。すなわち、
図2の分解斜視図のように分解可能である必要はない。
【0020】
ヒータ本体10aは、絶縁性の基体1(符号は
図1参照。
図2では、1a、1b、1c及び1dからなる)と、基体1に埋設されている抵抗発熱体(2A、2Ba、2Bb、2Bc及び2Bd。これらを区別せずに、単に「抵抗発熱体2」ということがある。)と、抵抗発熱体2に電力を供給するための各種の導体とを備えている。各種の導体は、例えば、接続導体3、配線4及び端子5である。抵抗発熱体2に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、基体1の上面10cに載置されているウェハが加熱される。
【0021】
(基体)
基体1の外形は、ヒータ本体10aの外形を構成している。従って、上述のヒータ本体10aの形状及び寸法に係る説明は、そのまま基体1の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。
【0022】
基体1の材料は、例えば、セラミックスである。従って、ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。セラミックスは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、炭化珪素(SiC)及び窒化珪素(Si
3N
4)等を主成分とする焼結体である。なお、窒化アルミニウムを主成分とする窒化アルミニウム質セラミックスは、例えば、耐食性に優れている。従って、基体1を窒化アルミニウム質セラミックスによって構成した場合、例えば、腐食性の高いガス雰囲気下での使用に有利である。
【0023】
図2では、基体1は、第1セラミック層1a〜第4セラミック層1dからなる。なお、基体1は、第1セラミック層1a〜第4セラミック層1dとなる材料(例えばセラミックグリーンシート)が積層されて作製されてよい。また、基体1は、そのような方法とは異なる方法によって作製され、完成後に抵抗発熱体2等の存在によって概念的に第1セラミック層1a〜第4セラミック層1dからなると捉えることができるだけであってもよい。
【0024】
第1セラミック層1a、第2セラミック層1b、第3セラミック層1c及び第4セラミック層1dは、この列挙順で上方から積層されている。そして、第1セラミック層1aは、ヒータ本体10aの上面10cを構成している。第4セラミック層1dは、ヒータ本体10aの下面を構成している。第1セラミック層1a〜第4セラミック層1dは、例えば、それぞれ、概ね一定の厚さの層状(板状)であり、その平面形状は、上述したヒータ本体10a(基体1)全体としての平面形状と同様である。各層の厚さは、各層の役割に応じて適宜に設定されてよい。
【0025】
(抵抗発熱体)
ヒータ10は、抵抗発熱体2として、1つの第1抵抗発熱体2Aと、複数(図示の例では4つ)の第2抵抗発熱体2Ba、2Bb、2Bc及び2Bd(本実施形態では互いにつながっている。)とを有している。なお、以下では、第2抵抗発熱体2Ba〜2Bdを区別せずに、単に「第2抵抗発熱体2B」ということがある。
【0026】
第1抵抗発熱体2Aは、第1セラミック層1aと第2セラミック層1bとの間に位置する導体パターンによって構成されている。複数の第2抵抗発熱体2Bは、第2セラミック層1bと第3セラミック層1cとの間に位置する導体パターンによって構成されている。すなわち、複数の第2抵抗発熱体2Bは、第1抵抗発熱体2Aに対してヒータ10の下面側に位置している。
【0027】
各抵抗発熱体2は、基体1の上面10cに沿って(平行に)延びており、概して言えば線状である。その延びる経路(抵抗発熱体2のパターン。平面視における抵抗発熱体2の形状)は、渦巻形状又はミアンダ形状等の適宜なものとされてよい。本開示において図示するパターンは一例に過ぎない。
【0028】
各抵抗発熱体2が広がる占有領域を、例えば、その抵抗発熱体2を包含する最小の凸多角形によって定義する。このとき、平面透視において、第1抵抗発熱体2Aの占有領域と、各第2抵抗発熱体2Bの占有領域とは、例えば、少なくとも一部同士が互いに重なっている。ひいては、第1抵抗発熱体2Aの占有領域と、複数の第2抵抗発熱体2Bの全体の占有領域とは、少なくとも一部同士が互いに重なっている。例えば、第1抵抗発熱体2Aの占有領域と、複数の第2抵抗発熱体2Bの全体の占有領域とは、それぞれの8割以上が互いに重なっている。なお、複数の第2抵抗発熱体2Bの全体の占有領域は、各第2抵抗発熱体2Bの占有領域の合計であってもよいし、複数の第2抵抗発熱体2B全体を包含する最小の凸多角形であってもよい。また、第1抵抗発熱体2Aの占有領域は、例えば、上面10c(ただし、ウェハを載置可能な領域に限る。)の8割以上を占めている。
【0029】
また、第1抵抗発熱体2Aのパターンと、複数の第2抵抗発熱体2Bの全体のパターンとは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、両パターンが互いに同一である場合において、両パターンは、平面透視において互いに重なっていてもよいし、互いにずれていてもよい。なお、ここでいう重なりは、上記の占有領域の重なりよりも狭義の重なり(抵抗発熱体2自体が重なる状態)である。
【0030】
本実施形態の説明では、両パターンが互いに同一で、かつ互いに重なる態様を例にとる。ただし、両パターンが互いに同一といっても、例えば、両パターンに別々に電力を供給する複数の導体(3、4及び/又は5)が互いに干渉しないように、一部において両パターンは異なっている。
【0031】
抵抗発熱体2の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。導体は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。また、抵抗発熱体2の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、抵抗発熱体2の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
【0032】
本実施形態では、後述するように、抵抗発熱体2の全部又は一部は、温度を検出するセンサ素子(サーミスタ)として兼用される。抵抗発熱体2の材料としてタングステン又はタングステンを主成分とする合金を用いた場合、例えば、タングステンは抵抗温度係数が比較的高いことから、温度の検出精度が向上する。
【0033】
(複数の第2抵抗発熱体の具体的なパターン)
図3は、第3セラミック層1cの上面を示す平面図である。
【0034】
複数の第2抵抗発熱体2Bは、一続きの第3抵抗発熱体2Cが実質的に分割されることによって構成されている。具体的には、第3抵抗発熱体2Cは、その両端と、1以上(図示の例では3つ)の中途位置とが、第3抵抗発熱体2Cに電力を供給するための第1給電部P1〜第5給電部P5(以下、単に「給電部P」ということがある。)となっている。これにより、一続きの第3抵抗発熱体2Cの複数部位(複数の第2抵抗発熱体2B)に対して、互いに独立に電流を流すことができるようになっている。
【0035】
なお、最も両側の給電部P(P1及びP5)は、第3抵抗発熱体2Cの両端からずれていてもよい。また、そのようなずれの有無に関わらず、第1給電部P1と第5給電部P5との間の部分に対して一続きの第3抵抗発熱体2Cの語を用いるように用語の定義をしてもよい。以下の説明では、便宜上、第3抵抗発熱体2Cの両端と最も両側の給電部Pとは同義であるものとする。
【0036】
また、第3抵抗発熱体2Cは、給電部Pにおいて特別な構成(例えばパッド状になっているなど)を有している必要はなく、抵抗発熱体2の大部分と同様の構成であってよい。
図2及び
図3では、給電部Pの位置を明らかにする便宜上、第3セラミック層1cを貫通する貫通導体を給電部Pの位置で図示している。この貫通導体は、後述するように、接続導体3又は端子5を構成するものである。なお、第3抵抗発熱体2Cは、給電部Pにおいて特別な構成を有していてもよい。
【0037】
第3抵抗発熱体2Cは、例えば、その一端(第1給電部P1)から他端(第5給電部P5)まで自己に対して交差することなく延びている。その経路の位置及び形状は適宜に設定されてよい。例えば、第3抵抗発熱体2Cの両端は、上述した端子配置領域10dに収まっている。
【0038】
また、例えば、第3抵抗発熱体2Cは、平面視において基体1を周方向に分割した第1領域Ar1〜第4領域Ar4(図示の例では扇形の領域。以下、単に領域Arということがある。)を順に延びている。そして、複数の第2抵抗発熱体2Ba〜2Bdは、順に第1領域Ar1〜第4領域Ar4に収まっている。図示の例では、基体1の分割数は4であり、また、基体1は均等に分割されている。
【0039】
なお、複数の領域Ar(別の観点では複数の第2抵抗発熱体2Bの占有領域)の分割数、分割方向、分割位置及び大小関係は、上記以外にも適宜に設定されてよい。例えば、図示の例のような周方向の分割に代えて、又は加えて、半径方向において分割がなされたり、不均等に分割がなされたりしてもよい。また、分割数は、4よりも少なくてもよいし、多くてもよい。
【0040】
各領域Arそれぞれにおける第2抵抗発熱体2Bの経路も適宜に設定されてよい。図示の例では、第2抵抗発熱体2Bは、各領域Arにおいて、概略、蛇行するように(ミアンダ状に)延びている。また、第2抵抗発熱体2Bは、上記のように蛇行した部分に加えて、基体1の外縁に沿って延びる部分を有している。
【0041】
(第1抵抗発熱体の具体的なパターン)
既述のように、本実施形態の説明では、第1抵抗発熱体2Aのパターンと複数の第2抵抗発熱体2Bの全体のパターンとが同一である場合を例にとる。従って、上記の第3抵抗発熱体2Cのパターンについての説明は、第1抵抗発熱体2Aに適用されてよい。ただし、第1抵抗発熱体2Aは、両端のみが給電部Pとなっている。
【0042】
(接続導体、配線及び端子)
図4は、
図3のIV−IV線における断面図である。
【0043】
図2〜
図4に示す接続導体3、配線4及び端子5は、抵抗発熱体2に電力を供給するためのものであり、基体1に設けられている。配線4は、例えば、第1抵抗発熱体2A及び複数の第2抵抗発熱体2Bに対して下層に位置する階層配線となっており、複数の給電部Pのいずれかと複数の端子5のいずれかとを接続している。接続導体3は、配線4と給電部Pとの間に介在してこれらの接続に寄与している。このような階層配線が設けられることによって、例えば、抵抗発熱体2の任意の位置(給電部)と、任意の位置に配置された端子5とを接続することが可能となっている。
【0044】
より具体的には、例えば、端子5は、既に述べたように、基体1の平面視における中央側の領域の一部である端子配置領域10d(
図3)において、基体1の下面から基体1の外部へ露出している。そして、例えば、給電部Pのうち、端子配置領域10dの外側に位置するもの(本実施形態ではP2及びP4)は、接続導体3及び配線4を介して端子5に接続されている。一方、端子配置領域10dに位置する給電部Pは、例えば、配線4を介さずに端子5に直接的に接続されている。
【0045】
接続導体3は、例えば、基体1の一部(図示の例では第3セラミック層1c)を貫通する貫通導体を含んでいる。そして、給電部Pの直下に位置することによって、給電部Pに接続されている。なお、特に図示しないが、接続導体3は、抵抗発熱体2の延びる方向へ抵抗発熱体2の経路に沿って配列された複数の貫通導体に分割されていてもよい。このようにすることにより、例えば、接続導体3と抵抗発熱体2との導通面積を大きくしつつ、接続導体3の、抵抗発熱体2の幅方向における大きさを小さくすることができる。
【0046】
配線4は、例えば、第3セラミック層1cと第4セラミック層1dとの間に位置する導体パターンによって構成されている。すなわち、配線4は、基体1に埋設されている。配線4の寸法及び形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、配線4は、概略、基体1の半径方向において直線状に一定の幅で延びている。
【0047】
複数の端子5のうち、配線4に接続されるものは、例えば、第4セラミック層1dを貫通する貫通導体によって構成されている。そして、この端子5は、配線4の接続導体3とは反対側の概ね端部において配線4の直下に位置することによって、配線4に接続されている。
【0048】
複数の端子5のうち、配線4を介さずに第2抵抗発熱体2Bに直接に接続されるものは、例えば、第3セラミック層1c及び第4セラミック層1dを貫通する貫通導体によって構成されている。また、第1抵抗発熱体2Aに接続される端子5は、例えば、第2セラミック層1b〜第4セラミック層1dを貫通する貫通導体によって構成されている。そして、これらの端子5は、抵抗発熱体2の直下に位置することによって、給電部に接続されている。なお、当該端子5において、第2セラミック層1b及び/又は第3セラミック層1cを貫通する部分の材料及び/又は形状は、抵抗発熱体2と配線4との間に位置する接続導体3と同様とされてもよい。
【0049】
接続導体3、配線4及び端子5の材料は、適宜な導体(例えば金属)とされてよい。例えば、これらの材料は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、インジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。また、接続導体3、配線4及び端子5の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、これら導体の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末を含むものであってもよい。また、これらの材料は、抵抗発熱体2の材料と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0050】
貫通導体(接続導体3及び端子5)と層状パターン(抵抗発熱体2及び配線4)との接続部においては、材料若しくは製造工程等の観点から見て、層状パターンの上面又は下面に貫通導体が接続されていてもよいし、貫通導体の周囲に層状パターンが接続されていてもよいし、そのような区別が不可能であってもよい。本実施形態の説明においては、便宜上、いずれの場合であっても、抵抗発熱体2及び配線4の上面又は下面に接続導体3及び/又は端子5が接続されていると概念的に捉えて説明する。
【0051】
(駆動装置)
図1に示した駆動装置50は、例えば、電源回路及びコンピュータ等を含んで構成されており、商用電源からの電力を適宜な電圧の交流電力及び/又は直流電力に変換してヒータ10(複数の端子5)に供給する。コンピュータは、例えば、IC(Integrated Circuit)及び/又はパーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。また、コンピュータは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置を備えており、CPUがROM等に記憶されているプログラムを実行することによって、制御部等の各種の機能部が構成される。なお、所定の演算処理を行う回路を組み合わせて制御部等を構成してもよい。駆動装置50が行う処理は、デジタル処理であってもよいし、アナログ処理であってもよい。
【0052】
(制御方法)
ヒータシステム100における制御方法の概要を説明する。
【0053】
ヒータ10は、第1抵抗発熱体2Aと、第1抵抗発熱体2Aに対して積層的に配置された複数の第2抵抗発熱体2Bとを有しているから、両者が生じる熱量の合計によって上面10cを加熱することができる。このような場合において、第1抵抗発熱体2Aと、複数の第2抵抗発熱体2Bとの間の役割分担は適宜に設定されてよい。
【0054】
例えば、ヒータ本体10aが生じる熱量の大部分を第1抵抗発熱体2Aによって実現しつつ、複数の第2抵抗発熱体2Bによって、ヒータ本体10aの領域Ar毎に温度制御を行ってよい。複数の第2抵抗発熱体2Bによる局所的な温度制御は、例えば、ヒータ本体10aにおける温度分布を均一化したり、逆に、ヒータ本体10aに所望の温度勾配を生じさせたりすることに利用されてよい。なお、以下では、温度分布を均一化する場合を例にとる。
【0055】
図5(a)は、上記のようなヒータシステム100の制御方法の概要を示す概念図である。
【0056】
図5(a)内の3つのグラフにおいて、横軸は、第1領域Ar1〜第4領域Ar4を示している。縦軸は、上面10cの温度tp(℃)、又は温度tpの上昇量に相当する熱量を示している。なお、便宜上、本開示の説明では、温度tpの上昇量に相当する熱量も温度tpによって説明する(表現の厳密性は無視する)ことがある。
【0057】
図5(a)の上段左側のグラフにおいて、線L1は、第1抵抗発熱体2Aによって実現される温度を示している。
図5(a)の上段右側のグラフにおいて、線L2は、複数の第2抵抗発熱体2Bによって実現される温度上昇量を示している。
図5(a)の下段のグラフにおいて、線L3は、第1抵抗発熱体2A及び複数の第2抵抗発熱体2Bの双方によって実現される温度を示している。
【0058】
上面10cの目標温度をtp0とする。
図5(a)の上段左側のグラフに示すように、第1抵抗発熱体2Aは、例えば、上面10cの温度を概ね目標温度tp0まで上昇させる熱量を生じることに利用される。ただし、ヒータ10の製造誤差又はヒータ10の使用環境等の種々の事情によって、複数の領域Arの温度は互いに同一とはならずにばらつく。そこで、第1抵抗発熱体2Aには、例えば、複数の領域Arのうち最も温度が高い領域(図示の例では第2領域Ar2)の検出温度が目標温度tp0に到達する大きさの電力が供給される。
【0059】
一方、各第2抵抗発熱体2Bは、自己に対応する領域Arの検出温度が目標温度tp0に収束するように電力が供給される。別の観点では、
図5(a)の上段右側のグラフによって示すように、各第2抵抗発熱体2Bは、自己に対応する領域Arにおいて、目標温度tp0と、第1抵抗発熱体2Aによって実現される温度との温度差に相当する熱量を生じるように電力が供給される。
【0060】
その結果、
図5(a)の下段のグラフに示すように、全ての領域Arの温度は、目標温度tp0に収束していく。すなわち、上面10cの温度分布のばらつきが低減される。
【0061】
第1抵抗発熱体2Aは、目標温度tp0よりも低い仮目標温度(ここでは不図示。
図13(a)のtp1を参照)を実現する熱量を生じるように電力が供給されてもよい。仮目標温度は、例えば、第1抵抗発熱体2Aによる温度分布のばらつきの最大値以上の差で、目標温度tp0よりも低くされる。第1抵抗発熱体2Aは、例えば、目標温度tp0と仮目標温度との温度差を検出温度から引いた温度が仮目標温度に収束するように制御される。このときの検出温度としては、最も温度が高い領域Arの温度に代えて、上面10cの平均温度を用いてもよい。
【0062】
一方、各第2抵抗発熱体2Bは、上記と同様に、自己に対応する領域Arの検出温度が目標温度tp0に収束するように電力が供給される。これにより、第2抵抗発熱体2Bは、仮目標温度からこれよりも高い目標温度tp0まで領域Arの温度を上昇させるための熱量を生じる。
【0063】
第1抵抗発熱体2Aによって、最も温度が高い領域Arの検出温度を目標温度tp0に収束させる場合、目標温度tp0に対して第1抵抗発熱体2Aによる温度分布のばらつきが非現実的に大きくない限り、全ての領域Arの温度は、目標温度tp0に近くなる。すなわち、複数の第2抵抗発熱体2Bのいずれの発熱量も小さくなる。従って、第1抵抗発熱体2Aに供給される電力は、複数の第2抵抗発熱体2Bに供給される電力の合計よりも大きくなる。
【0064】
また、目標温度tp0よりも低い仮目標温度を実現する熱量を第1抵抗発熱体2Aによって生じる場合、仮目標温度の設定によって、第1抵抗発熱体2Aに供給される電力と、複数の第2抵抗発熱体2Bに供給される電力の合計との相対関係を適宜に設定できる。ただし、この場合も、例えば、第1抵抗発熱体2Aに供給される電力が、複数の第2抵抗発熱体2Bに供給される電力の合計よりも大きくなるように仮目標温度が設定される。
【0065】
例えば、仮目標温度は、基準温度からの上昇量が前記基準温度から目標温度tp0(℃)までの上昇量の50%以上又は90%以上である。基準温度は、例えば、常温(例えば日本工業規格が定義する常温20℃±15℃の中央値である20°とする。)である。一例として、目標温度tp0は650℃であり、仮目標温度は620℃である。
【0066】
図5(b)は、温度のフィードバック制御の応答性について、第1抵抗発熱体2Aによる制御と、複数の第2抵抗発熱体2Bによる制御との関係を説明するための模式図である。
【0067】
この図において、横軸は時間を示している。縦軸は温度を示している。線L6は、第1抵抗発熱体2A及び複数の第2抵抗発熱体2Bによって所定の領域Ar(例えば最も温度が高い領域Ar)の温度をフィードバック制御したと仮定したときの温度の経時変化を示している。線L5は、線L6の温度の経時変化が得られた場合における、上記の所定の領域Arにおいて第1抵抗発熱体2Aが生じた熱量に相当する温度の経時変化を示している。従って、線L5と線L6との差は、上記所定の領域Arの第2抵抗発熱体2Bが生じた熱量に相当する温度の経時変化を示している。
【0068】
この図に示されているように、例えば、複数の第2抵抗発熱体2Bによる温度のフィードバック制御は、第1抵抗発熱体2Aによる温度のフィードバック制御よりも応答性が高くなっている。これにより、例えば、2種の抵抗発熱体2の熱量の合計によって実現される温度は、目標温度tp0に収束しやすくなっている。換言すれば、2種の制御が相互に干渉して検出温度が発散してしまうおそれが低減されている。
【0069】
なお、応答性は、例えば、検出値を目標値に復帰させる速さである。従って、例えば、検出値が目標値からずれたときに、検出値が目標値(又は目標値を中心とする所定範囲)に復帰するまでの時間が短いほど応答性が高い。また、ここでいう応答性は、検出値の目標値に対する振動が小さくなる速さ(オーバーシュートの大きさ等)は問題としていない。
【0070】
両者の応答性の相違は、適宜に実現されてよい。例えば、複数の第2抵抗発熱体2Bの制御は、第1抵抗発熱体2Aの制御に対して、比例ゲインが大きくされたり、フィードバック制御を行う周期が短くされたりしてよい。すなわち、両制御は、パラメータが互いに異なるものとされてよい。また、例えば、第1抵抗発熱体2Aの制御が積分制御又はファジィ制御とされる一方で、第2抵抗発熱体の制御が比例制御、PD(ProportionalDifferential)制御、PI(Proportional Integral)制御又はPID制御とされるなどしてもよい。すなわち、両制御は、制御方式が互いに異なるものとされてもよい。
【0071】
(駆動装置の具体的な構成)
図6は、ヒータシステム100における信号処理系の構成を機能的観点から示すブロック図の一例である。
【0072】
ヒータシステム100は、既述のように、ヒータ10及び駆動装置50を有している。駆動装置50は、ヒータ10に電力を供給する、第1駆動部101、第2駆動部103及び第3駆動部105を有している。また、駆動装置50は、ヒータ10の温度を検出する温度計測部107と、上記駆動部(101、103及び105)の動作を制御する制御部109とを有している。
【0073】
第1駆動部101は、第1抵抗発熱体2Aに電力を供給する。第2駆動部103は、複数の第2抵抗発熱体2Bに個別に電力を供給する。第3駆動部105は、複数の第2抵抗発熱体2B全体に共通に電力を供給する。
【0074】
また、第1駆動部101は、温度計測部107の検出した温度に基づいて第1抵抗発熱体2Aに供給する電力のフィードバック制御を行う。同様に、第2駆動部103は、温度計測部107の検出した温度に基づいて第2抵抗発熱体2Bに個別に供給する電力のフィードバック制御を行う。
【0075】
このような種々の機能部(101、103、105、107及び109)を実現するハードウェア構成は、適宜なものとされてよい。また、種々の機能部は、互いに一部又は全部が同一のハードウェア(例えば同一のIC又は同一のPC)に構築されていてもよい。また、各機能部は、さらに下位概念の複数の機能部を有しており、その下位概念の複数の機能部の一部は、上位の機能部(101、103、105、107及び109)同士で共用されていてもよい。
【0076】
(電力供給に係るハードウェア構成)
図7は、
図6に示した種々の機能部のうち主として電力供給に係る部分について、ハードウェア構成の一例を示す回路図である。
【0077】
(第1駆動部)
第1駆動部101は、例えば、電源回路及びコンピュータ(例えばIC)を含んで構成されている。そして、第1駆動部101は、商用電源111(又は不図示の電源回路)から供給された電力を適宜な電圧の直流電力又は交流電力に変換し、その電力を第1抵抗発熱体2A(その両端の給電部)に供給する。
【0078】
商用電源111から供給される電力は、例えば、50Hz以上60Hz以下の周波数及び200Vの電圧を有する交流電力である。第1駆動部101が第1抵抗発熱体2Aに供給する電力が交流電力である場合において、当該交流電力の周波数は、商用電源111の周波数に対して、低くてもよいし、同等であってもよいし、高くてもよい。
【0079】
第1駆動部101が行う制御は、例えば、既述のように、ヒータ本体10aの実際の温度(検出温度)に基づくフィードバック制御である。ただし、第1駆動部101が行う制御は、フィードバックを行わないオープン制御であってもよい。領域Arの温度は、第2抵抗発熱体2Bの発熱によっても制御されるからである。なお、第2駆動部103による温度のフィードバック制御が、第1駆動部101による温度の制御よりも応答性が高いという場合、第1駆動部101においてオープン制御が行われている態様を含むものとする。
【0080】
第1駆動部101が行うフィードバック制御の方式は、公知の適宜なものとされてよい。例えば、制御は、比例制御であってもよいし、PD制御であってもよいし、PI制御であってもよいし、PID制御であってもよいし、積分制御であってもよい。また、例えば、制御は、検出値が目標値に到達していないときは電力を供給し、到達したときは電力供給を停止するオン・オフ制御であってもよい。制御方式として、積分制御を採用した場合においては、例えば、第2抵抗発熱体2Bによる温度制御に対して応答性を低くすることが容易である。
【0081】
第1駆動部101による電力の増減は、適宜な方法でなされてよい。例えば、電力は、いわゆるチョッパ制御によって増減されてよい。チョッパ制御は、電力供給のオン・オフを比較的短い周期(通常は一定の周期)で繰り返し、デューティー(オンの期間が周期に占める割合)を変化させることによって電力の実効値を変化させる。また、例えば、電力は、変圧器によって電圧を変化させることによって増減されてもよい。
【0082】
(第2駆動部)
第2駆動部103は、例えば、第1駆動部101と同様に、商用電源111(又は不図示の電源回路)から供給された電力を適宜な電圧の直流電力又は交流電力に変換し、その電力を複数の第2抵抗発熱体2Bに供給する。
【0083】
本実施形態の説明では、第2駆動部103が交流電力を第2抵抗発熱体2Bに供給する場合を例にとる。この交流電力の周波数は、適宜に設定されてよい。例えば、当該交流電力の周波数は、商用電源111の周波数、又は第1駆動部101が交流電力を出力する場合における当該交流電力の周波数に対して、低くてもよいし、同等であってもよいし、高くてもよい。商用電源111の周波数と同等の場合、例えば、周波数を変換する必要がないから、第2駆動部103の構成を簡素にすることができ、また、周波数の変換に伴う電力の損失も生じない。
【0084】
第2駆動部103は、例えば、第2抵抗発熱体2B毎に、コンデンサ113、トランス115及びサイリスタ117を有している。また、第2駆動部103は、サイリスタ117の動作を制御する駆動制御部119を有している。
【0085】
コンデンサ113、トランス115及びサイリスタ117は、商用電源111と第2抵抗発熱体2Bとの間に介在している。なお、
図7では、便宜上、第2抵抗発熱体2Bdに対応するサイリスタ117のみ、商用電源111との接続を示しているが、他の第2抵抗発熱体2Bに対応するサイリスタ117の商用電源111との接続も同様である。
【0086】
コンデンサ113は、第2抵抗発熱体2Bと商用電源111(より詳細にはトランス115)との間に直列接続されている。このようなコンデンサ113が設けられていることにより、例えば、トランス115からの交流電力を第2抵抗発熱体2Bへ流す一方で、意図していない直流成分が第2抵抗発熱体2B又はトランス115へ流れるおそれを低減できる。コンデンサ113の構造及び材料は公知の種々のものとされてよく、また、キャパシタンス(インピーダンス)は適宜に設定されてよい。
【0087】
トランス115は、例えば、絶縁トランスによって構成されており、商用電源111と第2抵抗発熱体2Bとの間に介在している。このようなトランス115が設けられていることによって、例えば、第2抵抗発熱体2Bに供給する交流電力の周波数よりも高い周波数の成分(ノイズ)が第2抵抗発熱体2Bへ流れるおそれを低減できる。
【0088】
トランス115(絶縁トランス)は、一次側(コイル)と二次側(コイル)とが絶縁されている。トランス115は、単に一次側と二次側とが絶縁されているだけでなく、シールドが配置されるなどして一次側と二次側とのアイソレーションが向上するように構成されていてもよい(狭義の絶縁トランスであってもよい。)。トランス115の構造及び材料等は公知の種々のものと同様とされてよい。
【0089】
トランス115は、本実施形態では、変圧比が変更不可能なものであり、変圧比は一定である。又は、トランス115は、変圧比を変更可能であってもよいが、本実施形態では、第2駆動部103は、ヒータ本体10aの温度を目標温度に追従させるようにトランス115の変圧比を変更することはしない。すなわち、トランス115の変圧比は、ヒータ10の温度に関わらず一定である。ただし、温度に関わらず一定とは言っても、温度変化に伴う誤差の変動が生じ得ることは当然である。
【0090】
トランス115の変圧比は、1未満であってもよいし、1であってもよいし、1超であってもよい。その他のパラメータ(例えばインダクタンス(インピーダンス))も適宜に設定されてよい。
【0091】
サイリスタ117は、商用電源111から第2抵抗発熱体2B(より詳細にはトランス115)へ供給される電力をチョッパ制御によって増減することに利用される。サイリスタ117は、例えば、逆阻止3端子サイリスタ(狭義のサイリスタ)、逆導通サイリスタ、又は双方向サイリスタ(トライアック)によって構成されている。なお、このように、本開示において、サイリスタの語は、特に断りがない限りは広義に用いられる。これらの種々のサイリスタの構造及び材料は公知の種々のものとされてよい。
【0092】
逆阻止3端子サイリスタは、一方向(第1方向とする。)の電流(例えば、交流の正及び負の一方、又は直流)のみを流すことが可能であり、第1方向の電流の流れを許容又は禁止可能である(逆方向の電流は常に禁止される。)。具体的には、逆阻止3端子サイリスタは、第1方向の電圧が印加されているときは、基本的に電流(第1方向)の流れを禁止し、オン操作がなされると電流(第1方向)の流れを許容する。その後、逆阻止3端子サイリスタは、オン操作が停止されても、第1方向の電圧の印加が継続されている間は、電流(第1方向)の流れを許容した状態を維持する。換言すれば、第1方向の電圧印加が停止されると(例えば交流電圧の正負が反転すると)、再度、第1方向の電流の流れは禁止された状態となる。
【0093】
逆導通サイリスタは、二方向の電流(交流)を流すことが可能であり、二方向のうち一方(第1方向とする。)の電流の流れを許容又は禁止可能である(二方向のうち他方の電流は常に許容される)。そして、逆導通サイリスタは、第1方向の電圧が印加されているときは、基本的に電流(第1方向)の流れを禁止し、オン操作がなされると電流(第1方向)の流れを許容する。その後、逆導通サイリスタは、オン操作が停止されても、第1方向の電圧の印加が継続されている間は、電流(第1方向)の流れを許容した状態を維持する。換言すれば、第1方向の電圧印加が停止されると(例えば交流電圧の正負が反転すると)、再度、第1方向の電流の流れは禁止された状態となる。
【0094】
双方向サイリスタは、2方向の電流(交流)を流すことが可能であり、二方向の電流それぞれの流れを許容又は禁止可能である。本実施形態では、サイリスタ117として、双方向サイリスタを例に取る。双方向サイリスタの具体的な動作については後述する。
【0095】
駆動制御部119は、例えば、コンピュータ121によって構成されている。コンピュータ121は、例えば、IC及びPCの組み合わせによって構成されている。このコンピュータ121は、例えば、駆動制御部119だけでなく、制御部109も構成している。
【0096】
駆動制御部119は、例えば、領域Ar毎に、領域Arの実際の温度(検出温度)が目標温度tp0収束するようにサイリスタ117(別の観点ではサイリスタ117から第2抵抗発熱体2Bへ供給される電力)を制御する。このフィードバック制御の方式は、第1駆動部101の制御と同様に、公知の適宜なものとされてよい。例えば、比例制御、PD制御、PI制御、PID制御又はオン・オフ制御が用いられてよい。なお、制御方式として、PID制御を採用した場合においては、例えば、オーバーシュート及び定常偏差等を低減し、高精度に温度制御を行うことができる。
【0097】
(第3駆動部)
第3駆動部105は、本実施形態では、主として、複数の第2抵抗発熱体2Bをサーミスタとして利用するときに複数の第2抵抗発熱体2Bに電力を供給する。第3駆動部105は、例えば、直流電源123と、直流電源123から複数の第2抵抗発熱体2B全体への電力の供給及び停止を制御するスイッチ125とを有している。
【0098】
直流電源123は、例えば、特に図示しないが、商用電源111から供給された交流電力を直流電力に変換して複数の第2抵抗発熱体2Bに供給する。また、直流電源123は、特に図示しないが、定電流回路を含んで構成されている。従って、温度変化によって複数の第2抵抗発熱体2Bの抵抗値が変化すると、複数の第2抵抗発熱体2Bにおいては、電流は基本的に変化せず、電圧が変化する。すなわち、温度変化は、複数の第2抵抗発熱体2Bにおける電圧に現れる。なお、直流電源123において、商用電源111からの交流電力を直流電力へ変換するための回路及び定電流回路の構成は、公知の種々のものと同様とされてよい。
【0099】
スイッチ125は、例えば、入力された制御信号に応じて、直流電源123から複数の第2抵抗発熱体2B全体への電力の供給を許容又は停止する。これにより、任意の時期に直流電源123から第2抵抗発熱体2Bに電力を供給することができる。例えば、後に詳述するように、第2駆動部103から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力が供給されていない時期に、直流電源123から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力を供給することができる。その結果、例えば、直流電源123から第2抵抗発熱体2Bへ供給される電力のみに基づいて、抵抗発熱体2Bの抵抗値(温度)を検出することができる。スイッチ125は、トランジスタ等の公知の種々のスイッチによって構成されてよい。
【0100】
(補助抵抗)
第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bへの電力供給に関しては、複数の第2抵抗発熱体2Bに対して補助抵抗127が直列に接続されている。
【0101】
この補助抵抗127は、例えば、第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bに供給されている電力の確認に利用されるものであり、広義のシャントである。補助抵抗127は、例えば、温度変化に対する抵抗値の変化が比較的(例えば第2抵抗発熱体2Bの材料に比較して)小さい材料によって構成されている。及び/又は、補助抵抗127は、温度変化が小さい環境下に配置されている。従って、例えば、温度変化の影響を基本的に受けることなく、第3駆動部105から供給される電流の大きさが補助抵抗127における電圧の大きさに反映される。
【0102】
なお、補助抵抗127の抵抗値は、複数の第2抵抗発熱体2Bの抵抗値よりも小さく設定されている。例えば、補助抵抗127の抵抗値は、複数の第2抵抗発熱体2B全体の抵抗値の1/1000以下である。これにより、補助抵抗127が複数の第2抵抗発熱体2Bの発熱に及ぼす影響は小さくされている。
【0103】
補助抵抗127は、駆動装置50に設けられていてもよいし、ヒータ10に設けられていてもよい。駆動装置50に設けられている場合においては、例えば、ヒータ10の温度が補助抵抗127に及ぼす影響を低減できる。また、ヒータ10の構成を簡素にすることができる。補助抵抗127は、第3駆動部105又は温度計測部107の一部として捉えられてもよい。
【0104】
(温度計測に係るハードウェア構成)
図8は、
図6に示した種々の機能部のうち主として温度計測に係る部分について、ハードウェア構成の観点から詳細を示す回路図である。
【0105】
(温度計測部)
温度計測部107は、例えば、第2抵抗発熱体2B毎に、差動アンプ129を有している。各差動アンプ129は、自己に対応する第2抵抗発熱体2Bの両側の給電部Pに接続されており、その2つの給電部Pの電位差に応じた信号強度(例えば電圧)の信号を制御部109(コンピュータ121)に出力する。これにより、既述の説明から理解されるように、第2抵抗発熱体2Bの温度が測定される。
【0106】
また、温度計測部107は、補助抵抗127に対しても差動アンプ129を有している。当該差動アンプ129は、補助抵抗127の両側に接続されており、補助抵抗127の両側の電位差に応じた信号強度の信号を制御部109(コンピュータ121)に出力する。これにより、既述の説明から理解されるように、第3駆動部105によって所定の電流が複数の第2抵抗発熱体2Bに供給されているか否かが確認される。
【0107】
なお、特に図示しないが、温度計測部107の素子(例えば差動アンプ129)を保護したり、温度計測部107の素子が抵抗発熱体2に供給される電力に及ぼす影響を低減したりするために、分圧及び/又は分流のための素子及び/又は経路が適宜に設けられてよい。また、温度計測部107に入力される信号又は温度計測部107から出力される信号からノイズを除去するフィルタが設けられてもよい。
【0108】
(制御部)
制御部109は、既に述べたように、コンピュータ121によって構成されている。制御部109は、第3駆動部105のスイッチ125の制御を行う。また、制御部109は、スイッチ125をオンしている時期(第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力を供給している時期)において、各差動アンプ129からの信号をサンプリングする。そして、制御部109は、サンプリングした信号の信号強度(別の観点では第2抵抗発熱体2Bの抵抗値)を温度に変換する。これにより、各領域Arの温度が取得される。
【0109】
なお、抵抗値から温度への変換方法(演算方法)としては、公知の種々の方法が利用されてよい。例えば、抵抗値から温度を特定する演算は、計算式を用いるものであってもよいし、抵抗値と温度とを対応付けたマップを用いるものであってもよい。また、当該演算は、第2抵抗発熱体2Bの温度と、上面10cの温度との差を除去する補正を含んでいてもよい。
【0110】
各領域Arの温度を取得した制御部109は、その温度の情報を含む信号を第2駆動部103の駆動制御部119に出力する。これにより、駆動制御部119は、領域Ar毎に温度のフィードバック制御が可能となる。また、制御部109は、例えば、最も温度が高い領域Arの温度の情報、又は複数の領域Arの温度から得られる上面10cの平均温度の情報を第1駆動部101に出力する。これにより、第1駆動部101は、最も温度が高い領域Arの温度又は上面10cの平均温度に基づく、温度のフィードバック制御が可能となる。
【0111】
なお、制御部109と、他の機能部(101、103、105及び107)との役割分担は、適宜に変更されてよい。例えば、第1抵抗発熱体2Aによる温度のフィードバック制御が、目標温度tp0よりも所定の温度差で低い仮目標温度に収束するように行われる場合において、フィードバックに利用される温度(検出温度から上記の所定の温度差を差し引いた温度)は、第1駆動部101が算出するのではなく、制御部109が算出してもよい。また、例えば、最も高い温度の領域Arの特定、又は複数の領域Arの平均温度の算出は、制御部109ではなく、第1駆動部101において行われてもよい。
【0112】
目標温度tp0及び/又は仮目標温度等のパラメータは、例えば、不図示の入力装置に対するユーザの操作によって設定される。入力装置は、公知の種々のものと同様とされてよく、例えば、ノブの回転位置に応じた信号を出力するスイッチであってもよいし、タッチパネルであってもよい。また、仮目標温度は、目標温度tp0に基づいて制御部109によって設定されてもよい。例えば、目標温度tp0に対して所定の係数(1未満)を乗じたり、目標温度tp0から所定の定数を差し引いたりして、仮目標温度が設定されてよい。
【0113】
第1駆動部101及び第2駆動部103が行うフィードバック制御においては、温度変化に伴う抵抗率の変化に対する補償処理が行われてもよい。例えば、ゲインを温度変化に基づいて調整してもよい。これにより、より高精度な温度制御が可能となる。
【0114】
(温度計測のタイミング)
図9は、温度の計測方法を説明するための模式的なタイミングチャートである。
図9に示す4つのグラフにおいて、横軸は時間tmを示している。
【0115】
図9の最上段のグラフは、商用電源111(又は不図示の電源回路)から第2駆動部103に印加される交流電圧の経時変化を示しており、縦軸は電圧である。交流電圧は、例えば、半周期(T0/2)で極性(正負)を反転させている。ここでは、交流電圧として、電圧が曲線状に変化するもの(正弦波状のもの)を例示している。ただし、交流電圧は、正弦波状でないもの(例えば、矩形波、三角波又は鋸歯状波)であってもよい。交流電圧の極大値(正)及び極小値(負)は、例えば、基準電位からの電位差が互いに同等である。ただし、両者は異なっていてもよい。
【0116】
図9の上から2段目のグラフは、サイリスタ117に対する入力操作の経時変化を示しており、縦軸は、入力操作のオン・オフを示している。すなわち、同グラフにおいて、矩形波が立ち上がっている時点は、サイリスタ117を導通状態にするためにサイリスタ117のゲートに電流が流された時点を示している。
【0117】
図9の上から3段目のグラフは、第2駆動部103から第2抵抗発熱体2Bに印加される電圧の経時変化を示しており、縦軸は電圧である。サイリスタ117は、オン操作がなされると、導通状態となる。その後、サイリスタ117は、オン操作が停止されても、導通状態を維持する。そして、サイリスタ117は、交流電圧の正負が反転されると、非導通状態となる。その結果、サイリスタ117に印加された交流電圧(
図9の最上段のグラフ)は、
図9の3段目のグラフに示されるような波形の電圧に変換され、第2抵抗発熱体2Bに印加される。
【0118】
具体的には、サイリスタ117から第2抵抗発熱体2Bに印加される電圧は、電力の供給と、その停止とを繰り返す波形となる。電力が供給されている第1期間T1と、電力の供給が停止されている第2期間T2との和は、交流電力の半周期T0/2であり、一定である。第1期間T1から第2期間T2への切換えは、サイリスタ117に印加される電圧の極性が反転する時点(ゼロクロスする時点)においてなされる。一方、第2期間T2から第1期間T1への切換えは、基本的には、サイリスタ117に印加される電圧がゼロでないときになされる。
【0119】
サイリスタ117に対する操作を介して、第1期間T1が半周期T0/2に占める割合(デューティー:T1/(T0/2))を変化させることによって、電力の実効値が増減される。すなわち、チョッパ制御が行われる。第2駆動部103の駆動制御部119は、検出温度に応じてデューティーを変化させることによって、温度のフィードバック制御を行う。
【0120】
図9の最下段のグラフは、第3駆動部105が出力する電流の経時変化を示しており、縦軸は電流Iである。この図に示されるように、制御部109は、第2抵抗発熱体2Bに対する電力の供給が停止される第2期間T2において、第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力が供給されるように第3駆動部105のスイッチ125を制御する。これにより、第3駆動部105からの電力のみによる第2抵抗発熱体2Bにおける電圧が差動アンプ129によって検出される。
【0121】
第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bへ電力を供給する、より詳細なタイミング等は適宜に設定されてよい。例えば、当該電力の供給開始タイミングは、第2期間T2の開始時点を基準に設定される。なお、第2期間T2の開始時点は、商用電源111から複数の第2駆動部103へ供給される交流電力のゼロクロスの時点であるから、複数の第2抵抗発熱体2B間で共通である。第2期間T2の開示時点から、第3駆動部105からの電力供給開始タイミングまでの時間差(0を含む)は、例えば、複数の第2期間T2同士で一定となるように設定される。また、例えば、当該電力を供給する時間長さ、及び電流(電流値)も、複数の第2期間T2同士で互いに同一に設定される。上記の時間差、時間長さ及び電流値の具体的な値は、ヒータシステム100の具体的な構成に応じて適宜に設定されてよい。
【0122】
また、例えば、温度計測(差動アンプ129からの電圧の取得)は、全ての第2期間T2においてなされている。換言すれば、交流電力の半周期T0/2が、温度を計測するサンプリング周期とされている。ただし、サンプリング周期は、半周期T0/2の2以上の整数倍とされてもよい。
【0123】
フィードバック制御に利用される検出温度は、サンプリング周期毎のそのままの値であってもよいし、所定回数に亘って検出された温度の平均値であってもよいし、フィルタ(例えばデジタルフィルタ)によってフィルタリングされたものであってもよい。平均値は、平均値を求める期間が複数の平均値間で互いに重複しないものであってもよいし、前記期間が複数の平均値間で互いに重なる移動平均であってもよい。このように平均値及び/又はフィルタリングがなされた値を用いることにより、ノイズを削除することができる。
【0124】
(ヒータの製造方法)
ヒータ10の製造方法は、例えば、以下のとおりである。
【0125】
まず、ドクターブレード法等の公知の方法によって第1セラミック層1a〜第4セラミック層1dとなるセラミックグリーンシートを準備する。グリーンシートは、概ね一定の厚さに形成される。次に、グリーンシートに対し、所望の形状になるようにレーザ加工及び/又は金型を用いた打ち抜き加工を行う。この際、例えば、接続導体3及び端子5が配置される孔が形成される。
【0126】
次に、抵抗発熱体2、接続導体3、配線4及び端子5等の導体となる金属ペーストをスクリーン印刷等の適宜な方法によってグリーンシートに配置する。抵抗発熱体2及び/又は配線4となる材料は、導電材料とセラミック粉末とを含んだ導電シートであってもよい。導電シートは、例えば、後述のグリーンシートの積層体の作製の際に、グリーンシートによって挟み込まれる。また、グリーンシートに溝を掘り、導電シートをこの溝内に配置してもよい。また、接続導体3及び/又は端子5となる材料は、完成後の接続導体3及び/又は端子5と同様のものであってもよい。すなわち、当該材料は、固体状かつ柱状の金属(金属バルク材)であってもよい。
【0127】
次に、グリーンシートを積層し、グリーンシートの積層体を作製する。そして、グリーンシートの積層体を主成分の焼成条件に合わせて焼成する。これにより、抵抗発熱体2、接続導体3、配線4及び端子5を内部に設けた焼結体(基体1)を得ることできる。
【0128】
抵抗発熱体2、接続導体3、配線4及び端子5以外に、プラズマ処理用電極もしくは静電チャック用電極となる金属ペースト、金属板又は金属メッシュを積層時に挟み込むことによって、プラズマ処理用のテーブルもしくは静電チャックを作製することもできる。
【0129】
以上のとおり、ヒータ10は、基体1、第1抵抗発熱体2A及び複数の第2抵抗発熱体2Bを有している。基体1は、第1面(上面10c)を有している絶縁性の部材である。第1抵抗発熱体2Aは、基体1の内部又は表面上(本実施形態では内部)にて、上面10cに沿って延びている。第2抵抗発熱体2Bは、第1抵抗発熱体2Aに対して上面10c側又は上面10cとは反対側(本実施形態では上面10cとは反対側)に位置しており、基体1の内部又は表面上(本実施形態では内部)にて、上面10cに沿って延びている。
【0130】
従って、例えば、複数の第2抵抗発熱体2Bによって上面10cの温度を局所的に制御することができる。さらに、例えば、第1抵抗発熱体2Aが設けられていることから、複数の第2抵抗発熱体2Bが生じるべき熱量を低減することができる。その結果、例えば、第2抵抗発熱体2Bに接続される各種の構成要素(例えば、接続導体3、配線4、端子5、コンデンサ113、トランス115及びサイリスタ117)を小型化したり、耐電性を低くしたりすることができる。これらの構成要素の数は、第2抵抗発熱体2Bの数の増加に伴って増加する。従って、例えば、第1抵抗発熱体2Aが追加されることにより、一見、ヒータ10全体又はヒータシステム100全体として大型化又はコスト増大が生じるように見えても、実際には逆に、複数の第2抵抗発熱体2Bに係る構成要素の小型化又はコスト削減によって、ヒータ10全体又はヒータシステム100全体としての小型化又はコスト削減が容易になる。
【0131】
また、本実施形態では、第1駆動部101が第1抵抗発熱体2Aに供給する電力は、第2駆動部103が複数の第2抵抗発熱体2Bに供給する電力の合計よりも大きい。
【0132】
この場合、例えば、上記の複数の第2抵抗発熱体2Bが生じるべき熱量を低減する効果が増大する。ひいては、例えば、ヒータ10全体又はヒータシステム100全体としての小型化又はコスト削減が容易になる。
【0133】
また、本実施形態では、第1駆動部101は、第1抵抗発熱体2Aに供給する電力の制御によって第1抵抗発熱体2Aの温度の制御を行う。第2駆動部103は、複数の第2抵抗発熱体2Bの少なくとも1つ(本実施形態では全部)について、第2抵抗発熱体2Bに供給する電力の制御によって第2抵抗発熱体2Bの温度のフィードバック制御を行う。第2駆動部103による温度のフィードバック制御は、第1駆動部101による温度の制御よりも応答性が高い。
【0134】
従って、第1抵抗発熱体2Aの温度制御と第2抵抗発熱体2Bの温度制御との相互干渉によってヒータ10の温度が発散してしまうおそれが低減される。また、実際の温度を目標温度tp0へ収束させる高精度な制御は、上面10cの全体に亘る第1抵抗発熱体2Aではなく、局所的に配置された第2抵抗発熱体2Bによってなされることになる。その結果、上面10c全体を所望の温度分布にすることが容易化される。
【0135】
また、本実施形態では、複数の第2抵抗発熱体2B全体(第3抵抗発熱体2C)の両側の位置の1対の給電部P(P1及びP5)間に電力を供給する第3駆動部105を更に有している。
【0136】
従って、例えば、第3駆動部105の電力に対する第2抵抗発熱体2Bの抵抗値に基づいて温度計測を行うことができる。また、例えば、第3駆動部105の電力によって複数の第2抵抗発熱体2Bの全体を発熱させることも可能となる。第2駆動部103から複数の第2抵抗発熱体2Bのそれぞれに供給する電力を大きくするとなると、複数の第1給電部P1〜第5給電部P5の全てに接続される各種の構成要素について、大型化又は耐電性を高くしなければならない。しかし、複数の第2抵抗発熱体2Bの全体に供給される電力を第3駆動部105によって供給する場合においては、基本的に、1対の給電部P(P1及びP5)に接続される構成要素のみについて、大型化又は耐電性を高くすることで対応可能である。その結果、ヒータ10全体又はヒータシステム100全体として、小型化又はコスト削減が容易になる。
【0137】
また、本実施形態では、第2駆動部103は、複数の第2抵抗発熱体2Bのうちの少なくとも1つ(本実施形態では全部)の所定の第2抵抗発熱体2Bの抵抗値に基づいて、前記所定の第2抵抗発熱体2Bに供給する電力を制御する。
【0138】
すなわち、第2駆動部103は、第2抵抗発熱体2Bをサーミスタとして利用して、第2抵抗発熱体2Bの温度のフィードバック制御を行う。従って、ヒータ10の温度を検出するために専用のセンサを設ける必要がなく(ただし、そのようなセンサが設けられた態様も本開示に係る技術に含まれる。)、ヒータ10の構成を簡素化することができる。当該効果は、第2抵抗発熱体2Bの数が多いほど増大する。
【0139】
また、本実施形態では、第2駆動部103は、少なくとも1つ(本実施形態では全部)の所定の第2抵抗発熱体2Bに電力を供給する第1期間T1と、その電力の供給を停止する第2期間T2とを交互に繰り返す(なお、第1期間T1及び第2期間T2の長さは、第2抵抗発熱体2B毎、及び周期毎に適宜に設定される。)。また、第3駆動部105は、少なくとも第2期間T2の一部において前記所定の第2抵抗発熱体2Bに電力を供給する。第2駆動部103は、第2期間T2における第3駆動部105からの電力に対する前記所定の第2抵抗発熱体2Bの抵抗値(本実施形態では直接的には電圧)に基づいて、前記所定の第2抵抗発熱体2Bに供給する電力を制御する。
【0140】
従って、例えば、第3駆動部105の供給する電力のみに基づいて、第2抵抗発熱体2Bの抵抗値を検出することができる。第2駆動部103が供給する電力は、第2抵抗発熱体2Bが生じるべき熱量に応じて増減されるものである。このような第2駆動部103からの電力が供給されていない時期に抵抗値を検出できることから、例えば、抵抗値の検出方法を簡素化できる。例えば、実施形態で例示したように、定電流を第2抵抗発熱体2Bに供給して、抵抗値の変化を電圧の変化として検出することができる。別の観点では、第2抵抗発熱体2Bの抵抗値の検出において、温度制御のための電力の変動に起因するノイズを低減することができる。
【0141】
また、本実施形態では、第1期間T1及び第2期間T2の合計の周期(T0/2)は一定である。
【0142】
換言すれば、第1期間T1及び第2期間T2は、いわゆるチョッパ制御におけるオンの時間及びオフの時間である。従って、例えば、温度計測のためだけに、第2抵抗発熱体2Bへの電力供給を停止する必要は無い(ただし、そのような制御が行われる態様も本開示に係る技術に含まれる。)。また、例えば、チョッパ制御は、比較的短い周期で行われるから、温度計測のサンプリング周期を短くすることができる。ひいては、温度制御の精度が向上する。
【0143】
また、本実施形態では、ヒータ10は、nを2以上の整数としたときに、n+1個の給電部Pを有している(本実施形態ではn=4)。n+1個の給電部Pは、一続きの第3抵抗発熱体2Cのn−1個の中途位置(P2〜P4)と、当該n−1個の中途位置よりも一続きの第3抵抗発熱体2Cの両側の位置(P1及びP5)とに位置する。これにより、一続きの第3抵抗発熱体2Cは、n個の第2抵抗発熱体2Bに分割されている。第3駆動部105は、上記の両側の位置の1対の給電部P(P1及びP5)間に電力を供給する。第2駆動部103は、n個の第2抵抗発熱体2Bそれぞれについて、第2期間T2における第3駆動部105からの電力に対する第2抵抗発熱体2Bの抵抗値に基づいて、第2抵抗発熱体2Bに供給する電力を制御する。
【0144】
従って、複数の第2抵抗発熱体2Bは、第2駆動部103によって、それぞれ別個のサーミスタとして利用される。その一方で、複数の第2抵抗発熱体2Bは、温度計測のための電力が第3駆動部105から共通に付与される。従って、局所的な温度のフィードバック制御が可能とされつつ、温度計測のための構成が簡素化される。
【0145】
また、本実施形態では、第2駆動部103は、サイリスタ117及びトランス115を有している。サイリスタ117は、交流電力を出力する電源部(商用電源111)と第2抵抗発熱体2Bとの間に介在しており、交流電力の半周期T0/2を第1期間T1と第2期間T2とに分ける。トランス115は、サイリスタ117と第2抵抗発熱体2Bとの間に介在する。
【0146】
従って、例えば、サイリスタ117を用いていることから、簡便かつ安価にチョッパ制御を行うことができる。サイリスタ117では、導通状態になったときにリップルが生じる。このリップルは、第2抵抗発熱体2Bに供給する電力の制御、及び/又は第2抵抗発熱体2Bをサーミスタとして利用するときの温度計測に影響を及ぼすおそれがある。しかし、サイリスタ117と第2抵抗発熱体2Bとの間にトランス115が介在していることにより、このリップルは少なくとも一部が均される。その結果、上記の影響が低減される。
【0147】
(第1実施形態の変形例)
図16は、第1実施形態の変形例を説明するための図であり、
図9の一部抜粋に相当する。
【0148】
図9では、点弧の時期が任意の時期とされ、消弧の時期がゼロクロスの時期とされた。換言すれば、点弧の時期の調整によってチョッパ制御がなされた。ただし、
図16に示すように、点弧の時期がゼロクロスの時期とされ、消弧の時期が任意の時期とされてもよい。すなわち、消弧の時期の調整によってチョッパ制御がなされてもよい。そして、この消弧の時期の後から次のゼロクロスの時期までの第2期間T2において、温度計測がなされてよい。なお、図示のようなチョッパ制御を実現する、サイリスタを含む回路は公知であることから、詳細な説明は省略する。
【0149】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態のヒータシステム200の構成を説明するための図であり、第1実施形態の
図7に相当する。
【0150】
ヒータシステム200は、基本的に、第2駆動部の構成のみが第1実施形態のヒータシステム100と相違する。具体的には、本実施形態の駆動装置250の第2駆動部131は、第1実施形態のサイリスタ117に代えて、ソリッドステートリレー(以下、単に「SSR」)133を有している。
【0151】
SSR133は、例えば、トランス115よりも第2抵抗発熱体2B側にて第2抵抗発熱体2Bに直列接続されている。SSR133の構造及び材料は公知の種々のものとされてよい。例えば、SSR133は、フォトカプラを含むフォトSSRによって構成されている。この場合、信号が光として受け渡されることから、信号経路が絶縁され、電気的なノイズが信号に乗りにくい。
【0152】
図11は、駆動装置250の動作を説明するためのタイミングチャートであり、第1実施形態の
図9に相当する。
【0153】
同図の4つのグラフは、上から順に、商用電源111から第2駆動部103に印加される交流電圧の経時変化、SSR133に対する入力操作の経時変化、第2駆動部103から第2抵抗発熱体2Bに印加される電圧の経時変化、及び第3駆動部105が出力する電流の経時変化を示している。すなわち、第1実施形態の
図9において、サイリスタ117の動作に代えて、SSR133の動作が示されている。SSR133は、例えば、オンのときは所定の入力信号が入力される。
【0154】
SSR133は、オンされており、かつ商用電源111からの電圧がゼロクロスすると(正負が反転すると)導通状態となる。その後、商用電源111からの電圧がゼロクロスするときに、オンされていれば、導通状態が維持され、オフされていれば、非導通状態とされる。すなわち、SSR133は、交流電力の半周期T0/2毎に、導通状態又は非導通状態のいずれになるかが決定される。その結果、商用電源111から出力された交流電圧(最上段のグラフ)は、
図11の3段目のグラフに示されるような波形の電圧に変換される。
【0155】
具体的には、SSR133から第2抵抗発熱体2Bに印加される電圧の波形は、電力の供給と、その停止とを繰り返すものとなる。電力が供給されている第1期間T21、及び電力の供給が停止されている第2期間T22それぞれの長さは、第1実施形態の第1期間T1及び第2期間T2とは異なり、交流電力の半周期T0/2のm倍(mは1以上)であり、かつmの大きさは任意である。そして、第1期間T21及び第2期間T22の比によって、電力の実効値が増減される。すなわち、チョッパ制御が行われる。第2駆動部131の駆動制御部119は、検出温度に応じて第1期間T21及び第2期間T22の比を変化させることによって、温度のフィードバック制御を行う。
【0156】
なお、第1期間T21及び第2期間T22の和は、第1実施形態と異なり、一定である必要は無い。ただし、当該和は一定とされてもよい。別の観点では、第1実施形態と同様に、一定の周期に対するデューティー比によって電力の実効値が制御されてよい。例えば、交流電力が50Hzの場合に、第1期間T21と第2期間T22との和を2秒程度とした場合、交流電力は100段階で増減される。
【0157】
図11の最下段のグラフに示されるように、制御部109は、第1実施形態と同様に、第2抵抗発熱体2Bに対する電力の供給が停止される第2期間T22において、第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力が供給されるように第3駆動部105のスイッチ125を制御する。これにより、第3駆動部105からの電力のみによる第2抵抗発熱体2Bにおける電圧が差動アンプ129によって検出される。
【0158】
第3駆動部105から複数の第2抵抗発熱体2Bへ電力を供給する、より詳細なタイミング等は適宜に設定されてよい。例えば、当該電力の供給開始タイミングは、第2期間T22の開始時点を基準に設定される。その時間差(0を含む)は、例えば、複数の第2期間T22同士で一定である。また、例えば、当該電力を供給する時間長さ、及び電流(電流値)も、複数の第2期間T22同士において互いに同一である。上記の時間差、時間長さ及び電流値は、ヒータシステム200の具体的な構成に応じて適宜に設定されてよい。
【0159】
なお、本実施形態では、第2期間T22は、第1実施形態とは異なり、少なくとも交流電力の半周期T0/2の長さを有している。従って、図示の例のように、半周期T0/2の中央付近で温度計測がなされてもよい。
【0160】
温度計測のサンプリング周期は適宜に設定されてよい。例えば、上記のように第1期間T21と第2期間T22との和を一定とし、この和の時間長さをサンプリング周期としてよい。すなわち、サンプリングのタイミングが第2期間T22内に必ず到来するようにサンプリング周期が設定されてよい。
【0161】
また、例えば、第1期間T21と第2期間T22との和が一定でない場合、第2期間T22か否かが判定されて温度計測がなされてもよい。換言すれば、サンプリング周期は変動してよい。
【0162】
また、例えば、第1期間T21と第2期間T22との和が一定でなく、かつサンプリング周期が一定である場合において、サンプリング周期が到来したときに、温度制御のためのSSR133の制御に優先して、温度計測のためにSSR133を半周期T0/2だけオフとしてもよい。半周期T0/2に比較してサンプリング周期が十分に長い場合においては、温度計測のために強制的に第2期間T22を設けたとしても、その第2期間T22が温度制御に及ぼす影響は小さい。
【0163】
以上のとおり、本実施形態では、第2駆動部131は、SSR133を有している。SSR133は、交流電力を出力する電源部(商用電源111)と少なくとも1つ(本実施形態では全部)の第2抵抗発熱体との間に設けられており、交流電力がゼロクロスするときに第1期間T21と第2期間T22との切り換えを行う。
【0164】
従って、例えば、第1期間T21と第2期間T22との切換え時期は、交流電力のゼロクロスと一致しており、リップルが生じるおそれが低い。ひいては、このリップルが温度計測にノイズとして現れるおそれが低減される。また、例えば、サイリスタ117を用いた場合に比較して、第2駆動部103から第2抵抗発熱体2Bへの電力を停止する第2期間を長くしやすい。その結果、例えば、第3駆動部105のスイッチ125の制御条件を緩やかなものにすることができる。なお、サイリスタ117は、SSR133に比較して、安価である等のメリットがある。
【0165】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態のヒータシステム300の構成を説明するための図であり、第1実施形態の
図7に相当する。
【0166】
ヒータシステム300は、基本的に、第3駆動部の構成のみが第1実施形態のヒータシステム100と相違する。具体的には、本実施形態の駆動装置350の第3駆動部135は、第1実施形態のスイッチ125を有していない。すなわち、直流電源123からの電力は、ヒータシステム300が加熱動作を行っている間は常時、複数の第2抵抗発熱体2Bに供給されている。
【0167】
図13(a)は、ヒータシステム100の制御方法を示す概念図であり、第1実施形態の
図5(a)に相当する。
【0168】
本実施形態では、直流電源123から複数の第2抵抗発熱体2Bに電力が供給される時間が長いことから、第1実施形態に比較して、直流電源123からの電力によって生じる熱量が上面10cの温度に及ぼす影響が大きい。そこで、本実施形態では、この影響を加味した制御が行われる。具体的には、以下のとおりである。
【0169】
図13(a)の上段左側のグラフは、
図5(a)と同様に、第1抵抗発熱体2Aによって実現される温度を示している。第1抵抗発熱体2Aによる温度制御においては、例えば、第1実施形態でも言及した、検出温度から所定の温度差を差し引いた温度を、目標温度tp0よりも前記所定の温度差で低い仮目標温度tp1に収束させる制御が行われる。そして、この温度差は、直流電源123からの電力によって生じる温度上昇分を含む大きさとされている。
【0170】
図13(a)の上段右側のグラフは、
図5(a)と同様に、複数の第2抵抗発熱体2Bによって実現される温度上昇量を示している。このグラフにおいて2種のハッチングで示しているように、複数の第2抵抗発熱体2Bによって実現される温度上昇量は、複数の領域Arに共通に供給される直流電源123からの電力によって実現される温度上昇量と、複数の領域Arに個別に供給される第2駆動部103からの電力によって実現される温度上昇量との和になる。
【0171】
そして、
図13(a)の下段のグラフに示すように、各領域Arの温度は、第1駆動部101の電力による熱量、第2駆動部103の電力による熱量、第3駆動部135の電力による熱量の総和によって実現される。そして、全ての領域Arの温度は、目標温度tp0に収束する。
【0172】
図13(b)は、第2駆動部103から第2抵抗発熱体2Bに印加される電圧の経時変化及び第3駆動部105が出力する電流の経時変化を示しており、第1実施形態の
図9の一部に相当する。
【0173】
この図に示すように、本実施形態では、第1期間T1及び第2期間T2に関わりなく、一定の電流が第3駆動部135から第2抵抗発熱体2Bに供給される。ただし、制御部109は、第2期間T2における差動アンプ129からの信号をサンプリングする。すなわち、温度計測は、第1及び第2実施形態と同様に、第2駆動部103から第2抵抗発熱体2Bに電力が供給されていない第2期間T2においてなされる。
【0174】
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、例えば、直流電源123からの電流は、温度計測に必要十分な大きさとされてよい。本実施形態では、直流電源123からの電流は、第1及び第2実施形態と同様に、温度計測に必要十分な大きさとされてもよいし、これよりも大きくされて、第2抵抗発熱体2Bの発熱に積極的に寄与してもよい。
【0175】
図示の例では、第1実施形態のサイリスタ117と、本実施形態の第3駆動部135とが組み合わされた構成を例示した。ただし、第2実施形態のSSR133と、本実施形態の第3駆動部135とが組み合わされてもよい。
【0176】
<変形例>
図14(a)及び
図14(b)は、変形例に係るヒータの構成を示す断面図であり、
図4に相当している。
【0177】
実施形態では、第1抵抗発熱体2Aが上面10c側に配置され、複数の第2抵抗発熱体2Bが下面側に配置された。ただし、
図14(a)に示すヒータ410のように、第1抵抗発熱体2Aと、複数の第2抵抗発熱体2Bとの位置関係は、実施形態とは逆であってもよい。
【0178】
この場合、例えば、実施形態よりも第2抵抗発熱体2Bが上面10cに近づくから、上面10cの温度の検出精度が向上する。なお、実施形態は、例えば、変形例に比較して、端子5等の数が第1抵抗発熱体2Aよりも多い複数の第2抵抗発熱体2Bが下面側に位置するから、基体1内の導体の構成を簡素にすることができる。
【0179】
実施形態では、抵抗発熱体2は、セラミックからなる基体1に埋設された。ただし、
図14(b)に示すヒータ510のように、抵抗発熱体2は、セラミックからなる基体501の表面上に位置していてもよい。図示の例では、第1抵抗発熱体2Aは、基体501の上面上に位置している。また、第2抵抗発熱体2Bは、基体501の下面上に位置している。なお、第1抵抗発熱体2A及び第2抵抗発熱体2Bの一方のみが基体501の表面上に位置していてもよい。
【0180】
図示の例では、第1抵抗発熱体2Aは、基体501とは異なる絶縁材料(例えばY
2O
3、CaO、MgO、Al
2O
3、SiO
2等の無機絶縁材料)からなる被覆層506によって覆われている。この場合、基体501と被覆層506との全体を基体として定義して、第1抵抗発熱体2Aが基体に埋設されていると捉えても構わない。
【0181】
また、図示の例では、第2抵抗発熱体2Bは、基体501とは異なる絶縁材料(例えばY
2O
3、CaO、MgO、Al
2O
3、SiO
2等の無機絶縁材料)からなる被覆層507によって覆われている。この場合、基体501と被覆層507との全体を基体として定義して、第2抵抗発熱体2Bが基体に埋設されていると捉えても構わない。
【0182】
<応用例>
図15(a)は、本開示のヒータシステムを適用した応用例を示す図である。
図15(a)では、半導体製造装置のチャンバ25内に、本開示に係るヒータ30を備えた様子を示している。ヒータ30の上面には、加熱対象物としてのウェハ40が載置されている。
【0183】
図15(b)は、ヒータ30の構成を示す模式図である。ヒータ30は、例えば、上述した各種の実施形態又は変形例に係るヒータのいずれかと同様の構成、又は当該同様の構成に電極12等を加えた構成とされている。
【0184】
電極12は、例えば、プラズマ処理用電極(例えばRF(Radio Frequency)電極)である。この場合、ヒータ30、駆動装置50、及びプラズマ処理用電極に電圧を印加する不図示の駆動装置等を含むシステムは、プラズマ処理装置を構成する。
【0185】
また、電極12は、例えば、静電チャック用電極である。この場合、ヒータ30は静電チャックを構成し、また、ヒータ30、駆動装置50、及び静電チャック用電極に電圧を印加する不図示の駆動装置を含むシステムは、吸着装置を構成する。
【0186】
また、ヒータ30は、半導体製造におけるCVD工程に適用されてもよい。
【0187】
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例等に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0188】
第2駆動部から第2抵抗発熱体への電力の増減は、チョッパ制御に限定されず、例えば、変圧器による電圧の増減によって実現されてもよい。また、第2抵抗発熱体をサーミスタとして利用する場合において、第3駆動部を設けずに、第2駆動部から第2抵抗発熱体へ電力を供給したときの第2抵抗発熱体の抵抗値を検出してもよい。
【0189】
実施形態では、第2抵抗発熱体のみがサーミスタとして利用された。ただし、第2抵抗発熱体だけでなく、第1抵抗発熱体もサーミスタとして利用されてよい。また、第2抵抗発熱体をサーミスタとして利用する一方で、第1抵抗発熱体はサーミスタとして利用せず、かつ第1抵抗発熱体の温度を検出するためのセンサを設けてもよい。例えば、複数の第2抵抗発熱体よりも第1抵抗発熱体に近い位置にセンサを設けてもよい。
【0190】
上記の場合において、サーミスタとしての第2抵抗発熱体によって検出された温度に基づいて第2抵抗発熱体の熱量を制御しつつ、サーミスタとしての第1抵抗発熱体又は上記センサによって検出された温度に基づいて第1抵抗発熱体の熱量を制御してもよい。すなわち、第1抵抗発熱体と第2抵抗発熱体とで、フィードバックされる検出温度が別個に計測されていてもよい。
【0191】
サーミスタとしての第1抵抗発熱体又は上記センサによって検出された温度に基づいて第1抵抗発熱体の熱量を制御する場合、例えば、実施形態で説明した仮目標温度(目標温度よりも低い温度)への制御が行われる。ヒータ内において、サーミスタとしての第1抵抗発熱体又は上記センサの位置が、サーミスタとしての第2抵抗発熱体の位置よりも温度が低くなる位置である場合においては、目標温度と仮目標温度との温度差によっては、サーミスタとしての第1抵抗発熱体又は上記センサの温度がそのまま第1抵抗発熱体のフィードバック制御に用いられてもよい。
【0192】
実施形態の説明では、SSRとして、オンされても、ゼロクロスしない限り、導通状態とならない形式のものを例にとった。ただし、SSRは、オンされたときに導通状態となり、その後、ゼロクロスするときに、オンされていれば、導通状態が維持され、オフされていれば、非導通状態とされるものであってもよい。また、第2駆動部のチョッパ制御は、サイリスタ及びSSR以外の素子によって実現されてよい。
【0193】
背景技術の欄で挙げた特許文献1〜5の内容、及び2017年10月27日付で日本特許庁に出願された特願2017−208184号の内容は、本願において参照による援用(Incorporation by reference)がなされてよい。