特許第6945679号(P6945679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945679
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】鋼製柱と杭の接合部構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20210927BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20210927BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   E02D27/00 D
   E04B1/24 R
   E04B1/58 511F
   E04B1/58 511H
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-87315(P2020-87315)
(22)【出願日】2020年5月19日
(62)【分割の表示】特願2015-226147(P2015-226147)の分割
【原出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2020-148088(P2020-148088A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武藤 靖久
(72)【発明者】
【氏名】竹本 浩之
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−057430(JP,A)
【文献】 特開2007−100337(JP,A)
【文献】 特開2010−168810(JP,A)
【文献】 特開2004−108034(JP,A)
【文献】 特開2009−007745(JP,A)
【文献】 特開2004−100304(JP,A)
【文献】 特開2012−057432(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0308067(US,A1)
【文献】 特開2002−188154(JP,A)
【文献】 特開2002−138495(JP,A)
【文献】 特開平07−003816(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104929116(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00−27/18
E04B 1/24
E04B 1/38−1/61
E02D 5/22−5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製コンクリート杭と、当該杭の杭頭部が埋設された基礎フーチングと、当該基礎フーチングに下端部が埋設された鋼製柱と、を備える、鋼製柱と杭の接合部の構造であって、
前記既製コンクリート杭と前記鋼製柱の下端部は、前記基礎フーチングに埋設された鋼製の連結部材で連結されており、
当該連結部材の上端部は、前記鋼製柱の下端部に接合され、
前記連結部材の下端部は、前記既製コンクリート杭の中空部に充填されたコンクリート体に埋設されており、
前記連結部材は埋設長さを調整することで、前記鋼製柱の高さ調整部材として機能するとともに、前記既製コンクリート杭に定着されていることを特徴とする鋼製柱と杭の接合部構造。
【請求項2】
前記連結部材は、略鉛直に延びる鉛直部を有しており、
前記鉛直部の水平断面積は、前記鋼製柱の水平断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の鋼製柱と杭の接合部構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鋼製柱と鉄筋コンクリート造の杭頭部を有する杭との接合部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨柱と杭との接合部構造として、鉄骨柱と杭との間に連結部材(仮設支持部材)を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、仮設支持部材の上端は、鉄骨柱にボルト固定され、仮設支持部材の下端は、杭頭部に溶接固定された接合プレートにボルト固定される。また、杭頭面の下方
から鉄骨柱の下端面よりも上方に至るまで基礎フーチングが設けられ、基礎フーチングを構成する縦筋は、杭頭面の下方から鉄骨柱の下端面の上方まで密に配筋されている。
【0003】
特許文献2には、柱脚基礎コンクリートの内部に、定着板に連結したアンカーボルトを打ち込んで、これにより、アンカーボルトの引抜き耐力を確保することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−57430号公報
【特許文献2】特許第4575019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、鉄骨柱に引抜力が作用した際には、この引抜力は、鉄骨柱からコンクリート造の基礎フーチングを構成する縦筋に伝達され、この縦筋を介して、杭に伝達される。よって、縦筋に高い引張応力が生じるので、縦筋に沿ってひび割れが発生するおそれがあった。また、高い引抜力が加わる鉄骨柱においては、基礎フーチングを構成する縦横筋が高密度に配筋する必要があり、基礎フーチングが大型化する傾向があった。
【0006】
また、特許文献1では、杭の上端面に仮設支持材を設置し、この仮設支持材の上端面にプレートを設けて、このプレート上に鉄骨柱を固定していた。よって、鉄骨柱の建込位置の決定と据付け調整は、鉄骨柱とプレートとの間に高さ調整材を挿入して調整する必要があり、据付け高さの位置決めおよび建込み精度を確保するのに多くの時間を要していた。
【0007】
特許文献2では、鉄骨柱を固定するには、鉄骨柱を上回る幅広部を備えた柱脚基礎コンクリートが必要であり、鉄骨柱の配置を計画する上で設計の自由度が制限されていた。
【0008】
本発明は、鋼製柱の建込位置の位置決めが容易で、かつ、上部構造に発生する力を杭にスムーズに伝達させることで優れた靱性を有する鋼製柱と杭の接合部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、鋼製柱( 例えば、後述の鋼製柱20、20A ) と杭( 例えば、後述の杭10) の接合部の構造であって、上端部にプレート( 例えば、後述の上部プレート32)を有する鋼製の連結部材(例えば、後述の連結部材30、30A、30B) が設けられ、当該連結部材のプレートは、前記鋼製柱の下端部に接合され、前記連結部材の下端部は、前記既製コンクリート杭の中空部に充填されたコンクリート体に埋設されていることを特徴とする。
また、前記連結部材は埋設長さを調整することで、前記鋼製柱の高さ調整部材として機能するとともに、前記既製コンクリート杭に定着されている。

【0010】
第1の発明によれば、柱に接合されてかつ杭体内に定着される連結部材を設けた。よって、この連結部材の埋設長さを調整することで、柱の高さ位置を調整できる。また、連結部材が鋼製柱と杭との間に配置され、この連結部材は、鋼製柱に接合されるとともに、杭体内に定着されているので、鋼製の連結部材に生じた引張力が、杭を構成する縦鉄筋に伝達されるから、柱の耐震性能を十分に確保できる。従来のように、基礎フーチングを構成する縦筋により鋼製柱と杭との間で引抜力を伝達させる必要がなく、基礎フーチングの縦筋を密に配置する必要はない。よって、基礎フーチングを小型化することができる。また、鋼製柱の建込位置の位置決めが容易であり、上部構造に発生する力を杭にスムーズに伝達させて優れた靱性を発揮できる。
【0011】
また、連結部材の下端部を、杭体内のコンクリートに埋設したので、連結部材の下端部は、硬化したコンクリートにより拘束されるうえに、コンクリートの付着作用により、杭に強固に接合される。
【0012】
第2の発明は、前記連結部材の前記コンクリート体に埋設された部分の外周面には、スタッド(例えば、後述のスタッド33)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、連結部材のコンクリート体に埋設された部分にスタッドを植設したので、スタッドを介して連結部材を杭体に定着させ、連結部材を杭体に強固に固着させることができる。
また、スタッドは、鋼製柱に作用する曲げモーメント、せん断力、および軸力の大きさに応じて、フランジおよび/またはウエブに設けることで、連結部材を杭体に定着させることができる。
【0014】
第3の発明は、前記鋼製柱の下端部の外周面および/または前記連結部材の外周面には、スタッド(例えば、後述のスタッド23、33)が設けられ、当該スタッドは、前記鋼製柱の下端部の外周面を覆うコンクリート体(例えば、後述の基礎フーチング40)に埋設されていることを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、鋼製柱の下端部の外周面および/または前記連結部材の外周面にスタッドを設けたので、スタッドを介して連結部材を基礎フーチングなどのコンクリート体に定着させ、連結部材を基礎フーチングに強固に固着させることができる。
【0016】
本発明によれば、前記鋼製柱の下端部の外周面を覆うコンクリート体は、下端面が前記杭の上端面より下方に位置しており、上端面が前記鋼製柱の下端面より上方に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鋼製柱の建込位置の位置決めが容易で、かつ、上部構造に発生する力を杭にスムーズに伝達させることで優れた靱性を有する鋼製柱と杭との接合部の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図である。
図2図1のA−A断面図およびB−B断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図である。
図4図3のC−C断面図およびD−D断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図である。
図6図5のE−E断面図である。
図7】本発明の第1の変形例に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図である。
図8】本発明の第2の変形例に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図およびF−F断面図である。
図9】本発明の第2の変形例に係る柱と杭との接合部構造の縦断面図およびG−G断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者は、鋼製柱と杭体を接続する接合部構造として、鋼製柱の下端部に接合された連結部材を杭頭の中空部に挿入し、この連結部材をコンクリートで根固めすることで、連結部材が鋼製柱の高さ調整部材として機能するとともに、鋼製柱と杭体を連結する引抜き抵抗材として機能することに着目し、鋼製柱と杭体の接合部構造を発明するに至った。
具体的には、鋼製柱と杭を接続する連結部材は、鋼製柱の下端部に接合されてスタッドが植設されたH型鋼材(第1実施形態)と、鋼製柱を二分割した柱下部に接合された複数の溝型鋼材(第2実施形態)と、杭上端面に固定されるプレートを備えた構成(第3実施形態)である。
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る柱と杭との接合部構造1の縦断面図である。図2(a)は、図1のA−A断面図であり、図2(b)は、図1のB−B断面図である。
柱と杭との接合部構造1は、地盤中に構築された杭10と、鋼製柱20と、鋼製柱20の下端部に接合されてかつ杭10に定着される鋼製の連結部材30と、を備える。
杭10の上部には、鋼製柱20の下端部および連結部材30が打ち込まれる基礎フーチング40が構築されている。
【0021】
杭10は、既製の円筒形状のRC杭(遠心成形された鉄筋コンクリート杭)であり、内部に中空部11が形成された中空杭である。
【0022】
鋼製柱20は、H形鋼である柱本体21と、この柱本体21の下端に設けられた下部プレート22と、柱本体21の下端部の外周面に植設されたスタッド23と、を備える。
【0023】
連結部材30は、略鉛直に延びるH形鋼からなる鉛直部31と、この鉛直部31の上端に設けられた略水平な板状の上部プレート32と、を備える。
上部プレート32には、鋼製柱20の下部プレート22がボルト24で接合される。これにより、連結部材30の上部プレート32は、鋼製柱20の下端部の下部プレート22に接合される。
【0024】
鉛直部31の下端部は、杭10の中空部11に挿入されて、この中空部11の上端部には、充填されたコンクリートが打設されている。これにより、連結部材30の下端部は、中空部11の硬化したコンクリート体12に埋設されている。
鉛直部31の上部のフランジおよびウエブの外周面には、スタッド33が植設されている。ただし、鋼製柱が負担する外部荷重が小さい場合は、鉛直部のフランジおよびウエブの一方のみに、スタッドを設けてもよい。
【0025】
鉛直部31は、鋼製柱20の柱本体21よりも、水平断面積が小さくなっている。なお、この鉛直部31は、鉛直部31の杭10に対する定着強度を確保でき、かつ、杭10と鋼製柱20との間の引張力に十分に抵抗できるサイズであればよい。
【0026】
柱本体21のスタッド23が設けられた部分、および、鉛直部31の上部のスタッド33が設けられた部分は、基礎フーチング40に埋設されている。
すなわち、基礎フーチング40は、鋼製柱20の下端部および連結部材30の外周面を覆うコンクリート体であり、下端面が杭10の上端面より下方に位置しており、上端面が鋼製柱20の下端面より上方に位置している。
【0027】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)鋼製柱20に接合されて杭10に定着される連結部材30を設けた。したがって、この連結部材30の埋設長さを調整することで、鋼製柱20の高さ位置を調整できる。また、連結部材30が鋼製柱20に接合されるとともに、杭10に定着されているので、連結部材30に生じた引張力が杭10を構成する縦鉄筋に伝達されるから、鋼製柱20の耐震性能を十分に確保できる。よって、基礎フーチング40を小型化することができ、また、鋼製柱20の建込位置の位置決めが容易であり、上部構造に発生する力を杭10にスムーズに伝達させて優れた靱性を発揮できる。
【0028】
(2)鋼製柱20の下端部の外周面および連結部材30の鉛直部31の外周面にスタッド23、33を植設したので、鋼製柱20と連結部材30とは、スタッド23、33を介して基礎フーチング40のコンクリート体に強固に定着される。
【0029】
(3)鋼製柱20と連結部材30とを上部プレート32を介して接合することで、鋼製柱20と連結部材30の鉛直部31とが異なる断面形状であっても、確実に接合できる。また、鋼製柱20を略水平な上部プレート32に接合することで、鋼製柱20の鉛直精度を確保できる。
【0030】
(4)連結部材30の下端部を円筒形状のRC杭10の内部に充填したコンクリート体12に打ち込んだので、コンクリート体12は、杭10の壁面で係止され、そのコンクリートによる摩擦とコンクリート体12の付着作用により拘束されるので、杭10に強固に接合される。
【0031】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態に係る柱と杭との接合部構造1Aの縦断面図である。図4(a)は、図3のC−C断面図であり、図4(b)は、図3のD−D断面図である。
本実施形態では、鋼製柱20Aは、上下に二分割されており、柱下部50と、この柱下部50の上に設けられた柱上部51と、を備える。
【0032】
柱下部50は、角形鋼管である柱本体52と、この柱本体52の下端に設けられた下部プレート53と、柱本体52の上端に設けられた板材である上部プレート54と、柱本体52の外周側面に植設されたスタッド55と、を備える。
柱下部50の下部プレート53は、連結部材30の上部プレート32にボルト24で接合される。
【0033】
柱上部51は、角形鋼管である柱本体56と、この柱本体56の下端に設けられた下部プレート57と、を備える。柱上部51の下部プレート57は、柱下部50の上部プレート54にボルト固定される。
【0034】
また、連結部材30Aの鉛直部31は、一対の溝形鋼を、背中合わせにかつ所定間隔離れて配置して構成されている。
【0035】
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(5)鋼製柱20Aを上下に二分割したので、鋼製柱20Aを杭10に建込む際に、鉛直精度を容易に管理できる。
【0036】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る柱と杭との接合部構造1Bの縦断面図である。図6は、図5のE−E断面図である。
本実施形態では、連結部材30Bには、定着部材60が取り付けられている。この定着部材60は、杭10の上端面に固定された円環状のプレート61と、このプレート61から下方に延びて杭10のコンクリート体12に埋設された定着部62と、を備える。
また、連結部材30Bの鉛直部31の下端部には、円盤状の下部プレート34が取り付けられている。この下部プレート34は、定着部材60のプレート61にボルト63で接合される。
【0037】
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)と同様の効果がある。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、杭10として、既製のRC杭を用いたが、これに限らず、例えば、PC杭(プレストレストコンクリート杭)、PHC杭(高強度プレストレストコンクリート杭)、PRC杭(高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭)、SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)を用いてもよい。
【0039】
また、上述の各実施形態では、鋼製柱20の柱本体21をH形鋼とし、鋼製柱20Aの柱本体52、56を角形鋼管としたが、これに限らず、円形鋼管などを用いてもよい。また、さらに、角形鋼管や円形鋼管である柱本体内にコンクリートを充填して、鋼製柱をCFT(Concrete Filled Steel Tube)柱としてもよい。
【0040】
また、本発明の杭は、既製コンクリート杭でなく、建設現場で構築される場所打ちコンクリート杭でもよい。場所打ちコンクリート杭の場合、杭頭部に中空部は設けられないことが多く、杭体の中心付近に連結材を打ち込むことで、鋼製柱と杭を連結材で接続することができる。
【0041】
また、上述の各実施形態では、鋼製柱20の下部プレート22と連結部材30の上部プレート32とを連結したが、これに限らず、連結部材30の上端部に、鋼製柱20の下部プレート22の下面に、一対の山形鋼材を取り付け、これら山形鋼材と鋼製柱20の下部プレート22とを連結する構成としてもよい。この山形鋼材は、鋼製柱20と連結部材30との間の接続部材で、かつ高さ調整部材を兼ねるものである。
【0042】
また、図7に示すように、連結部材30の鉛直部31のうちコンクリート体12に埋設された部分のフランジおよびウエブの外周面にも、スタッド33を植設してもよい。この構成によれば、スタッド33を備えた連結部材30の鉛直部31が、杭10の中空部11のコンクリート体12との付着作用により、杭10に強固に接合される。また、連結部材30の鉛直部31からコンクリート体12に伝達された曲げモーメント、せん断力および軸力は、杭10のコンクリート体12と杭10の内周面との摩擦抵抗機構によって、杭10に伝達される。よって、杭10のコンクリート体12は、内部応力分を摩擦抵抗によって杭10に伝達させるのに十分な高さを有している。
【0043】
また、図8に示すように、連結部材30の下部の所定の高さ位置に、水平方向に延びる位置決め材35を取り付けて、この位置決め材35を杭10の上端縁に載置することで、連結部材30の高さ方向の位置決めを行ってもよい。位置決め材35は、例えば山形鋼材や溝型鋼材であり、連結部材30に溶接またはボルトで固定される。この構成によれば、鋼製柱20の高さ方向の建込精度および建込時の固定度を高めることができる。
【0044】
また、図9に示すように、連結部材30の下部の所定の高さ位置に水平方向に延びる位置決め材36を取り付けるが、この位置決め材36をコンクリート体12の上面に載置することで、連結部材30の高さ方向の位置決めを行ってもよい。位置決め材36は、例えば平鋼材、山形鋼材、溝型鋼材である。この構成によれば、鋼製柱20の高さ方向の建込精度および建込時の固定度を高めることができる。
【符号の説明】
【0045】
1、1A、1B…柱と杭との接合部構造
10…杭 11…中空部 12…コンクリート体
20、20A…鋼製柱 21…柱本体 22…下部プレート 23…スタッド 24…ボルト
30、30A、30B…連結部材 31…鉛直部 32…上部プレート 33…スタッド 34…下部プレート 35、36…位置決め部材
40…基礎フーチング
50…柱下部 51…柱上部 52…柱本体 53…下部プレート 54…上部プレート 55…スタッド 56…柱本体 57…下部プレート
60…定着部材 61…プレート 62…定着部 63…ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9