特許第6945887号(P6945887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6945887スポーツ選手の身体情報管理支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6945887
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】スポーツ選手の身体情報管理支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20210927BHJP
【FI】
   G16H40/00
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-94668(P2020-94668)
(22)【出願日】2020年5月29日
【審査請求日】2021年2月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520000870
【氏名又は名称】タグル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋道
(72)【発明者】
【氏名】菊田 修弘
【審査官】 安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−146937(JP,A)
【文献】 特開2018−197908(JP,A)
【文献】 特開2018−202174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 −80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツチーム管理者と、前記スポーツチーム管理者が管理するチームに所属するスポーツ選手と、前記スポーツ選手の身体情報を測定する測定者が、それぞれ操作する端末と通信可能なシステムであって、
前記スポーツチーム管理者と前記スポーツ選手と前記測定者の情報を登録する使用者情報登録手段と、
前記使用者情報登録手段により登録された登録スポーツチーム管理者が操作する端末、及び/又は、前記使用者情報登録手段により登録された登録スポーツ選手が操作する端末からの要求に応じて、前記使用者情報登録手段により登録された登録測定者の中から前記登録スポーツ選手の前記身体情報を測定する前記測定者を選択する測定者選択手段と、
前記測定者選択手段で選択された前記測定者によって測定された前記登録スポーツ選手の前記身体情報を登録する身体情報登録手段と、
前記登録スポーツ選手が操作する端末、及び/又は、前記登録スポーツチーム管理者が操作する端末からの閲覧要求に応じて、前記登録スポーツ選手の前記身体情報を閲覧要求元の端末に表示させるための表示データを作成して前記閲覧要求元の端末に送信する表示データ送信手段と、
を備えることを特徴とするスポーツ選手の身体情報管理支援システム。
【請求項2】
前記身体情報は、前記スポーツ選手における身体の個別の筋肉部位についての生理的な情報である個別筋肉部位生理情報を含むことを特徴とする請求項1に記載するスポーツ選手の身体情報管理支援システム。
【請求項3】
前記個別筋肉部位生理情報は、筋肉の疲労度を含むことを特徴とする請求項2に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システム。
【請求項4】
前記使用者情報登録手段は、前記登録測定者の測定技能に関する測定技能データをさらに登録することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載するスポーツ選手の身体情報管理支援システム。
【請求項5】
前記測定者選択手段は、前記測定技能データに基づいて前記登録測定者から前記登録スポーツ選手の測定を行う技能を備える者を優先的に選択可能にすることを特徴とする請求項4に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システム。
【請求項6】
前記使用者情報登録手段は、前記登録測定者の測定経験記録をさらに登録し、前記測定者選択手段は、前記登録測定者から前記登録スポーツ選手の測定をすでに行った者を優先的に選択可能にすることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システム。
【請求項7】
前記表示データ送信手段は、前記測定者選択手段で選択された複数の前記登録測定者のリストデータを、前記登録スポーツ選手のそれぞれが操作する前記端末に送信し、
当該端末を操作する者が、当該端末を用いて当該リストデータから所定の前記登録測定者を選択することができる、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ選手の身体情報を管理する身体情報管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロ、アマ問わずスポーツ選手の体調管理は、スポーツ選手自身にとっても、またその選手達を管理監督する側にとって重要な業務である。特にチームスポーツにおいては、複数の選手の管理を同時にしなければならず、実際問題としてはコーチやトレーナーの経験と勘で体調を見極めるという程度のことしかできていなかった。
【0003】
近年、選手の動きをGPSで追跡して試合中の戦術的動きを解析する技術や、各種センサ、例えば加速度計や角加速度計、心拍計等を選手に装着した状態で試合やトレーニングをおこなわせ、その測定結果を分析することで選手のパフォーマンスを評価し、強化に活用されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−202174号公報
【特許文献2】特開2016−214455号公報
【特許文献3】国際公開2019/088054号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スポーツ選手自身が自己のコンディションを管理する場合において自己の疲労度を知り、自己認識することは大切である。またスポーツ選手を管理監督する場合においても、選手個々の肉体の疲労度等を明確に知った上でトレーニングをおこない、試合に出場させる選手を決定することが望ましい。しかし、従来の技術では、同じ運動を行っても選手間で肉体的条件が異なるため、選手の動きの記録や心拍数の記録から間接的に選手の肉体の疲労度をある程度推定することはできるものの、客観的で正確な情報として把握できなかった。また選手の肉体の疲労度を見積もるときに、選手を観察するコーチやトレーナーの経験と勘だけでは、その観察者の技量に依存する部分が大きく、客観的なデータとして扱うことが難しく、また疲労度についての観察者の認識についてスポーツ選手の理解や納得を促すことが困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、スポーツ選手について肉体疲労度等の身体情報を客観的で再現性ある精度の高いデータとして測定、記録し、表示可能なスポーツ選手の身体情報管理支援システムの提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、スポーツチーム管理者と、前記スポーツチーム管理者が管理するチームに所属するスポーツ選手と、前記スポーツ選手の身体情報を測定する測定者が、それぞれ操作する端末と通信可能なシステムであって、前記スポーツチーム管理者と前記スポーツ選手と前記測定者の情報を登録する使用者情報登録手段と、前記使用者情報登録手段により登録された登録スポーツチーム管理者が操作する端末、及び/又は、前記使用者情報登録手段により登録された登録スポーツ選手が操作する端末からの要求に応じて、前記使用者情報登録手段により登録された登録測定者の中から前記登録スポーツ選手の前記身体情報を測定する前記測定者を選択する測定者選択手段と、前記測定者選択手段で選択された前記測定者によって測定された前記登録スポーツ選手の前記身体情報を登録する身体情報登録手段と、前記登録スポーツ選手が操作する端末、及び/又は、前記登録スポーツチーム管理者が操作する端末からの閲覧要求に応じて、前記登録スポーツ選手の前記身体情報を閲覧要求元の端末に表示させるための表示データを作成して前記閲覧要求元の端末に送信する表示データ送信手段とを備えることを特徴とするスポーツ選手の身体情報管理支援システムを提供する。
【0008】
身体情報の測定及びその情報の伝達は、測定者によってその測定及び伝達の技量にばらつきが出てくる。したがってどの測定者が測定するかという情報が極めて重要である。上記(1)に記載する発明によれば、使用者情報登録手段により登録された登録測定者の中から、登録スポーツ選手の身体情報を測定する測定者を選択することができるので、測定者の情報に基づいて身体情報を測定する測定者を選択することが可能になり、測定される身体情報の客観性が担保されやすくなるという優れた効果を奏する。また測定された身体情報が客観的であるため、測定者とスポーツ選手、その他関係者の間での円滑なコミュニケーションが可能になるという優れた効果を奏する。さらに身体情報の客観性は、スポーツ選手自身の身体情報に関する理解や納得を促すことができるという優れた効果を奏する。
【0009】
(2)本発明は、前記身体情報は、前記スポーツ選手における身体の個別の筋肉部位についての生理的な情報である個別筋肉部位生理情報を含むことを特徴とする上記(1)に記載するスポーツ選手の身体情報管理支援システムを提供する。
【0010】
トレーニング方法によって疲労が溜まる筋肉部位は異なり、また回復の速度も個人差がある。上記(2)に記載する発明によれば、各スポーツ選手の個別の筋肉部位についての生理的な情報である個別筋肉部位生理情報を活かすことができるので、個別のスポーツ選手の筋肉部位毎についてきめの細かい管理調整、トレーニングメニューの変更等が可能になるという優れた効果を奏する。
【0011】
(3)本発明は、前記個別筋肉部位生理情報が、筋肉の疲労度を含むことを特徴とする上記(2)に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システムを提供する。
【0012】
さまざまなセンサをスポーツ選手に装着してもらうことや、トレーニング後に筋肉の硬さ等を測定することで筋肉の疲労度を推定又は測定することができる。上記(3)に記載する発明によれば、スポーツ選手の個別の筋肉部位についての疲労度を測定することで、試合後やトレーニング後の回復方法等へのフィードバック情報が得られ、スポーツ選手のパフォーマンス改善することができるという優れた効果を奏する。
(4)本発明は、前記使用者情報登録手段が、前記登録測定者の測定技能に関する測定技能データをさらに登録することを特徴とする上記(1)乃至上記(3)のうちのいずれかに記載するスポーツ選手の身体情報管理支援システムを提供する。
【0013】
測定者が有する人間の身体についての知識の深さ、経験の豊富さ、パーソナリティや測定技能によって、スポーツ選手の身体情報の測定の正確さや情報伝達の円滑さは左右される。上記(4)に記載する発明によれば、使用者情報登録手段が測定者の測定技能に関する測定技能データをさらに登録することができるので、測定された測定技能データがどの程度信頼ができるかどうかや、情報伝達がしっかりと伝達できるかどうか等について客観的に把握できるようになる
【0014】
(5)本発明は、前記測定者選択手段が、前記測定技能データに基づいて前記登録測定者から前記登録スポーツ選手の測定を行う技能を備える者を優先的に選択可能にすることを特徴とする上記(4)に記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システムを提供する。
【0015】
上記(5)に記載する発明によれば、測定者の候補の中から身体情報を測定するのに相応しいスキルを持つ測定者を選択し易くなるので、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【0016】
(6)本発明は、前記使用者情報登録手段が、前記登録測定者の測定経験記録をさらに登録し、前記測定者選択手段は、前記登録測定者から前記登録スポーツ選手の測定をすでに行った者を優先的に選択可能にすることを特徴とする上記(1)乃至上記(5)のうちのいずれかに記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システムを提供する。
【0017】
スポーツ選手の身体は繊細なので、身体情報の測定の際、不特定多数の人から身体を直接触られることに抵抗を感じる選手が一定数存在する。上記(6)に記載する発明によれば、これまで身体情報の測定を行ったことのある登録測定者の中から、選手の測定を行ったことのある者を優先的に選択が可能になる。したがって選手が身体情報をされる際に抵抗感が少ない測定者を選択することができ、リラックスした状態で測定することが可能になるため、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【0018】
(7)本発明は、前記表示データ送信手段が、前記測定者選択手段で選択された複数の前記登録測定者のリストデータを、前記登録スポーツ選手のそれぞれが操作する前記端末に送信に送信し、当該端末を操作する者が、当該端末を用いて当該リストデータから所定の前記登録測定者を選択することができることを特徴とする上記(1)乃至上記(6)のうちのいずれかに記載するスポーツ選手の身体情報管理の支援システムを提供する。
【0019】
上記(7)に記載する発明によれば、スポーツ選手が自分自身のコンディションに基づいて、登録測定者のリストデータの中から、身体情報を測定してもらいた登録測定者を選択することができるようになる。したがって選手にとって、その場面で最も好ましい測定者を選択可能になり、リラックスした状態で測定することが可能になるため、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1〜7記載のスポーツ選手の身体情報管理支援システムによれば、スポーツ選手について肉体疲労度等の身体情報を客観的で再現性ある精度の高いデータとして測定、記録し、表示可能になるという優れた効果を奏し得る。またその身体情報についての伝達やコミュニケーションが円滑になるという優れた効果を奏しえる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るスポーツ選手の身体情報管理支援システムの説明図である。
図2】身体情報管理支援システムが実現する機能ブロック図である。
図3】身体情報管理支援システムのサーバについての構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1図3は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るスポーツ選手の身体情報管理支援システム1の説明図である。身体情報管理支援システム1は、スポーツチーム管理者Cと、スポーツチーム管理者Cが管理するチームに所属するスポーツ選手Aと、スポーツ選手Aの身体情報を測定する測定者Mが、それぞれ操作するスポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25と通信可能なシステムであって、スポーツチーム管理者Cとスポーツ選手Aと測定者Mの情報を登録する使用者情報登録手段205(後述する図2参照)と、使用者情報登録手段205により登録された登録スポーツチーム管理者が操作する端末25、及び/又は、使用者情報登録手段205により登録された登録スポーツ選手Aが操作する端末15からの要求に応じて、使用者情報登録手段205により登録された登録測定者の中から登録スポーツ選手の身体情報を測定する測定者を選択する測定者選択手段210(後述する図2参照)と、測定者選択手段210において選択された測定者によって測定された登録スポーツ選手Aの身体情報を登録する身体情報登録手段215(後述する図2参照)と、登録スポーツ選手が操作する端末15、及び/又は、登録スポーツチーム管理者Cが操作する端末25からの閲覧要求に応じて、登録スポーツ選手の身体情報をスポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25のいずれかに該当する閲覧要求元の端末に表示させるための表示データを作成して閲覧要求元の端末に送信する表示データ送信手段220(後述する図2参照)を備える。
【0025】
具体的には身体情報管理支援システム1は、サーバ5と、スポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25がネットワーク10により接続され、相互に情報処理を行うことで実現される。このときネットワーク10はWiFi(登録商標)やBlootooth(登録商標)等の無線LANネットワークでもよく、LANケーブル等による有線LANネットワークでもよい。ネットワーク10はインターネットでもよく、専用線によって構成されるイントラネットでもよい。
【0026】
スポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25は、携帯用電子通信機器、具体的にはスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等でよく、パーソナルコンピューターでもよい。
【0027】
図2は、身体情報管理支援システム1が実現する機能ブロック図である。
【0028】
身体情報管理支援システム1は、使用者情報登録手段205と、測定者選択手段210と、身体情報登録手段215と、表示データ送信手段220を有する。
【0029】
具体的には使用者情報登録手段205は、例えばスポーツチーム管理者用端末25(図1参照)が有するタッチパネルから使用者情報が入力されることで実現される。
【0030】
測定者選択手段210は、例えばスポーツ選手用端末15が有するタッチパネルから所定の測定者が選択されることで実現される。
【0031】
測定者選択手段210は、測定技能データに基づいて登録測定者から登録スポーツ選手の測定を行う技能を備える者を優先的に選択可能にすることで実現されてもよい。具体的には、例えばスポーツ選手用端末15やスポーツチーム管理者用端末25で情報を表示する画像表示部における複数の登録測定者を表示する画面において、測定技能の優れた順に画面上部から表示することも考えられる。
【0032】
また身体情報登録手段215は、例えば測定者用端末20が有するタッチパネルから所定の身体情報が入力されることで実現される。
【0033】
表示データ送信手段220はサーバ5(図1参照)が、それぞれの端末、すなわちスポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25へ表示データを送信することが望ましい。
【0034】
表示するデータとしては、例えば登録スポーツ選手の身体情報が望ましい。
【0035】
身体情報としては、スポーツ選手における身体の個別の筋肉部位についての生理的な情報である個別筋肉部位生理情報を含むことが望ましい。
【0036】
個別筋肉部位生理情報として具体的には、筋電計で測定される各筋肉部位に関する筋電位についての情報でもよく、各々のスポーツ選手の動きをGPSによる位置変化の測定結果、スポーツ選手に装着された角加速度センサ、加速度センサ等の検出結果、画像情報からの解析結果等から推定される生理情報でもよい。
【0037】
個別筋肉部位生理情報としては、特許文献2に記載されている生体軟組織のレオロジー特性の物性値検出システムによって検出される、生体軟組織の弾性要素と粘性要素の比率である粘弾性比率であってもよい。
【0038】
個別筋肉部位生理情報は、筋肉の疲労度を含むことが望ましい。具体的には、筋肉の疲労度とは、上記特許文献2に記載されている検出システムによって検出される物性値から導かれる個別筋肉部位のほぐれ具合を示す情報であって良い。
【0039】
また個別筋肉部位生理情報としては、特許文献3に記載されている生体軟組織における各層の硬さの指標を測定するための測定装置、または/及び、測定プログラムによって測定される生体軟組織の硬さの指標であってもよい。
【0040】
使用者情報登録手段205は、登録測定者の測定技能に関する測定技能データをさらに登録する。測定技能データは、例えば特許文献2に記載されている検出システムによって物性値を検出する手技の優劣を数値化したものであってよい。また測定技能データは、登録測定者の測定経験数に基づいた値であってもよい。また測定技能データは、測定の技能だけではなく、測定者の経歴、経験、パーソナリティの情報を含んで良い。また身体情報伝達の技能についての情報、具体的には例えば管理監督をする側、すなわちスポーツチーム管理者や、スポーツ選手への測定者に関するアンケートやヒアリングに基づいてえられた情報伝達スキルについての情報から、より相性の良い測定者を優先的に選択できるようにしてもよい。
【0041】
また使用者情報登録手段205で登録する情報には、登録スポーツ選手がおこなう所定のスポーツについて、身体情報の測定結果についての測定者の分析能力に関する情報を含んでもよい。具体的には例えば身体情報の測定結果についての講習会やセミナーへの参加履歴をポイント化して、そのポイントに基づいて分析能力を数値化したものであってよい。
【0042】
使用者情報登録手段205で登録する情報には、分析結果について登録スポーツ選手の能力開発やトレーニング改善のためにフィードバックした履歴や経験を数値化したものを含んでもよい。
【0043】
また使用者情報登録手段205は、登録測定者の測定経験記録をさらに登録し、測定者選択手段210は、登録測定者から登録スポーツ選手の測定をすでに行った者を優先的に選択可能にしてもよい。
【0044】
具体的には登録スポーツ選手、又は/及び、登録スポーツチーム管理者が操作するスポーツ選手用端末15やスポーツチーム管理者用端末25の情報を表示する画像表示部における複数の登録測定者を表示する画面において、登録スポーツ選手の測定をすでに行った者を、その測定回数が多い順に画面上部から表示してもよい。
【0045】
さらに表示データ送信手段220は、測定者選択手段で選択された複数の登録測定者のリストデータを、登録スポーツ選手のそれぞれが操作するスポーツ選手用端末15に送信する。また端末を操作する者である、例えばスポーツチーム管理者とスポーツ選手と測定者とが、スポーツ選手用端末15を用いてリストデータから所定の登録測定者を選択可能なことが望ましい。
【0046】
図3は、身体情報管理支援システム1におけるサーバ5についての構成説明図である。
【0047】
サーバ5は、制御装置110と、入力部120と、出力部130と、送受信インターフェース140と、記憶部160と、それらの間の情報をやり取りするためのバス150を備える。
【0048】
制御装置110はCPU112、RAM114およびROM116等から構成され、各種制御を実行する。CPU112はいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて、例えば図2で示した様々な機能を実現する。RAM114はCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROM116はCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。
【0049】
記憶部160は、各種プログラム、例えば身体情報を計算するプログラムや、表示データを作成するプログラムを記憶するプログラム記憶領域162を有する。
【0050】
記憶部160は、各々のスポーツ選手についての身体情報を記憶する身体情報記憶領域164を有する。
【0051】
また記憶部160は、各々の測定者の技能を記憶する測定技能データ記憶領域166を有する。
【0052】
さらに記憶部160は、スポーツチーム管理者とスポーツ選手と測定者の情報を記憶する使用者情報記憶領域168を有する。
【0053】
記憶部160は、具体的にはHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶媒体である。
【0054】
入力部120は、例えば個々のスポーツ選手についての情報を入力するキーボードやタッチパネルである。
【0055】
出力部130は、例えば液晶パネルであって、個々のスポーツ選手についての情報を画面上に描画する出力装置である。
【0056】
送受信インターフェース140は、例えば無線WiFiルーターであって、アクセスポイント35とサーバ5の間における情報のやり取りをおこなうインターフェースである。サーバ5は送受信インターフェース140を通じてスポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25との間で情報を共有する。
【0057】
なお使用者情報登録手段205と、測定者選択手段210と、身体情報登録手段215は、サーバ5、スポーツ選手用端末15、測定者用端末20、スポーツチーム管理者用端末25等の連携によってその機能が実現される。
【0058】
身体情報の測定及びその情報の伝達は、測定者によってその測定及び伝達の技量にばらつきが出てくる。したがってどの測定者が測定するかという情報が極めて重要である。本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、使用者情報登録手段により登録された登録測定者の中から、登録スポーツ選手の身体情報を測定する測定者を選択することができるので、測定者の情報に基づいて身体情報を測定する測定者を選択することが可能になり、測定される身体情報の客観性が担保されやすくなるという優れた効果を奏する。また測定された身体情報が客観的であるため、測定者とスポーツ選手、その他関係者の間での円滑なコミュニケーションが可能になるという優れた効果を奏する。さらに身体情報の客観性は、スポーツ選手自身の身体情報に関する理解や納得を促すことができるという優れた効果を奏する。
【0059】
トレーニング方法によって疲労が溜まる筋肉部位は異なり、また回復の速度も個人差がある。本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、各スポーツ選手の個別の筋肉部位についての生理的な情報である個別筋肉部位生理情報を活かすことができるので、個別のスポーツ選手の筋肉部位毎についてきめの細かい管理調整、トレーニングメニューの変更等が可能になるという優れた効果を奏する。
【0060】
さまざまなセンサをスポーツ選手に装着してもらうことや、トレーニング後に筋肉の硬さ等を測定することで筋肉の疲労度を推定又は測定することができる。本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、スポーツ選手の個別の筋肉部位についての疲労度を測定することで、試合後やトレーニング後の回復方法等へのフィードバック情報が得られ、スポーツ選手のパフォーマンス改善することができるという優れた効果を奏する。
【0061】
測定者が有する人間の身体についての知識の深さ、経験の豊富さ、パーソナリティや測定技能によって、スポーツ選手の身体情報の測定の正確さや情報伝達の円滑さは左右される。本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、使用者情報登録手段が測定者の測定技能に関する測定技能データをさらに登録することができるので、測定された測定技能データがどの程度信頼ができるかどうかや、情報伝達がしっかりと伝達できるかどうか等について客観的に把握できるようになる
【0062】
本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、測定者の候補の中から身体情報を測定するのに相応しいスキルを持つ測定者を選択し易くなるので、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【0063】
スポーツ選手の身体は繊細なので、身体情報の測定の際、不特定多数の人から身体を直接触られることに抵抗を感じる選手が一定数存在する。本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、これまで身体情報の測定を行ったことのある登録測定者の中から、選手の測定を行ったことのある者を優先的に選択が可能になる。したがって選手が身体情報をされる際に抵抗感が少ない測定者を選択することができ、リラックスした状態で測定することが可能になるため、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【0064】
本発明の実施形態である身体情報管理支援システム1によれば、スポーツ選手が自分自身のコンディションに基づいて、登録測定者のリストデータの中から、身体情報を測定してもらいた登録測定者を選択することができるようになる。したがって選手にとって、その場面で最も好ましい測定者を選択可能になり、リラックスした状態で測定することが可能になるため、測定される身体情報の精度が高まるという優れた効果を奏する。
【0065】
尚、本発明の身体情報管理支援システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 身体情報管理支援システム
5 サーバ
10 ネットワーク
15 スポーツ選手用端末
20 測定者用端末
25 スポーツチーム管理者用端末
35 アクセスポイント
110 制御装置
112 CPU
114 RAM
116 ROM
120 入力部
130 出力部
140 送受信インターフェース
150 バス
160 記憶部
162 プログラム記憶領域
164 身体情報記憶領域
166 測定技能データ記憶領域
168 使用者情報記憶領域
205 使用者情報登録手段
210 測定者選択手段
215 身体情報登録手段
220 表示データ送信手段
【要約】      (修正有)
【課題】スポーツ選手について肉体疲労度等の身体情報を客観的で再現性ある精度の高いデータとして測定、記録し、表示可能なスポーツ選手の身体情報管理支援システムの提供をする。
【解決手段】スポーツ選手の身体情報管理支援システム1において、スポーツチーム管理者とスポーツ選手と測定者の情報を登録する使用者情報登録手段と、使用者情報登録手段により登録された登録測定者の中から登録スポーツ選手の前記身体情報を測定する前記測定者を選択する測定者選択手段と、測定者選択手段で選択された測定者によって測定された登録スポーツ選手の前記身体情報を登録する身体情報登録手段と、登録スポーツ選手が操作する端末及び/又は登録スポーツチーム管理者が操作する端末からの閲覧要求に応じて、登録スポーツ選手の身体情報を閲覧要求元の端末に表示させるための表示データを作成して閲覧要求元の端末に送信する表示データ送信手段と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3