【課題を解決するための手段】
【0017】
図1は、本発明が関係する電力供給システム図である。
【0018】
図1において、電力供給システムは、電力供給業者1と需要クライアント2とから構成され、電力供給業者1には、発電によって電力を取得する業者と発電した電力を需要クライアント2には配電する業者が含まれる。例えば、配電業者は、クリーン電力のデータ上の区別と区別されたクリーン電力を需要クライアント2の要望に従ってクリーン電力を任意に配分することができる。この配分は本システムを運用するシステム運用業者によってなされてもよい。この配分管理は、電力供給業者1が持つクリーン電力量持分の範囲内でなされる。
【0019】
需要クライアント2は、排出量の上限を超過した分は他社から排出権の購入を求められる需要クライアント、すなわち排出量の上限を超過した分は他社から排出権の購入を求められる企業が該当する。
【0020】
本発明において、電力は電力一つとして供給されるが、当該電力が、CO
2を排出する火力発電とCO
2非排出のクリーン電力発電とに分けられて供給されたと想定するデータ上の処理がなされる。
【0021】
本発明において、需要クライアントには、工場あるいはオフイスを持つ企業、一般家庭あるいは自治体の内、排出量の上限を超過した分は他社から排出権の購入を求められる企業が該当する。一般家庭あるいは自治体も需要クライアントであるが、本発明における需要クライアントに該当しない。
【0022】
図2は、課題を解決する手段である脱炭素管理システム関連を示す図である。
【0023】
図2において、脱炭素管理システム関連は、電力供給事業者1から需要クライアント11に電力が供給され、電力供給事業者1及び需要クライアント11がそれぞれ備える端末の間で関連付けられる。他の事業体の端末がさらに関連付けられてもよい。
電力供給事業者1は、電力供給事業者給電管理システム2を備え、電力供給事業者給電管理システム2は、電力供給事業者脱炭素管理システム8を持つ。需要クライアント11は、需要クライアント脱炭素管理システム12を持つ。電力供給事業者給電管理システム2は、電力供給事業者1から需要クライアント11への電力の供給を管理する。
【0024】
脱炭素管理システム100が、電力供給事業者1に属する電力供給事業者脱炭素管理システム8及び需要クライアント11に属する需要クライアント脱炭素管理システム12によって構成される。他の事業者に属する脱炭素管理システムが備えられてもよい。
電力供給事業者給電管理システム2は、各種の発電システムで得られた火力発電電力3及びクリーン発電電力4を合流し管理する。
【0025】
火力発電に際して、炭酸ガス(CO
2)が排出され、排出されるCO
2量を削減することが国家的にあるいは国際的に課題となっている。ここではクリーン電力には、原子力発電による電力が含まれる。クリーン電力は、グリーン電力と呼ばれる場合がある。
【0026】
火力発電によって火力発電電力量5が、そしてクリーン発電によってクリーン電力量6が得られる。それぞれの発電電力量は、電力供給事業者脱炭素管理システム8でデータ化されて時々刻々に記録され、火力発電電力量5に対するクリーン電力量6の割合が把握される。
【0027】
双方の発電電力は、合流されて需要者である需要クライアント11に電力として供給、すなわち給電される。
【0028】
この電力の供給に当たって、電力供給事業者脱炭素管理システム8では、供給された電力は、データ上、火力発電電力データとクリーン電力データとに分けて取得される。(7)。
クリーン電力データについては、自然エネルギー発電による電力データと原子力による電力データとに分けることができる。火力発電電力発電は、化石燃料発電といわれる場合がある。
【0029】
火力発電及びクリーン電力発電では発電コストが異なる。火力発電電力及びクリーン電力販売単価9が示される。発電電力の販売価格は、火力発電電力の場合、1kWhで例えばA円であり、クリーン電力の場合、1kWhで例えばB円に設定される。これらの価格は、特定の期間、固定されるが変動価格であってもよい。電力供給事業者は、クリーン電力を今後増大させるために多額に設備の調達、建設が必要となり、B円>A円となることが想到される。
電力供給事業者脱炭素管理システム8は、需要クライアント脱炭素管理システム12と同様に脱炭素管理装置を持ち、脱炭素管理装置は、演算処理装置、データベース及び表示手段(図示せず)を備えて、データベースには、電力種類ごとの電力料金表及び電力料金算出プログラムが格納される。
脱炭素管理装置、すなわち電力供給事業者脱炭素管理システム8は、
図5に示されるように、発注注文されたクリーン電力量(A)に基づいてクリーン電力量(A)の設定、クリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量の取得及び区分けした火力発電電力量及びクリーン電力量(A)に基づいて供給された当該クリーン電力量についての電気料金請求書10の作成を行う。
電気料金請求書10は、供給されたそれぞれの電力量及びそれぞれの電気料金、その合計金額を電子データとして持ち、需要クライアント11に提供する。
【0030】
電力供給事業者脱炭素管理システム8は、需要クライアントが一般家庭(治自体を含む。)である場合、炭素排出権の付いたクリーン電力ポイントを需要クライアント11に提供することができる。逆に言えば、電力供給事業者脱炭素管理システム8はクリーン電力ポイント付きの炭素排出権を需要クライアント11に提供することができる。クリーン電力量6の量に応じて、設定条件下、例えば1kWhを1ポイントとしてクリーン電力ポイントが生成され、記録される。1ポイントは、1kWhに限定されない。クリーン電力ポイントの付いた炭素排出権は、電気料金表に記載される。
脱炭素管理システム100は、電力供給事業者脱炭素管理システム8及び需要クライアント脱炭素管理システム12から構成され、電力供給システムから需要クライアントに給電される電力が、データ上、火力発電電力量とクリーン電力量とに区分されて供給されるものとして取り扱う機能を持ち、火力発電電力データ及びクリーン電力量データの変動を管理することができる。
需要クライアント、特に各企業には、CO
2量を削減することが義務付けられので、火力発電電力を減少しクリーン電力を増大していくことが求められる。
電力供給事業者脱炭素管理システム8は、取得したクリーン電力量に対応してクリーン電力量持分を備えて持分内で需要クライアント11へ配分配電する機能を持つ。持分は、持ち分が証明された持分であることが望ましい。電力供給事業者脱炭素管理システム8は、持分内で需要クライアント11へ配分配電する機能を持つクリーン電力取引を自由化した自由市場を構成され、クリーン電力を増大していくことに対処可能とされる。
各電力供給事業者は、それぞれ電力供給事業者脱炭素管理システム8を備え、インターネット上で接続されることで、総合した持分内で需要クライアント11へ配分配電する機能を持つクリーン電力取引を自由化した自由市場が構成される。電力供給事業者脱炭素管理システム8は、電力供給事業者の持つ持分以上にクリーン電力量を配分することができないよう管理する。電力供給事業者脱炭素管理システム8は、各電力供給事業者の持つ持分クリーン電力量を融通することができる。
【0031】
需要クライアント脱炭素管理システム12は、電力設備13及び端末で構成される脱炭素管理装置14を備えることで構成される。
【0032】
需要クライアント脱炭素管理システム12は、電力供給事業者脱炭素管理システム2から需要クライアント11に供給される電力を、電力供給事業者脱炭素管理システム8での区分に対応して、データ上、火力発電電力量とクリーン電力量とに区分供給されるものとして取り扱うことができる。
【0033】
電力設備13には、電力供給事業者1から電力が供給され、電力設備13を構成する各種機器での電力の消費がなされる。
【0034】
電力の消費は、データ上、火力発電電力とクリーン電力とに区分しての消費として取り扱われる。
【0035】
需要クライアント11は、火力発電電力をクリーン電力に転換してCO
2量を削減するために脱炭指針と脱炭指針に基づく脱炭素指数を設定する。
【0036】
この場合に、企業は、自社内クリーン電力発電による、火力発電電力量に対するクリーン電力量の増大が図られる場合がある。
【0037】
脱炭素管理装置14は、演算処理手段15、データベース16及び表示手段17を持ち、脱炭素管理18を実行する。
【0038】
データベース16は、
・脱炭素指数データ
・脱炭素指数の達成管理データ作成のためのコンピュータプログラム
を格納して持つ。
【0039】
電力供給事業者が持つと同様の電力種類ごとの電力料金表及び電力料金算出プログラムが格納され得る。
【0040】
表示手段17は、その画面に上述した脱炭素管理関連画を表示する。
炭素管理装置14は、
・脱出炭素指数として火力発電電力量の増減量の取得
・買電するクリーン電力量の取得
・電力の発注注文とクリーン電力量の供給データの取得
・炭酸ガス排出権データの取得
・脱炭素指数の達成管理のためのデータの取得
を行う。
【0041】
需要クライアント脱炭素管理システムが、区分された、火力発電電力供給量及び当該クリーン電力量(A)及び火力発電電力供給量及び当該クリーン電力量(A)に基づくクリーン電力供給量にそれぞれ対応する電気使用料金とそれらの合計金額になる電気使用料金請求書を受け、当該電気使用料金請求書に記載の前記クリーン電力供給量について需要クライアントに発生帰属した炭酸ガス排出権についての炭酸ガス排出権データを取得する。
当該電気使用料金請求書に記載の前記クリーン電力供給量について需要クライアントに炭酸ガス排出権が発生帰属する取り扱いを行うために、電力供給事業者1と需要クライアント11との間で、クリーン電力の供給に際して前記クリーン電力供給量について需要クライアントに炭酸ガス排出権が発生帰属する旨の取り決めが事前になされる。これによって、炭素管理装置14は、電気使用料金請求書が入手されると、需要クライアントに発生帰属した炭酸ガス排出権についての炭酸ガス排出権データを取得することができる。
当該クリーン電力供給量データ及びこれに伴う炭酸ガス排出権データが取得されて、脱炭素指数に基づいてた脱炭素達成データが作成可能となり、脱炭素指数の達成管理のためのデータの取得がなされる 。
電力供給事業者脱炭素管理システム2は、
・クリーン電力量(A)の設定
・クリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量の取得
・区分けした火力発電電力量及びクリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量についての電気料金請求書の作成を行う。多くの場合、クリーン電力量(A)とクリーン電力量(A)に基づいて供給された当該クリーン電力量とは同量であるが、電力供給事業者の持つ持分の影響を受けて、当該クリーン電力量(A)>クリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量となる場合がある。
【0042】
図3は、脱炭指針と脱炭指針に基づく脱炭素指数を示す図である。
図上で(1)は、供給される電力量100%に対する現状のクリーン電力量%を示し、(2)は、需要クライアントの方針に従って増加されるクリーン電力量%を示し、(3)は、クリーン電力量((1)+(2))を示す。
図上のクリーン電力線で現時点におけるクリーン電力量%をX点とし、将来におけるクリーン電力量%をY点とすると、当該需要クライアントの脱炭指針は、おおよそy=ax +Xの関数で表示され得、脱炭素指数は、例えばクリーン電力量の増加7%/年で現され得る。関数は直線に限定されない。
【0043】
需要クライアント11によって、
・CO
2排出量削減のための脱炭素指針が設定され、脱炭素指針に基づく脱炭素指数の設定がなされる。脱炭素指針は、脱炭素指数を長期、中期及び短期に設定するもので経営方針が反映されたものとなる。
【0044】
・クリーン電力量の取り扱いにあたっては、現状のクリーン電力量に脱炭指針に基づく新たに設定する増加クリーン電力量を加えたクリーン電力量の場合と、脱炭指針に基づく新たに設定する増加クリーン電力量の場合との二通りがあることを認識する。
【0045】
・脱炭素指数の設定では、削減されるCO
2排出量を火力発電電力量の軽減量に相応させて設定する。
図4は、炭素排出権の内容を示す図である。
【0046】
図4において、需要クライアントの一般家庭が省エネ賦課金の付いた電力の供給を受けた場合、軽減火力発電相当電力の削減のための増加クリーン電力量の設定をして電力提供事業者に通知をすることが通常なされない。電力提供事業者による発電電力の供給を受けた場合には、提供された電力の内に占められるクリーン電力の供給を受けると、電力提供事業者からクリーン電力量に相当する炭素排出権が付与される。
【0047】
グリーン電力量から、情報ポイント化したグリーン電力ポイントを求め、当該グリーン電力ポイントから火力発電電力量の軽減量に相当する軽減電力ポイントが提供され、軽減電力ポイントのついた炭素排出権が電力提供事業者から提供され、一般家庭の需要クライアントに通知される。
【0048】
この場合、クリーン電力量に相当する炭素排出権の管理がなされる。
【0049】
図5は、電力供給業者1と需要クライアント2との間における情報の授受状態を示す図である。
図5で、電力供給事業者脱炭素管理システム2を持つ電力供給事業者1及び需要クライアント脱炭素管理システム12を持つ需要クライアント11が示される。
電力供給事業者1すなわち電力供給事業者脱炭素管理システム2は、
・火力発電電力とクリーン電力をデータ上、区分して供給可能
・区分けした電力をデータ上、火力発電電力量とクリーン電力量についてのそれぞれを単価に基づいて電気料金請求書の作成可能の機能を持つ。
【0050】
需要クライアント1は、炭素管理装置14を備え、炭素管理装置14は、
・脱出炭素指数の取得
・脱出炭素指数に基づいて火力発電電力とクリーン電力とに区分して、火力発電電力量とクリーン電力量(A)とを電力供給業者1への発注注文を行う。
この発注注文は通信手段を介して電力供給業者1に通知され、電力供給業者1は、
・クリーン電力量(A)を取得する。
電力供給事業者脱炭素管理システム8は、
・発注注文されたクリーン電力量(A)に基づいてクリーン電力量(A)の設定
・クリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量の取得
・区分けした火力発電電力量及びクリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量についての電気料金請求書の作成を行う。
この電気料金請求書は、需要クライアント11へ通知される。
需要クライアント脱炭素管理システム12は、
・この電気料金請求書の取得とクリーン電力量(A)に基づいて供給されたクリーン電力量の確定、すなわち取得する。
需要クライアント脱炭素管理システム12は、
・自己に発生した炭酸ガス排出権に基づく脱炭素指数の達成管理データの作成を行う。
需要クライアント脱炭素管理システム12は、電力供給事業者1からグリーン電力量(A)の供給情報及びグリーン電力ポイント付き排出権を取得することができる。
【0051】
グリーン電力ポイント付き排出権は、需要クライアントの一般家庭によって活用される。
需要クライアント11は、供給を受ける電力について、それを構成するクリーン電力の電力量を、電力供給事業者からの電気料金請求書に火力発電電力請求料とクリーン電力請求料に分けられた通知でもって、クリーン電力の消費状態及び需要クライアント脱炭素管理システム12から提供される脱炭素指数の達成データを視覚的に認識し確認することができる。
需要クライアント11は、区分された、火力発電電力供給量及び当該クリーン電力量(A)及び火力発電電力供給量及び当該クリーン電力量(A)に基づくクリーン電力供給量にそれぞれ対応する電気使用料金とそれらの合計金額になる電気使用料金請求書を受け、当該クリーン電力供給量の供給データに基づいて火力発電電力量軽減量データを取得し、前記脱炭素指数に対応した脱炭素達成データを作成する。
需要クライアント11が一般家庭の場合は、クリーン電力の供給による費用を負担すると、その負担に見合った排出権を電力供給業者1から取得することができる。排出権は、販売することができる。
この電力供給事業者脱炭素管理システム及び需要クライアント脱炭素管理システムを備えて成る脱炭素管理システムあるいは脱炭素対処方法によれば、
前記電力供給事業者脱炭素管理システムが電力供給事業者から需要クライアントに電力を供給したときに、当該電力をデータ上、火力発電電力とクリーン電力に区分した設定供給量としたこと及び区分設定供給量に対応した電気使用料金とそれらの合計金額になる電気使用料金請求書作成して通信手段を介して需要クライアント脱炭素管理システムに通知することを可能とし、
前記需要クライアント脱炭素管理システムが脱炭素管理装置を備え、
該脱炭素管理装置が、電力供給事業者から供給を受ける電力をデータ上、火力発電電力とクリーン電力とに区分して買電するクリーン電力量(A)のデータを取得し、脱炭素指数として設定された火力発電電力量軽減量データを取得し及び当該クリーン電力量(A)を含む電力の発注注文が、前記需要クライアント脱炭素管理システムから前記電力供給事業者脱炭素管理システムに通信手段を介して通知され、
電力供給事業者から需要クライアントに電力が供給されたときに、前記電力供給事業者脱炭素管理システムが、発注注文されたクリーン電力量(A)に基づいて当該クリーン電力量(A)を設定し、区分された火力発電電力供給量及び当該クリーン電力量(A)に基づくクリーン電力供給量に対応する電気使用料金とそれらの合計金額になる電気使用料金請求書作成し、通信手段を介して需要クライアント脱炭素管理システムに通知し、
需要クライアント脱炭素管理システムが、当該クリーン電力量(A)に基づくクリーン電力供給量の供給データを受納する
を特徴とする脱炭素管理システムあるいは脱炭素対処方法が構成される。
需要クライアント脱炭素管理システムは、当該クリーン電力量(A)に基づくクリーン電力供給量の供給データを受納することで、脱炭素対応の一環としての火力発電電力量軽減量に関する脱炭素指数の達成データを作成することを特徴とする脱炭素管理システムあるいは脱炭素対処方法を構成することができる。