特許第6945912号(P6945912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6945912
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】保育補助具
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   A47D13/02
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2021-525688(P2021-525688)
(86)(22)【出願日】2020年9月8日
(86)【国際出願番号】JP2020034000
【審査請求日】2021年5月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】黒巣 広子
(72)【発明者】
【氏名】清水 みどり
(72)【発明者】
【氏名】細谷 美穂
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−185426(JP,A)
【文献】 特開2005−111194(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3198213(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0089702(KR,A)
【文献】 特開2001−104115(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/142122(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者との間に乳幼児を収容する空間を形成するシート状の支持本体部と、
前記支持本体部に接続した取付ベルトと、
前記支持本体部の前記使用者の側を向く内面から突出した座部支持部と、
前記支持本体部の下端縁から延出する腹当て部材と、を備えた保育補助具。
【請求項2】
前記座部支持部は、前記保育補助具が前記使用者に装着された状態において前記支持本体部によって下方から支持される底面と、前記底面から立ち上がる側面であって、前記保育補助具が前記使用者に装着された状態において前記支持本体部によって前記使用者の側とは反対の側から支持される側面と、前記底面とは反対側の面をなし前記側面に接続する座面と、を含む、請求項1に記載の保育補助具。
【請求項3】
前記支持本体部に接続される取付具が前記座部支持部の前記側面及び/または前記座面に接続され、
前記取付具は、前記座部支持部から延出している、請求項2に記載の保育補助具。
【請求項4】
前記取付具は、前記保育補助具によって保持された前記乳幼児の背部に対面する背当て部をなす、請求項3に記載の保育補助具。
【請求項5】
前記取付具には、前記支持本体部の前記内面に固定された乳幼児保持ベルトを通す穴が設けられている、請求項3または4に記載の保育補助具。
【請求項6】
前記座部支持部は、前記支持本体部に固定又は着脱可能に固定されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項7】
前記腹当て部材が前記座部支持部に接続又は当接しており、
前記腹当て部材には、前記支持本体部の前記内面に固定された乳幼児保持ベルトを通す穴が設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項8】
前記座部支持部の幅は、前記支持本体部の幅よりも小さい、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項9】
前記座部支持部の奥行きは、前記座部支持部の高さよりも大きい、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項10】
前記座部支持部の幅は、前記座部支持部の奥行きよりも大きい、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項11】
前記取付ベルトは、前記支持本体部の下縁に接続する腰ベルトを含み、
前記座部支持部は、前記腰ベルトに隣接して取り付けられている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項12】
ポケットが前記支持本体部に隣接して設けられ、
前記ポケットは前記腹当て部材を収納することができる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の保育補助具。
【請求項13】
前記座部支持部は、芯材と前記芯材を覆う被覆布材と前記被覆布材に固定された固定用布材と、を含み、
前記被覆布材と前記固定用布材との間に、前記腹当て部材を挿通可能なスリットが形成されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の保育補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児を抱っこ及び/またはおんぶすることを補助する保育補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばJP2007―215551Aに開示されているように、乳幼児を抱っこすることを補助する保育補助具が知られている。この保育補助具は、ベビーキャリアや子守帯とも呼ばれ、乳幼児を連れ出す際等に広く利用に供されてきた。保育補助具を利用することにより、使用者は、乳幼児を自らの手で支え続ける必要がなくなり、行動の自由度が大幅に広がり、また、楽な姿勢をとることも可能となる。
【0003】
JP2007―215551Aに開示されているように、通常、保育補助具はシート状の支持本体部を含む。支持本体部は、乳幼児の背部に対面する背当て部と、乳幼児の股部および臀部に対面する尻受け部とを含む。乳幼児が適切な体勢で支持されるよう、支持本体部、とりわけ尻受け部の寸法は、乳幼児の体格に応じて設定する必要がある。具体的には、体格の小さな新生児に用いられる保育補助具は、乳幼児の股関節の脱臼を防止するよう、尻受け部の幅を小さく設定する必要がある。あるいは、尻受け部の幅が乳幼児の体格に合うように支持本体部を変形させる必要がある。つまり、乳幼児の臀部の大きさに対して尻受け部の幅が大きすぎると、支持本体部によって乳幼児の脚が使用者の身体に押しつけられて乳幼児は脚を自由に曲げることが出来ない。このため、乳幼児の脚が支持本体部と使用者との間に挟まれないよう、尻受け部の幅を乳幼児の臀部の大きさに合わせて設定する、あるいは、支持本体部を変形する必要がある。その一方で、体格の大きな乳幼児に対しては、その臀部を包み込むことができるよう、尻受け部の幅を大きく設定する必要がある。さらに、乳幼児が適切な体勢で支持されるためには、保育補助具を装着する際、乳幼児を支持本体部上の適切な位置に配置する必要がある。
【0004】
しかしながら、尻受け部の幅を乳幼児の体格に合わせて設定する場合、支持本体部の設計の自由度が低下する。また、尻受け部の幅が乳幼児の体格に合うように支持本体部を変形させることは煩雑である。さらに、支持本体部が乳幼児の体格に合わせて設計あるいは変形されても、支持本体部上での乳幼児の適切な位置を把握することは困難である。
【発明の開示】
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、支持本体部の設計の自由度を高くすることができ、且つ、乳幼児が適切な体勢で支持されることを容易に実現可能な保育補助具を提供することを目的とする。
【0006】
本実施形態による保育補助具は、
使用者との間に乳幼児を収容する空間を形成するシート状の支持本体部と、
前記支持本体部に接続した取付ベルトと、
前記支持本体部の前記使用者の側を向く内面から突出した座部支持部と、を備えている。
【0007】
本発明によれば、支持本体部の設計の自由度を高くすることができ、乳幼児が適切な体勢で支持されることを容易に実現可能な保育補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本発明による一実施形態による保育補助具の使用形態を示す図であり、第1抱っこ形態を示す図である。
図1B図1Bは、同実施形態による保育補助具の他の使用形態を示す図であり、第2抱っこ形態を示す図である。
図1C図1Cは、同実施形態による保育補助具のさらに他の使用形態を示す図であり、おんぶ形態を示す図である。
図2図2は、図1A〜1Cに示す各使用形態に適した乳幼児の月齢および体重の一例を示す図である。
図3図3は、図1A〜1Cに示す保育補助具の支持本体部を広げた状態で、支持本体部の外面の側を示す図である。
図4図4は、図1Aに示す保育補助具の支持本体部を広げた状態で、支持本体部の内面の側を示す図である。
図5図5は、図1Aに示す保育補助具を、乳幼児が支持本体部に保持され、且つ、使用者に装着された状態と同様に変形させた状態で、支持本体部の内面の側から示す斜視図である。
図6図6は、座部支持部を取り外した状態で保育補助具を示す斜視図である。
図7図7は、座部支持部及び取付具を乳幼児に対面する側から見た斜視図である。
図8図8は、座部支持部及び取付具を、支持本体部に対面する側から見た斜視図である。
図9図9は、支持本体部と腰ベルトと支持本体部に取り付けられた座部支持部とを模式的に示す図である。
図10図10は、図9に対応する図であって、支持本体部上に乳幼児を配置した状態で支持本体部と腰ベルトと座部支持部と示す図である。
図11図11は、同実施形態の保育補助具を第1抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図である。
図12図12は、同実施形態の保育補助具を第1抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図である。
図13図13は、同実施形態の保育補助具を第1抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図である。
図14図14は、同実施形態の保育補助具を第1抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1A〜14は、本発明による保育補助具の一実施形態を説明するための図である。保育補助具10は、乳幼児iの保護者(以下において、「使用者」とも呼ぶ)cによって装着され、使用者cが乳幼児iを保持することを補助する装置である。図1A〜1Cは、保育補助具10が使用者cによって装着された状態を示している。
【0010】
図1A〜1Cに示すように本実施形態の保育補助具10は、第1抱っこ形態(図1A)、第2抱っこ形態(図1B)及びおんぶ形態(図1C)の三つの使用形態から、一つの形態を選択して使用することが可能である。第1抱っこ形態は、図1Aに示すように、後述する座部支持部70を用いて、使用者cが乳幼児iを対面状態で抱っこする形態である。第2抱っこ形態は、図1Bに示すように、座部支持部70を用いずに、使用者cが乳幼児iを対面状態で抱っこする形態である。また、おんぶ形態は、図1Cに示すように、使用者が乳幼児iをおんぶする形態である。
【0011】
図2に、保育補助具10の各使用形態に適した乳幼児の月齢および体重の一例を示す。ただし、図2の適応月齢および適応体重は参考のために示されたものであり、いずれの使用形態が乳幼児に適しているかは、当該乳幼児の発育状態や体格に応じて決定される。
【0012】
本実施形態の保育補助具10は、以下に説明するように、座部支持部70を設けることで、支持本体部20の設計の自由度を高くし、乳幼児iが適切な体勢で支持されることを容易にした。以下、図1A〜10を参照して、保育補助具10の構成について説明していく。
【0013】
図3〜4には、図1A〜1Cに示す保育補助具10が広げられた状態で示されている。図3は、保育補助具10の使用者cに対面する側を示しており、図4は、保育補助具の図3に示す側とは反対の側を示している。図5には、図1Aに示す保育補助具10が、使用者cに装着され乳幼児iを保持している状態と同様に変形された状態で示されている。図6には、図1Bに示す保育補助具10の使用者cに対面する側が、後述する腹当て部材60を露出させた状態で示されている。図示の単純化のため、図5〜6では後述するフード材90の図示を省略している。また、図5では、後述する肩ベルトの一方30Bが切り欠かれている。
【0014】
<全体構成>
図3〜6に示すように、保育補助具10は、布状材からなる支持本体部20と、支持本体部20に接続した取付ベルト30と、支持本体部20から突出した座部支持部70と、を有する。図1A〜1Cから理解されるように、取付ベルト30は、保育補助具10を使用者cに取り付けるために用いられる。支持本体部20は、保育補助具10が使用者cに装着された状態で、使用者cに対面する位置に配置され、使用者cとの間で乳幼児iを支持する。図5から理解されるように、座部支持部70は、支持本体部20と使用者cとの間に配置され、乳幼児iが着座する座面73を提供する。
【0015】
<支持本体部>
支持本体部20は、柔軟性を有するシート状の部材として形成されている。支持本体部20は、保育補助具10を使用者cに装着した際に、使用者cに対面する内面20a(図4〜6に示された面)と、内面20aと対向する外面20b(図3に示された面)と、を有している。図示された例では、支持本体部20は、主布材21と、主布材21の使用者cの側を向く面に縫着された一対の副布材22とを有する。主布材21は、内面20aの横方向tdにおける中央部分と外面20bとをなす。また、副布材22は、内面20aの横方向tdにおける両端部分をなす。支持本体部20は、さらに、主布材21と副布材22との間に配置されたクッション材(例えば綿)を含む。
【0016】
支持本体部20は、乳幼児iの背部を支持する背当て部23と、乳幼児iの股部及び臀部を支持する尻受け部24とを含む。図示された例では、支持本体部20の横方向tdの寸法、とりわけ尻受け部24の横方向tdの寸法は、生後4ヶ月〜36ヶ月で体重8kg〜15kgの乳幼児の臀部の大きさに基づいて、決定されている。図示された例では、尻受け部tdの寸法は、30cm〜40cmである。
【0017】
後述するように、支持本体部20の内面20aには、乳幼児保持ベルト50及び腹当て部材60が取り付けられている。また、支持本体部20の外面20bには、フード材90が取り付けられている。
【0018】
<取付ベルト>
次に、取付ベルト30について説明する。取付ベルト30は、支持本体部20の上縁から延び出した左右一対の肩ベルト30A,30Bと、支持本体部20の下縁に接続した腰ベルト40と、を有している。
【0019】
<肩ベルト>
図1A〜1Cに示すように、使用者cは、第1肩ベルト30Aと支持本体部20とで囲まれた空間に一方の腕を通し、第2肩ベルト30Bと支持本体部20とで囲まれた空間に他方の腕を通すことで、保育補助具10を体に保持する。図3〜4に示すように、肩ベルト30A,30Bは、それぞれ、肩ベルト本体31と、肩部調節ベルト33と、を有している。肩ベルト本体31は、クッション性を有した部材であり、支持本体部20と同様の材料を用いて作製され得る。肩部調節ベルト33は、柔軟性を有しつつも或る程度の強度を有したベルト材である。第1肩ベルト30Aの肩ベルト本体31は、その一端において、支持本体部20の上縁のうちの横方向tdにおける一方の側である第1の側の端部に接続している。また、第1肩ベルト30Aの肩部調節ベルト33は、その一端において、横方向tdにおける第1の側となる支持本体部20の側縁に接続している。第2肩ベルト30Bの肩ベルト本体31は、その一端において、支持本体部20の上縁のうちの横方向tdにおける他方の側である第2の側の端部に接続している。また、第2肩ベルト30Bの肩部調節ベルト33は、その一端において、横方向tdにおける第2の側となる支持本体部20の側縁に接続している。各肩ベルト本体31の他端近傍に、固定部材32が取り付けられている。固定部材32は、対応する肩部調節ベルト33を保持可能となっている。肩部調節ベルト33は、その任意の位置にて、固定部材32によって保持され得る。肩部調節ベルト33上における固定部材32の位置を変更することで、肩ベルト30A,30Bの全長を調整することができる。図示された例では、固定部材32は、いわゆるラダーであるが、これに限られない。固定部材32として、種々の部材や要素等を採用可能である。
【0020】
なお、図4に示すように、図示された保育補助具10には、一対の肩ベルト30A,30Bを連結する肩ベルト連結手段35が、設けられている。肩ベルト連結手段35は、一方の肩ベルトが他方の肩ベルトから離間することを防止することで、肩ベルト30A,30Bが使用者cの肩からずり落ちてしまうことを抑制する。肩ベルト連結手段35として、一対の肩ベルト30A,30Bを連結し得る種々の部材や要素等を用いることができる。
【0021】
図示された例において、肩ベルト連結手段35は、その一端において第1肩ベルト30Aに接続した第1肩ベルト連結ベルト36と、その一端において第2肩ベルト30Bに接続した第2肩ベルト連結ベルト37と、第1肩ベルト連結ベルト36と第2肩ベルト連結ベルト37とを連結する肩ベルト連結具38と、を有している。第1肩ベルト連結ベルト36及び第2肩ベルト連結ベルト37は、柔軟性を有しつつも或る程度の強度を有したベルト材である。肩ベルト連結具38は、第1肩ベルト連結ベルト36に保持された第1バックル38aと、第2肩ベルト連結ベルト37に保持された第2バックル38bと、を有している。第1バックル38a及び第2バックル38bは、一対でいわゆるバックルを構成し、接続状態または非接続状態に維持される。
【0022】
なお、第2肩ベルト連結ベルト37の第2バックル38bを保持する位置は、変更可能となっている。第2肩ベルト連結ベルト37上における第2バックル38bの位置を変更することで、肩ベルト連結手段35の全長を調整することができる。
【0023】
各肩ベルト連結ベルト36,37の他端は、次のようにして対応する肩ベルト30A、30Bに接続されている。すなわち、各肩ベルト連結ベルト36,37の他端には平坦な環状部が形成されている。そして、この環状部の内部に、対応する肩ベルト30A、30Bが挿通されている。連結ベルト36,37が肩ベルト30A,30Bにこのように接続されていることにより、肩ベルト30A,30Bに対する第1肩ベルト連結ベルト36および第2肩ベルト連結ベルト37の上下方向の位置を調節することができるようになっている。図示された例では、環状部は、肩ベルト連結ベルト36,37の他端を折り返して、その一部を当該肩ベルト連結ベルト36,37自身に縫着することにより形成されている。なお、肩ベルト30A,30Bと肩ベルト連結ベルト36,37との間には摩擦力が働く。この摩擦力によって、保育補助具10の使用中に肩ベルト連結ベルト36,37が肩ベルト30A,30Bに対して意図せずに上下に移動する、ということが抑制される。
【0024】
<腰ベルト>
次に、腰ベルト40について説明する。図3〜6に示すように、腰ベルト40は、支持本体部20の下縁に接続している。図5に示すように、腰ベルト40は環状に維持され得る。図1A〜1Cに示すように、使用者cは、自分の腰に腰ベルト40を巻き付けることで、保育補助具10を体に保持する。
【0025】
図示された例では、図3〜4に示すように、腰ベルト40は、腰ベルト本体41と、腰部調節ベルト42と、を有している。腰ベルト本体41は、支持本体部20の下縁に、当該下縁の全長に亘って、接続している。また、腰ベルト本体41は、支持本体部20の下方となる領域から、横方向tdにおける両側に延び出している。腰ベルト本体41は、クッション性を有する部材であり、支持本体部20や肩ベルト本体31と同様の材料を用いて作製され得る。
【0026】
腰部調節ベルト42は、その一端において、腰ベルト本体41に接続し、腰ベルト本体41から横方向tdに延び出している。図示された例において、腰部調節ベルト42は、その一端において腰ベルト本体41の横方向tdにおける第2の側の端部に縫着され、当該第2の側に延び出している。腰部調節ベルト42は、柔軟性を有しつつも或る程度の強度を有したベルト材である。
【0027】
また、図示された腰ベルト40は、その外形状を環状に保つため、腰部連結具43をさらに有している。図5に示すように、腰部連結具43は、腰ベルト本体41の横方向tdにおける第1の側に位置する部分と、腰部調節ベルト42と、を接続する。腰部連結具43によって、腰ベルト本体41と腰部調節ベルト42とを連結することにより、腰ベルト40を使用者cの腰を周回するように環状にすることができる。腰部連結具43として、腰ベルト本体41及び腰部調節ベルト42を取り外し可能に接続し得る種々の部材や要素等を用いることができる。図示された例において、腰部連結具43は、いわゆるバックルとして構成されている。この腰部連結具43は、図3に示すように、腰部調節ベルト42によって保持された第1バックル43aと、腰ベルト本体41の外面に固定された第2バックル43bとを有している。腰部調節ベルト42の第1バックル43aを保持する位置は変更可能となっている。腰部調節ベルト42上における第1バックル43aの位置を調節することで、腰ベルト40が環状に維持された際の腰ベルト40の周長を調節することができる。
【0028】
図5から理解されるように、腰ベルト本体41の使用者cに対面する側には、ポケット45が設けられている。ポケット45は、支持本体部20の横方向tdにおける中央領域の下縁に隣接して設けられており、支持本体部20の下縁に向けて開口している。ポケット45には、後述する腹当て部材60を収納することができる。なお、図1Bに示す第2抱っこ形態にて保育補助具10を使用する際には、腹当て部材60はポケット45の中に収納される。
【0029】
<乳幼児保持ベルト>
図4〜6に示すように、支持本体部20の内面20aには、乳幼児保持ベルト50が保持されている。乳幼児保持ベルト50は、支持本体部20の背当て部23に設けられている。
【0030】
乳幼児保持ベルト50は、細長状の部材であり、乳幼児iの胴体を周回することで、当該乳幼児iを支持本体部20に保持する。乳幼児保持ベルト50は、支持本体部20の横方向tdにおける中央に固定されている。乳幼児保持ベルト50は、支持本体部20から延び出す第1ベルト部51及び第2ベルト部52と、一対のベルト部51,52の少なくとも一方に設けられ一対のベルト部51,52を連結可能な連結具53と、を有している。連結具53によって、第1ベルト部51及び第2ベルト部52を連結することにより、乳幼児保持ベルト50を、乳幼児iの胴体を周回するように環状にすることができる(図5参照)。
【0031】
図示された例において、一対のベルト部51,52は、ベルト状布材56と、ベルト状布材56と重ねて配置されたベルト材57と、を用いて形成されている。ベルト状布材56は、クッション性を有した細長部材である。ベルト材57は、その一部をベルト状布材56の横方向tdにおける第1の側の端部の近傍に縫着されて、当該第1の側に延び出している。ベルト材57は、柔軟性を有しつつも、或る程度の強度を有している。ベルト状布材56は、乳幼児iに対面する側からベルト材57を少なくとも部分的に覆っている。図6に示すように、ベルト状布材56は、その両端部の間となる中間部において、支持本体部20の内面20aに縫着されている。そして、ベルト状布材56の支持本体部20に固定された部分よりも横方向tdにおける第1の側に位置する部分とベルト材57とによって、第1ベルト部51が形成されている。また、ベルト状布材56の支持本体部20に固定された部分よりも横方向tdにおける第2の側に位置する部分によって、第2ベルト部52が形成されている。
【0032】
また、連結具53は、第1ベルト部51及び第2ベルト部52を取り外し可能に接続し得る種々の部材や要素等から構成され得る。図示された例において、連結具53は、いわゆるバックルとして構成されている。この連結具53は、ベルト材57によって保持された第1バックル53aと、第2ベルト部52によって保持された第2バックル53bと、を有している。第1バックル53aと第2バックル53bは、一対でいわゆるバックルを構成し、接続状態または非接続状態に維持される。ベルト材57の第1バックル53aを保持する位置は変更可能となっている。ベルト材57上における第1バックル53aを保持する位置を調節することにより、乳幼児保持ベルト50が環状に維持された際の乳幼児保持ベルト50の周長を調節することができる。
【0033】
また、図4から理解され得るように、横方向tdにおける第2の側に位置する第2ベルト部52よりも、横方向tdにおける第1の側に位置する第1ベルト部51が、長くなっている。これにより、連結具53は、乳幼児iの胴体を周回して第1ベルト部51及び第2ベルト部52を連結した際に、乳幼児iに対して横方向tdにおける一側に位置しやすくなる(図5参照)。つまり、乳幼児iの胴体の側面で第1ベルト部51及び第2ベルト部52が連結可能となっている。
【0034】
なお、図示された例では、ベルト状布材56の支持本体部20に固定された部分よりも横方向tdにおける第2の側に位置する部分と比較して、ベルト状布材56の支持本体部20に固定された部分よりも横方向tdにおける第1の側に位置する部分が、長い。これにより、第2ベルト部52よりも第1ベルト部51が長くなっている。しかしながら、これに限られない。すなわち、ベルト状布材56の上記第1の側に位置する部分の長さとベルト状布材56の上記第2の側に位置する部分の長さとは、等しくてもよい。この場合、ベルト材57上における第1バックル53aの位置を調節することにより、第2ベルト部52よりも第1ベルト部51を長くすることができ、乳幼児iの胴体の側面で第1ベルト部51及び第2ベルト部52を連結させることができる。
【0035】
<腹当て部材>
図6に示すように、支持本体部20の内面20aには、さらに、腹当て部材60が保持されている。
【0036】
腹当て部材60は、乳幼児保持ベルト50と共に乳幼児iを支持本体部20に保持するためのものである。腹当て部材60は、支持本体部20の横方向tdにおける中央領域の下端縁から延び出している。腹当て部材60は、乳幼児iの股の間を通って当該乳幼児iの腹部を覆うように配置される(図13参照)。
【0037】
腹当て部材60は、柔軟な布部材によって構成されている。図示された例では、腹当て部材60の下端は、支持本体部20の下端縁と腰ベルト40の上端との間に縫着されている。腹当て部材60は、腰ベルト40のポケット45に隣接して固定されている。
【0038】
図5〜6によく示されているように、腹当て部材60には、乳幼児保持ベルト50を挿通するための穴が形成されている。図示された例では、この穴は、腹当て部材60の上縁に形成された筒状部61の穴である。筒状部61は、腹当て部材60を構成する布部材を折り返してその一部を当該布部材自身に縫着することにより形成されている。図5から理解されるように、筒状部61の横方向tdにおける両端は開放されており、筒状部61の内側に乳幼児保持ベルト50を挿通することができるようになっている。乳幼児保持ベルト50が筒状部61に挿通されて連結具53が接続状態とされることで、腹当て部材60は乳幼児iを前方から安定して支持することができる。
【0039】
図6に示すように、腹当て部材60の下端には、座部支持部70を固定するための固定具78の一部をなす面ファスナー78aが取り付けられている。
【0040】
<座部支持部>
座部支持部70は、保育補助具10に保持された乳幼児iの臀部を下方から支持するものである。また、座部支持部70は、上記乳幼児iの脚を適切な位置に誘導するためのものである。詳しくは、乳幼児iの両脚が無理なく折り曲げられてM字形状をなすように、乳幼児iの脚を誘導するためのものである。ここで、乳幼児iの両脚が支持本体部20によって使用者cに押しつけられると、乳幼児iは膝を自由に曲げることが出来ない。このようなことを防止するよう、座部支持部70は、支持本体部20と使用者cとの間に乳幼児iがその膝を曲げることのできる空間を形成する。図示された例では、座部支持部70は、乳幼児iが座部支持部70に着座した際に座部支持部70の形状が乳幼児iの臀部の形状に適合するよう、柔軟な材料で構成されている。これにより、乳幼児iの臀部を安定して支持することができる。また、乳幼児iに快適な座り心地を提供することができる。
【0041】
図5に示すように、座部支持部70は、全体として直方体形状をなしており、支持本体部20の内面20aから突出している。
【0042】
図5に示すように、座部支持部70は、底面71と、底面71から立ち上がる側面72と、底面71とは反対側の面をなす座面73と、を含む。図5から理解されるように、底面71は、保育補助具10が使用者cに装着された状態において、支持本体部20によって下方から支持される。また、側面72は、保育補助具10が使用者cに装着された状態において、支持本体部20によって使用者cの側とは反対の側から(乳幼児iの後方から)支持される。座面73は、側面72の上縁に接続している。このような座部支持部70は、支持本体部20と使用者cとの間に空間を形成し、乳幼児iの脚が支持本体部20によって使用者cに押しつけられることを防止することができる。このため、座部支持部70に着座した乳幼児iは、その両脚を無理なく折り曲げてM字形状にすることができる。さらに、座部支持部70に乳幼児iを着座させることにより、使用者cが保育補助具10を装着した状態における、使用者cに対する乳幼児iの位置を高くすることができる。これにより、使用者cは乳幼児iを楽に支持することができる。また、乳幼児iの体格が小さい場合、使用者cに対する乳幼児iの位置を高くすることで、使用者cは乳幼児iを観察しやすくなる。また、後述するように、乳幼児iを支持本体部20上に配置する際、使用者cは、座部支持部70を基準にして、支持本体部20上での乳幼児iの適切な位置を把握することができる。このことは、保育補助具10で乳幼児iを適切な体勢で支持することに寄与する。
【0043】
図7に示された例では、座部支持部70の幅(横方向tdにおける寸法)Wは、生後1ヶ月〜生後4ヶ月であって体重が8kg以下の乳幼児の臀部の大きさに合わせて設定されている。より具体的には、座部支持部70の座面73に着座した乳幼児iがその両脚をM字形状に曲げた際、乳幼児iの脚が座部支持部70の横方向tdにおける両側に沿うように、座部支持部70の幅Wが設定されている。
【0044】
なお、座部支持部70の幅Wが上述のように設定されているため、座部支持部70の幅Wは、支持本体部20の尻受け部24の幅(横方向tdにおける寸法)よりも小さい。支持本体部20の尻受け部24の幅が座部支持部70の幅Wよりも大きいことにより、支持本体部20で座部支持部70に着座した乳幼児iの脚を覆って保護することができる。また、図示された例では、座部支持部70は、支持本体部20に着脱可能に固定されている。このため、座部支持部70を支持本体部20から取り外せば、より幅の広い支持本体部20で月齢の高い(したがって、より体格の大きい)乳幼児の臀部を適切に支持することができる。
【0045】
図5並びに図7〜8を参照して、座部支持部70についてさらに詳細に説明する。図7は、座部支持部70を、支持本体部20から取り外した状態で座面73の側から見た斜視図である。また、図8は、図7に示す座部支持部70を、後述する蓋布部材75dを開放した状態で底面71の側から見た斜視図である。以下の説明では、座部支持部70及びその構成要素並びに後述する取付具80に対する「前」、「後」、「上」及び「下」の用語は、特に指示がない場合、それぞれ、支持本体部20に取り付けられた座部支持部70に着座した乳幼児を基準とする「前」、「後」、「上」及び「下」を意味するものとする。したがって、図5及び図7における紙面の右下側が前側となり、左上側が後側となる。また、図5及び図7における紙面の右上側が上側となり、左下側が下側となる
【0046】
上述したように、座部支持部70は、底面71と側面72と座面73とを有する。座部支持部70は、芯材74と芯材74を覆う被覆布材75とを有する。芯材74は、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)や電子線架橋ポリオレフィンフォーム等の柔軟な材料で作製されている。芯材74は、座部支持部70の底面71の側を向く第1面74aと、座部支持部70の側面72の側を向く第2面74bと、座部支持部70の座面73の側を向く第3面74cとを有する。図示された例では、第1面74a及び第3面74cの幅(芯材74の横方向tdにおける寸法)は13cm〜14cmであり、第1面74a及び第3面74cの奥行き(芯材74の前後方向における寸法)は7cm〜8cmであり、第1面74aを基準とした第2面74bの高さ(芯材74の上下方向における寸法)は4.5cm〜5.5cmである。
【0047】
被覆布材75は、柔軟性を有する複数の布部材75a,75b,75c,75dで構成されている。被覆布材75は、芯材74の第1面74aの全てを覆う第1布部材75aと、芯材74の第2面74bの一部を覆う第2布部材75bと、芯材74の第3面74cの全てを覆う第3布部材75cと、第1〜3布部材75a〜75cの縁部によって画成される開口76を覆う蓋布部材75dと、を含む。第1布部材75aの周縁は、第2布部材75bの下縁に縫着されている。第3布部材75cの周縁は、第2布部材75bの上縁に縫着されている。第2布部材75bは、芯材74の第2面74bのうち後方を向く面の少なくとも一部を覆っていない。したがって、開口76は、上記後方を向く面の少なくとも一部を露出させるように形成されている。蓋布部材75dの上縁は第3布部材75cの後縁に縫着されている。蓋布部材75dの下縁は、固定部材77によって第1布部材75aに着脱可能に接続されている。図示された例では、固定部材77は、一組の面ファスナー77a,77bで構成されている。
【0048】
被覆布材75を含む座部支持部70の幅W、奥行きD及び高さHは、それぞれ、15.5cm〜16.6cm、8cm〜9cm、6.5cm〜7.5cmである。座部支持部70の奥行きDが座部支持部70の高さHよりも大きいことにより、乳幼児iを座部支持部70に安定して座らせることができる。また、座部支持部70の幅Wが座部支持部70の奥行きDよりも大きいことにより、座部支持部70に着座した乳幼児iの臀部を、幅W方向に沿って広く支持することができる。したがって、このことによっても、乳幼児iを座部支持部70に安定して座らせることができる。
【0049】
なお、被覆布材75の第2布部材75bのうち芯材74の前方に配置された部分(使用者cに対面する部分)には、固定用布材75eが固定されている。固定用布材75eの横方向tdにおける両端部は、第2布部材75bに縫着されている。そして、固定用布材75eと第2布部材75bとの間に、腹当て部材60を挿通可能なスリットが形成されている(図5参照)。
【0050】
被覆布材75は、固定具78によって腹当て部材60に固定されている。固定具78は、一組の面ファスナー78a,78bを含む。一方の面ファスナー78aは、腹当て部材60の下端に固定されている(図6参照)。他方の面ファスナー78bは、固定用布材75eの第2布部材75bに対面する面に固定されている。一方の面ファスナー78aと他方の面ファスナー78bとを結合することにより、座部支持部70を腹当て部材60に対して(したがって、支持本体部20に対して)固定することができる。なお、面ファスナー78aは、腹当て部材60の下端に、腰ベルト40に隣接して取り付けられている。したがって、一方の面ファスナー78aと他方の面ファスナー78bとを結合することにより、座部支持部70は、腰ベルト40に隣接して固定される。
【0051】
座部支持部70が支持本体部20に対して固定されていることにより、座部支持部70の支持本体部20上における位置が適切な位置に維持される。これにより、乳幼児iを安定して保持することができる。また、乳幼児iを支持本体部20上に配置する際、基準となる座部支持部70が支持本体部20に固定されているので、乳幼児iを支持本体部20上における適切な位置に配置することができる。
【0052】
また、座部支持部70が使用者cの身体に固定される腰ベルト40に隣接して取り付けられていることにより、座部支持部70の使用者cに対する位置を安定させることができる。これにより、乳幼児iを安定して支持することができる。
【0053】
また、座部支持部70が支持本体部20に着脱可能に固定されていることにより、乳幼児iの発育及び体格に合わせて、保育補助具10を座部支持部70を取り付けた状態と取り外した状態の2つの状態で使用することができる。例えば、図2に示すように、月齢が低く体格が小さい乳幼児iに対しては、座部支持部70を取り付けた状態で保育補助具10を使用して、支持本体部20によって乳幼児iの脚が使用者cに押しつけられることを防止すると共に、使用者cに対する乳幼児iの位置を高くして乳幼児iを観察しやすくすることができる。一方、月齢が高く体格の大きい乳幼児iに対しては、座部支持部70を取り外した状態で保育補助具10を使用して使用者cに対する乳幼児iの位置を下げることにより、乳幼児iを観察しやすくすることができる。すなわち、保育補助具10を、乳幼児iの月齢の低いうちは座部支持部70を取り付けた状態で使用し、乳幼児iの月齢が高くなったら座部支持部70を取り外して使用することができる。言い換えると、ある乳幼児iに対して保育補助具10を長期間使用し続けることができる。あるいは、保育補助具10を、体格の異なる複数の乳幼児iに対して使用することができる。
【0054】
座部支持部70には、支持本体部20に接続される取付具80が接続されている。取付具80は、柔軟な布状材で作製されており、長方形の形状をしている。図示された例では、取付具80は、座部支持部70の側面72の後方を向く部分に接続されている。図7〜8から理解されるように、取付具80は、座部支持部70の被覆布材75の第2布部材75bの上縁と第3布部材75cの後縁との間に縫着されている。取付具80は、座部支持部70の幅Wと同程度の幅を有する。取付具80は、座部支持部70から延出しており、延出している部分に支持本体部20の内面20aに固定された乳幼児保持ベルト50を通す穴81,82が設けられている。一方の穴81に乳幼児保持ベルト50の第1ベルト部51を通し、他方の穴82に乳幼児保持ベルト50の第2ベルト部52を通すことにより、取付具80を(したがって、座部支持部70を)支持本体部20に取り付けることができる。取付具80は、クッション性を有し、保育補助具10によって保持された乳幼児iの背部に対面する背当て部をなす。
【0055】
上述したように、乳幼児保持ベルト50を穴81,82に通すだけで、取付具80を支持本体部20に取り付けることができる。したがって、取付具80を支持本体部20に取り付けるための追加の取付部材を必要とせず、保育補助具10の部品点数が増大することを抑制することができる。
【0056】
また、取付具80が乳幼児iの背部と対面する背当て部をなすことにより、後述するように、乳幼児iを支持本体部20上に配置する際、使用者cは、座部支持部70だけでなく取付具80も基準にして、支持本体部20上での乳幼児iの適切な位置を把握することができる。これにより、上記適切な位置を把握することがさらに容易になる。
【0057】
さらに、取付具80が座部支持部70に接続されていることにより、座部支持部70の向きを、乳幼児iを支持するのに適した向きにすることが容易である。この点について、図9〜10を参照して説明する。図9は、図4に示す保育補助具10の支持本体部20と、腰ベルト40と、支持本体部20に取り付けられた座部支持部70及び取付具80とを、模式的に示す図である。図9は、支持本体部20、腰ベルト40、座部支持部70及び取付具80を横方向tdに沿って見た図である。図10は、図9に対応する図である。図10は、支持本体部20上に乳幼児iが配置された状態で、支持本体部20、腰ベルト40、座部支持部70及び取付具80を示している。
【0058】
図9に示す支持本体部20の上に、乳幼児iの背部が取付具80に対面するように配置すると、図10に示すように、乳幼児iによって取付具80が支持本体部20に向けて押される。これに伴って、取付具80に接続された座部支持部70が回転し、座面73が支持本体部20の上縁の側を向く。すなわち、乳幼児iを取付具80の上に配置するだけで、自動的に、座部支持部70の向きが、乳幼児iを支持するのに適した向きになる。
【0059】
さらに、取付具80が座部支持部70に接続され、座部支持部70が支持本体部20に接続されていることにより、支持本体部20の形状を、乳幼児iを支持するのに適した形状に容易に変形させることができる。すなわち、図9〜10に示す座部支持部70の回転に伴って、支持本体部20の形状が自動的に変化する。具体的には、図10に示すように、支持本体部20の尻受け部24が、座部支持部70の側面72及び底面71に沿った形となる。これにより、保育補助具10が装着された際、座部支持部70を支持本体部20で安定して支持することができる。
【0060】
<フード材>
フード材90は、乳幼児iの後頭部から頭頂部を覆って、当該頭部をその後方から支持したり、日差しや風を遮るために使用される。フード材90は、乳幼児iの頭部を覆うフード本体91と、フード本体91から延び出す一対のフード延出部92A,92Bと、を含む。フード本体91は、フード材90が乳幼児iに装着された状態で乳幼児iの頭部を覆う。また、フード延出部92A,92Bは、肩ベルト30A,30Bに接続されて、フード本体91を支持する。図示された例では、フード材90は、フード保持部材96によって閉じた状態に保持され得る。これにより、フード材90は、乳幼児iの頭頂部を覆わずに乳幼児iに開放感を与えた状態で、乳幼児iの後頭部や背部をその後方から支持するヘッドレストとしても使用可能である。
【0061】
<使用方法>
次に、以上のような構成からなる保育補助具10を用いて乳幼児iを保持する際の使用方法について説明する。
【0062】
<第1抱っこ形態>
ここでは、本実施形態による保育補助具10を第1抱っこ形態(図1A)で使用する際の手順について、図1A図4図6図11〜14を参照して説明する。
【0063】
最初に、図6に示すように、乳幼児保持ベルト50を分離状態にする。また、腹当て部材60を腰ベルト40のポケット45から引き出す。また、フード保持部材96に保持されたフード材90のフード延出部92A,92Bが肩ベルト30A,30Bに連結されていることを確認する。
【0064】
次に、図4に示すように、座部支持部70を支持本体部20に接続する。具体的には、腹当て部材60を、座部支持部70の底面71の側から、座部支持部70の被覆布材75と固定用布材75eとの間に形成されたスリットに挿入し、座部支持部70の座面73の側から引き出す。そして、腹当て部材60の面ファスナー78aと固定用布材75eの面ファスナー78bとを接続する。
【0065】
また、取付具80を支持本体部20に接続する。具体的には、乳幼児保持ベルト50を、取付具80の後面の側から取付具80の穴81,82に挿通する。
【0066】
次に、図11に示すように、腰ベルト40を使用者cの腰に取り付ける。具体的には、腰ベルト40を使用者cの腰に巻き、腰ベルト40の第1バックル43aと第2バックル43bを連結する。そして、腰部調節ベルト42上での第1バックル43aの位置を調節し、腰ベルト40の周長を使用者cの体型に応じた長さに調節する。
【0067】
次に、図12に示すように、支持本体部20を、ソファーやベッドの上等の安定した場所に広げ、乳幼児iを支持本体部20の上に仰向けに載せる。このとき、乳幼児iの臀部が座部支持部70の座面73に対面し、乳幼児iの背部が取付具80に対面するように、乳幼児iを配置する。また、乳幼児iの頭部がフード保持部材96で保持されたフード材90の上に載るように、乳幼児iを配置する。これにより、図9〜10に示すように、取付具80が支持本体部20に向けて押され、座部支持部70が回転する。そして、座部支持部70の座面73が支持本体部20の上縁の側を向く。また、支持本体部20の尻受け部24の形状が座部支持部70の底面71及び側面72に沿った形状になる。その後、乳幼児iの足を座部支持部70の横方向tdにおける両側に配置して、乳幼児iの両脚を、図12に破線で示すようにM字形状にする。
【0068】
次に、図13に示すように、腹当て部材60を、乳幼児iの股の間から腹の上に配置する。そして、乳幼児保持ベルト50を乳幼児iの胴体に巻き付ける。具体的には、乳幼児保持ベルト50の第1ベルト部51を、横方向tdにおける第1の側から腹当て部材60の筒状部61の中に挿入し、第2の側から引き出す。そして、第1ベルト部51と第2ベルト部52とを連結具53を用いて接続し、乳幼児保持ベルト50を環状に維持する。さらに、連結具53の第1バックル53aのベルト材57上での位置を調節し、乳幼児保持ベルト50の周長を乳幼児iの体型に応じた長さに調節する。これにより、乳幼児iは支持本体部20に固定される。
【0069】
次に、図1A及び14に示すように、肩ベルト30A,30Bを使用者cの肩にかける。このとき、乳幼児iの脚が、各肩ベルト30A,30Bと腰ベルト40との間となる領域において、支持本体部20から横方向外側に延び出すようにする。次に、使用者cの首の後ろで肩ベルト連結具38を留める。次に、第2肩ベルト連結ベルト37上における第2バックル38bの位置を調節して、肩ベルト連結手段35の長さを調節する。また、肩ベルト30A,30Bに対する肩ベルト連結ベルト36,37の上下方向の位置を調節する。最後に、肩ベルト30A,30Bの長さを調節して、乳幼児iの身体を使用者の身体に密着させる。
【0070】
なお、以上に説明した実施形態では、取付具80は座部支持部70の側面72に接続されているが、これに限られない。取付具80は、座部支持部70の座面73に接続されてもよい。あるいは、取付具80は、座部支持部70の側面72及び座面73に接続されてもよい。これらの場合も、図9〜10に示すように、支持本体部20に取り付けられた座部支持部70及び取付具80の上に乳幼児iを配置するだけで、自動的に、座部支持部70を回転させることができ、支持本体部20の座面73の向きを乳幼児iを支持するのに適した向きにすることができる。
【0071】
また、以上に説明した実施形態では、座部支持部70の側面72が支持本体部20に接続されているが、これに限られない。座部支持部70の底面71あるいは座面73が支持本体部20に接続されてもよい。この場合も、図9〜10に示す座部支持部70の回転に伴って、支持本体部20の形状を、自動的に、保育補助具10が使用者cに装着された状態で座部支持部70を支持するのに適した形状にすることができる。
【0072】
また、以上に説明した実施形態では、座部支持部70は固定具78によって腹当て部材60に接続されて支持本体部20に固定されるが、これに限られない。腹当て部材60は、座部支持部70(より具体的には、被覆布材75や固定用布材75e)に当接するだけであってもよい。すなわち、保育補助具10は固定具78を有しておらず、腹当て部材60は、座部支持部70の被覆布材75と固定用布材75eとの間に形成されたスリットに挿入されるだけであってもよい。この場合であっても、腹当て部材60の穴に乳幼児保持ベルト50を通すことにより、腹当て部材60で乳幼児iを前方から安定して支持することができる。
【0073】
また、以上に説明した実施形態では、座部支持部70の幅Wは、座部支持部70に着座する乳幼児(図示された例では、生後1ヶ月〜生後4ヶ月であって体重が8kg以下の乳幼児)の臀部の大きさに合わせて設定されているが、これに限られない。座部支持部70の幅Wは、座部支持部70に着座する乳幼児の臀部だけでなく、太ももも支持可能な寸法に設定されてもよい。これにより、座部支持部70に着座した乳幼児iの臀部だけでなく太ももも支持することができるため、当該乳幼児iをさらに安定して支持することができる。
【0074】
また、以上に説明した実施形態では、座部支持部70の形状は全体として直方体形状であるが、これに限られない。座部支持部70の形状としては、四角形以外の多角形を底面とする角柱形状、円柱形状や楕円柱形状等、種々の形状を採用可能である。また、座部支持部70の座面73には(したがって、芯材74の第3面74cには)、座部支持部70に着座する乳幼児の臀部及び/または太ももの形状に適合した凹凸が形成されていてもよい。これにより、座部支持部70に着座した乳幼児iをさらに安定して支持することができる。
【0075】
また、以上に説明した実施形態では、座部支持部70は支持本体部20に着脱可能に接続されているが、これに限られない。座部支持部70は支持本体部20に着脱不能に接続されていてもよい。この場合、支持本体部20の尻受け部24の幅が支持本体部20の幅Wよりも大きければ、支持本体部20で乳幼児iの脚を広く覆って保護することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態の保育補助具10は、使用者cとの間に乳幼児iを収容する空間を形成するシート状の支持本体部20と、支持本体部20に接続した取付ベルト30と、支持本体部20の使用者iの側を向く内面20aから突出した座部支持部70と、を備える。
【0077】
このような保育補助具10によれば、支持本体部20の設計の自由度を高くすることができ、且つ、乳幼児iが適切な体勢で支持されることを容易に実現可能である。具体的には、座部支持部70の幅Wを乳幼児iの臀部の寸法に応じて決定すれば、支持本体部20の幅を乳幼児iの臀部の寸法に応じて決定する必要がなく、また、支持本体部20を乳幼児iの臀部の寸法に応じて変形させる必要もない。また、座部支持部70によって、支持本体部20と使用者cとの間に空間が形成されるため、乳幼児iの両脚が支持本体部20によって使用者cに押しつけられる虞が効果的に低減される。これにより、乳幼児iは、両脚をM字形状をなすように無理なく曲げることが出来る。また、使用者cは、乳幼児iを支持本体部20上に配置する際、支持本体部20上の座部支持部70を基準にして、支持本体部20に対する乳幼児iの適切な位置を把握することができる。さらに、座部支持部70の上に乳幼児iを着座させることにより、保育補助具10を装着した使用者cに対する乳幼児iの位置を高くすることができ、使用者cは乳幼児iを楽に保持することができる。また、乳幼児iの体格が小さい場合、乳幼児iを観察しやすくなる。
【0078】
また、本実施形態において、座部支持部70は、保育補助具10が使用者cに装着された状態において支持本体部20によって下方から支持される底面71と、底面71から立ち上がる側面72であって、保育補助具10が使用者cに装着された状態において支持本体部20によって使用者cの側とは反対の側から支持される側面72と、底面71とは反対側の面をなし側面72に接続する座面73と、を含む。このような座部支持部70によれば、支持本体部20と使用者cとの間に乳幼児iの脚をM字形状に曲げるための適切な空間を形成することができる。
【0079】
また、本実施形態において、支持本体部20に接続される取付具80が座部支持部70の側面72及び/または座面73に接続されている。この場合、図9〜10に示すように、支持本体部20に接続された取付具80の上に乳幼児iを配置するだけで、座部支持部70の座面73の向きを、自動的に、乳幼児iを支持するのに適した向きにすることができる。これにより、乳幼児iを座部支持部70で安定して支持することができる。
【0080】
また、本実施形態において、取付具80は、保育補助具10によって保持された乳幼児iの背部に対面する背当て部をなす。これにより、使用者cは、乳幼児iを支持本体部20上に配置する際、支持本体部20上における乳幼児iの適切な位置を、座部支持部70だけでなく取付具80も基準にして把握することができる。
【0081】
また、本実施形態において、取付具80には、支持本体部20の内面20aに固定された乳幼児保持ベルト50を通す穴81,82が設けられている。したがって、乳幼児保持ベルト50を穴81,82に通すだけで、取付具80を支持本体部20に取り付けることができる。すなわち、取付具80を支持本体部20に取り付けるための追加の取付部材を必要とせず、保育補助具10の部品点数が増大することを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態において、座部支持部70は支持本体部20に固定されている。この場合、図9〜10に示す座部支持部70の回転に伴って、支持本体部20の形状を、自動的に、保育補助具10が使用者cに装着された状態で座部支持部70を支持するのに適した形状にすることができる。
【0083】
また、本実施形態において、座部支持部70は、支持本体部20に着脱可能に固定されている。これにより、乳幼児iの発育及び体格に合わせて、保育補助具10を座部支持部70を取り付けた状態と取り外した状態の2つの状態で使用することができる。例えば、乳幼児iの月齢が低く体格が小さいうちは、座部支持部70を取り付けた状態で保育補助具10を使用して、乳幼児iの脚が支持本体部20によって使用者cに押しつけられることを防止すると共に、使用者cに対する乳幼児iの位置を高くして乳幼児iを観察しやすくすることができる。一方、乳幼児iの月齢が高くなり体格が大きくなってきたら、座部支持部70を取り外した状態で保育補助具10を使用して、使用者cに対する乳幼児iの位置を下げ、乳幼児iを観察しやすくすることができる。
【0084】
また、本実施形態において、腹当て部材60が座部支持部70に接続又は当接している。また、腹当て部材60には、乳幼児保持ベルト50を通す穴(図示された例では、筒状部61の穴)が設けられている。腹当て部材60の穴に乳幼児保持ベルト50を通すことにより、腹当て部材60で乳幼児iを前方から安定して支持することができる。
【0085】
また、本実施形態において、座部支持部70の幅Wは、支持本体部20の幅よりも小さい。これにより、座部支持部70に着座した乳幼児iの脚を支持本体部20で覆って保護することができる。また、座部支持部70が着脱可能に支持本体部20に取り付けられている場合は、座部支持部70を支持本体部20から取り外すことで、より月齢の高い(したがって、体格の大きい)乳幼児に対して保育補助具10を使用することができる。
【0086】
また、本実施形態において、座部支持部70の奥行きDは、座部支持部70の高さHよりも大きい。これにより、乳幼児iを座部支持部70に安定して座らせることができる。
【0087】
また、本実施形態において、座部支持部70の幅Wは、座部支持部70の奥行きDよりも大きい。このことによっても、乳幼児iを座部支持部70に安定して座らせることができる。
【0088】
また、本実施形態において、取付ベルト30は、支持本体部20の下縁に接続する腰ベルト40を含んでいる。そして、座部支持部70は、腰ベルト40に隣接して取り付けられている。使用者cの身体に固定される腰ベルト40に隣接して座部支持部70が取り付けられていることにより、座部支持部70の使用者cに対する位置を安定させることができる。これにより、乳幼児iを安定して支持することができる。
【0089】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【要約】
保育補助具(10)は、使用者(c)との間に乳幼児(i)を収容する空間を形成するシート状の支持本体部(20)と、支持本体部(20)に接続した取付ベルト(30)と、支持本体部(20)の使用者(i)の側を向く内面(20a)から突出した座部支持部(70)と、を備える。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14