特許第6945951号(P6945951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6945951特定のSTBCプリコーディングのための送信機および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945951
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】特定のSTBCプリコーディングのための送信機および方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/06 20060101AFI20210927BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   H04L1/06 180
   H04L27/26 313
【請求項の数】15
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-531675(P2020-531675)
(86)(22)【出願日】2019年2月18日
(65)【公表番号】特表2021-506184(P2021-506184A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】JP2019006930
(87)【国際公開番号】WO2019181371
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年6月9日
(31)【優先権主張番号】18305323.0
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
【審査官】 齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−199589(JP,A)
【文献】 特開2017−92555(JP,A)
【文献】 Qualcomm Incorporated,On UL diversity transmission scheme[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting NR#3 R1-1716730,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1709/Docs/R1-1716730.zip>,2017年09月18日
【文献】 Qualcomm Incorporated,UL transmit diversity for PUCCH[online],3GPP TSG RAN WG1 RANI AdHoc R1-1700825,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1701/Docs/R1-1700825.zip>,2017年01月16日
【文献】 Mitsubishi Electric,Transmit diversity schemes for PUCCH Format 3[online],3GPP TSG RAN WG1 #66 meeting R1-114333,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-114333.zip>,2011年11月14日
【文献】 Xiliang Luo(他4名),Transmit Diversity Scheme over Single SC-FDM Symbol for LTE-Advanced,GLOBECOM 2009 - 2009 IEEE Global TelecommunicationsConference,2009年11月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/06
H04L 27/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて無線信号を通じてシンボルを送信する方法であって、前記無線信号は、少なくとも2つの送信アンテナを備える送信機によって送信され、各アンテナは、1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成され、前記方法は、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM−1)であって、
【数1】
であり、P及びPは、P+PがM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、XはXの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
前記M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、前記M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
前記M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、前記M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、前記所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
前記所与の持続時間の時間間隔の間に、前記第1のSC−FDMAシンボル及び前記第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ前記第1の送信アンテナ上及び前記第2の送信アンテナ上で前記無線信号にして同時に送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
mod(p,Q)≠1であり,Q=M/2−(P+P)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【数2】
であり,Q=M/2−(P+P)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
mod(p,Q)は、
【数3】
及び/又は
【数4】
に等しい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
mod(p,Q)=Kであり、ここで、Kは、前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第Pのシンボル
【数5】
から、前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第(P+K)のシンボル
【数6】
までのシンボルを含むシンボルグループ内のシンボル数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シンボルグループの前記シンボルは、参照信号シンボル及び/又は制御シンボルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
mod(p,Q)=0であり,Q=M/2−(P+P)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記M個のシンボルからなる第1のブロックのそれぞれK個のシンボルからなるL個の第1グループGが定義され、
【数7】
はQに等しく、
各iについて、
前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数8】
のシンボル
【数9】
から、第
【数10】
のシンボル
【数11】
までのシンボルである、第iの第1グループGの前記K個のシンボルは、前記M個のシンボルからなる第1のブロックのK個のシンボルからなる第2のグループG’のK個のシンボルと同じ第iのタイプを有し、前記第2のグループG’の前記K個のシンボルは、前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数12】
のシンボル
【数13】
から、第
【数14】
のシンボル
【数15】
までのシンボルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各iについて、前記第iのシンボルタイプは、データシンボル、参照信号シンボル又は制御シンボルの中の1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各iについて、前記第iのグループGの前記シンボルは、第(i+1)のグループGi+1の前記シンボルと異なるタイプのシンボルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記pは、
セル固有のpの情報と、
一組の所定の値と、
動的制御表示と、
参照信号(RS)の構成と、
変調符号化方式(MCS)と、
ユーザ固有のパラメータと、
前記送信機に割り当てられたリソース割り当てのサイズと、
送信機固有のpの情報と、
別の送信機のp’であって、前記別の送信機がM’個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM’−1)にプリコーダを適用して、M’個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM’−1)であって、
【数16】
であり、P’及びP’は、P’+P’がM’/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、εは1又は−1である、第2のブロックを取得するようなp’と、
の中の少なくとも1つに基づいている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記pは、一組の所定の値の中からランダムに決定される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第nのシンボルXの値は、
【数17】
である場合には、前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第(n+Q)のシンボルXn+Qの値に等しく、
【数18】
である場合には、前記M個のシンボルからなる第1のブロックの第(n−Q)のシンボルXn−Qの値に等しい、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくともプロセッサによって実行されると請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法を実行するコード命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
無線通信システムにおいて無線信号を通じてシンボルを送信する送信機であって、前記送信機は、
各アンテナが1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成された、少なくとも2つの送信アンテナと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM−1)であって、
【数19】
であり、P及びPは、P+PがM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、XはXの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
前記M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、前記M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
前記M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、前記M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、前記所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
前記所与の持続時間の時間間隔の間に、前記第1のSC−FDMAシンボル及び前記第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ前記第1の送信アンテナ上及び前記第2の送信アンテナ上で前記無線信号にして同時に送信することと、
を行うように前記送信機を構成する、送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、電気通信システムの分野に関し、より具体的には、OFDM型伝送方式と組み合わせて特に使用される、MIMO(多入力多出力)又はMISO(多入力単出力)通信の状況における無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特定の単一シンボルSTBCプリコーダを用いるMIMO電気通信システム又はMISO電気通信システムにおいて適用される。SS−STBCは、1シンボルSTBC、分割シンボルSTBC又は仮想分割STBCとも呼ばれる。
【0003】
従来のSS−STBC方式は、MISO送信又はMIMO送信に関して低いPAPR(ピーク対平均電力比:peak-to-average power ratio)、フルダイバーシティを提供するとともに、OFDM型方式の単一キャリア特性を維持するように開発されてきた。
【0004】
従来のSS−STBCは、SS−STBCプリコーダをシンボルブロックX=(X,...XM−1)に適用して、シンボルブロックY=(Y,...YM−1)を取得することにその本質がある。その後、MサイズDFT(離散フーリエ変換:discrete Fourier transform)が、各シンボルブロックX及びYに適用される。各シンボルブロックについて、M個の複素シンボルが周波数領域において取得される。これらの複素シンボルは、それぞれ
【数1】
及び
【数2】
である。これらの複素シンボルは、周波数領域においてNサイズIDFT(逆離散フーリエ変換:inverse discrete Fourier transform)のN個の入力の中からのM個にマッピングされ、したがって、IDFTの出力において、信号
【数3】
及び信号
【数4】
が取得される。各信号は、単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA:single-carrier frequency division multiple access)のシンボルに対応する時間間隔の間、N個の存在するサブキャリアの中からのM個の割り当てられたサブキャリアを占有する。信号
【数5】
及び
【数6】
は、所与の時間間隔の間の周波数領域表現がそれぞれ、k=0〜M−1である第kの占有サブキャリアごとの複素シンボルSTx1及びSTx2である時間領域信号である。同様に、所与の時間間隔の間の時間領域信号
【数7】
及び
【数8】
はそれぞれ、k=0〜M−1である第kの周波数ごとの周波数領域複素シンボルSTx1及びSTx2を表す。これらの時間領域信号
【数9】
及び
【数10】
はそれぞれ、SC−FDMAシンボルに対応する。したがって、信号
【数11】
又は信号
【数12】
におけるサンプルはそれぞれ、第1の送信アンテナに対応するSC−FDMAシンボルにおけるサンプルと、第2の送信アンテナに対応するSC−FDMAシンボルにおけるサンプルとを指す。IDFTの後、任意選択でサイクリックプレフィックス(CP:cyclic prefix)を付加することができる。
【0005】
シンボルブロックX=(X,...XM−1)(第1のシンボルブロックとも呼ばれる)に適用されたプリコーダは、シンボルブロックY=(Y,...YM−1)(第2のシンボルブロックとも呼ばれる)を出力する。第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)は、図3に示すように、M/2個のシンボルからなる2つの部分に分割される。第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、Q個の連続した変調シンボル
【数13】
及びQ個の連続した変調シンボル
【数14】
を含む。これらの第1の部分及び第2の部分のQ個の連続した変調シンボルは、データ及び/又は参照信号(reference signals:基準信号)を含む。
【0006】
ブロックシンボルのこれらの2つの部分の間の干渉を制限するために、第1の部分は、Q個の連続した変調シンボル
【数15】
の前及び後にそれぞれ位置決めされたP個の連続したシンボルからなる任意選択のサイクリックプレフィックス、及び/又は、P個の連続したシンボルからなる任意選択のサイクリックポストフィックスを含むことができる。第2の部分も、Q個の連続した変調シンボル
【数16】
の前及び後にそれぞれ位置決めされたP個の連続したシンボルからなる任意選択のサイクリックプレフィックス及びP個の連続したシンボルからなる任意選択のサイクリックポストフィックスを含むことができる。第1の部分は、サイクリックプレフィックス内のP個のシンボルと、サイクリックポストフィックス内のP個のシンボルと、Q個のデータ/RSシンボルとを含む。したがって、P+P+Q=M/2である。ここで、P及び/又はPは、0に等しくすることができる。Mは偶数と考えられる。
【0007】
したがって、第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)は、第1の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数17】
によって定義することができ、第1の部分のデータ/RSシンボルについては、
【数18】
によって定義することができ、第1の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数19】
によって定義することができ、第2の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数20】
によって定義することができ、第2の部分のデータ/RSシンボルについては、
【数21】
によって定義することができ、第2の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数22】
によって定義することができる。
【0008】
SS−STBCプリコーダを第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)に適用すると、第2のシンボルブロックY=(Y,...YM−1)が取得される。この第2のシンボルブロックは、事前に定義された第1のシンボルブロックに対して相対的に定義することができ、第1の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数23】
によって定義することができ、第1の部分のデータ/RSシンボルについては、
【数24】
によって定義することができ、第1の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数25】
によって定義することができ、第2の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数26】
によって定義することができ、第2の部分のデータ/RSシンボルについては、
【数27】
によって定義することができ、第2の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数28】
によって定義することができる。
【0009】
ただし、
【数29】
であり、
【数30】
であり、XはXの複素共役である。
【0010】
以下では、シンボルXに対応する高エネルギーサンプルのみの信号
【数31】
又は
【数32】
(言い換えると、第1の送信アンテナ及び第2の送信アンテナにそれぞれ対応するSC−FDMAシンボル)におけるシンボルXに対応するサンプルに言及する。すなわち、値
【数33】
又は値
【数34】
が、非零値がXに割り当てられたシンボルブロックX(n)=(0,...,0,X,0,...,0)が、上述したSS−STBC方式の入力、又は、その出力が信号
【数35】
及び信号
【数36】
である後述する特定の方式の入力に与えられるときに適切に選ばれる所与の閾値よりも大きいサンプル
【数37】
又は
【数38】
に言及する。
【0011】
しかしながら、上述したSS−STBCプリコーダを用いるそのような方式は、ほとんどの参照信号挿入パターンに適していない可能性がある。加えて、SS−STBCプリコーダを実施したものは、複雑度が高い。
【0012】
その上、そのようなSS−STBCプリコーダは、特に、現在標準化段階にあるnew radio規格又は5Gに該当するミリ波システムにおいて、高速のチャネル変動に対するSS−STBC方式の感度を高める。高いキャリア周波数レベルにおいて実行される動作は、位相雑音、キャリア周波数オフセット、ドップラー効果等の種々の原因による強い/高速の位相変動を受ける。この高い感度によって、干渉及び性能損失がもたらされるおそれがある。
【0013】
加えて、SS−STBC方式は、同じセル内の幾つかの端末がこの同じ方式を用いて基地局と通信するとき、容易に干渉を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記状況を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明は、無線通信システムにおいて無線信号を通じてシンボルを送信する方法であって、上記無線信号は、少なくとも2つの送信アンテナを備える送信機によって送信され、各アンテナは、1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成され、上記方法は、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM−1)であって、
【数39】
であり、P及びPは、P+PがM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、XはXの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
所与の持続時間の時間間隔の間に、第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ第1の送信アンテナ及び第2の送信アンテナ上で無線信号にして同時に送信することと、
を含む、方法に関する。
【0016】
これによって、
【数40】
である場合のシンボルペア
【数41】
における第2のシンボルの、M個のデータシンボルからなる第1のブロック内の位置を選ぶこと又は適合させることが可能になる。以下では、これらのペアはアラモウチペアとも呼ばれる。確かに、M個のデータシンボルからなる第2のブロック内において、アラモウチペア
【数42】
がプリコーディングされたもの、すなわち、
【数43】
に由来するシンボルは、同じ位置(k,M/2+P+mod(−k+P+p−1,Q))に検出される。abs(k−(M/2+P+mod(−k+P+p−1,Q)))は、プリコーディング距離としても表記される。このプリコーディング距離は、M個のシンボルからなる第1のブロック内の同じアラモウチペアの2つのシンボルの間の距離である。
【0017】
プリコーダに用いられるpの値を適合させることによって、本方法は、通信の他の設定及び環境に従って特定のSS−STBC型プリコーディングを最適化することが可能になる。例えば、プリコーディングのpの値を単に変えるだけで、例えば、チャネルの干渉又は高速の変動及び/又は変化に対する復号化誤りを削減することができる。別の例では、p値は、特定のSS−STBC型プリコーディングに特定の参照信号挿入パターンに適合させるように選ぶこともできる。
【0018】
p値は、第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロック内のシンボルの特定のペアリングを表す。このペアリングは事前に定められる。すなわち、p値は、通信の設定及び/又は環境(例えば、通信方式及び/又は通信干渉及び/又はチャネルの特性等)を考慮するために事前に求められ、したがって、プリコーダは、この通信設定及び/又は環境に適合するようになっている。
【0019】
時間間隔は、n=0〜M−1である全てのシンボルXに対応するサンプルが送信される持続時間であり、SC−FDMAシンボルの持続時間に等しい持続時間であることを意味する。
【0020】
X=(X,...XM−1)のシンボルXは、例えば、QPSKデジタル変調方式、又は、QAMのような他の任意のデジタル変調方式によって得ることができる。Mは、割り当てられたサブキャリアの数である。そのようなSS−STBC方式では、Mは偶数である。Xのうちの幾つかについて、例えば、参照信号として設定されたXについて、特定の変調方式又は他の系列も用いることができる。
【0021】
送信アンテナはM個の周波数上で送信するように構成され、すなわち、そのような送信アンテナによって送信される信号は、M個の割り当てられたサブキャリアのサブキャリアごとに1つずつの、M個の複素シンボルにNサイズIDFTを適用することによって与えられる。IDFTに先行して、M個のサブキャリアは、サブキャリアマッピングモジュールによって、より多くの数のN個のサブキャリア上にマッピングすることができる。これらのサブキャリアのうちのN−M個は、0に設定されるので割り当てられないサブキャリアであり、M個の他のサブキャリアは、M個の複素シンボルがマッピングされるM個の割り当てられたサブキャリアである。この場合、IDFTモジュールはサイズNからなる。
【0022】
無線信号は全ての送信アンテナによって合わせて与えられる信号と理解されたい。
【0023】
εの値は、既定値1又は−1である。別段の指定がない限り、以下では、ε=1とみなす。実際に、第2のアンテナに関係した信号の正負符号(+/−)の変化は、本方法を変えることはない。
【0024】
mod(A,B)は、BによるAのユークリッド除法の剰余であるAモジュロBであることを意味する。形式的に、mod(A,B)は、A−E[A/B]*Bと記述することができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)≠1であり,Q=M/2−(P+P)である。
【0026】
これによって、3GPP NRにおけるPUSCHについて定義された幾つかの参照信号挿入パターンとの不整合を回避することが可能になる。加えて、1に設定されたp値を有するSS−STBC型プリコーダを用いるとき、M個のデータシンボルからなる第1のブロックにおける2つのアラモウチペアの間の最大距離はM−(P+P)−2であり、これは、シンボルXに対応する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信と、シンボルXからプリコーダによって送出されたシンボルに対応する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信との間の重要な持続時間を与える。これらのシンボルは、
−nがP以上であって、M/2−P以下であるときは、
【数44】
であり、
−nがM/2+P以上であって、M−P以下であるときは、
【数45】
である。
【0027】
本発明の一態様によれば、
【数46】
であり,Q=M/2−(P+P)である。有利には、mod(p,Q)は、
【数47】
及び/又は
【数48】
に等しい。
【0028】
これによって、M個のデータシンボルからなる第1のブロックにおける、アラモウチペアの2つのシンボルの間の最大距離、すなわち、最大プリコーディング距離を削減することが可能になる。したがって、シンボルXに対応する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信と、シンボルXからプリコーダによって送出されたシンボルに対応する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信との間の最大持続時間が削減される。
【0029】
このように、持続時間を最小にすることによって、シンボルXに対応する第1のSC−FDMAシンボル内のサンプルの送信と、シンボルXに対応する第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルの送信との間のチャネル変化を最小にすることが可能になる。これは、特に送信機又は受信機が移動しているときに、干渉及び性能損失をもたらす同じアラモウチペアのシンボル間の直交性損失を削減する。
【0030】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)=Kであり、ここで、Kは、M個のシンボルからなる第1のブロックの第Pのシンボル
【数49】
から、M個のシンボルからなる第1のブロックの第(P+K)のシンボル
【数50】
までのシンボルを含むシンボルグループ内のシンボル数である。
【0031】
これによって、シンボルグループのK個のシンボルを、M個のシンボルからなる第1のブロックのP個の第1のシンボルから構成されるサイクリックプレフィックスの直後に位置決めすることが可能になるとともに、グループのシンボルに由来する第2のシンボルブロック内のシンボル(以下、由来シンボルという)も、M個のシンボルからなる第2のブロックの
【数51】
から
【数52】
までのP個のシンボルから構成されるサイクリックプレフィックスの直後に位置決めされる。したがって、K個のシンボルからなるグループのシンボル及び由来シンボルは、干渉、特にマルチパス干渉に対してより多く保護され、したがって、それらのシンボルの伝送品質を改善することが可能になる。
【0032】
有利には、シンボルグループのシンボルは、参照信号シンボル及び/又は制御シンボルである。参照信号シンボル、すなわち、参照信号を表すシンボルと、制御シンボル、すなわち、制御情報を表すシンボルとは、他のシンボルを適切に復号化するのに特に重要であり得るので、参照信号シンボル又は制御シンボルとしてK個のシンボルを設定することによって、受信機を目的としたデータのより良好な受信が保証される。
【0033】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)=0であり,Q=M/2−(P+P)である。
【0034】
これによって、実施の複雑さを低減することが可能になる。
【0035】
本発明の一態様によれば、M個のシンボルからなる第1のブロックのそれぞれK個のシンボルからなるL個の第1グループGが定義され、
【数53】
はQに等しく、
各iについて、
M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第
【数54】
のシンボル
【数55】
から、第
【数56】
のシンボル
【数57】
までのシンボルである、第iの第1グループGのK個のシンボルは、M個のシンボルからなる第1のブロックのK個のシンボルからなる第2のグループG’のK個のシンボルと同じ第iのタイプを有し、第2のグループG’のK個のシンボルは、M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数58】
のシンボル
【数59】
から、第
【数60】
のシンボル
【数61】
までのシンボルである。
【0036】
上記で定義したグループ構造は、プリコーダによって操作される変換によって維持される。すなわち、グループ
【数62】
及び
【数63】
の由来シンボルを含むM個のシンボルからなる第2のブロックのシンボルグループは、グループ
【数64】
及び
【数65】
と同じタイプを有する。したがって、各iについて、グループG及びG’が同じタイプを有する場合、無線信号において同時に送信されるシンボルXのサンプル(第1のSC−FDMAシンボル内)及びシンボルYのサンプル(第2のSC−FDMAシンボル内)は、同じタイプを有する。したがって、そのようなグループ構造によって、グループG及びG’のシンボルの受信機における処理を他のシンボルと分離することが可能になり、これによって、シンボルのタイプ別に処理を分離することが可能になる。例えば、受信機は、参照信号のグループを分離して処理することができる。
【0037】
この構造によって、異なるグループのシンボル間の干渉、特に、異なるタイプのシンボルを有するグループからのシンボル間の干渉をハンドリングすることも可能になる。有利には、各iについて、第iのタイプのシンボルは、例えば、データシンボル、参照信号シンボル及び/又は制御シンボル等の異なるシンボルカテゴリーの中の1つである。有利には、大量のグループの処理を回避するために、各iについて、第iのグループGのシンボルは、第(i+1)のグループGi+1のシンボルと異なるシンボルのタイプを有する。
【0038】
有利には、p値を求めることは、プリコーダにおいてp値として用いられる最適化されたp値を求めることを含む。有利には、p値を求めることは、p値を計算することを含む。
【0039】
適切なp値(又は最適化されたp値)を求めることは、幾つかの方法によって行うことができる。例えば、p値は、以下のものに基づいて求めることができる。
−異なる基地局のカバレッジエリアに位置する送信機の間の干渉の影響を低減することを可能にする、基地局によって求められるセル固有のp値情報。この値はセル固有である。この値は、受信機が新たなセルに入ったとき、及び/又は、セル固有のp値が変更されたときにのみ送信する必要がある。したがって、この値は、少ないシグナリングオーバーヘッド(すなわち、少量の制御データ)で送信することができる;
−セルの構成及び/又はリソース割り当て等のユーザ固有の構成に従ってプリコーダを適合させることを可能にする、制御チャネル(例えば、DCI(ダウンリンク制御情報)フィールド又はSCI(サイドリンク制御情報)フィールド)を介した動的制御表示;
−使用される特定の参照信号挿入パターンに適合したp値を求めることを可能にする参照信号(RS)構成。確かに、Xが参照シンボルとして用いられる場合、シンボルは、
【数66】
又は
【数67】
も参照信号となり、したがって、これらのシンボルのアラモウチペアを参照シンボルとして設定することも便利である。これは、基地局によって構成されるRS挿入パターンに基づいてp値を適合させることを必要とする;
−或るユーザが他のユーザに対して引き起こす干渉プロファイルをランダム化することを可能にする変調符号化方式(MCS)及び/又は他の任意のユーザ固有若しくはグループ固有のパラメータ;
−同じ割り当てを有するユーザがMU−MIMO送信においてペアリングされるときに容易な復号化を可能にする、送信機に割り当てられるリソース割り当てのサイズ;
−基地局によって求められる送信機固有のp値情報。基地局は、このp値を使用するように端末に直接指定することができる;
−別の送信機が、M’個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM’−1)にプリコーダを適用してM’個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM’−1)を取得するような別の送信機のp’値。ただし、
【数68】
であり、P’及びP’は、P’+P’がM’/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、εは1又は−1である。これによって、異なる割り当てを有するユーザがMU−MIMO送信においてペアリングされるときに容易な復号化が可能になる;
−端末が基地局と通信するために基地局によって認可されたp値を含む、基地局によって求められる一組の所定の値を端末に送信することもできる。そのような一組の値に基づいて、用いられるp値をランダムに決定することができる。したがって、2つの端末が同じp値を用いる確率がより低くなる。
【0040】
上記の論証は、送信機がユーザ機器であり、受信機が基地局である場合、及び、受信機がユーザ機器(すなわち、モバイル端末)であり、送信機が基地局である場合に同様に当てはまる。全ての場合において、受信機は、送信機によって用いられるパラメータを認識する必要がある。
【0041】
いずれの場合も、送信機及び受信機の双方は、送信中に用いられるp値について共通の理解を有する必要がある。この値はシグナリングされるか、又は、暗黙的なルールによって、送信機及び受信機は、使用されるこの値を明瞭に求めることが可能になる。
【0042】
動的制御表示は、物理制御チャネル(例えば、LTE又はNRでは、PDCCH、PUCCH、PSCCH)によって搬送される情報を意味する。例えば、この情報は、DCI/UCI/SCIフォーマットのフィールドとすることができる。
【0043】
ユーザ固有のパラメータは、例えば、物理制御チャネルを介して又は上位レイヤシグナリングによってユーザに個別に構成することができるパラメータを意味する。アップリンク通信用又はダウンリンク通信用のいずれかに構成されるそのようなパラメータは、変調符号化方式、リソース割り当て、参照信号構成/パターン(例えば、DMRS、SRS、PTRS、CSI−RS、TRS、PRS等)、伝送方式、符号語の数、電力制御等を含む(ただし、これらに限定されない)。同様に、グループ固有のパラメータは、ユーザグループに構成することができる、そのグループに共通のパラメータを意味する。
【0044】
本発明の一態様によれば、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第nのシンボルXの値は、
【数69】
である場合には、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第(n+Q)のシンボルXn+Qの値に等しく、
【数70】
である場合には、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第(n−Q)のシンボルXn−Qの値に等しい。
【0045】
これによって、プレフィックスシンボル及び/又はポストフィックスシンボルを設定して有用なシンボルを保護することが可能になる。
【0046】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると上述した方法を実行するコード命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0047】
本発明の第3の態様は、無線通信システムにおいて無線信号を通じてデータシンボルを送信する送信機であって、送信機は、
各アンテナが1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成された、少なくとも2つの送信アンテナと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
命令は、プロセッサによって実行されると、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X,...XM−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y,...YM−1)であって、
【数71】
であり、P及びPは、P+PがM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、XはXの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
所与の持続時間の時間間隔の間に、第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ第1の送信アンテナ及び第2の送信アンテナ上で無線信号にして同時に送信することと、
を行うように送信機を構成する、送信機に関する。
【0048】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】特定のSS−STBC型の送信機及び受信機を示す図である。
図2】本発明による特定のSS−STBC型送信機の概略ブロック図である。
図3】本発明による特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細図である。
図4】本発明による特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細図である。
図5】本発明による、
【数72】
及び/又は
【数73】
に設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細図である。
図6】本発明による、Kに設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細図である。
図7】本発明による、0に設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細図である。
図8】本発明による、無線信号においてシンボルを送信するステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1を参照すると、受信機1.2に無線信号を送信する送信機1.1が示されている。送信機1.1は受信機1.2のセル内にある。この送信は、OFDMに基づくシステムの状況における特定のSS−STBCに基づく送信とすることができる。この例において、送信機1.1はモバイル端末(ユーザ機器(UE)とも呼ばれる)であり、受信機1.2は固定局であり、LTEの状況では基地局である。送信機1.1は固定局とすることもでき、受信機1.2はモバイル端末とすることもできる。送信機1.1及び受信機1.2の双方をモバイル端末として(例えば、デバイスツーデバイス通信又はサイドリンク通信の間に)有することも可能である。
【0051】
送信機1.1は、1つの通信モジュール(COM_trans)1.3と、1つの処理モジュール(PROC_trans)1.4と、メモリユニット(MEMO_trans)1.5とを備える。MEMO_trans1.5は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニットと、プリコーディングに用いられるp値のような通信に用いられるパラメータを取り出す揮発性ユニットとを備える。PROC_trans1.4は、特定のSS−STBC型プリコーダに従って、M個のシンボルからなる第1のブロックXを、M個のシンボルからなる第2のブロックYにプリコーディングするように構成されている。COM_transは、無線信号を受信機1.2に送信するように構成されている。処理モジュール1.4及びメモリユニット1.5は、プリコーディングに専用化することもできるし、無線信号の他の処理ステップのような送信機の他の機能に用いることもできる。
【0052】
受信機1.2は、1つの通信モジュール(COM_recei)1.6と、1つの処理モジュール(PROC_recei)1.7と、メモリユニット(MEMO_recei)1.8とを備える。MEMO_recei1.8は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニットと、プリコーディングに用いられるp値のような通信に用いられるパラメータを取り出す揮発性ユニットとを備える。PROC_recei1.7は、信号を復号化して、M個のシンボルからなる第1のブロックXのシンボルを取り出すように構成されている。COM_recei1.6は、送信機から無線信号を受信するように構成されている。
【0053】
図2を参照すると、特定のSS−STBC型送信機のブロック図が示されている。そのような特定のSS−STBC型送信機は、シンボルブロック(第1のシンボルブロック)及びプリコーディングされたシンボルブロック(第2のシンボルブロック)に対してSC−FDMA方式を適用して無線信号を得る。これによって、チャネル使用あたり1シンボルのレートのフルダイバーシティが確保される。そのような送信機は、少なくとも2つの送信アンテナTx1 2.0及びTx2 2.1上で無線信号を送信する。
【0054】
無線信号は、特定のSS−STBC型プリコーダ2.2を第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)に適用して第2のシンボルブロックY=(Y,...YM−1)を取得することによって与えられる。第1のシンボルブロックは、QPSKデジタル変調方式又はQAMのような他の任意のデジタル変調方式によって得ることができる。Mは、割り当てられたサブキャリアの数である。そのようなSS−STBC方式では、Mは偶数である。
【0055】
その後、MサイズDFT2.3、2.4(離散フーリエ変換)が、各シンボルブロックX及びYに適用される。各シンボルブロックについて、M個の複素シンボルが周波数領域において取得される。これらの複素シンボルは、それぞれ
【数74】
及び
【数75】
である。すなわち、各MサイズDFT2.3、2.4について、M個の割り当てられたサブキャリアの中の第kサブキャリアごとに1つの複素シンボルが取得される。これらの複素シンボルは、周波数領域においてサブキャリアマッピングモジュール2.5及び2.6を用いて、NサイズIDFTモジュール2.7、2.8のN個の入力の中からのM個にマッピングされる。サブキャリアマッピングに関して、各複素シンボルベクトル
【数76】
及び
【数77】
は、サブキャリアマッピングモジュール2.5及び2.6を介してN個の存在するサブキャリアのうちのM個の割り当てられたサブキャリアにマッピングされる。このサブキャリアマッピングは、例えば、局在化させることができる。すなわち、各ベクトルSTx1,2のM個の要素は、N個の存在するサブキャリアの中からのM個の連続したサブキャリアにマッピングされる。このサブキャリアマッピングは、例えば、分散させることもできる。すなわち、各ベクトルSTx1,2のM個の要素は、帯域幅全体にわたって等距離にマッピングされ、使用されないサブキャリアは0で埋められる。
【0056】
その後、サブキャリアマッピングモジュール2.5及び2.6の結果として得られた2つのベクトル
【数78】
及び
【数79】
にサイズNの逆DFT2.7及び2.8が適用され、その結果、2つのSC−FDMAシンボルが生成される。それらのシンボルのそれぞれは、2つの送信アンテナのそれぞれ1つから同時に送信される。より正確には、IDFTモジュール2.7、2.8の出力において、信号
【数80】
及び信号
【数81】
が取得される。これらの信号のそれぞれは、単一キャリア周波数分割多元接続SC−FDMAのシンボルに対応する時間間隔の間、N個の存在するサブキャリアの中からのM個の割り当てられたサブキャリアを占有する。信号
【数82】
及び
【数83】
は、所与の時間間隔の間の周波数領域表現がそれぞれ、k=0〜M−1である第kの占有サブキャリアごとの複素シンボルSTx及びSTx2である時間領域信号である。同様に、所与の時間間隔の間の時間領域信号
【数84】
及び
【数85】
はそれぞれ、周波数領域において、k=0〜M−1である第kの周波数ごとの複素シンボルSTx1及びSTx2を表す。これらの時間領域信号
【数86】
及び
【数87】
はそれぞれ、SC−FDMAシンボルに対応する。したがって、信号
【数88】
又は信号
【数89】
におけるサンプルはそれぞれ、第1の送信アンテナ2.0に対応するSC−FDMAシンボルにおけるサンプルと、第2の送信アンテナ2.1に対応するSC−FDMAシンボルにおけるサンプルとを指す。
【0057】
IDFTの後、任意選択でサイクリックプレフィックスを付加することができる。
【0058】
図3を参照すると、特定のSS−STBC型プリコーダモジュール2.2の論理機能が詳細に示されている。
【0059】
シンボルブロックX=(X,...XM−1)(第1のシンボルブロックとも呼ばれる)に適用されたSS−STBC型プリコーダ2.2は、シンボルブロックY=(Y,...YM−1)(第2のシンボルブロックとも呼ばれる)を出力する。第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)を検討すると、これは、図2.2に示すように、M/2個のシンボルからなる2つの部分に分割される。第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、Q個の連続した変調シンボル
【数90】
及びQ個の連続した変調シンボル
【数91】
を含む。これらの第1の部分及び第2の部分のQ個の連続した変調シンボルは、データ、制御情報及び参照信号を含むことができる。
【0060】
ブロックシンボルのこれらの2つの部分の間の干渉を制限するために、第1の部分は、Q個の連続した変調シンボル
【数92】
の前及び後にそれぞれ位置決めされたP個の連続したシンボルからなるサイクリックプレフィックス、及び/又は、P個の連続したシンボルからなるサイクリックポストフィックスを含むことができる。第2の部分も、Q個の連続した変調シンボル
【数93】
の前及び後にそれぞれ位置決めされたP個の連続したシンボルからなるサイクリックプレフィックス及び/又はP個の連続したシンボルからなるサイクリックポストフィックスを含むことができる。P及び/又はPの値は、0に設定することもでき、その場合に、プレフィックス及び/又はポストフィックスは含まれない。
【0061】
したがって、第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)は、第1の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数94】
と定義することができ、第1の部分の有用なシンボル(データ、RS、制御シンボル)については、
【数95】
と定義することができ、第1の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数96】
と定義することができ、第2の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数97】
と定義することができ、第2の部分の有用なシンボル(データ、RS、制御シンボル)については、
【数98】
と定義することができ、第2の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数99】
と定義することができる。
【0062】
特定のSS−STBC型プリコーダを第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)に適用すると、第2のシンボルブロックY=(Y,...YM−1)が取得される。この第2のシンボルブロックは、事前に定義された第1のシンボルブロックに対して相対的に定義することができ、第1の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数100】
と定義することができ、第1の部分の有用なシンボル(データ、RS、制御シンボル)については、
【数101】
と定義することができ、第1の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数102】
と定義することができ、第2の部分のサイクリックプレフィックスについては、
【数103】
と定義することができ、第2の部分の有用なシンボル(データ、RS、制御シンボル)については、
【数104】
と定義することができ、第2の部分のサイクリックポストフィックスについては、
【数105】
と定義することができる。
【0063】
ただし、
【数106】
であり、
【数107】
であり、XはXの複素共役である。
【0064】
一変形形態では、サイクリックプレフィックス/ポストフィックスの代わりにゼロパディングを用いることができる。更に別の変形形態では、サイクリックプレフィックス及び/又はポストフィックスを、Q個の連続した有用なシンボルに対して挿入するのではなく,Q個の連続した有用なシンボル内のシンボルグループに対して挿入することができる。
【0065】
したがって、Yは、データ、制御及び参照信号シンボルに関して、Xに基づいて、以下の式によって定義することができる。
【数108】
【0066】
ただし、εは値1又は−1である。別段の指定がない限り、以下では、ε=1とみなす。実際に、第2のアンテナに関係した信号の正負符号(+/−)の変化は、本方法を変えることはない。
【0067】
図4を参照すると、特定のSS−STBC型プリコーダモジュール2.2の論理機能と、特定のSS−STBC型プリコーダモジュール2.2によってもたらされる特定のアラモウチペアリング構造とが詳細に示されている。すなわち、図4は、本発明によるM個のシンボルからなる第1のブロック内のシンボルのペアリングを詳細に示している。
【0068】
pが0と異なるとき、M個のシンボルからなる第1のブロックの第1の部分のQ個の有用なシンボルのうちの第0のシンボルAが、M個のシンボルからなる第1のブロックの第2の部分のQ個の有用なシンボルのうちの第(p−1)のシンボルBp−1とペアリングされる。次に、pよりも厳密に小さい各iについて、シンボルAがシンボルBp−iとペアリングされる。
【0069】
次に、M個のシンボルからなる第1のブロックの第1の部分のQ個の有用なシンボルのうちの残りのシンボルA〜AQ−1が、M個のシンボルからなる第1のブロックの第2の部分のQ個の有用なシンボルのうちの残りのシンボルBQ−1〜Bとペアリングされる。すなわち、第1のグループ(シンボルA〜AQ−1)の最初のシンボルAは、第2のグループ(シンボルB〜BQ−1)の最後のシンボルBQ−1とペアリングされ、第1のグループ(シンボルA〜AQ−1)の2番目のシンボルAp+1は、第2のグループ(シンボルB〜BQ−1)の最後から2番目のシンボルBQ−2とペアリングされ、他のシンボルについても同様にペアリングされる。
【0070】
pが0に等しいとき、最初のシンボルAは、最後のシンボルBQ−1とペアリングされ、2番目のシンボルAは、最後から2番目のシンボルBQ−2とペアリングされ、他のシンボルについても同様にペアリングされる。
【0071】
第1のシンボルブロックの2つのシンボルX及びXは、シンボルXに由来するシンボルの位置、すなわち、
【数109】
であるようなシンボルYa’の位置a’が位置bであるとき、ペアリング済みとみなされる。したがって、シンボルX及びXに由来するシンボルYa’はそれぞれ、a及びbである第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロック内の位置にあるのに対して、シンボルX及びXに由来するシンボルはそれぞれ、b及びaである第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロック内の位置にある。
【0072】
図5を参照すると、この図は、一実施形態による、
【数110】
に設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能が詳細に示されている。図5の例では、P、P及びQのサイズは、この実施形態の描写を簡単にするように設定されている。したがって、(P,P,Q)=(3,1,8)である。もちろん、本発明は、P、P及びQのそのようなサイズに限定されるものではない。
【0073】
アラモウチペアの2つのシンボルの間の最大プリコーディング距離は15シンボルである。すなわち、アラモウチペアの2つのシンボル間には、14個のシンボルしかない。
【0074】
サブキャリアマッピングモジュール2.5及び2.6の幾つかの構成が可能であり、例えば、サブキャリアマッピングを局所化することができる。すなわち、各ベクトルSTx1,2のM個の要素は、N個の存在するサブキャリアの中のM個の連続したサブキャリアにマッピングされる。
【0075】
したがって、NがMの倍数であるとき、IDFTモジュール2.7の出力における時間領域の信号
【数111】
及びIDFTモジュール2.8の出力における時間領域の信号
【数112】
は、それぞれ、位置M・nにおける入力された時間シンボルX及びYの正確なコピー(倍率を伴う)を有する。すなわち、
【数113】
及び
【数114】
である。
【0076】
他の位置では、第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルの値はそれぞれ、異なる複素重み付けを有する全てのX及びYの和である。したがって、
【数115】
及び
【数116】
はそれぞれ、第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロックをオーバーサンプリングしたものである。より多くの説明は、「Single carrier FDMA: a new air interface for long term evolution」HG Myung, DJ Goodman - John Wiley & Sons, 2008に見ることができる。
【0077】
したがって、アラモウチペアの2つのシンボルにそれぞれ対応する第1のSC−FDMAシンボル内の2つのサンプル
【数117】
及び
【数118】
の間の距離、すなわち、M(b−a)個のサンプルは、(b−a)個のシンボルである第1のシンボルブロック内のこれらの2つのアラモウチシンボルの間の距離に依存する。
【0078】
サブキャリアマッピングは、分散させることもできる。すなわち、各ベクトルSTx1,2のM個の要素は、帯域幅全体にわたって等距離を置いてマッピングされ、0が未使用のサブキャリアを占有する。
【0079】
したがって、NがMの倍数であるとき、IDFTモジュール2.7の出力における時間領域の信号
【数119】
及びIDFTモジュール2.8の出力における時間領域の信号
【数120】
は、それぞれ、シンボルブロックX及びYのN/M回の繰り返しを有する。すなわち、
【数121】
及び
【数122】
である。
【0080】
したがって、アラモウチペアの2つのシンボルにそれぞれ対応する第1のSC−FDMAシンボル内の2つのサンプル
【数123】
及び
【数124】
の間の距離、すなわち、(b−a)個のサンプルは、(b−a)個のシンボルである第1のシンボルブロック内のこれらの2つのアラモウチシンボルの間の距離に依存する。
【0081】
2つのサンプルの間の距離は、これらの2つのサンプルの無線信号における送信の間の時間差(又は持続時間)を意味する。
【0082】
したがって、アラモウチペアのシンボルにそれぞれ対応する2つのサンプルの間の距離は、第1のシンボルブロック内のこれらのシンボルの距離に比例するか、又は、少なくとも依存する。
【0083】
これは、無線信号におけるシンボル及びそれらの対応するサンプルの間の他の全てのサブキャリアマッピングタイプ及び/又は非整数のN/M比の同様の関係にも当てはまる。
【0084】
したがって、同じペアの2つのシンボルの間の第1のシンボルブロック内の最大プリコーディング距離を最小にすることによって、同じペアの2つのシンボルに対応する無線信号におけるサンプルの間の最大持続時間が最小化される。これによって、シンボルXに対応する第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルの送信の間のチャネル変化を最小にすることが可能になる。これらのサンプル送信間のチャネル変化を最小にすることによって、干渉及び性能損失をもたらす同じアラモウチペアのシンボル間の直交性損失が低減される。
【0085】
同じペアの2つのシンボル間の最大プリコーディング距離を最小にすることは、p値がほぼQ/2の値に設定されているとき、具体的には、pが
【数125】
及び/又は
【数126】
に等しいときに得られる。
【0086】
図6を参照すると、一実施形態による、Kに設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能が詳細に示されている。この例では、P、P及びQのサイズは、この実施形態の描写を簡単にするように設定されている。したがって、(P,P,Q)=(3,1,8)である。もちろん、本発明は、P、P及びQのそのようなサイズに限定されるものではない。
【0087】
第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の最初のK個のシンボルは、第1のシンボルブロックの第2の部分の有用部分の最初のK個のシンボルとペアリングされる。したがって、第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の最初のK個のシンボルからのプリコーダから送出されたK個のシンボルは、第2のシンボルブロックの第2の部分の有用部分の最初のK個のシンボルである。
【0088】
したがって、第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の最初のK個のシンボル、及び、それらの(プリコーダから)送出されたシンボルはともに、P1個のプレフィックスシンボルの後方に位置決めされる。これによって、これらの2K個のシンボルを干渉、特にマルチパス干渉から保護することが可能になる。一変形形態では、プレフィックスを,Q個のシンボルに対してではなく、各有用部分の最初のK個のシンボルに対して挿入することができることに留意されたい。すなわち、第1のシンボルブロック内に挿入されるプレフィックスは、それぞれシンボルAK−−P1...AK−1及びBK−−P1...BK−1を含む。
【0089】
K個の送出されたシンボルは、第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の最初のK個のシンボルの取り出しを容易にすることができるので、グループGを形成する第1の部分の最初のK個のシンボルは、干渉に対してよりロバストである。したがって、これは、特に参照信号シンボル及び/又は制御シンボルとして干渉から保護する必要があるグループGシンボル内の挿入に関係がある。なぜならば、グループGシンボルは、他のシンボルを適切に復号化するのに特に重要であるからである。
【0090】
図7を参照すると、この図は、一実施形態による、0に設定されたp値を有する特定のSS−STBC型プリコーダ論理機能の詳細を与えている。この例では、P、P及びQのサイズは、この実施形態の描写を簡単にするように設定されている。したがって、(P,P,Q)=(3,1,8)である。もちろん、本発明は、P、P及びQのそのようなサイズに限定されるものではない。
【0091】
この実施形態では、第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の最初のシンボルは、第1のシンボルブロックの第2の部分の有用部分の最後のシンボルとペアリングされる。第1のシンボルブロックの第1の部分の有用部分の2番目のシンボルは、第1のシンボルブロックの第2の部分の有用部分の最後から2番目のシンボルとペアリングされる。他のシンボルについて、同様にペアリングされる。このアラモウチペアリング構造は、プリコーダにとって複雑度が低い。
【0092】
そのような構造に基づくと、それぞれK個のシンボルを有する幾つかのグループ
【数127】
を定義することが可能である。これらの幾つかのグループは、対称的に配置される。すなわち、K個のシンボルからなる第iの第1グループGを、M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数128】
のシンボル
【数129】
から第
【数130】
のシンボル
【数131】
までのシンボルからなるグループとして定義することと、
個のシンボルからなる第iの第1グループG’を、M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数132】
のシンボル
【数133】
から第
【数134】
のシンボル
【数135】
までのシンボルからなるグループとして定義することとによる。
【0093】
したがって、第iのグループGのシンボルは、グループG’のシンボルとペアリングされる。グループG及びグループG’は、ペアリングされたグループと呼ばれる。第iのグループのシンボルに対応する第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルは、ペアリングされたグループG’のシンボルに対応する第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルと同時に送信される。したがって、受信機側では、或るグループ及びそのペアリングされたグループのシンボルに対応するサンプルの処理を、他のグループのシンボルに対応する他のサンプルの処理から分離することが可能である。
【0094】
ペアリングされたグループのシンボルが同じタイプのものである場合、例えば、データシンボル、参照信号シンボル又は制御シンボルである場合、受信機側では、例えば、無線信号の参照信号部分の処理を分離することが可能である。
【0095】
加えて、p値、P及びPを0に設定すること及びそのような特定のグループ構造を有することは、3GPP TS38.211の表6.4.1.2.2.2−1 第6.4.1.2.2項に記載されたDFTsOFDM PUSCHのPTRS挿入パターンに従って参照信号を挿入するのに便利である。確かに、これらの挿入パターンは対称的である。すなわち、例えば、第1のシンボルブロックのNgroupPTRS個の最初のシンボル及びNgroupPTRS個の最後のシンボルが参照信号として設定される。したがって、KをNgroupPTRSに設定することによって、このグループ構造は、そのような挿入パターンに適合する。
【0096】
別の例では、2つのRSサンプルのそれぞれ2つのグループを挿入するとき、RSは、第1のシンボルブロックの各2分の1の部分の中央、すなわち、位置(M/4−1,M/4)及び(3M/4−1,3M/4)に挿入される。したがって、例えば、Kを2に設定し、KをM/4−1に設定することによって、このグループ構造は、そのような挿入パターンに適合する。したがって、より一般的には、K=2に設定するとともに、
【数136】
及び
【数137】

【数138】
であるように設定すると、このグループ構造は、そのような挿入パターンに適合する。
【0097】
別の例では、RSが挿入されるべきペアリングされたグループのシンボルは、プリコーダを適用する前に、第1のシンボルブロックにおいて0に設定される。RSは、その後、プリコーダを適用した後に、0と引き換えに挿入される。例えば、この挿入は、DFTモジュール2.3及び2.4を適用する前に、すなわち、第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロック内の0に設定されたシンボルを所望の値に設定することによって行うことができる。参照信号の場合、それらの値は受信機によって知られているので、第2のシンボルブロックに挿入される参照信号の値を、第1のシンボルブロックに挿入される参照信号がプリコーディングされていた場合に得られるこれらのシンボルの値と等しくする必要はない。同等の実施選択肢として、対応する信号を追加して、参照信号がDFTを適用する前に挿入されていた場合と同じ又は同等の信号を得ることによって、参照信号をDFT後(すなわち、周波数領域において)又はIDFT後に挿入することができる。
【0098】
図8を参照すると、本発明による、無線信号においてシンボルを送信するステップを表すフローチャートが示されている。
【0099】
ステップS1において、プリコーダモジュール2.2を構成するのに用いられるパラメータが求められる。すなわち、p値、P、P及びMのサイズが求められる。これらのパラメータは、プリコーダのパラメータと呼ばれる。
【0100】
パラメータのこの決定は、基地局1.2によって決まる通信の方式及び/又はセルの構成に従って行われる。
【0101】
送信機がモバイル端末である場合、基地局1.2は、通信のパラメータを事前に求め、送信機1.1のプリコーダのパラメータを事前に設定することができる。
【0102】
プリコーダのパラメータを表す情報は、送信機1.1に送信することができる。したがって、送信機1.1は、p値並びにP、P及びMのサイズを表す情報、又は、p値並びにP、P及びMのサイズの計算を可能にする情報を受信する。この情報に基づいて、送信機1.1は、p値並びにP、P及びMのサイズを効果的に求めることができる。
【0103】
例えば、基地局1.2は、以下のものを送信機1.1に送信することができる。
−セル固有のp値情報;及び/又は
−送信機固有のp値情報;及び/又は
−P、P及びMのサイズ。
【0104】
これらのパラメータ及び特にp値は、例えば、基地局1.2が以下のものに基づいて求めることができる。
−セル固有の構成;及び/又は
−動的制御表示、例えば、DCIインジケーター/フォーマット;及び/又は
−参照信号RSの構成/挿入パターン;及び/又は
−変調符号化方式、リソース割り当てサイズ(これらに限定されない)等のユーザ固有のパラメータ;及び/又は
−同じセル内の別の送信機によって用いられるp’値;及び/又は
−所定の値のセット(p,P1i,P2i,M)。
【0105】
p値は、基地局1.2が一組の所定の値の中からランダムに決定することもできる。
【0106】
代替形態では、基地局1.2は、p値並びにP、P及びMのサイズを表す情報をモバイル端末1.1に送信しないが、上述した情報のうちの1つを送信し、この情報に基づいて、端末1.1は、基地局1.2によって設定されたプリコーダパラメータを推論することができる。例えば、特定の参照信号構成の使用は、特定のプリコーダのパラメータに関係付けることができる。
【0107】
代替の実施形態では、基地局1.2は、プリコーダのパラメータではなく、通信の方式(例えば、RS挿入パターン、変調符号化方式、MCS等)及び/又はセルの構成を求めることができ、送信機1.1に通信方式に従ってパラメータを求め及び/又は計算させることができる。この場合、送信機1.1は、プリコーダのパラメータを求めると、基地局1.2がプリコーダのパラメータを取り出すことを可能にする情報を基地局1.2に送信することができる。
【0108】
送信機1.1が基地局であり、受信機1.2がモバイル端末である場合、基地局1.1は、基地局1.1のプリコーダモジュール2.2を構成するのに用いられるパラメータを求める。すなわち、p値、P、P及びMのサイズが設定される。これらのパラメータは、プリコーダのパラメータと呼ばれる。
【0109】
受信機1.2と通信するときに用いられるこれらのパラメータ及び特にp値は、基地局1.1が以下のものに基づいて求めることができる。
−セル固有の構成;
−参照信号RSの構成/挿入パターン;
−受信機1.2について求められたユーザ固有のパラメータ;
−隣接する基地局によって用いられるp’値;
−所定の値のセット(p,P1i,P2i,M)。
【0110】
加えて、上記の実施形態と同様に、基地局1.1は、モバイル端末1.2がプリコーダによって用いられるパラメータを推論することを可能にし、したがって、モバイル端末1.2が受信された通信を復号化することを可能にする情報をモバイル端末1.2に提供する。
【0111】
加えて、双方の場合において、モバイル端末が受信機1.2又は送信機1.1のいずれであっても、モバイル端末は、基地局及びモバイル端末の双方によって共通に知られているルールに基づいてこれらのパラメータを推論することができる。
【0112】
更に別の例では、送信機及び受信機の双方がモバイル端末である。p値は、所定のルールに基づいて又は協力によって求めることができる。
(例えば、各モバイル端末が、自身の通信に用いられるp値を求め、このp値を他のモバイル端末に転送する;
例えば、各モバイル端末が、自身の通信に用いられるp値を求め、他の端末は、この用いられる値を他の情報から暗黙的に求めることができる;
例えば、一方の端末が、双方向の通信中に用いられるp値を決定し、このp値を他方の端末に転送する;
例えば、一方の端末が、双方向の通信中に用いられるp値を決定し、他方の端末は、この用いられる値を他の情報から暗黙的に求めることができる;
例えば、端末は、共通のp値を求めることを可能にする情報を交換する;
例えば、双方の端末が、他の既知のパラメータ/構成に基づいてp値を明瞭に求めることを可能にする一組の既知のルールを適用する;
例えば、p値は、全てのサイドリンク通信について固定されている、等。)
【0113】
ステップS3において、プリコーダモジュール2.2は、端末1.1によって求められたプリコーダのパラメータに従って構成される。
【0114】
ステップS5において、信号は処理される。すなわち、第1のシンボルブロックX=(X,...XM−1)に対して、第2のシンボルブロックY=(Y,...YM−1)を取得するように事前に構成された特定のSS−STBC型プリコーダモジュール2.2が適用される。次に、第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロックのそれぞれに対して、SC−FDMA方式(DFTモジュール2.3及び2.4、サブキャリアマッピングモジュール2.5及び2.6、IDFTモジュール2.7及び2.8)が適用される。
【0115】
ステップS7において、信号は、Tx1 2.0及びTx2 2.1によって送信される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8