【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明は、無線通信システムにおいて無線信号を通じてシンボルを送信する方法であって、上記無線信号は、少なくとも2つの送信アンテナを備える送信機によって送信され、各アンテナは、1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成され、上記方法は、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X
0,...X
M−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y
0,...Y
M−1)であって、
【数39】
であり、P
1及びP
2は、P
1+P
2がM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、X
k*はX
kの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
所与の持続時間の時間間隔の間に、第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ第1の送信アンテナ及び第2の送信アンテナ上で無線信号にして同時に送信することと、
を含む、方法に関する。
【0016】
これによって、
【数40】
である場合のシンボルペア
【数41】
における第2のシンボルの、M個のデータシンボルからなる第1のブロック内の位置を選ぶこと又は適合させることが可能になる。以下では、これらのペアはアラモウチペアとも呼ばれる。確かに、M個のデータシンボルからなる第2のブロック内において、アラモウチペア
【数42】
がプリコーディングされたもの、すなわち、
【数43】
に由来するシンボルは、同じ位置(k,M/2+P
1+mod(−k+P
1+p−1,Q))に検出される。abs(k−(M/2+P
1+mod(−k+P
1+p−1,Q)))は、プリコーディング距離としても表記される。このプリコーディング距離は、M個のシンボルからなる第1のブロック内の同じアラモウチペアの2つのシンボルの間の距離である。
【0017】
プリコーダに用いられるpの値を適合させることによって、本方法は、通信の他の設定及び環境に従って特定のSS−STBC型プリコーディングを最適化することが可能になる。例えば、プリコーディングのpの値を単に変えるだけで、例えば、チャネルの干渉又は高速の変動及び/又は変化に対する復号化誤りを削減することができる。別の例では、p値は、特定のSS−STBC型プリコーディングに特定の参照信号挿入パターンに適合させるように選ぶこともできる。
【0018】
p値は、第1のシンボルブロック及び第2のシンボルブロック内のシンボルの特定のペアリングを表す。このペアリングは事前に定められる。すなわち、p値は、通信の設定及び/又は環境(例えば、通信方式及び/又は通信干渉及び/又はチャネルの特性等)を考慮するために事前に求められ、したがって、プリコーダは、この通信設定及び/又は環境に適合するようになっている。
【0019】
時間間隔は、n=0〜M−1である全てのシンボルX
nに対応するサンプルが送信される持続時間であり、SC−FDMAシンボルの持続時間に等しい持続時間であることを意味する。
【0020】
X=(X
0,...X
M−1)のシンボルX
nは、例えば、QPSKデジタル変調方式、又は、QAMのような他の任意のデジタル変調方式によって得ることができる。Mは、割り当てられたサブキャリアの数である。そのようなSS−STBC方式では、Mは偶数である。X
nのうちの幾つかについて、例えば、参照信号として設定されたX
nについて、特定の変調方式又は他の系列も用いることができる。
【0021】
送信アンテナはM個の周波数上で送信するように構成され、すなわち、そのような送信アンテナによって送信される信号は、M個の割り当てられたサブキャリアのサブキャリアごとに1つずつの、M個の複素シンボルにNサイズIDFTを適用することによって与えられる。IDFTに先行して、M個のサブキャリアは、サブキャリアマッピングモジュールによって、より多くの数のN個のサブキャリア上にマッピングすることができる。これらのサブキャリアのうちのN−M個は、0に設定されるので割り当てられないサブキャリアであり、M個の他のサブキャリアは、M個の複素シンボルがマッピングされるM個の割り当てられたサブキャリアである。この場合、IDFTモジュールはサイズNからなる。
【0022】
無線信号は全ての送信アンテナによって合わせて与えられる信号と理解されたい。
【0023】
εの値は、既定値1又は−1である。別段の指定がない限り、以下では、ε=1とみなす。実際に、第2のアンテナに関係した信号の正負符号(+/−)の変化は、本方法を変えることはない。
【0024】
mod(A,B)は、BによるAのユークリッド除法の剰余であるAモジュロBであることを意味する。形式的に、mod(A,B)は、A−E[A/B]*Bと記述することができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)≠1であり,Q=M/2−(P
1+P
2)である。
【0026】
これによって、3GPP NRにおけるPUSCHについて定義された幾つかの参照信号挿入パターンとの不整合を回避することが可能になる。加えて、1に設定されたp値を有するSS−STBC型プリコーダを用いるとき、M個のデータシンボルからなる第1のブロックにおける2つのアラモウチペアの間の最大距離はM−(P
1+P
2)−2であり、これは、シンボルX
nに対応する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信と、シンボルX
nからプリコーダによって送出されたシンボルに対応する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信との間の重要な持続時間を与える。これらのシンボルは、
−nがP
1以上であって、M/2−P
2以下であるときは、
【数44】
であり、
−nがM/2+P
1以上であって、M−P
2以下であるときは、
【数45】
である。
【0027】
本発明の一態様によれば、
【数46】
であり,Q=M/2−(P
1+P
2)である。有利には、mod(p,Q)は、
【数47】
及び/又は
【数48】
に等しい。
【0028】
これによって、M個のデータシンボルからなる第1のブロックにおける、アラモウチペアの2つのシンボルの間の最大距離、すなわち、最大プリコーディング距離を削減することが可能になる。したがって、シンボルX
nに対応する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信と、シンボルX
nからプリコーダによって送出されたシンボルに対応する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボル内のサンプルの送信との間の最大持続時間が削減される。
【0029】
このように、持続時間を最小にすることによって、シンボルX
nに対応する第1のSC−FDMAシンボル内のサンプルの送信と、シンボルX
nに対応する第2のSC−FDMAシンボル内のサンプルの送信との間のチャネル変化を最小にすることが可能になる。これは、特に送信機又は受信機が移動しているときに、干渉及び性能損失をもたらす同じアラモウチペアのシンボル間の直交性損失を削減する。
【0030】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)=Kであり、ここで、Kは、M個のシンボルからなる第1のブロックの第P
1のシンボル
【数49】
から、M個のシンボルからなる第1のブロックの第(P
1+K)のシンボル
【数50】
までのシンボルを含むシンボルグループ内のシンボル数である。
【0031】
これによって、シンボルグループのK個のシンボルを、M個のシンボルからなる第1のブロックのP
1個の第1のシンボルから構成されるサイクリックプレフィックスの直後に位置決めすることが可能になるとともに、グループのシンボルに由来する第2のシンボルブロック内のシンボル(以下、由来シンボルという)も、M個のシンボルからなる第2のブロックの
【数51】
から
【数52】
までのP
1個のシンボルから構成されるサイクリックプレフィックスの直後に位置決めされる。したがって、K個のシンボルからなるグループのシンボル及び由来シンボルは、干渉、特にマルチパス干渉に対してより多く保護され、したがって、それらのシンボルの伝送品質を改善することが可能になる。
【0032】
有利には、シンボルグループのシンボルは、参照信号シンボル及び/又は制御シンボルである。参照信号シンボル、すなわち、参照信号を表すシンボルと、制御シンボル、すなわち、制御情報を表すシンボルとは、他のシンボルを適切に復号化するのに特に重要であり得るので、参照信号シンボル又は制御シンボルとしてK個のシンボルを設定することによって、受信機を目的としたデータのより良好な受信が保証される。
【0033】
本発明の一態様によれば、mod(p,Q)=0であり,Q=M/2−(P
1+P
2)である。
【0034】
これによって、実施の複雑さを低減することが可能になる。
【0035】
本発明の一態様によれば、M個のシンボルからなる第1のブロックのそれぞれK
i個のシンボルからなるL個の第1グループG
iが定義され、
【数53】
はQに等しく、
各iについて、
M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第
【数54】
のシンボル
【数55】
から、第
【数56】
のシンボル
【数57】
までのシンボルである、第iの第1グループG
iのK
i個のシンボルは、M個のシンボルからなる第1のブロックのK
i個のシンボルからなる第2のグループG’
iのK
i個のシンボルと同じ第iのタイプを有し、第2のグループG’
iのK
i個のシンボルは、M個のシンボルからなる第1のブロックの第
【数58】
のシンボル
【数59】
から、第
【数60】
のシンボル
【数61】
までのシンボルである。
【0036】
上記で定義したグループ構造は、プリコーダによって操作される変換によって維持される。すなわち、グループ
【数62】
及び
【数63】
の由来シンボルを含むM個のシンボルからなる第2のブロックのシンボルグループは、グループ
【数64】
及び
【数65】
と同じタイプを有する。したがって、各iについて、グループG
i及びG’
iが同じタイプを有する場合、無線信号において同時に送信されるシンボルX
nのサンプル(第1のSC−FDMAシンボル内)及びシンボルY
nのサンプル(第2のSC−FDMAシンボル内)は、同じタイプを有する。したがって、そのようなグループ構造によって、グループG
i及びG’
iのシンボルの受信機における処理を他のシンボルと分離することが可能になり、これによって、シンボルのタイプ別に処理を分離することが可能になる。例えば、受信機は、参照信号のグループを分離して処理することができる。
【0037】
この構造によって、異なるグループのシンボル間の干渉、特に、異なるタイプのシンボルを有するグループからのシンボル間の干渉をハンドリングすることも可能になる。有利には、各iについて、第iのタイプのシンボルは、例えば、データシンボル、参照信号シンボル及び/又は制御シンボル等の異なるシンボルカテゴリーの中の1つである。有利には、大量のグループの処理を回避するために、各iについて、第iのグループG
iのシンボルは、第(i+1)のグループG
i+1のシンボルと異なるシンボルのタイプを有する。
【0038】
有利には、p値を求めることは、プリコーダにおいてp値として用いられる最適化されたp値を求めることを含む。有利には、p値を求めることは、p値を計算することを含む。
【0039】
適切なp値(又は最適化されたp値)を求めることは、幾つかの方法によって行うことができる。例えば、p値は、以下のものに基づいて求めることができる。
−異なる基地局のカバレッジエリアに位置する送信機の間の干渉の影響を低減することを可能にする、基地局によって求められるセル固有のp値情報。この値はセル固有である。この値は、受信機が新たなセルに入ったとき、及び/又は、セル固有のp値が変更されたときにのみ送信する必要がある。したがって、この値は、少ないシグナリングオーバーヘッド(すなわち、少量の制御データ)で送信することができる;
−セルの構成及び/又はリソース割り当て等のユーザ固有の構成に従ってプリコーダを適合させることを可能にする、制御チャネル(例えば、DCI(ダウンリンク制御情報)フィールド又はSCI(サイドリンク制御情報)フィールド)を介した動的制御表示;
−使用される特定の参照信号挿入パターンに適合したp値を求めることを可能にする参照信号(RS)構成。確かに、X
nが参照シンボルとして用いられる場合、シンボルは、
【数66】
又は
【数67】
も参照信号となり、したがって、これらのシンボルのアラモウチペアを参照シンボルとして設定することも便利である。これは、基地局によって構成されるRS挿入パターンに基づいてp値を適合させることを必要とする;
−或るユーザが他のユーザに対して引き起こす干渉プロファイルをランダム化することを可能にする変調符号化方式(MCS)及び/又は他の任意のユーザ固有若しくはグループ固有のパラメータ;
−同じ割り当てを有するユーザがMU−MIMO送信においてペアリングされるときに容易な復号化を可能にする、送信機に割り当てられるリソース割り当てのサイズ;
−基地局によって求められる送信機固有のp値情報。基地局は、このp値を使用するように端末に直接指定することができる;
−別の送信機が、M’個のシンボルからなる第1のブロックX=(X
0,...X
M’−1)にプリコーダを適用してM’個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y
0,...Y
M’−1)を取得するような別の送信機のp’値。ただし、
【数68】
であり、P’
1及びP’
2は、P’
1+P’
2がM’/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、εは1又は−1である。これによって、異なる割り当てを有するユーザがMU−MIMO送信においてペアリングされるときに容易な復号化が可能になる;
−端末が基地局と通信するために基地局によって認可されたp値を含む、基地局によって求められる一組の所定の値を端末に送信することもできる。そのような一組の値に基づいて、用いられるp値をランダムに決定することができる。したがって、2つの端末が同じp値を用いる確率がより低くなる。
【0040】
上記の論証は、送信機がユーザ機器であり、受信機が基地局である場合、及び、受信機がユーザ機器(すなわち、モバイル端末)であり、送信機が基地局である場合に同様に当てはまる。全ての場合において、受信機は、送信機によって用いられるパラメータを認識する必要がある。
【0041】
いずれの場合も、送信機及び受信機の双方は、送信中に用いられるp値について共通の理解を有する必要がある。この値はシグナリングされるか、又は、暗黙的なルールによって、送信機及び受信機は、使用されるこの値を明瞭に求めることが可能になる。
【0042】
動的制御表示は、物理制御チャネル(例えば、LTE又はNRでは、PDCCH、PUCCH、PSCCH)によって搬送される情報を意味する。例えば、この情報は、DCI/UCI/SCIフォーマットのフィールドとすることができる。
【0043】
ユーザ固有のパラメータは、例えば、物理制御チャネルを介して又は上位レイヤシグナリングによってユーザに個別に構成することができるパラメータを意味する。アップリンク通信用又はダウンリンク通信用のいずれかに構成されるそのようなパラメータは、変調符号化方式、リソース割り当て、参照信号構成/パターン(例えば、DMRS、SRS、PTRS、CSI−RS、TRS、PRS等)、伝送方式、符号語の数、電力制御等を含む(ただし、これらに限定されない)。同様に、グループ固有のパラメータは、ユーザグループに構成することができる、そのグループに共通のパラメータを意味する。
【0044】
本発明の一態様によれば、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第nのシンボルX
nの値は、
【数69】
である場合には、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第(n+Q)のシンボルX
n+Qの値に等しく、
【数70】
である場合には、M個のデータシンボルからなる第1のブロックの第(n−Q)のシンボルX
n−Qの値に等しい。
【0045】
これによって、プレフィックスシンボル及び/又はポストフィックスシンボルを設定して有用なシンボルを保護することが可能になる。
【0046】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると上述した方法を実行するコード命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0047】
本発明の第3の態様は、無線通信システムにおいて無線信号を通じてデータシンボルを送信する送信機であって、送信機は、
各アンテナが1よりも厳密に大きい少なくとも偶数M個の異なる周波数上で送信を行うように構成された、少なくとも2つの送信アンテナと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
命令は、プロセッサによって実行されると、
M個のシンボルからなる第1のブロックX=(X
0,...X
M−1)にプリコーダを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックY=(Y
0,...Y
M−1)であって、
【数71】
であり、P
1及びP
2は、P
1+P
2がM/2よりも厳密に小さい、既定の正の整数又は0に等しい整数であり、pは所定の整数であり、εは1又は−1であり、X
k*はX
kの複素共役である、第2のブロックを取得することと、
M個のシンボルからなる第1のブロックに、第1の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第1のブロックを表す、所与の持続時間を有する第1の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
M個のシンボルからなる第2のブロックに、第2の送信アンテナに対応する少なくともMサイズDFT及びその後のNサイズIDFTを適用して、M個のシンボルからなる第2のブロックを表す、所与の持続時間を有する第2の単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)シンボルを取得することと、
所与の持続時間の時間間隔の間に、第1のSC−FDMAシンボル及び第2のSC−FDMAシンボルをそれぞれ第1の送信アンテナ及び第2の送信アンテナ上で無線信号にして同時に送信することと、
を行うように送信機を構成する、送信機に関する。
【0048】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。