特許第6945981号(P6945981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6945981容器詰め飲料の製造方法及び容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945981
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】容器詰め飲料の製造方法及び容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20210927BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   A23L2/00 T
   A23L2/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-175701(P2016-175701)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2018-38334(P2018-38334A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年7月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 遼
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕基
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−031286(JP,A)
【文献】 特開昭58−179480(JP,A)
【文献】 特開平05−172719(JP,A)
【文献】 特開昭53−123191(JP,A)
【文献】 特開平10−090109(JP,A)
【文献】 J Colloid Interface Sci, 2006, vol.302, no.1, p.356-362
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に、室温よりも低い温度で炭酸ガス含有飲料液を充填する工程と、
前記充填する工程の後に、前記容器を密栓する工程と、
前記密栓する工程の後に、前記容器を超音波処理する工程と、
前記充填する工程の後に、前記容器を加温する工程と、
を有し、
前記超音波処理する工程における処理時間が、0.5〜10分間であり、
前記容器がペットボトル又は缶であり、
前記超音波処理する工程が、前記加温する工程と同時に行われる、
容器詰め飲料の製造方法。
【請求項2】
前記超音波処理する工程が、前記容器の少なくとも一部を液体に浸漬させる工程と、前記液体を介して超音波を前記容器に適用する工程を含む、請求項1に記載された製造方法。
【請求項3】
前記液体として、前記容器の温度よりも高い温度の液体を使用する事により、前記超音波処理する工程が前記加温する工程と同時に行われる、請求項2に記載された製造方法。
【請求項4】
前記超音波処理工程における前記液体の温度が1〜40℃である、請求項2又は3に記載された製造方法。
【請求項5】
前記充填する工程における前記飲料液の温度が15℃以下である、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記飲料液が果汁含有飲料液である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
容器に、炭酸ガス含有飲料液を充填する工程と、
前記充填する工程の後に、前記容器を密栓する工程と、
前記密栓する工程の後に、前記容器を超音波処理する工程と、
を有し、
前記超音波処理する工程における処理時間が、0.5〜10分間であり、
前記飲料液が果汁含有飲料液(但し、ビールを除く)である、
容器詰め飲料の製造方法。
【請求項8】
前記超音波処理する工程が、18〜20000kHzの振動数の超音波により処理する工程を含む、請求項1から7のいずれかに記載された製造方法。
【請求項9】
炭酸ガス含有飲料液における炭酸ガスボリュームが0.1〜5.0である、請求項1から8のいずれかに記載された製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容詰め飲料の製造方法及び容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器詰め炭酸飲料では、キャップ開栓時の噴きこぼれを防ぐことが、商品価値を守る点で重要な課題になっている。開栓時の噴きこぼれを防ぐため、通常は、消泡剤が飲料に添加される(例えば、特開2014−226073号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−226073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、噴きこぼれを防止するための手段として、消泡剤以外の手段は知られていない。従って、本発明の課題は、消泡剤以外の手段によりキャップ開栓時の噴きこぼれを防ぐことができる、容器詰め飲料の製造方法及び容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、超音波処理を行うことにより、開栓時における噴きこぼれを防止できることを見出した。すなわち、本発明は以下の事項を含んでいる。
〔1〕容器に、炭酸ガス含有飲料液を充填する工程と、
前記充填する工程の後に、前記容器を密栓する工程と、
前記密栓する工程の後に、前記容器を超音波処理する工程と、
を有する、容器詰め飲料の製造方法。
〔2〕前記容器がペットボトル又は缶である、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記飲料液が果汁含有飲料液である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記超音波処理する工程が、前記容器の少なくとも一部を液体に浸漬させる工程と、前記液体を介して超音波を前記容器に適用する工程を含む、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載された製造方法。
〔5〕前記充填する工程が、室温よりも低い温度で前記飲料液を充填する工程を含み、
前記製造方法が、前記充填する工程の後に、前記容器を加温する工程を含む、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕前記超音波処理する工程が、前記加温する工程と同時に行われる、前記〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕前記充填する工程が、室温よりも低い温度で前記飲料液を充填する工程を含み、
前記製造方法が、前記充填する工程の後に、前記容器を加温する工程を含み、
前記液体として、前記容器の温度よりも高い温度の液体を使用する事により、前記超音波処理する工程が前記加温する工程と同時に行われる、前記〔4〕に記載の製造方法。
〔8〕前記超音波処理工程における前記液体の温度が1〜40℃である、前記〔4〕から〔7〕のいずれかに記載された製造方法。
〔9〕前記充填する工程における前記飲料液の温度が15℃以下である、前記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕前記超音波処理する工程が、18〜20000kHzの振動数の超音波により処理する工程を含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれかに記載された製造方法。
〔11〕前記超音波処理する工程における処理時間が、0.5〜10分間である、前記〔1〕から〔10〕のいずれかに記載された製造方法。
〔12〕炭酸ガス含有飲料液における炭酸ガスボリュームが0.1〜5.0である、前記〔1〕から〔11〕のいずれかに記載された製造方法。
〔13〕炭酸ガス含有飲料液を含む密栓済み容器を、超音波処理する工程を含む、容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、消泡剤以外の手段により、キャップ開栓時の噴きこぼれを防ぐことができる、容器詰め飲料の製造方法及び容器詰め飲料の開栓時噴き出し抑制方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例及び比較例における開栓時の噴き出し量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施態様に係る製造方法は、容器に、炭酸ガス含有飲料液を充填する工程と、前記充填する工程の後に前記容器を密栓する工程と、前記密栓する工程の後に前記容器を超音波処理する工程とを有している。このような工程を採用することにより、開栓時における飲料の噴きこぼれを抑制することができる。
以下、各工程について詳述する。
【0009】
ステップS1:充填
まず、炭酸ガス含有飲料液を調製し、容器に充填する。
充填される飲料液は、炭酸ガスを含有する飲料であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、果汁含有飲料、及びビール等の発泡性飲料が挙げられ、好ましくは果汁含有飲料である。
炭酸ガス含有飲料液中のガスボリュームは、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜調整することができるが、例えば、ガスボリュームは1.0〜5.0である。但し、ガスボリュームが高い場合(3.0〜5.0程度)には、開栓時における噴きこぼれの問題が発生しやすいため、本実施態様の方法により噴きこぼれを抑制することが有効である。
容器は、炭酸ガス含有飲料液を充填し、密栓できるものであれば、特に限定されない。例えば、容器としては、金属製の缶、樹脂製容器(ペットボトル等)、及びビン(例えばガラス瓶)等が挙げられる。また、これらの中では、金属製の缶及び樹脂製容器が好ましく用いられる。
充填時には、炭酸ガス含有飲料液の液温を低温(室温より低い温度)にすることが好ましい。低温で充填することにより、充填時における飲料液の発泡を抑制し、所望する量の飲料液を容器に充填しやすくなる。例えば、充填時における飲料液の温度は15℃以下、好ましくは4〜12℃である。
【0010】
ステップS2:密栓
続いて、容器を気密になるように密栓する。密栓する手法については、容器の種類に応じて公知の方法を使用すればよい。
【0011】
ステップS3:超音波処理
続いて、容器を超音波によって処理する。
超音波の振動数は、例えば、18〜20000kHzであり、好ましくは20〜100kHzである。このような振動数で超音波処理を行うことにより、開栓時における発泡量を有効に抑制し、噴きこぼれを防止できる。
超音波の処理時間は、例えば、0.5〜10分間であり、好ましくは3〜7分間である。このような処理時間を採用することにより、開栓時における発泡量を有効に抑制し、噴きこぼれを防止できる。
超音波は、例えば、水等の液体を介して容器に加えられる。例えば、水槽に蓄えられた水等に、容器の少なくとも一部を浸漬させる。そして、液体に超音波を加えることにより、容器にも超音波を伝えることができる。この場合、液体の温度は、例えば1〜40℃、好ましくは20〜30℃である。
【0012】
ステップS4:加温
ステップS1において低温で炭酸ガス含有飲料液を充填した場合には、結露の防止などのため、密栓後に、容器が加温される。加温工程では、例えば、シャワーにより、加温用の液体が容器に吹き付けられる。
【0013】
ここで、超音波処理工程(ステップS3)と加温工程(ステップS4)とを、同時に実施してもよい。超音波処理工程と、加温工程とを同一工程で行えば、製造時間を増加させること無く、噴きこぼれ防止処理を施すことができる。すなわち、超音波処理工程において使用される液体の温度を、容器の温度よりも高い温度に設定する。これにより、容器の加温を行いつつも超音波処理を適用することができ、好ましい。この場合、加温及び超音波処理に用いる液体の温度は、例えば1〜40℃であり、好ましくは20〜30℃である。
【0014】
以上説明した工程により、容器詰め飲料が製造される。本実施態様によれば、密栓後に超音波処理を施すことにより、開栓時の発泡量を減らすことができ、噴きこぼれを抑制することができる。
【実施例】
【0015】
(実施例)
炭酸ガス飲料液として、グレープ果汁、香料、及び消泡剤を含有する炭酸飲料を用意した。炭酸飲料のガスボリュームは、3.5とした。用意した飲料液を容器に充填した後、密栓し、超音波処理を施した。尚、超音波処理は、水槽に蓄えた水に容器を浸漬させ、水を介して容器に超音波を適用することにより、実施した。超音波処理の振動数は42kHzとし、超音波処理時間は3分間とした。
その後、容器を37℃で12時間静置した後、25℃、28℃、及び31℃のそれぞれで容器を開栓し、噴きこぼれ量を測定した。
【0016】
(比較例)
超音波処理を省略した以外は実施例と同じ方法により、比較例に係るサンプルを用意し、開栓時における噴きこぼれ量を測定した。
【0017】
実施例及び比較例における噴きこぼれ量の測定結果を図1に示す。図1に示されるように、25℃で開栓した場合には、実施例及び比較例ともに、実質的に噴きこぼれは観察されなかった。一方、28℃及び31℃で開栓した場合、実施例及び比較例のいずれにおいても、噴きこぼれが観察された。しかしながら、その噴きこぼれ量は、実施例の方が比較例よりも顕著に少なく、密栓後に超音波処理を施すことにより、開栓時の噴きこぼれを効果的に抑制できることが確認された。
図1