特許第6945982号(P6945982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6945982-油圧ユニット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945982
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/26 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   F15B1/26
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-177847(P2016-177847)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-44565(P2018-44565A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年3月14日
【審判番号】不服2020-13388(P2020-13388/J1)
【審判請求日】2020年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清家 光
【合議体】
【審判長】 佐々木 芳枝
【審判官】 窪田 治彦
【審判官】 小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭50−35520(JP,Y1)
【文献】 特表2003−508688(JP,A)
【文献】 特開2015−52358(JP,A)
【文献】 特開2005−238002(JP,A)
【文献】 特開2005−75226(JP,A)
【文献】 特開昭61−1879(JP,A)
【文献】 特開2005−255184(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3032762(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びた筒状の、油を貯留するタンクと、
上記タンクの前記水平方向の一方に配置され、外部機器に油を供給するポンプと、
上記ポンプを駆動するモータとを備え、
上記タンクは、前記水平方向の他方に、外部機器からの油が流入する流入口を有し、
上記タンクは、外周面が蛇腹状であり、その鉛直方向の底面には、上記流入口から上記ポンプに向かって流れる油の流れ方向と交差する凹部及び凸部が交互に配置された凹凸面が形成されており、
上記タンクは、湾曲可能であり、前記水平方向の他方の側面に廃油口が設けられていることを特徴する油圧ユニット。
【請求項2】
前記タンクの前記水平方向の一方及び他方の端部において、前記凹凸面に対して前記鉛直方向の下方に、磁石が配置されたことを特徴する請求項1に記載の油圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油を油圧アクチュエータへ供給する油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等の主機に搭載されており、ポンプから送り出された高圧の油を油圧アクチュエータに供給するための油圧ユニットが知られている。従来、油圧ユニットとしては、油を収容するタンクと、タンクの側方に配置されたポンプと、ポンプを駆動するモータとを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−30481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の油圧ユニットにおいて、タンクは、工作機械等からの油が流入する流入口を有し、流入口からタンク内に流入した油がポンプの供給口に向かって流れた後、ポンプの供給口から工作機械等に供給される。従来の油圧ユニットでは、タンク内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給される技術課題を解消するために、タンク内に仕切り板(バッフル)等を配置し、タンク内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給されるのを防止していた。したがって、仕切り板をタンク内に配置することによりタンクの製造コストが増大する問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、タンク内に仕切り板等を配置しないでも、タンク内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給されるのを防止できる油圧ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる油圧ユニットは、水平方向に延びた筒状の、油を貯留するタンクと、上記タンクの前記水平方向の一方に配置され、外部機器に油を供給するポンプと、上記ポンプを駆動するモータとを備え、上記タンクは、前記水平方向の他方に、外部機器からの油が流入する流入口を有し、上記タンクは、外周面が蛇腹状であり、その鉛直方向の底面には、上記流入口から上記ポンプに向かって流れる油の流れ方向と交差する凹部及び凸部が交互に配置された凹凸面が形成されており、上記タンクは、湾曲可能であり、前記水平方向の他方の側面に廃油口が設けられていることを特徴する。
【0007】
この油圧ユニットでは、流入口からタンク内に流入した油がポンプの供給口に向かって流れる間に、タンク底面の凹凸面によりコンタミが除去される。したがって、タンク内に仕切り板等を配置しないでも、タンク内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給されるのを防止できる。また、タンクの底面に凹凸面を形成することにより、タンクの放熱面積が増加し、タンク容量を少なくできる。
【0009】
さらに、この油圧ユニットでは、タンクが伸縮することにより、タンク容量を変化させることができる。また、タンクを湾曲させることにより、スペースに基づいてタンクの長さを変化させることができる。また、タンクを湾曲させることにより、タンクの水平方向の他方の側面に設けられた廃油口の配置を変化させることができる。また、ポンプの振動を吸収することにより、低騒音、低振動になる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0011】
発明では、流入口からタンク内に流入した油がポンプの供給口に向かって流れる間に、タンク底面の凹凸面によりコンタミが除去される。したがって、タンク内に仕切り板等を配置しないでも、タンク内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給されるのを防止できる。また、タンクの底面に凹凸面を形成することにより、タンクの放熱面積が増加し、タンク容量を少なくできる。
【0012】
さらに、本発明では、タンクが伸縮することにより、タンク容量を変化させることができる。また、タンクを湾曲させることにより、スペースに基づいてタンクの長さを変化させることができる。また、タンクを湾曲させることにより、タンクの水平方向の他方の側面に設けられた廃油口の配置を変化させることができる。また、ポンプの振動を吸収することにより、低騒音、低振動になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる油圧ユニットの上面図、正面図、側面図である。
図2図1の油圧ユニットの上面図、タンクの断面模式図である。
図3図1の油圧ユニットの正面図である。
図4図1の油圧ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態にかかる油圧ユニット1について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の油圧ユニット1は、図1に示すように、油を収容するタンク2と、タンク2の側方に配置されたポンプ3と、ポンプ3を駆動するモータ4と、コントローラ10とを有している。
【0015】
タンク2は、水平方向に延びた円筒状であって、その外周面は蛇腹状に形成される。図1(a)及び図1(b)に示すように、タンクの2の上面の右端部には、工作機器などの外部機器からの油が流入する流入口2aが配置され、左端部には、工作機器などの外部機器に対し、油を供給するポンプ3が配置される。ポンプ3の上面には、外部機器に油を供給する供給口3aが配置され、ポンプ3の側面には、圧力センサ3bが配置される。したがって、油圧ユニット1では、ポンプ3を駆動することにより、タンク2に貯留された油をポンプ3の供給口3aから工作機器などの外部機器に供給し、工作機器などの外部機器からの油が流入口2aからタンク2内に流入する。図1(c)に示すように、タンク2の側面の下端部には、廃油口2bが配置され、側面の上端部には、油面計2cが配置される。
【0016】
図2に示すように、タンク2の外周面は、蛇腹状であって、流入口2aからポンプ3の供給口3aに向かって流れる油の流れ方向と交差する凹部5a及び凸部5bが交互に配置された凹凸面5が形成される。したがって、タンク2の底面には、流入口2aからポンプ3の供給口3に向かって流れる油の流れ方向と交差する凹部5a及び凸部5bが交互に配置された凹凸面5が形成される。よって、タンク2内において、流入口2aからポンプ3の供給口3に向かって流れる油は、凹部5aの上方を流れた後、凸部5bの上方を流れるが、そのとき、油に含まれたコンタミは、凸部5bによりせき止められ、凹部5a内に除去される。本実施形態では、タンク2の凹凸面5の左端部の下方及び右端部の下方には、それぞれ、磁石5cが配置され、凹部5a内に除去されたコンタミは、磁石5cの磁力により凹部5aの外部に逃げないように構成される。
【0017】
図3に示すように、タンク2の外周面は、蛇腹状であって、水平方向に伸縮可能に構成される。したがって、タンク2は、その長さを変更可能であって、長さを変更することによりタンク容量を変更可能である。よって、タンク2は、図3(a)に示すように、大容量のタンクとして使用可能であると共に、図3(b)に示すように、小容量のタンクとしても使用可能である。
【0018】
図4に示すように、タンク2の外周面は、蛇腹状であって、湾曲させることが可能である。したがって、図4(a)に示すように、タンク2を直線状にした状態から、図4(b)に示すように、タンク2を湾曲させた場合、油圧ユニット1の左右方向長さを短縮できる。
【0019】
<本実施形態の油圧ユニットの特徴>
本実施形態の油圧ユニット1には、以下の特徴がある。
【0020】
本実施形態の油圧ユニット1では、流入口2aからタンク2内に流入した油がポンプ3の供給口3aに向かって流れる間に、タンク2底面の凹凸面5によりコンタミが除去される。したがって、タンク2内に仕切り板等を配置しないでも、タンク2内の油に含まれたコンタミが工作機械等に供給されるのを防止できる。また、タンク2の底面に凹凸面5を形成することにより、タンク2の放熱面積が増加し、タンク容量を少なくできる。
【0021】
本実施形態の油圧ユニット1では、タンク2の外周面が蛇腹状であって、タンク2が伸縮することにより、タンク容量を変化させることができる。また、タンク2を湾曲させることにより、スペースに基づいてタンク2の長さを変化させることができる。また、タンク2の外周面に廃油口2bが配置されている場合に、タンク2を湾曲させることにより、廃油口2bの配置を変化させることができる。また、ポンプ3の振動を吸収することにより、低騒音、低振動になる。また、タンク2の凹凸面5の下方に磁石5cを配置することにより、コンタミを凹凸面5に付着させることができる。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
【0023】
上述の実施形態では、タンク2が円筒状である場合を説明したが、円筒状に限定されない。したがって、タンク2は筒状であればよい。
【符号の説明】
【0025】
1 油圧ユニット
2 タンク
2a 流入口
3 ポンプ
3a 供給口
4 モータ
5 凹凸面
5a 凹部
5b 凸部
図1
図2
図3
図4