(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の配線は、前記面内において湾曲形状を有し、前記湾曲形状は少なくとも前記第1のベースフィルムの前記エッジと前記第2のベースフィルムの前記エッジの一方と交差する、請求項8に記載の表示装置。
前記配線は、前記面内において湾曲形状を有し、前記湾曲形状は少なくとも前記第1のベースフィルムの前記エッジと前記第2のベースフィルムの前記エッジの一方と交差する、請求項16に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0013】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0015】
(第1実施形態)
[1.全体構成]
図1(A)、(B)はそれぞれ、本実施形態の表示装置100の模式的な斜視図と側面図である。表示装置100は可撓性基板102を有しており、湾曲させたり、折り曲げることが可能である。可撓性基板102上には活性領域(アクティブエリア)104が設けられる。後述するように、活性領域104は種々の絶縁膜や導電膜、半導体膜が積層され、これらによってトランジスタや容量、表示素子などが形成される。活性領域104上には、活性領域104を保護し、表示装置100に対し、十分な可撓性を維持しつつ、かつ取り扱いを容易にするために必要な物理的強度を付与するためのキャップフィルム106が設けられる。表示装置100は任意の構成として、キャップフィルム106上に偏光板114を有することができる。活性領域104、キャップフィルム106、および偏光板114は同一、あるいはほぼ同一の形状を有することができ、互いに重なる。図示していないが、表示装置100において偏光板114がキャップフィルム106を兼ねてもよい。
【0016】
可撓性基板102の下には、可撓性基板102を保護するとともに物理的強度を付与するための第1のベースフィルム110、第2のベースフィルム112が設けられる。前者はキャップフィルム106とともに活性領域104を挟持する。
【0017】
図1(A)や(B)では図示しないが、表示素子などへ映像信号を伝達するための複数の配線124が、可撓性基板102上において活性領域104から延伸する。複数の配線124はICチップ120を介し、FPC(フレキシブル印刷回路)基板などのコネクタ118と電気的に接続される。図示しない外部回路からコネクタ118を介して映像信号がICチップ120に入力される。映像信号はICチップ120からさらに活性領域104に伝えられ、これによりトランジスタなど、活性領域104に含まれる各種素子が制御される。ICチップ120は任意の構成であり、例えばICチップ120の代わりに、活性領域104に駆動回路を形成してもよい。コネクタ118上にICチップが形成されていてもよい。
【0018】
可撓性基板102のうち、第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112のいずれとも重ならない領域、すなわち、第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112の間の領域は、樹脂層108で覆われてもよい。樹脂層108は、ICチップ120やコネクタ118を覆うように設けてもよい。これにより、可撓性基板102やその上に形成される配線124やICチップ120、コネクタ118などを保護することができるとともに、この領域の物理的強度を制御することができる。
【0019】
図1(A)や
図1(B)に示すように、可撓性基板102は第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112の間の領域で湾曲する、あるいは折り曲げることができる。この場合、第1のベースフィルム110の下面と第2のベースフィルム112の下面は互いに直接、あるいは図示しない接着層を介して接することが可能である。可撓性基板102を折り曲げる場合、任意の構成であるスペーサ116を可撓性基板102で包み込んでもよい。スペーサ116は例えば円柱形状を持つことができ、
図1(B)に示すように、可撓性基板102、第1のベースフィルム110、第2のベースフィルム112によって囲まれる空間内に収容することができる。図示しないが、スペーサ116は平板形状を併せ持ってもよく、この場合、平板形状部分が第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112で挟持されるように表示装置100を折り曲げてもよい。スペーサ116を用いることで、表示装置100の立体形状を制御することができる。
【0020】
図示しないが、可撓性基板102を湾曲、あるいは折り曲げる領域は第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112の間に限られず、例えば活性領域104で表示装置100を湾曲、折り曲げてもよい。
【0021】
図2に、表示装置100を展開した状態の上面模式図を示す。ここでは、偏光板114やキャップフィルム106は図示していない。
図2に示すように、活性領域104に含まれる各種素子により、複数の画素132や画素132の駆動を制御するための駆動回路134などが形成される。画素132には発光素子や液晶素子などの表示素子が備えられる。複数の画素132はマトリクス状に配置され、複数の画素132によって表示領域130が形成される。本明細書と請求項では、活性領域104は表示領域130と駆動回路134を含む。
【0022】
駆動回路134は、外部回路から供給される各種信号を受け取り、これを各画素132に供給することで、画素132に含まれる各種素子の駆動を制御する。これにより画素132内の表示素子が制御され、様々な映像を表示領域130上に表示することができる。
図2では駆動回路134が二つ設けられた例が示されているが、駆動回路134は1つ、あるいは3つ以上設置してもよい。
【0023】
図2では図示していないが、複数の配線124が活性領域104から可撓性基板102の側面(図において下辺)に向かって延伸するように設けられる。配線124はICチップ120と接続される。さらに配線124は端部で露出され、端子122を形成する。端子122はコネクタ118との電気的接続に用いられる。本明細書と請求項では、可撓性基板102のうち、活性領域104と端子122の間の領域を配線領域136と呼ぶ。
【0024】
図2に示すように、配線領域136において、可撓性基板102の幅は一定ではなく、活性領域104よりも端子122に近い配線領域136の幅は、端子122よりも活性領域104に近い配線領域136の幅よりも大きくなるような形状を有していてもよい。この場合、可撓性基板102の幅の変化は連続的でもよい。あるいは可撓性基板102は、配線領域136全体において、活性領域104と同じ幅を有していてもよい。
【0025】
図2の鎖線A−A’に沿った断面模式図を
図3に示す。
図3に示すように、表示装置100を展開した状態では、第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112は離間しており、それぞれの端(エッジ)110aと112aは互いに対向する。第1のベースフィルム110は、その一部が配線領域136と重なってもよい。第2のベースフィルム112は、ICチップ120やコネクタ118と重なるように配置することができる。第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112の間では、可撓性基板102の裏面は露出されもよい。なお任意の構成として、活性領域104と重なるように、熱拡散板126を第1のベースフィルム110の下、あるいは可撓性基板102と第1のベースフィルム110の間に設けてもよい。熱拡散板126は活性領域104で発生する熱を外部へ拡散する機能を有しており、例えばアルミニウムや銅、ステンレスなどの金属やその合金を含み、可撓性を有する程度の厚さを有することができる。
【0026】
配線124が可撓性基板102上に設けられ、活性領域104から配線領域136を経て端子122へ延伸する。配線124の上には上述した樹脂層108を設けることができる。
図3では図示していないが、ICチップ120の上面の一部、あるいは全てを覆うように樹脂層108を設けてもよい。逆に、コネクタ118の上面を覆わないように、樹脂層108を設けてもよい。
【0027】
[2.活性領域]
図2における領域140の上面図を
図4に、
図4の鎖線B−B’に沿った断面模式図を
図5に示す。
図4に示すように、可撓性基板102の端(エッジ)102aに隣接する、あるいはエッジ102aから最も近い画素132とエッジ102aの間に駆動回路134が配置される。
図5では見やすさを考慮し、画素132は鎖線B−B’上に1つのトランジスタ150と表示素子160を有し、駆動回路134では1つのトランジスタ152と二つの配線154、156が鎖線B−B’と交差するとして説明を行う。また、表示素子160としては発光素子を用いる例を用いて説明を行うが、表示素子160の構成に制約はない。例えば表示素子160は液晶素子や電気泳動素子など、電圧駆動型の表示素子でもよい。
【0028】
トランジスタ150は表示素子160を制御するための素子として機能することができる。トランジスタ152は、例えばバッファ回路やシフトレジスタ、あるいはラッチ回路などの回路に含まれることができる。配線154、156の機能にも制約はなく、駆動回路134内に設けられる各種回路間を接続する配線として機能してもよく、あるいは表示素子160の一方の電極に一定電位を供給するための電源線として機能してもよい。配線156は、駆動回路134内の配線のうち、エッジ102aに隣接する、あるいはエッジ102aに最も近い配線であるとして説明を行う。
【0029】
図5に示すように、表示領域130とそれを構成する画素132、および駆動回路134には種々の絶縁層、導電層、半導体層が積層される。例えば可撓性基板102上には、アンダーコート200を設けることができる。アンダーコート200は、可撓性基板102に含まれるアルカリ金属イオンなどの不純物がトランジスタ150や152へ拡散することを防ぐ機能を有し、例えばケイ素を含有する無機化合物を含むことができる。無機化合物としては、酸化ケイ素や窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素などが挙げられる。アンダーコート200は単層の構造を有していてもよく、上記無機化合物から選択される複数の化合物が積層された構造を有していてもよい。
【0030】
アンダーコート200上には、トランジスタ150や152の活性領域を形成する半導体膜202、ゲート206、および半導体膜202とゲート206間に挟持されるゲート絶縁膜204が設けられる。半導体膜202は例えばケイ素などの14族元素、あるいは酸化物半導体を含むことができる。
【0031】
ゲート絶縁膜204も絶縁膜であり、ケイ素を含有する無機化合物を含むことができる。ゲート絶縁膜204も単層構造、積層構造のいずれの構造を有していてもよい。
【0032】
ゲート206は、電圧を印加することによって半導体膜202にキャリアを発生させる機能を有し、これにより、トランジスタ150や152のオン/オフが制御される。ゲート206はチタンやアルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、タンタルなどの金属やその合金などを用い、単層、あるいは積層構造を有するように形成することができる。例えばチタンやタングステン、モリブデンなどの比較的高い融点を有する金属でアルミニウムや銅などの導電性の高い金属を挟持する構造を採用することができる。
【0033】
ゲート206上には層間膜208を設けることができる。層間膜208も絶縁膜であり、ゲート絶縁膜204と同様、ケイ素を含有する無機化合物を含むことができる。層間膜208も単層構造、積層構造のいずれの構造を有していてもよい。
【0034】
トランジスタ150、152はさらに、ソース210とドレイン212を有する。ソース210とドレイン212は、ゲート絶縁膜204や層間膜208に設けられる開口部で半導体膜202と電気的に接続される。ソース210やドレイン212もゲート206で使用可能な金属を含むことができ、積層構造、あるいは単層構造で形成される。なお、配線154、156もソース210やドレイン212と同時に形成してもよい。この場合、ソース210やドレイン212、配線154、156は同一層内に存在することができる。
【0035】
トランジスタ150、152は、上述した半導体膜202、ゲート絶縁膜204、ゲート206、層間膜208、ソース210、およびドレイン212などによって構成される。トランジスタ150、152の構造に限定はなく、
図5に示すトップゲート構造を有してもよく、ボトムゲート構造を有していてもよい。あるいは、ゲート206は半導体膜202の上下に設置してもよい。また、複数のゲート206が1つの半導体膜202と重なる、いわゆるマルチゲート構造を有するトランジスタを用いてもよい。
【0036】
表示装置100はさらに、トランジスタ150、152上に平坦化膜214を有することができる。平坦化膜214は、トランジスタ150、152などに起因する凹凸や傾斜を吸収し、平坦な面を与える機能を有する。平坦化膜214も絶縁膜であり、有機化合物で形成することができ、有機化合物としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリシロキサンなどの高分子材料が挙げられる。図示しないが、平坦化膜214上に窒化ケイ素や窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化ケイ素などの無機化合物を含む絶縁膜を形成してもよい。
【0037】
平坦化膜214には、トランジスタ150と表示素子160を電気的に接続するための開口部が設けられる。
図5に示すように、この開口部に接続電極216を設けてもよい。接続電極216は、例えばインジウム―スズ酸化物(ITO)やインジウム―亜鉛酸化物(IZO)などの可視光を透過可能な導電性酸化物を用いて形成することができる。
【0038】
表示装置100は任意の構成として、平坦化膜214上に付加容量電極220を有していてもよい。なお、配線154や156は付加容量電極220と同時に形成してもよい。この場合には、これらの電極や配線は同一の層内に存在することができる。
【0039】
図5に示した例では、駆動回路134内で平坦化膜214の一部が除去されて層間膜208が露出され、露出された層間膜208と接するように、配線154、156が設けられる。このような構成を採用することで、平坦化膜214は可撓性基板102のエッジ102aから離れた位置に配置することができる。上述したように、平坦化膜214は有機化合物を含むことができる。有機化合物は一般にケイ素を含有する無機化合物と比較して水との親和性高い。このため、平坦化膜214がエッジ102aで表示装置100の外部と接すると、水などの不純物が外部から平坦化膜214に侵入し、平坦化膜214内を経由して駆動回路134や表示領域130へ拡散する。すなわち、平坦化膜214は不純物の輸送経路として働く。その結果、不純物による表示装置100の劣化が生じる。
【0040】
しかしながら
図5に示すように、エッジ102aと接しないように平坦化膜214を配置することで、不純物の侵入確率を大幅に低下させることができ、その結果、表示装置100の信頼性を向上させることができる。
【0041】
付加容量電極220や配線156、配線154の一部を覆うように絶縁膜222が設けられる。絶縁膜222は、付加容量電極220と、その上に設けられる表示素子160の第1の電極230に挟まれ、付加容量を形成する。すなわち、絶縁膜222は誘電体膜として機能する。この付加容量は、トランジスタ150のゲート206とも電気的に接続することができ、トランジスタ150のソース210−ゲート206間の電位の維持に寄与する。同時に、絶縁膜222は配線156の保護膜としても機能する。絶縁膜222は、アンダーコート200やゲート絶縁膜204と同様、ケイ素を含有する無機化合物を含むことができ、単層構造、あるいは積層構造を有するように形成することができる。
【0042】
表示装置100は、絶縁膜222上に、付加容量電極220と重なり、かつ、接続電極216と電気的に接続される第1の電極230を有する。第1の電極230や、平坦化膜214に設けられる開口部に起因する凹凸は、第1の電極230の端部を覆う隔壁224によって覆われる。隔壁224は第1の電極230の端部を覆うことで、その上に設けられるEL層232や第2の電極240の断線を防ぐことができる。隔壁224も絶縁膜であり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリシロキサンなどの高分子材料を含むことができる。
【0043】
表示素子160は、第1の電極230に加え、EL層232と第2の電極240を有する。EL層232と第2の電極240は第1の電極230、および隔壁224と重なるように設けられる。
【0044】
表示装置100はさらに、表示素子160上に封止膜(パッシベーション膜)250を有してもよい。パッシベーション膜250は、外部から表示素子160やトランジスタ150、152に不純物(水、酸素など)が侵入することを防ぐ機能を有する。
図5に示すように、パッシベーション膜250は3つの層(第1の層252、第2の層254、第3の層256)を含んでもよい。第1の層252と第3の層256は、例えばケイ素を含有する無機化合物を用いることができる。一方、第2の層254では、有機化合物を用いることができる。第2の層254は、表示素子160や隔壁224に起因する凹凸を吸収して平坦な面を与えるように形成してもよい。
【0045】
キャップフィルム106は接着層260を介して可撓性基板102上に固定される。キャップフィルム106には、例えばポリ(エチレンテレフタレート)やポリ(エチレンナフタレート)などのポリエステル、あるいはポリカーボナート、ポリオレフィンなどを主骨格とする高分子材料を使用することができる。なお、第1のベースフィルム110、第2のベースフィルム112にもキャップフィルム106と同様の材料を用いることができる。キャップフィルム106が接着力を有する場合、接着層260を設けなくてもよい。
【0046】
表示装置100はさらに、任意の構成として、偏光板114をキャップフィルム106上に有することができる。偏光板114は円偏光板でも直線偏光板でもよい。偏光板114が円偏光板である場合、第1の電極230や配線154、156などで反射した外光を表示装置100内に閉じ込めることができ、その結果、コントラストの高い映像を提供することが可能となる。なお、キャップフィルム106を設けず、偏光板114がパッシベーション膜250、あるいは接着層260と接するよう、表示装置100を構成してもよい。
【0047】
[3.基板端部の構造]
上述したように、表示装置100の活性領域104には多くの絶縁膜が含まれるが、上述した無機化合物を含むことができる絶縁膜(例えばアンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、パッシベーション膜250の第1の層252、第3の層256)や有機化合物を含むことができる絶縁膜(例えば平坦化膜214、隔壁224、パッシベーション膜250の第2の層254など)のうち少なくとも一つを、可撓性基板102のエッジ102aから部分的に除去することができる。具体的には
図4、5に示すように、表示領域130とエッジ102aの間、あるいは駆動回路134とエッジ102aの間では、上記絶縁膜のうち少なくとも一つが部分的に除去されている。
図5に示した例では、アンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、第1の層252、第3の層256の端部はいずれもエッジ102aと重ならず、エッジ102aよりも可撓性基板102内部に位置している。すなわち、これらの層の側壁は、エッジ102aと駆動回路134の間に位置する。換言すると、これらの層の側壁は、駆動回路134内に位置する、あるいは駆動回路134から延伸する配線のうち、エッジ102aに隣接する配線(例えば配線156)とエッジ102aの間に位置する。駆動回路134を活性領域104に設けない場合には、これらの層の側壁は、表示領域130から延伸する配線のうち、もっともエッジ102aに近い配線とエッジ102aの間に位置する。側壁とエッジ102a間の領域270では、接着層260が可撓性基板102や上記絶縁層の側壁と直接接する。接着層260を用いない場合には、キャップフィルム106が可撓性基板102や上記絶縁層の側壁と接する。
【0048】
図5では、アンダーコート200やゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、パッシベーション膜250の第1の層252と第3の層256、平坦化膜214、パッシベーション膜250の第2の層254などの絶縁膜の全てがエッジ102aから離れるように設けられる例が示されているが、表示装置100はこのような形態に限られない。例えば
図6(A)に示すように、アンダーコート200の端部はエッジ102aと重なるが、他の絶縁膜の端部はエッジ102aと重ならないように表示装置100を構成することができる。この場合、ゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、パッシベーション膜250の第1の層252と第3の層256の側壁は、配線156とエッジ102aの間に位置する。
【0049】
あるいは
図6(B)に示すように、アンダーコート200と絶縁膜222の端部はエッジ102aと重なるが、他の絶縁膜の端部はエッジ102aと重ならないように表示装置100を構成することができる。この場合、ゲート絶縁膜204、層間膜208、パッシベーション膜250の第1の層252と第3の層256の側壁は、配線156とエッジ102aの間に位置する。
【0050】
あるいは
図6(C)に示すように、アンダーコート200とパッシベーション膜250の第3の層256の端部はエッジ102aと重なるが、他の絶縁膜の端部はエッジ102aと重ならないように表示装置100を構成することができる。この場合、ゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、パッシベーション膜250の第1の層252の側壁は、配線156とエッジ102aの間に位置する。
【0051】
あるいは
図6(D)に示すように、有機化合物を含むことができる絶縁膜(例えば平坦化膜214)の端部はエッジ102aと重なるが、他の絶縁膜の端部はエッジ102aと重ならないように表示装置100を構成することができる。この場合、例えばアンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、パッシベーション膜250の第1の層252と第3の層256の側壁は、配線156とエッジ102aの間に位置する。この場合、平坦化膜214は駆動回路134が設けられる領域のいずれかの箇所において除去される形となる。有機膜で形成されている平坦化膜214が水分や酸素を通しやすいので、いずれかの箇所で分断されていないと表示素子160に水分や酸素が到達してしまい、特性を劣化させるからである。
【0052】
図4に示すように、活性領域104においては、領域270の幅は一定、あるいは実質的に一定にすることができる。すなわち、エッジ102aと、部分的に除去された絶縁膜の側壁間の距離(すなわち、領域270の幅)は、一定、あるいは実質的に一定になるよう、表示装置100を構成することができる。
【0053】
絶縁膜の全て、あるいは一部を可撓性基板102のエッジ102aから部分的に除去する構成は、配線領域136にも適用することが可能である。配線領域136の一部の領域142(
図2参照)の拡大図を
図7に模式的に示す。ここでは、可撓性基板102のエッジ102aと、エッジ102a近傍に位置し、活性領域104から延伸する配線124が示されている。領域142では、エッジ102aは湾曲した部分を有している。そして領域270は、湾曲した部分を取り囲むように、配線124が形成される面内において可撓性基板102の内側に凹んだ形状を有している。すなわち、絶縁膜の全て、あるいは一部は、えぐれた切り欠き部272を有している。このため、エッジ102aと部分的に除去された絶縁膜の側壁間の距離Lは、エッジ102aが湾曲した部分では一定ではなく、変化する。
【0054】
図7、8(A)、8(B)を用いてより具体的に説明する。
図8(A)は
図7の鎖線C−C’に沿った断面模式図である。
図7、
図8(A)に示すように、側壁は、エッジ102aの湾曲に対応するように、配線124が形成される面内で湾曲して湾曲部を形成し、その結果、絶縁膜の全て、あるいは一部に切り欠き部272を与える。そして切り欠き部272は、エッジ102aと湾曲部間の距離Lが、
図7に示すように、なめらかに(あるいは徐々に)変化するような形状となり、典型的には円の一部や楕円の一部で表現される曲線を有する形状となる。ここで距離Lとは、エッジ102aの法線144の、エッジ102aから絶縁膜の側壁までの距離である。例えば距離Lは、エッジ102a上の位置yに対する距離Lのプロットが曲線で表されるように変化する(
図8(B)参照)。ここで位置yは、エッジ102a上の点の位置である。このプロットは、距離Lが一定である区間と、これらに挟持され、距離Lが連続的に、または曲線的に増減する区間を有する。距離Lが連続的、曲線的に増減する区間では、このプロットの傾き(微分係数)が連続的に変化する。あるいは
図8(C)に示すように、距離Lが一定である区間と、距離Lが連続的に増減する区間の間において、このプロットの傾き(微分係数)が連続的に変化してもよい。
【0055】
図7では、配線124が形成される面内において、絶縁膜の側壁が円周の一部を形成するように、絶縁膜の一部が除去される。ただし、絶縁膜の端部の構造はこのような構造に限られない。例えば
図9に示すように、配線124が形成される面内において、絶縁膜の側壁は複数の変曲点146を有するように、絶縁膜を構成してもよい。この場合、絶縁膜は切り欠き部272を有し、位置yに対する距離Lのプロットは、距離Lが一定である区間から連続的に傾きが変化する。
【0056】
詳細は第2実施形態で述べるが、可撓性基板102のエッジ102aから無機化合物を含む絶縁膜、有機化合物を含む絶縁膜、あるいはこれらの両方を部分的に除去することで、可撓性基板102の製造中に、可撓性基板102や絶縁膜にクラックが生じる確率を大幅に低減することができる。特に
図7や
図9で示すように、エッジ102aが湾曲した領域におけるクラックの発生を効果的に抑制することができる。その結果、表示装置の製造歩留りが改善されるだけでなく、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で述べた表示装置100の製造方法を述べる。第1実施形態と同様の構成に関しては、説明を割愛することがある。
【0058】
表示装置100は、いわゆるマザーガラスと呼ばれる支持基板上に複数の表示装置100を形成した後、個々の表示装置100へ分断することによって製造される。例えば
図10に示すように、マザーガラス170上にマトリクス状に複数の表示装置100を形成する。ここでは3行6列に配列した合計18個の表示装置100が1つのマザーガラス170上に形成される態様が図示されている。一つのマザーガラス170上に形成する表示装置100の数に制約はなく、マザーガラス170と表示装置100の大きさや形状などを考慮して決定される。以下、
図5に示した断面構造に対応する断面図を主に用いて表示装置100の製造方法を述べる。
【0059】
まず、
図11(A)に示すように、マザーガラス170上に可撓性基板102を形成する。可撓性基板102は絶縁膜であり、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナートに例示される高分子材料から選択される材料を含むことができる。マザーガラス170は可撓性を持たないため、可撓性基板102がマザーガラス170上に位置しているときには、可撓性基板102はマザーガラス170上に固定された高分子フィルムと認識することができる。可撓性基板102は、例えば印刷法やインクジェット法、スピンコート法、ディップコーティング法などの湿式成膜法、あるいはラミネート法などを適用して形成することができる。
【0060】
可撓性基板102上にはアンダーコート200が形成される(
図11(A))。アンダーコート200は第1実施形態で述べた材料を含むことができ、化学気相成長法(CVD法)やスパッタリング法などを適用して単層、あるいは積層構造を有するように形成することができる。可撓性基板102中の不純物濃度が小さい場合、アンダーコート200は設けない、あるいは可撓性基板102の一部だけを覆うように形成してもよい。
【0061】
次に半導体膜202を形成する(
図11(B))。半導体膜202がケイ素を含む場合、半導体膜202は、シランガスなどを原料として用い、CVD法によって形成すればよい。得られるアモルファスシリコンに対して加熱処理、あるいはレーザなどの光を照射することで結晶化を行ってもよい。半導体膜202が酸化物半導体を含む場合、酸化物半導体を含むターゲットを用い、スパッタリング法を利用して形成することができる。
【0062】
次に半導体膜202を覆うようにゲート絶縁膜204を形成する(
図11(B))。ゲート絶縁膜204は、CVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。引き続き、ゲート絶縁膜204上にゲート206をスパッタリング法やCVD法を用いて形成する(
図11(B))。詳細な説明は割愛するが、半導体膜202の形成後、半導体膜202に対して適宜ドーピングを行い、ソース/ドレイン領域202bやチャネル領域202a、低濃度不純物領域202cなどを形成してもよい(
図11(B))。
【0063】
次にゲート206上に層間膜208を形成する(
図12(A))。層間膜208もアンダーコート200やゲート絶縁膜204と同様、CVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。引き続き層間膜208とゲート絶縁膜204に対してエッチングを行い、半導体膜202に達する開口を形成する(
図12(B))。開口は、例えばフッ素含有炭化水素を含むガス中でプラズマエッチングを行うことで形成することができる。
【0064】
次に開口を覆うように金属膜を形成し、エッチングを行って成形することで、ソース210、ドレイン212を形成する(
図13(A))。これにより、トランジスタ150、152が形成される。本実施形態では図示していないが、ソース210やドレイン212の形成と同時に端子122や配線124などを同時に形成してもよい。
【0065】
次に平坦化膜214を、トランジスタ150、152を覆うようにマザーガラス170の全体の上に形成する(
図13(A))。平坦化膜214は第1実施形態で述べた高分子材料を含むことができ、スピンコーティング法、インクジェット法、印刷法、ディップコーティング法などを適用して形成することができる。その後、平坦化膜214に対してエッチングを行い、ソース210に達する開口部を形成する。さらに、平坦化膜214の端部がエッジ102aと重ならないよう、平坦化膜214に対してエッチングを行う(
図13(B))。すなわち、平坦化膜214の一部をエッジ102aから除去し、層間膜208を露出する。開口部の形成と層間膜208の露出は、同一のエッチング工程で行ってもよく、異なるエッチング工程で行ってもよい。なお、層間膜208が露出された構造は、水分遮断構造とも呼ばれる。
【0066】
引き続き、ソース210を露出する開口部を覆うように接続電極216を形成する(
図14(A))。接続電極216は、例えば導電性酸化物をスパッタリングすることで形成することができる。図示していないが、接続電極216の形成と同時に、導電性酸化物で端子122を覆ってもよい。接続電極216は必ずしも設ける必要は無いが、これを設けることで、その後のプロセスにおいてソース210や端子122が酸化、劣化することを防ぐことができ、その結果、これらの表面におけるコンタクト抵抗の増大を防ぐことができる。
【0067】
引き続き、付加容量電極220を平坦化膜214上に形成する(
図14(B))。付加容量電極220は、ゲート206やソース210、ドレイン212で使用可能な金属や合金を含むことができ、スパッタリング法やCVD法を適用して形成することができる。付加容量電極220は、単層構造、積層構造、いずれの構造を有してもよい。
図14(B)に示すように、本実施形態では、付加容量電極220の形成と同時に配線154、156が層間膜208上に形成される。ただし上述したように、配線154、156はソース210やドレイン212と同時に形成してもよい。
【0068】
その後、接続電極216や付加容量電極220を覆うように絶縁膜222を形成する(
図14(B))。絶縁膜222も窒化ケイ素や窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化ケイ素などの無機化合物を含むことができ、CVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。なお絶縁膜222は、接続電極216の底面の一部を露出する開口を有する。この開口において、表示素子160の第1の電極230と接続電極216が電気的に接続される。また、絶縁膜222は配線154や156の上面の全て、あるいは一部を覆うように形成される。
【0069】
引き続き、
図15(A)に示すように、活性領域104内、および活性領域104から配線領域136へ延伸する絶縁膜をエッジ102aから部分的に除去し、領域270を形成する。ここではアンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、および絶縁膜222に対して同時にエッチングを行い、エッジ102aから配線156の間に存在する上記絶縁膜を部分的に取り除いて可撓性基板102を露出させる。したがって、これらの絶縁膜の側壁は互いに同一平面状に存在し、かつ、エッジ102aから配線156の間、すなわち、エッジ102aと駆動回路134の間、あるいはエッジ102aと表示領域130との間に位置する。図示しないが、この段階において、エッジ102aの湾曲した部分では、切り欠き部272が形成される(
図7参照)。
【0070】
本実施形態では、アンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、および絶縁膜222を同時にエッチングを行って領域270を形成する例を述べたが、各絶縁膜の形成とエッチングを段階的に行ってもよい。例えばアンダーコート200を形成した後にエッジ102aから部分的に除去し、その後ゲート絶縁膜204を形成してもよい。この場合、ゲート絶縁膜204の部分的除去、層間膜208の形成、層間膜208の部分的除去、絶縁膜222の形成、絶縁膜222の部分的除去が順次行われる。
【0071】
次に、接続電極216と接するように、かつ、付加容量電極220を覆うように、第1の電極230を形成する。表示素子160からの発光を第2の電極240から取り出す場合、第1の電極230は可視光を反射するように構成される。この場合、第1の電極230は、銀やアルミニウムなどの反射率の高い金属やその合金を用いる。あるいはこれらの金属や合金を含む膜上に、透光性を有する導電性酸化物の膜を形成する。表示素子160からの発光を第1の電極230から取り出す場合には、透光性を有する導電性酸化物を用いて第1の電極230を形成すればよい。
【0072】
次に、第1の電極230の端部を覆うように、隔壁224を形成する(
図16(A))。隔壁224により、第1の電極230などに起因する段差を吸収し、かつ、隣接する画素132の第1の電極230同士を互いに電気的に絶縁することができる。隔壁224はエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの高分子材料を用い、湿式成膜法で形成することができる。
【0073】
次に表示素子160のEL層232、および第2の電極240を、第1の電極230と隔壁224を覆うように形成する(
図16(B))。EL層232は有機化合物を含み、湿式成膜法、あるいは蒸着などの乾式成膜法を適用して形成することができる。EL層232の構成は任意であり、異なる機能を有する複数の層で構成することができる。例えばEL層232は、キャリア注入層、キャリア輸送層、発光層、キャリアブロッキング層などを適宜組み合わせて形成すればよい。またEL層232は、隣接する画素132間で異なる構造を有してもよい。
図16(B)では、EL層232が正孔注入/輸送層234、発光層236、電子注入/輸送層238を含む例が示されている。
【0074】
表示素子160からの発光を第1の電極230から取り出す場合には、第2の電極240として、アルミニウムやマグネシウム、銀などの金属やこれらの合金を用いればよい。逆に表示素子160からの発光を第2の電極240から取り出す場合には、第2の電極240として、ITOなどの透光性を有する導電性酸化物などを用いればよい。あるいは、上述した金属を可視光が透過する程度の厚さで形成することができる。この場合、透光性を有する導電性酸化物をさらに積層してもよい。なお、第2の電極240は配線154と接続されるように形成することができる。第2の電極240の抵抗が比較的大きい場合、配線154は補助配線として機能し、第2の電極240の高い抵抗に起因する電圧降下を抑制することができる。
【0075】
次にパッシベーション膜250を形成する。
図17に示すように、まず第1の層252を第2の電極240を覆うように形成する。第1の層252は、隔壁224や平坦化膜214を覆い、絶縁膜222と接するように設けることができる。第1の層252は、例えば窒化ケイ素や酸化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などの無機材料を含むことができ、CVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。
【0076】
引き続き第2の層254を形成する(
図17)。第2の層254は、アクリル樹脂やポリシロキサン、ポリイミド、ポリエステルなどを含む有機樹脂を含有することができる。また、
図17に示すように、隔壁224に起因する凹凸を吸収するよう、また、平坦な面を与えるような厚さで形成してもよい。第2の層254は、第1の層252の端部を覆わないように形成することが好ましい。第2の層254は、湿式成膜法によって形成することができる。あるいは、上記高分子材料の原料となるオリゴマーを減圧下で霧状あるいはガス状にし、これを第1の層252に吹き付けて、その後オリゴマーを重合することによって第2の層254を形成してもよい。
【0077】
その後、第3の層256を形成する(
図17)。第3の層256は、第1の層252で使用可能な材料を含むことができ、第1の層252の形成に適用可能な方法で形成することができる。第3の層256も、第2の層254だけでなく、第1の層252と接するように設けることができる。
【0078】
図17では、第1の層252と第3の層256の側壁がアンダーコート200やゲート絶縁膜204、層間膜208などの絶縁膜の側壁と重なり、同一平面状に位置する構成が示されている。このような構造は、例えば、領域270を覆うように(すなわち、可撓性基板102と接するように)第1の層252を形成し、領域270で第1の層252と重なるように第3の層256を形成し、その後エッチングによって第1の層252と第3の層256の部分的除去を行って形成することができる。この場合、第1の層252と第3の層256は端子122上を覆うようにも形成されるが、可撓性基板102を露出するためのエッチングと同時に端子122上の第1の層252と第3の層256も同時に取り除き、端子122を露出することができる。
【0079】
この後、接着層260を用い、キャップフィルム106をパッシベーション膜250上に固定する(
図18)。接着層260としては、例えばアクリル系の接着剤、あるいはアクリレート系の接着剤などを使用することができる。さらに偏光板114をキャップフィルム106上に貼り合わせる。
【0080】
ここまでの段階で、マザーガラス170上に複数の表示装置100の基本構造が形成される。引き続き、マザーガラス170を仮切断し、個々の表示装置へ仮分断する。具体的には、
図10に示す破線172に沿ってマザーガラス170を仮切断する。これにより得られる表示装置100の基本構造の上面図を
図19、
図20に示す。
図19では最上面は偏光板114であり、
図20では偏光板114、キャップフィルム106、および接着層260は示されておらず、最上面には第3の層256が存在する。いずれの図においても、表示領域130や駆動回路134、端子122は点線で表されている。
【0081】
マザーガラス170の仮切断で得られる形状は、表示装置100の最終的な形状よりも大きい。仮切断の後、
図19や
図20中鎖線で示したカットライン174に従ってトリミングが行われ、表示装置100が取り出される。したがって、カットライン174がエッジ102aに相当する。このため
図19や
図20に示すように、カットライン174から内側の活性領域104と配線領域136において、絶縁膜(すなわち、アンダーコート200、ゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、パッシベーション膜250の第1の層252、第2の層254、第3の層256、平坦化膜214、隔壁224)のうち少なくとも一つがエッジ102aから部分的に除去され領域270を形成する。同時に、カットライン174が湾曲している部分(図中、点線の円で囲った領域)では、上記絶縁膜の一部が除去されて切り欠き部272が形成される。ここでは、切り欠き部272は円の一部で表現される曲線形状を有している。したがって領域270は、湾曲した部分を取り囲むように、可撓性基板102の内側に凹んだ形状を有している。
【0082】
具体的な工程の一例を以下に説明する。マザーガラス170の仮切断後、端子122を覆う絶縁膜(例えば第1の層252や第3の層256、あるいは絶縁膜222など)を除去して端子122を露出し、露出した端子122に対してコネクタ118を貼り合わせる(
図21)。図示していないが、コネクタ118を貼り合わせる前、あるいは後に、ICチップ120を搭載してもよい。また、樹脂層108を形成してもよい。なお
図21では、偏光板114やキャップフィルム106は図示していない。
【0083】
次に、マザーガラス170を分離する。具体的には、
図18の直線矢印で示すように、マザーガラス170の底面側からレーザなどの光を照射し、マザーガラス170と可撓性基板102間の接着力を低下させる。その後物理的な力を利用し、これらの界面でマザーガラス170を可撓性基板102から剥離する。これにより、可撓性基板102の底面が露出する。
【0084】
引き続き、第1のベースフィルム110と第2のベースフィルム112を形成する。具体的な方法を
図22に示す。
図22は、
図21に示した構造の底面図である。開口部178を有するラミネーションフィルム176を、可撓性基板102の底面に貼り合わせる。貼り合わせは、アクリル系やエポキシ系接着剤を用い、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、あるいはポリオレフィンやポリカーボナートなどを含有するフィルムをラミネーションフィルム176として用いれてばよい。カットライン174が開口部178を二回横断するよう、ラミネーションフィルム176は選択され、貼り合わせられる。
【0085】
ラミネーションフィルム176を貼り合わせたのち、カットライン174に沿ってトリミングを行う。トリミングは、カットライン174に沿ってカッターを動かしながら行ってもよく、あるいは、カットライン174の形状に成型されたカッターを可撓性基板102の上から押し当てることによって行ってもよい。以上の工程により、表示装置100を製造することができる。
【0086】
上述したように、表示装置100の最終的な形状は、カットライン174に沿ったトリミングによって決定される。トリミングの際、カッターを介して印加される物理的な力により活性領域104や配線領域136に含まれる絶縁膜が変形するためクラックが発生しやすく、クラックが駆動回路134や表示領域130、あるいは配線124へ達すると、配線の断線や劣化、封止構造の破壊が生じる。その結果、映像信号が正常に伝達されない、一部の画素が表示機能を失うなどの不具合が発生し、表示装置100は表示装置としての機能を失う。
【0087】
このため、絶縁膜をカットライン174側から部分的に除去して領域270を形成し、その後にカットライン174に沿ってトリミングを行う。しかしながら、領域270を設けてもクラックの発生を完全に抑制することは困難である。特に領域142のように、カットライン174が湾曲する、あるいは屈曲する部分では、クラック180が発生しやすい(
図23)。これは、カットライン174が湾曲する部分にトリミング時の圧力が集中しやすいためと考えられる。
【0088】
しかしながら、第1、第2実施形態で述べたように、カットライン174が湾曲する部分、すなわち、可撓性基板102のエッジ102aが湾曲する部分を取り囲み、可撓性基板102の内側に凹んだ形状を有するように領域270を形成することで、クラック180の発生を抑制することができる。これは、クラックが発生しやすいエッジ102aから絶縁膜の側壁までの距離が増大するためと考えられる。このため、可撓性の表示装置100を歩留まり良く製造することが可能となるととともに、表示装置100の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で述べた表示装置100と異なる構成を有する表示装置300について説明する。表示装置100と同様の構成については説明を割愛することがある。
【0090】
表示装置300では、第1のベースフィルム110のエッジ110a、あるいは第2のベースフィルム112のエッジ112aと交差する領域において、活性領域104に含まれる絶縁膜の側壁が、配線124が形成する面内において湾曲する。また、エッジ102aから側壁間の距離Lのプロットが曲線で表されるように変化する。
【0091】
具体的な構造を
図24(A)、
図25に示す。
図24(A)は、
図2における領域148を模式的に表した図であり、
図24(A)の鎖線D−D’に沿った模式的断面図が
図25である。
図24(A)に示すように領域148では、活性領域104から延伸する配線124は直線状に延びている。
図24(A)、
図25に示すように、領域148では、絶縁膜の少なくとも一つはエッジ102aから部分的に除去されており、絶縁膜の側壁は、配線124が形成される面において湾曲部を有する。つまり、絶縁膜はエッジ110a、110bと交差する切り欠き部272を有する。そして湾曲部は、第1のベースフィルム110のエッジ110a、あるいは第2のベースフィルム112のエッジ112aと交差する。したがって、絶縁膜の側壁とエッジ102a間の距離Lは、
図24(A)に示すように、第1のベースフィルム110のエッジ110a、あるいは第2のベースフィルム112のエッジ112aと交差する領域において、連続的に変化する。この変化は、第1実施形態と同様、エッジ102a上の位置に対し、曲線で表され、エッジ102a上の位置に対する距離Lのプロットの傾き(微分係数)は連続的に変化する。
【0092】
本実施形態では、
図25に示すように、アンダーコート200やゲート絶縁膜204、層間膜208、絶縁膜222、第1の層252、第3の層256の全てが、エッジ102aから部分的に除去されて領域270を形成し、これらの膜の側壁は同一平面上に存在する例が示されている。また、領域270では可撓性基板102は樹脂層108と接する。しかしながら、本実施形態はこの形態に限られず、活性領域104内に存在する絶縁膜の少なくとも一つがエッジ102aから部分的に除去され、その側壁が上述した構造を有していればよい。
【0093】
領域270の幅が一定、すなわち、部分的に除去された絶縁膜の側壁がエッジ102aと平行である場合、
図24(B)に示すように、エッジ110aやエッジ112aとの交差部において絶縁膜にクラック180が発生する。これは
図24(B)の鎖線E−E’に沿った断面である
図26に示すように、カットライン174に沿ったトリミングによって可撓性基板102やその上に設けられる絶縁膜が変形するが、その際、エッジ110aやエッジ112aと接する部分(図中、矢印で示した部分)には大きな圧力が局所的に印加されるためである。このため、
図24(B)に示すように、エッジ110aやエッジ112aと交差する部分から絶縁膜にクラック180が発生し、可撓性基板102内部へと進行する。
【0094】
しかしながら、絶縁膜の側壁に湾曲部を形成し、湾曲部をエッジ110aやエッジ112aと交差させることで、クラック180の発生を防止する、あるいはクラック180の成長を抑制することができる。このため、表示装置100の歩留まりが改善され、かつ、表示装置100の信頼性を向上させることができる。
【0095】
図24(A)に示した例では、配線124はエッジ110aからエッジ112aにわたる領域において直線形状を有しているが、配線124は、
図27(A)に示すように、エッジ110aやエッジ112aと交差する部分において、エッジ102aからの距離が大きくなるよう、湾曲形状を有していてもよい。この湾曲形状は、配線124が形成される面において、エッジ102aに対し、可撓性基板102の内部へ窪む形状である。各配線124は湾曲形状を複数有し、湾曲形状の間では配線124は直線状に延伸してもよい。
【0096】
切り欠き部272は可撓性基板102の両辺に形成することができる。具体的には
図28に示すように、可撓性基板102の互いに対向する両辺に、エッジ110a、110bと交差するよう、絶縁膜に切り欠き部272を形成することができる。この場合、一つのエッジ(例えばエッジ110a)に交差する切り欠き部272は互いに対称関係にあり、切り欠き部272が可撓性基板102の内側に向くよう、領域270が形成される。
【0097】
したがって配線124の湾曲形状も、互いに対向する切り欠き部272の対称関係に従い、可撓性基板102上の位置によって異なってもよい。具体的には
図28に示すように、各配線124の湾曲部は、可撓性基板102のエッジ102a、102bから内側に湾曲するように配置することができる。例えば一つのエッジ(例えばエッジ102a)よりも、そのエッジに対向するエッジ(例えばエッジ102b)に近い配線124の湾曲部は、そのエッジ(エッジ102a)の方向に湾曲する。逆に、エッジ102bよりもエッジ102aに近い配線の湾曲部は、エッジ102bの方向に湾曲する。これらの配線124は、配線124が延伸する方向に平行な直線に関し、互いに対称になるよう配置される。
【0098】
このような配線配置では、互いに対称関係にあり、かつ、互いに隣接する一対の配線(
図28中の配線124a、124b)が可撓性基板102の中央、もしくはその付近に配置される。配線124aと124bの湾曲部の湾曲方向は互いに逆となる。このため、湾曲部が互いに接しないよう、配線124aと124b間の間隔D2が、他の配線124の間隔D1よりも大きくなるよう、配線124を配置してもよい。具体的には、互いに隣接し、かつ、湾曲部が同じ方向を向く配線124間の間隔D1と比較して間隔D2が大きくなるよう、配線124を配置することができる。
【0099】
配線124の湾曲形状は
図27(A)に示したものに限られず、例えば
図27(B)に示すように、配線124は、エッジ110aとエッジ112aの間にわたって波状の形状を維持してもよい。すなわち、エッジ110aとエッジ112aの間にわたり、配線124は実質的に湾曲形状によって構成され、かつ配線124は一つ以上の変曲点を有することができる。
【0100】
カットライン174に沿ってトリミングを行う場合、カッターからの圧力に起因して配線124も変形する。しかしながらこのような湾曲形状を配線124に付与することで、変形後の配線124の曲率を小さくすることができるため、配線124の損傷を抑制することができ、その結果、配線124の断線を防止することができる。これにより、信頼性の高い表示装置100を提供することができる。
【0101】
あるいは
図29(A)に示すように、配線124が形成される平面内において、配線124は、エッジ110aあるいはエッジ112aと交差する部分で、エッジ102aからの距離が増大するように、折れ曲がった構造を有していてもよい。すなわち、配線124は互いに異なる方向のベクトルを有する二つの直線部を有し、その直線部はエッジ110aあるいはエッジ112aと交差する部分において互いに接続される。この場合配線124は、エッジ110aとエッジ112a間では、エッジ102aに平行な直線部分を有してもよい。
【0102】
あるいは
図29(B)に示すように、配線124はエッジ110aとエッジ112a間にわたってジグザグ形状を有してもよい。この場合、配線124はエッジ110aとエッジ112a間において複数の直線部で構成され、これらの直線部はエッジ102aに対して傾いている。
【0103】
図29(A)や
図29(B)で示す構造を有する配線124は、エッジ110a、あるいはエッジ112aとの交差部において、エッジ102aに対して斜めのベクトル成分を有しているため、トリミング時における圧力が印加されても、変形後の配線124の曲率を小さくすることができる。このため、配線124の損傷を抑制することができ、その結果、配線124の断線を防止することができる。これにより、信頼性の高い表示装置100を提供することができる。
【0104】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態の表示装置100とは構造が異なる表示装置310に関して説明する。第1から第4実施形態で示した構成と同様の構成に関しては説明を割愛することがある。
【0105】
表示装置100と同様、表示装置310の可撓性基板102の幅は、配線領域136では一定ではなく、連続的に幅が変化する部分を有している。しかしながら
図30に示すように、表示装置100とは異なり、活性領域104よりも端子122に近い配線領域136の幅は、端子122よりも活性領域104に近い配線領域136の幅よりも小さい。
【0106】
このため、可撓性基板102のエッジ102aの一部は湾曲する。湾曲した部分では、
図31に示すように、絶縁膜のすべて、あるいは一部が除去されて形成される領域270は、湾曲した部分を取り囲むように、配線124が形成される面内において可撓性基板102の内側に凹んだ形状を有している。すなわち、絶縁膜の全て、あるいは一部は、エッジ102の湾曲部の少なくとも一部を囲むように、えぐれた切り欠き部274を有している。このため、エッジ102aと部分的に除去された絶縁膜の側壁間の距離Lは、エッジ102aが湾曲した部分では一定ではなく、変化する。この変化は、表示装置100のそれと同様である。
【0107】
図示していないが、表示装置300と同様、領域270は、第1のベースフィルム110のエッジ110a、あるいは第2のベースフィルム112のエッジ112aと交差する切り欠き部272を有していてもよい。
【0108】
表示装置100と同様、湾曲したエッジ102aの近傍において、無機化合物を含む絶縁膜、有機化合物を含む絶縁膜、あるいはこれらの両方を部分的に除去して切り欠き部274を形成することで、トリミング時のクラックが発生を抑制することができる。その結果、表示装置の製造歩留りが改善されるだけでなく、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0109】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0110】
本明細書においては、開示例として主にEL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0111】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。