【課題を解決するための手段】
【0008】
最初に述べた種類のプラグインサートは、プラグ側およびコンタクト側を接続する少なくとも1つのレセプタクル内で、少なくとも1つのコンタクト素子のコンタクトピンを位置決めするためにプラグ側およびコンタクト側からアクセス可能な少なくとも1つの位置決め要素が、少なくとも1つのレセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られることから、この課題を解決する。
【0009】
本発明によるそのような位置決め要素には、プラグインサート内に組み立てられたコネクタのはんだ付けピンが、プラグインサートに対して案内され、それらの空間位置が固定されるという利点がある。これにより、必要とされるはんだ付け許容範囲を確保することが可能になる。
【0010】
以下、本発明の本質的に有利な実施形態について記載するものとする。記載する実施形態の技術的な特徴は、所望どおり組み合わせることができ、省略される技術的な特徴によって実現される技術的効果が重要でない限り、個々の技術的な特徴を省略することもできる。
【0011】
レセプタクルは、プラグ側からコンタクト側へのプラグインサート内の開口として理解することができる。少なくとも1つのレセプタクル内に、プラグまたはブッシングの形式のものなど、最も異なるコンタクト素子を収容することが考えられる。
【0012】
位置決め要素は、受け取られるコネクタの所望の幾何形状に合わせて設計することができ、すなわち、対応する数およびサイズおよび幾何形状の位置決め要素の支持部分を有することができ、したがって、プラグ、特に個々のコンタクトピンの相補形の幾何形状を、位置決め要素によって保持または支持することができる。
【0013】
位置決め要素は、プラグ側およびコンタクト側からアクセス可能であるため、位置決めされる要素は、両側から位置決め要素内へ導入しまたは位置決め要素上に装着することができる。
【0014】
本発明によるプラグインサートの一実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素は、少なくとも1つの接続ウエブによってレセプタクルへ接続される。そのような接続ウエブには、位置決め要素の位置をプラグインサートに対して直接確立することができるという利点がある。
【0015】
接続ウエブは、好ましくは、レセプタクルへ一体に接続することができ、または別個に設計し、適した手段で少なくとも1つのレセプタクル内に固定することができる。
【0016】
本発明によるプラグインサートの別の実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素内にコンタクトピンを受け取るための少なくとも1つの心合わせ開口が、位置決め要素内に提供され、少なくとも1つの心合わせ開口は、プラグ側からコンタクト側へ連続して設計される。心合わせ開口には、心合わせ開口内に受け取られるコンタクトピンの位置が、挿入方向に直交するすべての方向に沿って境界を画される、または確立されるという利点がある。
【0017】
少なくとも1つの心合わせ開口は、コンタクトピンの所望の位置(所与の位置決め許容範囲内)の周りまたは所望の位置内でコンタクトピンの心合わせを可能にするという意味で理解されたい。受け取られるコンタクトピンまたは心合わせ開口の位置は、特にいくつかの心合わせ開口が提供される場合(たとえば、FAKRAプラグ接続の場合)、位置決め要素内で中心を外して配置することができる。
【0018】
しかし、少なくとも1つの心合わせ開口はまた、位置決め要素内で実質的に中心に配置することができる。
【0019】
本発明によるプラグインサートの一実施形態では、少なくとも2つの接続ウエブが、少なくとも1つのレセプタクル内で少なくとも1つの位置決め要素を実質的に対称に保持する。2つの接続ウエブの使用には、プラグインサートに対する位置決め要素の位置の安定性が著しく増大するという利点がある。少なくとも1つのコンタクト素子が挿入されるときに、位置決め要素に対してまたは位置決め要素内で少なくとも1つのコンタクト素子を固定することは、機械抵抗を伴い、この挿入プロセス中、実際上の方向は常に変動する可能性があるため、接続ウエブを対称に設計し、したがって少なくとも2つの接続ウエブが挿入プロセスによる同一の負荷を受けるように設計されることが有利である。
【0020】
特に少なくとも1つの位置決め要素を有するプラグインサートの一体の実施形態では、プロセス技術の観点から、少なくとも2つの対称に配置された接続ウエブを提供することが有利である。一体に設計された位置決め要素を有するプラグインサートは、たとえば射出成形によって形成することができ、射出成形プロセス中、単一の接続ウエブによってプラグインサートへ接続された位置決め要素は、そのような単一の接続ウエブは射出成形ダイの除去および可能なさらなる機械加工(ばり取り)時に容易に破損し得るため、それほど有利でないはずである。
【0021】
位置決め要素の材料に対する要件は、プラグインサートの材料に対する要件とは異なる可能性があるため、位置決め要素は、プラグインサートとは異なる材料または異なる材料組成物を有することができる。
【0022】
したがって、位置決め要素の材料は、たとえばその電気特性、たとえば誘電率または電気抵抗に関して、最適化することができる。
【0023】
他方では、プラグインサートの材料は、有利な機械特性、たとえば高い破壊応力および耐衝撃性を有することができる。
【0024】
プラグインサートと位置決め要素との間の一体接続は、たとえば2ショット射出成形によって実現することができる。2ショット射出成形は、2成分射出成形としても知られている。この方法が使用されるとき、プラグインサートを第1の射出成形ステップで形成し、位置決め要素を第2の射出成形ステップで形成し、これらのプラグインサートおよび位置決め要素を一体に連結することができる。
【0025】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素の周りで円周方向に少なくとも1つの開口が位置し、少なくとも1つの開口は、プラグ側からコンタクト側へ連続して設計される。少なくとも1つの開口は、遮蔽要素を受け取るように設けることができる。さらに、位置決め要素の幾何形状に応じて、少なくとも1つの開口は、異なる断面を有することができる。したがって、たとえば、開口は、矩形、N角形、または円環の弧とすることができる。
【0026】
特に少なくとも1つの位置決め要素が矩形の断面を有する場合、少なくとも1つの開口、好ましくは複数の開口は、位置決め要素の外形に対して相補形の形状を有することができる。
【0027】
接続ウエブは、矩形(たとえば)の位置決め要素に様々な位置で連結することができ、したがって、開口は、矩形の1つの側端に沿ってまたは矩形の1つの角の周りにのみ延出することができる。
【0028】
位置決め要素が円形の形状である場合、少なくとも1つの開口は、円環の弧の形状を有することができる。円環の弧とは、円環に基づく幾何形状を意味し、円環の中心から始まる2つの異なる位置で径方向に切断されている。
【0029】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、プラグインサートは、少なくとも1つのプラグ側接続ウエブおよび少なくとも1つのコンタクト側接続ウエブを有し、少なくとも1つのプラグ側接続ウエブおよび少なくとも1つのコンタクト側接続ウエブは、少なくとも1つの位置決め要素の周りで円周方向に互いに対してずれており、かつプラグ側またはコンタクト側の方へ互いに対してずれている。
【0030】
互いに対する少なくとも1つのコンタクト側接続ウエブまたは少なくとも1つのプラグ側接続ウエブのずれには、プラグインサートに対する位置決め要素の取付けの安定性をさらに増大させることができるという利点がある。
【0031】
言い換えれば、プラグインサートのこの実施形態では、少なくとも1つのプラグ側接続ウエブは、少なくとも1つのコンタクト側接続ウエブによって形成される開口内へ突出し、少なくとも1つの接続側接続ウエブは、少なくとも1つのプラグ側接続ウエブによって形成される開口内へ突出する。
【0032】
したがって、この実施形態は、2組の接続ウエブを有し、第1の組の接続ウエブは、位置決め要素上でコンタクト側の方へ配置することができ、第2の組の接続ウエブは、位置決め要素上でプラグ側の方へ設定することができる。
【0033】
したがって、コンタクト側接続ウエブによって形成される開口は、プラグ側接続ウエブと少なくとも部分的に境界を接することができ、プラグ側接続ウエブによって形成される開口は、コンタクト側接続ウエブと少なくとも部分的に境界を接することができる。
【0034】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、遮蔽要素を少なくとも部分的に受け取るための受取りポケットが、レセプタクル内に配置される。受取りポケットの実施形態には、たとえば、遮蔽要素を受取りポケット内に受け取ることができ、受取りポケットの側には別の遮蔽要素が配置され、したがって2つの遮蔽要素が重なるという利点がある。
【0035】
受取りポケットは、レセプタクルの内周に沿って配置することができ、プラグ側またはコンタクト側の方へ開いている。
【0036】
同様に、受取りポケットは、少なくとも1つの接続ウエブと少なくとも1つの位置決め要素との間に設計することができる。すなわち、受取りポケットは、位置決め要素の外周上に形成することができる。
【0037】
位置決め要素の外周上に形成される受取りポケットもまた、コンタクト側またはプラグ側の方へ開くことができる。
【0038】
受取りポケットは、少なくとも部分的に円環として形成することができ、相補形の遮蔽要素、すなわち少なくとも部分的に中空円筒である要素を受け取るように設計することができる。
【0039】
特に、受取りポケットは、レセプタクルの内周または位置決め要素の外周の周りに完全に、すなわち途切れなく形成することができる。
【0040】
受取りポケットの外壁は、接続ウエブ内へさらに進むことができる。したがって、そのような接続ウエブは、受取りポケットと位置決め要素との間または受取りポケットとコンタクトチャンバの内壁との間に位置することができる。
【0041】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、受取りポケットは、受取りポケットの1つの延出方向で、少なくとも1つの接続ウエブに完全に重なり、または少なくとも1つの接続ウエブを越えて延出する。プラグインサートのこの実施形態では、2つの遮蔽要素がプラグインサートの異なる側から受け取られた場合、この実施形態は、遮蔽要素の重なりを確保する。
【0042】
純粋に一例として、位置決め要素の外周上に配置された受取りポケット内へ、コンタクト側から第1の遮蔽要素を挿入することができ、プラグ側からは、径方向に第1の遮蔽要素より大きい直径を有する第2の遮蔽要素が、レセプタクル内に受け取られ、位置決め要素をレセプタクルの内壁に連結する接続ウエブに当接するまで、そのように挿入することができる。第1の遮蔽要素の受取りポケットは、接続ウエブを越えてプラグ側の方向に突出することができ、さらに第2の遮蔽要素は、レセプタクル内に接続ウエブまで受け取ることができるため、第1の遮蔽要素と第2の遮蔽要素の重なりが確保される。
【0043】
同様に、少なくとも1つの接続ウエブが円周全体の周りに連続して形成され、したがって、受取りポケットがいつもプラグ側とコンタクト側の両方に形成されることが考えられる。そのような受取りポケットはまた、レセプタクルの内壁の肩または位置決め要素の外壁の肩において円周方向に配置された溝と考えることができる。
【0044】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも2つの遮蔽要素を備える電磁シールドが提供され、遮蔽要素はそれぞれ、プラグ側またはコンタクト側から少なくとも1つのレセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られて、電磁シールドを形成する。いくつかの部分内の電磁シールド、すなわち少なくとも2つの遮蔽要素を有する電磁シールドの実施形態には、電磁シールドのこのモジュール式の配置をプラグインサートの前述した実施形態と組み合わせて使用することができ、さらに連続する電磁シールドが確保されるという利点がある。
【0045】
したがって、本発明のこの実施形態により、いくつかの遮蔽コネクタが組み立てられまたは遮蔽コネクタと未遮蔽コネクタが組み立てられるときに電磁シールドを確保することがさらに可能になる。
【0046】
モジュール式電磁シールドは、使用されるコネクタのワンピースシールドと実質的に同じ幾何寸法を有することができる。従来技術の解決策とは異なり、そのようなモジュール式電磁シールドは、一方の側からプラグインサート内へ導入されるのではなく、少なくとも2つの遮蔽要素はそれぞれ、プラグ側およびコンタクト側から少なくとも1つのレセプタクル内にそれぞれ受け取られる。
【0047】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも2つの遮蔽要素はそれぞれ、少なくとも1つの位置決め要素と少なくとも1つのレセプタクルの内壁との間に少なくとも部分的に配置される。遮蔽要素のそのような配置には、少なくとも1つのコンタクト素子が遮蔽要素によって完全に囲まれるという利点がある。
【0048】
好ましくは、少なくとも2つの遮蔽要素のうちの少なくとも1つは、レセプタクルの内壁上で直接境界を接することができ、したがって、一方では、電磁シールドは、プラグインサートに対してその位置で安定化または固定され、他方では、少なくとも1つのレセプタクルは、少なくとも1つのコンタクト素子を受け取るために最適に利用することができる。
【0049】
少なくとも2つの遮蔽要素は、中空円筒として少なくとも部分的に構成することができ、または互いに組み立てたときに中空円筒をもたらす中空円筒部分となることができる。
【0050】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも2つの遮蔽要素のうちの一方の遮蔽要素の1つの端部が、少なくとも2つの遮蔽要素のうちの少なくとも1つの他方の遮蔽要素の1つの端部に少なくとも部分的に重なる。そのような重なりのため、実質的に完全な電磁シールドおよび電磁シールドによって囲まれる容積の干渉抑制が確保される。前述した電気コネクタは、この容積内に位置することができる。
【0051】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも2つの遮蔽要素のうちの少なくとも1つが、円周方向に1つの端部に、少なくとも1つの凹部を有し、その結果、歯部が形成される。1つまたは複数の凹部には、接続ウエブをその中に受け取ることができ、したがって、遮蔽要素の一部分である残りの歯部は、接続ウエブを越えて延出することができるという利点がある。
【0052】
接続ウエブの数に応じて、少なくとも2つの遮蔽要素のうちの少なくとも1つは、接続ウエブの数に対応する数の凹部を備えることができる。
【0053】
さらに、歯部を備える遮蔽要素には、接続ウエブが少なくとも1つの凹部内に機械的に係合するため、接続ウエブおよび少なくとも1つの凹部が、長手方向軸の周りで回転しなくなり、したがって、プラグ側遮蔽要素に接線方向に作用する力が、コンタクト側遮蔽要素へ伝送されないという利点がある。
【0054】
少なくとも2つの遮蔽要素からなるモジュール式の設計によって、プラグ側遮蔽要素とコンタクト側遮蔽要素との間の回転のある程度の切り離しが、すでに提供されている。ある程度の切り離しとは、少なくとも2つの遮蔽要素間に十分な摩擦が与えられても、依然として回転が伝送される可能性があることを意味する。
【0055】
歯部の歯は、円環の弧の形状の断面、矩形の断面、N角形の断面、または任意の他の形状の断面を有することができる。
【0056】
少なくとも2つの遮蔽要素は、電磁シールドが組み立てられたときにフォーク状に互いに重なり、したがって間隙のないシールドを確保するような歯部を有することができる。
【0057】
プラグインサート上またはプラグインサート内における少なくとも2つの遮蔽要素の固定は、プレス嵌めの幾何形状および/または戻り止めの幾何形状によって行うことができる。
【0058】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、プラグ側からレセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られた遮蔽要素の歯部は、コンタクト側からレセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られた遮蔽要素の歯部に対して実質的に相補形になるように構成される。歯部の相補形の実施形態により、1つの遮蔽要素の凹部を第2の遮蔽要素の歯部の歯で覆うことが可能になる。
【0059】
さらなる実施形態では、少なくとも2つの遮蔽要素の歯部は、互いに少なくとも部分的に重なる。歯部が少なくとも部分的に重なることには、プラグインサート、特にレセプタクル、少なくとも1つの接続ウエブ、および位置決め要素をより簡単な設計にすることができるという利点がある。この実施形態は、たとえば、2つの遮蔽要素の不完全な重なりにかかわらず、すなわち電磁シールド内に自由部分が残っている状態で、遮蔽要素によって少なくとも部分的に囲まれる容積内への自由部分を介した干渉信号の投入に対する許容値を超過しない場合に選択することができる。
【0060】
自由部分のサイズは、接続ウエブの断面のサイズに実質的に対応することができる。
【0061】
本発明によるプラグインサートのさらなる実施形態では、少なくとも部分的に重なる歯部間に、遮蔽要素の材料の厚さより小さい間隔が存在する。
【0062】
電磁放射が遮蔽要素の一部に当たることなく重なり領域を斜めに通過することを防止するために、遮蔽要素の重なり領域間の間隔を可能な限り小さく維持することが有利である。
【0063】
以下、本発明によるプラグインサートについて、添付の図面を用いてより詳細に説明するものとする。これらの図面は、本発明の特有の例示的な実施形態を示す。図示する個々の実施形態の技術的な特徴は、互いに自在に組み合わせることができ、または場合により省略することができる。同じ技術的な特徴または同じ技術的な作用を有する特徴には、同じ参照番号を与える。