特許第6946258号(P6946258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6946258
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】漬け込み用調味液
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20210927BHJP
   A23L 13/50 20160101ALI20210927BHJP
【FI】
   A23L27/00 D
   A23L13/50
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-228662(P2018-228662)
(22)【出願日】2018年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-110898(P2019-110898A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2021年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-245215(P2017-245215)
(32)【優先日】2017年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚美
(72)【発明者】
【氏名】小塚 和子
(72)【発明者】
【氏名】高崎 裕介
【審査官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−111571(JP,A)
【文献】 特開2014−150730(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/204618(WO,A1)
【文献】 特開2019−149947(JP,A)
【文献】 特開2013−9671(JP,A)
【文献】 Indian Butter Chicken Recipe Base,Mintel GNPD [online],2021年05月13日,retrieved from the internet: <https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/4220175/from_search/pVq2s0WYAH/?page=1>, [retrieved on 2021.05.07]
【文献】 Tikka Masala Indian Simeer Sauce,Mintel GNPD [online],2015年07月,retrieved from the internet: <https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/3213053/from_search/pVq2s0WYAH/?page=1>,[retrieved on 2021.05.07]
【文献】 Thin Chicken Fillets with Pepper-Paprika Seasoning,Mintel GNPD [online],2013年08月,retrieved from the internet: <https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/2158971/from_search/XCRRUkt9bo/?page=2>,[retrieved on 2021.05.07]
【文献】 印南 敏、桐山 修八 編,改訂新版 食物繊維,初版,第一出版株式会社,1995年05月20日,第343頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JCHEM(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品素材の漬け込みに用いる調味液であって、果実ファイバーを調味液全体に対して0.03〜2.0%(W/W)含有し、粘度が200cp〜1500cpであることを特徴とする漬け込み用調味液。
【請求項2】
前記果実ファイバーが、シトラスファイバーまたはアップルファイバーである、請求項1に記載の漬け込み用調味液。
【請求項3】
衣をつけてから揚げにする前に前記食品素材を漬け込むための、請求項1または2に記載の漬け込み用調味液。
【請求項4】
前記食品素材が鶏肉である、請求項1ないしのいずれに記載の漬け込み用調味液。
【請求項5】
食品素材と請求項1ないしのいずれかに記載の漬け込み用調味液とを、重量比が1:0.05以上となるように混合した後、5分から30分間漬け込むことを特徴とする漬け込み食品素材の製造方法。
【請求項6】
前記食品素材が鶏肉である、請求項に記載の漬け込み食品素材の製造方法。
【請求項7】
重量比で1:0.05以上の請求項1ないしのいずれかに記載の漬け込み用調味液に、5分から30分間漬け込まれた食品素材。
【請求項8】
前記食品素材が鶏肉である、請求項に記載の食品素材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短い漬け込み時間でも肉類等の食品素材への味の付着や染み込みがよく、揚げた後のから揚げの衣の食感もよい、食品素材の漬け込み用調味液に関する。また、その漬け込み用調味液による漬け込み食品素材の製造方法、および漬け込まれた食品素材に関する。
【背景技術】
【0002】
肉類等の食品素材を調味液に一定時間漬け込むことで、予め素材に味付けをしてから小麦粉や片栗粉などの衣をつけ、揚げ調理するから揚げは、家庭用及び業務用を問わずに一般的に行われている料理である。近年、食品素材を調味液に漬け込むことで、素材に味をつけることばかりでなく、調理後ジューシーで柔らかい食感とすることを目的とした調味料が開発されている。しかし、焼肉やから揚げのおいしさとして、食品素材内部が適度に味付けされジューシーで柔らかい食感であることも重要であるが、それ以上に、から揚げの場合は衣がサクサクとした食感を持つことが、食した際のおいしさの重要な要因である。
【0003】
食品素材に味を染み込みやすくするためには、調味液は低粘度であることが必要であるが、食品素材を漬け込んでも素材への付着性が悪く、素材から調味液が直ぐ流れ落ちてしまうために、素材への味の染み込みが均一になるまでに時間がかかるという問題がある。また、調味液の付着性が悪いため、調理してから食した際に味が薄いと感じるとともに、素材の表面がサクサクとした食感とはならないという問題もある。これらの問題を解決するために、増粘多糖類、澱粉、セルロースやペクチンのような食物繊維等を用いて付着性をあげることで、食品素材からの肉汁等の流出を防止するとともに調味液が素材に付着しやすくした先行技術が開示されている。
【0004】
例えば、肉の焼き調理時に過度な水分蒸散による乾燥を防ぎ、歩留を向上しジューシーで柔らかい肉質を実現する未湖化澱粉を含有する焼肉用漬け込みだれが開示されているが、調理後の焼肉表面の食感についての記載はない(特許文献1)。また、炙り寿司用の塗布用調味液として、食品素材への付着性に優れ、垂れにくい調味液として、架橋澱粉、キサンタンガム及び高メトキシルペクチンを含有する粘度が2000〜20000mPa・sである酸性粘性調味液(特許文献2)、あるいは、水、醤油、異性化糖などの液体原料に、粉末セルロース及び化工澱粉などの増粘剤を加えた、2000mPa・s程度の粘度を呈するコーティング用調味組成物が提案されている(特許文献3)が、どちらも調味液の粘度を高くすることを目的としている。
【0005】
しかし、食品素材を漬け込む場合、粘度が高い漬け込み用調味液は分散性が悪いことから十分にもみ込むことが必要になり、調理に手間がかかるというという欠点がある。また、素材への味の染み込みが悪いばかりでなく、調理後、食して直ぐに味を濃く感じる、あるいは、素材表面に付着する調味液の水分が多ことから十分に水が抜け切らずに素材表面がサクサクとした食感にならないという問題がある。したがって、特許文献1〜3の先行技術には、調理後の素材表面のサクサク感に関する記載はない。
【0006】
このように、肉等の食品素材に対して少ない調味液量にもかかわらず、もみ込み等の煩雑な操作が不要であり、30分以下の短い漬け込み時間で食品素材への付着性や味の染み込みがよく、適度に素材表面に調味液が残存し、また調理後には、素材内部に味が適度に付き、さらに、素材の表面の食感がサクサクとなるから揚げが調理できる漬け込み用調味液が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−197999号公報
【特許文献2】特開2003−169624号公報
【特許文献3】特開平6−141815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、焼肉やから揚げの調理の際に食品素材を漬け込む調味液として、短い漬け込み時間で、かつ、もみ込みをしなくても素材への味の付着や染み込みがよく、しかも、油揚調理後の衣の食感がサクサクとなる食品素材の漬け込み用調味液を提供することを課題とする。また、その漬け込み用調味液による漬け込み食品素材の製造方法、および漬け込まれた食品素材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の(1)〜()の漬け込み用調味液に関する。
(1)食品素材の漬け込みに用いる調味液であって、果実ファイバーを調味液全体に対して0.03〜2.0%(W/W)含有し、粘度が200cp〜1500cpであることを特徴とする漬け込み用調味液。
(2)前記果実ファイバーが、シトラスファイバーまたはアップルファイバーである、上記(1)に記載の漬け込み用調味液。
(3)衣をつけてから揚げにする前に前記食品素材を漬け込むための、上記(1)または)に記載の漬け込み用調味液。
(4)前記食品素材が鶏肉である、上記(1)ないし()のいずれに記載の漬け込み用調味液。
【0010】
また、本発明は、以下の()、()の漬け込み食品素材の製造方法、および()、()の漬け込まれた食品素材に関する。
(5)食品素材と上記(1)ないし()のいずれかに記載の漬け込み用調味液とを、重量比が1:0.05以上となるように混合した後、5分から30分間漬け込むことを特徴とする漬け込み食品素材の製造方法。
(6)前記食品素材が鶏肉である、上記()に記載の漬け込み食品素材の製造方法。
(7)重量比で1:0.05以上の上記(1)ないし()のいずれかに記載の漬け込み用調味液に、5分から30分間漬け込まれた食品素材。
(8)前記食品素材が鶏肉である、上記()に記載の食品素材。
【発明の効果】
【0011】
本発明の漬け込み用調味液を用いれば、から揚げ等の調理において、肉類等の食品素材を漬け込む際に、短時間で食品素材に調味液が付着し、味が染み込みやすく、片栗粉等の衣がよく付着し、しかも加熱調理後には、衣がサクサクとした食感のから揚げが調理できる。また、本発明の漬け込み用調味液を用いれば、揚げ調理をする前の鶏肉等の漬け込み食品素材を、少量で簡単に下ごしらえすることができる。
本発明の漬け込み用調味液は、家庭用または業務用として、コストを低く抑えるとともに、廃棄調味料の低減や調理における簡便さから、肉等の食品素材に対してできるだけ少量の調味液でも、適度に味が染み込んだサクサクとした食感を持つから揚げを調理できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の漬け込み用調味液は、醤油、みりん等の調味料に果実ファイバーを含有する液状調味料であり、下味を付ける必要のある肉類等の食品素材を漬け込むための調味液である。
【0013】
栄養学的には、食物繊維とは、ヒトの消化酵素によって消化されない食物中の難消化性成分の総称と定義され、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類される。
水溶性食物繊維には、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グルコマンナン、アガロース(寒天)、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ポリデキストロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グアガム、難消化性デキストリン等があり、不溶性食物繊維には、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等がある。食物繊維は、一般的に分子量の大きな多糖類であり、水溶性食物繊維はゲル化剤、増粘剤として用いられ、水に対する溶解性が極端に低い不溶性食物繊維は、微細粉末として用いられる。
【0014】
一方、穀物ファイバー、果実ファイバーのように、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維からなる複合型食物繊維は、水に対して完全に溶解はしないものの、膨潤により多量の水分を保持することで増粘させることが可能である。
本発明の果実ファイバーは、このような複合型食物繊維である果実由来の食物繊維であり、具体的には、シトラスファイバー、アップルファイバー、そのほか柿、イチジク、パイナップル、アボガド、バナナ、ブドウ、梨、スイカ、いちご等のファイバーを挙げることができ、これら果実ファイバーは、単独でも2種以上を適宜組合せて用いてもよい。
【0015】
これら果実ファイバーの中でも、保水性が特に高いことから、シトラスファイバー、アップルファイバーが好ましい。
シトラスファイバーとは、オレンジ、レモンあるいはライム等の柑橘類を圧搾後、絞り液からジュースを除き残渣物を得て、この残渣物を粉末化したもの、あるいはさらに高衝撃等の手段により細胞壁を破壊したものが含まれる。本発明に用いられるシトラスファイバーとしては、シトラスファイバー(ユウテック社製)、シトリ・ファイ100FG(ファイバースター社製)、ヘルバセルAQプラス(ヘルバフード社製)等が好適に用いられる。
【0016】
シトラスファイバーは、他の複合型食物繊維と比較して保水力が高いという特徴があり、特に、ヘルバセルAQプラスは、オレンジなどの柑橘類(シトラスフルーツ)を圧搾後、絞り液からジュースを除き乾燥したピールを特殊粉砕して製造したもので、このシトラスファイバーは、原料フルーツ由来の細胞構造を保持してスポンジ状の多孔質の構造を有するため、吸水力が著しく向上して水との結合性が高まり、結果的に取り込まれた水の保水力を向上させる。具体的には、1g当たりの保水量が20mL以上という高い保水力を示し、他の複合型食物繊維より高い保水力を示す一般的なシトラスファイバーの1g当たりの保水量である10mL以下と比較しても、2倍以上の保水力がある。
【0017】
また、アップルファイバーは、リンゴ果実由来のパルプ(リンゴ果汁搾汁残渣、または果汁を含むパルプ)を乾燥、粉末化したものであり、シトラスファイバーと同様に、他の複合型食物繊維と比較して保水力が高いという特徴がある。本発明に用いられるアップルファイバーとしては、市販のアップルファイバーであればどれも好適に用いられる。
【0018】
果実ファイバーとして特に保水力の高いシトラスファイバーであるヘルバセルAQプラスを用いる場合、調味液全体に対して0.03〜2.0%(w/w)を配合することが好ましく、より好ましくは、0.05〜1.5%(w/w)、さらに好ましくは0.1〜0.7%(w/w)を配合するとよい。0.03%未満の場合、肉類等の食品素材への漬け込み用調味液の付量が少なくなり、から揚げにした際の衣のサクサク感が減少する。また、2.0%を超えると、調味液が素材に絡めづらくなり、食材への味の染み込みに時間がかかる。また、素材への漬け込み用調味液の付着量が過剰となり、から揚げの衣が硬くなったり、表面が焦げ付いたりすることにより、から揚げの味や食感が劣る。シトラスファイバーは、他の食物繊維と比較すると高価なため、2.0%を超えて漬け込み用調味液に配合することは、製品単価が高くなる等の問題がある。
【0019】
果実ファイバーとして、ヘルバセルAQプラス以外のシトラスファイバーやアップルファイバーの粉末を用いる場合、調味液全体に対する配合量は、0.03〜2%(w/w)の範囲内で適宜調整する必要があるが、一般的には2%(w/w)を超えて配合すると、から揚げの衣が硬くなったり表面が焦げ付いたりする。
【0020】
また、本発明の漬け込み調味液の粘度は、200〜1500cpであることが好ましく、300〜900cpであることがより好ましい。1500cpを超えると、調味料が少量の場合に調味料が素材に均一にいきわたりにくい、あるいは、素材への味の染み込みに時間がかかり、一方、200cp未満の場合、味の染み込みはよいものの素材への付着性が悪くなり、片栗粉等の衣の付着が十分でなく、から揚げの衣のサクサク感が不足する。
【0021】
本発明の肉等の食品素材を漬け込むための調味液において、特にシトラスファイバーやアップルファイバーを0.03〜2.0%(w/w)の範囲で配合する際には、調味液の粘度を200〜1500cpに調整すると、調味液が素材の表面によりよく付着するとともに、3分以下という短時間で素材へ味が染み込み、この漬け込んだ素材に衣をつけて揚げ調理すると、よりサクサクとした食感の衣を持つから揚げとなる。
【0022】
本発明における漬け込み用調味液は、畜肉、水産物を含む様々な食品素材に用いることができるが、鶏肉、豚肉、あるいは牛肉等の畜肉類をから揚げ調理する前に漬け込むための調味液として使用することが好適である。調味液の物性や風味を調整するために、調味液に様々な調味成分が配合されるが、本発明の漬け込み用調味液においては、漬け込み調味液としての粘度を適切な範囲に、好ましくは200〜1500cpの範囲に調整されていれば、漬け込み用調味液に配合する調味液成分に特に限定はない。
【0023】
たとえば、砂糖、水あめ、甘草エキス等の甘味料類、醤油等の発酵調味料、みりん等の酒類調味料、昆布や鰹節等のだし類、畜肉類や魚介類や酵母等のエキス、塩、香辛料、味噌類等、一般的に調味液に配合される成分が使用できる。また、生あるいは加熱乾燥したたまねぎやにんにく等の香味野菜のエキス、ペースト、あるいはカットした粒状物等を配合することができる。
【0024】
漬け込み用調味液に粘性を付与することは、食物繊維を調味液中に均等に分散するためにも必要である。液状調味料の粘度は、澱粉類あるいは増粘多糖類等を用いて付与することが一般的に行われている。本発明の漬け込み用調味液においても、とうもろこし、タピオカ、馬鈴薯等から由来する澱粉、及びそれらのアルファ化澱粉や加工澱粉から選ばれた1種又は2種以上の澱粉類、あるいはキサンタンガム、ウエランガム、グアガム、カラギーナン等の増粘多糖類等から選ばれた1種又は2種以上の増粘多糖類、さらには、澱粉類と増粘多糖類を組み合わせることで付与することができる。
【0025】
肉等の食品素材を焼肉やから揚げ等に調理する際には、食品素材の味付けのために、下ごしらえ用の調理バッドに並べた食品素材や、調理・保存用ポリエチレン袋等に入れた食品素材に、漬け込み用調味液を絡めて静置して味を染み込ませた後、次の調理工程に進むことが一般的である。この場合、調理バッドや調理用袋内の全ての食品素材に、均一に調味液を付着させ味を染み込ませるためには、食品素材の重量に対する漬け込み用調味液の重量比が重要となる。本発明の漬け込み用調味液は、食品素材1部に対して漬け込み用調味液を重量比で0.05部以上となるように漬け込むことができ、0.1部以上を用いて漬け込むことが好ましい。
【0026】
食品素材に対して漬け込み用調味液を、0.25部を超えて使用すると、廃棄となる漬け込み用調味液の量が多くなる等の理由から、漬け込み用調味液を、食品素材の重量に対して0.25部以下で使用することが好ましい。
本発明の漬け込み用調味液は、濃縮された調味液として提供してもよい。濃縮された漬け込み用調味液を使用する場合は、水あるいはだし等で希釈して用いる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。また、実施例における「%」は全て「%(w/w)を意味する。
【0028】
<漬け込み用調味液への果実ファイバーの配合量と粘度の検討>
(漬け込み用調味液の調製)
下記表1に示す配合量で、市販の醤油、みりん、砂糖、食塩、水、を混合した後、シトラスファイバーまたはアップルファイバーとキサンタンガムをエスミールに分散して添加し、90℃達温加熱後に冷却して、果実ファイバーの配合量が0.25%の試験例1および試験例2の漬け込み用調味液を得た。シトラスファイバーとしてヘルバセルAQプラス(ヘルバフード社製)を、アップルファイバーとしてアップルファイバー(ヘルシーカンパニー株式会社製)を用いた。
【0029】
【表1】
【0030】
(粘度の測定)
漬け込み用調味液の粘度は、東京計器社製B形粘度計を用いて、温度25℃、ローターNo.2を用いて回転数12rpmで30秒間回転させて計測した。
【0031】
(漬け込み後の鶏肉への調味液の付着量と調味液の絡めやすさ、及び、から揚げにした際の鶏肉の味と衣のサクサク感に関する評価)
食品素材としては、鶏ムネ肉(以下、「鶏肉」という)を用いた。鶏肉200gを5等分にカットし、ポリエチレン製の調理用保存袋に入れ、表1に示した漬け込み調味液を肉に対して10%加えた。次いで、鶏肉を袋上から4〜5回揉んで机上に10分間静置した後、調味液の絡めやすさを評価した。また、漬け込み後の鶏肉を調理用保存袋から取り出して、漬け込み後の鶏肉の重量を測定した。ついで、この漬け込み後の鶏肉に片栗粉をまぶした後、片栗粉をつけた漬け込み鶏肉の重量を測定した。片栗粉をつけた漬け込み鶏肉を170℃のサラダ油で5分間揚げた後、から揚げの重量を測定した。最後に、室温までから揚げの温度が低下した後、食して味の染み込み及び衣のサクサク感を評価した。
【0032】
鶏肉への調味液の付着重量は、漬け込み後の鶏肉の重量と漬け込み前の重量との差から求めた。
官能評価としてから揚げへの味の染み込みは、衣を除去した後、鶏肉を食して、鶏肉の味しか感じられない場合を×、漬け込み液の味をわずかに感じられる場合を△、十分に味が染みている場合を○とし、特に好ましく調味液の味を有する場合を◎とした。
衣のサクサク感については、比較例と差が感じられない場合は×、比較例よりもサクサク感に改善が見られる場合は△、比較例よりも明確にサクサク感が感じられる場合を○とし、特に好ましい場合を◎とした。
総合的な評価は、すべての評価項目が○の場合を○、ひとつでも△がある場合を△、ひとつでも×がある場合を×とし、特に好ましいとの評価(◎)が2個以上である場合◎とした。
【0033】
(漬け込み用調味液の粘度および各評価項目の結果)
下記の表2に、表1の果実ファイバーを配合していない調味液(比較例1)、シトラスファイバー(試験例1)、またはアップルファイバー(試験例2)を配合した調味液のそれぞれの漬け込み前の粘度、および、漬け込み後または調理後の鶏肉の各評価項目の結果を示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示すように、果実ファイバーを配合した漬け込み用調味液に10分間漬け込むことで、鶏肉の表面に付着するとともに鶏肉への味の染み込みもよく、漬け込んだ鶏肉に片栗粉で衣をつけ、揚げると、衣がサクサクとした食感となることがわかった。一方、果実ファイバーを配合していない調味液は、鶏肉の表面に付着するものの、味は染み込んでおらず、またから揚げ後の衣のサクサク感もなかった。
【0036】
(漬け込み用調味液の果実ファイバーの配合量と粘度の検討)
上記表1に示す配合量で、市販の醤油、みりん、砂糖、食塩、水、を混合した後、それぞれの配合量のシトラスファイバーをキサンタンガムとエスミールに分散して添加し、90℃達温加熱後冷却して、表3に示すシトラスファイバーの配合量が異なる試験例1〜試験例9の漬け込み用調味液を得、その粘度を測定した。シトラスファイバーとしてヘルバセルAQプラス(ヘルバフード社製)を用いた。
【0037】
【表3】
【0038】
次に、表3に示す各シトラスファイバー配合量の漬け込み用調味液に鶏肉を10分間漬け込んだ。シトラスファイバーを0.03〜2.0%(w/w)配合した漬け込み用調味液を用いた場合、調味液が鶏肉の表面に短時間で付着するとともに鶏肉への味の染み込みもよかった。さらに、漬け込んだ鶏肉に片栗粉で衣をつけ、揚げると、シトラスファイバーが0.03%以上で1.0%(w/w)未満である場合、衣がサクサクとした食感となった。特に、漬け込み用調味液にシトラスファイバーを、0.1〜0.7%(w/w)配合することで、顕著な効果を示すことがわかった。
【0039】
また、粘度を200cpから1500cpに調整した場合、5分以上漬け込むことで鶏肉の表面に、漬け込み用調味液が付着するとともに鶏肉への味の染み込みもよかった。また、粘度が200cpから1500cpの範囲にすると、調味液を素材に絡めやすく、衣の付着性もよく、揚げたから揚げの衣がサクサクとした食感となることがわかった。しかし、漬け込み用調味液の粘度が1500cpを超えると、調味液を素材に均一に絡めづらくなるとともに、味の浸み込みに時間がかかり、好ましくないことがわかった。さらに漬け込み用調味液の粘度が200cp未満の場合は、鶏肉への片栗粉の付着も悪く、から揚げの衣が薄くサクサクとした食感とはならなかった。
なお、粘度を300cpから900cpとすることで、鶏肉への付着性や味の染み込みがさらによくなるとともに、衣のサクサク感がより好ましくなることがわかった。
【0040】
<生の鶏肉に対する漬け込み用調味液の使用量及び漬け込み時間の各評価項目への影響>
食品素材として鶏ムネ肉を用いた。鶏肉200gを5等分にカットし、ポリエチレン製の調理用保存袋に入れ、試験例4の漬け込み用調味液を用いて試験を行った。生の鶏肉に対する漬け込み用調味液の使用量に関しては、生の鶏肉の重量1部に対して漬け込み用調味液を0.05〜0.25部となるように加えた。また、漬け込み時間は、2〜60分とした。生の鶏肉に漬け込み用調味液を加えてから、鶏肉を袋上から4〜5回揉んで机上に10分間静置した後、調味液の絡めやすさを評価した。また、漬け込み後の鶏肉を調理用保存袋から取り出して、漬け込み後の鶏肉の重量を測定した。ついで、この漬け込み後の鶏肉に片栗粉をまぶした後、片栗粉をつけた漬け込み後の鶏肉の重量を測定した。さらに、片栗粉をつけた漬け込み鶏肉を170℃のサラダ油で5分間揚げた後、から揚げの重量を測定した。最後に、室温までから揚げの温度が低下した後、食して味の染み込み及び衣のサクサク感を評価した。
【0041】
【表4】
【0042】
結果を表4に示す。鶏生肉1部に対して本発明の漬け込み用調味液を0.05部以上用いた場合、調味液を鶏肉にからめやすく、また、鶏肉と漬け込み用調味液との漬け込み時間が5分以上であれば、鶏肉への調味液の付着性や味の染み込みがよく、揚げ調理するとから揚げの衣がサクサクとなることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、から揚げ等の調理のために肉類等の食品素材に下味を付ける際に、もみ込みや長時間漬け込むことなく簡便、短時間にでき、味の染み込みがよく、しかも、加熱調理後は衣がサクサクとした食感のおいしいから揚げとなる漬け込み用調味液である。
そして、本発明の漬け込み用調味液によれば、少量で簡単に食品素材を下ごしらえできるため、家庭用または業務用としてコストを低く抑えるとともに、廃棄調味料の低減や調理の簡便さを達成できる。