(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(B)において、両主面上に予め前記接着層が形成された前記負極シート、または、それぞれ前記負極シートに接着される主面上に予め前記接着層が形成された前記第1セパレータ及び前記第2セパレータを用いる、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
前記工程(B)は、前記負極シートの両主面に、それぞれ前記第1セパレータ及び前記第2セパレータを配置し、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータを、前記負極シートの両主面に同時に接着する工程を含む、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
前記接着層は、少なくとも、前記工程(C)において、前記負極シートを切断する部位に、前記積層体を切断する前に予め形成されている、請求項2に記載の二次電池の製造方法。
前記工程(A)において、前記負極シートは、該負極シートの幅方向の一側面に、前記負極芯体の一部からなる負極タブが形成されている、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
前記工程(B)において、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの幅方向における両端部は、それぞれ、前記負極活物質層の幅方向における両端部よりも外側に突出している、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
前記工程(D)は、前記積層体と、前記正極板とを交互に積層することによって、前記正極板と前記負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体を形成する工程を含む、請求項1〜7の何れかに記載の二次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0013】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態における二次電池の製造方法を模式的に示した断面図である。本実施形態における二次電池の製造方法は、正極板と、負極板とを、セパレータを介して交互に積層した電極体を形成する積層工程を有する。
【0014】
まず、
図1(a)に示すように、長尺な負極芯体(不図示)の両面に負極活物質層(不図示)が形成された負極シート10を用意する。
【0015】
次に、
図1(b)に示すように、負極シート10の両面に、それぞれ、長尺の第1セパレータ11、及び長尺の第2セパレータ12を、接着層(不図示)を介して接着する。これにより、第1セパレータ11、負極シート10、及び第2セパレータ12からなる積層シート20が形成される。
【0016】
ここで、接着層は、負極シート10の両主面上、または、第1セパレータ11及び第2セパレータ12の少なくとも負極シート10が接着される一主面上に、予め形成しておく。接着層は、例えば、負極シート10、第1セパレータ11、第2セパレータ12の主面上に、接着剤をコーティングすることによって形成することができる。ここで、接着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等を用いることができる。
【0017】
積層シート20は、負極シート10の両主面に、それぞれ第1セパレータ11及び第2セパレータ12を配置し、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を、負極シート10の両主面に同時に接着して形成してもよい。例えば、第1及び第2セパレータ11、12の間に負極シート10を挟んだ状態で、一対のプレスローラの間に通すことによって、第1及び第2セパレータ12を、負極シート10の両主面に同時に接着することができる。これにより、積層シート20の形成時間を短縮することができる。
【0018】
なお、接着層は、必ずしも、負極シート10、第1セパレータ11、または第2セパレータ12の全面に形成する必要はない。互いに剥がれない程度に、接着層を、負極シート10、第1セパレータ11、第2セパレータ12の一主面の一部に形成しておいてもよい。なお、負極活物質層と第1セパレータ11が対向する部分の面積に対する接着された部分の面積が30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。また、負極活物質層と第2セパレータ12が対向する部分の面積に対する接着された部分の面積が30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0019】
次に、
図1(c)に示すように、積層シート20を、破線Aで示す位置で切断する。これにより、
図1(d)に示すように、負極板10の両面が第1及び第2セパレータ11、12で挟まれた積層体30が形成される。積層シート20を切断する手段は、特に限定されないが、例えば、レーザ光、カッター等を用いて行うことができる。
【0020】
ところで、破線Aで示した積層シート20が切断される部位は、積層シート20を切断する際に応力が加わる。そのため、当該部位を起点に、積層シート20がめくれたり、負極活物質層が脱落したりするおそれがある。そのため、これを防止するために、接着層は、少なくとも、積層シート20を切断する部位に形成しておくことが好ましい。
【0021】
次に、
図1(e)に示すように、積層体30と正極板13とを交互に積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。この電極体50を、電解液とともに電池ケース内に収容することにより、二次電池を製造することができる。
【0022】
本実施形態によれば、積層体30は、
図1(d)に示したように、負極板10の端部と、第1及び第2セパレータ11、12の端部が、面一になっている。また、通常、正極板13の大きさは、負極板10の大きさよりも小さく設計される。従って、
図1(e)に示したように、積層体30と正極板13とを交互に積層して形成した電極体50は、第1及び第2セパレータ11、12において、発電に関与しない余計な部分は存在しない。そのため、体積エネルギー密度の高い二次電池を得ることができる。
【0023】
また、
図1(c)に示すように、第1及び第2セパレータ11、12は、負極板10と一体となって積層体30を構成している。そのため、電極体50を形成する積層工程において、第1及び第2セパレータ11、12が、単独で取り扱われることない。従って、電極体50を形成する積層工程において、セパレータの取り扱いが容易になる。
【0024】
さらに、
図1(e)に示すように、電極体50は、負極板10及び正極板13の両端部が開放状態になっている。そのため、つづら折り構造のセパレータを用いて作製した積層型の電極体に比べて、電解液の注液性が優れている。
【0025】
加えて、
図1(e)に示すように、電極体50は、積層体30と正極板13とを交互に積層して形成される。そのため、正極板、セパレータ、及び負極板を、繰り返し積層して作製した積層型の電極体に比べて、生産性を向上することができる。
【0026】
このように、本実施形態によれば、体積エネルギー密度が高く、セパレータの取り扱いが容易で、電解液の注液性に優れ、かつ、生産性の高い二次電池を製造することができる。
【0027】
なお、本実施形態において、負極シート10に第1セパレータ11及び第2セパレータ12を接着する前に、負極シート10に予め負極タブを形成しておくことが好ましい。
【0028】
図2(a)〜(c)は、負極シート10に予め負極タブを形成した後、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を接着する工程の一例を示した平面図である。
【0029】
まず、
図2(a)に示すように、長尺の負極芯体10Aの両面に、負極活物質層10Bを形成する。このとき、負極活物質層10Bは、負極芯体10Aの幅方向における一方の端部が、長手方向に沿って負極芯体10Aの露出部が現れるように形成される。
【0030】
次に、
図2(b)に示すように、負極芯体10Aの露出部を所定形状に裁断して、負極タブ52を形成する。ここで、負極タブ52は、負極芯体10Aの幅方向における一方の端部から突出するように形成される。これにより、負極タブ52は、負極芯体10A(負極シート10)の長手方向において、所定間隔をおいて複数形成される。
【0031】
次に、
図2(c)に示すように、負極タブ52が形成された負極シート10の両主面に第1セパレータ11及び第2セパレータ12をそれぞれ接着する。ここで、第1セパレータ11及び第2セパレータ12はそれぞれ、負極活物質層10Bの両面に接着されることが好ましい。これにより、第1セパレータ11及び第2セパレータ12は、負極芯体10Aには接着されない構成とすることができる。また、第1セパレータ11及び第2セパレータ12が負極芯体10Aに接着されていてもよい。
【0032】
また、
図2(c)に示すように、第1セパレータ11及び第2セパレータ12の幅方向における両端部は、それぞれ、負極活物質層10Bの幅方向における両端部よりも外側に突出していることが好ましい。これにより、負極タブ52が形成された側において、正極タブと負極板10との短絡、若しくは負極タブ52と正極板13との短絡をより確実に防止できる。特に、負極板10の平面視の面積に比べて、正極板13の平面視の面積が小さいため、正極タブと負極板10の短絡が生じやすいが、上述のような構成にすることにより、正極タブと負極板10との短絡をより効果的に防止できる。
【0033】
また、電池の体積エネルギー密度を向上させるために、正極タブ及び負極タブが湾曲するようにして配置することが好ましい。しかしながら、正極タブ及び負極タブが湾曲するようにして配置された場合、正極タブと負極板10との短絡、若しくは負極タブ52と正極板13との短絡が生じやすくなる。
図2(c)に示すように、負極タブ52が突出する方向において、第1セパレータ11及び第2セパレータ12の負極タブ52の先端側の端部が、それぞれ、負極活物質層10Bの負極タブ52の先端側の端部よりも負極タブ52の先端側に突出していることにより、正極タブと負極板10との短絡、若しくは負極タブ52と正極板13との短絡をより効果的に防止できる。
【0034】
さらに、負極タブ52の根元側(負極活物質層10B側)が、第1セパレータ11と第2セパレータ12とに挟まれた状態となるため、負極シート10に第1セパレータ11及び第2セパレータ12を接着する際に、負極タブ52が根元から折れ曲がったり、めくれたりすることを防止できる。
【0035】
一方、負極タブ52が形成された側と反対側においては、電池ケースの底部と、正極板13ないし負極板10が接触することをより確実に防止できる。また、後述するように、電極体50と電池ケース90の底部の間に配置される絶縁シートが1枚のみの場合、特に効果的である。また、振動や衝撃等により電池ケース内で電極体50が底部側に動くことがあっても、第1及び第2セパレータ11、12が緩衝材となり、電極体50の損傷、破損等を抑制できる。
【0036】
(第1の実施形態の変形例1)
図3(a)〜(c)は、第1の実施形態の変形例1における電極体の形成方法を模式的に示した断面図である。
【0037】
本変形例1では、
図3(a)に示すように、積層体30と正極板13とを接着層(不図示)を介して接着する工程をさらに有する。ここで、積層体30は、第1の実施形態において形成された積層体30である(
図1(d))。これにより、
図3(b)に示すように、積層体30と正極板13とが積層された積層体ユニット40が形成される。
【0038】
そして、
図3(c)に示すように、積層体ユニット40を順次積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。
【0039】
本変形例1によれば、第1の実施形態による効果に加えて、電極体50を形成するための積層単位を、積層体ユニット40としてユニット化することによって、電極体50の形成時間をさらに短縮することができる。
【0040】
(第1の実施形態の変形例2)
図4(a)〜(d)は、第1の実施形態の変形例2における電極体の形成方法を模式的に示した断面図である。本変形例2は、変形例1における積層体ユニット40を形成する他の方法を提供する。
【0041】
本変形例2では、
図4(a)に示すように、積層シート20の上に、複数の正極板13を間隔を開けて配置しながら積層する工程をさらに有する。ここで、積層シート20は、第1の実施形態において形成された積層シート20である(
図1(b))。
【0042】
次に、
図4(b)に示すように、積層シート20を、正極板13が配置されていない部位(破線Aで示す位置)で切断する。これにより、
図4(c)に示すように、積層体30に正極板13が積層された積層体ユニット40が形成される。
【0043】
そして、
図4(d)に示すように、積層体ユニット40を順次積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。
【0044】
本変形例2によれば、第1の実施形態による効果に加えて、複数の積層体ユニット40を、積層シート20の切断工程で同時に形成することができるため、積層体ユニット40の形成時間を短縮することができる。それとともに、電極体50を形成するための積層単位を、積層体ユニット40としてユニット化できるため、電極体50の形成時間をさらに短縮することができる。
【0045】
なお、積層シート20の上に一つの正極板13を配置した後、次の正極板13を積層シート20の上に配置する前に、積層シート20を切断することができる。
【0046】
(第1の実施形態の変形例3)
図5(a)〜(d)は、第1の実施形態の変形例3における積層体の形成方法を模式的に示した断面図である。
【0047】
まず、
図5(a)に示すように、長尺な負極芯体10Aの両面に、負極活物質層10Bが間欠的に形成された負極シート10を用意する。
【0048】
次に、
図5(b)に示すように、負極シート10の両面に、それぞれ、長尺の第1セパレータ11及び長尺の第2セパレータ12を接着層を介して接着する。これにより、第1セパレータ11、負極シート10、及び第2セパレータ12からなる積層シート20が形成される。
【0049】
次に、
図5(c)に示すように、積層シート20を、負極活物質層10Bが形成されていない部位(破線Aで示す位置)で切断する。これにより、
図5(d)に示すように、負極板10の両面が第1及び第2セパレータ11、12で挟まれた積層体30が形成される。
【0050】
その後、
図1(e)に示した工程と同様に、積層体30と正極板13とを交互に積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。
【0051】
本変形例3によれば、第1の実施形態による効果に加えて、積層シート20を切断する箇所に負極活物質層10Bが形成されていないため、積層シート20の切断の際に、負極活物質層10Bが脱落するおそれがなく、信頼性の高い二次電池を得ることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図6(a)〜(e)は、本発明の第2の実施形態における二次電池の製造方法を模式的に示した断面図である。本実施形態における二次電池の製造方法は、正極板と、負極板とを、セパレータを介して交互に積層した電極体を形成する積層工程を有する。
【0053】
まず、
図6(a)に示すように、複数の負極板10を、間隔を開けて配置する。このように配置された負極板10は、例えば、搬送している長尺の負極シートを、間隔を開けて、切断することによって得ることができる。
【0054】
次に、
図6(b)に示すように、複数の負極シート10の両面に、それぞれ、長尺の第1セパレータ11及び長尺の第2セパレータ12を接着層(不図示)を介して接着する。これにより、第1セパレータ11、複数の負極板10、及び第2セパレータ12からなる積層シート20が形成される。
【0055】
次に、
図6(c)に示すように、積層シート20を、負極板10が配置されていない部位(破線Aで示す位置)で切断する。これにより、
図6(d)に示すように、負極板10の両面が第1及び第2セパレータ11、12で挟まれた積層体30が形成される。
【0056】
次に、
図6(e)に示すように、積層体30と、正極板13とを交互に積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。この電極体50を、電解液とともに電池ケース内に収容することにより、二次電池を製造することができる。
【0057】
本実施形態によれば、
図6(d)に示すように、第1及び第2セパレータ11、12は、負極板10と一体となって積層体30を構成している。そのため、電極体50を形成する積層工程において、第1及び第2セパレータ11、12が、単独で取り扱われることない。従って、二次電池の高エネルギー密度化に伴い、セパレータが薄膜化されても、電極体50を形成する積層工程において、セパレータの取り扱いが容易になる。
【0058】
さらに、
図6(e)に示すように、電極体50は、負極板10及び正極板13の両端部が開放状態になっている。そのため、つづら折り構造のセパレータを用いて作製した積層型の電極体に比べて、電解液の注液性が優れている。
【0059】
加えて、
図6(e)に示すように、電極体50は、積層体30と正極板13とを交互に積層して形成することができる。そのため、正極板、セパレータ、及び負極板を、繰り返し積層して作製した積層型の電極体に比べて、生産性を向上することができる。
【0060】
さらに、
図6(c)に示すように、積層シート20を切断する箇所に負極板10が存在していないため、積層シート20の切断は、セパレータ11、12のみを切断すればよい。そのため、積層シート20の切断が容易になるとともに、切断の際に、負極活物質層が脱落することもなく、信頼性の高い二次電池を得ることができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、セパレータの取り扱いが容易で、電解液の注液性に優れ、かつ、生産性及び信頼性の高い二次電池を製造することができる。
【0062】
なお、
図6(b)に示す積層シート20の上であって、負極板10と対向する位置に、正極板13を配置した後、積層シート20を切断することができる。
【0063】
(第2の実施形態の変形例1)
図7(a)〜(c)は、第2の実施形態の変形例1における電極体の形成方法を模式的に示した断面図である。
【0064】
本変形例1では、
図7(a)に示すように、積層体30と正極板13とを接着層(不図示)を介して接着する工程をさらに有する。ここで、積層体30は、第2の実施形態において形成された積層体30である(
図6(d))。これにより、
図7(b)に示すように、積層体30と正極板13とが積層された積層体ユニット40が形成される。
【0065】
そして、
図7(c)に示すように、積層体ユニット40を順次積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。
【0066】
本変形例1によれば、第2の実施形態による効果に加えて、電極体50を形成するための積層単位を、積層体ユニット40としてユニット化することによって、電極体50の形成時間をさらに短縮することができる。
【0067】
(第2の実施形態の変形例2)
図8(a)〜(d)は、第2の実施形態の変形例2における電極体の形成方法を模式的に示した断面図である。本変形例2は、変形例1における積層体ユニット40を形成する他の方法を提供する。
【0068】
本変形例2では、
図8(a)に示すように、積層シート20の上に、複数の正極板13を間隔を開けて配置しながら積層する工程をさらに有する。ここで、積層シート20は、第2の実施形態において形成された積層シート20である(
図6(b))。
【0069】
次に、
図8(b)に示すように、積層シート20を、正極板13が配置されていない部位(破線Aで示す位置)で切断する。これにより、
図8(c)に示すように、積層体30に正極板13が積層された積層体ユニット40が形成される。
【0070】
そして、
図8(d)に示すように、積層体ユニット40を順次積層することによって、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が形成される。
【0071】
本変形例2によれば、第2の実施形態による効果に加えて、複数の積層体ユニット40を、積層シート20の切断工程で同時に形成することができるため、積層体ユニット40の形成時間を短縮することができる。それとともに、電極体50を形成するための積層単位を、積層体ユニット40としてユニット化できるため、電極体50の形成時間をさらに短縮することができる。
【0072】
なお、積層シート20の上であって、負極板10と対向する位置に、一つの正極板13を配置した後、次の正極板13を積層シート20の上に配置する前に、積層シート20を切断することができる。
【0073】
次に、
図9〜
図11を参照しながら、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体を製造する製造装置の一例を説明する。
【0074】
図9は、
図1(a)〜(e)に示した第1の実施形態における電極体50を製造する製造装置100の構成を模式的に示した図である。
【0075】
図9に示すように、ロール60、61、62から、それぞれ引き出された負極シート10、第1セパレータ11、及び第2セパレータ12は、一対のプレスローラ70の間に挟み込まれる。なお、挟み込む前に、負極シート10の両主面上、または、第1セパレータ11及び第2セパレータ12の少なくとも負極シート10が接着される一主面上に、接着層を予め形成しておく。
【0076】
一対のプレスローラ70で、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を加熱、押圧することによって、負極シート10の両面に、第1セパレータ11及び第2セパレータ12が、接着層を介して同時に接着される。これにより、
図1(b)に示した積層シート20が形成される。
【0077】
その後、積層シート20は、搬送途中に設けられた切断手段80によって切断される。これにより、
図1(d)に示した積層体30が形成される。なお、切断手段80は、レーザ光やカッター等を用いることができる。
【0078】
一方、ロール63から引き出された正極シート13は、搬送途中に設けられた切断手段81によって切断され、正極板13が形成される。
【0079】
最後に、積層体30、及び正極板13を、それぞれ、移送手段(不図示)を用いて、交互に積層することによって、
図1(e)に示した電極体50が形成される。
【0080】
なお、第1セパレータ11及び第2セパレータ12において、正極板13と対向する主面にも接着層を設けておくことが好ましい。そして、電極体50を積層方向における両側から加熱加圧することにより、第1セパレータ11と正極板13、第2セパレータ12と正極板13をそれぞれ接着することが好ましい。
【0081】
なお、第1セパレータ11及び第2セパレータ12のそれぞれにおいて、両主面に接着層を設ける場合は、プレスローラ70の表面にポリテトラフルオロエチレンコート、またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)コート等を施すことが好ましい。これにより、接着層がプレスローラ70に付着することを防止することができる。
【0082】
図10は、
図4(a)〜(d)に示した第1の実施形態の変形例2における電極体50を製造する製造装置110の構成を模式的に示した図である。
【0083】
なお、製造装置110において、
図1(b)に示した積層シート20を形成するまでは、製造装置100と同じなので、説明は省略する。
【0084】
図10に示すように、ロール63から引き出された正極シート13は、搬送途中に設けられた切断手段80で切断され、正極板13が形成される。その後、正極板13は、搬送手段(不図示)によって、所定の間隔を開けて搬送される。
【0085】
積層シート20と、所定の間隔を開けて搬送される正極板13とは、一対のプレスローラ71の間に挟み込まれる。なお、挟み込まれる前に、第1セパレータ11の主面上、若しくは正極板13の一主面上に、接着層を予め形成しておく。
【0086】
一対のプレスローラ71で、正極板13及び第2セパレータ12を加熱、押圧することによって、
図4(a)に示すように、積層シート20の上に、所定の間隔を開けて配置された正極板13が接着される。その後、搬送途中に設けられた切断手段81によって、正極板13が配置されていない部位で切断する。これにより、
図4(c)に示したように、積層体30に正極板13が積層された積層体ユニット40が形成される。
【0087】
最後に、積層体ユニット40を、移送手段(不図示)を用いて、順次積層することによって、
図4(d)に示したような電極体50が形成される。
【0088】
図11は、
図6(a)〜(e)に示した第2の実施形態における電極体50を製造する製造装置120の構成を模式的に示した図である。
【0089】
図11に示すように、ロール60から引き出された負極シート10は、搬送途中に設けられた切断手段80で切断され、負極板10が形成される。その後、負極板10は、搬送手段(不図示)によって、所定の間隔を開けて搬送される。所定の間隔を開けて搬送された負極板10は、ロール61、62から、それぞれ引き出された第1セパレータ11、及び第2セパレータ12と共に、一対のプレスローラ70の間に挟み込まれる。なお、挟み込む前に、負極板10の両面上、または、第1セパレータ11及び第2セパレータ12の少なくとも負極板10が接着される一主面上に、接着層を予め形成しておく。
【0090】
一対のプレスローラ70で、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を加熱、押圧することによって、複数の負極板10の両面に、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を接着する。これにより、
図6(b)に示した積層シート20が形成される。
【0091】
その後、積層シート20は、搬送途中に設けられた切断手段81によって切断される。これにより、
図6(d)に示した積層体30が形成される。
【0092】
一方、ロール63から引き出された正極シート13は、搬送途中に設けられた切断手段82で切断され、正極板13が形成される。
【0093】
最後に、積層体30、及び正極板13を、それぞれ、移送手段(不図示)を用いて、交互に積層することによって、
図6(e)に示したような電極体50が形成される。
【0094】
図12は、本実施形態における積層工程により形成された電極体を備えた二次電池の構成を模式的に示した断面図である。なお、本実施形態における二次電池の種類は特に限定されず、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池に適用することができる。
【0095】
図12に示すように、本実施形態における二次電池200は、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体50が、電解液(不図示)とともに、電池ケース90内に収容されている。電池ケース90の開口部は、封口体91によって封止されており、正極端子92及び負極端子93が、それぞれ、樹脂部材97、94を介して、封口体91に固定されている。正極板及び負極板は、それぞれ、正極タブ51及び負極タブ52を介して、正極導電部材98及び負極導電部材99に接続されている。正極導電部材98及び負極導電部材99は、それぞれ、正極端子92及び負極端子93に接続されているため、これにより、正極板及び負極板は、それぞれ、正極端子92及び負極端子93に接続されている。封口体91には、電解液を注液する注液孔が設けられ、この注液孔は、電解液を注液した後、封止部材96で封止される。また、封口体91には、電池ケース90の内部圧力が上昇したときに、圧力を開放するガス排出弁95が設けられている。
【0096】
本実施形態において、各負極板から突出した負極タブ52は、湾曲して、負極導電部材99において、封口体91と略平行に配置される部分に接続されることが好ましい。また、各正極板から突出した正極タブ51は、湾曲して、正極導電部材98において、封口体91と略平行に配置される部分に接続されることが好ましい。これにより、体積エネルギー密度のより高い二次電池を得ることができる。
【0097】
また、電池ケース90が金属製である場合、電極体50と電池ケース90の間には絶縁部材53を配置することが好ましい。絶縁部材53は、樹脂シートであることが好ましい。また、絶縁部材53としては、シート状の絶縁シートを折り曲げ箱状に成形したものであることが好ましい。
【0098】
図13は、樹脂シートからなる絶縁部材53の展開図である。図中の破線部で絶縁シートを折り曲げることによって、箱状の絶縁部材53が形成される。なお、図中の実線部(外周縁を除く)は、切断部となる。このように形成された絶縁部材53は、正面53A、背面53B、底面53C、及び第1〜第6側面53D〜53Iを備えた箱状になる。なお、このような箱状の絶縁部材53は、開口部が封口体91側になるように配置される。
【0099】
このような箱状の絶縁部材53は、第1側面53Dと第3側面53Fと、及び第2側面53Eと第4側面53Gとが、それぞれ重なるため、電極体50と電池ケース90の側面(短側面)との間に、絶縁シートが2重に配置される。そのため、
図1(d)に示したように、積層体30が、負極板10の両端部と、第1及び第2セパレータ11、12の両端部とが面一になっていても、絶縁シートが2重になっているため、負極板10と電池ケース90との接触を確実に防止できる。
【0100】
一方、電極体50と電池ケース90の底面との間には、絶縁シートが1重である。従って、
図2(c)に示したように、第1及び第2セパレータ11、12の端部は、負極板10の端部よりも外側(電池ケース90の底部側)に突出していることが好ましい。
【0101】
なお、第5側面53H及び第6側面53Iは、必ずしも設ける必要はないが、これらを設けることによって、底部側の電極体50と電池ケース90の側面との間に、絶縁シートが3重に配置される。これにより、底部側の電極体50と電池ケース90との接触をより確実に防止できる。また、第5側面53H及び第6側面53Iを、第1、第3側面及び第2、第4側面よりも外側に配置することによって、電極体50の電池ケース90内への挿入性を向上させることができる。
【0102】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【0103】
例えば、上記実施形態では、
図1(c)に示したように、積層シート20を、破線Aで示す位置で切断したが、この場合、異なる材料の負極シート10、及び、第1及び第2セパレータ11、12を切断する必要がある。そのため、負極シート10、及び、第1及び第2セパレータ11、12を一度に切断する代わりに、段階的に切断してもよい。すなわち、最初に、第1及び第2セパレータ11、12を切断し、その後、負極シート10を切断してもよい。
【0104】
また、本実施形態において、負極板10、正極板13、第1及び第2セパレータ11、12は、公知の構成を用いることができる。負極板10を構成する負極芯体10Aは金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることが好ましい。負極板10を構成する負極活物質層10Bは、負極活物質とバインダーを含むことが好ましい。負極活物質としては、炭素材料やシリコン材料等が好ましい。バインダーとしては、樹脂製バインダーが好ましく、ゴム系バインダー等が特に好ましい。
【0105】
第1セパレータ11及び第2セパレータ12は、それぞれ樹脂製セパレータであることが好ましく、ポリオレフィン製セパレータであることが好ましい。
【0106】
正極板13は、正極芯体と正極芯体の両主面に形成された正極活物質層を含むことが好ましい。正極芯体は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。正極活物質層は、正極活物質と導電材とバインダーを含むことが好ましい。正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。導電材としては、炭素材料が好ましい。バインダーとしては、樹脂製バインダーが好ましく、ポリフッ化ビニリデン等が特に好ましい。