【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、タバコを燃焼させることなく加熱する装置に特に適切な再構成タバコを開発した。この再構成タバコは、非常に均質であり、優れた官能特性を有する。この再構成タバコは、加熱されると、特に、口の痛みが少なくタバコの焦げ臭さを全く伴わない、喉を刺激することがほとんどないエアロゾルを生成する。
【0006】
本発明は、
・タバコ繊維、
・タバコ水溶性フラクション、及び
・湿潤剤
を含む再構成タバコであって、
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の10質量%から35質量%を占め、且つ、
湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の8重量から50質量%を占める、
再構成タバコに関する。
【0007】
典型的には、タバコ繊維は、再構成タバコの乾燥質量の30%から80%を占める。
典型的には、タバコ繊維は、再構成タバコを構成する繊維の70質量%から100質量%を占める。
典型的には、残りの繊維は、化学的もしくは機械的もしくは熱機械的な蒸解処理によって得られるセルロース系植物繊維、例えば木材パルプ、または一年生植物、例えば亜麻またはタバコなどのパルプである。これらのセルロース系植物繊維の混合物も使用してよい。
【0008】
再構成タバコは、任意のタイプのタバコ(例えば、ヴァージニアタバコ、バーレイタバコ、空気乾燥タバコ、暗色空気乾燥タバコ、オリエンタルタバコ、日干し乾燥タバコ、火力乾燥タバコ、またはタバコ混合物)から得ることができる。典型的には、再構成タバコは、様々なタイプのタバコの処理から生じる。
【0009】
典型的には、再構成タバコは、タバコ植物及びその変形の様々な部分/様々な組織の変形から生じる。典型的には、再構成タバコは、タバコ葉及び茎の脱穀またはブレンドおよび切断から生じるタバコ葉またはタバコ断片の処理から生じる。典型的には、再構成タバコは、場合によりタバコ茎を付加した、タバコ柔組織(葉身)から得られる。
【0010】
タバコ水溶性フラクションとは、水に可溶なタバコ成分全てに相当する。ニコチンは、水溶性フラクションの一要素である。
典型的には、タバコ水性可溶性フラクションは、タバコ原料の乾燥物質の40質量%から60質量%を占める。
タバコの水溶性フラクションの質量百分率を決定するために、以下の方法を使用することができる。
【0011】
分析しようとするタバコは、粉砕されて1mm以下の粒径とする。次に、粉砕タバコを、45分間に亘って沸騰水と混合して、タバコ水溶性フラクションの全体を抽出する。タバコの水溶性フラクションの質量は、タバコ試料の乾燥質量と抽出後の繊維残渣の乾燥質量との差異から算出される。
【0012】
タバコ水溶性フラクションの再構成タバコ中の乾燥物質の質量百分率であるSを、Smin≦S≦Smaxとすると、百分率Smin及びSmaxは、互いに独立して選択され、Sminは10%、15%、および20%の値から選択され、Smaxは20%、25%、30%、35%の値から選択される。
好ましくは、Sminが20%に等しくSmaxが35%に等しいか、またはSminが10%に等しくSmaxが30%に等しいか、またはSminが10%に等しくSmaxが20%に等しいか、またはSminが15%に等しくSmaxが35%に等しいか、またはSminが15%に等しくSmaxが30%に等しい。
最も好ましくは、Sminは15%に等しく、Smaxは30%に等しい。
特段の一実施形態によれば、百分率Sは約15%、17%、または21%である。
【0013】
再構成タバコの水溶性フラクションの質量百分率は、再構成タバコの官能特性がこのフラクションの量に部分的に依存することから、タバコ原料から自然に得られるレベル以下に低減することによって、制御することが重要である。さらにまた、35%を超えると、再構成タバコの加熱中に生成されるエアロゾルは、過度に喉を刺激し、口を痛め、且つタバコの焦げ臭さを有する。
湿潤剤の、再構成タバコ中の乾燥物質の質量百分率であるPを、Pmin≦P≦Pmaxとすると、百分率Pmin及びPmaxは、互いに独立して選択され、Pminは8%、10%、12%、および15%の値から選択され、Pmaxは20%、25%、30%、35%、40%、45%、および50%の値から選択される。
好ましくは、Pminが10%に等しくPmaxが45%に等しいか、またはPminが12%に等しくPmaxが40%に等しいか、またはPminが12%に等しくPmaxが30%に等しいか、またはPminが15%に等しくPmaxが20%に等しい。
最も好ましくは、Pminは12%に等しく、Pmaxは25%に等しい。
特段の一実施態様によれば、百分率Pは約17%である。
【0014】
一実施形態によれば、湿潤剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはグリセロールとプロピレングリコールとの混合物である。
好ましい一実施形態によれば、使用される湿潤剤はグリセロールである。
好ましい一実施形態によれば、使用される湿潤剤は、グリセロールとプロピレングリコールとの混合物である。
【0015】
典型的には、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は、1%から25%である。
典型的には、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は10%から45%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は1%から20%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から40%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から20%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から30%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から15%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は15%から20%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から10%である。
好ましくは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から25%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から15%である。
【0016】
再構成タバコの製造のために、タバコを再構成するための多くのプロセスが知られており、例えば、製紙方法、鋳造方法、または押出方法を挙げることができる。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態によれば、タバコを再構成するための製紙方法が使用される。
この実施形態によれば、本発明による再構成タバコは、製紙方法によって得られる再構成タバコである。
【0018】
一実施形態は、以下の工程:
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ部分を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出する工程;
・次いで、水溶性生成物をタバコ繊維から分離する工程;
・タバコ繊維を精製し、抄紙機に通して、ベースシートを形成する工程;
・抽出の間に得られたタバコの水溶性生成物を濃縮する工程;
・濃縮された水溶性生成物の全部または一部を湿潤剤とともにベースシートに導入し、本発明による再構成タバコのシートを形成する工程;
を含む、再構成タバコを製造するための製紙方法に関する。
【0019】
特段の一実施形態は、以下の工程:
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料の一部を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出し(この一部は、加熱の際にエアロゾルの官能品質を高めるために、芳香族化合物の前駆体が最も豊富なタバコ組織から選択されたタバコ材料を含む)、次いで、水溶性生成物をタバコ繊維から分離して濃縮する工程;
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料の別の部分を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出し、その後これらの水溶性生成物を廃棄する工程(この部分は、芳香族化合物の前駆体がもっとも少ないタバコ組織から選択されるタバコ材料を含む);
・二つの部分のタバコ繊維を混合し、精製し、抄紙機に通して、ベースシートを形成する工程;
・濃縮された水溶性生成物の全部または一部を湿潤剤とともにベースシートに導入し、本発明による再構成タバコのシートを形成する工程;
を含む、再構成タバコを製造するための製紙方法に関する。
【0020】
典型的には、葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料部分を回収し、粒度調整(grading)の後に、例えば蒸解窯中で水と混合し、このことによりタバコの水溶性生成物の抽出を可能にする。その後、水溶性フラクションを、例えば得られたパルプをスクリュープレスに通すことによって、本質的にタバコ繊維から成る不溶性フラクションと分離する。こうした製紙方法においては、不溶性生成物はかくして可溶性生成物から分離され、これらは個別に処理される。
【0021】
典型的には、抽出のための水の温度は30℃から90℃、例えば30℃から70℃、または50℃から90℃である。典型的には、水の温度は、処理しようとする材料に適合させることができる。典型的には、タバコ茎/葉脈の処理については、抽出のための水の温度は50℃から90℃であってよく、タバコの柔組織(葉身)の処理については、抽出のための水の温度は30℃から70℃であってよい。
【0022】
例えば、繊維は、抄紙機に通してタバコ繊維のシートまたはベースシートを形成させる前に、精製機に通される。
【0023】
典型的には、抽出中に得られるタバコの水溶性フラクションは、湿潤剤と共に完全にまたは部分的にベースシート中に取り込まれて再構成タバコシートを形成する前に、例えば減圧蒸発装置中で、濃縮される。
典型的には、例えば香味料などの添加剤をベースシートに組み込むことができる。
【0024】
ベースシートに組み込まれる水溶性生成物の量は、再構成タバコに望まれる水溶性フラクションの百分率に依存する。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態によれば、抽出工程は、一方ではタバコ柔組織に対して、他方ではタバコ茎及び葉脈に対して行われ、タバコ柔組織に対して行われる抽出工程中に得られる水溶性生成物のみがベースシート中に組み込まれる。
次いで、再構成シートが乾燥装置で処理される。
【0026】
その後、この再構成タバコシートは、シート、タバコの小片に類似した小片に切断されるか、あるいはロールに巻かれた後に再構成タバコのウェブに切断されるか、あるいは粉砕されて粉末とされる。シート複合材を形成するために、いくつかのシートを組み合わせてもよい。典型的には、本発明による再構成タバコは、シート、クレープシート、多層シート、小片、ウェブ、粉末、またはクレープロッドの形態に成形してよい。