特許第6946306号(P6946306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6946306タバコを燃焼させることなく加熱する装置のための再構成タバコ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6946306
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】タバコを燃焼させることなく加熱する装置のための再構成タバコ
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/14 20060101AFI20210927BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   A24B15/14
   A24B15/24
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-535240(P2018-535240)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公表番号】特表2018-529383(P2018-529383A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016072838
(87)【国際公開番号】WO2017051034
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】1559081
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518100443
【氏名又は名称】エスダブリュエム・ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セシル・ラベ
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05325877(US,A)
【文献】 特表2008−507978(JP,A)
【文献】 特開平08−098672(JP,A)
【文献】 特表平08−504598(JP,A)
【文献】 特表2009−504166(JP,A)
【文献】 特開平02−286068(JP,A)
【文献】 米国特許第05765570(US,A)
【文献】 米国特許第05715844(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/021626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/14
A24B 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・タバコ繊維、
・タバコ水溶性フラクション、及び
・湿潤剤
を含む再構成タバコであって、
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の15質量%から35質量%を占め、且つ、
湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の12質量%から25質量%を占める、再構成タバコを製造するための製紙方法であって、以下の工程:
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ部分を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出する工程;
・次いで、水溶性生成物をタバコ繊維から分離する工程;
・タバコ繊維を精製し、抄紙機に通して、ベースシートを形成する工程;
・抽出の間に得られたタバコの水溶性生成物を濃縮する工程;
・濃縮された水溶性生成物の全部または一部を湿潤剤とともにベースシートに導入する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の20質量%から35質量%を占め、且つ、湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の12質量%から20質量%を占める、請求項1に記載の製紙方法。
【請求項3】
タバコ柔組織に対して実施される抽出工程のための水の温度が、30℃から70℃であり、タバコの茎及び葉脈に対して実施される抽出工程のための水の温度が、50℃から90℃である、請求項1又は2に記載の製紙方法。
【請求項4】
再構成タバコを、再構成タバコシートまたはタバコの小片に切断する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製紙方法。
【請求項5】
シート複合材を形成するために、いくつかの再構成タバコシートを組み合わせる工程をさらに含む、請求項に記載の製紙方法。
【請求項6】
再構成タバコを、ロールに巻く工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製紙方法。
【請求項7】
再構成タバコを、シート、クレープシート、多層シート、小片、ウェブ、粉末、またはクレープロッドの形態に成形する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製紙方法。
【請求項8】
湿潤剤が、グリセロール、プロピレングリコール、またはグリセロールとプロピレングリコールとの混合物である、請求項1からのいずれか一項に記載の製紙方法。
【請求項9】
再構成タバコが燃焼しない加熱たばこの装置のために使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の製紙方法。
【請求項10】
・タバコ繊維;
・タバコ水溶性フラクション;及び
・湿潤剤
を含む再構成タバコであって、
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の15質量%から35質量%を占め、且つ、
湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の12質量%から25質量%を占める、再構成タバコ。
【請求項11】
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の20質量%から35質量%を占め、且つ、湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の12質量%から20質量%を占める、請求項10に記載の再構成タバコ。
【請求項12】
燃焼しない加熱たばこの装置での請求項10又は11に記載の再構成タバコの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、タバコを燃焼させることなく加熱する装置のための、再構成タバコである。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ(cigarette)内のタバコの燃焼および熱分解現象は、煙中に多数の有害成分の生成をもたらす。その生成を避けるために、多数の加熱装置が開発されている。例としては、こうした装置を記載する、WO2013/178769およびEP2644043の番号で公開された出願を挙げることができる。これらの装置では、タバコは燃焼することなしに加熱され、このためエアロゾルの生成がもたらされる。これにより、喫煙者はタバコの香りを吸うことができる一方で、その有害成分への暴露が著しく低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2013/178769
【特許文献2】EP2644043
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした装置には、従来のタバコは適切でない。実際のところ、タバコが加熱されたときにエアロゾルを発生させるためには、タバコに多量の湿潤剤、例えばグリセロールまたはプロピレングリコールを添加することが必要である。このエアロゾルが紙巻きタバコの煙に代わるものであり、ここにニコチン及びタバコの香りが含まれるのである。加熱装置用のタバコは、タバコのロッド、または細断されたタバコを含むカプセルまたはサシェ、またはタバコもしくはタバコ粉末の圧延または捲縮シートの形態であってよい。エアロゾルの品質のばらつきを避けるために、タバコが均質であることは非常に重要であり、これは天然タバコの混合物の場合には達成することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、タバコを燃焼させることなく加熱する装置に特に適切な再構成タバコを開発した。この再構成タバコは、非常に均質であり、優れた官能特性を有する。この再構成タバコは、加熱されると、特に、口の痛みが少なくタバコの焦げ臭さを全く伴わない、喉を刺激することがほとんどないエアロゾルを生成する。
【0006】
本発明は、
・タバコ繊維、
・タバコ水溶性フラクション、及び
・湿潤剤
を含む再構成タバコであって、
タバコ水溶性フラクションが再構成タバコの乾燥物質の10質量%から35質量%を占め、且つ、
湿潤剤が再構成タバコの乾燥物質の8重量から50質量%を占める、
再構成タバコに関する。
【0007】
典型的には、タバコ繊維は、再構成タバコの乾燥質量の30%から80%を占める。
典型的には、タバコ繊維は、再構成タバコを構成する繊維の70質量%から100質量%を占める。
典型的には、残りの繊維は、化学的もしくは機械的もしくは熱機械的な蒸解処理によって得られるセルロース系植物繊維、例えば木材パルプ、または一年生植物、例えば亜麻またはタバコなどのパルプである。これらのセルロース系植物繊維の混合物も使用してよい。
【0008】
再構成タバコは、任意のタイプのタバコ(例えば、ヴァージニアタバコ、バーレイタバコ、空気乾燥タバコ、暗色空気乾燥タバコ、オリエンタルタバコ、日干し乾燥タバコ、火力乾燥タバコ、またはタバコ混合物)から得ることができる。典型的には、再構成タバコは、様々なタイプのタバコの処理から生じる。
【0009】
典型的には、再構成タバコは、タバコ植物及びその変形の様々な部分/様々な組織の変形から生じる。典型的には、再構成タバコは、タバコ葉及び茎の脱穀またはブレンドおよび切断から生じるタバコ葉またはタバコ断片の処理から生じる。典型的には、再構成タバコは、場合によりタバコ茎を付加した、タバコ柔組織(葉身)から得られる。
【0010】
タバコ水溶性フラクションとは、水に可溶なタバコ成分全てに相当する。ニコチンは、水溶性フラクションの一要素である。
典型的には、タバコ水性可溶性フラクションは、タバコ原料の乾燥物質の40質量%から60質量%を占める。
タバコの水溶性フラクションの質量百分率を決定するために、以下の方法を使用することができる。
【0011】
分析しようとするタバコは、粉砕されて1mm以下の粒径とする。次に、粉砕タバコを、45分間に亘って沸騰水と混合して、タバコ水溶性フラクションの全体を抽出する。タバコの水溶性フラクションの質量は、タバコ試料の乾燥質量と抽出後の繊維残渣の乾燥質量との差異から算出される。
【0012】
タバコ水溶性フラクションの再構成タバコ中の乾燥物質の質量百分率であるSを、Smin≦S≦Smaxとすると、百分率Smin及びSmaxは、互いに独立して選択され、Sminは10%、15%、および20%の値から選択され、Smaxは20%、25%、30%、35%の値から選択される。
好ましくは、Sminが20%に等しくSmaxが35%に等しいか、またはSminが10%に等しくSmaxが30%に等しいか、またはSminが10%に等しくSmaxが20%に等しいか、またはSminが15%に等しくSmaxが35%に等しいか、またはSminが15%に等しくSmaxが30%に等しい。
最も好ましくは、Sminは15%に等しく、Smaxは30%に等しい。
特段の一実施形態によれば、百分率Sは約15%、17%、または21%である。
【0013】
再構成タバコの水溶性フラクションの質量百分率は、再構成タバコの官能特性がこのフラクションの量に部分的に依存することから、タバコ原料から自然に得られるレベル以下に低減することによって、制御することが重要である。さらにまた、35%を超えると、再構成タバコの加熱中に生成されるエアロゾルは、過度に喉を刺激し、口を痛め、且つタバコの焦げ臭さを有する。
湿潤剤の、再構成タバコ中の乾燥物質の質量百分率であるPを、Pmin≦P≦Pmaxとすると、百分率Pmin及びPmaxは、互いに独立して選択され、Pminは8%、10%、12%、および15%の値から選択され、Pmaxは20%、25%、30%、35%、40%、45%、および50%の値から選択される。
好ましくは、Pminが10%に等しくPmaxが45%に等しいか、またはPminが12%に等しくPmaxが40%に等しいか、またはPminが12%に等しくPmaxが30%に等しいか、またはPminが15%に等しくPmaxが20%に等しい。
最も好ましくは、Pminは12%に等しく、Pmaxは25%に等しい。
特段の一実施態様によれば、百分率Pは約17%である。
【0014】
一実施形態によれば、湿潤剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはグリセロールとプロピレングリコールとの混合物である。
好ましい一実施形態によれば、使用される湿潤剤はグリセロールである。
好ましい一実施形態によれば、使用される湿潤剤は、グリセロールとプロピレングリコールとの混合物である。
【0015】
典型的には、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は、1%から25%である。
典型的には、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は10%から45%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は1%から20%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から40%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から20%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から30%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から15%であるか、あるいは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は15%から20%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から10%である。
好ましくは、再構成タバコ中の湿潤剤の乾燥物質の質量百分率は12%から25%であって、再構成タバコ中のプロピレングリコールの乾燥物質の質量百分率は2%から15%である。
【0016】
再構成タバコの製造のために、タバコを再構成するための多くのプロセスが知られており、例えば、製紙方法、鋳造方法、または押出方法を挙げることができる。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態によれば、タバコを再構成するための製紙方法が使用される。
この実施形態によれば、本発明による再構成タバコは、製紙方法によって得られる再構成タバコである。
【0018】
一実施形態は、以下の工程:
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ部分を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出する工程;
・次いで、水溶性生成物をタバコ繊維から分離する工程;
・タバコ繊維を精製し、抄紙機に通して、ベースシートを形成する工程;
・抽出の間に得られたタバコの水溶性生成物を濃縮する工程;
・濃縮された水溶性生成物の全部または一部を湿潤剤とともにベースシートに導入し、本発明による再構成タバコのシートを形成する工程;
を含む、再構成タバコを製造するための製紙方法に関する。
【0019】
特段の一実施形態は、以下の工程:
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料の一部を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出し(この一部は、加熱の際にエアロゾルの官能品質を高めるために、芳香族化合物の前駆体が最も豊富なタバコ組織から選択されたタバコ材料を含む)、次いで、水溶性生成物をタバコ繊維から分離して濃縮する工程;
・葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料の別の部分を水と混合して、タバコの水溶性生成物を抽出し、その後これらの水溶性生成物を廃棄する工程(この部分は、芳香族化合物の前駆体がもっとも少ないタバコ組織から選択されるタバコ材料を含む);
・二つの部分のタバコ繊維を混合し、精製し、抄紙機に通して、ベースシートを形成する工程;
・濃縮された水溶性生成物の全部または一部を湿潤剤とともにベースシートに導入し、本発明による再構成タバコのシートを形成する工程;
を含む、再構成タバコを製造するための製紙方法に関する。
【0020】
典型的には、葉の脱穀または切断により生じるタバコ原料部分を回収し、粒度調整(grading)の後に、例えば蒸解窯中で水と混合し、このことによりタバコの水溶性生成物の抽出を可能にする。その後、水溶性フラクションを、例えば得られたパルプをスクリュープレスに通すことによって、本質的にタバコ繊維から成る不溶性フラクションと分離する。こうした製紙方法においては、不溶性生成物はかくして可溶性生成物から分離され、これらは個別に処理される。
【0021】
典型的には、抽出のための水の温度は30℃から90℃、例えば30℃から70℃、または50℃から90℃である。典型的には、水の温度は、処理しようとする材料に適合させることができる。典型的には、タバコ茎/葉脈の処理については、抽出のための水の温度は50℃から90℃であってよく、タバコの柔組織(葉身)の処理については、抽出のための水の温度は30℃から70℃であってよい。
【0022】
例えば、繊維は、抄紙機に通してタバコ繊維のシートまたはベースシートを形成させる前に、精製機に通される。
【0023】
典型的には、抽出中に得られるタバコの水溶性フラクションは、湿潤剤と共に完全にまたは部分的にベースシート中に取り込まれて再構成タバコシートを形成する前に、例えば減圧蒸発装置中で、濃縮される。
典型的には、例えば香味料などの添加剤をベースシートに組み込むことができる。
【0024】
ベースシートに組み込まれる水溶性生成物の量は、再構成タバコに望まれる水溶性フラクションの百分率に依存する。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態によれば、抽出工程は、一方ではタバコ柔組織に対して、他方ではタバコ茎及び葉脈に対して行われ、タバコ柔組織に対して行われる抽出工程中に得られる水溶性生成物のみがベースシート中に組み込まれる。
次いで、再構成シートが乾燥装置で処理される。
【0026】
その後、この再構成タバコシートは、シート、タバコの小片に類似した小片に切断されるか、あるいはロールに巻かれた後に再構成タバコのウェブに切断されるか、あるいは粉砕されて粉末とされる。シート複合材を形成するために、いくつかのシートを組み合わせてもよい。典型的には、本発明による再構成タバコは、シート、クレープシート、多層シート、小片、ウェブ、粉末、またはクレープロッドの形態に成形してよい。
【実施例】
【0027】
実施例の全ての表において、湿潤剤の百分率、タバコ水溶性フラクションの百分率、及び繊維の百分率の合計は、再構成タバコの乾燥物質の100質量%を構成する。
【0028】
(実施例1)
ヴァージニア、バーレイ、及びオリエンタルタバコの葉身の混合物を、実験室にて40℃の水浴中、手動で攪拌しつつ、30分間に亘って水と接触させる。水溶性フラクションは、機械的プレスによって繊維部分から分離される。その乾燥物質濃度は5%程度である。水溶性フラクションを減圧下で濃縮して乾燥物質の濃度を47%とする。グリセロールをタバコ水溶性フラクションに添加して、最終的な再構成タバコ中に約20質量%とする。
同時に、ヴァージニアタバコの茎を80℃の水浴中で30分間に亘って水と接触させる。水溶性フラクションは、機械的加圧によって繊維部分から分離され、廃棄される。
タバコ葉身繊維及びタバコ茎繊維に、抽出されたタバコの混合物の質量の%として表される10%の木材セルロースパルプ及び水を添加し、これを混合し、精製機に移す。繊維は、約20分間に亘って精製される。
タバコ繊維のシートが、実験用抄紙機で、約75g/m2の坪量をもって形成される。グリセロールを濃縮水溶性フラクションに加える。グリセロールを含む濃縮タバコ水溶性フラクションを、サイズプレスでの含浸によってタバコ繊維のシートに添加して、109g/m2の最終質量を達成する。
かくして得られたシートを乾燥して細断する。
かくして得られた再構成タバコは、18.8%のグリセロール(ガスクロマトグラフィー(GC)による分析)、0.34%の全アルカロイド、3%の還元性物質、および0.14%の硝酸塩を含むが、これら3つは全て連続フロー分析によって分析したものである。タバコ水溶性フラクションは、再構成タバコの乾物重量の11.8質量%を占める。すべての百分率は乾燥物質の質量による。
この細断されたタバコは、210℃に調節された、Ploom Inc./Pax Labs Inc.社のPax加熱システムで、250mgのタバコを加熱チャンバに導入することによって喫煙される。パネラーは、干草系及び茶系の、軽く甘い特徴を持った軽いヴァージニアタバコの香りを検知し、とりわけ喉の中における、低刺激性を指摘する。これらすべてが当該試料に確かな官能的中立性をもたらす。
【0029】
(実施例2)
ヴァージニア、バーレイ、及びオリエンタルタバコの葉身の混合物を、実験室にて85℃の水浴中、手動で攪拌しつつ、30分間に亘って水と接触させる。水溶性フラクションは、機械的プレスによって繊維部分から分離される。その乾燥物質濃度は7%程度である。水溶性フラクションは減圧下で濃縮される。グリセロールをタバコ水溶性フラクションに添加して、最終的な再構成タバコ中に13質量%から18質量%とする。
タバコ繊維に、抽出されたタバコの混合物の質量の%として表される8%の木材セルロースパルプ及び水を添加し、これを混合し、精製機に移す。繊維は、約17分間に亘って精製される。
タバコ繊維のシートが、実験用抄紙機で形成される。グリセロールを濃縮水溶性フラクションに加える。グリセロールを含む濃縮タバコ水溶性フラクションを、サイズプレスでの含浸によってタバコ繊維のシートに添加する。かくして得られたシートを乾燥して細断する。
かくして得られた再構成タバコは、13%から18%のグリセロールを含む(ガスクロマトグラフィー(GC)による分析)。タバコ水溶性フラクションは、以下に示される通り、15%から40%の間で変動する。すべての百分率は乾燥物質の質量による。
【0030】
【表1】
【0031】
この細断されたタバコは、パネラーによって、199℃に調節されたPax加熱システムで、250mgのタバコを加熱チャンバに導入することによって喫煙される。
パネラーは、5回の試験について、煙の量と煙の濃さが満足できるものであり、タバコの味もまた満足できるものであるが、試験A及びDは確かにタバコの味を備えるものの、焦げ臭さ、口内残留感(mouthcoating)、及び不浄な後味を有しており、他の試験よりも喉を刺激して口を痛めることを見出した。
【0032】
(実施例3)
様々なヴァージニアの葉身を、実験室にて、85℃の水浴中、手動で攪拌しつつ30分間に亘って水と接触させる。水溶性フラクションは、機械的プレスによって繊維部分から分離される。その乾燥物質濃度は8%程度である。水溶性フラクションは減圧下で濃縮される。グリセロールまたはグリセロールとプロピレングリコールとを、タバコ水溶性フラクションに添加して、最終的な再構成タバコ中に7.5質量%から21.8質量%とする。
タバコ繊維に、抽出されたタバコの混合物の質量の%として表される8%の木材セルロースパルプ及び水を添加し、これを混合し、精製機に移す。繊維は、約20分間に亘って精製される。
タバコ繊維のシートが、実験用抄紙機で形成される。グリセロールまたはグリセロールとプロピレングリコールとを濃縮水溶性フラクションに加える。湿潤剤を含む濃縮タバコ水溶性フラクションを、サイズプレスでの含浸によってタバコ繊維のシートに添加する。かくして得られたシートを乾燥して細断する。
かくして得られた再構成タバコは、7.5%から21.8%のグリセロール及び0から3.5%のプロピレングリコールを含む(ガスクロマトグラフィー(GC)による分析)。タバコ水溶性フラクションは、以下に示される通り、19%から32%の間で変動する。すべての百分率は乾燥物質の質量による。
【0033】
【表2】
【0034】
この細断されたタバコは、パネラーによって、210℃に調節されたPax加熱システムで、250mgのタバコを加熱チャンバに導入することによって喫煙される。
パネラーは、試験Bが、試験Aよりもより多くの煙量とより濃いタバコ味を有することを見出した。試験Cは、試験Bよりもわずかに甘く、口への刺激はより少なかった。試験Dは、試験Bよりも煙量及び煙の濃さに優れ、より濃いタバコ味を有し、口への刺激はより少なかった。
【0035】
(実施例4)
様々なヴァージニアの葉身を、実験室にて、85℃の水浴中、手動で攪拌しつつ30分間に亘って水と接触させる。水溶性フラクションは、機械的プレスによって繊維部分から分離される。その乾燥物質濃度は7%程度である。水溶性フラクションは減圧下で濃縮される。グリセロールをタバコ水溶性フラクションに添加して、最終的な再構成タバコ中に16質量%から17質量%とする。
タバコ繊維に、抽出されたタバコの混合物の質量の%として表される8%の木材セルロースパルプ及び水を添加し、これを混合し、精製機に移す。繊維は、約21分間に亘って精製される。
タバコ繊維のシートが、実験用抄紙機で形成される。グリセロールを濃縮水溶性フラクションに加える。グリセロールを含む濃縮タバコ水溶性フラクションを、サイズプレスでの含浸によってタバコ繊維のシートに添加する。かくして得られたシートを乾燥して細断する。
かくして得られた再構成タバコは、7.5%から21.8%のグリセロールを含む(ガスクロマトグラフィー(GC)による分析)。タバコ水溶性フラクションは、以下に示される通り、9.1%から39.7%の間で変動する。すべての百分率は乾燥物質の質量による。
【0036】
【表3】
【0037】
この細断されたタバコは、パネラーによって、199℃に調節されたPax加熱システムで、250mgのタバコを加熱チャンバに導入することによって喫煙される。
パネラーは、試験Aが、試験Cよりも、喉、口、及び鼻において格段に刺激性であることを見出した。試験Bは、試験Cよりも、喉への刺激が少なく口を傷めず、火力乾燥タバコの味をより強く示した。
【0038】
(実施例5)
50%ヴァージニア葉身及び50%ヴァージニア茎からなるブレンドを選択する。試験Aとしては、茎及び葉身が共に抽出され、再構成タバコが、混合された茎及び繊維断片及び溶解物を使用して製造される。試験B及びCでは、茎および葉身が別々に抽出される。 試験Bでは、ヴァージニア茎の溶解物は廃棄され、葉身溶解物のみが混合繊維に加え戻される。試験Cでは、ヴァージニア葉身の溶解物は廃棄され、茎溶解物のみが混合繊維に加え戻される。
【0039】
【表4】
【0040】
細断タバコは、199℃に調節された、Ploom Inc./Pax Labs Inc.社のPax加熱システムで、250mgのタバコを加熱チャンバに導入することによって喫煙される。パネラーは、試験Cが多少の好ましくない香りを伴ってタバコ味もより薄いことを見出す。
【0041】
(実施例6)
50%バーレイ葉身及び50%バーレイ茎からなるブレンドを選択する。試験Aとしては、茎及び葉身が共に抽出され、再構成タバコが、混合された茎及び繊維断片及び溶解物を使用して製造される。試験B及びCでは、茎および葉身が別々に抽出される。試験Bでは、バーレイ茎の溶解物は廃棄され、葉身溶解物のみが混合繊維に加え戻される。試験Cでは、バーレイ葉身の溶解物は廃棄され、茎溶解物のみが混合繊維に加え戻される。
【0042】
【表5】