特許第6946326号(P6946326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6946326エアロゾル発生システムで使用する霧化組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6946326
(24)【登録日】2021年9月17日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムで使用する霧化組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20210927BHJP
【FI】
   A24F40/40
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-549542(P2018-549542)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公表番号】特表2019-513354(P2019-513354A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2017054243
(87)【国際公開番号】WO2017167508
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】16163421.7
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マンカ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−544141(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230052(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/083635(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/103063(WO,A2)
【文献】 国際公開第2005/065756(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用の霧化組立品であって、
入口端および出口端を有する管セクションであって、前記管セクションの前記入口端は液体貯蔵部分に接続されるように構成され、かつ前記管セクションの前記出口端は霧化ノズルと流体連通する、管セクションを備え、
前記管セクションは、前記霧化ノズルを通して液体エアロゾル形成基体の流れを送達するために構成されており、
前記霧化ノズルが、前記ノズルを通る気流を確立するための空気チャネルを備え、前記気流が前記霧化ノズルを通して送達された液体エアロゾル形成基体の前記流れと混合されている、霧化組立品。
【請求項2】
前記管セクションが、前記霧化ノズルを通して所定の量の液体エアロゾル形成基体を制御可能な方法で送達するためにポンプを備える、請求項1に記載の霧化組立品。
【請求項3】
前記ポンプが、電気的に駆動されるポンプ、電動式ポンプ、または手動で動作するポンプである、請求項2に記載の霧化組立品。
【請求項4】
前記液体貯蔵部分内で前記液体エアロゾル形成基体が加圧される、請求項1に記載の霧化組立品。
【請求項5】
前記管セクションが、前記管セクションを通る流体流を制御するために少なくとも一つの一方向弁を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の霧化組立品。
【請求項6】
エアロゾル発生システムであって、
空気吸込み口およびマウスピースを有するハウジングであって、前記空気吸込み口から前記マウスピースまでの気流路を確立する、ハウジングと、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記霧化組立品と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記霧化ノズルを通る前記気流が、ユーザーによって前記エアロゾル発生システムの前記マウスピースで吸煙された時に発生され、前記空気吸込み口と前記マウスピースの間の前記気流の少なくとも一部分が前記霧化ノズルの前記空気チャネルを通して案内される、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記霧化ノズルを通る前記気流が、前記霧化ノズルの中の液体エアロゾル形成基体の前記流れと混合され、かつ前記混合された流れが共通の出口端を通して送達される、請求項6または7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記霧化ノズルを通る前記気流と、液体エアロゾル形成基体の前記流れとが、別個の出口端を有する別個のチャネルを通して送達される、請求項6〜8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
ヒーター要素であって、前記霧化された液体エアロゾル形成基体が前記ヒーター要素の上へと噴霧されるように位置している前記ヒーター要素をさらに備える、請求項6〜9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記ヒーター要素が耐熱材料内に埋め込まれた、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記霧化ノズルが、前記ヒーター要素の形状に適合される特異的なスプレーパターンを発生するように構成されている、請求項10または11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記システムが主要ユニットおよび液体貯蔵部分を備え、前記主要ユニットが電源と、制御ユニットと、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記霧化組立品とを備え、かつ前記液体貯蔵部分が前記主要ユニットに取り外し可能なように結合されている、請求項6〜12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
エアロゾルを発生するための方法であって、
入口端および出口端を有する管セクションであって、前記管セクションの前記入口端が液体貯蔵部分に接続されるように構成されている管セクションを提供することと、
霧化ノズルを前記管セクションの前記出口端に提供することと、
前記霧化ノズルを通して液体エアロゾル形成基体の流れを送達することであって、
前記霧化ノズルが、前記ノズルを通る気流を確立するために空気チャネルを備える、送達することと、
前記霧化ノズルを通して送達される液体エアロゾル形成基体の前記流れの霧化を増強するために、前記気流を液体エアロゾル形成基体の前記流れと混合することと、を含む方法。
【請求項15】
ユーザーによって空気吸込み口とマウスピースの間に発生した前記気流の少なくとも一部分、前記空気チャネルを通して案内することを含む、請求項14に記載のエアロゾルを発生するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどのエアロゾル発生システムの霧化組立品に関する。本発明は、こうした霧化組立品を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生システムでエアロゾルを発生する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動するエアロゾル発生システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分内に保持されるエアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に作動する気化器と、マウスピース(ユーザーはここからエアロゾルを吸入する)とから成る手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムが周知である。気化器は典型的に、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体内に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーのコイルを備える。
【0003】
欧州特許第0 957 959 B1号は、供給源からの液体材料を受けるための電気的に作動するエアロゾル発生器であって、開放端を有する管を通して供給源からの液体材料を計量された量で送るためのポンプを備えるエアロゾル発生器を開示する。管を囲む発熱体が提供されている。ヒーターの起動に伴い、管の中の液体材料は揮発される。揮発に伴い、液体材料は膨張し、気体の形態で管の開放端から出る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱に伴い残留物が作り出される。毛細管内で残留物が目詰まりを引き起こす可能性がある。この影響は、液体輸送特性を変化させる可能性がある。さらに、液体材料は以下のように間接的に加熱される。最初に管または毛細管芯が加熱され、その結果液体材料が加熱される。従って、エネルギー移動プロセス中に熱が失われる可能性がある。
【0005】
さらに、上述のシステムでは、液体の実質的な量は管の中に閉じ込められた容積で揮発される量なので、揮発はいくらか遅い。
【0006】
維持管理にあまり手のかからない液体輸送システムと、改善された霧化効果とを有する改善されたエアロゾル発生システムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によると、液体エアロゾル形成基体を運ぶための、入口端および出口端を有する管セクションを備える、エアロゾル発生システムのための霧化組立品が提供されている。管セクションの入口端は液体貯蔵部分に接続されるように構成されており、また管セクションの出口端は霧化ノズルに接続されている。管セクションは、霧化ノズルを通して液体エアロゾル形成基体の流れを送達するために構成されている。霧化ノズルは、霧化ノズルを通る気流を確立するための空気チャネルを備え、気流は液体エアロゾル形成基体の流れと混合され、霧化ノズルを通して送達された液体エアロゾル形成基体の流れの霧化を増強する。
【0008】
本発明の実施例において、液体エアロゾル形成基体は小さい液滴のスプレージェットへと微細に分散される。スプレージェットを気流と混合することによって、液体エアロゾル形成基体の霧化を増強することができる。液滴の平均サイズは、例えば減少されてもよい。液体は、より均質に分散されてもよく、また下流のヒーター要素によって完全に、すなわち残渣なしに、かつ迅速に揮発されてもよい。このようにして再現可能なエアロゾル発生を達成することができる。
【0009】
管セクションは、所定の量の液体エアロゾル形成基体を霧化ノズルを通して制御可能な方法で送達するためのポンピングユニットを備えてもよい。ポンピングユニットは、電気的に駆動されるポンプ、電動式ポンプ、マイクロポンプ、または手動で動作するポンプなどの任意の市販のポンピングシステムであってもよい。ポンピングユニットは、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から霧化ノズルに運ぶように構成されている。ポンピングユニットは、液体エアロゾル形成基体をわずかに過剰な圧力で霧化ノズルに送達するようにさらに構成され、これによって液体エアロゾル形成基体はスプレージェットへと変形される。
【0010】
液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から霧化ノズルに運ぶためにポンピングユニットを使用する代わりに、加圧された液体エアロゾル形成基体を備える液体貯蔵部分を使用することも可能である。次いで管セクションは、起動に伴い計量された量の液体エアロゾル形成基体を霧化ノズルに送達するように構成されてもよい、制御可能な一方向弁を備えてもよい。液体エアロゾル形成基体は、機械的手段によって、または液体エアロゾル形成基体に適切な推進剤を添加することによって、液体貯蔵部分内で加圧されてもよい。機械的手段は、弾力性のある折り畳み式の容器、またはポンピングシステムを含んでもよい。
【0011】
管セクションの入口部分は、液体貯蔵部分に接続するために構成されている。管セクションと液体貯蔵部分の間の接続は、恒久的な接続であってもよく、または解除可能な接続であってもよい。一部の実施形態において、液体貯蔵部分は再充填可能であってもよい。一部の実施形態において、液体貯蔵部分は交換可能であってもよく、また空になった時に、またはユーザーがエアロゾル発生のために異なるタイプの液体基体を使用したい時に交換されてもよい。管セクションと液体貯蔵部分の間の解除可能な接続は、ルアーテーパー接続(ロッキングタイプまたはフィッティングタイプのいずれか)を含む、任意の適切な接続手段によって確立されてもよい。
【0012】
管セクションは、管セクションを通る流体流を制御するために、少なくとも一つの一方向弁をさらに備えてもよい。ミニフラッター弁、マイクロフラッター弁、ダックビル弁、逆止め弁を含む、適切なサイズおよび液体流を有する任意の市販の一方向弁が使用されてもよい。弁は任意の適切な材料で、例えば食品業界用または医療用途用に使用されうる材料で作製されてもよい。
【0013】
本発明とともに使用される液体エアロゾル形成基体は、水と比べて比較的高い粘性を特徴とする液体エアロゾル形成基体の粘度は、約10〜500ミリパスカル秒の範囲であってもよく、約17〜86ミリパスカル秒の範囲であることが好ましい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物は液体エアロゾル形成基体の加熱によって放出されてもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体エアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0014】
本発明の第二の態様によると、上記に開示された霧化組立品を含み、また空気吸込み口およびマウスピースを有するハウジングをさらに含み、空気吸込み口からマウスピースまでの気流路を確立するエアロゾル発生システムが提供されている。
【0015】
ユーザーがマウスピースを通して吸入する時、空気吸込み口とマウスピースの間の気流路内に気流が発生し、この気流の少なくとも一部分は霧化ノズルの空気チャネルを通して案内される。気流は液体エアロゾル形成基体の流れと混合され、これによってスプレーノズルの霧化効果を増強する。
【0016】
霧化ノズルを通る気流は、霧化ノズルの中の液体エアロゾル形成基体の流れと混合されてもよく、混合された流れは霧化ノズルの共通の出口端を通して送達されてもよい。
【0017】
別の方法として、霧化ノズルを通る気流および液体エアロゾル形成基体の流れは、霧化ノズル内に提供される別個の出口を通って送達される。一部の実施形態において、霧化ノズルは、小さい液滴の液体エアロゾル形成基体のスプレージェットを作り出す液体エアロゾル形成基体のための中央出口開口部を有してもよい。中央開口部から、かつ中央開口部と同心に半径方向外向きに配置されたリング形状の出口開口部は、気流出口開口部として提供されてもよい。気流は、出口開口部の下流のスプレージェットと混合する。
【0018】
霧化ノズルは、気流および液体エアロゾル形成基体の流れの各々のために複数の出口開口部を備えてもよい。
【0019】
市販の霧化ノズルは通常、ノズルの出口内に、スプレージェットの画定された幾何学的形状を作り出す気流管理を誘発する、特異的なキャップを使用する。霧化ノズルのキャップは、発熱体の高温表面の幾何学的形状およびサイズと一致するスプレーの幾何学的形状およびサイズを作り出すように、設計されてもよく、または市場における既存のモデルから選択されてもよい。
【0020】
エアロゾル発生システムは、霧化ノズルを通る一次気流路に加えて、さらに二次気流路を画定するように構成されてもよい。所望の気流組成を達成するために、エアロゾル発生の前または後に追加的な気流を再度組み合わせてもよい。
【0021】
二次空気吸込み口が提供される場合、ユーザーによって吸入に伴い発生される全気流の一部分のみが、霧化ノズルの空気チャネルを通して案内される。全気流の約30〜90パーセントが霧化ノズルの空気チャネルを通して案内されることが好ましく、約50〜70パーセントが案内されることがより好ましい。
【0022】
霧化ノズルによって発生されるスプレージェットは、ヒーター組立品へと方向付けられてもよい。ヒーター組立品は、液体エアロゾル形成基体を蒸発するために適切な任意のタイプの周知の発熱体を備えてもよい。ヒーター組立品は、実質的に平面であってもよく、任意の所望の形状を有してもよい。ヒーター組立品は、3〜10ミリメートルの幅寸法および長さ寸法を有する、長方形状、多角形状、円形状、または楕円形状を有してもよい。
【0023】
発熱体は、エアロゾル発生システムで使用するためにエアロゾル形成基体を受け取りかつ加熱するために適切な、好ましくは実質的に平面の、薄い導電性材料(繊維のメッシュ、導電性膜、または加熱ストリップのアレイなど)を備えてもよい。
【0024】
発熱体は複数の開口部を備えてもよい。例えば、発熱体は繊維のメッシュを備えてもよく、それらの間には隙間がある。発熱体は、随意的に穿孔されていて小さい穴を有する薄膜または薄いプレートを備えてもよい。発熱体は、直列に接続された狭い加熱ストリップのアレイを備えてもよい。
【0025】
ヒーター組立品は、耐熱基板と、耐熱基板内または耐熱基板の表面上に提供された発熱体とを備えてもよい。ヒーター組立品の耐熱基板は、ガラス、耐熱ガラス、セラミック、シリコン、半導体、金属、または合金から作製されてもよい。
【0026】
耐熱基板は実質的に平面であってもよく、また任意の所望の形状を有してもよい。耐熱基板は、例えば3〜10ミリメートルの幅寸法および長さ寸法を有する、長方形状、多角形状、円形状、または楕円形状を有してもよい。耐熱基板の厚さは、0.2〜2.5ミリメートルの範囲であってもよい。一部の実施形態において、耐熱基板は約7×6ミリメートルまたは5×5ミリメートル(長さ×幅)のサイズの長方形状を有してもよい。
【0027】
発熱体は、耐熱基板の表面に提供される薄膜被覆として提供されてもよい。発熱体を耐熱基板の表面に含浸、沈着、または印刷することができる。薄膜発熱体の材料は、好都合な電気的特性および耐熱基板への十分に高い接着性を有する任意の適切な材料とすることができる。
【0028】
発熱体は、耐熱基板の体積の中に提供されてもよく、耐熱基板の二つの要素の間に挟まれてもよく、または耐熱材料の保護層で覆われてもよい。
【0029】
一部の実施形態において、液体エアロゾル形成基体は、耐熱基板の表側に送達されてもよく、また発熱体は耐熱基板の裏側に提供されてもよい。
【0030】
ヒーター組立品は分与組立品から間隙を介してもよい。ヒーター組立品を送達組立品から間隙を介して提供することによって、送達組立品からヒーター組立品への液体エアロゾル形成基体の流れを搬送するための管セグメントを有する気化器と比較して、ヒーター組立品に送達される液体エアロゾル形成基体の量を、より良好に制御することができる。こうした管セグメントに起因する望ましくない毛細管作用を回避することができる。エアギャップを通過する時、送達される量の液体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品の表面に当たる前に液滴の噴流へと変形される。こうして、一部の実施例では、ヒーター組立品上に送達される液体エアロゾル形成基体の量の均一な分布を増強することができ、吸入サイクル当たり所定の量のベイパー化されたエアロゾル形成基体を用いたエアロゾルの発生の、より良好な制御可能性および再現性につながる。
【0031】
ヒーター組立品の作動温度は、摂氏120〜210度であってもよく、摂氏150〜180度であることが好ましい。装置の作動温度は一部の実施例において変化する場合がある。
【0032】
霧化ノズルを通して送達される液体エアロゾル形成基体の流量は、毎秒0.5〜2マイクロリットル以内である。マイクロポンプを備える実施形態において、マイクロポンプは、例えば可変または一定の時間間隔で、毎秒約0.7〜4.0マイクロリットルの流量で液体エアロゾル形成基体を要求に応じて送達できる場合がある。8〜15ヘルツのポンピング頻度の範囲内で作動するマイクロポンプでは、一回の起動サイクルで送られる量は、約0.5マイクロリットルであってもよい。吸煙当たりの液体エアロゾル形成基体の用量としての、各々の起動サイクルにおけるポンプ量は、約0.4〜0.5マイクロリットルであってもよいことが好ましい。
【0033】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生を開始するためのユーザーの動作を検出するためのユーザー動作検出ユニットを備えてもよい。ユーザー動作検出ユニットは、吸煙検出システム、例えば吸煙センサーによって構成されてもよい。別の方法として、または随意的に、ユーザー動作検出ユニットは、オンオフボタン、例えば電気的なスイッチによって構成されてもよい。
【0034】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体の送達を制御するための、およびヒーター組立品を起動するための制御ユニットをさらに備える。液体エアロゾル形成基体の送達は、検出されたユーザー動作に応答したヒーター組立品の起動の後、時間遅延があってもよい。オンオフボタンまたは吸煙センサーの使用などの、ユーザーによる起動に伴い、制御ユニットは、まずヒーター組立品を起動してもよく、そして次に約0.3〜1秒間、好ましくは0.5〜0.8秒間の遅延の後、送達装置を起動してもよい。起動の持続期間は一定であってもよく、またはオンオフボタンを押すこと、もしくは吸煙することなどのユーザーの行為に、例えば動作検出ユニットによって検出される通りに、対応してもよい。別の方法として、制御ユニットは、エアロゾルを発生するための所望の温度を達成するために、どれぐらい早くヒーターが反応するかに依存して、ヒーター組立品と液体送達を同時に起動するように適合されてもよい。別の方法として、ヒーターは、ユーザー体験の開始時に起動されてもよく、かつ装置の使用中に任意の所与の期間にわたって給電され続けてもよい。
【0035】
エアロゾル発生は、装置部分と交換可能な液体貯蔵部分とを備えることが好ましい。装置部分は電源と制御ユニットを備えてもよい。電源は任意のタイプの電力供給源、典型的には電池であってもよい。送達装置のための電源は、メッシュ発熱体の電源とは異なってもよく、または同一であってもよい。
【0036】
電源はコンデンサー、超コンデンサー、またはハイパーコンデンサーなどの電荷蓄積装置の形態であってもよい。電源は、再充電を必要としてもよく、また一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生することを可能にする十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の回数の吸煙、または気化器の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0037】
エアロゾル発生システムは電気的に作動するシステムであってもよい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生システムの全長は、約45ミリメートル〜約160ミリメートルであってもよい。エアロゾル発生システムの外径は、約7ミリメートル〜約25ミリメートルであってもよい。
【0038】
本発明の第三の態様によると、入口端および出口端を有する管セクションを提供する工程であって、管セクションの入口端が液体貯蔵部分に接続されるように構成されている、工程と、管セクションの出口端に霧化ノズルを提供する工程と、霧化ノズルを通して液体エアロゾル形成基体の流れを送達する工程であって、ノズルを通る気流を確立するために霧化ノズルが空気チャネルを備える、工程と、を含む、エアロゾルを発生するための方法が提供されている。方法は、霧化ノズルを通して送達される液体エアロゾル形成基体の流れの霧化を増強するために、気流を液体エアロゾル形成基体の流れと混合する工程をさらに含む。
【0039】
霧化ノズルを通る気流は、ユーザーによってエアロゾル発生システムのマウスピースが吸煙された時に発生され、空気吸込み口とマウスピースの間の気流の少なくとも一部分が霧化ノズルの空気チャネルを通して案内されることが好ましい。
【0040】
霧化ノズルを通る気流の発生のためにユーザーの吸入行為を同時に利用することによって、液体エアロゾル形成基体の霧化が実質的に増強され、同時に既存のエアロゾル発生システムに対する非常に限られた修正しか必要とされない。
【0041】
一態様に関して説明される特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0042】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明のアトマイザーを含むエアロゾル発生システムの実施形態の側面図である。
図2図2は、本発明のアトマイザーを含む図1のエアロゾル発生システムの拡大詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の霧化組立品を備えるエアロゾル発生システムの複数の構成要素を示す。エアロゾル発生システム10は、ハウジング12、電源14、制御ユニット16、液体貯蔵部分18、管セクション20、マイクロポンプ22、霧化ノズル24、ヒーター組立品26を備える。ハウジングは、その近位端で空気吸込み口28とマウスピース30を備える。
【0045】
エアロゾル発生システム10は、ユーザーによる電源スイッチの手動操作によって起動されてもよく、またはユーザーが吸煙した時の対応する検出手段によって自動的に起動されてもよい。吸煙の検出に伴い、制御ユニット16はマイクロポンプ22およびヒーター組立品26を起動する。マイクロポンプ22は、所定の量の液体エアロゾル形成基体を霧化ノズル24を介してヒーター組立品26の上へと送達し、ここで液体エアロゾル形成基体は気化され、かつエアロゾルの形態でユーザーに送達される。
【0046】
霧化ノズル24は、液体エアロゾル形成基体を小さい液滴のスプレージェット32へと変形する。この霧化効果は、霧化ノズル24の気流チャネル36内に確立された気流34によって支持される。図2は、図1のエアロゾル発生システムの拡大図であり、霧化組立品を通る気流チャネル36および流体流路38をより詳細に図示する。液体エアロゾル形成基体は、管セクション20の出口端20aに提供された霧化ノズル24に向かって管20内で運ばれる。霧化ノズル24は、液体エアロゾル形成基体の小さい液滴のスプレージェットを作り出すための中央出口40開口部を有する。霧化ノズル24は、空気吸込み口28と流体連通する気流チャネル36をさらに備え、これは中央開口部40から半径方向外向きに、かつ中央開口部40と対称に配置されたリング形状の出口開口部42で終了する。リング形状の出口開口部42を出る気流34はスプレージェットと混合し、液体エアロゾル形成基体の小さい液滴の霧化を増強する。
【0047】
スプレージェット32は、ヒーター組立品26の上に送達され、そこでエアロゾル形成基体が揮発してエアロゾルを形成する。図示した実施形態において、完全な気流が霧化ノズル24の気流チャネル36を通して案内される。別の方法として、追加的な二次空気吸込み口がエアロゾル発生システムのハウジング内に提供されてもよい。二次空気吸込み口に入る副次的な気流は、ヒーター組立品による揮発の前または後に、一次の流れと混合されてもよい。
【0048】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。
図1
図2