(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、工作機械100の外観図である。
本実施形態における工作機械100は、加工領域200内に配置されるワークを加工する複合加工機である。ワークは保持部104に固定され、主軸に取り付けられる工具102により切削される。保持部104は駆動機構により回転駆動される。
【0014】
工具102が工具認識領域210内に挿入されたとき、下方の照明装置108は工具102を照明し、上方のカメラ106は工具102を撮像する。このときの撮像画像に基づいて後述の工具登録および工具検査が実行される。工具認識領域210の構成については次の
図3,
図4に関連して更に詳述する。
【0015】
工作機械100は、外部を遮断するカバー202を備える。カバー202は、ドア204を備える。ユーザは、ドア204を開口して、ワークの取り付けおよびワークの取り出しを行う。操作盤206は、作業者から、工作機械100に対する各種操作を受け付ける。
【0016】
操作盤206は、画像処理装置110と接続される。作業者は、画像処理装置110により工作機械100の作業状況を遠隔監視できる。本実施形態においては、工作機械100本体と画像処理装置110は有線ケーブルを介して接続される。画像処理装置110は、工作機械100の内部、たとえば、操作盤206の内部装置として形成されてもよい。
【0017】
操作盤206は工作機械100の一部として形成されてもよいし、工作機械100から着脱可能かつ運搬可能に構成されてもよい。
【0018】
工具格納部130は、複数の工具102を格納する。工具格納部130に格納される複数の工具102から工具交換部(後述)により工具102を取得し、これを主軸頭に装着する。なお、
図1に示すように、水平方向にY軸とZ軸、垂直方向にX軸を設定するものとする。Z軸方向は、主軸およびワークの軸方向に対応する。
【0019】
本実施形態における工作機械100は、金属製のワークを加工する。摩擦熱を除去するため、加工中においては、カバー202の上部にあるクーラントノズル(後述)からワークおよび工具102に対してクーラントが噴射される。クーラントは、除熱のほか、切削部分における潤滑および洗浄の役割も担う。クーラントは不溶性切削油または水溶性切削油のいずれであってもよい。工作機械100は、台座部分にクーラントタンク208を備える。クーラントはクーラントタンク208からポンプで汲み上げられてクーラントノズルから加工領域200内に噴射される。
【0020】
図2は、工作機械100の内部を示す図である。
工具102は、主軸頭116に取り付けられる。主軸頭116の上部はカバー202により遮蔽される。カバー202の側面には複数の室内カメラ216が取り付けられる。室内カメラ216により加工時の様子が撮像される。作業者は操作盤206あるいは画像処理装置110により加工の様子を確認できる。
【0021】
カバー202の天井には複数のクーラントノズル212が設置される。クーラントノズル212は配管、バルブおよびポンプ等を介してクーラントタンク208と連通する。ポンプが駆動されることにより、クーラントノズル212から加工領域200内にクーラントが噴射される。また、クーラントノズル212は回転可能に形成されており、クーラントノズル212を回転させることでクーラントの噴射方向が制御される。ワークの加工により生じた切屑はクーラントにより洗い流され、回収機構(図示せず)に回収される。
【0022】
図3は、工具認識領域210の周辺斜視図である。
加工領域200の一部に、工具認識領域210が形成される。具体的には、ワークを固定する保持部104の上方に工具認識領域210(空間)が形成される。工具認識領域210は、カメラ106および照明装置108を含む(
図4に関連して後述)。
【0023】
外部カバー300は、工具認識領域210を閉鎖する可動式の仕切板(シャッター)である。ワークの加工時においては、工具認識領域210は外部カバー300により閉鎖される。加工中の加工領域200においては、クーラントノズル212から大量のクーラントが噴射される。また、加工領域200内ではワークの切り屑も飛散する。このため、外部カバー300により工具認識領域210を閉鎖することで、クーラント等が工具認識領域210内に入り込むのを防止する。
【0024】
加工プログラム中の測定コマンド等により工具102の検査を指示されたとき、工作機械100はワークの加工を中止する。このとき、工作機械100は、クーラントの噴射も中止させる。外部カバー300が開口し、主軸頭116は工具102を工具認識領域210に進入させる。工具認識領域210に挿入された工具102をカメラ106で撮像することにより、工具形状を確認する。以下、加工中における工具102の検査を「工具検査」とよぶ。
【0025】
新規に工具102を登録するときにも、工具認識領域210において工具形状の画像認識が行われる(後述)。以下、工具102を新規登録することを「工具登録」とよぶ。工具登録のときにも外部カバー300は開口し、主軸頭116が登録対象の工具102を工具認識領域210に挿入することで画像処理装置110は工具形状の確認を行う。
【0026】
図4は、工具認識領域210における各機構の側断面図である。
工具102は、カメラ106と照明装置108の中間に挿入される。カメラ106の側部には上方から工具102を照らすための副照明装置308も設置される。カメラ106の横にはカメラ106の受光面を覆うための第1シャッター304が設置される。照明装置108の横には照明装置108の発光面を覆うための第2シャッター306が設置される。以下、第1シャッター304および第2シャッター306をまとめていうときには「内部シャッター」とよぶ。
【0027】
第1シャッター304および第2シャッター306は、Z軸を回転軸として回転駆動される。第1シャッター304および第2シャッター306を回転駆動させることにより、カメラ106の受光面および照明装置108の発光面の開口および閉鎖が可能となる。
【0028】
工具検査を開始するときには、第1シャッター304および第2シャッター306の双方が同時に開放される。工具検査を終了するときには、第1シャッター304および第2シャッター306は順番に閉鎖される。工具登録の開始時および終了時についても同様である。
【0029】
本実施形態におけるカメラ106の撮像領域は工具102に比べると小さいので、1回の撮像により工具102を撮像することはんできない。このため、主軸頭116を動かすことで撮像領域に対して工具102を相対移動させ、工具102の複数箇所を撮像することで工具全体の撮像画像が取得される。なお、カメラ106の撮像領域が十分に大きいときには1回の撮像により工具102全体を撮像してもよい。
【0030】
図5は、工作機械100および画像処理装置110のハードウェア構成図である。
工作機械100は、操作制御装置120、加工制御装置122、加工装置124、工具交換部126および工具格納部130を含む。数値制御装置として機能する加工制御装置122は、加工プログラムにしたがって加工装置124に制御信号を送信する。加工装置124は、加工制御装置122からの指示にしたがって主軸頭116を動かしてワークを加工する。
【0031】
操作制御装置120は、操作盤206を含み、加工制御装置122を制御する。工具格納部130は工具を格納する。工具交換部126は、いわゆるATC(Automatic Tool Changer)に対応する。工具交換部126は、加工制御装置122からの交換指示にしたがって、工具格納部130から工具を取り出し、主軸頭116にある工具102と取り出した工具102を交換する。
【0032】
操作制御装置120は、シャッター制御部320を含む。シャッター制御部320は、外部カバー300および内部シャッター(第1シャッター304および第2シャッター306)を開閉させる。
【0033】
加工装置124は、クーラントノズル212とクーラントタンク208を含む。加工制御装置122は、クーラント制御部322を含む。クーラント制御部322は、クーラントタンク208が内蔵するポンプを制御することにより、クーラントノズル212からのクーラントの噴射と停止を制御する。また、クーラント制御部322はクーラントノズル212を回転させることでクーラントの噴射方向も制御する。
【0034】
画像処理装置110は、主として、工具形状認識等の画像処理を行う。上述したように、画像処理装置110は操作制御装置120の一部として構成されてもよい。画像処理装置110は、一般的なラップトップPC(Personal Computer)あるいはタブレット・コンピュータであってもよい。
【0035】
図6は、画像処理装置110の機能ブロック図である。
画像処理装置110の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コンピュータプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0036】
なお、操作制御装置120および加工制御装置122も、プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され演算器に処理命令を供給するソフトウェアやプログラムを画像処理装置110とは別個のオペレーティングシステム上で実現される形態でもよい。
【0037】
画像処理装置110は、ユーザインタフェース処理部140、データ処理部142、通信部400およびデータ格納部144を含む。
ユーザインタフェース処理部140は、作業者からの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部400は、操作制御装置120との通信を担当する。データ処理部142は、ユーザインタフェース処理部140により取得されたデータおよびデータ格納部144に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部142は、ユーザインタフェース処理部140、通信部400およびデータ格納部144のインタフェースとしても機能する。データ格納部144は、各種プログラムと設定データを格納する。
【0038】
ユーザインタフェース処理部140は、入力部146および出力部148を含む。
入力部146は、タッチパネル、マウス、キーボード等のハードデバイスを介してユーザからの入力を受け付ける。出力部148は、画像表示あるいは音声出力を介して、ユーザに各種情報を提供する。出力部148は、表示部138を含む。表示部138は、各種画像を画面表示させる。
【0039】
通信部400は、操作制御装置120からデータを受信する受信部404と、操作制御装置120にデータおよびコマンドを送信する送信部406を含む。
【0040】
データ処理部142は、鮮明度判定部150、撮像処理部152および形状再現部154を含む。
撮像処理部152は、工具認識領域210のカメラ106を制御して工具102を撮像させる。また、撮像処理部152は室内カメラ216(
図2)も制御する。加工制御装置122は主軸頭116をカメラ106の直下に移動させ、撮像処理部152は工具102を撮像する。撮像処理部152から加工制御装置122に主軸頭116の移動方向を指示することもできる。鮮明度判定部150は、カメラ106による撮像画像の鮮明度を判定する。ここでいう鮮明度は、工具認識領域210におけるミスト濃度を示す指標値である(詳細後述)。形状再現部154は、工具102の撮像画像に基づいて工具形状データを生成する。
【0041】
図7は、鮮明度の変化にともなう確認画像の変化を示す図である。
工具検査の前に、鮮明度判定部150は撮像画像に基づいて鮮明度を計算し、工具検査の実行可否を判定する。以下、鮮明度判定部150によるミスト濃度の確認処理のことを「ミスト確認処理」とよぶ。
【0042】
工具検査に際して、まず、クーラント制御部322はクーラントの噴射を停止する。ミストクーラントは既知のミストコレクターにより加工領域200から排出されるが、ミストクーラントが十分に加工室内から除去されるまでには時間がかかる。したがって、クーラントの噴射を停止したあとも、加工領域200内にはミストクーラントがしばらく残留する。クーラント噴射の停止後、所定時間が経過したあと、シャッター制御部320は外部カバー300を開放し、続いて内部シャッター(第1シャッター304および第2シャッター306)を開放する。このとき、加工領域200内に滞留しているミストクーラントの一部が工具認識領域210内にも入り込む。
【0043】
撮像処理部152は主軸頭116に指示して、工具102を工具認識領域210に進入させる。撮像処理部152は、工具102の先端がカメラ106の撮像領域に入る位置において工具102を含めて撮像を実行する。以下、このときの撮像画像を「確認画像」とよぶ。
【0044】
鮮明度判定部150は、確認画像に基づいて、工具認識領域210におけるミスト濃度を鮮明度として指標化する。具体的には、鮮明度判定部150は確認画像に含まれる各画素を基準となる輝度(以下、「基準輝度」とよぶ)に基づいて、基準輝度以上の輝度を有する明るい画素(以下、「明画素」とよぶ)と基準輝度未満の輝度を有する暗い画素(以下、「暗画素」とよぶ)に分類する。次に、鮮明度判定部150は明画素群の平均輝度値として「明輝度値」を算出し、暗画素群の平均輝度値として「暗輝度値」を算出する。鮮明度判定部150は、明輝度値と暗輝度値の差分値を計算し、これを「0〜100」の範囲で正規化することにより「鮮明度」を算出する。
【0045】
ミスト濃度が高いときには、いいかえれば、工具認識領域210内におけるミストクーラントの残留量が多いときには、確認画像は全体的に明るくなるため鮮明度は小さくなる。一方、ミスト濃度が低いときには、工具102に対応する画素が暗くなるため、明輝度値と暗輝度値の差分である鮮明度は大きくなる。残留ミストクーラントはミストコレクターにより少しずつ除去されるため、時間経過とともに確認画像の鮮明度は高くなる。
【0046】
図7においては、一番左にある確認画像の鮮明度は「20」である。詳細は後述するが、撮像処理部152は定期的に確認画像を取得する。
図7は、鮮明度「20」から「50」までの確認画像の変化を示す。
【0047】
本実施形態においては、確認画像を一定時間、たとえば、数ミリ秒ごとに取得し、確認画像が取得されるごとに、鮮明度判定部150は鮮明度を算出する。鮮明度判定部150は、確認画像の鮮明度の計算後、鮮明度の変化率(以下、「鮮明度変化率」とよぶ)を計算する。たとえば、1枚目の確認画像の鮮明度が「20」、2枚目の確認画像の鮮明率が「25」のときには、鮮明度変化率は5(=25−20)となる。1枚目の確認画像を取得してから2枚目の確認画像を取得するまでの時間が100ミリ秒であれば、この鮮明度変化率は単位時間(100ミリ秒)あたりの鮮明度の上昇率を意味する。
【0048】
鮮明度判定部150は、鮮明度変化率が所定の閾値T1未満となったとき、工具検査の実行を許可する。鮮明度変化率が小さいとは、ミスト濃度の時間減少率が低下していることを意味する。これは、これ以上ミスト確認処理に時間をかけても鮮明度の大きな改善は見込めない状況にあることを意味する。また、ミスト濃度の時間減少率が低下しているとは、ミスト濃度はすでに十分に低下している可能性が高い。鮮明度変化率が閾値T1未満となったとき、撮像処理部152は工具102を工具認識領域210で移動させながら、工具102の輪郭を撮像することにより後述の工具検査を実行する。
【0049】
図8は、工具検査時の部分画像290を示す。
ミスト確認処理のあと、工具検査が実行される。部分画像290は、カメラ106の撮像領域に対応し、工具102の一部を含む撮像画像である。部分画像290には、照明装置108により下方から映し出された工具102のシルエットが表示される。撮像処理部152は、Y軸負方向に走査線180aを設定し、暗領域182(工具102が存在するシルエット領域)から明領域184(工具102が存在しない領域)の境界に位置するエッジ点を検出する。撮像処理部152は、走査線180aを一定のピッチにてずらしながら、複数のエッジ点を検出する。
【0050】
同様にして、撮像処理部152は、Z軸正方向に走査線180bを設定し、暗領域182から明領域184の境界に位置するエッジ点を検出する。撮像処理部152は、走査線180bを一定のピッチにてずらしながら複数のエッジ点を検出する。
【0051】
更に、撮像処理部152は、Z軸負方向に走査線180cを設定し、暗領域182から明領域184の境界に位置するエッジ点を検出する。撮像処理部152は、走査線180cを一定のピッチにてずらしながら複数のエッジ点を検出する。
【0052】
このように、3方向から走査線180a、走査線180b、走査線180cを設定することにより複数のエッジ点を検出する。複数のエッジ点により、工具102の輪郭を示す点列データが得られる。点列データにより、工具形状を検出することができる。
【0053】
図9は、工具102の工具形状データを示す図である。
撮像処理部152は、工具102のZ軸中心とした主軸頭116の回転角(以下、「主軸回転角」とよぶ)を設定し、そのあと、工具102をZ軸正方向に移動させつつ、工具102をY軸方向にも移動させる。主軸頭116の撮像領域において部分画像290を取得し、部分画像290からエッジ点を検出することにより、工具102の外形が特定される。1つの主軸回転角につき複数枚の部分画像290が取得される。次に、撮像処理部152は工具102を12度回転させ、次の主軸回転角について同様の処理を行う。
【0054】
1つの主軸回転角あたり10枚の部分画像290を取得するとすれば、30種類(=360÷12)の主軸回転角設定により合計外部カバー300枚の部分画像290を取得できる。形状再現部154は各部分画像290の点列データを総合することにより、
図9に示す工具形状データ、すなわち、工具102の立体形状を示す点列データを生成する。作業者は、工具形状データを確認することで工具102の欠損の有無あるいは摩耗量を確認できる。
【0055】
図10は、工具検査の処理過程を示すフローチャートである。
測定コマンドの入力を契機として工具検査は実行される。測定コマンドは加工プログラムのコードとして記載されてもよいし、作業者により操作盤206または画像処理装置110から手動で入力されてもよい。測定コマンドを指定されたとき、クーラント制御部322はクーラントの噴射を停止させる。このとき、ミストコレクターによるミストクーラントの除去も開始する。停止から所定の待機時間が経過したあと、シャッター制御部320はまず外部カバー300を開放する(S10)。続いて、シャッター制御部320は内部シャッターを開放する(S12)。このとき、ミストクーラントの排出は続いているものの、加工領域200内になお滞留しているミストクーラントの一部が工具認識領域210にも流れ込む。撮像処理部152は、加工制御装置122に指示して、主軸頭116を工具認識領域210に移動させる(S14)。
【0056】
以下のS16〜S20までの処理が上述のミスト確認処理に対応する。
工具102を撮像領域まで移動させたあと、撮像処理部152はカメラ106を制御して確認画像を撮像する(S16)。鮮明度判定部150は確認画像の鮮明度を計算する(S18)。鮮明度判定部150は、前回撮像の確認画像の鮮明度と今回撮像の確認画像の鮮明度に基づいて鮮明度変化率を計算する(S20)。鮮明度変化率が閾値T1以上のとき、あるいは、1回目の確認画像のときには(S20のN)、処理はS16に戻り、所定時間の経過後に撮像処理部152は再び確認画像を撮像する。
【0057】
鮮明度変化率が閾値T1未満のとき(S20のY)、すなわち、前回の確認画像と今回の確認画像それぞれの鮮明度があまり変化していないときには、鮮明度判定部150は工具形状検出を許可する。撮像処理部152は、
図8に関連して説明したように、主軸頭116を移動させながら点列データを生成することで工具形状を検出する(S22)。このとき、撮像処理部152はカメラ106を12度ずつ回転させることで、30種類の主軸回転角それぞれについて点列データを取得する。形状再現部154は、S22において得られた点列データに基づいて
図9に示した工具形状データを生成する。表示部138は工具形状データを画面表示させる。
【0058】
[総括]
以上、実施形態に基づいて工作機械100について説明した。
本実施形態における工作機械100によれば、鮮明度判定部150は確認画像の鮮明度に基づいてミスト濃度を指標化できる。ミスト濃度が高いときには鮮明度が低くなり、ミスト濃度が低いときには鮮明度が高くなる。鮮明度判定部150は工具認識領域210におけるミスト濃度に応じて工具検査を実行可能なタイミングを調節できる。このため、ミスト濃度が低いときには比較的早期に工具検査を実行可能となる。また、鮮明度判定部150は、ミスト濃度が高いときには十分にミスト確認に時間をかけた上で適切なタイミングにて工具検査の実行を許可する。
【0059】
工具認識領域210におけるカメラ106および照明装置108は工具検査および工具登録のために用意される装置である。鮮明度判定部150はこれらの装置をつかって確認画像を画像処理することにより鮮明度を計算する。本実施形態においては、ミストクーラントの濃度を計測するために追加のセンサを用意する必要がない。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0061】
[変形例]
本実施形態においては、確認画像を繰り返し撮像し、鮮明度変化率が閾値T1未満となったときに工具検査を実行可能と判定するとして説明した。変形例として、鮮明度判定部150は確認画像を繰り返し撮像し、確認画像の鮮明度が所定の閾値T2以上、たとえば、50以上となったときに工具検査を許可するとしてもよい。
【0062】
鮮明度判定部150は、鮮明度変化率が閾値T1未満となり、かつ、最新の確認画像の鮮明度が閾値T2以上となることを条件として工具検査を許可するとしてもよい。
【0063】
鮮明度判定部150は、ミスト濃度が十分に小さいときの鮮明度に基づいて上述の閾値T2を設定してもよい。たとえば、ミスト濃度がゼロに近いと想定される工具登録時において、撮像処理部152はカメラ106を工具認識領域210に移動させ、撮像画像を取得する。以下、このときの撮像画像を「基準画像」とよぶ。鮮明度判定部150は基準画像の鮮明度CSを計算しておく。基準画像の撮像時においてはミストクーラントの影響はほとんどないので鮮明度CSは想定可能な最大値に近い値になることが想定される。
【0064】
鮮明度判定部150は、この基準画像の鮮明度CSに基づいて閾値T2を設定してもよい。たとえば、鮮明度判定部150は、閾値T2=k×鮮明度CS(kは0.0〜1.0の範囲で設定される任意の定数)という計算式により、閾値T2を決定してもよい。閾値T2が大きすぎるときにはミスト確認に時間がかかりすぎてしまう。一方、閾値T2が小さすぎるときにはミスト濃度が高いにも関わらず工具検査が拙速に行われてしまう可能性がある。鮮明度判定部150はミストクーラントの影響がほとんどないときの鮮明度CSを基準として閾値T2を決定することにより、ミスト確認の時間を抑制しつつ、合理的なタイミングにて工具検査を開始することができる。
【0065】
鮮明度判定部150は、工具登録に限らず、工作機械100の電源をオンして加工を開始するときに基準画像を取得し、基準画像の鮮明度CSを求めるとしてもよい。
【0066】
本実施形態においては2回以上、確認画像を撮像し、各確認画像の鮮明度から鮮明度変化率を計算し、そのあとに工具検査のための撮像を行うとして説明した。変形例として、最後に許可判定をしたときの確認画像をそのまま工具検査に利用してもよい。たとえば、1回目からn回目まで確認画像の鮮明度計算を繰り返し、n枚目の確認画像において鮮明度変化率が閾値T1未満となったとする。このとき、撮像処理部152はn枚目の確認画像をそのまま工具検査のための部分画像290として再利用し、エッジ点の検出を行ってもよい。その後は、撮像処理部152は主軸頭116を移動させながら工具102の各部を撮像することにより、複数の部分画像290を取得し、複数の部分画像290に基づいて点列データを取得してもよい。
【0067】
撮像処理部152は、ミスト確認に際して、工具102が工具認識領域210に挿入されたあと工具102を動画撮影してもよい。撮像処理部152は、動画像から一定間隔にて静止画像を抽出し、この静止画像の鮮明度に基づいて工具検査の可否を判定してもよい。
【0068】
鮮明度判定部150は、(1)コントラスト(2)エッジ変化量(3)全体輝度の3要件の組み合わせにより鮮明度を判定してもよい。
鮮明度判定部150は、上述したように明輝度値と暗輝度値の差分値である「コントラスト」、すなわち、明領域と暗領域を対比したときの輝度の差分に基づいて鮮明度を計算してもよい(以下、「第1鮮明度」とよぶ)。上述したように、ミスト濃度が低いほど第1鮮明度は大きくなる。
【0069】
このほか鮮明度判定部150は、確認画像においても
図8に示したようにエッジ点を検出し、エッジ付近における輝度値の変化量に基づいて鮮明度を計算してもよい(以下、「第2鮮明度」とよぶ)。具体的には、Y方向の走査線180aを想定したとき、鮮明度判定部150は、エッジ点の左側の画素P1(例:暗画素)と右側の画素P2(例:明画素)それぞれの輝度値を算出する。次に、鮮明度判定部150は画素P1の輝度値と画素P2の輝度値の差分値を算出する。ミスト濃度が高いときには確認画像は全体的に白くなりエッジ点付近での輝度変化が小さくなる。鮮明度判定部150は複数のエッジ点それぞれについて差分値を計算し、複数の差分値の平均値を第2鮮明度として算出してもよい。ミスト濃度が低いほど第2鮮明度は大きくなる。
【0070】
鮮明度判定部150は、確認画像の全画素または所定箇所にある複数の画素それぞれの輝度値に基づいて全体輝度としての鮮明度を計算してもよい(以下、「第3鮮明度」とよぶ)。ミスト濃度が高いときには各画素の輝度は全体的に高くなる。したがって、鮮明度判定部150は第3鮮明度に基づいて工具検査の可否を判定してもよい。
【0071】
鮮明度判定部150は、第1鮮明度、第2鮮明度および第3鮮明度のいずれか1つに基づいて工具検査の可否を判定してもよい。あるいは、第1鮮明度の変化率が閾値T1未満、第2鮮明度の変化率が所定の閾値T3以上、のように2種類以上の鮮明度が基準をクリアしたときに工具検査を許可するとしてもよい。また、鮮明度判定部150は、第1鮮明度の変化率が閾値T1未満、第2鮮明度の変化率が所定の閾値T3以上、第3鮮明度の変化率が所定の閾値T4未満という3種類の鮮明度が基準をクリアしたときに工具検査を許可するとしてもよい。鮮明度判定部150は、第1鮮明度、第2鮮明度および第3鮮明度の変化率ではなく、最新の確認画像における各鮮明度に基づいて工具検査の実行可否を判定してもよい。
【0072】
鮮明度判定部150は、確認画像の全画素ではなく所定領域にある一部の画素を対象として各種の鮮明度を計算してもよい。
【解決手段】画像処理装置は、所定の撮像領域を対象として、カメラによる撮像を制御する撮像処理部と、撮像領域における確認用の撮像画像である確認画像の鮮明度に基づいて、工具の形状検出の可否を判定する鮮明度判定部を備える。撮像処理部は、確認画像の鮮明度に基づいて形状検出が許可されたことを条件として、工具の形状検出を実行する。