特許第6946651号(P6946651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6946651
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】光源装置及びプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20210927BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20210927BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20210927BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20210927BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20210927BHJP
   F21V 13/00 20060101ALI20210927BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20210927BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20210927BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20210927BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20210927BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   F21S2/00 340
   F21V7/00 570
   F21V9/00
   F21V9/40 200
   F21V13/00 100
   F21V29/502 100
   F21V29/70
   H04N5/74 Z
   F21Y115:30
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-16875(P2017-16875)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-124445(P2018-124445A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 勝光
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 智広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松原 貴之
【審査官】 川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−076968(JP,A)
【文献】 特開2012−141581(JP,A)
【文献】 特開2012−203262(JP,A)
【文献】 特開2012−137744(JP,A)
【文献】 特開2011−090310(JP,A)
【文献】 特開2013−076836(JP,A)
【文献】 特開2016−145966(JP,A)
【文献】 特開2014−066991(JP,A)
【文献】 特開2014−238595(JP,A)
【文献】 特開2012−133337(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0242534(US,A1)
【文献】 特開2015−206888(JP,A)
【文献】 特表2014−514685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00−9/90
F21S2/00−45/70
F21V1/00−15/04
23/00−37/00
99/00
G03B21/00−21/10
21/12−21/13
21/134−21/30
33/00−33/16
H04N5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1照明光軸に沿って青色光を出射する第1光源部と、
前記第1光源部に対して並んで配置され、前記第1照明光軸と略平行な第2照明光軸に沿って励起光を出射する第2光源部と、
前記第2光源部から出射された前記励起光を、前記第1照明光軸及び前記第2照明光軸に交差する第3照明光軸に沿うように反射させる反射部材と、
前記反射部材によって反射された前記励起光が、前記第1照明光軸と交差した後に入射され、前記励起光とは波長が異なる変換光を、前記励起光の入射方向とは反対方向に出射する波長変換装置と、
前記第1照明光軸と前記第3照明光軸との交差部位に位置し、前記青色光及び前記励起光を透過し、前記変換光を前記第1照明光軸に沿うように反射させる光合成装置と、
前記第2光源部と前記反射部材との間に配置され、前記第2光源部から出射された前記励起光を集光する第1レンズと、
前記反射部材と前記光合成装置との間に配置され、前記反射部材によって反射された前記励起光を平行化する第2レンズと、
前記光合成装置と前記波長変換装置との間に配置され、前記励起光を前記波長変換装置に集光させ、前記波長変換装置から入射される前記変換光を平行化して前記光合成装置に入射させる励起光用集光素子と、を備えることを特徴とする光源装置
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記第2レンズと前記光合成装置との間に配置され、入射される前記励起光を拡散させる拡散素子を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光源装置において、
前記第2光源部は、複数の固体光源を有し、
前記第1レンズは、前記複数の固体光源から出射された前記励起光を集光することを特徴とする光源装置。
【請求項4】
第1照明光軸に沿って青色光を出射する第1光源部と、
前記第1光源部に対して並んで配置され、前記第1照明光軸と略平行な第2照明光軸に沿って励起光を出射する第2光源部と、
前記第2光源部から出射された前記励起光を、前記第1照明光軸及び前記第2照明光軸に交差する第3照明光軸に沿うように反射させる反射部材と、
前記反射部材によって反射された前記励起光が、前記第1照明光軸と交差した後に入射され、前記励起光とは波長が異なる変換光を、前記励起光の入射方向とは反対方向に出射する波長変換装置と、
前記第1照明光軸と前記第3照明光軸との交差部位に位置し、前記青色光及び前記励起光を透過し、前記変換光を前記第1照明光軸に沿うように反射させる光合成装置と、
前記第1照明光軸において前記第1光源部と前記光合成装置との間に配置され、前記第1光源部から出射された前記青色光を拡散させる拡散装置と、
前記拡散装置と前記光合成装置との間に配置され、前記拡散装置から出射された前記青色光を平行化して前記光合成装置に入射させる平行化素子と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光源装置において、
前記第1光源部は、それぞれ前記青色光を出射する複数の固体光源を有し、
前記光源装置は、前記第1光源部と前記拡散装置との間に配置され、前記複数の固体光源から出射された前記青色光を前記拡散装置に重畳させる重畳素子を備え、
前記重畳素子は、1枚のレンズによって構成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記光合成装置は、入射される光の波長に基づいて、前記青色光及び前記励起光を透過し、前記変換光を反射させることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記第1光源部及び前記第2光源部は、隙間を介して配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項に記載の光源装置において、
前記第1光源部及び前記第2光源部と接続される放熱部材を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記第1光源部は、前記青色光を出射する青色固体光源を有し、
前記第2光源部は、前記励起光を出射する励起固体光源を有し、
前記励起固体光源の数は、前記青色固体光源の数より多いことを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターに採用される光源装置として、青色光と蛍光(黄色光)とを含む白色光を出射する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の光源装置では、固体光源ユニットから出射された青色光は、2つのレンズによって小径化された後、拡散板によって拡散されて面内照度が均一化され、1/2波長板に入射される。この1/2波長板は、入射された青色光のうち、90〜70%がs偏光成分となり、10〜30%がp偏光成分となるように、光軸が調整されている。このような1/2波長板を通過した青色光は、ダイクロイックミラーに入射される。
ダイクロイックミラーは、青色光のうち、s偏光成分を反射させ、p偏光成分を透過させる特性を有する他、緑色光及び赤色光を透過する特性を有する。すなわち、特許文献1に記載のダイクロイックミラーは、波長選択的偏光分離特性を有する。このようなダイクロイックミラーに1/2波長板から入射された青色光のうち、s偏光成分は、蛍光発光板側に反射され、p偏光成分は、偏光方向変換部側に透過される。
【0003】
蛍光発光板側に反射されたs偏光成分は、コンデンサレンズによって集光されて蛍光発光板に入射され、当該蛍光発光板から上記蛍光が出射される。この蛍光は、上記コンデンサレンズによって集光及び平行化され、上記ダイクロイックミラーを通過する。
一方、偏光方向変換部側に透過されたp偏光成分は、1/4波長板及び反射板によってs偏光成分に変換され、ダイクロイックミラーによって、上記蛍光の通過方向と同方向に反射される。
これにより、光源装置から、蛍光及び青色光を含む白色光が出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−137744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光源装置では、固体光源ユニットから波長変換装置である蛍光発光板への光路(L字状の光路)と、当該固体光源ユニットから反射板への光路とは、同じ光路長である。このため、光源装置が大型化しやすいという問題がある。これに対し、固体光源ユニットから反射板への光路長を維持したままで、固体光源ユニットから波長変換装置への光路長を短くして、光源装置の小型化を図ることが考えられる。
しかしながら、固体光源ユニットから波長変換装置までの光路長を短くすると、蛍光発光板に入射される青色光を上記コンデンサレンズ等によって十分に小径化することが困難になる。この場合、蛍光発光板から拡散出射されてコンデンサレンズに入射される蛍光の光量が低下し、光源装置から出射される光量が低下しやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、波長変換装置に入射される光の光路を比較的長くしつつ、小型化を図ることができる光源装置及びプロジェクターを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る光源装置は、第1照明光軸に沿って青色光を出射する第1光源部と、前記第1光源部に対して並んで配置され、前記第1照明光軸と略平行な第2照明光軸に沿って励起光を出射する第2光源部と、前記第2光源部から出射された前記励起光を、前記第1照明光軸及び前記第2照明光軸に交差する第3照明光軸に沿うように反射させる反射部材と、前記反射部材によって反射された前記励起光が、前記第1照明光軸と交差した後に入射され、前記励起光とは波長が異なる変換光を、前記励起光の入射方向とは反対方向に出射する波長変換装置と、前記第1照明光軸と前記第3照明光軸との交差部位に位置し、前記青色光及び前記励起光を透過し、前記変換光を前記第1照明光軸に沿うように反射させる光合成装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記第1態様によれば、第1光源部及び第2光源部から出射された青色光及び励起光は、それぞれ互いに略平行な第1照明光軸及び第2照明光軸に沿って進行する。これらのうち、励起光は、反射部材によって反射されて、上記第1照明光軸に交差する第3照明光軸に沿って進行して波長変換装置に入射される。これによれば、青色光の光路より、励起光の光路を長くすることができるので、光学部品を配置する等して、当該励起光の光束径を小さくしやすくすることができ、変換光を光合成装置に入射させやすくすることができる。また、第1光源部及び第2光源部が互いに並んで配置されていて、第1光源部に対して第2光源部が青色光及び励起光の出射方向にずれていないこと、並びに、励起光が、青色光の光路のように一方向のみに直進するのではなく、反射部材によって反射されることにより、当該励起光の光路長を長くしつつ、光源装置をコンパクトに構成できる。従って、光源装置の小型化を図ることができる。
【0009】
また、青色光を出射する第1光源部と、励起光を出射する第2光源部とが、それぞれ設けられていることから、上記特許文献1に記載の光源装置のように、1つの光源部から出射された青色光の偏光方向を回転させて、s偏光成分及びp偏光成分を生じさせる位相差素子(1/2波長板)が必要ない。更に、第1光源部及び第2光源部の点灯を個別に制御することが可能となるので、青色光及び励起光のそれぞれの光量を調整する場合でも、当該位相差素子を回動させる回動装置が必要ない。従って、光源装置の小型化を図りやすくすることができる他、これら青色光及び励起光の光量バランス、ひいては、光源装置から出射される光束の色バランスを調整しやすくすることができる。
これらに加えて、光合成装置として、青色光及び励起光を透過し、変換光を反射させるダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを採用できる。この場合、光合成装置として偏光分離素子が採用される場合に比べて、光源装置を安価に構成できる。この他、光合成装置が、偏光状態ではなく波長に応じて入射光の透過及び反射を実施できる。従って、入射される光の偏光状態がずれた場合でも、光源装置から出射される光の色バランスにずれが生じることを抑制できる。
【0010】
上記第1態様では、前記第2光源部と前記反射部材との間に配置され、前記第2光源部から出射された前記励起光を集光する第1レンズと、前記反射部材と前記光合成装置との間に配置され、前記反射部材によって反射された前記励起光を平行化する第2レンズと、前記光合成装置と前記波長変換装置との間に配置され、前記励起光を前記波長変換装置に集光させ、前記波長変換装置から入射される前記変換光を平行化して前記光合成装置に入射させる励起光用集光素子と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、上記第1レンズによって、第2光源部から出射された励起光を集光できるので、当該励起光を効率よく波長変換装置に入射させることができる。
また、上記第2レンズによって、平行化された励起光は、励起光用集光素子によって集光されて波長変換装置に入射される。これによれば、波長変換装置から拡散出射される変換光の光束径を小さくすることができる。従って、波長変換装置から出射される変換光を当該励起光用集光素子に入射させやすくすることができる。
更に、当該励起光用集光素子は、波長変換装置から入射された変換光を平行化して光合成装置に入射させるので、当該変換光が拡散されることを抑制できる。従って、当該光合成装置を介して出射される青色光と変換光との光束径を揃えやすくすることができる。
【0011】
上記第1態様では、前記第2レンズと前記光合成装置との間に配置され、入射される前記励起光を拡散させる拡散素子を備えることが好ましい。
ここで、波長変換装置上での励起光による照明領域に照度むらが生じ、局所的に照度が高い励起光が当該照明領域に入射されると、熱飽和が生じやすくなり、変換光への波長変換効率が低下するだけでなく、波長変換装置の寿命が短縮される可能性がある。
これに対し、上記拡散素子によって拡散された励起光が、励起光用集光素子によって集光されて波長変換装置に入射されるので、当該励起光による照明領域に照度むらが発生することを抑制できる。従って、上記熱飽和の発生を抑制でき、変換光への波長変換効率の低下、及び、波長変換装置の寿命の短縮を抑制できる。
【0012】
上記第1態様では、前記第1光源部と前記光合成装置との間に配置され、前記第1光源部から出射された前記青色光を拡散させる拡散装置を備えることが好ましい。
ここで、第1光源部から出射される青色光がレーザー光である場合、当該レーザー光が散乱されると、スペックルと呼ばれる明暗の斑点模様が確認される。このようなスペックルは、光源装置から出射された光束によって形成される画像の画質を劣化させる。
これに対し、上記拡散装置が、青色光を拡散させることによって、上記スペックルを低減できる。従って、上記画像の劣化を抑制できる。
なお、このような拡散装置は、入射された光を反射させつつ拡散させる反射型の拡散装置だけでなく、入射された光を透過させつつ拡散させる透過型の拡散装置が挙げられる。これらのうち、透過型の拡散装置が採用される場合には、青色光の光路長が延びることを抑制でき、光源装置の小型化を図りやすくすることができる。
【0013】
上記第1態様では、前記第1光源部は、それぞれ前記青色光を出射する複数の固体光源を有し、前記光源装置は、前記第1光源部と前記拡散装置との間に配置され、前記複数の固体光源から出射された前記青色光を前記拡散装置に重畳させる重畳素子を備え、前記重畳素子は、1枚のレンズによって構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、上記励起光用集光素子を有する場合と同様に、重畳素子によって、入射される青色光を拡散装置に効率よく入射させることができる。また、この重畳素子は、各固体光源から出射された光を拡散装置に重畳させるので、拡散装置から出射される拡散光に、輝度むらが生じることを抑制できる。これにより、拡散装置から出射される青色光の中心軸に直交する面内の照度を略均一にすることができる。従って、光源装置から出射された光束による照明領域に照度むらが発生することを抑制でき、ひいては、光源装置から出射された光束によって形成される画像に色むらが発生することを抑制できる。また、この重畳素子は1枚のレンズによって構成されるので、重畳素子が配置されることによって青色光の光路が長くなることを抑制でき、光源装置の小型化を図りやすくすることができる。
【0014】
上記第1態様では、前記拡散装置と前記光合成装置との間に配置され、前記拡散装置から出射された前記青色光を平行化して前記光合成装置に入射させる平行化素子を備えることが好ましい。
ここで、拡散装置にて拡散された青色光が光合成装置にそのまま入射されると、当該青色光が進行するに従って光束径が大きくなる。
これに対し、上記平行化素子によって当該青色光が平行化されるので、青色光の広がりを抑制できる。なお、光源装置が上記励起光用集光素子を有する場合には、これら励起光用集光素子及び平行化素子によって、青色光及び変換光のそれぞれの光束径を揃えやすくすることができる。このため、光源装置から出射される光束による照明範囲において、青色光による照明範囲と変換光による照明範囲とを一致させやすくすることができる。従って、光源装置がプロジェクターに採用された場合に、当該プロジェクターが有する光学部品のうち、当該光源装置から出射された光束が最初に入射される光学部品にて照度低下及び色バランスのくずれが発生することを抑制でき、ひいては、当該プロジェクターによって投射される画像の色バランスのくずれや色むらが発生することを抑制できる。
【0015】
上記第1態様では、前記光合成装置は、入射される光の波長に基づいて、前記青色光及び前記励起光を透過し、前記変換光を反射させることが好ましい。
このような構成によれば、上記のように、光合成装置としてダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムを採用できるので、偏光分離素子が採用される場合に比べて、光源装置を安価に構成できる。この他、光合成装置での青色光及び励起光の透過、並びに、変換光の反射を、偏光状態ではなく波長に応じて実施できる。このため、当該光合成装置に入射される光の偏光状態がずれた場合でも、光源装置から出射される光の色バランスにずれが生じることを抑制できる。
【0016】
上記第1態様では、前記第1光源部及び前記第2光源部は、隙間を介して配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、隙間によって、第1光源部及び第2光源部の一方にて生じた熱が他方に伝達されにくくすることができる。従って、これら第1光源部及び第2光源部の温度上昇を抑制でき、青色光及び励起光の出射効率が低下することを抑制できる。
【0017】
上記第1態様では、前記第1光源部及び前記第2光源部と接続される放熱部材を備えることが好ましい。
このような構成によれば、第1光源部及び第2光源部にて生じた熱を放熱部材によって放熱できる。従って、これら第1光源部及び第2光源部の温度上昇を抑制でき、青色光及び励起光の出射効率の低下を抑制できる。この他、第1光源部及び第2光源部のそれぞれに応じて放熱部材を設ける必要がないので、部品点数の増加を抑制できる。
【0018】
上記第1態様では、前記第1光源部は、前記青色光を出射する青色固体光源を有し、前記第2光源部は、前記励起光を出射する励起固体光源を有し、前記励起固体光源の数は、前記青色固体光源の数より多いことが好ましい。
ここで、励起光は、波長変換装置に入射されて変換光に変換されるが、波長変換装置が変換光として黄色光を生成し、光源装置が白色光を出射する場合には、第1光源部が出射する青色光の光量より多くの励起光が必要となる。更に、波長変換装置による励起光の波長変換効率を考慮すると、更に多くの励起光が必要となる。
これに対し、励起固体光源の数は、青色固体光源の数より多いので、第1光源部から出射される青色光の光量より多くの励起光を第2光源部が出射できる。従って、光源装置により白色光を出射しやすくすることができる。
【0019】
本発明の第2態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
上記第2態様によれば、上記第1態様に係る光源装置と同様の効果を奏することができ、ひいては、プロジェクターの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクターの外観を示す斜視図。
図2】上記実施形態における装置本体の構成を示す模式図。
図3】上記実施形態における投射光学装置の内部構成を模式的に示す断面図。
図4】上記実施形態における光源装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1は、当該プロジェクター1を正面側上方から見た斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、内部に設けられた光源装置4(図2参照)から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、当該画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射するものである。このプロジェクター1は、装置本体(図1では図示省略)を収容する外装筐体2を備える。
このようなプロジェクター1は、詳しくは後述するが、光学部品のレイアウトに特徴の1つを有する光源装置4を備えている。
以下、プロジェクター1の各構成について説明する。
【0022】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、筐体本体21と、当該筐体本体21に取り付けられ、当該筐体本体21とともにプロジェクター1の外装を構成するカバー部材28と、を備え、全体として略直方体形状に形成されている。
筐体本体21は、天面部22、底面部23、正面部24、背面部25、左側面部26及び右側面部27を有し、背面部25における右側面部27側の部位(換言すると、右側面部27における背面部25側の部位)が切り欠かれた略直方体形状を有する。
天面部22は、背面部25側の位置に、第1傾斜部221及び第2傾斜部222によって形成される凹部220を有する。これら第1傾斜部221及び第2傾斜部222のうち、正面部24側に位置する第1傾斜部221は、背面部25側に向かうに従って底面部23に近接する方向に傾斜しており、背面部25側に位置する第2傾斜部222は、正面部24側に向かうに従って底面部23に近接する方向に傾斜している。この第2傾斜部222には、3つの開口部223〜224が形成されている。
【0023】
開口部223は、第2傾斜部222の略中央に、台形状に形成されている。この開口部223は、後述する投射光学装置35によって正面部24側で、かつ、天面部22側に出射された画像光が通過する開口部である。なお、開口部223は、可視光を透過する透光性部材TM1によって閉塞されている。
開口部224は、開口部223に対して背面部25側に位置している。この開口部224内には、図示を省略するが、リモートコントローラーからの赤外線信号を受光する受光部が配置される。なお、開口部224も、赤外光を透過する透光性部材TM2によって閉塞されている。
開口部225は、開口部223に対して左側面部26側に位置している。この開口部225内には、図示を省略するが、上記画像光の投射領域を撮像して、当該投射領域内の指示体の位置を検出する撮像装置が配置される。なお、開口部225も、透光性部材TM3によって閉塞されている。
正面部24は、外装筐体2外の気体を冷却気体として導入する複数の導入口241を有し、右側面部27は、外装筐体2内の冷却対象を冷却した冷却気体を排出する複数の排出口271を有する。
【0024】
このような筐体本体21は、上記のように、背面部25及び右側面部27の交差部分が略直角に切り欠かれており、当該交差部分において背面部25と平行な面には、各種ケーブルが接続可能な端子部(図示省略)が設けられている。そして、当該交差部分は、カバー部材28によって覆われることによって、当該端子部が露出せず、プロジェクター1の外観を良好なものとされている。なお、カバー部材28は、当該交差部分に着脱可能に取り付けられるので、当該カバー部材28を取り外すことによって、端子部へのケーブルの接続が可能となる。
【0025】
なお、以下の説明及び図において、天面部22と対向する方向から見て、開口部223を介して投射された画像光の進行方向を+Z方向とする。また、+Z方向にそれぞれ直交し、かつ、互いに直交する+X方向及び+Y方向のうち、+Y方向を底面部23から天面部22に向かう方向とし、+X方向を右側面部27から左側面部26に向かう方向とする。また、図示を省略するが、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。
【0026】
[装置本体の構成]
図2は、装置本体の構成を示す模式図である。
装置本体は、図2に示すように、画像投射装置3及び制御装置6を備える。この他、装置本体は、図示を省略するが、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
これらのうち、制御装置6は、制御回路等を備えて構成され、プロジェクター1の動作を制御する。例えば、制御装置6は、後述する光変調装置343に画像情報(画像信号)を出力して、当該画像情報に応じた画像光を形成させる他、光源装置4の点灯や発光光量を制御する。
【0027】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、上記制御装置6による制御の下、画像情報に応じた画像を形成及び投射する。この画像投射装置3は、+X方向及び−Z方向に沿う略L字状の光学ユニットとして構成されている。このような画像投射装置3は、光源装置4と、均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33、画像形成装置34、投射光学装置35及び光学部品用筐体36と、を備える。
これらのうち、光源装置4は、+X方向に沿って白色の光束(照明光)を出射する。この光源装置4の構成については、後に詳述する。
【0028】
均一化装置31は、光源装置4から入射される照明光の中心軸に対する直交面内の照度を均一化する。この均一化装置31は、当該照明光の入射順に、第1レンズアレイ311、調光装置312、第2レンズアレイ313、偏光変換素子314及び重畳レンズ315を有する。なお、調光装置312は、無くてもよい。
【0029】
これらのうち、偏光変換素子314は、詳しい図示を省略するが、偏光分離層、反射層及び位相差層をそれぞれ複数有する。
それぞれ複数の偏光分離層及び反射層は、第2レンズアレイ313から入射される光の中心軸にそれぞれ直交し、かつ、互いに直交する第1方向及び第2方向のうち第1方向に長く形成され、第2方向に交互に配列されている。なお、各偏光分離層は、第2レンズアレイ313から出射された各部分光束が入射される位置に配置され、各反射層は、当該各部分光束が直接入射されない位置に配置されている。
偏光分離層は、p偏光を通過させ、s偏光を反射させる。偏光分離層に応じて設けられる反射層は、当該偏光分離層にて反射されたs偏光を、p偏光の通過方向に沿うように反射させる。そして、複数の位相差層のそれぞれは、偏光分離層を通過したp偏光の光路上に設けられ、入射されるp偏光をs偏光に変換する。これにより、偏光変換素子314から出射される光の偏光方向は、s偏光に揃えられ、当該s偏光が、偏光変換素子314の光出射面における略全面から出射される。なお、偏光変換素子314は、p偏光を出射する構成としてもよい。
【0030】
色分離装置32は、均一化装置31から入射される光束を、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色光に分離する。この色分離装置32は、ダイクロイックミラー321,322及び反射ミラー323を有する。
リレー装置33は、分離された3つの色光のうち、他の色光に比べて光路が長い赤色光の光路上に設けられる。このリレー装置33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333及び反射ミラー332,334を有する。
【0031】
画像形成装置34は、分離された各色光を画像情報に応じて変調した後、当該各色光を合成して画像光を形成する。この画像形成装置34は、色光毎に設けられるフィールドレンズ341、入射側偏光板342、光変調装置343及び出射側偏光板344と、変調された各色光を合成して画像光を形成する1つの色合成装置345と、を有する。
これらのうち、光変調装置(赤、緑及び青用の光変調装置をそれぞれ343R,343G,343Bとする)は、本実施形態では液晶パネルを有する構成が採用されている。
また、色合成装置345は、本実施形態ではクロスダイクロイックプリズムにより構成されているが、複数のダイクロイックミラーを組み合わせた構成としてもよい。
【0032】
図3は、投射光学装置35の内部構成を模式的に示す断面図である。
投射光学装置35は、画像形成装置34から入射される画像光を上記被投射面上に拡大投射する。この投射光学装置35は、図3に示すように、複数のレンズ351と、非球面ミラー352と、これらを内部に収納する中空状の保持体353と、を備える。
複数のレンズ351は、例えば、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む。なお、図3では、5つのレンズ351が図示されているが、投射光学装置35を構成するレンズ351の数は、適宜変更可能である。
【0033】
非球面ミラー352は、回転対称でない自由曲面形状の反射面352Aが+Z方向側及び+Y方向側を向くように、投射光学装置35における光路最下流に配置される。この非球面ミラー352は、複数のレンズ351により、−Z方向側に導かれた画像光を+Z方向側及び+Y方向側に折り返すとともに、当該画像光を広角化する。
保持体353は、当該保持体353を収容する外装筐体2(図1参照)における天面部22側の部位に、非球面ミラー352にて反射された画像光が通過する開口部354を有する。この開口部354には、可視光を透過させるガラス等の基板355が嵌め込まれている。これら開口部354及び基板355を通過した画像光は、上記開口部223(図1参照)を介して外装筐体2の外部に出射される。
【0034】
図2に示すように、光学部品用筐体36は、上記装置31〜34を構成する光学部品を内部に収容する。この光学部品用筐体36には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光源装置4及び上記装置31〜35は、当該照明光軸Axにおける所定位置に配置される。このため、光源装置4から出射される光の中心軸、すなわち、後述する第1照明光軸Ax1(図4参照)は、照明光軸Axと一致する。
【0035】
[光源装置の構成]
図4は、光源装置4の構成を示す模式図である。
光源装置4は、上記のように、均一化装置31に照明光を出射する。この光源装置4は、図4に示すように、光源部41、プリズムミラー42、集光レンズ43、補助拡散素子44、拡散装置45、第1集光素子46、アフォーカル光学装置47、反射部材48、拡散素子49、第2集光素子50、波長変換装置51、光合成装置52及び位相差板53を有する。
【0036】
これらのうち、光源部41を構成する第1光源部411と、プリズムミラー42、集光レンズ43、補助拡散素子44、拡散装置45、第1集光素子46及び位相差板53とは、+X方向に沿う第1照明光軸Ax1上に配置されている。また、光源部41を構成する第2光源部412と、アフォーカル光学装置47を構成する第1レンズ471とは、第1照明光軸Ax1と平行な第2照明光軸Ax2上に配置されている。そして、アフォーカル光学装置47を構成する第2レンズ472と、拡散素子49、第2集光素子50及び波長変換装置51は、第1照明光軸Ax1及び第2照明光軸Ax2のそれぞれと+Z方向に沿って交差する第3照明光軸Ax3上に配置される。更に、光合成装置52は、第1照明光軸Ax1と第3照明光軸Ax3との交差部位に配置され、反射部材48は、第2照明光軸Ax2と第3照明光軸Ax3との交差部位に配置される。なお、第1照明光軸Ax1と第2照明光軸Ax2とは、完全な平行でなくてもよい。また、第3照明光軸Ax3は、第1照明光軸Ax1及び第2照明光軸Ax2のそれぞれに直交していなくてもよく、これら照明光軸Ax1,Ax2と交差していればよい。
【0037】
[光源部の構成]
光源部41は、第1光源部411、第2光源部412及び放熱部材413を有する。
第1光源部411及び第2光源部412は、+Z方向に沿って並んで配置され、それぞれ+X方向に青色光を出射する。すなわち、第2光源部412は、第1光源部411に対して+Z方向側に配置されている。
これら第1光源部411及び第2光源部412のそれぞれは、複数の固体光源SLが縦横に配置された固体光源ユニットSUを有する。具体的に、第1光源部411は、当該固体光源ユニットSUを1つ有し、第2光源部412は、当該固体光源ユニットSUを2つ有する。すなわち、第2光源部412が有する固体光源SL2(励起固体光源)の数は、第1光源部411が有する固体光源SL1(青色固体光源)の数より多く、第2光源部412が出射する青色光(励起光EL)の光量は、第1光源部411が出射する青色光(青色光BL)の光量より多い。これは、以下の理由による。
【0038】
第1光源部411から出射された青色光は、光量が大きく損なわれることなく、第1照明光軸Ax1に沿ってプリズムミラー42、集光レンズ43、補助拡散素子44、拡散装置45、第1集光素子46、光合成装置52及び位相差板53を通過して、光源装置4外に出射される。
これに対し、第2光源部412から出射された青色光(励起光EL)は、波長変換装置51での蛍光YL(緑色光及び赤色光を含む光)の生成に利用されることから、比較的多くの光量が求められる。また、蛍光YLの生成量(出射光量)は、波長変換装置51での波長変換効率に依存し、当該波長変換装置51に入射する光量より少ない。
これらのことから、第1光源部411からの青色光の出射光量より、第2光源部412からの青色光の出射光量を多くする必要がある。このため、第2光源部412が有する固体光源SL2の数は、第1光源部411が有する固体光源SL1の数より多くしている。
【0039】
また、第2光源部412が有する2つの固体光源ユニットSUは、+Z方向(すなわち、第1光源部411と第2光源部412とを結ぶ方向)に沿って並列配置されている。このため、+Z方向において、第2光源部412からの青色光の光束幅は、第1光源部411からの青色光の光束幅より大きくなりやすい。このような第2光源部412からの青色光を効率よく集光するために、アフォーカル光学装置47の第1レンズ471が用いられる。
なお、図示を省略するが、固体光源ユニットSUは、当該固体光源ユニットSUに配設される固体光源SLの数が縦横で異なる。そして、本実施形態では、固体光源SLの数が少ない列が+Z方向に沿い、固体光源の数が多い行が第1照明光軸Ax1又は第2照明光軸Ax2と上記+Z方向とに直交する+Y方向に沿うように、各固体光源ユニットSUは配置される。これにより、光源装置4が、第2光源部412において固体光源ユニットSUの配列方向である+Z方向に大きくなることが抑制される。
【0040】
これら固体光源ユニットSUに配設される固体光源SLとして、本実施形態では、ピーク波長が440nmのs偏光の青色光を出射するLD(Laser Diode)が採用されている。しかしながら、ピーク波長が446nm又は460nmの青色光を出射するLDを、固体光源SLとして採用してもよい。また、ピーク波長が異なる青色光をそれぞれ出射する固体光源を、各光源部411,412に混在させてもよく、p偏光の青色光を出射する固体光源を採用してもよい。
なお、第2光源部412から出射された青色光は、上記のように、波長変換装置51に含まれる蛍光体を励起させる励起光として利用される。このことから、以下の説明では、第1光源部411から出射される青色光BLと区別するために、第2光源部412から出射される青色光を、励起光ELという場合がある。
【0041】
これら第1光源部411及び第2光源部412の点灯は、上記のように、制御装置6によって制御される。このため、当該制御装置6により、第1光源部411による青色光BLの出射光量、及び、第2光源部412による励起光ELの出射光量を調整可能である。これにより、制御装置6が、これらの出射光量を調整することによって、光源装置4から出射される照明光の光量やホワイトバランス(色バランス)を調整することが可能である。
【0042】
放熱部材413は、第1光源部411及び第2光源部412と接続され、これら光源部411,412から伝導される熱を放熱し、ひいては、当該光源部411,412を冷却する。また、放熱部材413は、これら第1光源部411及び第2光源部412を支持して、光源装置4を一体化する支持部材としての機能も有する。この放熱部材413は、図示を省略するが、各光源部411,412を支持する受熱部と、複数のフィンを有するヒートシンクと、を有する。
なお、第1光源部411及び第2光源部412は、上記+Z方向に互いに離間して、放熱部材413上に配置される。すなわち、第1光源部411と第2光源部412との間には、隙間GPが形成されている。これは、第1光源部411及び第2光源部412の一方の熱が他方に影響を及ぼすことを抑制するためである。
【0043】
[プリズムミラー及び集光レンズの構成]
プリズムミラー42は、第1光源部411の各固体光源SL1から出射された青色光BLを集光して出射する。具体的に、プリズムミラー42は、各固体光源SL1から出射された青色光BLの光路を変更して、第1光源部411から出射された青色光BLの光束を縮径させる。
集光レンズ43は、第1照明光軸Ax1において第1光源部411と拡散装置45との間(より具体的には、プリズムミラー42と補助拡散素子44との間)に位置する。この集光レンズ43は、各固体光源SL1からプリズムミラー42を介して入射される青色光BLを、拡散装置45の拡散層に集光する。詳述すると、集光レンズ43は、各固体光源SL1から出射された青色光BLを、当該拡散層に重畳させる。すなわち、集光レンズ43は、重畳素子である。
【0044】
[補助拡散素子の構成]
補助拡散素子44は、第1照明光軸Ax1において集光レンズ43と拡散装置45との間に位置する。この補助拡散素子44は、拡散装置45による青色光BLの拡散を補助するものであり、集光レンズ43から入射される青色光BLを拡散させることによって、拡散装置45に入射される青色光の光束径(光源像のサイズ)を調整する。このような補助拡散素子44による光の拡散率は、拡散装置45による光の拡散率より小さい。このような補助拡散素子44は、例えば擦りガラスによって構成できる。
【0045】
[拡散装置の構成]
拡散装置45は、第1照明光軸Ax1において第1光源部411と光合成装置52との間に配置されている。具体的に、拡散装置45は、補助拡散素子44と第1集光素子46との間に配置されている。この拡散装置45は、集光レンズ43から補助拡散素子44を介して入射される青色光BLを、所定の拡散率にて拡散透過させる。すなわち、拡散装置45は、透過型の拡散装置である。
このような拡散装置45は、入射される青色光BLを拡散透過させる拡散層を有する基板451と、第1照明光軸Ax1と略平行な回転軸を中心として基板451を回転させる回転装置452と、を有する。そして、拡散装置45は、補助拡散素子44によって拡散されて入射される青色光BLを、波長変換装置51から出射される蛍光YLと同様の拡散角にて拡散透過させる。なお、拡散層は、基板451における青色光BLの入射側の面に位置していてもよく、出射側の面に位置していてもよい。
なお、回転装置452は無くてもよいが、当該回転装置452によって上記基板451が回転されることにより、スペックルの低減が効果的に図られる。
【0046】
[第1集光素子の構成]
第1集光素子46は、第1照明光軸Ax1において拡散装置45と光合成装置52との間に配置されている。この第1集光素子46は、当該拡散装置45から出射された青色光BLを平行化して、光合成装置52に入射させる平行化素子である。この第1集光素子46は、本実施形態では、3つのレンズ461〜463を備えて構成されているが、当該第1集光素子46を構成するレンズの数は、適宜変更可能である。
【0047】
[アフォーカル光学装置及び反射部材の構成]
アフォーカル光学装置47は、第2光源部412から出射された励起光ELを集光して当該励起光ELの光束径を縮径し、縮径された励起光ELを平行化して出射する。このアフォーカル光学装置47は、第1レンズ471及び第2レンズ472を有する。
第1レンズ471は、上記第2照明光軸Ax2において第2光源部412と反射部材48との間に配置されている。この第1レンズ471は、第2光源部412の各固体光源SL2から入射された励起光ELを第2レンズ472に集光する。
第2レンズ472は、上記第3照明光軸Ax3において反射部材48と光合成装置52との間(詳しくは、反射部材48と拡散素子49との間)に配置されている。この第2レンズ472は、第1レンズ471から反射部材48を介して入射される励起光ELを平行化する。
反射部材48は、第2照明光軸Ax2と第3照明光軸Ax3との交差部位に位置する。この反射部材48は、第1レンズ471から入射される励起光ELを第3照明光軸Ax3に沿うように反射させて、第2レンズ472に入射させる。
【0048】
[拡散素子の構成]
拡散素子49は、第3照明光軸Ax3において第2レンズ472と光合成装置52との間に配置され、当該第2レンズ472から入射される励起光ELを拡散させる拡散板である。この拡散素子49を通過することによって、励起光ELの中心軸に直交する面内における照度のばらつきが抑制される。
ここで、上記拡散素子49に代えて、一対のマルチレンズを有するホモジナイザー光学装置を採用することが考えられる。このホモジナイザー光学装置は、入射側のマルチレンズが、入射される励起光ELを複数の部分光束に分割し、出射側のマルチレンズが、当該複数の部分光束を所定の位置(例えば波長変換素子511)に重畳させることによって、上記面内における励起光ELの照度を均一化する機能を有する。しかしながら、このようなホモジナイザー光学装置は、高価である他、上記一対のマルチレンズ間に所定の距離が必要であるため、励起光ELの光路長を長くしてしまい、光源装置4の小型化に不向きである。
これに対し、上記拡散素子49を採用することによって、ホモジナイザー光学装置が採用される場合に比べて、光源装置4を安価に構成できる他、励起光ELの光路長が長くなることを抑制できるので、当該光源装置4の小型化を図ることができる。
【0049】
[第2集光素子の構成]
第2集光素子50は、第3照明光軸Ax3において光合成装置52と波長変換装置51との間に配置されている。この第2集光素子50は、拡散素子49から光合成装置52を介して入射される励起光ELを波長変換装置51(波長変換素子511)に集光する他、当該波長変換装置51から入射される蛍光YLを平行化して出射する。すなわち、第2集光素子50は、励起光用集光素子に相当する。
このような第2集光素子50は、3つのレンズ501〜503を備えて構成されているが、当該第2集光素子50を構成するレンズの数は、適宜変更可能である。
【0050】
[波長変換装置の構成]
波長変換装置51は、入射される励起光ELによって励起され、当該励起光ELとは異なる波長の蛍光YL(詳しくは緑色光及び赤色光を含む蛍光YLであり、波長変換装置51による変換光)を、当該励起光ELの入射方向とは反対方向に出射する反射型の波長変換装置である。この波長変換装置51は、波長変換素子511と、当該波長変換素子511を回転させる回転装置512と、波長変換素子511から伝達された熱を放熱する放熱部材513と、を有する。
【0051】
これらのうち、回転装置512は、第3照明光軸Ax3と略平行な回転軸を中心として波長変換素子511を回転させ、当該波長変換素子511において励起光ELの入射位置を移動させる。これにより、波長変換素子511での熱飽和の発生を抑制している。
また、放熱部材513は、波長変換素子511において励起光ELの入射側とは反対側の面に位置する。この放熱部材513は、波長変換素子511にて生じた熱を放熱し、当該波長変換素子511を冷却する。
【0052】
波長変換素子511は、詳しい図示を省略するが、円板状の支持体と、当該支持体における入射面に位置する反射層と、当該反射層上に位置する波長変換層と、を有する。
これらのうち、波長変換層は、励起光ELにより励起されて非偏光光である蛍光YL(例えば500〜700nmの波長域にピーク波長を有する蛍光YL)を拡散出射する蛍光体を含む蛍光体層である。この波長変換層にて生じる蛍光YLの一部は、第2集光素子50側に出射され、他の一部は、反射層側に出射される。
反射層は、波長変換層から入射される蛍光YLを第2集光素子50側に反射させる。
このような波長変換素子511にて生じた蛍光YLは、第2集光素子50を介して光合成装置52に入射される。
【0053】
[光合成装置の構成]
光合成装置52は、上記のように、第1照明光軸Ax1と第3照明光軸Ax3との交差部位に位置する。この光合成装置52は、本実施形態では、波長に基づいて、青色光を透過し、緑色光及び赤色光を反射させるダイクロイックミラーによって構成されており、照明光軸Ax1,Ax3のそれぞれに対して傾斜して配置されている。
このため、第1光源部411から出射されて第1照明光軸Ax1に沿って進行する青色光BLは、当該第1照明光軸Ax1に沿って光合成装置52を通過する。
また、第2光源部412から出射されて上記反射部材48によって反射された励起光ELは、第3照明光軸Ax3に沿って光合成装置52を通過する。
一方、波長変換装置51にて生成された上記蛍光YLは、光合成装置52によって、第1照明光軸Ax1に沿うように反射される。
このような光合成装置52により、第1集光素子46から入射される青色光BLと、第2集光素子50から入射される蛍光YLとは、第1照明光軸Ax1に沿って位相差板53側に出射され、これら青色光BL及び蛍光YLが合成された白色の照明光が位相差板53に入射される。
【0054】
[位相差板の構成]
位相差板53は、光合成装置52から入射される照明光の偏光方向を回転させる。具体的に、位相差板53は、入射される白色光に含まれる青色光BL及び蛍光YLを、s偏光及びp偏光が混在する円偏光に変換する。このような位相差板53が設けられるのは、以下の理由による。
光合成装置52から出射される蛍光YLは非偏光光である。この蛍光YLを形成するp偏光成分及びs偏光成分のうち、s偏光成分は、上記偏光変換素子314に入射された際に、上記偏光分離層にて反射された後に反射層にて反射されて、当該偏光変換素子314から出射される。一方、p偏光成分は、当該偏光分離層を通過した後に位相差層にてs偏光成分に変換されて、当該偏光変換素子314から出射される。このように、蛍光YLについては、位相差板53の有無に依らず、偏光変換素子314の光出射面の略全面から出射される。
【0055】
一方、光合成装置52から出射される青色光BLはs偏光である。このため、上記位相差板53が無い場合、青色光BLが偏光変換素子314に入射された際に、当該青色光BLの略全ては、偏光分離層及び反射層のそれぞれにて反射されるので、偏光変換素子314の光出射面において当該反射層に応じた位置のみから出射される。すなわち、青色光BLについては、偏光変換素子314の光出射面からストライプ状に出射される。この場合、偏光変換素子314から出射された照明光のうち、蛍光YLの通過領域と青色光BLの通過領域とが異なることから、光源装置4から出射されて均一化装置31を介した光束による照明領域である光変調装置343の画像形成領域にて照度むらが発生し、ひいては、当該光変調装置343によって形成されて投射される画像に色むらが発生する。
【0056】
これに対し、上記位相差板53によって、蛍光YL及び青色光BLのそれぞれが、s偏光及びp偏光が混在する光となることにより、上記偏光変換素子314の光出射面の略全面から蛍光YL及び青色光BLが出射されることとなる。従って、上記照度むらの発生、ひいては、上記色むらの発生が抑制される。
【0057】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果がある。
第1光源部411及び第2光源部412から出射された青色光BL及び励起光ELは、それぞれ互いに平行な第1照明光軸Ax1及び第2照明光軸Ax2に沿って進行する。これらのうち、励起光ELは、反射部材48によって反射されて、上記第1照明光軸Ax1に交差する第3照明光軸Ax3に沿って進行して波長変換装置51に入射される。これによれば、青色光BLの光路より、励起光ELの光路を長くすることができるので、アフォーカル光学装置47や第2集光素子50党の光学部品を配置する等して、当該励起光ELの光束径を小さくしやすくすることができ、変換光である蛍光YLを光合成装置52に入射させやすくすることができる。また、第1光源部411及び第2光源部412が+Z方向に互いに並んで配置されていて、第1光源部411に対して第2光源部412が青色光BL及び励起光ELの出射方向にずれていないこと、並びに、励起光ELが、青色光BLの光路のように一方向のみに直進するのではなく、反射部材48によって反射されることにより、当該励起光ELの光路長を長くしつつ、光源装置4をコンパクトに構成できる。従って、光源装置4の小型化を図ることができる。
【0058】
また、青色光BLを出射する第1光源部411と、励起光ELを出射する第2光源部412とが、それぞれ設けられていることから、1つの光源部から出射された青色光の偏光方向を回転させて、s偏光成分及びp偏光成分を生じさせる位相差素子や、これらs偏光成分及びp偏光成分を分離する偏光分離素子が必要ない。更に、制御装置6によって、第1光源部411及び第2光源部412の点灯を個別に制御することが可能であるので、青色光BL及び励起光ELのそれぞれの光量を調整する場合でも、当該位相差素子を回動させる回動装置が必要ない。従って、光源装置4の小型化を図りやすくすることができる他、これら青色光BL及び励起光ELの光量バランス、ひいては、光源装置4から出射される光束の色バランスを調整しやすくすることができる。
これらに加えて、光合成装置52として、青色光BL及び励起光ELを透過し、蛍光YLを反射させるダイクロイックミラーを採用できる。従って、光合成装置52に偏光分離素子が採用される場合に比べて、光源装置4を安価に構成できる。この他、光合成装置52が、波長によって入射光の透過及び反射を実施できる。従って、入射される光の偏光状態がずれた場合でも、光源装置から出射される光の色バランスにずれが生じることを抑制できる。
【0059】
アフォーカル光学装置47を構成する第1レンズ471は、第2照明光軸Ax2において第2光源部412と反射部材48との間に配置され、当該第2光源部412から出射された励起光ELを集光する。これによれば、上記第1レンズ471によって、第2光源部412から出射された励起光ELを集光できるので、当該励起光ELを効率よく波長変換装置51に入射させることができる。
同じくアフォーカル光学装置47を構成する第2レンズ472は、第3照明光軸Ax3において反射部材48と光合成装置52との間に配置され、当該反射部材48によって反射された励起光ELを平行化する。そして、励起光用集光素子である第2集光素子50は、第3照明光軸Ax3において光合成装置52と波長変換装置51との間に配置され、励起光ELを波長変換装置51に集光させる。これによれば、波長変換装置51に入射される励起光ELの光束径を小さくすることができ、当該波長変換装置51から拡散出射される蛍光YLの光束径を小さくすることができる。従って、当該蛍光YLを第2集光素子50に入射させやすくすることができる。
更に、第2集光素子50は、波長変換装置51から入射される蛍光YLを平行化して光合成装置52に入射させる。これによれば、当該蛍光YLが拡散されることを抑制できる。従って、光合成装置52を介して出射される蛍光YLと青色光BLとの光束径を揃えやすくすることができる。
【0060】
波長変換装置51上での励起光ELによる照明領域に照度むらが生じて、局所的に照度が高い励起光ELが当該照明領域に入射されると、波長変換装置51(波長変換素子511)に熱飽和が生じやすくなり、蛍光YLへの波長変換効率が低下するだけでなく、波長変換装置51の寿命が短縮される可能性がある。
これに対し、第3照明光軸Ax3において第2レンズ472と光合成装置52との間には、入射される励起光ELを拡散させる拡散素子49が配置されている。これによれば、当該拡散素子49によって拡散された励起光ELが、第2集光素子50によって集光されて波長変換装置51に入射されるので、波長変換装置51上の照明領域に照度むらが発生することを抑制できる。従って、上記熱飽和の発生を抑制でき、蛍光YLへの波長変換効率の低下、及び、波長変換装置51の寿命の短縮を抑制できる。
【0061】
第1光源部411から出射される青色光BLは、各固体光源SL1から出射された青色のレーザー光であるため、当該青色光BLが散乱されるとスペックルが確認される。このようなスペックルは、プロジェクター1によって表示される画像の画質を劣化させる。
これに対し、第1照明光軸Ax1において第1光源部411と光合成装置52との間に配置された拡散装置45によって、青色光BLが拡散されることにより、上記スペックルを低減できる。従って、上記画像の劣化を抑制できる。
更に、拡散装置45は、入射された光を透過させつつ拡散させる透過型の拡散装置である。このため、反射型の拡散装置が採用される場合に比べて、青色光BLの光路長が延びることを抑制でき、光源装置4の小型化を図りやすくすることができる。
【0062】
第1光源部411は、それぞれ青色光BLを出射する複数の固体光源SL1を有する。また、第1照明光軸Ax1において第1光源部411と拡散装置45との間には、複数の固体光源SL1から出射された青色光BLを拡散装置45に重畳させる重畳素子としての集光レンズ43が配置されている。これによれば、上記第2集光素子50と同様に、集光レンズ43によって、各固体光源SL1から出射された青色光BLを拡散装置45に効率よく入射させることができる。また、この集光レンズ43は、各固体光源SL1から出射された光を拡散装置45に重畳させるので、当該拡散装置45から出射される拡散光に、輝度むらが生じることを抑制でき、当該拡散装置45から出射される青色光BLの中心軸に直交する面内の照度を略均一にすることができる。従って、光源装置4から出射された光束による照明領域である光変調装置343の画像形成領域に照度むらが発生することを抑制でき、ひいては、当該光束によって形成及び表示される画像に色むらが発生することを抑制できる。なお、この集光レンズ43は1枚のレンズである。このため、集光レンズ43が配置されることによって青色光BLの光路が長くなることが抑制されるので、光源装置4の小型化を図りやすくすることができる。
【0063】
拡散装置45にて拡散された青色光BLが光合成装置52にそのまま入射されると、当該青色光BLが進行するに従って光束径が大きくなる。
これに対し、第1照明光軸Ax1において拡散装置45と光合成装置52との間には、当該拡散装置45から出射された青色光BLを平行化して光合成装置52に入射させる平行化素子としての第1集光素子46が配置されている。これによれば、青色光BLの広がりを抑制できる。また、光源装置4は、励起光用集光素子としての第2集光素子50を有するので、これら第1集光素子46及び第2集光素子50によって、青色光BL及び蛍光YLのそれぞれの光束径を揃えやすくすることができる。このため、光源装置4から出射された光束が最初に入射される光学部品である第1レンズアレイ311において、青色光による照明範囲と変換光による照明範囲とを一致させやすくすることができる。従って、当該第1レンズアレイ311にて照度低下及び色バランスのくずれが発生することを抑制でき、ひいては、表示される画像の色バランスのくずれや色むらが発生することを抑制できる。
【0064】
光合成装置52は、入射される光の波長に基づいて、青色光BL及び励起光ELを透過し、蛍光YLを反射させる。これによれば、光合成装置52としてダイクロイックミラーを採用できるので、当該光合成装置52として偏光分離素子が採用される場合に比べて、光源装置4を安価に構成できる。この他、光合成装置52での青色光BL及び励起光ELの透過、並びに、蛍光YLの反射を、偏光状態ではなく波長に応じて実施できる。このため、当該光合成装置52に入射される光(青色光BL、励起光EL及び蛍光YL)の偏光状態がずれた場合でも、光源装置4から出射される光の色バランスにずれが生じることを抑制できる。なお、光合成装置52として、ダイクロイックミラーに代えてダイクロイックプリズムが採用されてもよい。
【0065】
第1光源部411及び第2光源部412は、隙間GPを介して配置されている。これによれば、当該隙間GPによって、第1光源部411及び第2光源部412の一方にて生じた熱が他方に伝達されにくくすることができる。従って、これら第1光源部411及び第2光源部412の温度上昇を抑制でき、青色光BL及び励起光ELの出射効率が低下することを抑制できる。
【0066】
光源部41は、第1光源部411及び第2光源部412と接続される放熱部材413を備える。これによれば、放熱部材413によって、第1光源部411及び第2光源部412にて生じた熱を放熱できる。従って、これら第1光源部411及び第2光源部412の温度上昇を抑制でき、青色光BL及び励起光ELの出射効率の低下を抑制できる。この他、第1光源部411及び第2光源部412のそれぞれに応じて放熱部材を設ける必要がないので、部品点数の増加を抑制できる。
【0067】
励起光ELは、波長変換装置51に入射されて蛍光YLに変換される。この波長変換装置51は、青色光BLと合成される蛍光YL(黄色光)を生成し、これらが合成された白色光を光源装置4が出射するので、波長変換装置51に入射される励起光ELの光量は、第1光源部411が出射する青色光BLより多くの光量が必要となる。更に、波長変換装置51による励起光ELから蛍光YLへの波長変換効率を考慮すると、更に多くの励起光ELが必要となる。
これに対し、第2光源部412に配設された固体光源SL2(励起固体光源)の数は、第1光源部411に配設された固体光源SL1(青色固体光源)の数より多い。これによれば、第1光源部411から出射される青色光BLの光量より多くの励起光ELを第2光源部412が確実に出射できる。従って、光源装置4により白色光を出射しやすくすることができる。
【0068】
[実施形態の変形]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、波長変換装置51は、波長変換素子511、回転装置512及び放熱部材513を有する構成であった。しかしながら、これに限らず、波長変換装置51は、波長変換素子511を有する構成であればよく、必ずしも回転装置512及び放熱部材513は無くてもよい。また、波長変換装置51は、励起光ELの入射方向とは反対方向に蛍光YLを拡散出射する反射型の波長変換装置として構成した。しかしながら、これに限らず、透過型の波長変換装置を光源装置に採用してもよい。
【0069】
上記実施形態では、拡散装置45は、拡散層を有する基板451と、回転装置452とを備える構成であった。しかしながら、これに限らず、拡散装置45は、基板451を有する構成であればよく、必ずしも回転装置452は無くてもよい。なお、上記のように、基板451が回転されることによって、スペックルを好適に低減させることができる。
また、拡散装置45は、入射される青色光BLを拡散透過させるとした。しかしながら、これに限らず、拡散装置45は、入射される青色光BLを拡散反射させる構成としてもよい。更に、このような拡散装置45は、無くてもよい。この場合、第1光源部411の各固体光源SL1から出射される青色光を拡散させる拡散素子を、当該固体光源SL1毎に設けてもよい。そして、この場合、集光レンズ43、補助拡散素子44及び第1集光素子46は無くてもよい。
【0070】
上記実施形態では、光合成装置52は、青色光BLを透過させ、蛍光YLを反射させることによって、これら青色光BL及び蛍光YLを合成するダイクロイックミラーを有する構成とした。しかしながら、これに限らず、光合成装置52は、青色光BL及び蛍光YLを合成できれば、他の構成としてもよい。
【0071】
上記実施形態では、補助拡散素子44は、集光レンズ43と拡散装置45との間に配置されていた。しかしながら、これに限らず、補助拡散素子44は、集光レンズ43に対して青色光BLの入射側に位置していてもよい。
また、補助拡散素子44は、拡散装置45より拡散率が低い拡散板(擦りガラス)であるとした。しかしながら、これに限らず、入射される青色光BLを拡散出射させることができれば、他の構成でもよい。
【0072】
上記実施形態では、光源装置4は、第1光源部411の各固体光源SL1から出射された青色光BLを拡散装置45に重畳させる重畳素子としての集光レンズ43を有するとした。しかしながら、これに限らず、このような集光レンズ43は無くてもよい。また、集光レンズ43は、各固体光源SL1から出射された青色光BLを拡散装置45に集光できれば、当該青色光BLを必ずしも重畳させなくてもよい。更に、上記した重畳素子の機能を実現できれば、重畳素子は、1枚のレンズでなくてもよく、他の構成でもよい。
【0073】
上記実施形態では、第1光源部411と第2光源部412とは、+Z方向に沿って並んで配置されているとした。しかしながら、これに限らず、第1光源部411に対して、第2光源部412が、励起光ELの出射側とは反対側(すなわち−X方向側)にずれていてもよい。なお、第1光源部411及び第2光源部412が、+Z方向に並んでいれば、一方の光源部が他方の光源部に対して−X方向側に突出しないので、光源装置を一層小型化できる。
また、上記実施形態では、第1光源部411及び第2光源部412は、支持部材としても機能する放熱部材413によって一体化されているとした。しかしながら、これに限らず、第1光源部411及び第2光源部412を一体化する放熱部材413は無くてもよい。例えば、第1光源部411及び第2光源部412のそれぞれに放熱部材を設けてもよい。また、第1光源部411及び第2光源部412が一体化され、光源部41から出射される青色光を、当該青色光の通過領域によって分けてもよい。すなわち、1つの光源部において、第1光源部に相当する領域から出射された光を青色光とし、第2光源部に相当する領域から出射された光を励起光として利用してもよい。
【0074】
上記実施形態では、励起光ELの光路上に、第1レンズ471及び第2レンズ472を有するアフォーカル光学装置47を配置した。また、当該励起光ELの光路上に、アフォーカル光学装置47から出射された平行光を波長変換装置51に集光するとともに、当該波長変換装置51から出射された蛍光YLを平行化する第2集光素子50(励起光用集光素子)を配置した。しかしながら、これらアフォーカル光学装置47及び第2集光素子50は、無くてもよい。例えば、光源装置4において、第2レンズ472に代えて、反射部材48が、入射される励起光ELを平行化する機能を備えていてもよい。なお、波長変換装置51への励起光ELの入射効率や、出射された蛍光YLの利用効率を考慮すれば、波長変換装置51に対する励起光ELの入射側に第2集光素子50が配置される構成が好ましい。
【0075】
上記実施形態では、第3照明光軸Ax3において第2レンズ472と光合成装置52との間に、上記ホモジナイザー光学装置の代わりとなる拡散素子49が配置されるとした。しかしながら、これに限らず、拡散素子49は無くてもよく、当該拡散素子49に代えて上記ホモジナイザー光学装置を配置してもよい。更に、このような拡散素子49は無くてもよい。
【0076】
上記実施形態では、第2光源部412が有する固体光源SL2の数は、第1光源部411が有する固体光源SL1の数より多いとし、第2光源部412から出射される励起光ELの光量は、第1光源部411から出射される青色光BLの光量より多いとした。しかしながら、これに限らず、第1光源部411が有する固体光源SLの数と、第2光源部412が有する固体光源SLの数とは、一致していてもよく、前者が後者より多くてもよい。この場合、例えば、制御装置6によって、第1光源部411から出射される青色光BLの光量と、第2光源部412から出射される励起光ELの光量とが調整されてもよい。
【0077】
上記実施形態では、プロジェクター1は、それぞれ液晶パネルを有する光変調装置343(343R,343G,343B)を備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、画像投射装置3は、上記光学部品が図2にて示したレイアウトで配置された構成とした。しかしながら、これに限らず、画像投射装置3において、当該レイアウトは適宜変更可能であり、一部の光学部品を省略してもよい。
【0078】
上記実施形態では、光変調装置343は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルを有する構成であった。しかしながら、これに限らず、光変調装置343は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを有する構成としてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
【0079】
上記実施形態では、投射光学装置35は、当該投射光学装置35における光路最下流に配置されて、複数のレンズ351から入射される画像光を折り返す非球面ミラー352を有する構成とした。しかしながら、これに限らず、投射光学装置35は、このような非球面ミラー352を備えていなくてもよい。すなわち、投射光学装置35は、レンズ351の光軸(−Z方向に沿う光軸)に沿って入射された画像光を、当該光軸に沿って投射する構成としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、本発明の光源装置4をプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、例えば、照明器具及び自動車等のヘッドライト等に、本発明に係る光源装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…プロジェクター、343(343B,343G,343R)…光変調装置、35…投射光学装置、4…光源装置、41…光源部、411…第1光源部、412…第2光源部、413…放熱部材、42…プリズムミラー、43…集光レンズ(重畳素子)、44…補助拡散素子、45…拡散装置、451…基板、452…回転装置、46…第1集光素子(平行化素子)、461〜463…レンズ、47…アフォーカル光学装置、471…第1レンズ、472…第2レンズ、48…反射部材、49…拡散素子、50…第2集光素子(励起光用集光素子)、501〜503…レンズ、51…波長変換装置、511…波長変換素子、512…回転装置、513…放熱部材、52…光合成装置、53…位相差板、Ax1…第1照明光軸、Ax2…第2照明光軸、Ax3…第3照明光軸、BL…青色光、EL…励起光、GP…隙間、SL…固体光源、SL1…固体光源(青色固体光源)、SL2…固体光源(励起固体光源)、SU…固体光源ユニット、YL…蛍光(変換光)。
図1
図2
図3
図4