(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置であって、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標と前記運転操作部に入力される実際の運転操作との一致度合いに応じて前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を行わせる表示制御部(203)とを備え、
前記移譲許可部は、前記表示制御部で前記教示表示を行った後、前記目標決定部で決定した運転操作の目標と前記運転操作部に入力される実際の運転操作との一致度合いに応じて前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲制御装置。
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置であって、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を行わせる表示制御部(203)と、
前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)とを備え、
前記移譲許可部は、前記表示制御部で前記教示表示を行ったことを少なくとも条件の1つとして、前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲制御装置。
前記表示制御部は、投影部材へ画像を投影することによって前記車両の前景に虚像を重畳表示させるヘッドアップディスプレイ(230)による表示を制御するものであって、前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせるための前記設定時間における操舵操作の範囲を示す虚像を、前記車両の前景に重畳表示させることで、前記教示表示を行わせる請求項1〜3のいずれか1項に記載の移譲制御装置。
前記表示制御部は、前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせるための操舵量に対する、実際の運転操作による操舵量のずれを示す表示を、前記教示表示として行わせる請求項1〜4のいずれか1項に記載の移譲制御装置。
前記表示制御部は、前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせるための加減速操作量に対する、実際の運転操作による加減速操作量のずれを示す表示を、前記教示表示として行わせる請求項1〜5のいずれか1項に記載の移譲制御装置。
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、運転操作の制御権を自動運転機能から前記ドライバへ移譲するまでは、前記運転操作部と前記車両の走行制御とが切り離された状態で、前記ドライバによる前記運転操作部への模擬的な運転操作による入力を受け付ける模擬操作受付部(207)を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の移譲制御装置。
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置であって、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標と前記運転操作部に入力される実際の運転操作との一致度合いに応じて前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、運転操作の制御権を自動運転機能から前記ドライバへ移譲するまでは、前記運転操作部と前記車両の走行制御とが切り離された状態で、前記ドライバによる前記運転操作部への模擬的な運転操作による入力を受け付ける模擬操作受付部(207)とを備える移譲制御装置。
前記視線位置特定部は、前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記ドライバの視線方向を検出する装置で逐次検出しておいた視線方向の分布をもとに前記ドライバの視線位置を特定する請求項1〜10のいずれか1項に記載の移譲制御装置。
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置を制御する制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を行わせる表示制御部(203)と、
前記表示制御部で前記教示表示を行った後、前記目標決定部で決定した運転操作の目標と前記運転操作部に入力される実際の運転操作との一致度合いに応じて前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)として機能させるための制御プログラム。
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置を制御する制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標と前記運転操作部に入力される実際の運転操作との一致度合いに応じて前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、運転操作の制御権を自動運転機能から前記ドライバへ移譲するまでは、前記運転操作部と前記車両の走行制御とが切り離された状態で、前記ドライバによる前記運転操作部への模擬的な運転操作による入力を受け付ける模擬操作受付部(207)として機能させるための制御プログラム。
ドライバによって運転操作部(13,14)に入力される運転操作を前記ドライバに代わって実施可能な自動運転機能を備える車両で用いられ、運転操作の制御権について自動運転機能から前記ドライバへの移譲を制御する移譲制御装置を制御する制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記ドライバの視線位置を特定する視線位置特定部(204)と、
前記ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、前記視線位置特定部で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に前記車両が到達するための運転操作の目標を決定する目標決定部(206)と、
前記目標決定部で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を行わせる表示制御部(203)と、
前記表示制御部で前記教示表示を行ったことを少なくとも条件の1つとして、前記ドライバへの運転操作の移譲を許可する移譲許可部(209)として機能させるための制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0015】
(実施形態1)
<車両システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示す車両システム1は、自動車といった車両で用いられるものであり、HMI(Human Machine Interface)システム2、ロケータ3、地図データベース(以下、地
図DB)4、車両状態センサ5、車両制御ECU6、周辺監視センサ7、及び自動運転ECU8を含んでいる。HMIシステム2、ロケータ3、地
図DB4、車両状態センサ5、車両制御ECU6、及び自動運転ECU8は、例えば車内LANに接続されているものとする。以下では、車両システム1を用いる車両を自車と呼ぶ。
【0016】
ロケータ3は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ3は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ロケータ3を搭載した自車の車両位置を逐次測位する。なお、車両位置の測位には、自車に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離を用いる構成としてもよい。
【0017】
地
図DB4は、例えば不揮発性メモリであって、リンクデータ,ノードデータ,道路形状,構造物等の地図データを格納している。地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる三次元地図であってもよい。地図データは、通信モジュールを用いて自車の外部から取得する構成としてもよい。
【0018】
車両状態センサ5は、自車の走行状態,操作状態等を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ5としては、自車の車速を検出する車速センサ,自車のステアリングの操舵角を検出する操舵センサ,自車のスロットルバルブの開度(以下、バルブ開度)を検出するスロットルバルブセンサ,自車のアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ,自車のブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキストロークセンサ,自車のシフト位置を検出するシフトポジションセンサ等がある。車両状態センサ5は、検出結果を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ5での検出結果は、自車に搭載されるECUを介して車両LANへ出力される構成であってもよい。
【0019】
車両制御ECU6は、自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU6としては、操舵制御を行うステアリングホイールECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU、ブレーキペダルECU、及びシフトレバーECU等がある。例えば自車がガソリン車両である場合には、パワーユニット制御ECUとしてはスロットルECUを用いる構成とすればよい。以降では、自車がガソリン車両である場合を例に挙げて説明を行う。車両制御ECU6は、電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで、自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行う。
【0020】
周辺監視センサ7は、自車周辺の静止物体,移動体を検出したり、走行区画線等の道路標示を検出したりする。周辺監視センサ7としては、自車の前方の所定範囲を撮像範囲とする前方カメラ70を用いる構成とすればよい。例えば前方カメラ70は、自車のルームミラー11(
図2参照)に設ける構成とすればよい。前方カメラ70は、自車のインストルメントパネル12(
図2参照)の上面に設ける等してもよい。周辺監視センサ7としては、自車の前方以外を撮像するカメラを用いたり、ミリ波レーダ,ソナー,LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detect ion and Ranging)等を用いたりする構成としてもよい。
【0021】
自動運転ECU8は、車両制御ECU6を制御することにより、ドライバによる運転操作の代行を行う自動運転機能を実行する。自動運転ECU8は、ロケータ3から取得した自車の車両位置及び地
図DB4から取得した地図データ,前方カメラ70での撮像した前方画像等の周辺監視センサ7での検出結果から、自車の走行環境を認識する。一例としては、周辺監視センサ7での検出結果から、自車周辺の物体の形状及び移動状態を認識したり、自車周辺の標示の形状を認識したりする。そして、自車の車両位置及び地図データと組み合わせることで、実際の走行環境を三次元で再現した仮想空間を生成する。
【0022】
また、自動運転ECU8は、認識した走行環境に基づき、自動運転機能によって自車を自動走行させるための走行計画を生成する。走行計画としては、長中期の走行計画と、短期の走行計画とが生成される。長中期の走行計画では、設定された目的地に自車を向かわせるための経路が生成される。短期の走行計画では、生成した自車の周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための予定走行軌跡が生成される。具体的に、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等の実行を決定する。また、通信モジュールを介して自車の外部の端末から天候,交通規制,渋滞,手動運転の車両の走行台数等の情報を取得できる場合には、これらの情報も用いて長中期の走行計画を逐次動的に更新する構成としてもよい。
【0023】
そして、自動運転ECU8は、生成した走行計画に従い、車両制御ECU30との連携によって自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行うことにより、自動運転を行う。自動運転ECU8は、自動運転として、自車の加減速制御及び操舵制御の一部を自動で行うものであってもよいが、以降では、自車の加減速制御及び操舵制御を自動で行う場合を例に挙げて説明を行う。自動運転ECU8で行う自動運転は、手動運転に運転交代が可能であるものとする。
【0024】
手動運転時には、自動運転ECU8の自動運転機能が停止されており、ドライバが自車の走行を制御する。手動運転時には、車両制御ECU6は、車両状態センサ5から取得する検出信号に従う内容の制御信号を生成し、各走行制御デバイスへ制御信号を出力することになる。自動運転時には、実行中の自動運転機能が自車の走行を制御する。自動運転時には、車両制御ECU6は、自動運転ECU8から取得する車両制御情報に従う内容の制御信号を生成し、各走行制御デバイスへ制御信号を出力することになる。
【0025】
HMIシステム2は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)20、操作デバイス21、DSM(Driver Status Monitor)22、表示装置23、音声出力装置24、ステアリングユニット25、及びペダルユニット26を備えている。操作デバイス21は、自車のドライバが操作するスイッチ群である。操作デバイス21は、各種の設定を行うために用いられる。例えば、操作デバイス21としては、自車のステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチ等がある。
【0026】
DSM22は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。DSM22は、近赤外カメラを自車の運転席側に向けた姿勢にて、例えばステアリングコラムカバー,インストルメントパネル12(
図2参照)の上面等に配置される。DSM22は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えばドライバの顔向き及び視線方向を、撮像画像から検出する。
【0027】
一例として、DSM22は、近赤外カメラによってドライバの顔を撮像した撮像画像から、画像認識処理によって顔の輪郭、目、鼻、口などの部位を検出する。そして、各部位の相対的な位置関係からドライバの顔向きを検出する。また、一例として、DSM23は、近赤外カメラによってドライバの顔を撮像した撮像画像から、画像認識処理によって、ドライバの瞳孔及び角膜反射を検出し、検出した瞳孔と角膜反射との位置関係及びドライバの顔向きから車室内の基準位置に対する視線方向を検出する。基準位置は例えば近赤外カメラの設置位置等とすればよい。DSM22は、検出した視線方向の情報をHCU20へ出力する。
【0028】
なお、DSM22は、顔部位の形状的な特徴等から、ドライバが不安であるといったドライバの感情を推定してもよい。また、DSM22は、瞼形状の変化を開眼度として算出することで閉眼の検知を行う等して、この閉眼度の経時的な変化,顔部位の形状的な特徴,顔部位の経時的な変化等から、ドライバの眠気の度合いを検出してもよい。
【0029】
表示装置23としては、ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)230を用いる。ここで、
図2を用いてHUD230について説明を行う。
図2に示すようにHUD230は、自車のインストルメントパネル12に設けられる。HUD230は、例えば液晶式又は走査式等のプロジェクタ231により、HCU20から出力される画像データに基づく表示画像を形成する。
【0030】
HUD230は、プロジェクタ231によって形成される表示画像を、例えば凹面鏡等の光学系232を通じて、投影部材としてのフロントウインドシールド10に既定された投影領域に投影する。投影領域は、例えば運転席前方に位置するものとする。フロントウインドシールド10によって車室内側に反射された表示画像の光束は、運転席に着座するドライバによって知覚される。また、透光性ガラスにより形成されるフロントウインドシールド10を透過した、自車の前方に存在する風景としての前景からの光束も、運転席に着座するドライバによって知覚される。これにより、ドライバは、フロントウインドシールド10の前方にて結像される表示画像の虚像100を、前景の一部と重ねて視認可能となる。つまり、HUD220は、自車の前景に虚像100を重畳表示し、所謂AR(Augmented Reality)表示を実現する。
【0031】
なお、HUD230が表示画像を投影する投影部材は、フロントウインドシールド10に限らず、透光性コンバイナであっても構わない。また、表示装置23として、HUD230の他の、画像を表示する装置を用いる構成としてもよい。一例としては、コンビネーションメータ、CID(Center Information Display)等がある。また、音声出力装置25としては、例えばオーディオスピーカ等を用いればよい。
【0032】
ステアリングユニット25は、自車のステアリングホイール13(
図2参照)の動作に関する機構であって、アクチュエータ250及び連動切替部251を備えている。このステアリングホイール13が請求項の運転操作部に相当する。アクチュエータ250は、自車のステアリングホイールを回転可能に支持するステアリングシャフトにトルクを印加する駆動部である。アクチュエータ250は、ステアリングシャフトに印加するトルクの方向及び大きさを変更することにより、ステアリングホイールを通じてドライバが抵抗として感じる操舵反力を増減させる。加えてアクチュエータ250は、ステアリングシャフトに印加するトルクによって擬似的な操舵反力を生じさせる。連動切替部251は、自車のステアリングホイールへの操舵操作の入力によって自車の操舵輪が転舵される連動状態と、ステアリングホイールが自車の操向から切り離された非連動状態とを切り替える機構部である。連動切替部251は、自動運転ECU8によって操舵操作が代行されている場合に、ステアリングホイールを非連動状態へと切り替える。
【0033】
ペダルユニット26は、自車のアクセルペダル14(
図2参照)の動作に関する機構であって、アクチュエータ260及び連動切替部261を備えている。このアクセルペダル14も請求項の運転操作部に相当する。アクチュエータ260は、自車のアクセルペダルに疑似的な操作反力を生じさせる駆動部である。一例として、アクチュエータ260としては、アクセルペダルの踏み込み方向とは逆方向にアクセルペダルを動作させるモータ等を用いれば良い。アクチュエータ260としては、油圧を利用したものであってもよい。連動切替部261は、自車のアクセルペダルへの操作入力によって自車が加減速される連動状態と、アクセルペダルが自車の加減速から切り離された非連動状態とを切り替える機構部である。連動切替部261は、自動運転ECU8によって加減速操作が代行されている場合に、アクセルペダルを非連動状態へと切り替える。
【0034】
なお、ペダルユニット26は、アクセルペダルに限らず、ブレーキペダルにも適用することは可能であるが、以降では、ペダルユニット26をブレーキペダルに適用しない場合を例に挙げて説明を行う。このブレーキペダルも請求項の運転操作部に相当する。また、ステアリングホイール,ペダルといった運転操作部以外についても、同様のユニットを備える構成としてもよい。例えば、シフトレバーについても、疑似的な操作反力を生じさせるアクチュエータと、連動切替部とを備えるユニットを備える構成とすればよい。シフトレバーについての連動切替部は、シフトレバーの操作入力によって変速比を切り替える連動状態と、シフトレバーが変速比の切り替えと切り離された非連動状態とを切り替える構成とすればよい。
【0035】
HCU20は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、操作デバイス21,DSM22,表示装置23,音声出力装置24,ステアリングユニット25,ペダルユニット26と車内LANとに接続されている。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。HCU20は、このメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0036】
例えば、HCU20は、機能の一つとして、運転操作の制御権についての自動運転機能からドライバへの移譲に関する機能(以下、移譲関連機能)を実現する。このHCU20が請求項の移譲制御装置に相当し、HCU20の移譲関連機能を実現するための制御プロフラムが請求項の制御プログラムに相当する。なお、移譲関連機能に関するHCU20の構成については以下で詳述する。
【0037】
<HCU20の概略構成>
ここで、
図3を用いてHCU20の概略構成についての説明を行う。HCU20は、移譲関連機能に関して、
図3に示すように、運転交代要求部201、提示制御部202、視線位置特定部204、不安検知部205、目標決定部206、模擬操作受付部207、疑似反力制御部208、及び復帰可否判定部209を機能ブロックとして備える。なお、HCU20が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、HCU20が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0038】
運転交代要求部201は、自動運転時において、運転操作の制御権について自動運転機能からドライバへの移譲(以下、単に運転交代)が必要であることを判断した場合に、ドライバに向けた運転交代の要求(以下、TOR:Take Over Requests)を提示制御部202から行わせる。一例としては、運転交代要求部201は、自動運転ECU8で生成した長中期の走行計画における自動運転区間が終了する場合に、運転交代が必要と判断してTORを行わせる構成とすればよい。この運転交代は計画的な運転交代にあたる。また、運転交代要求部201は、自動運転を中止することが望ましい状況が突発的に生じた場合に、運転交代が必要と判断してTORを行わせる構成とすればよい。この運転交代は非計画的な運転交代にあたる。突発的に生じる自動運転を中止することが望ましい状況としては、例えば周辺監視センサ7でのセンシング精度の低下,周辺監視センサ7の異常等を検出した場合が挙げられる。また、周辺監視センサ7でのセンシング精度が保障できない大雨,濃霧等の環境異常を検出した場合が挙げられる。他にも、前方の障害物を回避するために車線変更が必要であるが隣接車線の状況が車線変更困難な状況を検出した場合等が挙げられる。
【0039】
提示制御部202は、表示装置23,音声出力装置24といった情報提示装置を制御して情報提示を行う。提示制御部202は、運転交代要求部201から指示を受けて、TORを行う。TORの一例としては、運転交代を要求するテキストを表示装置23に表示させたり、音声出力装置24から音声出力させたり、運転交代を要求することを示すアイコン等の画像を表示装置23に表示させたりする等の例が挙げられる。表示装置23での表示の制御については、提示制御部202のうちの表示制御部203が行う。
【0040】
視線位置特定部204は、自車のドライバの視線位置を特定する。視線位置特定部204で特定する視線位置は、例えば前方カメラ70での撮像画像(以下、前景画像)中の視線位置とすればよい。一例として、視線位置特定部204は、予めHCU20の不揮発性メモリに格納しておいた、DSM22で検出する視線方向と前景画像中の視線位置との対応関係を用いることで、前景画像中の視線位置を特定する構成とすればよい。
【0041】
また、視線位置特定部204は、ドライバが自車を走行路に沿って運転しようとする運転行動の意図をより確実に捉えることを可能にするため、DSM22で逐次検出しておいた視線方向の分布をもとに視線位置を特定することが好ましい。例えば、視線位置特定部204は、DSM22で逐次検出しておいた視線方向のそれぞれに対応する視線位置の分布をもとに、
図4に示すように、この分布の中央値にあたる視線位置CPを、視線位置として特定すればよい。なお、
図4の黒塗りの丸がDSM22で逐次検出しておいた視線方向のそれぞれに対応する視線位置を示している。また、
図4に示すように、視線の集中が見られる枠Fr内の視線位置の平均値を、視線位置として特定してもよい。枠Fr内の視線位置の平均値は、一定の閾値の範囲内にある近似値に収まる視線位置の平均値とすればよい。他にも、分布の平均値にあたる視線位置を、視線位置として特定する等してもよい。これらの構成により、一瞬のよそ見といった、運転行動を示す視線位置の傾向から外れた視線位置のノイズ(つまり、離散値)を除くことができるようになり、ドライバの運転行動の意図をより確実に捉えることが可能な視線位置を特定可能となる。
【0042】
不安検知部205は、ドライバの不安を示すトリガを検知する。一例としては、DSM22でドライバが不安であることを推定した場合に、ドライバの不安を示すトリガを検知する構成とすればよい。また、操作デバイス21としての、不安があることをドライバが自己申告するためのスイッチが操作されたことをもとに、ドライバの不安を示すトリガを検知する構成としてもよい。他にも、DSM22でドライバが不安であることを推定した場合に、提示制御部202から表示装置23及び/又は音声出力装置24から不安の有無を問い合わせ、操作デバイス21で不安がある旨の回答を受けた場合に、ドライバの不安を示すトリガを検知する構成としてもよい。
【0043】
目標決定部206は、運転交代しようとする場合に、視線位置特定部204で特定する視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に自車が到達するための運転操作の目標を決定する。視線位置に該当する道路上の位置は、自動運転ECU8で走行環境を認識する際の前方画像中の位置から自車の周囲の仮想空間上の位置への変換と同様にして求めればよい。また、所定の設定時間は、手動運転時のドライバの視線方向の変化に応じて遅れて発生する運転操作の変化のタイムラグに相当する時間とすればよく、例えば2秒とすればよい。
【0044】
ここで、ドライバの視線方向の変化と運転操作の変化との関係について
図5を用いて説明を行う。
図5は、視線方向の計測結果を2秒遅らせて、手動運転時におけるドライバの左右の視線方向の時間変化(
図5のA参照)と、手動運転時における操舵操作による操舵角の時間変化(
図5のB参照)とを示している。
図5から、手動運転時のドライバの視線方向の変化に応じて同様の運転操作の変化が遅れて生じることがわかる。この対応関係は車速によらずに成立する。よって、視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に自車が到達するための運転操作の目標を決定することで、手動運転時にドライバが行っているのと同様の運転操作を、目標決定部206で運転操作の目標と決定することが可能になる。
【0045】
一例として、目標決定部206は、視線位置特定部204で特定する視線位置を、運転感覚回復訓練時の到達ポイントと設定する。そして、現在位置から前述の設定時間後にその到達ポイントに到達するために必要な操舵角及び車速の変化量といった運転操作の目標を決定すればよい。操舵角及び車速の変化量といった運転操作の目標は、経過時間ごとの段階的な目標であってもよい。運転操作の目標は、等加速度で運転操作するものとして決定してもよいし、手動運転時の操舵角及び車速の変化をモデルにして決定してもよいし、自動運転時の操舵角及び車速の変化をモデルにして決定してもよい。なお、運転操作の目標には、変速比の切り替えも含む構成としてもよい。
【0046】
表示制御部203は、目標決定部206で運転操作の目標が決定された場合に、決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を表示装置23に行わせる。一例としては、HUD230を用いることによって教示表示を前景中に重畳表示させる構成とすればよい。これによれば、ドライバが自車の前方に視線を向けたまま、運転操作の教示を受けることが可能となるため、実際の運転操作時と同様に自車の前方に視線を向けたまま運転操作を行うことができ、運転感覚をより取り戻しやすくなる。教示表示は、HUD230以外の表示装置23に行わせる構成としてもよいが、以下では、HUD230を用いて教示表示を前景中の重畳表示させる場合を例に挙げて説明を行う。
【0047】
例えば、
図6のTxに示すように、「到達ポイントまでアクセルペダルを踏み込み100km/hまで加速」といった運転操作の目標をテキストで表した教示表示を前景中に重畳表示させればよい。なお、操舵量の目安についてもテキストで表す構成としてもよい。
【0048】
また、表示されたイメージに従ってドライバが運転操作を行うことができる教示表示を前景中に重畳表示させることが好ましい。例えば、
図6のTlに示すように、到達ポイントまでの目標とすべき走行軌跡を示す教示表示を前景中に重畳表示させればよい。
図6のTlにおいて視線位置である到達ポイントを矢頭の先端位置によって表しているように、視線位置も表す表示とすることが好ましい。他にも、到達ポイントまでの目標とするステアリングホイールの操舵範囲を教示する教示表示を前景中に重畳表示させればよい。一例としては、
図6のTsに示すように、目標とする操舵範囲で回転させたステアリングホイールを模した画像を表示させる等すればよい。なお、前述した教示表示の全てを行う構成に限らず、前述した教示表示のうちの一部を行う構成としてもよい。また、表示制御部203は、目標決定部206で経過時間ごとの段階的な運転操作の目標を決定する場合には、教示表示をこの段階的な運転操作の目標に応じて逐次更新する構成とすればよい。
【0049】
模擬操作受付部207は、運転交代しようとする場合に、運転操作の制御権を自動運転機能からドライバへ移譲するまでは、ドライバによる前述の非連動状態におけるステアリングホイール13,アクセルペダル14への模擬的な運転操作による入力を受け付ける。一例としては、ステアリングホイール13の操作による入力として、車両状態センサ5のうちの操舵センサから操舵角の入力を受け付ける。また、アクセルペダル14の操作による入力として、車両状態センサ5のうちのアクセル開度センサからのアクセル開度の入力を受け付ける。なお、ブレーキペダルの操作による入力として、車両状態センサ5のうちのブレーキストロークセンサからのブレーキペダルの踏み込み量の入力を受け付けてもよい。また、シフトレバーの操作による入力として、車両状態センサ5のうちのシフトポジションセンサからのシフト位置の入力を受け付ける等してもよい。
【0050】
また、表示制御部203は、模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作による入力と、目標決定部206で決定した運転操作の目標とをもとに、運転操作の目標に対する、実際の運転操作のずれを示す教示表示を表示装置23に行わせる。例えば操舵操作については、操舵角の目標に対する、模擬操作受付部207で受け付けた操舵角の入力のずれ(つまり、操舵量のずれ)を示す教示表示を行わせる。また、加減速操作については、アクセル開度の目標に対する、模擬操作受付部207で受け付けたアクセル開度の入力のずれ(つまり、加減速操作量のずれ)を示す教示表示を行わせる。なお、加減速操作については、ブレーキペダルの踏み込み量の目標に対する、模擬操作受付部207で受け付けたブレーキペダルの踏み込み量の入力のずれを示す教示表示を行わせる等してもよい。
【0051】
ここで、
図7を用いて、運転操作の目標に対する、実際の運転操作のずれを示す教示表示の一例について説明する。
図7のTx,Tl,Tsについては
図6と同様である。
図7のTpが、運転操作の目標に対する、実際の運転操作のずれを示す教示表示を表している。TpのSWが、操舵角の目標に対する、模擬操作受付部207で受け付けた操舵角の入力のずれを表しており、TpのPWが、アクセル開度の目標に対する、模擬操作受付部207で受け付けたアクセル開度の入力のずれを表している。
【0052】
一例として、目標に対するずれは、
図7に示すように、正方向と負方向とのバーグラフで表す等すればよい。例えば、操舵が足りない方向のずれの場合は、ずれに応じた大きさの負方向のバーグラフで足りない操舵量を示し、操舵し過ぎの方向のずれの場合は、ずれに応じた正方向のバーグラフで超過した操舵量を示せばよい。また、アクセルペダルの踏み込みが足りない方向のずれの場合は、ずれに応じた大きさの負方向のバーグラフで足りないペダル操作量を示し、減速が必要な方向のずれの場合は、ずれに応じた正方向のバーグラフで超過したペダル操作量を示せばよい。目標に対するブレーキペダルの踏み込み量の入力のずれについても教示表示を行う構成とする場合には、アクセルペダルでの加速が必要な場合には赤色のバーグラフを用いる一方、ブレーキペダルでの減速が必要な場合には青色のバーグラフに切り替える等、表示態様を切り替える構成とすればよい。
【0053】
疑似反力制御部208は、前述の非連動状態において、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による入力に応じた疑似的な反力を、アクチュエータ250,260からステアリングホイール13,アクセルペダル14に与えさせる。疑似反力制御部208は、手動運転時の運転感覚と同質な操作感が得られるように、模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作による入力に比例した反力を与えさせる構成とすればよい。運転操作による入力と反力との比率は、実運転操作時のリアルな運転感覚が得られるよう、運転操作部の種類ごとに実験等によって予め求めた値を用いる等すればよい。これによれば、疑似反力制御部208によって運転操作部に与えられる疑似的な反力によって、ドライバに手動運転時の運転感覚を取り戻させることが可能になる。
【0054】
疑似反力制御部208は、ドライバごとの反力に対する感度の特性についての情報を車両システム1が取得できる場合には、この感度の特性に応じて、個々のドライバに合った疑似的な反力を与えさせてもよい。
【0055】
復帰可否判定部209は、目標決定部206で決定した運転操作の目標と、模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作による入力とをもとに、自動運転機能からドライバへの運転操作の制御権の移譲の可否(以下、復帰可否)を判定する。具体的には、前述した運転操作の目標と実際の運転操作とが、運転感覚が回復したと言える程度のずれにおさまる一致度合いである場合に、復帰可能と判定すればよい。一例としては、運転操作の目標に対する実際の運転操作のずれが、運転感覚の未回復を示す閾値未満である場合に復帰可能と判定する一方、この閾値を超えている場合に復帰不能と判定すればよい。ここで言うところの閾値は、実験等によって予め設定しておく構成とすればよい。なお、目標決定部206で経過時間ごとの段階的な運転操作の目標を決定する場合には、この段階的な運転操作の目標に対する実際の運転操作のずれを積算した値が閾値未満か否かに応じて復帰可否を判定する構成とすればよい。
【0056】
また、復帰可否判定部209は、以下のようにして復帰可否を判定してもよい。例えば操舵操作については、目標決定部206で到達ポイントとした視線位置を特定した際の視線方向α°,この到達ポイントに自車が到達した際の実際の操舵角δ°とし、αに係数Kを乗算した結果とδとのずれが閾値未満である場合に、復帰可能と判定すればよい。Kは、前述した所定の設定時間だけ視線方向の変化に遅れる操舵の変化の比率にあたる係数である。加減速操作については、目標決定部206で到達ポイントとした視線位置での目標速度まで前述した所定の設定時間だけ等加速度直線運動を行うとした場合の車速と実際の車速とのずれが閾値未満である場合に、復帰可能と判定すればよい。
【0057】
そして、復帰可否判定部209は、復帰可能と判定した場合には、自動運転機能からドライバへの運転操作の移譲を許可する。よって、この復帰可否判定部209が請求項の移譲許可部に相当する。復帰可否判定部209で自動運転機能からドライバへの運転操作の移譲を許可した場合に、HCU20は、運転操作の制御権について自動運転機能からドライバへ移譲する。運転操作の制御権がドライバへ移譲された場合には、連動切替部251,261が連動状態に切り換わり、手動運転による自車の運転操作が可能となる。一方、復帰可否判定部209で復帰不能と判定した場合には、提示制御部202が、ドライバに誤りを確認させるための情報提示を行わせる構成とすればよい。なお、復帰不能と判定した場合の処理の詳細については後述する。
【0058】
<HCU20での移譲関連処理>
続いて、
図8〜
図10,
図12のフローチャートを用いて、HCU20での移譲関連機能に関する処理(以下、移譲関連処理)の流れの一例について説明を行う。
図8のフローチャートは、自動運転ECU8で自動運転機能の実行が開始された場合に開始する構成とすればよい。
【0059】
まず、ステップS1では、運転交代要求部201でTORを行う場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。一方、TORを行わない場合(S1でNO)には、ステップS3に移る。ステップS2では、第1運転復帰シーケンスを行って、ステップS6に移る。
【0060】
ここで、
図9のフローチャートを用いて、第1運転復帰シーケンスについての説明を行う。まず、ステップS21では、HCU20でTORに対するドライバの了承を検知した場合(S21でYES)には、ステップS23に移る。一方、TORに対するドライバの了承を検知しなかった場合(S21でNO)には、ステップS22に移る。一例として、ステアリングホイール13の把持を検知するセンサでドライバがステアリングホイール13を把持したことを検知した場合に、TORに対するドライバの了承を検知する構成とすればよい。他にも、操作デバイス21のうちのドライバが許諾の意思を伝えるためのスイッチが操作された場合に、TORに対するドライバの了承を検知する構成としてもよい。
【0061】
ステップS22では、TORが行われてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S22でYES)には、自動運転からの復帰不能であるものとして、ステップS6に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S22でNO)には、S21に戻って処理を繰り返す。制限時間は、自動運転機能からドライバの運転操作への移譲若しくは退避行動を実行するまでの制限時間であって、任意に設定可能な時間とする。TORが行われてからの経過時間は、HCU20のタイマ回路等によってカウントする構成とすればよい。
【0062】
ステップS23では、HCU20でドライバが運転姿勢をとったことを検知した場合(S23でYES)には、ステップS25に移る。一方、ドライバが運転姿勢をとったことを検知しなかった場合(S23でNO)には、ステップS24に移る。一例として、DSM22で検出した顔向きが前方を向いていた場合に、ドライバが運転姿勢をとったことを検知する等すればよい。他にも、操作デバイス21のうちのドライバが運転姿勢の整ったことを伝えるためのスイッチが操作された場合に、ドライバが運転姿勢をとったことを検知する構成としてもよい。
【0063】
ステップS24では、S22と同様にして、TORが行われてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S24でYES)には、自動運転からの復帰不能であるものとして、ステップS6に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S24でNO)には、S23に戻って処理を繰り返す。
【0064】
ステップS25では、視線位置特定部204が、DSM22で逐次検出しておいた視線方向のうち、ドライバが運転姿勢をとったことを検知して以降の直近の一定期間の視線方向の分布をもとに視線位置を特定する。ここで言うところの一定期間は、任意に設定可能であって、離散値を除いて運転行動の意図をより確実に捉えることが可能になる程度のサンプル数が得られる時間であることが好ましい。
【0065】
ステップS26では、S25で特定した視線位置が自動運転ECU8で認識される走行環境中の道路上にある場合(S26でYES)には、ステップS28に移る。一方、S25で特定した視線位置がこの道路上にない場合(S26でNO)には、ステップS27に移る。ステップS27では、S22と同様にして、TORが行われてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S27でYES)には、自動運転からの復帰不能であるものとして、ステップS6に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S27でNO)には、S25に戻って処理を繰り返す。
【0066】
ステップS28では、S25で特定した視線位置が自動運転ECU8で認識される走行環境中の操舵操作が必要なカーブ終端にある場合(S28でYES)には、ステップS30に移る。一方、S25で特定した視線位置がこのカーブ終端にない場合(S28でNO)には、ステップS29に移る。一例としてカーブ終端は、経路上の例えば曲率が直線と判断する値に変化する点とすればよい。S28の処理は、漫然状態にある視線位置等を除外して、運転行動の意図をより確実に示す視線位置を以降の判定に用いるために好ましいが、S28〜S29の処理を省略する構成としてもよい。
【0067】
ステップS29では、S22と同様にして、TORが行われてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S29でYES)には、自動運転からの復帰不能であるものとして、ステップS6に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S29でNO)には、S25に戻って処理を繰り返す。
【0068】
ステップS30では、目標決定部206が、S25で特定した視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に自車が到達するための運転操作の目標を決定する。ステップS31では、表示制御部203が、S30で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を表示装置23に行わせる。
【0069】
ステップS32では、復帰可否判定部209が、S30で決定した運転操作の目標と、模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作による入力とをもとに、復帰可否を判定する。そして、復帰可能と判定した場合(S32でYES)には、ステップS33に移り、ステップS33では、復帰可能であるものとしてステップS6に移る。一方、復帰不能と判定した場合(S32でNO)には、ステップS34に移る。
【0070】
ステップS34では、S22と同様にして、TORが行われてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S34でYES)には、ステップS35に移り、ステップS35では、復帰不能であるものとしてステップS6に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S34でNO)には、S25に戻って処理を繰り返す。なお、S34でタイムアウトするまで、復帰可否判定部209で復帰不能と判定するごとに、提示制御部202が、ドライバに誤りを確認させるための情報提示を行わせる構成としてもよい。一例として、音声出力装置24から警報を音声出力させたり、表示装置23に警告表示を行わせたりすればよい。
【0071】
図8に戻って、S1でTORを行わない場合に実行される処理であるステップS3では、HCU20がドライバによるオーバーライド(以下、OR)意向を検知した場合(S3でYES)には、ステップS4に移る。一方、OR意向を検知していない場合(S3でNO)には、ステップS5に移る。一例として、HCU20は、操作デバイス21のうちのドライバがORすることを伝えるためのスイッチが操作された場合に、OR意向を検知する構成とすればよい。他にも、ステアリングホイール13の把持を検知するセンサでドライバがステアリングホイール13を把持したことを検知した場合に、OR意向を検知する構成としてもよい。
【0072】
ステップS4では、第2運転復帰シーケンスを行って、ステップS6に移る。ここで、
図10のフローチャートを用いて、第2運転復帰シーケンスについての説明を行う。ステップS41〜ステップS53までの処理は、前述した第1運転復帰シーケンスのS23〜S35までの処理と同様である。なお、第2運転復帰シーケンスでは、OR意向を検知してからの経過時間が前述の制限時間を越えたことをタイムアウトとすればよい。第2運転復帰シーケンスでの制限時間は、第1運転復帰シーケンスでの制限時間と同じとしてもよいし、異なる時間としてもよい。
【0073】
なお、第2運転復帰シーケンスでも、S52でタイムアウトするまで、復帰可否判定部209で復帰不能と判定するごとに、提示制御部202が、ドライバに誤りを確認させるための情報提示を行わせる構成としてもよい。
【0074】
図8に戻って、S3でOR意向を検知していない場合に実行される処理であるステップS5では、自車の自動運転が終了する場合(S5でYES)には、移譲関連処理を終了する。一方、自車の自動運転が継続する場合(S5でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。自車の自動運転が終了するか継続するかについては、HCU20が自動運転ECU8をモニタすることで判別すればよい。
【0075】
S2若しくはS4に続いて実行される処理であるステップS6では、S2若しくはS4において自動運転からの復帰可能とした場合(S6でYES)には、ステップS9に移る。一方、S2若しくはS4において自動運転からの復帰不能とした場合(S6でNO)には、ステップS7に移る。
【0076】
ステップS7では、提示制御部202が、自動運転からの復帰不能であることをドライバに通知するための情報提示を行わせる。提示制御部202は、自動運転からの復帰不能である原因に応じて、情報提示の態様を異ならせることによって、自動運転からの復帰不能である原因もドライバが認識できるようにすることが好ましい。自動運転からの復帰不能である原因については、S2若しくはS4のどのステップで復帰不能であるものと判別されたかによって提示制御部202が特定する構成とすればよい。
【0077】
例えば、S23,S41で運転姿勢をとったことを検知できずに復帰不能と判別された場合には、運転姿勢がととのっていないことを示すテキスト及び/又はアイコン等を表示させたり、音声出力を行わせたりすればよい。また、S26,S44で視線位置が道路上にないために復帰不能であるもの判別された場合には、視線が道路に向いていないことを示すテキスト及び/又はアイコン等を表示させたり、音声出力を行わせたりすればよい。一例として、S26,S44で視線位置が道路上にない場合も、表示制御部203が、
図11に示すように、この視線位置までの目標とするステアリングホイールの操舵範囲を示す表示(
図11のTla参照)を、教示表示とは色を変える等して前景中に重畳表示させることで、視線が道路に向いていないことを通知する構成としてもよい。この場合に、目標とする操舵範囲で回転させたステアリングホイールを模した画像(
図11のTsa参照)も表示させる構成としてもよい。
【0078】
他にも、S32,S50で復帰可否判定部209が復帰不能と判定した場合には、運転感覚が戻っていないことを示すテキスト及び/又はアイコン等を表示させたり、音声出力を行わせたりすればよい。他にも、復帰不能と判定される操作を行ったことをドライバに事後確認して納得してもらうために、HUD230以外のCID等に、復帰不能と判定された際の運転操作を示す画像を再生表示する構成としてもよい。復帰不能と判定された際の運転操作を示す画像としては、前景画像に、視線位置特定部204で特定した視線位置と、模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作による仮想の走行軌跡とを示す等すればよい。
【0079】
なお、S2,S4の処理において、タイムアウトするまで復帰可否判定部209で復帰不能と判定するごとに、上述したような復帰不能であることを通知するための情報提示を行う構成としてもよい。
【0080】
ステップS8では、提示制御部202が、退避行動をとることをドライバに通知するための情報提示を行わせ、移譲関連処理を終了する。提示制御部202が、退避行動をとることをドライバに通知するための情報提示を行わせた後は、自動運転ECU8が、路肩等に自車を自動で停車させる退避行動を行わせる。
【0081】
一方、S6で自動運転からの復帰可能とした場合に行われる処理であるステップS9では、提示制御部202が、自動運転からの復帰可能であることをドライバに通知するための情報提示を行わせる。ステップS10では、提示制御部202が、自動運転を解除することをドライバに通知するための情報提示を行わせる。提示制御部202が、自動運転を解除することをドライバに通知するための情報提示を行わせた後は、HCU20が、運転操作の制御権を自動運転機能からドライバへ移譲する。運転操作の制御権が自動運転機能からドライバへ移譲された後は、ステアリングユニット25の連動切替部251及びペダルユニット26の連動切替部261が連動状態に切り換わり、手動運転が可能となる。
【0082】
ステップS11では、運転復帰後支援シーケンスを行って、ステップS12に移る。ここで、
図12のフローチャートを用いて、運転復帰後支援シーケンスについての説明を行う。まず、ステップS111では、不安検知部205でドライバの不安を示すトリガを検知した場合(S111でYES)には、ステップS112に移る。一方、不安検知部205でドライバの不安を示すトリガを検知していない場合(S111でNO)には、ステップS12に移る。
【0083】
ステップS112では、S25と同様にして、視線位置特定部204が、DSM22で逐次検出しておいた視線方向のうち、直近の一定期間の視線方向の分布をもとに視線位置を特定する。DSM22は、自動運転機能が実行されている場合においても、ドライバの視線方向等の検出を逐次行っているものとする。ステップS113では、S26と同様にして、S112で特定した視線位置が自動運転ECU8で認識される走行環境中の操舵操作が必要なカーブ終端にある場合(S113でYES)には、ステップS115に移る。一方、S112で特定した視線位置がこのカーブ終端にない場合(S113でNO)には、ステップS114に移る。
【0084】
ステップS114では、運転操作の制御権がドライバへ移譲されてからの経過時間が制限時間を越え、タイムアウトした場合(S114でYES)には、ステップS12に移る。一方、タイムアウトしていない場合(S114でNO)には、S113に戻って処理を繰り返す。ここで言うところの制限時間とは、任意に設定可能であって、手動運転に復帰したドライバの不安が時間経過によっておさまるのに十分と推定される時間等とすればよい。
【0085】
ステップS115では、S30と同様にして、目標決定部206が、S112で特定した視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に自車が到達するための運転操作の目標を決定する。ステップS116では、S31と同様にして、表示制御部203が、S115で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を表示装置23に行わせ、ステップS12に移る。
【0086】
図8に戻って、ステップS12では、移譲関連処理の終了タイミングであった場合(S12でYES)には、移譲関連処理を終了する。移譲関連処理の終了タイミングとしては、自車のイグニッション電源がオフになった場合,運転操作の制御権がドライバから自動運転機能に移譲される場合等がある。運転操作の制御権の自動運転機能への移譲は、操作デバイス21でドライバから自動運転機能の実行が選択された場合に行う等すればよい。一方、移譲関連処理の終了タイミングでなかった場合(S12でNO)には、S11に戻って運転復帰後支援シーケンス繰り返す。よって、運転復帰後支援シーケンスによる教示表示は、ドライバの不安が解消されるまで繰り返され、ドライバの不安が解消されると終了する。なお、運転復帰後支援シーケンスによる教示表示は、運転操作の制御権がドライバへ移譲されてからの経過時間が制限時間を越えた場合に終了する構成としてもよいし、操作デバイス21で受け付ける操作に応じて終了する構成としてもよい。
【0087】
なお、制限時間は、操作デバイス21へのドライバからの操作入力,DSM22で推定したドライバの感情等をもとに不安の感じやすさの特性がHCU20で特定できた場合に、不安の感じやすさが高いほど長めにする等の調整を行う構成としてもよい。
【0088】
<実施形態1のまとめ>
ドライバは、手動運転時に、自車前方の道路の曲がり形状及び勾配の状況を、視線によって捉える。そして、ドライバは、視線によって捉えた位置(つまり、視線位置)に達するまでの時間と距離とを、固有に持つ経験的な運転感覚によって推定し、アクセルペダル及び/又はブレーキペダルの操作によって車速を適正に調整し、ステアリングホイールの操作によって進行方向を適正に調整する。一方、ドライバは、自動運転による画一的な走行に慣れた状態から手動運転に復帰する際には、運転感覚がすぐに戻らない状況に陥りやすく、適正な運転操作を直ちには行うことができない場合がある。
【0089】
これに対して、実施形態1の構成によれば、ドライバの視線位置に基づく運転体感シミュレーションを行うことで、運転操作を行う感覚をドライバが取り戻した状態で運転操作の制御権をドライバへ移譲させることを可能にする。
【0090】
詳しくは、実施形態1の構成によれば、ドライバの視線位置に該当する道路上の位置に所定の設定時間後に車両が到達するための運転操作をドライバの運転操作の目標とする。ドライバの視線位置は、個々のドライバの運転操作の感覚を反映するものであるため、視線位置を車両の到達目標として用いることで、ドライバがそれぞれ固有に持っている運転感覚に沿った運転操作の目標を決定することができる。そして、この運転操作の目標と模擬操作受付部207で受け付けた模擬的な運転操作とのずれが、運転感覚の未回復を示す閾値未満である場合に、ドライバへの運転操作の移譲を許可するので、ドライバがそれぞれ固有に持っている運転感覚をドライバが取り戻した場合に、ドライバへ運転操作の制御権を移譲させることが可能になる。よって、運転操作を行う感覚をドライバが取り戻した状態で運転操作の制御権をドライバへ移譲させることが、より確実に可能になる。
【0091】
また、実施形態1の構成によれば、視線位置に基づくこの運転操作の目標に合わせた運転操作を教示する教示表示を行わせるので、この教示表示によって、ドライバがそれぞれ固有に持っている運転感覚をドライバに取り戻させることが可能になる。よって、この点でも、運転操作を行う感覚をドライバが取り戻した状態で運転操作の制御権をドライバへ移譲させることが、より確実に可能になる。
【0092】
さらに、実施形態1の構成によれば、自動運転機能が実行されている場合には、連動切替部251,261によって自車の運転操作部と自車の走行制御とを切り離した非連動状態とするので、ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、自動運転を継続しつつ、ドライバが実際に運転操作部を操作するシミュレーションを行うことが可能となる。ドライバが実際に運転操作部を操作するシミュレーションを行うと、運転感覚を取り戻しやすいため、この点でも、運転操作を行う感覚をドライバが取り戻した状態で運転操作の制御権をドライバへ移譲させることが、より確実に可能になる。
【0093】
他にも、実施形態1の構成によれば、前述の非連動状態において、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による入力に応じた疑似的な反力を、自車の運転操作部に与えるので、ドライバに運転操作の制御権を移譲しようとする場合に、ドライバが運転操作部の操作に応じた反力を運転操作部から受けることができる。ドライバが運転操作部の操作に応じた反力を運転操作部から受けることができると、実際の運転操作に似た感覚を得ることができるので、運転感覚を取り戻しやすくなる。従って、この点でも、運転操作を行う感覚をドライバが取り戻した状態で運転操作の制御権をドライバへ移譲させることが、より確実に可能になる。
【0094】
(実施形態2)
実施形態1では、目標決定部206で決定した運転操作の目標をもとに、表示制御部203で教示表示を行わせるとともに、復帰可否判定部209で復帰可否を判定してドライバへの運転操作の移譲の許可を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、表示制御部203で教示表示を行わせずに、復帰可否判定部209で復帰可否を判定してドライバへの運転操作の移譲の許可を行う構成としてもよい。また、復帰可否判定部209で復帰可否を判定せずに、表示制御部203で教示表示を行わせたことをもって、ドライバへの運転操作の移譲の許可を行う構成としてもよい。
【0095】
(実施形態3)
実施形態1では、ドライバへの運転操作の移譲が行われた後に運転復帰後支援シーケンスを行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ドライバへの運転操作の移譲が行われた後に運転復帰後支援シーケンスを行わない構成としてもよい。
【0096】
(実施形態4)
実施形態1では、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による入力に応じた疑似的な反力を運転操作部に与える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による入力に応じた疑似的な反力を運転操作部に与えない構成としてもよい。
【0097】
(実施形態5)
実施形態1では、表示制御部203が、HUD230によって、到達ポイントまでの目標とすべき走行軌跡を示す教示表示を前景中に重畳表示させる構成を示したが、到達ポイントまでの目標とすべき走行軌跡の代わりに、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による仮想の走行軌跡を示す表示を前景中に重畳表示させる構成としてもよい。この場合、視線位置特定部204で特定する視線位置については、この視線位置を表す表示を前景中に重畳表示させることで、この仮想の走行軌跡を視線位置である到達ポイントに合わせるように促し、目標決定部206で決定した運転操作の目標に合わせた運転操作を教示することが好ましい。模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による仮想の走行軌跡は、模擬操作受付部207で受け付ける模擬的な運転操作による入力をもとに、この入力に従って走行制御した場合の走行軌跡を推定することで特定すればよい。
【0098】
(実施形態6)
なお、HMIシステム2にDSM22以外に、ドライバの運転姿勢を検出するためのカメラをさらに備え、このカメラでの撮像画像をもとにHCU20でドライバが運転姿勢をとったことを検知する構成としてもよい。また、DSM22の制御ユニットの機能をHCU20が担う構成としてもよい。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。