(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象者が覚醒した状態である覚醒状態を維持するための刺激である覚醒刺激を発生する刺激装置(22,23,24,91,92)から、前記覚醒刺激を発生させる刺激制御部(207)と、
前記対象者の眠気の度合いを検知する眠気検知部(202)と、
前記覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢を提示させる選択肢提示処理部(205)と、
前記対象者から受け付ける、前記選択肢からの選択を行う操作入力に従って、前記刺激制御部で発生させる前記覚醒刺激の刺激強度を選択する強度選択部(206)とを備え、
前記選択肢提示処理部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いが低くなるのに応じて、前記選択肢の数を増加させるとともに、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いが低くなるのに応じて、より弱い刺激強度を選択する選択肢が選択できるようにさせる覚醒維持装置。
前記刺激制御部は、前記対象者から受け付ける、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力に従って前記覚醒刺激を発生させることも、自動で前記覚醒刺激を発生させることもできるものであって、
前記眠気提示処理部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いが前記下限値以上である場合に、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを提示させ、前記対象者による前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を促し、
前記刺激制御部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを提示させたにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、自動で前記覚醒刺激を発生させる請求項2に記載の覚醒維持装置。
対象者が覚醒した状態である覚醒状態を維持するための刺激である覚醒刺激を発生する刺激装置(22,23,24,91,92)から、前記覚醒刺激を発生させる刺激制御部(207)と、
前記対象者の眠気の度合いを検知する眠気検知部(202)と、
前記覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢を提示させる選択肢提示処理部(205)と、
前記対象者から受け付ける、前記選択肢からの選択を行う操作入力に従って、前記刺激制御部で発生させる前記覚醒刺激の刺激強度を選択する強度選択部(206)と、
前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを提示させる眠気提示処理部(204)とを備え、
前記刺激制御部は、前記対象者から受け付ける、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力に従って前記覚醒刺激を発生させることも、自動で前記覚醒刺激を発生させることもできるものであって、
前記選択肢提示処理部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いが高くなるのに応じて、前記選択肢の数を減少させ、
前記眠気提示処理部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを表示と音声とによって提示させることができるものであって、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いが所定の下限値以上である場合に、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを提示させ、前記対象者による前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を促すものであり、前記眠気の度合いを表示によって提示させたにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、前記眠気の度合いを音声によって提示させ、
前記刺激制御部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを音声によって提示させたにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、自動で前記覚醒刺激を発生させる覚醒維持装置。
前記眠気提示処理部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを表示と音声とによって提示させることができるものであって、前記眠気の度合いを表示によって提示させたにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、前記眠気の度合いを音声によって提示させ、
前記刺激制御部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを音声によって提示させたにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、自動で前記覚醒刺激を発生させる請求項3に記載の覚醒維持装置。
前記刺激制御部は、前記眠気検知部で検知する眠気の度合いを提示させてから一定時間経過したにもかかわらず、前記覚醒刺激の発生を要求する操作入力を前記対象者から受け付けない場合に、自動で前記覚醒刺激を発生させる請求項3〜6のいずれか1項に記載の覚醒維持装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0011】
(実施形態1)
<運転支援システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示す運転支援システム1は、自動車(以下、単に車両)で用いられるものであり、HMI(Human Machine Interface)システム2、ロケータ3、地図データベース(以下、地
図DB)4、周辺監視センサ5、運転支援ECU6、車両状態センサ7、車両制御ECU8、及び空調システム9を含んでいる。HMIシステム2、ロケータ3、地
図DB4、運転支援ECU6、車両状態センサ7、車両制御ECU8、及び空調システム9は、例えば車内LANに接続されているものとする。運転支援システム1を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0012】
ロケータ3は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ3は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ロケータ3を搭載した自車の車両位置を逐次測位する。なお、車両位置の測位には、自車に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離を用いる構成としてもよい。
【0013】
地
図DB4は、例えば不揮発性メモリであって、リンクデータ,ノードデータ,道路形状,構造物等の地図データを格納している。リンクデータは、リンクを特定するリンクID,リンクの長さを示すリンク長,リンク方位,リンク旅行時間,リンクの形状情報,リンクの始端と終端とのノード座標(緯度/経度),道路種別等の各データから構成される。なお、地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる三次元地図を含む構成であってもよい。また、地図データは、通信モジュールを用いて自車の外部から取得する構成としてもよい。
【0014】
周辺監視センサ5は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ5は、例えば、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等のセンサである。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として運転支援ECU6へ逐次出力する。ソナー、ミリ波レーダ、LIDAR等の探査波を送信するセンサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として運転支援ECU6へ逐次出力する。
【0015】
運転支援ECU6は、自車の運転支援を行う電子制御装置である。運転支援ECU6は、ロケータ3から取得した自車の車両位置,地
図DB4から取得した地図データ,周辺監視センサ5から取得したセンシング情報等から、自車の周辺環境を認識する。また、運転支援ECU6は、認識した周辺環境をもとに、車両制御ECU8との連携によって自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行うことにより、自車の運転支援を行う。運転支援の一例としては、自車を自車線内に維持して走行させる支援、自車を定速走行させる支援、障害物回避のために自動減速する支援等がある。また、運転支援として、自車の加速、制動、及び操舵を車両制御ECU8に自動で行わせることで、自動運転を行わせる構成としてもよい。なお、本実施形態では、自動運転を行う場合でも、手動運転への交代が可能であるものとする。
【0016】
車両状態センサ7は、自車の走行状態,操作状態等の自車の挙動に関する情報を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ7としては、自車の車速を検出する車速センサ,自車のステアリングの操舵角を検出する操舵センサ,自車のアクセルペダルの開度を検出するアクセルポジションセンサ,自車のブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキストロークセンサ等がある。車両状態センサ7は、検出結果を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ7での検出結果は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
【0017】
車両制御ECU8は、自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU8としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU8は、自車に搭載されたアクセルポジションセンサ,ブレーキストロークセンサ,舵角センサ,車速センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル,ブレーキアクチュエータ,EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。
【0018】
空調システム9は、自車の乗員によって設定された空調関連の設定値等を含む空調要求情報をHCU20から取得し、車室内の温度、清浄、及び気流等を調整する車両用の冷暖房システムである。空調システム9は、空調制御ECU90、エアコンユニット91、及びアロマユニット92を備えている。
【0019】
エアコンユニット91は、インストルメントパネル等に設けられた吹出口から車室内に供給される温風及び冷風を生成する。アロマユニット92は、芳香(アロマ)成分を含むエッセンシャルオイル等のアロマオイルを霧状にする。芳香成分としては、覚醒効果がある成分を用いるものとする。アロマユニット92によって霧状にされた芳香成分は、エアコンユニット91によって生成された気流と混ぜられて車室内へと供給される。このエアコンユニット91及びアロマユニット92が請求項の刺激装置に相当する。
【0020】
空調制御ECU90は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。空調制御ECU90は、車内LANと接続されており、HCU20から車内LANに出力された空調要求情報を受信する。空調制御ECU90は、エアコンユニット91及びアロマユニット92と接続されており、取得した空調要求情報に基づいて、エアコンユニット91及びアロマユニット92の作動を制御する。
【0021】
HMIシステム2は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)20、DSM(Driver Status Monitor)21、表示装置22、音声出力装置23、振動子24、及び操作デバイス25を備えている。HMIシステム2は、運転手からの入力操作を受け付けたり、運転手に向けて情報を提示したり、運転手の状態を監視したりする。この運転手が請求項の対象者に相当する。
【0022】
DSM21は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。DSM21は、近赤外カメラを自車の運転席側に向けた姿勢にて、例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。DSM21は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転手の頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えば運転手の顔向き及び/又は視線方向を、撮像画像から検出する。
【0023】
DSM21は、運転手の目の開き具合等を撮像画像から抽出し、運転者の覚醒度(つまり、眠気)を検知する。本実施形態では、DSM21において覚醒度を0〜5の6段階の眠気レベルに区分して検知する場合を例に挙げて説明を行う。6段階に区分される眠気レベルは、覚醒度の高いものから順に、全く眠くなさそうな(言い換えると覚醒状態である)眠気レベル「0」,やや眠そうな眠気レベル「1」,眠そうな眠気レベル「2」,かなり眠そうな眠気レベル「3」,非常に眠そうな眠気レベル「4」,眠っている(言い換えると睡眠状態である)眠気レベル「5」とする。DSM21は、検知した眠気レベルをHCU20へ出力する。
【0024】
表示装置22としては、例えばコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)、HUD(Head-Up Display)、LED、ナビゲーション装置のディスプレイ(以下、ナビ画面)等がある。コンビネーションメータは、運転席の前方に配置される。CIDは、車室内にてセンタクラスタの上方に配置される。コンビネーションメータは、HCU20から取得した画像データに基づいて、情報提示のための種々の画像を液晶ディスプレイの表示画面に表示する。HUDは、HCU20から取得した画像データに基づく画像の光を、ウインドシールドに規定された投影領域に投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転手によって知覚される。運転手は、HUDによって投影された画像の虚像を、自車前方の外界風景と重ねて視認可能となる。LEDは、インストルメントパネル,運転席足元等に設けられ、HCU20によって発光が制御される。この表示装置22も請求項の刺激装置に相当する。
【0025】
音声出力装置23としては、例えば音声を出力するオーディオスピーカ,音を出力するブザー等がある。この音声出力装置23も請求項の刺激装置に相当する。振動子24は、例えばステアリングホイール,運転席のシート等の自車の運転手が接触する箇所に設けられ、運転手に振動による刺激を与える。振動子24は、HCU40によって振動が制御される。この振動子24も請求項の刺激装置に相当する。
【0026】
操作デバイス25は、運転手が操作するスイッチ群である。例えば、操作デバイス25としては、自車のステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチ,ディスプレイを有する表示装置22と一体となったタッチスイッチ等がある。本実施形態では、操作デバイス25に、覚醒を維持するための刺激(以下、覚醒刺激)の発生を運転手が要求するためのスイッチ(以下、刺激要求スイッチ)、及び覚醒刺激の刺激強度を選択するためのスイッチ(以下、強度選択スイッチ)が含まれるものとして以降の説明を行う。
【0027】
HCU20は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。HCU20が請求項の覚醒維持装置に相当する。なお、HCU20での処理の詳細については後述する。
【0028】
<HCU20の概略構成>
続いて、
図2を用いて、HCU20の概略構成について説明を行う。HCU20は、トリガ検知部201、眠気検知部202、提示制御部203、強度選択部206、及び刺激制御部207を備えている。なお、HCU20が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、HCU20が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0029】
トリガ検知部201は、操作デバイス25のうちの刺激要求スイッチで操作を受け付けたことを、覚醒刺激を発生させるためのトリガとして検知する。眠気検知部202は、DSM21で検知した眠気レベルを取得し、この眠気レベルを自車の運転手の眠気の度合いとして検知する。
【0030】
提示制御部203は、表示装置22及び/又は音声出力装置23から情報の提示を行わせる。提示制御部203は、
図2に示すように、眠気提示処理部204及び選択肢提示処理部205を備えている。
【0031】
眠気提示処理部204は、眠気検知部202で検知した眠気の度合いの提示を行わせる。眠気提示処理部204は、眠気検知部202で検知した眠気の度合いが所定の下限値以上である場合に、眠気の度合いの提示を行わせる構成とすることが好ましい。ここで言うところの所定の下限値とは、任意に設定可能な値であって、例えば眠気レベル「1」といった、眠気がある状態にあたる眠気の度合いとすればよい。これによれば、眠気のない場合に眠気の度合いの提示を行わないことで、眠気がないのにもかかわらず眠気の度合いの提示を受けることによる運転手の煩わしさを低減することが可能になる。
【0032】
なお、眠気提示処理部204は、眠気の度合いを示す表示を自車の手動運転中に常時行わせる等して常時提示させたり、眠気の度合いを示す表示及び/又は音声の出力を自車の手動運転中に定期的に行わせる等して逐次提示させたりする構成としてもよい。
【0033】
眠気提示処理部204は、眠気の度合いを示す提示を、表示によって行わせる構成としても、音声によって行わせる構成としてもよいが、本実施形態では、表示と音声とのいずれでも提示が可能な場合を例に挙げて以降の説明を行う。表示と音声とのいずれでも眠気の度合いの提示が可能な構成とする場合には、音声による提示に先がけて表示による提示を行わせる構成とすることが好ましい。表示よりも音声の方が、煩わしさを運転手に与える可能性が高い一方、運転手にとって気づきやすい可能性が高い。よって、以上の構成によれば、煩わしさの低減を可能にしつつ、必要に応じて気づきやすさを優先させることが可能になる。
【0034】
また、眠気提示処理部204は、眠気の度合いを示す提示を行わせることで、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を促す構成としてもよい。一例としては、眠気の度合いを示す提示に、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を促す提示も含ませる構成とすればよい。ここで、
図3を用いて、眠気提示処理部204で提示させる眠気の度合いを示す表示の一例について説明を行う。眠気の度合については、例えば色分けした複数段階のゲージ(
図3のGa参照)で眠気の度合いを表現し、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を促すアイコン(
図3のIc参照)の位置によって現在の眠気の度合いを示す構成とすればよい。
【0035】
選択肢提示処理部205は、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢の提示を行わせる。選択肢提示処理部205は、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢の提示を音声によって行わせる構成としてもよいが、選択肢の把握しやすさの観点から、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢の提示を表示によって行わせる構成とすることが好ましい。
【0036】
選択肢提示処理部205は、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢の表示(以下、選択肢表示)を、自車の手動運転中に常時若しくは逐次行わせる構成としてもよいが、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせた場合に行わせる構成とすればよい。一例としては、眠気の度合いを示す表示(以下、眠気度合い表示)を行わせる表示装置22において、眠気度合い表示に追加して選択肢表示を行わせたり、眠気度合い表示に切り替えて選択肢表示を行わせたりすればよい。これによれば、運転手が現在の眠気の度合いを自覚した上で覚醒刺激の刺激強度を選択しやすくなる。なお、眠気度合い表示と選択肢表示とをそれぞれ異なる表示装置22に表示させる構成としても構わない。他にも、眠気度合い表示に遅れて選択肢表示を行わせる構成に限らず、眠気度合い表示と選択肢表示とを同時に開始する構成としてもよい。
【0037】
また、選択肢提示処理部205は、提示を行わせる刺激強度の選択肢を眠気検知部202で検知した眠気の度合いに応じて変化させる。選択肢提示処理部205は、眠気検知部202で検知した眠気の度合いが高くなるのに応じて、選択肢の数を減少させる構成とすることが好ましい。これによれば、眠気の度合いがより低い場合には、選択肢の数をより多くすることで運転手に選択のための思考を行わせて覚醒効果を高める一方、眠気の度合いがより高く、選択のための思考を運転手が行いにくい場合には選択肢の数をより少なくすることで刺激強度を選択しやすくすることが可能になる。
【0038】
より具体的には、眠気検知部202で検知する眠気の度合いが閾値よりも低い場合には、刺激強度の選択肢の数を2つ以上にさせる一方、眠気検知部202で検知する眠気の度合いが閾値以上の場合には刺激強度の選択肢の数を1つにさせることがより好ましい。ここで言うところの閾値とは、任意に設定可能な値であって、例えば眠気レベル「4」といった、運転操作が可能なうちの眠気の度合いが最も高い状態にあたる眠気の度合いとすればよい。これによれば、眠気の度合いが非常に高く、選択のための思考を運転手が行いにくい場合には刺激強度の選択肢の数を1つにすることで選択のための思考が非常に困難な運転手でも刺激強度を選択しやすくすることが可能になる。
【0039】
ここで、
図4を用いて、選択肢提示処理部205で提示させる選択肢の、眠気検知部202で検知した眠気の度合いに応じた変化の一例について説明を行う。例えば、眠気レベル「1」以下といった眠気の度合い「弱」の場合には、刺激強度の選択肢として「弱」,「中」,「強」の3つの選択肢を含む選択肢表示を行わせればよい。また、眠気レベル「2」〜「3」といった眠気の度合い「中」の場合には、刺激強度の選択肢として「弱」,「強」の2つの選択肢を含む選択肢表示を行わせればよい。さらに、眠気レベル「4」以上といった眠気の度合い「強」の場合には、刺激強度の選択肢として「強」のみの1つの選択肢を含む選択肢表示を行わせればよい。なお、選択肢表示には、
図4に示すように、刺激強度の選択肢以外に、刺激を発生させない「切」の選択肢も含ませる構成としてもよい。
【0040】
強度選択部206は、運転手から受け付ける、選択肢提示処理部205で提示させた選択肢からの選択を行う操作入力に従って、刺激制御部207で発生させる覚醒刺激の刺激強度を選択する。選択肢からの選択を行う操作入力については、操作デバイス25のうちの強度選択スイッチを介して受け付ける構成とすればよい。一例として、強度選択スイッチは、ディスプレイを有する表示装置22のうちの選択肢表示を行う表示装置22と一体となったタッチスイッチであって、選択肢表示の選択肢に触れることでこの選択肢の選択が可能となっていることが好ましい。
【0041】
また、強度選択スイッチと刺激要求スイッチとが共通であって、選択肢からの選択が覚醒刺激を発生させるためのトリガとなる構成としてもよい。この場合、強度選択スイッチが、覚醒刺激の発生を運転手が要求する操作入力も受け付けることになる。これによれば、刺激制御部207で発生させる覚醒刺激の刺激強度の選択と、覚醒刺激の開始とを、それぞれ別個に操作入力する手間を省くことが可能になる。
【0042】
刺激制御部207は、
図2に示すように、開始判定部208、基準強度決定部209、ローテーション制御部210、及びゆらぎ制御部211を備え、覚醒刺激を発生する刺激装置から、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる。刺激装置としては、表示装置22、音声出力装置23、振動子24、エアコンユニット91、及びアロマユニット92がある。刺激制御部207は、エアコンユニット91及びアロマユニット92については、空調制御ECU90へ向けて空調要求情報を出力することにより作動を制御する。表示装置22から発生させる覚醒刺激は、一例としてLEDの発光とする。音声出力装置23から発生させる覚醒刺激は、一例としてアラーム音とする。振動子24から発生させる覚醒刺激は、一例として振動とする。エアコンユニット91から発生させる覚醒刺激は、一例として冷風とする。アロマユニット92から発生させる覚醒刺激は、一例として覚醒効果のある芳香とする。
【0043】
刺激制御部207は、前述したように開始判定部208を備え、開始判定部208によって、トリガ検知部201でトリガを検知した場合に、覚醒刺激を発生させるものと判定する。つまり、覚醒刺激の発生を運転手が要求する操作入力を受け付けた場合に、覚醒刺激を発生させるものと判定する。以降では、覚醒刺激の発生を運転手が要求する操作入力を受け付けて覚醒刺激を開始することを、手動での覚醒刺激の使用開始と呼ぶ。
【0044】
また、開始判定部208は、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせた後、設定タイミングとなったにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、覚醒刺激を発生させるものと判定する。以降では、覚醒刺激の発生を運転手が要求する操作入力を受け付けていないにもかかわらず、覚醒刺激を開始することを、自動での覚醒刺激の使用開始と呼ぶ。設定タイミングとは、自車の運転開始からの経過時間、及び自車の走行環境の単調さに応じて設定されるタイミングである。
【0045】
自車の運転開始からの経過時間とは、自車のイグニッション電源がオンになって走行を開始してからの経過時間とすればよい。自車のイグニッション電源がオンになって走行を開始したことは、自車のイグニッション電源のオンオフ及び車両状態センサ7のうちの車速センサで検出する自車の車速から特定すればよい。
【0046】
自車の走行環境の単調さは、自車が高速道路を走行中の場合に自車が一般道路を走行中よりも単調さが増していると特定する構成とすればよい。自車が高速道路を走行中か一般道路を走行中かは、運転支援ECU6で認識した走行環境から特定すればよい。他にも、自車の走行環境の単調さは、自車の運転手の運転操作の煩雑さの度合い低くなるほど単調さが増していると特定する構成とすればよい。一例として、車両状態センサ7のうちのアクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、舵角センサ、及び車速センサの少なくともいずれかで検出される値の単位時間あたりの変化量が小さいほど、自車の運転手の運転操作の煩雑さの度合いを低く特定する構成とすればよい。
【0047】
一例として、開始判定部208は、自車の運転開始からの経過時間が例えば90分等の運転への慣れによって眠気が発生しやすくなる所定時間に達した場合には、この所定時間に達する前よりも設定タイミングを早める構成とすればよい。他にも開始判定部208は、自車の走行環境の単調さが増すほど、設定タイミングを早める構成とすればよい。また、開始判定部208は、自車の運転開始からの経過時間と、自車の走行環境の単調さとの両方を、タイミングの設定の条件とする場合には、例えば両方の条件が設定タイミングを早める条件として揃うほど設定タイミングを早める構成とすればよい。
【0048】
なお、眠気提示処理部204で音声による眠気の度合いを示す提示に先がけて表示による眠気の度合いを示す提示を行わせる構成を採用する場合には、以下のような構成とすればよい。開始判定部208は、表示による眠気の度合いを示す提示を行わせた後、設定タイミングとなったにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、覚醒刺激を発生させると判定すればよい。この場合、眠気提示処理部204は、表示による眠気の度合いを示す提示を行わせてから設定タイミングよりも早い設定時間内に、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、音声による眠気の度合いを示す提示を行わせる構成とすればよい。なお、設定時間は、前述の設定タイミングと同様にして、自車の運転開始からの経過時間、及び自車の走行環境の単調さに応じて設定される構成としてもよいし、設定タイミングとなり得るタイミングまでの時間よりも短い固定の時間であってもよい。
【0049】
基準強度決定部209は、強度選択部206で選択した強度に応じて、後述のローテーション制御部210での基準となる強度(以下、基準強度)を決定する。一例としては、強度選択部206で選択した強度と、基準強度との対応関係をHCU20の不揮発性メモリに予め記憶しておくことで、この対応関係を参照して、基準強度を決定する構成とすればよい。また、基準強度決定部209は、自動での覚醒刺激の使用開始となる場合には、例えば所定の強度を基準強度として決定する構成とすればよい。一例としては、基準強度として設定可能な最も強い強度を基準強度として決定したり、基準強度を強度別に区分した場合の中央値の区分よりも高い区分の強度を基準強度として決定したりすればよい。
【0050】
また、刺激制御部207は、前述したようにローテーション制御部210及びゆらぎ制御部211を備えている。また、
図5に示すように、ローテーション制御部210は、順番制御部212、急峻さ制御部213、変更周期制御部214、及び強度差制御部215を備えており、ゆらぎ制御部211は、ゆらぎ周期制御部216及びゆらぎ幅制御部217を備えている。
【0051】
刺激制御部207は、ローテーション制御部210によって、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度が順番に強くなるように覚醒刺激の強度を変更させる(つまり、ローテーションさせる)。さらに、刺激制御部207は、ゆらぎ制御部211によって、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる。ここで言うところのゆらぎとは、覚醒刺激の強度が、基準強度を中心に周期的に上下に変動したり、間欠的に0になったりする状態を示す。
【0052】
表示装置22から発生させる覚醒刺激の強度を変更させる場合は、一例としてLEDの発光の強度を変更させる構成とすればよい。音声出力装置23から発生させる覚醒刺激の強度を変更させる場合には、一例としてアラーム音の音量を変更させる構成とすればよい。振動子24から発生させる覚醒刺激を変更させる場合には、一例として振動の強度を変更させる構成とすればよい。エアコンユニット91から発生させる覚醒刺激を変更させる場合には、一例として冷風の温度若しくは風量を変更させる構成とすればよい。アロマユニット92から発生させる覚醒刺激を変更させる場合には、一例として芳香の濃度を変更させる構成とすればよい。
【0053】
ここで、
図6を用いて、ローテーション制御部210での覚醒刺激の強度の制御について説明を行う。
図6では、便宜上、覚醒刺激の種類は覚醒刺激A〜Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。
図6のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
【0054】
図6に示すように、ローテーション制御部210は、複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションで順に強くしていく。ローテーション制御部210では、ある種類の覚醒刺激の強度を強くしている場合には、他の種類の覚醒刺激の強度は弱くしている。
図6では、覚醒刺激A,覚醒刺激B,覚醒刺激Cの順に強度を強くしていく場合の例を示している。
【0055】
また、ローテーション制御部210は、順番制御部212、急峻さ制御部213、変更周期制御部214、及び強度差制御部215により、複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度を強くするタイミング,強度の大きさ,強度の時間変化率(つまり、急峻さ)を制御し、切り替える。
【0056】
順番制御部212は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで順番に強くしていく際のこの順番を制御する。一例として、順番制御部212は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているローテーションの順番についてのデフォルトの設定値に従い、ローテーションの順番を制御する構成とすればよい。
【0057】
また、順番制御部212は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで順番に強くしていく際の、この順番を切り替える。所定の条件の一例としては、刺激制御部207で覚醒刺激を発生させたにもかかわらず、眠気検知部202で規定値以上の眠気を検知した場合等がある。ここで言うところの規定値とは、任意に設定可能な値であって、例えば前述の所定の下限値としてもよいし、覚醒させる必要が生じると推定される眠気としてもよい。なお、順番制御部212は、ローテーションの順番を、ランダムに切り替える構成としてもよいし、デフォルトの設定値と逆の順番に切り替える構成としてもよい。
【0058】
急峻さ制御部213は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで強く変更していく際の強度変化の急峻さを制御する。一例として、急峻さ制御部213は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている覚醒刺激の強度を変化させる際の時間変化率のデフォルトの設定値に従い、強度変化の急峻さを制御する構成とすればよい。また、急峻さ制御部213は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度変化の急峻さを切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部212で説明したものと同様とすればよい。強度変化の急峻さの切り替えは、急峻さが大きくなるように切り替える構成としてもよいし、急峻さが小さくなるように切り替える構成としてもよいし、急峻さをランダムに切り替える構成としてもよい。
【0059】
変更周期制御部214は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の変更の周期(以下、変更周期)を制御する。一例として、変更周期制御部214は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている変更周期のデフォルトの設定値に従い、変更周期を制御する構成とすればよい。また、変更周期制御部214は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更周期を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部212で説明したものと同様とすればよい。変更周期の切り替えは、変更周期が短くなるように切り替える構成としてもよいし、変更周期が長くなるように切り替える構成としてもよいし、変更周期をランダムに切り替える構成としてもよい。
【0060】
強度差制御部215は、刺激装置からそれぞれ発生させる複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の、各々の覚醒刺激の上限と下限との強度差(以下、変更強度差)を制御する。変更強度差は、ローテーションで覚醒刺激の強度を強弱2つのパターンに変化させる際の、強度を強くしているときと強度を弱くしているときの強度差と言い換えることもできる。一例として、強度差制御部215は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている変更強度差のデフォルトの設定値に従い、変更強度差を制御する構成とすればよい。
【0061】
また、強度差制御部215は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更強度差を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部212で説明したものと同様とすればよい。変更強度差の切り替えは、変更強度差が大きくなるように切り替える構成としてもよいし、変更強度差が小さくなるように切り替える構成としてもよいし、変更強度差をランダムに切り替える構成としてもよい。また、強度の上限のみを変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよいし、強度の下限のみを変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよいし、強度の上限と下限との両方を変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよい。
【0062】
なお、急峻さ制御部213,変更周期制御部214,強度差制御部215によって制御する急峻さ,変更周期,変更強度差については、覚醒刺激の種類ごとに異なる値であってもよい。また、刺激装置からそれぞれ発生させる複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の、各々の覚醒刺激の上限と下限とを、強度差を一定に保ったまま、前述の所定の条件を満たした場合に切り替える構成としてもよい。
【0063】
続いて、
図7を用いて、ゆらぎ制御部211での覚醒刺激の強度の制御について説明を行う。
図7でも、便宜上、覚醒刺激の種類は覚醒刺激A〜Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。
図7のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
【0064】
図7に示すように、ゆらぎ制御部211は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる。
図7では、覚醒刺激A,覚醒刺激B,覚醒刺激Cのそれぞれについて、ローテーション制御部210での制御に用いる基準強度(
図7中の破線参照)を基準として、この基準強度を中心に周期的に強度を上下に変動させる場合の例を示している。
【0065】
ゆらぎ周期制御部216は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎの周期を(以下、ゆらぎ周期)を制御する。一例として、ゆらぎ周期制御部216は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ周期のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ周期を制御する構成とすればよい。
【0066】
また、ゆらぎ周期制御部216は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ周期を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部212で説明したものと同様とすればよい。ゆらぎ周期の切り替えは、ゆらぎ周期が短くなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ周期が長くなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ周期をランダムに切り替える構成としてもよい。
【0067】
さらに、ゆらぎ周期制御部216は、ゆらぎ周期を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部214で制御されている変更周期とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ周期を、変更周期よりも短いゆらぎ周期に変更する。つまり、ゆらぎ周期制御部216は、ゆらぎ周期を切り替える場合に、ゆらぎ周期が変更周期よりも短くなるようにゆらぎ周期を切り替える。これは、ゆらぎ周期が変更周期以上の長さとなった場合、変更周期制御部214での覚醒刺激の強度のローテーションとゆらぎ周期制御部216での覚醒刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
【0068】
ゆらぎ幅制御部217は、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎにおける覚醒刺激の強度のゆらぎ幅を制御する。ゆらぎ幅は、ゆらぎにおける覚醒刺激の強度の上限と下限との強度差と言い換えることもできる。一例として、ゆらぎ幅制御部217は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ幅のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ幅を制御する構成とすればよい。
【0069】
また、ゆらぎ幅制御部217は、所定の条件を満たした場合に、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ幅を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部212で説明したものと同様とすればよい。ゆらぎ幅の切り替えは、ゆらぎ幅が大きくなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅が小さくなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅をランダムに切り替える構成としてもよい。また、ゆらぎ幅の上限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の下限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の上限と下限との両方を変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよい。
【0070】
さらに、ゆらぎ幅制御部217は、ゆらぎ幅を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ幅と、強度差制御部215で制御されている変更強度差とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ幅を、変更強度差よりも強度の上限と下限との差が小さいゆらぎ幅に変更する。つまり、ゆらぎ幅制御部217は、ゆらぎ幅を切り替える場合に、ゆらぎ幅が変更強度差よりも小さくなるようにゆらぎ幅を切り替える。これは、ゆらぎ幅が変更強度差以上の大きさとなった場合、強度差制御部215での覚醒刺激の強度のローテーションとゆらぎ幅制御部217での覚醒刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
【0071】
<HCU20での覚醒刺激関連処理>
続いて、
図8のフローチャートを用いて、HCU20での覚醒刺激を発生させる制御に関連する処理(以下、覚醒刺激関連処理)の流れの一例について説明を行う。
図8のフローチャートは、例えば、自車のイグニッション電源がオンになったときにHCU20の電源もオンになり開始する構成とすればよい。
【0072】
まず、ステップS1では、眠気検知部202で検知した眠気の度合いが前述した所定の下限値以上である場合(S1でYES)には、ステップS3に移る。一方、眠気の度合いが所定の下限値未満である場合(S1でNO)には、ステップS2に移る。ステップS2では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S2でYES)には、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S2でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。覚醒刺激関連処理の終了タイミングの一例としては、自車のイグニッション電源がオフになったこと,運転手の監視義務のない自動化レベルの自動運転に切り替わったこと等がある。
【0073】
ステップS3では、眠気提示処理部204が、眠気の度合いを示す提示を、表示によって行わせる。つまり、眠気度合い表示を行わせる。ステップS4では、選択肢提示処理部205が、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢の提示を行わせる。ステップS5では、眠気度合い表示を開始してから前述の設定時間内に、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を受け付けた場合(S5でYES)には、ステップS6に移る。一方、設定時間内にこの操作入力を受け付けなかった場合(S5でNO)には、ステップS7に移る。ステップS6では、刺激制御部207が、運転手から受け付ける、選択肢提示処理部205で提示させた選択肢からの選択を行う操作入力に従って強度選択部206で選択された刺激強度を基準強度として、刺激装置から複数種類の覚醒刺激を同時に発生させ、ステップS10に移る。
【0074】
ステップS7では、眠気提示処理部204が、眠気の度合いを示す提示を、音声(つまり、音声出力)によって行わせる。ステップS8では、設定タイミングとなるまでに、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を受け付けた場合(S8でYES)には、S6に移る。一方、設定タイミングとなるまでに、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を受け付けなかった場合(S8でNO)には、開始判定部208が覚醒刺激を発生させるものと判定し、ステップS9に移る。ステップS9では、刺激制御部207が、所定の刺激強度を基準強度として、刺激装置から複数種類の覚醒刺激を同時に発生させ、ステップS10に移る。前述したように、所定の刺激強度としては、基準強度として設定可能な最も強い強度を基準強度としたり、基準強度を強度別に区分した場合の中央値の区分よりも高い区分の強度を基準強度としたりすればよい。
【0075】
ステップS10では、ローテーション制御部210が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションさせる。つまり、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激にローテーションを付加する。また、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差については、デフォルトの設定値に従って順番制御部212、急峻さ制御部213、変更周期制御部214、及び強度差制御部215で制御される。
【0076】
ステップS11では、ゆらぎ制御部211が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎを生じさせる。つまり、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激にゆらぎを付加する。また、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅については、デフォルトの設定値に従ってゆらぎ周期制御部216及びゆらぎ幅制御部217で制御される。
【0077】
ステップS12では、眠気検知部202が、前述した規定値以上の眠気を検知する場合(S12でYES)には、ステップS13に移る。つまり、これまでの覚醒刺激では覚醒効果が乏しかった場合には、S13に移る。一方、規定値未満の眠気しか検知しない場合(S12でNO)には、刺激制御部207が覚醒刺激を終了させ、S2に移る。つまり、覚醒刺激によって運転手が十分な覚醒状態となった場合には、S2に移る。なお、S12の処理は、S6若しくはS9での覚醒刺激の開始から一定時間以上経過したことを条件として行われる構成としてもよい。ここで言うところの一定時間とは、任意に設定可能な時間とすればよい。
【0078】
ステップS13では、刺激制御部207が制御切替関連処理を行ってステップS14に移る。ここで、
図9のフローチャートを用いて、制御切替関連処理の流れの一例についての説明を行う。
【0079】
まず、ステップS131では、順番制御部212が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで順番に強くしていく際のこの順番を、それまでの順番から切り替える。ステップS132では、変更周期制御部214が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更周期を、それまでの変更周期から切り替える。覚醒効果を高めるためには、変更周期が短くなるように切り替えることが好ましい。
【0080】
ステップS133では、強度差制御部215が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更強度差を、それまでの変更強度差から切り替える。覚醒効果を高めるためには、変更強度差が大きくなるように切り替えることが好ましい。ステップS134では、急峻さ制御部213が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度変化の急峻さを、それまでの急峻さから切り替える。覚醒効果を高めるためには、急峻さが増すように切り替えることが好ましい。
【0081】
ステップS135では、ゆらぎ幅制御部217が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ幅を、それまでのゆらぎ幅から切り替える。覚醒効果を高めるためには、ゆらぎ幅が大きくなるように切り替えることが好ましい。
【0082】
ステップS136では、ゆらぎ幅制御部217が、S135で切り替え後のゆらぎ幅と、強度差制御部215で制御されている現在の変更強度差とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差未満であった場合(S136でYES)には、ステップS138に移る。一方、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合(S136でNO)には、ステップS137に移る。ステップS137では、ゆらぎ幅制御部217が、S135で切り替え後のゆらぎ幅を、S135で切り替え前のゆらぎ幅とは異なるようにしつつ、現在の変更強度差よりも小さくなるように変更する。
【0083】
ステップS138では、ゆらぎ周期制御部216が、刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ周期を、それまでのゆらぎ周期から切り替える。覚醒効果を高めるためには、ゆらぎ周期が短くなるように切り替えることが好ましい。
【0084】
ステップS139では、ゆらぎ周期制御部216が、S138で切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部214で制御されている現在の変更周期とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期未満であった場合(S139でYES)には、ステップS14に移る。一方、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合(S139でNO)には、ステップS130に移る。ステップS140では、ゆらぎ周期制御部216が、S138で切り替え後のゆらぎ周期を、S138で切り替え前のゆらぎ周期とは異なるようにしつつ、現在の変更周期よりも短くなるように変更する。
【0085】
図8に戻って、ステップS14では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S14でYES)には、刺激装置からの覚醒刺激の発生を終了させ、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S14でNO)には、S12に戻って処理を繰り返す。
【0086】
なお、
図8のフローチャートでは、S12で眠気検知部202が規定値以上の眠気を検知する場合に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差、並びに覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅といった覚醒刺激の発生態様の全てを切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の発生態様を1種類ずつ切り替えながら、その都度、眠気検知部202が規定値以上の眠気を検知するかを刺激制御部207が判断し、規定値以上の眠気の検知が続く場合に、切り替える覚醒刺激の発生態様の種類を逐一増やしていく構成としてもよい。また、
図8のフローチャートにおけるS136及びS137の処理を省略する構成としてもよいし、S139及びS140の処理を省略する構成としてもよい。
【0087】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、選択肢提示処理部205で提示させる、覚醒刺激の刺激強度を選択する選択肢を、眠気検知部202で検知する眠気の度合いに応じて変化させるので、運転手は、この選択肢の変化によって眠気の度合いを自覚することが可能になる。また、運転手から受け付ける、選択肢からの選択を行う操作入力に従って、刺激制御部207で発生させる覚醒刺激の刺激強度を選択するので、運転手の実際の眠気の度合いに応じた刺激強度の覚醒刺激を発生させることができ、覚醒効果をより高めることが可能になる。その結果、対象者に眠気の度合いを自覚させることを可能にしつつ、覚醒効果をより高めることが可能になる。
【0088】
他にも、覚醒刺激の発生を運転手が要求する操作入力を受け付けた場合に覚醒刺激を開始するので、運転手が必要なときに覚醒刺激を開始することが可能になる。また、眠気の度合いを示す提示を行わせたにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、自動で覚醒刺激を開始させるので、眠気の度合いが高くて手動で覚醒刺激を開始させる余裕がない場合であっても、覚醒刺激を開始させることが可能になる。
【0089】
さらに、実施形態1の構成によれば、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させるので、単一の刺激を発生させる場合に比べて運転手が刺激に慣れにくい。また、眠気の度合いが高い場合に、複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションさせたり、ゆらぎを生じさせたりするので、それぞれの覚醒刺激についての慣れも生じにくく、覚醒効果を高めることが可能になる。さらに、覚醒刺激による覚醒効果が薄れた場合に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差、並びに覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅を、切り替えるので、覚醒刺激についての慣れが非常に生じにくくなる。特に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番の切り替えは、運転手が認識しやすいと考えられることから、運転手が違和感を生じやすく、特に覚醒刺激への慣れが生じにくくなると考えられる。以上のように、本実施形態の構成によれば、覚醒刺激への慣れがより生じにくくなるため、運転手の覚醒効果をより長い時間継続させることが可能になる。
【0090】
(実施形態2)
実施形態1では、開始判定部208が、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせた後、設定タイミングとなったにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、覚醒刺激を発生させるものと判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、開始判定部208は、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせてから一定時間が経過したにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、覚醒刺激を発生させるものと判定する構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下、実施形態2について図面を用いて説明する。
【0091】
実施形態2の運転支援システム1は、HCU20の処理が一部異なる点を除けば、実施形態1の運転支援システム1と同様である。より詳しくは、刺激制御部207が備える開始判定部208の処理が一部異なる点を除けば、実施形態1の運転支援システム1と同様である。ここで、
図10のフローチャートを用いて、実施形態2におけるHCU20での覚醒刺激関連処理の流れの一例について説明を行う。
【0092】
まず、S1〜S7の処理は、実施形態1におけるS1〜S7の処理と同様である。S8aでは、S3で眠気度合い表示を行わせてから一定時間が経過するまでに、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を受け付けた場合(S8aでYES)には、S6に移る。一方、S3で眠気度合い表示を行わせてから一定時間が経過するまでに、運転手による覚醒刺激の発生を要求する操作入力を受け付けなかった場合(S8aでNO)には、開始判定部208が覚醒刺激を発生させるものと判定し、ステップS9に移る。ここで言うところの一定時間とは、任意に設定可能な時間であって、予め固定された時間とすればよい。S9〜S14の処理は、実施形態1におけるS9〜S14の処理と同様である。
【0093】
実施形態2の構成は、眠気の度合いを示す提示を行わせたにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならないと判断する条件が異なるだけであるので、実施形態2の構成によっても、実施形態1と同様に、対象者に眠気の度合いを自覚させることを可能にしつつ、覚醒効果をより高めることが可能になる。
【0094】
(実施形態3)
前述の実施形態では、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせたにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合に、自動で覚醒刺激を発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせたにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならない場合にも、自動で覚醒刺激を発生させない構成としてもよい。また、自動で覚醒刺激を発生させる条件を、眠気提示処理部204で眠気の度合いを示す提示を行わせたにもかかわらず、手動での覚醒刺激の使用開始とならないことでなく、眠気検知部202で検知する眠気の度合いが一定以上となったこととしてもよい。
【0095】
(実施形態4)
前述の実施形態では、ローテーション制御部210が、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、及び変更強度差を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、及び変更強度差のうちの一部のみを切り替える構成としてもよい。
【0096】
(実施形態5)
前述の実施形態では、ゆらぎ制御部211が、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅のうちのいずれかのみを切り替える構成としてもよい。
【0097】
(実施形態6)
前述の実施形態では、刺激制御部207がローテーション制御部210とゆらぎ制御部211とを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、刺激制御部207がゆらぎ制御部211を備えない構成としてもよい。
【0098】
(実施形態7)
前述の実施形態では、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、複数種類の覚醒刺激のうちの一部の覚醒刺激の強度が0になるタイミングが存在する構成としてもよい。つまり、複数種類の覚醒刺激の少なくとも一部を同時に発生させる構成としてもよいし、複数種類の覚醒刺激の全てを異なるタイミングで順番に発生させる構成としてもよい。
【0099】
(実施形態8)
前述の実施形態では、覚醒刺激として、光、音、振動、風、及び芳香を用いる場合を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。覚醒刺激の種類が複数種類であれば、光、音、振動、風、及び芳香のうちの一部を用いる構成としてもよいし、他の種類の覚醒刺激を用いる構成としてもよい。また、複数種類の刺激としては、生じる感覚が異なる刺激を複数種類の刺激として用いる構成に限らず、刺激を行う人体の部位が異なる刺激を複数種類の刺激として用いる構成としてもよい。さらに、複数種類の刺激としては、生じる感覚が異なる刺激と刺激を行う人体の部位が異なる刺激とが混在したものを用いる構成としてもよい。
【0100】
(実施形態9)
前述の実施形態では、DSM21での検知結果をもとに眠気検知部202が運転手の眠気の度合いを検知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、生体センサで計測した計測結果から眠気検知部202が運転手の眠気の度合いを検知する構成としてもよい。眠気の検知に用いる生体センサ及び計測結果の一例としては、脳波計で計測する脳波、心拍計で計測する心拍数,心拍ゆらぎ、脈波計で計測する脈波、皮膚電気活動計で計測する皮膚コンダクタンス等がある。また、計測結果からの眠気の検知方法については、公知の方法を用いればよい。
【0101】
他にも、周辺監視カメラで逐次検出する走行区画線の位置から求められる自車の横揺れから眠気の度合いを検知したり、舵角センサで逐次検出する操舵角から求められるステアリング操作のばらつき量から眠気の度合いを検知したりする構成としてもよい。
【0102】
(実施形態10)
前述の実施形態では、覚醒刺激関連処理をHCU20が担う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激関連処理をHCU20と他のECUとで担う構成としてもよいし、覚醒刺激関連処理を他のECUが担う構成としてもよい。
【0103】
(実施形態11)
前述の実施形態では、運転支援システム1が自動車で用いられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。運転支援システム1は種々の移動体で用いることが可能であり、例えば、鉄道車両等の自動車以外の車両で用いられる構成としてもよいし、航空機,船舶等の車両以外の移動体で用いる構成としてもよい。また、本発明は、移動体以外の家屋,施設等の室内で用いる構成としてもよい。この場合、この室内における覚醒状態の維持の対象者が請求項の対象者に相当する。
【0104】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。