(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)MFPの構成:
(2)ブックカバーの印刷:
(3)ブックカバーの生産処理:
(4)他の実施形態:
【0017】
(1)MFPの構成:
図1は、本発明の制御装置として機能する多機能プリンター(MFP)1の概略構成を示すブロック図である。MFP1は、制御装置11、ユーザーインターフェース部12、プリンター13、スキャナー14、通信インターフェース部15等を備える。制御装置11は、CPUや不揮発性メモリやRAMやASIC等からなり、不揮発性メモリに記録された制御プログラムをCPUが実行することによってMFP1の各部を制御することができる。ユーザーインターフェース部12は、タッチパネル12aやキー入力部12b等を備える。キー入力部12bには例えば、スタートキーや、ホームキーや、戻るキー等が含まれる。
【0018】
プリンター13は、インクジェット方式、電子写真方式など周知の印刷方式で写真紙・普通紙・OHPシートなどの印刷媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターやセンサーや駆動回路や機械部品を備えている。プリンター13は、ブックカバーがかけられる本の見開きより大きいサイズの印刷媒体を印刷することができればよい。本実施形態においては、プリンター13において、複数のサイズの印刷媒体を印刷可能であり、ブックカバーとなり得るサイズの印刷媒体のみが印刷可能になるように、本のサイズに応じて印刷媒体のサイズが制限される。
【0019】
スキャナー14は、原稿台に載置された原稿に光源の光を照射し、原稿からの反射光に基づいてスキャン画像を生成するためのアクチュエーターや駆動回路や機械部品を備えている。イメージセンサーは各種の態様のセンサーが採用されてよく、カラーイメージセンサーであっても良いし、モノクロイメージセンサーであってもよい。また、イメージセンサーはラインセンサーであってもよいし、複数ラインの検出が可能なセンサーであってもよいし、エリアセンサーであってもよい。通信インターフェース部15は、外部機器と有線または無線で通信するための各種の通信インターフェース回路やメモリーカード等の記憶媒体と通信するための通信インターフェース回路等を備えている。例えば通信インターフェース部15は外部機器にスキャン画像を出力可能であるし、外部機器から印刷データを受信することが可能である。また、通信インターフェース部15は、メモリーカードに記憶されている情報を読み出したり、メモリーカードに情報を記録したりすることができる。
【0020】
制御装置11は制御プログラムを実行することにより、ユーザーインターフェース部12、プリンター13、スキャナー14の各部を制御する。すなわち、制御装置11は、タッチパネル12aに各種のメニューを表示させ、タッチパネル12aの出力信号に基づいてユーザーが入力した各種の指示を受け付けることができる。制御装置11は、受け付けた指示に応じて、プリンター13を制御し、各種の画像を印刷させることができる。さらに、制御装置11は、受け付けた指示に応じて、スキャナー14を制御し、原稿台に載置された本を含む各種の原稿を読み取らせ、読み取り結果を示すスキャン画像を生成させることができる。
【0021】
(2)ブックカバーの印刷:
以上のように、制御装置11は制御プログラムによって各部を制御することができるが、本実施形態においては当該制御プログラムにブックカバーを印刷するための制御プログラムが含まれている。ブックカバーを印刷するための印刷プログラムが実行されると、制御装置11は、算出部11a、制御部11bとして機能する。
【0022】
算出部11aは、スキャナー14が読み取ったスキャン画像から本のサイズを算出する機能を制御装置11に実行させるプログラムモジュールである。制御装置11は、タッチパネル12aを制御して各種の選択を行うメニュー画面を表示させ、当該メニュー画面に対するユーザーの入力を受け付けることができる。このメニュー画面によってブックカバーの印刷が指示されると、制御装置11は、算出部11aの機能により、タッチパネル12aを制御して本のブックカバーの印刷を行うための画面を表示させる。
【0023】
ユーザーが画面の表示に従って、所望の本をスキャナー14に読み取らせると、スキャナー14はスキャン画像を出力する。制御装置11は、算出部11aの機能により、当該スキャン画像を取得し、当該スキャン画像に基づいて本のサイズを算出する。本実施形態において、制御装置11は、算出部11aの機能により、スキャン画像から本の表紙サイズと本の背表紙サイズとを算出することによって本のサイズを算出する。
【0024】
すなわち、本実施形態においては、本が直方体によって構成されると見なしており、制御装置11は、算出部11aの機能により、上述の画面によってユーザーに指示し、1回の読み取りまたは複数回の読み取りによって、直方体を構成する3辺を読み取る作業を行わせる(詳細は後述)。いずれにしても、制御装置11は、算出部11aの機能により、スキャン画像に基づいて本を直方体と見なした場合の3辺の長さを算出し、表紙サイズおよび背表紙サイズを算出することで本のサイズを算出する。
【0025】
制御部11bは、算出した本のサイズに基づいて、プリンター13に本のブックカバーの印刷を行わせる機能を制御装置11に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、本よりも大きい印刷物が得られると、当該印刷物で本をカバーすることが可能になり、当該印刷物がブックカバーとなる。本実施形態においては、カバー対象の本よりも大きい印刷物であれば当該本をカバーすることができることに着目し、本よりも大きいサイズの印刷物を生産する。
【0026】
すなわち、制御装置11は、制御部11bの機能によってプリンター13を制御し、算出部11aで算出された本のサイズよりも大きい印刷媒体のいずれかによってブックカバーを印刷する。この結果、本に合わせて印刷物を折ることで当該印刷物をブックカバーとして使用することが可能になる。
【0027】
以上の構成によれば、ユーザーが本のサイズを選択したり、入力したりすることなくブックカバーを印刷することができる。従って、簡単にブックカバーを印刷することができる。また、本をスキャンして本のサイズを算出するため、本のサイズが既定のサイズと異なっていてもその本のサイズに適合したブックカバーを印刷することができる。従って、任意のサイズの本に適合するブックカバーを簡単に印刷することができる。
【0028】
さらに、本実施形態においては、ブックカバーをユーザー所望のデザインにすることができる。すなわち、制御装置11は、制御部11bの機能により、ユーザーによるオブジェクトの指定を受け付け、オブジェクトの配置および装飾を受け付ける。そして、制御装置11は、制御部11bの機能により、プリンター13を制御し、ユーザーに指定されたオブジェクトをユーザー所望の配置および装飾でブックカバーに印刷させる。以上の構成によれば、ユーザー所望のデザインのブックカバーを印刷することができる。
【0029】
さらに、本実施形態においては、印刷物がブックカバーとして使用しやすくなるように折り目を印刷することができる。すなわち、直方体においては、少なくとも2面のサイズが特定されると、直方体の全ての面の大きさが特定され、その結果、表紙サイズと背表紙サイズとが算出されると、これらの表紙サイズと背表紙サイズとを有する本のブックカバーの折り目の位置を特定することができる。制御装置11は、制御部11bの機能により、プリンター13を制御してこれらの折り目をブックカバーに印刷させる。以上の構成によれば、容易に本に合わせて折ることができるブックカバーを印刷することができる。
【0030】
(3)ブックカバーの生産処理:
次に、ブックカバーの生産処理を詳細に説明する。
図2は、ブックカバーの生産処理を示すフローチャートである。本実施形態においては、タッチパネル12aに表示されたメニュー画面によってユーザーがブックカバーの印刷を指示すると、
図2に示すブックカバーの生産処理が実行される。ブックカバーの生産処理が開始されると、制御装置11は、算出部11aの機能により、本のスキャン画像を取得する(ステップS100)。
【0031】
すなわち、制御装置11は、算出部11aの機能により、タッチパネル12aを制御して本のブックカバーの印刷を行うための画面を表示させる。当該画面は、ブックカバーの印刷を行うための各種画面であり、ユーザーの入力に応じて変化し得る。当該画面の初期画面は、本を原稿台に載せる際のガイダンス画面であり、本実施形態においては、原稿台に表紙を載せるように指示するガイダンス画面である。
【0032】
ガイダンス画面では原稿台に表紙を載せるように指示される。ユーザーは、本を開いた状態で表紙を原稿台に接触させつつ載せるか、本を閉じた状態で表紙を原稿台に接触させつつ載せるか、いずれかの態様で原稿台に本を載せる。
図3および
図5は、これらの例を示す図であり、MFP1のスキャナー14を抜き出して示す図である。
図3においては、本Bを開いた状態で表紙を原稿台14aに接触させつつ載せた例を示している。このように、開いた状態であれば、表表紙と背表紙と裏表紙とがスキャンされる。本の表紙と背表紙は本の形状に応じて定義されればよく、本を閉じた状態から開く際に開かれる面が表紙である。また、本を閉じた状態で開かれる面のうち、本の最初に相当する面は表表紙、本の最後に相当する面は裏表紙であるが、これらの面を表紙と総称する。一方、表表紙と裏表紙に挟まれ、本の綴じ部となっている面を背表紙と呼ぶ。
【0033】
図5においては、本Bを閉じた状態で表紙を原稿台14aに接触させつつ載せた例を示している。このように、閉じた状態であれば、表表紙と裏表紙とのいずれかがスキャンされる。むろん、ガイダンス画面は種々の画面であって良く、
図3,
図5のいずれかを示してスキャンを行わせる画面であっても良い。
【0034】
本実施形態においては、
図3、
図5のいずれかで原稿台14aに本Bが載せられた状態でユーザーがタッチパネル12aを操作してスキャン開始を指示する。この結果、制御装置11は、算出部11aの機能により、スキャナー14を駆動し読み取り動作を行わせる。この結果、スキャナー14から本の読み取り結果を示すスキャン画像が出力され、制御装置11は当該スキャン画像を取得する。
【0035】
次に、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像のサイズを取得する(ステップS105)。すなわち、制御装置11は、算出部11aの機能により、スキャン画像から本の画像を抽出する。当該抽出は種々の処理によって実施可能であり、例えば2値化等によって本の画像と本以外の画像とが区別されても良いし、閉じた矩形を抽出する処理等によって本の画像が抽出されても良い。
【0036】
本の画像が抽出されると、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像の外周を構成する直線(辺)を特定する。例えば、
図3に示すスキャンが行われた場合、表表紙、背表紙、裏表紙からなる矩形が本の画像として抽出される。
図4は、
図3に示すスキャンが行われた場合に抽出された本の画像の例を示している。当該本の画像においては、
図4に示すように、表表紙Fc、背表紙Bc、裏表紙Rcの画像が含まれ、表表紙Fc、背表紙Bc、裏表紙Rcが横方向に並んでいる。そこで、制御装置11は、これらの表紙が連結して形成する矩形の外周を構成する辺を特定する。
【0037】
図5に示すスキャンが行われた場合、表紙によって形成される矩形が本の画像として抽出される。
図6は、
図5に示すスキャンが行われた場合に抽出された本の画像の例を示している。当該本の画像には、表表紙Fcまたは裏表紙Fbのいずれか一方の画像が含まれ(
図6においては表表紙Fc)、背表紙の画像は含まれない。そこで、制御装置11は、当該表紙が形成する矩形の外周を構成する辺が特定される。
【0038】
矩形の辺が特定されると、制御装置11は、算出部11aの機能により、各辺の向きおよびサイズを特定する。本実施形態において、スキャナー14の原稿台14aは
図3、
図5に示すように長方形であり、長辺方向を横方向、短辺方向を縦方向として定義されている。そこで、制御装置11は、算出部11aの機能により、横方向を向いた辺のサイズと縦方向を向いた辺のサイズとを特定する。
【0039】
なお、辺のサイズは、種々の単位で特定されて良く、本実施形態においては、各辺のピクセル数とスキャン解像度との組でサイズが特定されるが、長さの単位(mm)等で特定されても良い。また、スキャン画像の解析には、種々の処理が含まれていて良い。例えば、スキャン画像から本の画像を抽出する際に、矩形の形状を補正(台形を直方体に補正等)する構成や矩形の向きの補正(各辺を横方向および縦方向に平行に向ける補正等)が行われてもよい。
【0040】
次に、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像のサイズが横長であるか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、制御装置11は、ステップS105で取得された横方向の辺のサイズと縦方向の辺のサイズとを比較し、前者の方が長い場合に横長であると判定する。例えば、
図3に示す状態でスキャンが行われた場合、本の画像(
図4)は横長であると判定され、
図5に示す状態でスキャンが行われた場合、本の画像(
図6)は横長であると判定されない(縦長である)。
【0041】
ただし、本が特殊な形状である場合(例えば、表紙の縦方向のサイズが(表紙の横方向のサイズの2倍+背表紙の横方向のサイズ)よりも大きい場合)においては、横長であるか否かで本が開いた状態であるか否かを判定することができない。従って、このような例外でも適正なスキャンが行われるように構成されていても良い。例えば、本が開いた状態であるか否かをユーザーが入力する構成や、本の画像から開いた状態であるか否かを判定する構成等が採用されてもよい。
【0042】
ステップS110において、本の画像のサイズが横長であると判定された場合、制御装置11は、算出部11aの機能により、境界線に基づいて表紙サイズと背表紙サイズを取得する(ステップS115)。すなわち、ステップS110において、本の画像のサイズが横長であると判定された場合、
図3に示すように本を開いた状態で表紙が原稿台14aに向けられた状態でスキャンされている。
【0043】
この結果、本の画像には、
図4に示すように、表表紙Fc、背表紙Bc、裏表紙Rcの画像が含まれ、表表紙Fc、背表紙Bc、裏表紙Rcが横方向に並んでいる。背表紙Bcは表表紙Fcと裏表紙Rcとの間に存在し、表表紙Fcと背表紙Bcとの間には境界線L
1が存在し、裏表紙Rcと背表紙Bcとの間には境界線L
2が存在する。
【0044】
そこで、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像から境界線を抽出する。境界線の抽出は、種々の手法で行われて良く、例えば、本の画像の横方向の中央において縦方向に延びる2本の直線を境界線として抽出する構成等が挙げられる。むろん、境界線の抽出において、直線の向きの補正等が行われてもよい。境界線が抽出されると、制御装置11は、各境界線が表表紙、裏表紙の各辺を構成するとみなす。例えば、
図4に示す例であれば、制御装置11は、境界線L
1、L
2を抽出し、境界線L
1が表表紙Fcと背表紙Bcとの間の辺を構成すると見なし、境界線L
2が裏表紙Rcと背表紙Bcとの間の辺を構成すると見なす。
【0045】
そして、制御装置11は、表表紙Fcの縦方向の辺同士の距離Wfを表表紙Fcの横方向のサイズとみなし、境界線L
1、L
2間の距離Wbを背表紙Bcの横方向のサイズと見なす。また、制御装置11は、ステップS105で取得された縦方向のサイズを、各表紙の縦方向のサイズとして取得する。以上の構成によれば、一回のスキャンで表紙と背表紙サイズを算出することが可能である。なお、本実施形態において表表紙Fcと裏表紙Rcのサイズは同一と見なされているが、それぞれのサイズが算出される構成であっても良い。
【0046】
一方、ステップS110において、本の画像のサイズが横長であると判定されない場合、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像のサイズを表紙サイズとして取得する(ステップS120)。すなわち、ステップS110において、本の画像のサイズが横長であると判定されない場合、
図5に示すように本を閉じた状態で表紙が原稿台14aに向けられた状態でスキャンされている。
【0047】
この結果、本の画像には、
図6に示すように、表表紙Fcまたは裏表紙Fbのいずれか一方の画像が含まれ、背表紙の画像は含まれない。そこで、制御装置11は、算出部11aの機能により、本の画像が表紙の画像であると見なし、ステップS105で取得された縦方向のサイズを表紙の縦方向のサイズとして取得し、ステップS105で取得された横方向のサイズを表紙の横方向のサイズとして取得する。
【0048】
以上の処理により、表紙の縦横のサイズが取得された状態になるものの、背表紙サイズが不明であるため、本実施形態においてはさらにスキャンが行われる。すなわち、制御装置11は、算出部11aの機能により、タッチパネル12aを制御して本を立てた状態で原稿台14aに載せるよう促すガイダンス画面を表示させる。この結果、ユーザーは、例えば、
図7のように本を半開きにした状態で背表紙を原稿台14aに載せ、ユーザーがタッチパネル12aを操作してスキャン開始を指示する。
【0049】
この結果、制御装置11は、算出部11aの機能により、スキャナー14を駆動し読み取り動作を行わせる。この結果、スキャナー14から本の読み取り結果を示すスキャン画像が出力され、制御装置11は当該スキャン画像を取得する。なお、ステップS100のスキャンで読み取られたスキャン画像を第1のスキャン画像、ステップS125のスキャンで読み取られたスキャン画像を第2のスキャン画像とも呼ぶ。
【0050】
次に、制御装置11は、算出部11aの機能により、背表紙サイズを取得する(ステップS130)。
図4は、第2のスキャン画像の例を示しており、制御装置11は、当該第2のスキャン画像に基づいて背表紙サイズを取得する。すなわち、第2のスキャン画像には、背表紙Bcの一辺と表表紙Fcおよび裏表紙Rcの一辺が含まれている。そこで、制御装置11は、第2のスキャン画像から各表紙の画像を抽出し、抽出された画像を3個の直線に分ける。さらに、制御装置11は、3個の直線の中央に位置する直線を背表紙Bcの一辺と見なし、背表紙Bcの一辺のサイズ(第2辺のサイズ:
図8に示すWb)を取得する。
【0051】
そして、制御装置11は、当該一辺のサイズを背表紙Bcの横方向のサイズとして取得し、ステップS105で第1のスキャン画像から取得された縦方向のサイズ(第1辺のサイズ)を背表紙の縦方向のサイズとして取得する。以上の構成によれば、表紙サイズと背表紙サイズとを、容易に特定することが可能である。なお、
図7に示すような本の置き方は一例であり、背表紙を原稿台14aに載せた状態でスキャンが行われる態様や、表紙でも背表紙でもない面を原稿台14aに載せた状態でスキャンが行われる態様など、種々の態様のスキャンが行われてもよい。
【0052】
ステップS115またはステップS130が実行されると、本のサイズ(表紙サイズと背表紙サイズ)が特定された状態となっている。次に制御装置11は、制御部11bの機能によりブックカバーを印刷するための処理を実行していく。本実施形態においては、ブックカバーに折り目を印刷することが可能であり、本実施形態においてはユーザーの指示によって折り目の有無を決定することができる。
【0053】
そこで、制御装置11は、タッチパネル12aを制御してブックカバーの折り目を印刷するか否か指定するための画面を表示させる。ユーザーが当該画面に応じて折り目の有無を指定すると、制御装置11は、制御部11bの機能により、折り目の有無の指定を受け付ける。そして、制御装置11は、制御部11bの機能により、折り目ありであるか否かを判定する(ステップS135)。ステップS135において、折り目ありであると判定されない場合、制御装置11は、ステップS140をスキップする。むろん、折り目の有無の問合せは任意のタイミングで実施されて良い。ステップS135において、折り目ありであると判定された場合、制御装置11は、制御部11bの機能により、折り目に設定する(ステップS140)。
【0054】
次に、制御装置11は、制御部11bの機能により、印刷レイアウト画面を表示する(ステップS145)。すなわち、制御装置11は、制御部11bの機能により、タッチパネル12aを制御し、ブックカバーの印刷内容をユーザーに示すための印刷レイアウト画面を表示させる。本実施形態において、印刷レイアウト画面には、ブックカバーにおいて表表紙、背表紙、裏表紙に接する部分を示す画面であり、折り目ありの場合には折り目も表示される。
【0055】
図9〜
図11は、印刷レイアウト画面の例を示す図である。本実施形態においては、印刷媒体の中央に表表紙、背表紙、裏表紙に接する部分を配置し、その周囲を折ることによってブックカバーを形成する。そこで、本実施形態において制御装置11は、印刷レイアウト画面において、印刷媒体Pを表示するとともに、印刷媒体Pの中央に表表紙、背表紙、裏表紙に接する部分Bi(ただし、実際に接する面は印刷媒体の裏面(非印刷面))を表示する。このため、制御装置11は、表表紙、背表紙、裏表紙のサイズに基づいて、これらを縦方向の辺で接触させて横方向に並べて得られる大きさの矩形の画像を生成し、部分Biを示す画像として印刷レイアウト画面上に表示させる。
【0056】
さらに、本実施形態においては、第1のスキャン画像が部分Biに重ねて表示されるように構成されており、制御装置11は、ステップS100で取得した画像を、部分Biの横方向の端部に詰めた状態で配置し、印刷レイアウト画面上に表示させる。
図9、
図11においては、ステップS100で取得した画像が表示されている様子を薄いグレーに着色することによって示している。
【0057】
さらに、折り目ありの場合制御装置11は、制御部11bの機能により、タッチパネル12aを制御し、印刷レイアウト画面上に折り目を表示させる。折り目は、表表紙と裏表紙と背表紙との間に位置する折り目の少なくとも一部を示す線であれば良く、表示個数、印刷個数、長さとしては種々の態様を想定可能である。
【0058】
図9においては、折り目ありの場合、
図11においては折り目なしの場合を示している。
図9に示す例の場合、表紙と背表紙との間の折り目が破線で示されており、当該折り目は印刷レイアウト画面上で表示されるが印刷されない。また、
図9に示す印刷レイアウト画面では、部分Biの周囲に存在するカバーを隠すため折り目が部分Biの周囲において実線で表示されている。すなわち、制御装置11は、制御部11bの機能により、表表紙と背表紙と裏表紙の各辺を部分Biの周囲に縦および横方向に延長した場合の線の位置および方向を特定し、既定の長さの直線として印刷レイアウト画面上に描画させる。
図9においては、当該折り線の一部に符号Sを付して示している。当該部分Biの周囲の折り目は印刷レイアウト画面上で表示され、印刷もされる。
【0059】
なお、印刷レイアウト画面においては、図示しない印刷実行指示ボタンとレイアウト編集指示のためのユーザーインターフェースが表示される。従って、印刷レイアウト画面においては、印刷実行指示やレイアウト編集指示を待っている状態となる。そこで、制御装置11は、制御部11bの機能により、印刷レイアウト画面においてユーザーが印刷実行指示を行ったか否かを判定する(ステップS150)。
【0060】
ステップS150において、ユーザーが印刷実行指示を行ったと判定されない場合、制御装置11は、制御部11bの機能により、印刷レイアウト画面においてユーザーが編集指示を行ったか否かを判定する(ステップS155)。ステップS155において、ユーザーが編集指示を行ったと判定されない場合、制御装置11は、ステップS150以降の処理を繰り返す。
【0061】
ステップS155において、ユーザーが編集指示を行ったと判定された場合、制御装置11は、制御部11bの機能により、オブジェクトの指定を受け付ける(ステップS155)。本実施形態においては、ブックカバーを本に装着した状態で視認され得る面にユーザー所望のオブジェクト(文字、画像等)を配置することができる。そこで、制御装置11は、ユーザーによるオブジェクトの指定を受け付ける。オブジェクトの指定は、種々の手法で行われて良く、例えば、制御装置11が、通信インターフェース部15を介してメモリーカードに記憶された画像を参照してタッチパネル12aに表示し、当該画像の指定を受け付ける構成であっても良い。
【0062】
また、描画ツール等でユーザーが所望の画像を描画し、オブジェクトとする指定を制御装置11が受け付けても良い。さらに、ユーザーによる文字や数字等の指定を制御装置11が受け付けても良い。いずれにしても制御装置11は、受け付けたオブジェクトを印刷レイアウト画面上での表示対象および印刷対象とする。
【0063】
次に、制御装置11は、制御部11bの機能により、オブジェクトの配置を受け付ける(ステップS165)。すなわち、制御装置11は、タッチパネル12aに対するユーザーの操作(例えば、オブジェクトを指定した状態でのタッチ位置の移動(ドラッグ)や回転等)により、オブジェクトの配置を受け付ける。なお、本実施形態において、オブジェクトを配置可能な領域は限定されており、部分Biと部分Biに対して横方向に連結された部分Bi
1、Bi
2(表表紙や裏表紙の裏面に位置する部分)である。
【0064】
なお、
図10は、
図9に示す例に対して表表紙と背表紙に「タイトルA」という文字列が配置され、裏表紙に写真が配置された例を示している。オブジェクトが印刷レイアウト画面上に配置されると、制御装置11は、受け付けた配置によってオブジェクトを印刷レイアウト画面上で表示し、当該配置によってオブジェクトを印刷するように設定する(オブジェクトと当該オブジェクトの印刷位置を示す情報をRAMに記録する)。
【0065】
次に、制御装置11は、制御部11bの機能により、オブジェクトの装飾を受け付ける(ステップS170)。すなわち、制御装置11は、タッチパネル12aに対するユーザーの操作を受け付け、オブジェクトの装飾(例えば、文字の大きさ、太さ、色、フォントの種類等や画像のコントラストやホワイトバランスの設定等)を受け付ける。そして、制御部11bは、受け付けた装飾によって印刷レイアウト画面上のオブジェクトを表示させ、当該装飾によって印刷が行われるように、パラメータの設定(フォントの指定等)を反映させ画像処理(写真の設定等)を実行する。装飾の結果は印刷レイアウト画面上での表示に反映される。また、印刷に反映されるようにパラメータの設定や画像処理後の画像データがRAMに記録される。オブジェクトの装飾を受け付けると、制御装置11は、ステップS150以降の処理を繰り返す。
【0066】
一方、ステップS150において、ユーザーが印刷実行指示を行ったと判定された場合、制御装置11は、制御部11bの機能により、印刷媒体のサイズを受け付ける(ステップS175)。すなわち、ブックカバーを印刷するためには、ブックカバーにおいて表表紙、背表紙、裏表紙に接する部分Biより大きい範囲を印刷可能な印刷媒体で印刷する必要がある。
【0067】
そこで、制御装置11は、表表紙、背表紙、裏表紙に基づいてこれらが接する部分Biのサイズを取得する。具体的には、制御装置11は、表表紙、背表紙、裏表紙の横方向のサイズの和を部分Biの横方向のサイズとして取得する。また、表表紙の縦方向のサイズを部分Biの縦方向のサイズとして取得する。さらに、制御装置11は、当該サイズを中央に配置した状態で縦方向の上下と横方向の左右に余白が生じる印刷媒体のサイズを選択可能な印刷媒体のサイズとする。そして、制御装置11は、タッチパネル12aを制御し、選択可能な印刷媒体のサイズを表示させ、ユーザーの選択を受け付ける。
【0068】
なお、表紙サイズや背表紙サイズはピクセル数とスキャン解像度によって規定され、制御装置11は、このサイズを拡大縮小することなく印刷可能なサイズを印刷媒体とする。このようなサイズの確認は種々の手法で実施されて良く、例えば、制御装置11が、ピクセル数とスキャン解像度から実際の長さ(mm)を算出し、当該長さを内包可能な印刷媒体を印刷可能なサイズとしても良いし、スキャン解像度と同一の印刷解像度で印刷することとし、部分Biと同一のピクセル数の矩形を中央に印刷可能な印刷媒体を印刷可能なサイズとしても良く、種々の構成を採用可能である。
【0069】
次に、制御装置11は、制御部11bの機能により、印刷ジョブを生成する(ステップS180)。すなわち、制御装置11は、ステップS175で受け付けられた印刷媒体の中央に部分Biの領域を確保し、ステップS140において折り目ありに設定された場合には折り目を示す線を部分Biの周囲に追加し、ステップS160〜S170においてオブジェクトが配置された場合には指定通りのオブジェクトを部分Biの内部に追加した状態で印刷を実行する印刷ジョブを生成する。
【0070】
そして、制御装置11は、制御部11bの機能により、プリンター13を制御し、ステップS180で生成された印刷ジョブによる印刷を実行する(ステップS185)。以上の構成によれば、ユーザーが本のサイズを選択したり、入力したりすることなくブックカバーを印刷することができる。従って、簡単にブックカバーを印刷することができる。また、以上の構成によれば、ブックカバーをユーザー所望のデザインにすることができる。さらに、以上の構成によれば、印刷物がブックカバーとして使用しやすくなるように折り目を印刷することができる。
【0071】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、本のスキャン画像に基づいてブックカバーを印刷する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上記実施形態ではMFPが制御装置を備えていたが、他の装置、例えば、パーソナルコンピューターやスマートフォンやタブレット端末等が制御装置を備えていても良い。この場合、スキャナーは種々の態様であって良く、スキャナーがケーブルによってパーソナルコンピューター等に接続されていても良いし、パーソナルコンピューターに接続されたカメラ等がスキャナーとして機能しても良い。
【0072】
スキャナーは、本のサイズを読み取ることができればよく、各種のスキャン態様が採用されてよい。プリンターはブックカバーを印刷することができればよく、各種の印刷方式が採用されてよい。例えば、定型の大きさの印刷媒体を印刷するプリンター以外にも、印刷媒体のカットが可能なプリンターであってもよく、種々の構成を採用可能である。
【0073】
算出部は、スキャナーが読み取ったスキャン画像から本のサイズを算出することができればよい。すなわち、算出部は、スキャン画像に基づいて本の像を特定し、本の像から本のサイズを算出することができればよい。本のサイズは、本の外形の寸法の少なくとも一部であり、少なくともブックカバーを印刷することができるようにサイズを定義することができればよい。
【0074】
従って、算出部は、少なくとも最大の面積を有する面(多くの場合は表紙)のサイズを特定し、制御部が当該サイズに基づいて本をカバーすることができる大きさのブックカバーを印刷することができればよい。本のサイズは、種々の定義が可能であり、本が直方体など、単純な形状である場合には、表紙等の面の外周に相当する辺の大きさが本のサイズであるとみなされる構成を採用可能である。むろん、本が背表紙を備えていない場合には、背表紙を除いた表紙のサイズに基づいて本のサイズが特定されても良い。
【0075】
また、表紙等に曲線や円、多角形等の非定型的な形状が含まれる場合、当該形状を含めてカバーが行われるように本のサイズが定義されればよい。従って、例えば、非定型的な形状を含めて表紙等の周が特定されることによって本のサイズが定義されてもよいし、曲線が内接する矩形のサイズによって本のサイズが定義されてもよい。
【0076】
制御部は、算出した本のサイズに基づいて、プリンターに本のブックカバーの印刷を行わせることができればよい。すなわち、制御部は、スキャンした本をカバーする大きさの印刷物をブックカバーとして印刷することができればよい。従って、ブックカバーは、本のサイズに対して種々の大きさに設定することが可能である。例えば、本のサイズに基づいて、当該サイズをカバーし得る大きさの印刷物であってもよいし、本のサイズとブックカバーのサイズが一部一致する(例えば、ブックカバーの縦方向の長さと本の縦方向の長さが一致する等)構成であっても良い。
【0077】
本のサイズに適したサイズのブックカバーを印刷するため、印刷媒体のサイズを調整可能な(カット可能な)プリンターで自動的に調整する構成であってもよいし、本のサイズに適したサイズのブックカバーとすることができるように、切り取り線等が印刷されてもよい。
【0078】
表紙と背表紙との境界線は、表紙と背表紙とを同時に読み取った場合に両者の間に形成される線であればよく、境界線が1本形成される状態で読み取られてもよいし、境界線が2本形成される状態で読み取られてもよく、種々の構成を採用可能である。また、境界線は、2値化によって特定されてもよいし、他の手法、例えば、ハフ変換等によって検出されてもよいし、各種条件、例えば、表紙の一辺と平行な線であるなどの拘束条件等が課されてもよく種々の手法が採用されてよい。
【0079】
第1のスキャン画像は表紙サイズの算出に利用され、第2のスキャン画像は背表紙サイズの算出に利用されればよく、両画像のスキャン順序は任意である。また、第1のスキャン画像は、少なくとも表紙サイズの算出に利用されるが、他の部分のサイズ、例えば、背表紙サイズの算出に利用されてもよい。第2のスキャン画像は、少なくとも背表紙サイズの算出に利用されるが、他の部分のサイズ、例えば、表紙サイズの算出に利用されてもよい。
【0080】
また、第1のスキャン画像は、表紙サイズの算出に利用されるため、少なくとも表紙の一部が読み取られた画像であることが好ましく、他の部分、例えば、背表紙が含まれた状態で読み取られた画像であってもよい。第2のスキャン画像は、背表紙サイズの算出に利用されるため、少なくとも背表紙の一部が読み取られた画像であることが好ましく、他の部分、例えば、表紙が含まれた状態で読み取られた画像であってもよい。
【0081】
いずれにしても、本が直方体とみなせば、2回の異なるスキャンを行えば、すべての辺の長さをスキャンすることができる。従って、スキャン結果に基づいて表紙サイズと背表紙サイズを算出することができる。