(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理部は、前記操作部により指定された各調整点の移動先の位置情報から前記入力画像の四隅の移動量を計算し、前記四隅の移動量に基づいて前記四隅の位置を調整する
請求項1に記載の画像形成装置。
前記画像処理部は、前記用紙の表面に形成される前記第1の入力画像を任意の透過率の画像とし、また前記用紙の裏面に形成される前記第2の入力画像を任意の透過率の画像とし、
前記表示部は、前記第1の入力画像と前記第2の入力画像を重ね合わせて表示し、前記操作部は、前記ユーザーの入力操作に基づいて前記第1の入力画像及び前記第2の入力画像に対する前記調整点の指定を行う
請求項7に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0012】
<1.第1の実施形態>
[画像形成システムの全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す断面模式図である。
画像形成システム1は、入力されたジョブに基づいて用紙に画像を形成する処理を行う画像形成装置10と、用紙に形成された画像(以下「出力画像」とも称する)に読取装置20を備える。画像形成装置10の後段側に読取装置20が接続されている。画像形成装置10は、LAN等のネットワークNを介して、クライアント端末30と相互に通信可能に接続されている。クライアント端末30には、例えばパーソナルコンピューターが適用される。クライアント端末30は、ユーザーの入力操作に基づいて、文書作成又は画像作成アプリケーションにより印刷を行う入力画像データ(印刷データ)を生成する。またクライアント端末30は、印刷データ及び印刷設定情報(「ジョブチケット」とも呼ばれる)を含む印刷ジョブを生成し、画像形成装置10へ出力する機能を有する。
【0013】
画像形成システム1では、画像形成装置10と読取装置20間で用紙の搬送が可能になっているとともに、互いに通信可能になっている。本実施形態では、読取装置20は画像形成装置10に同期してインライン処理を行う。
【0014】
画像形成装置10の上部側には、操作表示部14が設置されている。操作表示部14は、表示パネル等の表示部142とタッチパネル等の操作部141が重ねられて構成されており、操作者による操作及び情報の表示が可能になっている。
【0015】
画像形成装置10の下部側には、複数の給紙トレイ101が配置されている。画像形成装置10には、いずれかの給紙トレイ101から給紙された用紙を搬送する搬送路102が設けられており、搬送路102の途中に、画像形成部17が設けられている。例えば画像形成部17は、不図示の露光部や現像部、感光体ドラム17a等から構成される画像形成ユニットを備え、用紙にトナー画像を形成することができる。なお、画像形成ユニットは、複数色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等)に対応するものでもよい。
【0016】
画像形成部17の用紙搬送方向の下流側(単に「下流側」とも称する)には、トナー画像が形成された用紙が搬送される定着器103が配置される。定着器103は、搬送される用紙に加圧及び加熱することにより用紙の表面側に転写されたトナー画像を定着する。定着処理が行われた用紙は、搬送路102によって読取装置20に搬送されるか、反転搬送路104に搬送される。
【0017】
搬送路102には、定着器103の下流側で分岐して、画像形成部17の上流側の搬送路102に合流する反転搬送路104が接続されている。反転搬送路104には、用紙を反転させる反転部105が設けられている。反転部105により表裏又は前後が反転された用紙は、反転搬送路104を通って画像形成部17の上流側の搬送路102又は定着器103の下流側の搬送路102に搬送される。そして、用紙は画像形成装置10から排出された後、読取装置20へ搬入される。
【0018】
読取装置20(読取部の一例)は、用紙が搬送される搬送路の上方に配置された上面スキャナーである第1読取部21a、及び搬送路の下方に配置された下面スキャナーである第2読取部21bを備える。第1読取部21aは、画像形成装置10から搬送された用紙の上面を光学的に走査して上面の情報(出力画像)を読み取り、読取画像データを生成する。また第2読取部21bは、搬送された用紙の下面を光学的に走査して下面の情報(出力画像)を読み取り、読取画像データを生成する。生成された読取画像データはCPU11に送られる。以下では、第1読取部21aと第2読取部21bを区別しない場合には、これらを読取部21と総称する。
【0019】
上述の画像形成装置10は、二次元位置補正を利用した画像形成装置であり、従来のように入力画像の四隅に対して位置調整を行うことをせずに、入力画像内の位置合わせしたい注目領域(以下「領域」とも称する)の印字位置を調整する。
【0020】
なお、本発明としては画像形成システム1の全体構成がこれに限定されるものではない。一例として、読取装置20の第1読取部21a及び第2読取部21bを、画像形成装置10の定着器103の下流側に設ける構成としてもよい。具体的には、第1読取部21a及び第2読取部21bを、搬送路102から反転搬送路104へ分岐する箇所と画像形成装置10の排出口との間に設ける。
【0021】
[画像形成装置]
次に、画像形成システム1が備える各装置のハードウェア構成例を
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成システム1が備える各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像形成装置10は、クライアント端末30から出力された印刷ジョブをネットワークNを介して受信し、印刷ジョブの印刷データ及び印刷設定情報に基づいて用紙に画像を形成して出力(以下「印刷処理」)する。画像形成装置10は、複数種類の機能(印刷機能、複写機能、スキャン機能等)を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)でもよい。
【0022】
画像形成装置10は、
図2に示すように、CPU11、メモリ12、補助記憶装置13、操作表示部14、RIP処理部15、画像処理部16、画像形成部17、位置ずれ検知部18、及び通信I/F19を備える。各部はシステムバスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0023】
CPU11は、画像形成装置10の各部の動作の制御及び演算処理を行う中央処理装置であり、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを補助記憶装置13から読み出して実行する。なお、画像形成装置10は、CPU11の代わりに、MPU等の処理装置を備えるようにしてもよい。
【0024】
メモリ12は主記憶装置であり、メモリ12には演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。メモリ12には、RAM等が適用される。
【0025】
補助記憶装置13は、メモリ12の補助的な役割を担う記憶装置であり、通常長時間データを永続的に保存することが可能な仕組みを有する。この補助記憶装置13には、OS及び各種のパラメータの他に、画像形成装置10を機能させるためのプログラムが記録されてもよい。
【0026】
操作表示部14は、例えば表示部142であるフラットパネルディスプレイに、操作部141であるタッチパネルが積層して構成される。操作表示部14は、ユーザーから入力される操作の内容に応じた操作信号を生成して、生成した操作信号をCPU11に供給する。また操作表示部14は、CPU11の処理結果を表示する。さらに、操作表示部14(操作部141)は、ユーザーの入力操作を受け付け、表示部142に表示された入力画像内の任意の3点以上の位置を調整点として指定するとともに、3点以上の調整点のうち少なくとも1点の移動先を指定する処理を行う。そして操作表示部14により指定された位置(調整点)の情報は、CPU11により画像処理部16へ送られる。
【0027】
RIP処理部15は、印刷設定情報を印刷データに反映し、画像形成装置10で識別できる言語(PDL:Page Description Language)に変換(RIP処理)して出力する。画像形成装置10で識別できる言語としては、PCLやPostScriptなどがある。RIP処理部15は、RIP処理した入力画像(ラスタライズ画像)を画像処理部16へ送る。
【0028】
画像処理部16は、操作部141により指定された入力画像内の各調整点の移動先の位置情報から各調整点の移動量(移動方向の情報も含む)を計算し、指定された3点以上の調整点で囲まれた領域の画像の位置を調整する処理を行う。以降、領域の画像の位置を調整することを、領域の位置を調整するとも称する。また、画像処理部16は、読取装置20から受信した読取画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理も行うことも可能である。
【0029】
画像形成部17は、画像処理部16から供給される位置調整後のRIP処理済みの入力画像に基づいて、用紙に画像を形成する。画像形成部17は、プリンタエンジンとして構成される。
【0030】
位置ずれ検知部18は、画像形成部17によって用紙の四隅C1〜C4(
図6参照)の近傍に印字された、位置ずれ検知用の十字形の位置調整パターンT1〜T4を読取装置20の読取部21により読み取り、読取画像データ上の位置調整パターンT1〜T4の規定位置に対するずれ量を検知する。この場合、画像処理部16は、位置ずれ検知部18で検知された位置調整パターンT1〜T4のずれ量に基づいて、用紙に形成する入力画像の用紙上の位置を補正する。入力画像の位置とは、入力画像の中心もしくは重心の位置である。なお、位置調整パターンは「トンボ」とも呼ばれる。
【0031】
また、位置ずれ検知部18は、画像形成部17によって用紙に形成された入力画像Im(
図6参照)内の、3点以上の調整点の規定位置に対するずれ量を検知することもできる。この場合、画像処理部16は、位置ずれ検知部18で検知された入力画像Im内の3点以上の調整点のずれ量に基づいて、用紙に形成する入力画像の用紙上の位置を補正する。上述の位置調整パターンT1〜T4の規定位置に対するずれ量、又は入力画像Im内の3点以上の調整点の規定位置に対するずれ量のいずれを位置調整の際に利用するかは、事前に設定しておくものとする。
【0032】
通信I/F19は、例えばNIC(Network Interface Card)等が用いられ、ネットワークNを介してクライアント端末30との間で各種のデータを送受信することが可能な構成とされている。
【0033】
なお、ネットワークNに、RIP処理部15及び画像処理部16を備えたサーバ(プリントコントローラ)を接続してもよい。
【0034】
[画像処理部]
次に、画像形成装置10の画像処理部16の構成例について
図3を参照して説明する。
図3は、画像形成装置10の画像処理部16の構成例を示すブロック図である。画像処理部16は、指定位置受付部41、移動量算出部42、及び位置調整部43を備える。
【0035】
指定位置受付部41は、操作部141により指定された入力画像Im内の調整対象の位置(調整点)を受け付ける。指定された位置は、例えば
図6に示すようなxy座標系の座標(x,y)で表す。例えば、位置調整パターンT1、又は用紙Sの位置調整パターンT1に近い隅を、xy座標系の原点(0,0)とする。
【0036】
移動量算出部42は、指定位置受付部41が受け付けた、入力画像内の指定された各調整点の移動先の位置情報から各調整点の移動量を計算し、各調整点の移動量の情報を位置調整部43へ送る。
【0037】
位置調整部43は、移動量算出部42で計算された各調整点の移動量の情報に基づいて、指定した複数の調整点により形成される領域の位置を調整(領域の形状を変形)し、位置調整を施した入力画像を画像形成部17へ供給する。この位置調整部43は、入力画像に対して複数の画像補正機能を備える。領域の位置とは、領域の中心もしくは重心の位置である。
【0038】
[補正機能]
次に、位置調整部43の補正機能の例について
図4を参照して説明する。
図4は、位置調整部43の補正機能の例を示す説明図である。例えば
図4に示すように、位置調整部43は、補正機能として、回転補正、ボウ補正、変倍補正、横台形補正、及び縦台形補正の補正機能を有する。指定された3点以上の調整点で囲まれた領域の画像の位置を調整する処理は、例えば
図5に示すように、縦台形補正と横台形補正を組み合わせることで実現できる。縦台形補正と横台形補正を組み合わせることにより、矢印で示すように指定した点(例えば
図5の調整点p1〜p4)の補正位置を直接かつ自在に調整することができる。なお、
図5では、指定した調整点又は入力画像の四隅を用紙搬送方向に沿って移動させる場合を縦台形補正とし、指定した調整点を用紙搬送方向に垂直な方向に移動する場合を横台形補正としている。縦台形補正及び横台形補正は周知技術であるので、縦台形補正と横台形補正の組み合わせによる補正処理については詳細な説明を省略する。
【0039】
また、位置調整部43は、位置ずれ検知部18で検知された位置調整パターンT1〜T4のずれ量に基づいて、用紙に形成する入力画像の用紙上の位置を補正する。位置調整パターンT1〜T4について
図6を参照して簡単に説明する。
【0040】
[位置調整パターン]
ここで、位置調整パターンについて
図6を参照して説明する。
図6は、画像形成部17により用紙に形成される位置調整パターンの例を示す説明図である。
図6において、主走査方向をx方向、及び副走査方向(用紙搬送方向)をy方向とする。
【0041】
図6に示すように、用紙Sの画像形成領域(図示略)に画像Imが形成され、画像形成領域の周囲は断裁される。一般に、リアルタイムで画像補正する場合の位置調整パターンは、画像形成領域の周囲の断裁される部分(画像形成領域外)に形成される。位置合わせ用の位置調整パターンT1〜T4としては、一般的にトンボと呼ばれる十字形の画像が用いられるが、位置合わせが可能であれば、トンボに限定されない。
【0042】
位置調整パターンT1〜T4にトンボを使用する場合、画像形成部17は、
図6に示すように用紙Sの四隅の端部を基準位置として、当該端部から主走査方向及び副走査方向(用紙搬送方向)の距離が一定距離となる位置に、トンボを印字する。
図6の例では、入力画像Imの四隅C1〜C4のそれぞれに、位置調整パターンT1〜T4の各々が対応している。用紙Sの前側端辺に位置調整パターンT1,T2が形成され、用紙Sの後側端辺に位置調整パターンT3,T4が形成される。画像形成装置10は、用紙Sに入力画像Imと位置調整パターンT1〜T4を形成後、定着器103で用紙Sに対して定着処理を行う。そして、定着後、位置調整パターンT1〜T4が形成された用紙Sは、搬送路102の下流側にある読取部21へと搬送される。そして、読取部21が用紙S上の情報を読み取り、読取画像データを生成する。
【0043】
[画像処理例(位置調整例)]
次に、第1の実施形態に係る画像処理部16(位置調整部43)による画像処理例について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る画像処理部16(位置調整部43)による画像処理例を示す。
図7の画像処理例は、入力画像内の任意の位置を調整点として指定し、入力画像の四隅の位置を固定したまま、指定した調整点で形成される領域の位置を調整する例である。
図7において、主走査方向をx方向、及び副走査方向(用紙搬送方向)をy方向とする。
【0044】
図7には、用紙S上の設定された位置に形成される入力画像Imが記載されている。操作表示部14の表示部142には、この用紙Sの画像と入力画像Imの画像が、表示される。用紙Sの画像の四隅の近傍には、位置調整パターンT1〜T4が印字されている。入力画像Im内の円形の画像オブジェクトObjを囲むように、ユーザーが指定した4つの調整点p1〜p4による領域A1が形成されている(
図7上段)。
【0045】
操作部141を介して調整点p1〜p4の移動先の座標(x,y)が指定されると、画像処理部16
の移動量算出部42は、調整点p1〜p4の位置情報と移動先の調整点p1’〜p4’の位置情報とから各調整点p1〜p4の移動量(手動調整値)を算出する。そして、
位置調整部43は、各調整点p1〜p4の移動量に基づいて、領域A1の位置を破線で示す領域A1’の位置に調整する(
図7下段)。それにより、領域A
1に囲まれた画像オブジェクトObjが、破線で示す画像オブジェクトObj’の位置に調整される。
図7の例では、領域A
1を構成する各調整点p1〜p4が領域A
1の面積が大きくなる方向に移動するため、位置調整後の領域A
1’(画像オブジェクトObj’)の面積が大きくなっている。位置調整パターンT1〜T4と入力画像Imの四隅C1〜C4との位置関係は、変化しない。
【0046】
上述した第1の実施形態によれば、ユーザーが操作部141を介して入力画像Im内の任意の調整点を指定するとともに指定した調整点の移動先を指定することにより、少ない調整時間で、入力画像Im内の希望する領域(に含まれる画像オブジェクト)の位置の調整が可能となる。すなわち、入力画像Im内の位置合わせしたい領域の印字位置を容易に調整することが可能である。また、本実施形態は、入力画像Im内において指定した領域を形成する複数の位置(例えば4点)を希望の位置に調整することができる。
【0047】
なお、入力画像Im内の指定すべき調整点の数は、複数の調整点によって領域を形成するために、3点以上であればよい。また、指定した3点以上の調整点のうち少なくとも1点の移動先を指定することにより、調整点で形成される領域の位置を所望の位置に調整(もしくは領域の形状を変形)することができる。
【0048】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態は、入力画像内の任意の位置を調整点として指定し、それらの調整点で形成される領域の位置を調整することに伴い入力画像の四隅の位置も自動的に調整する例である。
【0049】
[画像処理例(位置調整例)]
図8は、第2の実施形態に係る画像処理部16(位置調整部43)による画像処理例を示す。
図8上段の入力画像Imは、
図7上段の入力画像Imと同じである。
【0050】
操作部141を介して調整点p1〜p4の移動先の座標(x,y)が指定されると、画像処理部16
の移動量算出部42は、調整点p1〜p4の位置情報と移動先の調整点p1’〜p4’の位置情報とから各調整点p1〜p4の移動量(手動調整値)を算出する。そして、
位置調整部43は、各調整点p1〜p4の移動量に基づいて、領域A1の位置を破線で示す領域A1’の位置に調整する(
図8下段)。それにより、領域A
1に囲まれた画像オブジェクトObjが、破線で示す画像オブジェクトObj’の位置に調整される。このとき、
位置調整部43は、指定した領域A
1の位置を調整することと並行して、入力画像Imの四隅C1〜C4の位置を自動的に調整する。すなわち、
位置調整部43は、入力画像Im内の領域A
1の手動調整値(移動方向、移動量)を、入力画像Imの四隅C1〜C4に自動的に反映する。その結果、位置調整パターンT1〜T4と入力画像Imの四隅C1〜C4との位置関係が、位置調整処理の前後で変化する。
【0051】
上述した第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果に加えて次のような効果がある。第1の実施形態では、指定した領域A
1の位置だけが調整され、入力画像Imの四隅C1〜C4の位置は調整されなかったが、第2の実施形態では、指定した領域A
1の位置を調整することに伴い入力画像Imの四隅C1〜C4の位置も自動的に調整される。このように、第2の実施形態は、指定した領域A
1と入力画像Im’の位置が連動するので、位置調整後の領域A
1’と入力画像Im’全体との位置関係が、第1の実施形態と比較してより維持される。
【0052】
[第2の実施形態の変形例]
上術した第2の実施形態では、入力画像Im内の任意の位置に指定した調整点p1〜p4で形成される領域の位置を調整することに伴い入力画像Imの四隅C1〜C4の位置も自動的に調整する構成としたが、この例に限らない。第2の実施形態の変形例として、ユーザーが入力画像Imの四隅C1〜C4の移動先の座標(x,y)を指定し、四隅C1〜C4の位置をユーザーが手動で調整する構成とすることも可能である。
【0053】
画像処理部16が指定した任意の調整点p1〜p4で形成される領域の位置を調整する処理と並行して、又はその位置調整後に、ユーザーが操作部141を介して入力画像Imの四隅C1〜C4を指定してそれらの位置を自在に調整することが可能である。ユーザーは、操作部141を操作して、入力画像Imの四隅C1〜C4を上記自動調整による四隅C1’〜C4’の位置と同じ位置に調整することもできるし、異なる位置に調整することも可能である。ユーザーは、入力画像Imの四隅C1〜C4の位置を自在に調整し、入力画像Imの位置(もしくは形状)を所望の位置に調整することができる。
【0054】
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態は、位置調整パターンに基づいて入力画像に対し二次元位置調整を実施後に、入力画像内の指定した調整点で形成される領域の位置調整を行う例である。
【0055】
[画像処理例(位置調整例)]
図9は、第3の実施形態に係る画像処理部16(位置調整部43)による画像処理例を示す。
図9に示すように、入力画像Im1(
図9左上)に対し二次元位置調整が実施されると、入力画像Im1の四隅C1〜C4の位置が自動調整されて、四隅C1’〜C4’から形成される二次元位置調整画像Im1’(破線部分)が生成される(
図9右上)。そして、ユーザーが操作部141を利用して調整点p1〜p4で形成される領域A1を指定する(
図9左下)とともに、調整点p1〜p4の移動先の座標(x,y)を指定する。画像処理部16は、移動先の調整点p1’〜p4’の位置情報から各調整点p1〜p4の移動量を算出し、領域A1の位置を領域A1´の位置に調整する(
図9右下)。
【0056】
なお、
図9の例では、二次元位置調整画像Im1’の四隅C1’〜C4’の位置を固定したが、
図8の例と同じように二次元位置調整画像Im1’の四隅C1’〜C4’の位置を、領域A1から領域A1’への位置調整に合わせて自動調整してもよい。
【0057】
図7〜
図9において、ユーザーに指定された調整点p1〜p4の位置が経時変化により当初意図していた位置からずれたことを、読取装置20の読取部21の読取画像データから検知し、ずれ量を入力画像Im(若しくは二次元位置調整画像Im1’)の四隅の位置にフィードバックして反映してもよい。これにより、入力画像Imの位置調整パターンT1〜T4に対する位置が補正されるため、調整点p1〜p4で形成される領域A1の位置もユーザーの希望する位置に維持される。
【0058】
[画像位置調整設定画面]
図10は、上述した各実施形態で利用される画像位置調整設定画面の一例を示す説明図である。
図10に示す画像位置調整
設定画面50には、「二次元位置調整」及び「指定領域位置調整」のチェックボックスが表示されている。操作表示部14に表示された「二次元位置調整」のチェックボックスにチェックマークが入力されると、画像処理部16は二次元位置調整を実行する。
【0059】
また、二次元位置調整のサブメニューとして「表裏調整」が表示されている。「表裏調整」のラジオボタンを選択(クリック)すると、表裏調整が実行される。また、操作表示部14に表示された「指定領域位置調整」のチェックボックスにチェックマークが入力されると、画像処理部16は、指定した調整点で形成される領域の位置を調整する指定位置調整を実行する。ユーザーが、後述する
図12の表裏調整を伴う画像処理を希望する場合には、ユーザーはこの「表裏調整」のラジオボタンをオンに設定しておく。
【0060】
[画像処理手法]
図11は、第1〜第3の実施形態に係る画像処理部16による画像処理手法の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理部16の位置調整部43は、用紙に印字された位置調整パターンT1〜T4の位置に基づいて、入力画像Imの読取画像データに対し二次元位置調整を実施する(S1)。なお、ステップS6における指定した調整点で形成される領域の位置調整を行う前にこの二次元位置調整を行わない設定である場合(
図10の「二次元位置調整」にチェックマークが付いていないとき)、この処理は省略される。
図10の画像位置調整設定画面50により希望する調整処理を選択することができる。
【0061】
次いで、位置調整部43による二次元位置調整が終了すると、CPU11は、二次元位置調整後の入力画像を操作表示部14の表示部142に表示する(S2)。次いで、指定位置受付部41は、操作部141により入力画像内の任意の調整点が指定されたか否かを判定し(S3)、調整点が指定されていない場合には(S3のNO)、この判定処理を繰り返す。
【0062】
ステップS3で調整点が指定されたと判定された場合には(S3のYES)、指定位置受付部41は、各調整点の移動先が指定されたか否かを判定し(S4)、各調整点の移動先が指定されていない場合には(S4のNO)、この判定処理を繰り返す。
【0063】
ステップS4で各調整点の移動先が指定されたと判定された場合には(S4のYES)、移動量算出部42は、各調整点の移動量を算出する(S5)。次いで、位置調整部43は、各調整点の移動量に基づいて、指定した調整点によって形成される領域の位置を調整(領域の形状を変形)する処理を行う(S6)。次いで、位置調整部43は、入力画像内の指定した調整点で形成される領域以外の画像処理(位置調整)を実施する(S7)。
【0064】
次いで、画像形成部17は、画像処理部16による画像処理を実施後(位置調整後)の入力画像を印刷する(S8)。ステップS8における印刷が終了後、本フローチャートの処理を終了する。
【0065】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、本発明の画像処理手法(位置調整)を表裏調整に適用した例である。第4の実施形態に係る画像処理手法について、
図12及び
図13を参照して説明する。
【0066】
[画像処理手法]
図12は、第4の実施形態に係る画像処理部16による画像処理手法の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理部16の位置調整部43は、用紙の表面及び裏面に印字された位置調整パターンT1〜T4の位置に基づいて、表面の入力画像(第1の入力画像)及び裏面の入力画像(第2の入力画像)の各読取画像データに対し表裏調整を含む二次元位置調整を実施する(S11)。なお、ステップS19における指定した調整点で形成される領域の位置調整を行う前にこの二次元位置調整を行わない設定である場合(
図10の「二次元位置調整」にチェックマークが付いていないとき)、この処理は省略される。以下、表面の入力画像を「表面画像」、裏面の入力画像を「裏面画像」と称する。
【0067】
次いで、位置調整部43による表裏調整を含む二次元位置調整が終了すると、CPU11は、二次元位置調整後の表面画像及び裏面画像を操作表示部14の表示部142に表示する(S12)。表示する画像は、入力画像にRIP処理を施したRIP画像、若しくは読取装置20で読み取られた調整用の読取画像である。
【0068】
次いで、指定位置受付部41は、操作部141により表面画像内の任意の調整点(例えば4点)が指定されたか否かを判定し(S13)、調整点が指定されていない場合には(S13のNO)、この判定処理を繰り返す。ステップS13で調整点が指定されたと判定された場合(S13のYES)、画像処理部16は、表面画像を任意の透過率の画像とし、また裏面画像を任意の透過率の画像とし、表面画像と裏面画像を重ねて合わせて表示する(S14)。例えばアルファブレンディングの技術を利用することで、このような表示形態を実現できる。なお、表面画像の指定した調整点で囲まれる領域のみと裏面画像を重ね合わせて表示することを選択できるようにしてもよい。
【0069】
ここで、表面画像と裏面画像の表示形態について
図13を参照して説明する。
図13は、表面画像と裏面画像を重ねて表示する例を示す。表示部142は、表面画像Im1と裏面画像Im2をそれぞれ所定の透過率で重ね合わせて表示する。表面画像Im1
内の画像オブジェクトO
bj1と、裏面画像Im2
内の破線で示す画像オブジェクトO
bj2が重ね合わせて表示されることで、画像オブジェクトO
bj1と画像オブジェクトO
bj2の相互の位置を確認することができる。それゆえ、
表面画像Im1内の画像オブジェクトO
bj1と
裏面画像Im2内の画像オブジェクトO
bj2の位置を一致するように調整することが容易に可能となる。
【0070】
図12の説明に戻る。ステップS14の処理後、指定位置受付部41は、表面画像内の各調整点の移動先が指定されたか否かを判定し(S15)、各調整点の移動先が指定されていない場合には(S15のNO)、この判定処理を繰り返す。ステップS15で表面画像内の各調整点の移動先が指定されたと判定された場合には(S15のYES)、移動量算出部42は、各調整点の移動量を算出する。
【0071】
また、指定位置受付部41は、操作部141により裏面画像内の任意の調整点が指定されたか否かを判定し(S16)、調整点が指定されていない場合には(S16のNO)、この判定処理を繰り返す。ステップS16で調整点が指定されたと判定された場合(S16のYES)、画像処理部16は、裏面画像を任意の透過率の画像とし、また表面画像を任意の透過率の画像とし、裏面画像と表面画像を重ねて合わせて表示する(S17)。ここでの裏面画像及び表面画像の表示は、ステップS12の場合と表裏が逆転する。なお、裏面画像の指定した調整点で囲まれる領域のみと表面画像を重ね合わせて表示することを選択できるようにしてもよい。
【0072】
次いで、指定位置受付部41は、裏面画像内の各調整点の移動先が指定されたか否かを判定し(S18)、各調整点の移動先が指定されていない場合には(S18のNO)、この判定処理を繰り返す。ステップS18で裏面画像内の各調整点の移動先が指定されたと判定された場合には(S18のYES)、移動量算出部42は、各調整点の移動量を算出する。
【0073】
また、位置調整部43は、表面画像及び裏面画像ごとに各調整点の移動量に基づいて、指定した調整点によって形成される領域の位置を調整(領域の形状を変形)する処理を行う(S19)。次いで、位置調整部43は、表面画像内及び裏面画像内の指定した調整点で形成される領域以外の画像処理(位置調整)を実施する(S20)。このステップS19及びステップS20では、位置調整部43は、入力画像全体(表面画像と裏面画像)の表裏調整を含む位置補正値に、指定した各調整点の移動量を考慮して、2次元位置調整の基準点に反映し、各調整点で構成される領域の位置を調整する。2次元位置調整の基準点としては、
図15に示すように、入力画像の四隅あるいは四隅を結ぶ線上に設定された点を利用することが可能である。
【0074】
次いで、画像形成部17は、画像処理部16による画像処理を実施後(位置調整後)の表面画像及び裏面画像を印刷する(S21)。ステップS21における表面画像及び裏面画像の印刷が終了後、本フローチャートの処理を終了する。
【0075】
なお、表裏調整を行わない場合には、ステップS16〜S18の各処理を飛ばすことができる。
【0076】
上述した第4の実施形態によれば、第1の実施形態と類似の効果を奏する。すなわち、第4の実施形態は、ユーザーが操作部141を介して表面画像内及び裏面画像内の任意の調整点を指定するとともに指定した調整点の移動先を指定することにより、少ない調整時間で、表面画像内及び裏面画像内の希望する領域(に含まれる画像オブジェクト)の相互の位置の調整が可能となる。また、本実施形態は、表面画像内及び裏面画像内において指定した領域を形成する複数の位置を希望の位置に調整することができる。
【0077】
<5.変形例>
[変形例1]
図14は、上述した第1〜第4の実施形態の変形例1として複数の領域を指定した場合の例を示す説明図である。
図14に示すように、操作部141は、ユーザーの入力操作に基づいて入力画像内の任意の3点以上の調整点で囲まれた領域を、複数個指定可能である。
【0078】
図14の例では、入力画像Im内の縦方向に並ぶようにして、矩形の領域A1−1及び三角形の領域A1−2の2つの領域が指定されている。領域A1−1は、調整点p1−1〜p4−1により形成されている。また、領域A1−2は、調整点p1−2〜p3−2により形成されている。
【0079】
[変形例2]
図15は、上述した第1〜第4の実施形態の他の変形例に係る画像処理手法を示す説明図である。
図15に示すように、画像処理部16は、入力画像Imの四隅C1〜C4と、その四隅C1〜C4を結ぶ辺上の複数の点とを基準に、注目領域の位置調整を行う構成としてもよい。
図15では、例えば隅C1と隅C2の中間点C1
2、隅C2と隅C3の中間点C23、隅C3と隅C4の中間点C34、並びに隅C4と隅C1の中間点C41が、基準点として追加されている。このように、二次元位置調整を行う際の基準点は、入力画像の四隅に限らず、他の箇所も含めた複数点を利用することができる。
【0080】
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0081】
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。