(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていると判定された場合、前記表示オブジェクトの表示を停止する請求項2記載の遠隔操作システム。
前記表示制御部は、前記操作部材が操作されている場合、前記判定部による判定結果に拘わらず、前記表示オブジェクトの表示を停止する請求項2又は3記載の遠隔操作システム。
前記表示制御部は、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記操作部材が操作されていない状態が一定時間以上継続された後で、前記表示オブジェクトを表示する請求項2〜4のいずれかに記載の遠隔操作システム。
前記表示制御部は、前記主操作装置と前記従操作装置との通信開始時において前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記操作部材が操作されているか否かに拘わらず、前記表示オブジェクトを表示する請求項2〜5のいずれかに記載の遠隔操作システム。
前記表示制御部は、前記操縦席に対して前記作業装置が位置する方向を前記周囲画像に投影した方向に前記矢印画像の先端を向ける請求項9又は10記載の遠隔操作システム。
前記表示制御部は、前記周囲画像に隣接して余白領域が含まれるように前記周囲画像を前記表示装置に表示させ、前記表示オブジェクトを前記余白領域に表示する請求項1に記載の遠隔操作システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、作業装置の取り得る姿勢によっては、操縦席内に設けられたカメラの視野外に作業装置が位置する事態が発生する。この場合、マスターの表示装置に表示される周囲画像から作業装置が消失し、マスターのオペレータは作業装置が現在どの方向に位置しているかを確認できず、オペレータに不安を与えるという課題が生じる。
【0007】
特に、昼休みなどの休憩後に建設機械の遠隔操作を再開させる場合、周囲画像に作業装置が表れていないと、オペレータは作業装置の位置を予想しながら作業装置を慎重に操作することが要求され、操作負担が増大するという課題がある。
【0008】
上述の特許文献2は、そもそも遠隔操作システムに関する発明ではなく、操縦席内にカメラを設置することについての開示もないので、マスターの表示画面に表示される周囲画像から作業装置が消失した場合に生じる上記の課題を解決できない。
【0009】
本発明の目的は、主操作装置の表示装置に表示される周囲画像から作業装置が消失したとしても、作業装置の位置を主操作装置のオペレータに認識させることができる遠隔操作システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、作業装置を含む建設機械を遠隔操作する遠隔操作システムであって、
前記建設機械を遠隔操作するための主操作装置と、前記建設機械に搭載され、前記主操作装置が受け付けた操作に基づいて前記作業装置を操作する従操作装置とを備え、
前記従操作装置は、
前記建設機械の操縦席内から前記建設機械の周囲を撮影した周囲画像を取得するカメラと、
前記作業装置の姿勢を検知する姿勢検知部と、
前記周囲画像及び前記姿勢検知部が検知した前記作業装置の姿勢を示す姿勢情報を前記主操作装置に送信する第1通信部とを備え、
前記主操作装置は、
オペレータの操作を受け付ける操作部材と、
前記従操作装置から送信された前記周囲画像及び前記姿勢情報を受信する第2通信部と、
前記第2通信部が受信した前記周囲画像を含む表示画面を表示する表示装置と、
前記第2通信部が受信した前記周囲画像に前記作業装置が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記第2通信部が受信した前記姿勢情報から前記作業装置の位置を算出し、算出した前記位置を前記オペレータに知らせるための表示オブジェクトを前記表示画面に表示する表示制御部とを備える。
【0011】
本構成によれば、建設機械の操縦席内から撮影された建設機械の周囲画像に作業装置が含まれていない場合、作業装置の位置をオペレータに知らせるための表示オブジェクトが主操作装置の表示画面に表示される。
【0012】
そのため、主操作装置の表示画面に含まれる周囲画像から作業装置が消失したとしても、作業装置の位置を主操作装置のオペレータに認識させることができる。その結果、オペレータに作業装置を安心して操作させることができ、オペレータの作業負担を軽減できる。
【0013】
上記構成において、前記表示制御部は、前記表示オブジェクトの少なくとも一部を前記周囲画像に重畳表示することが好ましい。
【0014】
本構成によれば、表示オブジェクトの少なくとも一部が周囲画像に重畳表示されるので、表示オブジェクトがオペレータによって気付かれない事態を回避できる。
【0015】
上記構成において、前記表示制御部は、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていると判定された場合、前記表示オブジェクトの表示を停止することが好ましい。
【0016】
周囲画像に作業装置が含まれている場合、表示オブジェクトを表示しなくても、オペレータは作業装置の位置を認識できる。また、この場合、表示オブジェクトの少なくとも一部を周囲画像に重畳表示すると、周囲画像の一部が表示オブジェクトによって隠れ、視認性が悪化する。
【0017】
本構成によれば、周囲画像に作業装置が含まれている場合、表示オブジェクトを表示しないので、表示画面の視認性の悪化を抑制し、オペレータに対して遠隔操作を集中して行わせることができる。
【0018】
上記構成において、前記表示制御部は、前記操作部材が操作されている場合、前記判定部による判定結果に拘わらず、前記表示オブジェクトの表示を停止することが好ましい。
【0019】
操作部材の操作中においては周囲画像から作業装置が消失しても現在の操作からオペレータは作業装置の位置をある程度予想できる。本構成によれば、操作部材が操作されている場合、前記判定部による判定結果に拘わらず、表示オブジェクトが表示されないので、表示装置に表示される情報量を抑制し、オペレータに対して遠隔操作を集中して行わせることができる。
【0020】
上記構成において、前記表示制御部は、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記操作部材が操作されていない状態が一定時間以上継続された後で、前記表示オブジェクトを表示することが好ましい。
【0021】
本構成によれば、周囲画像に対して作業装置の出現と消失とが短時間に繰り返される場面において、表示オブジェクトの表示と非表示とが短時間に繰り返されるチャタリングの発生を防止することができ、オペレータに建設機械の遠隔操作を集中して行わせることができる。
【0022】
上記構成において、前記表示制御部は、前記主操作装置と前記従操作装置との通信開始時において前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記操作部材が操作されているか否かに拘わらず、前記表示オブジェクトを表示することが好ましい。
【0023】
本構成によれば、通信開始時において、周囲画像に作業装置が出現していない場合、オペレータが作業装置の位置を認識できなくなることを防止できる。
【0024】
上記構成において、前記主操作装置は、前記操作部材の操作を遮断するためのオペレータからの操作を受け付ける遮断レバーを更に備え、
前記表示制御部は、前記遮断レバーがロック状態にされ、且つ、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記操作部材が操作されているか否かに拘わらず、前記表示オブジェクトを表示することが好ましい。
【0025】
本構成によれば、遮断レバーがロック状態にされている場合において、周囲画像に作業装置が出現していない場合、オペレータが作業装置の位置を認識できなくなることを防止できる。
【0026】
上記構成において、前記建設機械は、前記操作部材が一定時間操作されていない場合、前記建設機械のエンジンをアイドル状態にするデセルレイター機能を備え、
前記表示制御部は、前記デセルレイター機能が作動中、且つ、前記判定部により前記周囲画像に前記作業装置が含まれていないと判定された場合、前記表示オブジェクトを表示することが好ましい。
【0027】
本構成によれば、ディセルレイター機能の作動中において、周囲画像に作業装置が出現していない場合、オペレータが作業装置の位置を認識できなくなることを防止できる。
【0028】
上記構成において、前記表示オブジェクトは、前記作業装置が位置する方向を3次元的に示す矢印画像で構成されることが好ましい。
【0029】
本構成によれば、作業装置の位置を3次元的にオペレータに知らせることができる。
【0030】
上記構成において、前記表示オブジェクトは、前記作業装置が位置する方向を2次元的に示す矢印画像で構成されていることが好ましい。
【0031】
本構成によれば、作業装置の位置を2次元的にオペレータに知らせることができる。
【0032】
上記構成において、前記表示オブジェクトは、側面視からの前記建設機械の実際の姿勢を模擬した建設機械画像で構成されることが好ましい。
【0033】
本構成によれば、側面視からの建設機械の実際の姿勢を模擬した建設機械画像を用いて、作業装置の位置を視覚的にオペレータに知らせることができる。
【0034】
上記構成において、前記表示オブジェクトは、前記作業装置の実際の姿勢を模擬した作業装置画像で構成されていることが好ましい。
【0035】
本構成によれば、作業装置の実際の姿勢を模擬した作業装置画像を用いて、作業装置の位置を視覚的にオペレータに知らせることができる。
【0036】
上記構成において、前記表示制御部は、前記操縦席に対する前記作業装置の位置が近づくにつれて前記矢印画像のサイズを大きく表示することが好ましい。
【0037】
本構成によれば、矢印画像のサイズにより作業装置の操縦席までの距離を視覚的に知らせることができる。
【0038】
上記構成において、前記表示制御部は、前記操縦席に対して前記作業装置が位置する方向を前記周囲画像に投影した方向に前記矢印画像の先端を向けることが好ましい。
【0039】
この構成によれば、周囲画像を見ながら作業を行うオペレータに対して矢印画像の方向を正確に知らせることができる。
【0040】
上記構成において、前記表示制御部は、前記周囲画像に隣接して余白領域が含まれるように前記周囲画像を前記表示装置に表示させ、前記表示オブジェクトを前記余白領域に表示することが好ましい。
【0041】
本構成によれば、表示オブジェクトが余白領域に表示されるので、表示オブジェクトがオペレータの作業の邪魔になることを防止できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、主操作装置の表示装置に表示される周囲画像から作業装置が消失したとしても、作業装置の位置を主操作装置のオペレータに認識させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの全体構成を示すブロック図である。遠隔操作システムは、スレーブ10及びマスター20を備える。スレーブ10は、建設機械30の操縦席に配置され、マスター20が受け付けた操作量に基づいて建設機械30の操作レバー31を直接操作する従操作装置である。スレーブ10は、いわばオペレータのダミーとなって建設機械30を操作する機械である。マスター20は、建設機械30のオペレータの操作を直接受け付けて建設機械30を遠隔操作するための主操作装置である。本実施の形態では、マスター20は建設機械30の操縦席を模擬した操作装置で構成されており、建設機械30の操作レバー31と同様の操作レバー24が建設機械30と同様のポジションで配置されている。また、マスター20は、オペレータが着座するシートを備えている。
【0045】
スレーブ10及びマスター20は通信路100を介して相互に通信可能に接続されている。通信路100としては、特定省電力無線、及びブルーツース(登録商標)といったスレーブ10及びマスター20を数十m〜数百m程度の距離で無線通信させる通信路が採用される。但し、これは一例であり、通信路100としては、携帯電話通信網及びインターネット通信網等を含む公衆通信回線が採用されてもよい。この場合、マスター20及びスレーブ10は長距離通信が可能となる。
【0046】
図2は、
図1に示す建設機械30の外観を示す図である。
図2に示す建設機械30は、油圧ショベルで構成されている。建設機械30は、クローラ式の下部走行体310と、下部走行体310上に旋回可能に設けられた上部旋回体320と、上部旋回体320に取り付けられた作業装置330とを備えている。
【0047】
作業装置330は、上部旋回体320に対して起伏可能に取り付けられたブーム331と、ブーム331の先端部に対して揺動可能に取り付けられたアーム332と、アーム332の先端部に対して揺動可能に取り付けられたアタッチメント333とを備えている。
【0048】
また、作業装置330は、上部旋回体320に対してブーム331を起伏させるブームシリンダ334と、ブーム331に対してアーム332を揺動させるアームシリンダ335と、アーム332に対してアタッチメント333を揺動させるアタッチメントシリンダ336とを備えている。上部旋回体320は、オペレータが搭乗する操縦席3Cを備えている。
【0049】
図1に参照を戻す。マスター20は、通信部21(第2通信部の一例)、コントローラ22、表示装置23、操作レバー24(操作部材の一例)、遮断レバー25、及びセンサS1,S2を備える。
【0050】
通信部21は、通信路100が採用する通信方式に対応する通信装置で構成され、スレーブ10から送信された、建設機械30の周囲画像と、作業装置330の姿勢を示す姿勢情報とを受信する。作業装置330の姿勢情報には、例えば、角度センサ13の検出値が含まれる。また、通信部21は、マスター20の操作レバー24が受け付けた操作量をスレーブ10に送信する。
【0051】
コントローラ22は、CPU、ASIC等のプロセッサとROM及びRAMといった記憶装置とを含むコンピュータで構成されている。コントローラ22は、判定部221及び表示制御部222を備えている。なお、判定部221及び表示制御部222は、プロセッサが制御プログラムを実行することで実現されてもよいし、専用のハードウェア回路で構成されてもよい。
【0052】
判定部221は、通信部21により受信された周囲画像に作業装置330が含まれているか否かを判定する。ここで、判定部221は、予め記憶装置に記憶された作業装置330のテンプレート画像を用いたテンプレートマッチングを周囲画像に適用することで、周囲画像に作業装置330が含まれているか否かを判定してもよい。或いは、判定部221は、スレーブ10から送信された姿勢情報に含まれる角度センサ13の検出値と、周囲画像に作業装置330が含まれているか否かの判定結果とが予め対応付けられた記憶装置に記憶された判定テーブルを参照することで、周囲画像に作業装置330が含まれているか否かを判定してもよい。
【0053】
表示制御部222は、通信部21がスレーブ10から受信した周囲画像を表示装置23に表示させる。また、表示制御部222は、判定部221により周囲画像に作業装置330が含まれていないと判定された場合、通信部21が受信した姿勢情報から作業装置330の位置を算出し、算出した位置をオペレータに知らせるための表示オブジェクトを周囲画像と共に表示装置23に表示する。
【0054】
表示装置23は、マスター20の座席前方に設けられた液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の表示装置で構成され、通信部21がスレーブ10から受信した周囲画像を表示する。また、表示装置23は、表示制御部222の制御の下、表示オブジェクトを表示させたり表示させなかったりする。マスター20のオペレータは、表示装置23に表示された周囲画像を見ながら、建設機械30を遠隔操作する。
【0055】
操作レバー24は、建設機械30が備える操作レバー31に対応しており、建設機械30を遠隔操作するオペレータからの操作を受け付ける。本実施の形態では、操作レバー24は、建設機械30の作業装置330を操作するためのオペレータの操作を受け付ける操作レバーとして説明する。例えば、操作レバー24は、前方に傾倒されるとブーム331を倒伏させ、後方に傾倒されるとブーム331を起伏させ、左方に傾倒されるとアタッチメント333を運転席側に揺動させ、右方に傾倒されるとアタッチメント333を運転席から反対側に揺動させる前後左右の4方向に傾倒可能なATT(アタッチメント)レバーで構成されていもよい。或いは、操作レバー24は、建設機械30を前進又は後進させる走行レバーで構成されてもよい。或いは、操作レバー24は、アーム332を揺動させ、且つ、上部旋回体320を旋回させる前後左右の4方向に傾倒可能な旋回レバーで構成されてもよい。或いは、操作レバー24は、ATTレバー、走行レバー、及び旋回レバーの3つの操作レバーで構成されていてもよい。いずれにせよ、操作レバー24は、建設機械30の操作レバー31が備える各種の操作レバーに対応するように各種の操作レバーを備えている。
【0056】
センサS1は、例えば、ポテンショ式のセンサで構成され、操作レバー24の操作量を検知してコントローラ22に出力する。ここで、センサS1は、操作レバー24の前後左右のそれぞれの操作量を個別に検知し、コントローラ22に出力する。なお、センサS1は、前後左右のそれぞれの方向において操作レバー24の傾倒量が増大するにつれて検知する操作量を増大させる。なお、操作レバー24が複数の操作レバーで構成されている場合、センサS1は、各操作レバーに対応して複数のセンサで構成される。
【0057】
遮断レバー25は、ロック位置と解放位置との間で傾倒可能な操作レバーで構成され、操作レバー24の操作を遮断するためのオペレータからの操作を受け付ける。遮断レバー25がロック位置に位置決めされると、コントローラ22は作業装置330の姿勢をその状態のまま保持させることで、操作レバー24への操作を遮断させる。一方、遮断レバー25が解放位置に位置決めされると、コントローラ22は作業装置330の姿勢保持を解除し、操作レバー24への操作に応じて作業装置330を稼働させる。
【0058】
センサS2は、遮断レバー25がロック位置に位置するか、解放位置に位置するかを検出するセンサである。
【0059】
スレーブ10は、通信部11(第1通信部の一例)、コントローラ12、角度センサ13(姿勢検知部の一例)、カメラ14、及び操作機構15を備える。
【0060】
通信部11は、通信路100が採用する通信方式に対応する通信装置で構成され、カメラ14が取得した周囲画像と、作業装置330の姿勢情報とをマスター20に送信する。また、通信部11は、マスター20が受け付けた操作レバー24の操作量をマスター20から受信する。
【0061】
コントローラ12は、CPU、ASIC等のプロセッサとROM及びRAMといった記憶装置とを含むコンピュータで構成されている。コントローラ12は、マスター20とスレーブ10との通信接続が確立されている場合、カメラ14が取得した周囲画像と、作業装置330の姿勢情報とが所定のサンプリング周期で周期的にマスター20に送信されるよう通信部11を制御する。
【0062】
角度センサ13は、例えば、リゾルバ又はポテンショ式のセンサで構成され、作業装置330の姿勢を検出する。角度センサ13は、ブーム331の上部旋回体320に対する角度(ブーム角度)を検知するブームセンサと、アーム332のブーム331に対する角度(アーム角度)を検知するアームセンサと、アタッチメント333のアーム332に対する角度(アタッチメント角度)を検知するアタッチメントセンサと、下部走行体310に対する上部旋回体320の旋回角度を検出する旋回センサとで構成されている。
【0063】
したがって、マスター20の表示制御部222は、ブームセンサ、アームセンサ、及びアタッチメントセンサのそれぞれの検出値とブーム331、アーム332、及びアタッチメント333のそれぞれの既知の長さとを用いてアタッチメント333の先端位置を算出し、算出した先端位置を作業装置330の位置として算出すればよい。そして、表示制御部222は、建設機械30の例えば重心位置を中心とする建設機械30の3次元のローカル座標空間Q(
図2)に、アタッチメント333の先端位置をプロットすることで作業装置330の位置を算出すればよい。
【0064】
操作機構15は、アクチュエータで構成され、通信部11により受信された操作量に応じた操作力を発生させるための制御信号が入力され、操作量に応じた操作力を発生させ、建設機械30の操作レバー31に付与する。例えば、操作レバー31が、ATTレバー、走行レバー、及び旋回レバーで構成されているとすると、操作機構15は、各操作レバーに対応する3つの操作機構で構成される。また、この例において、ATTレバーが前後左右の4方向に傾倒可能な操作レバーで構成されている場合、操作機構15は、前後方向にATTレバーを傾倒させるアクチュエータと、左右方向にATTレバーを傾倒させるアクチュエータとを備える。
【0065】
カメラ14は、例えば、CMOSセンサー又はCCDセンサーで構成され、操縦席3C内から建設機械30の周囲を所定のサンプリング周期で周期的に撮影することで、建設機械30の周囲を示す周囲画像を取得する。ここで、カメラ14は、操縦席3Cの前方に視線が向くように操縦席3Cの内部に取り付けられており、操縦席3Cの前方を閉塞する前面ガラスごしに建設機械30の周囲の画像を撮影する。すなわち、カメラ14は、操縦席3Cの座席にオペレータが着座しているとすれば、そのオペレータが前面ガラスごしに見る景色を撮影する。
【0066】
コントローラ12は、通信部11が操作レバー24の操作量を受信した場合、その操作量に応じた制御信号を操作機構15に出力する。これにより、スレーブ10はマスター20を操作するオペレータのダミーになって建設機械30を直接操作する。
【0067】
建設機械30は、操作レバー31(操作部材の一例)及びコントローラ32を備える。操作レバー31は、建設機械30の操縦席3Cに設けられており、スレーブ10の操作機構15から操作力が付与されることで傾倒される。操作レバー31は、マスター20の操作レバー24と同様、ATTレバー、走行レバー、及び旋回レバーの少なくとも1又は複数で構成されている。この場合、操作レバー31を構成するATTレバー及び旋回レバーの少なくとも1又は複数はマスター20の操作レバー24を構成するATTレバー及び旋回レバーと同様に、前後左右の4方向に傾倒可能な操作レバーで構成される。また、操作レバー31を構成する走行レバーは、マスター20の操作レバー24を構成する走行レバーと同様、前後の2方向に傾倒可能な操作レバーで構成される。
【0068】
コントローラ32は、操作レバー31が一定時間操作がされていない場合、建設機械30のエンジンをアイドル状態にするデセルレイター機能を作動させる。
【0069】
図3は、マスター20の表示装置23に表示される表示画面G3の一例を示す図である。表示画面G3は、周囲画像G31と周囲画像G31の周囲を覆う余白領域G32とを備えている。
図3の例では、周囲画像G31の外枠形状は、操縦席3Cの前面ガラスの形状を模擬して、下側に向かうにつれて横幅が徐々に短くなる矩形形状で構成されている。
【0070】
図3の上側に示す表は本実施の形態で用いられる表示オブジェクトの種類を纏めた表である。本実施の形態では、表示オブジェクトは、2次元矢印画像OA、3次元矢印画像OB、建設機械画像OC、及び作業装置画像ODのいずれか1つが採用される。
【0071】
2次元矢印画像OAは、操縦席3Cに対して作業装置330のアタッチメント333の先端位置を2次元的に示す矢印状の画像である。
図2を参照して、作業装置330のローカル座標空間Qは、建設機械30の例えば重心に原点が設定され、高さ方向にY軸、左右方向にX軸、前後方向にZ軸が設定されている。X軸、Y軸、Z軸は相互に直交している。
【0072】
図2において、アタッチメント333の先端位置が点P1に位置する場合、表示制御部222は、ローカル座標空間Q内の所定の基準位置O1から点P1に向かう3次元ベクトルV1を算出する。そして、表示制御部222は、操縦席3Cの前面と平行なXY平面への3次元ベクトルV1の射影ベクトルを求め、その射影ベクトルと同一方向に向く所定長さの矢印状の画像を2次元矢印画像OAとして生成する。そして、表示制御部222は、表示画面G3上の所定の表示位置に2次元矢印画像OAを表示する。基準位置O1は、表示画面G3における2次元矢印画像OAの表示位置に対応するローカル座標空間Q上の位置が採用される。
図3では、周囲画像G31の左上の所定の位置が2次元矢印画像OAの表示位置とされている。そのため、この場合、基準位置O1のX成分及びY成分は、例えば、この表示位置に対応するローカル座標空間QのX座標及びY座標が採用され、基準位置O1のZ成分は、例えば、前面ガラスの座標が採用される。
【0073】
3次元矢印画像OBは、操縦席3Cに対して作業装置330のアタッチメント233の先端位置を3次元的に示す矢印状の画像である。ここでは、3次元矢印画像OBは、斜め方向に延びる2本の三角柱のそれぞれを長手方向に対して鋭角に切断し、切断面同士を貼り合わせた楔型の楔部OB1と、楔部OB1に挟まれた球体部OB2とを含む3次元モデルを仮想スクリーンに投影することで得られた画像であり、楔部OB1の先端E1の向きにより作業装置330の方向を示す。なお、仮想スクリーンは、例えば、操縦席3Cの前面ガラスに対応するローカル座標空間Q内の位置に設定される。
【0074】
表示制御部222は、2次元矢印画像OAの場合と同様、3次元ベクトルV1を求め、3次元矢印画像OBの3次元モデルの先端E1が3次元ベクトルV1の終点(点P1)を向くように基準位置O1に当該3次元モデルを配置する。そして、表示制御部222は、配置した3次元モデルを仮想スクリーンに投影することで3次元矢印画像OBを生成し、表示画面G3に表示する。
図3の例では、周囲画像G31の中央位置が3次元矢印画像OBの表示位置とされているので、基準位置O1のX成分及びY成分は、例えば、中央位置のX成分及びY成分に対応するローカル座標空間QのX座標及びY座標が採用され、Z成分は、例えば、前面ガラスから前方に所定距離離間したローカル座標空間QのZ座標が採用される。
【0075】
なお、表示制御部222は、2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBを採用する場合、操縦席3Cに対する作業装置330のアタッチメント333の先端位置が近づくにつれて2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBのサイズを大きく表示してもよい。この場合、表示制御部222は、3次元ベクトルV1のノルムが小さいほど、拡大率が増大するように両者の関係を規定するテーブル又は関数を予め備えておき、このテーブル又は関数を用いて3次元ベクトルV1の大きさに対応する拡大率を決定する。そして、表示制御部222は、デフォルトのサイズを持つ2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBの3次元モデルに対して、決定した拡大率を乗じることで、2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBの3次元モデルを拡大すればよい。なお、拡大率は、0以上の値を持ち、1以下の場合、2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBは縮小されることになる。
【0076】
図3を参照する。建設機械画像OCは、側面視からの建設機械30の実際の姿勢を模擬した画像である。表示制御部222は、角度センサ13の検出値に含まれるブーム角度、アーム角度、アタッチメント角度、及び旋回角度を用いて、側面視からのデフォルト姿勢の建設機械30の画像を修正することで、建設機械画像OCを生成する。そして、表示制御部222は、生成した建設機械画像OCを表示画面G3上の所定の表示位置に表示する。
図3の例では、建設機械画像OCは余白領域G32内の左中央の位置に表示されている。デフォルト姿勢としては、例えば、下部走行体310及び上部旋回体320が共に正面を向いており、且つ、ブーム角度、アーム角度、及びアタッチメント角度がそれぞれ所定のデフォルト角度にあるときの姿勢が採用できる。
【0077】
作業装置画像ODは、上部旋回体320に対する現在の作業装置330の姿勢を示す画像である。表示制御部222は、作業装置330の姿勢に応じた作業装置画像ODが、ブーム角度、アーム角度、及びアタッチメント角度と対応付けて登録された作業装置画像テーブルを予め備えている。そして、表示制御部222は、角度センサ13の検出値に含まれるブーム角度、アーム角度、及びアタッチメント角度の組み合わせに対応する作業装置画像ODを作業装置画像テーブルから読み出して、表示画面G3上の所定の位置に表示すればよい。
図3の例では、作業装置画像ODは周囲画像G31の上部の中央に表示されている。
【0078】
図4は、表示オブジェクトの表示位置のパターンを示す図である。
図4の上側に示す表は表示位置のパターンを纏めた表である。
図4に示す表示画面G3では、3つのパターンPA,PB,PCが示されている。パターンPAは、表示オブジェクトOBXの全域を周囲画像G31に重畳表示するパターンである。パターンPBは、表示オブジェクトOBXの一部を周囲画像G31に重畳表示し、表示オブジェクトOBXの残りを余白領域G32に重畳表示するパターンである。パターンPCは、表示オブジェクトOBXの全域を余白領域G32に重畳表示するパターンである。
【0079】
表示制御部222は、パターンPA〜PCのうちのいずれか1のパターンで表示オブジェクトOBXを表示する。
図4の例では、パターンPAとして、3次元矢印画像OBからなる表示オブジェクトOBXを周囲画像G31の中央に表示するパターンが示されている。また、パターンPBとして、3次元矢印画像OBからなる表示オブジェクトOBXを周囲画像G31の上側において一部が周囲画像G31に重畳表示されるパターンが示されている。また、一つ目のパターンPCとして、3次元矢印画像OBからなる表示オブジェクトOBXの全域を余白領域G32の上側に表示するパターンが示されている。また、二つ目のパターンPCとして、建設機械画像OCからなる表示オブジェクトOBXの全域を余白領域G32の左側に表示するパターンが示されている。
【0080】
図4の例では、パターンPA、PB、及び一つ目のパターンPCとして3次元矢印画像OBが用いられているが、これは一例であり、
図3で示した、2次元矢印画像OA、建設機械画像OC、又は作業装置画像ODが採用されてもよい。また、二つ目のパターンPCとして建設機械画像OCが用いられているが、2次元矢印画像OA、3次元矢印画像OB、又は作業装置画像ODが採用されてもよい。なお、2次元矢印画像OA及び3次元矢印画像OBを採用した場合、
図2で示す基準位置O1の座標は、パターンPA〜PCで示される表示位置に対応するローカル座標空間Qの座標が採用される。
【0081】
また、パターンPAにおける表示オブジェクトOBXの表示位置としては、
図4に示す周囲画像G31の中央に限定されず、周囲画像G31内であり、且つ、表示オブジェクトOBXが周囲画像G31からはみ出さない位置であれば、どのような位置が採用されてもよい。また、パターンPBにおける表示オブジェクトOBXの表示位置としては、
図4に示す周囲画像G31の上縁に跨る位置に限定されず、周囲画像G31の左縁、右縁、又は下縁に跨る位置が採用されてもよい。また、パターンPCにおける表示オブジェクトOBXの表示位置としては、
図4に示す上側の余白領域G32に限定されず、左側、右側、又は下側の余白領域が採用されてもよい。
【0082】
図5は、本実施の形態に係る表示オブジェクトOBXの表示・非表示タイミングを纏めた表である。本実施の形態では、表示オブジェクトOBXの表示・非表示タイミングのパターンは7つある。
図5において、「表示系」は表示装置23への表示オブジェクトOBXの表示の有無を示す。「操作レバーの操作」は操作レバー24がオペレータによって操作されているか否かを示す。「作業装置の位置」は周囲画像G31に作業装置330が含まれているか否かを示す。「無操作経過時間」は操作レバー24への操作がされなくなってからの経過時間が一定時間以上経過したか否かを示す。「システムの状態」はスレーブ10とマスター20との間で通信接続が確立されているか否かを示す。また、「システムの状態」において、「通信開始」はスレーブ10とマスター20との間で通信が開始された直後の状態を示す。「デセルレイター機能」はデセルレイター機能が作動中であるか否かを示す。「遮断レバー」は、遮断レバー25がロックされているか否かを示す。
【0083】
パターン「1」では、表示制御部222は、操作レバー24が操作されている場合、周囲画像G31に作業装置330が含まれているか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXを表示しない。これは、操作レバー24の操作中においては周囲画像G31から作業装置330が消失しても現在の操作からオペレータは作業装置330の位置をある程度予想でき、表示オブジェクトOBXを表示させると却って作業の妨げになるとの考えに基づくものである。
【0084】
パターン「2」では、表示制御部222は、周囲画像G31に作業装置330が含まれている場合、表示オブジェクトOBXを表示しない。これは、周囲画像G31に作業装置330が含まれている場合、表示オブジェクトOBXを表示しなくても、オペレータは作業装置330の位置を認識できるとの考えに基づくものである。
【0085】
パターン「3」では、表示制御部222は、周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、操作レバー24が操作されていない状態が一定時間以上継続されるまでは、表示オブジェクトOBXの非表示を継続させる。
【0086】
パターン「4」は、パターン「3」の裏返しであり、表示制御部222は、周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、操作レバー31が操作されていない状態が一定時間以上継続された後で、表示オブジェクトOBXを表示する。これは、周囲画像G31に対して作業装置330の出現と消失とが短時間に繰り返される場面において、表示オブジェクトOBXの表示と非表示とが短時間に繰り返されるチャタリングの発生を防止するとの考えに基づくものである。なお、一定時間としては5秒、10秒、30秒、1分等の適宜設定された値が採用できる。
【0087】
パターン「5」において、表示制御部222は、マスター20とスレーブ10との通信開始時において周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、操作レバー24が操作されているか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXを表示する。これは、通信開始時において、周囲画像G31に作業装置330が出現していない場合、オペレータが作業装置330の位置を認識できなくなることを防止させるとの考えに基づくものである。
【0088】
パターン「6」において、表示制御部222は、遮断レバー25がロック状態にされ、且つ、周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、操作レバー24が操作されているか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXを表示する。
【0089】
これは、遮断レバー25がロック状態にされており、作業装置330の作業が休止されている場合は、周囲画像G31に作業装置330が含まれていなければ、表示オブジェクトOBXを表示させて、オペレータに作業装置330の位置を認識させるのが好ましいとの考えに基づくものである。
【0090】
パターン「7」において、表示制御部222は、デセルレイター機能が作動中、且つ、周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、操作レバー24が操作されているか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXを表示する。これは、デセルレイター機能が作動中であり、作業装置330による作業が休止されている場合、周囲画像G31に作業装置330が含まれていなければ、表示オブジェクトOBXを表示させて、オペレータに作業装置330の位置を認識させるのが望ましいとの考えに基づいている。
【0091】
図6は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6のフローチャートは繰り返し実行される。S101では、判定部221は、周囲画像G31の作業装置330が含まれているか否かを判定する。周囲画像G31に作業装置330が含まれている場合(S101でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示しない(S107)。
【0092】
周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合(S101でNO)、表示制御部222は、センサS2の検出結果から遮断レバー25がロック位置にあるか否かを判定する(S102)。遮断レバー25がロック位置にあると判定された場合(S102でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示する(S103)。これにより、パターン「6」が実現される。
【0093】
一方、遮断レバー25がロック位置にないと判定された場合(S102でNO)、表示制御部222は、ディセルレイター機能が作動中であるか否かを判定する(S104)。デセルレイター機能が作動中であると判定された場合(S104でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示する(S103)。これにより、パターン「7」が実現される。
【0094】
一方、デセルレイター機能が作動中でないと判定された場合(S104でNO)、表示制御部222は、センサS1の検出結果から操作レバー24が操作中であるか否かを判定する(S105)。ここで、表示制御部222は、センサS1が検出した操作レバー24の操作量が0でなければ、操作中であると判定し、センサS1が検出した操作レバー24の操作量が0であれば、操作中でないと判定すればよい。
【0095】
操作レバー24が操作中の場合(S105でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトを表示画面G3に表示しない(S107)。一方、操作レバー24が操作中でない場合(S105でNO)、表示制御部222は、操作レバー24の操作が停止されてから一定時間以上経過したか否かを判定する(S106)。操作レバー24の操作が停止されていから一定時間以上経過した場合(S106でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示する(S103)。一方、操作レバー24の操作が停止されてから一定時間以上経過していない場合(S106でNO)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示しない(S107)。S105でNO、S106でYES、且つ、S103のフローにより、周囲画像G31から作業装置330が消失した場合、操作レバー24が操作中でない状態が一定時間以上経過した後で、表示オブジェクトOBXが表示画面G3に表示されることになる。これにより、パターン「3」、「4」が実現される。
【0096】
また、S101でYES且つS107のフローと、S105でYES且つS107のフローとにより、操作レバー24の操作中は、周囲画像G31に作業装置330があるか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXが表示されないことになる。これにより、パターン「1」が実現されれる。
【0097】
また、S101でYESの場合、処理がS107に進められている。これにより、パターン「2」が実現される。
【0098】
図7は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの通信開始時の処理の一例を示すフローチャートである。S201では、マスター20の表示制御部222は、マスター20とスレーブ10との通信が開始されたか否かを判定する。ここで、通信の開始は、例えば、マスター20のオペレータがマスター20の電源を投入後、接続要求の送信指示をマスター20の入力装置(図略)に入力し、マスター20がその接続要求をスレーブ10に送信することで行われる。ここで、接続要求にはスレーブ10の識別情報等が含まれている。接続要求を受信したスレーブ10は識別情報に基づいて認証処理を行い、認証を許可すると接続応答をマスター20に送信する。これにより、マスター20とスレーブ10との通信接続が確立され、両者の間での通信が開始される。
【0099】
通信が開始されると(S201でYES)、処理はS202に進み、通信が開始されなければ(S201でNO)、処理はS201で待機する。
【0100】
S202では、判定部221は、周囲画像G31に作業装置330が含まれているか否かを判定する。周囲画像G31に作業装置330が含まれている場合(S202でYES)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示しない(S204)。一方、周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合(S202でNO)、表示制御部222は、表示オブジェクトOBXを表示画面G3に表示する(S203)。これにより、通信開始時に周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合に、表示オブジェクトOBXが表示され、パターン「5」が実現される。
【0101】
このように、本実施の形態によれば、建設機械30の操縦席3C内から撮影された建設機械30の周囲画像G31に作業装置330が含まれていない場合、作業装置330の位置をオペレータに知らせるための表示オブジェクトOBXがマスター20の表示画面に表示される。
【0102】
そのため、マスター20の表示装置23に表示される周囲画像G31から作業装置330が消失したとしても、作業装置330の位置をマスター20のオペレータに認識させることができる。その結果、オペレータに作業装置330を安心して操作させることができ、オペレータの作業負担を軽減できる。
【0103】
また、
図6のフローは繰り返し実行されるので、表示オブジェクトOBXは表示画面G3内でリアルタイム表示されることになる。
【0104】
なお、周囲画像G31から作業装置330が消失することを防止するために、操縦席3C内に全方位カメラを設置し、全方位の周囲画像を撮影することも考えられる。しかし、この方法では、周囲画像のデータ量が増大するため主操作装置と従操作装置との通信トラフィックが嵩むと共に、マスターの表示装置の大画面化を招来するという課題が生じる。
【0105】
本実施の形態では、全方位カメラを設置しなくとも、作業装置330が周囲画像G31から消失した場合、その位置をオペレータに知らせることができるので、このような課題を解決できる。
【0107】
(1)
図4において、余白領域G32に表示オブジェクトOBXを表示するパターンPCを採用する場合、表示制御部222は、周囲画像G31に作業装置330が含まれるか否かに拘わらず、表示オブジェクトOBXを常時表示してもよい。特に、表示オブジェクトOBXとして建設機械画像OC又は作業装置画像ODを採用する場合、オペレータに建設機械30の姿勢を俯瞰させることができるため、表示オブジェクトOBXを常時表示させることが好ましい。
【0108】
(2)
図4において、余白領域G32に表示オブジェクトOBXとして建設機械画像OC又は作業装置画像ODを常時表示させるパターンPCと、2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBの全域を周囲画像G31と重畳表示させるパターンPAとを組み合わせた表示態様が採用されてもよい。この場合、2次元矢印画像OA又は3次元矢印画像OBは、
図5に示すパターン「1」〜「7」にしたがって表示及び非表示を決定する態様が採用されればよい。