(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サービスカバーは、第1サービスカバーと、第2サービスカバーとが、前記第1サービスカバー及び前記第2サービスカバーの一方に設けられたサービスカバー係止部と、他方に設けられたサービスカバー係止受け部とが係止されることにより、一体に組み付けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカバー付きコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のカバー付きコネクタをメンテナンスする際、リペアが必要な端子を特定してカバー付きコネクタから引き抜くためには、カバー付きコネクタのうち電線が導出された部分を電線カバーから露出させる必要がある。上記のカバー付きコネクタにおいては、カバー付きコネクタのうち電線が導出された部分を作業者が露出させるためには、電線カバーをカバー付きコネクタの後端部から取り外さなければならない。そのためには、複数の係合突起と、複数の係合片との係止を解除して、電線カバーを分解する必要がある。この電線カバーは電線を保護するものなので、電線の延び方向について比較的に長く延びた形状になる傾向にある。このため、電線カバーを構成する一対の半割カバーを互いに組み付けるための係合突起の個数、及び係合片の個数も、比較的に多くなりがちである。この結果、メンテナンス作業時に、電線カバーを分解する作業が煩わしいという問題があった。
【0006】
本明細書に開示された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、メンテナンス性が向上されたカバー付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術に係るカバー付きコネクタは、相手側コネクタと嵌合可能なコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングから前記相手側コネクタとの嵌合方向の後方に離間した位置に配されると共に、前記コネクタハウジングから前記嵌合方向の後方へ導出された電線を覆う電線カバーと、前記コネクタハウジングと前記電線カバーとに跨って組み付けられたサービスカバーと、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、電線カバーはコネクタハウジングから嵌合方向の後方に離間した位置に配されているので、サービスカバーをコネクタハウジングから取り外すことにより、コネクタハウジングのうち電線が導出された部分を露出させることができる。これにより、メンテナンス時に電線カバーを分解する手間を省くことができるので、カバー付きコネクタのメンテナンス性を向上させることができる。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記コネクタハウジングは、前記相手側コネクタに内嵌するインナーハウジングと、前記相手側コネクタに外嵌するアウターハウジングと、を有し、前記アウターハウジングは、前記インナーハウジングと係止する第1係止部と、前記相手側コネクタと係止する第2係止部と、を有する。
【0011】
上記の構成によれば、以下の作用効果を奏することができる。まず、第1係止部によってアウターハウジングとインナーハウジングとを係止することによりコネクタハウジングを形成する。この状態のコネクタハウジングと、相手側コネクタと、を嵌合させる。このとき、相手側コネクタとアウターハウジングとを第2係止部によって係止すると共に、相手側コネクタにアウターハウジングを外嵌させる。これにより、コネクタハウジングと相手側コネクタとが嵌合される。
【0012】
次に、メンテナンス作業時には、アウターハウジングの第1係止部と、インナーハウジングとの係止を解除し、インナーハウジングを、相手側コネクタ及びアウターハウジングから離脱させる。これにより、メンテナンス作業時においても、アウターハウジングと、相手側コネクタとの間の嵌合状態を維持することができる。これにより、アウターハウジングと相手側コネクタとを離脱させることに起因して、カバー付きコネクタの性能(例えばシール性能)が低下することを抑制することができる。この結果、メンテナンス作業時に、カバー付きコネクタの性能低下に注意する必要がなくなるので、メンテナンス作業の効率が向上する。
【0013】
リペア作業終了後は、インナーハウジングを相手側コネクタに嵌合させると共に、第1係止部によってインナーハウジングとアウターハウジングとを係止する。このとき、相手側コネクタとアウターハウジングとの間は嵌合状態が維持されているので、メンテナンス作業の前後において、カバー付きコネクタの性能が低下することを抑制することができる。この結果、コネクタハウジングと相手側コネクタとの再嵌合時においても、カバー付きコネクタの性能低下に注意する必要がなくなるので、カバー付きコネクタのメンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
前記サービスカバーは、前記コネクタハウジングと前記電線カバーとに跨って組み付けられた状態で、前記第1係止部を覆う第1包囲壁を有する。
【0015】
上記の構成によれば、第1係止部に異物が接触して、インナーハウジングとアウターハウジングとが離脱してしまうことを抑制することができる。一方、メンテナンス作業時は、サービスカバーを取り外すことにより、容易に第1係止部を露出させることができる。これにより、作業者は第1係止部を操作することにより、インナーハウジングとアウターハウジングとの係止を解除して、アウターハウジングからインナーハウジングを離脱させることができる。
【0016】
前記サービスカバーは、前記コネクタハウジングと前記電線カバーとに跨って組み付けられた状態で、前記第2係止部を覆う第2包囲壁を有し、前記第2包囲壁には、前記第2係止部の解除操作を可能とする解除操作孔が貫通されている。
【0017】
上記の構成によれば、サービスカバーを取り外すことなく、相手側コネクタとアウターハウジングとの係止構造を解除することができる。
【0018】
前記電線が挿通される電線貫通孔を有するゴム栓と、前記ゴム栓に外嵌されるキャップと、を備えた止水部材を有し、前記電線カバー内に前記止水部材が取り付けられている。
【0019】
上記の構成によれば、電線カバー内において、電線を確実にシールすることができる。また、他の部材などが止水部材に接触してシール性が低下することを抑制することができる。
【0020】
前記サービスカバーは、第1サービスカバーと、第2サービスカバーとが、前記第1サービスカバー及び前記第2サービスカバーの一方に設けられたサービスカバー係止部と、他方に設けられたサービスカバー係止受け部とが係止されることにより、一体に組み付けられている。
【0021】
上記の構成によれば、サービスカバー係止部とサービスカバー係止受け部との係止構造を解除することにより、サービスカバーを容易にコネクタハウジングから取り外すことができる。これにより、カバー付きコネクタのメンテナンス性を更に向上させることができる。
【0022】
前記第1サービスカバーの外壁には、外方に突出する軸部が設けられており、前記第2サービスカバーには、前記軸部に係合する軸受け部が設けられており、前記第2サービスカバーは、前記サービスカバー係止部と前記サービスカバー係止受け部との係止構造が解除された状態で、前記軸部を中心にして回転可能になっている。
【0023】
上記の構成によれば、サービスカバー係止部と、サービスカバー係止受け部との係止構造を解除したのち、軸部を中心として第2サービスカバーを回転させることにより、コネクタハウジングから電線カバーを離脱させるための離脱構造を露出させることができる。これにより、第1サービスカバーと第2サービスカバーとを分離させなくてもよいので、メンテナンス作業時における部品の管理を容易に行うことができる。これにより、カバー付きコネクタのメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書に開示された技術によれば、カバー付きコネクタのメンテナンス性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術に係る実施形態1を、
図1から
図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係るカバー付きコネクタ(以下、コネクタ)10は、例えば、図示しない車両のタイヤ周辺等、異物が多く存在する環境下において使用される。なお以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。また、複数の同一部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0027】
コネクタ10
コネクタ10は、相手側コネクタ11と嵌合することで相手側コネクタ11と電気的に接続される。本実施形態においては、コネクタ10と相手側コネクタ11とは、前後方向(嵌合方向の一例)に沿って、互いに嵌合する。コネクタ10は、コネクタハウジング12と、コネクタハウジング12から後方へ導出された複数(本実施形態では7本)の電線13を覆う電線カバー14と、コネクタハウジング12と電線カバー14とに跨って取り付けられるサービスカバー15と、を備える。
【0028】
コネクタハウジング12
コネクタハウジング12は、インナーハウジング16と、インナーハウジング16の外周側に配されるアウターハウジング17と、を備える。インナーハウジング16は相手側コネクタ11に内嵌されるようになっている。一方、アウターハウジング17は相手側コネクタ11に外嵌するようになっている。
【0029】
アウターハウジング17の左右両側壁の外面には、外方に突出する第1係止部18が設けられている。アウターハウジング17とインナーハウジング16とは、第1係止部18と、インナーハウジング16のうち第1係止部18に対応する位置に形成された第1係止受け部19とが弾性的に係止することにより、組み付けられるようになっている。
【0030】
インナーハウジング16は、前後方向に延びると共に上下方向に扁平な端子収容部20を有する。端子収容部20には、図示しない端子が収容される複数のキャビティ21が前後方向に延びて形成されている。キャビティ21は前方及び後方について開口している。キャビティ21の後方からは、端子に接続された電線13が後方に導出されている。キャビティ21内には、電線13の端末に接続された端子が、ランス等の公知の手法により、抜け止め状態で収容されている。
【0031】
端子収容部20の左右の両側壁には、前後方向に延びると共に、側方から見て前端が門形状をなす、上記した第1係止受け部19が設けられている。
【0032】
端子収容部20の外面には、前後方向の中央位置付近に、ゴム製のシールリング22が外嵌されている。
【0033】
アウターハウジング17は、前後方向に貫通した筒状に形成されている。アウターハウジング17の内部には、後方からインナーハウジング16が挿入されるようになっている。
【0034】
アウターハウジング17の上壁には、相手側コネクタ11と係止する第2係止部23が形成されている。第2係止部23は、前後方向に延びて板状をなしており、前端部寄りの位置に上下方向に延びる貫通孔24が形成されている。この貫通孔24内に、相手側コネクタ11の第2係止受け部(図示せず)が嵌入することにより、アウターハウジング17と相手側コネクタ11とが抜け止め状態で組み付けられるようになっている。
【0035】
インナーハウジング16とアウターハウジング17とが組み付けられた状態では、インナーハウジング16の端子収容部20は、アウターハウジング17の前端縁から前方に突出するようになっている。インナーハウジング16とアウターハウジング17とが組み付けられた状態のコネクタハウジング12に、相手側コネクタ11が前方から嵌合すると、インナーハウジング16は相手側コネクタ11に内嵌し、アウターハウジング17は相手側コネクタ11に外嵌する。インナーハウジング16の端子収容部20に外嵌されたシールリング22は、相手側コネクタ11と密着する。これにより、インナーハウジング16と相手側コネクタ11とが液密にシールされるようになっている。
【0036】
電線カバー14
コネクタハウジング12の後端部から後方に導出された電線13は、一旦は後方に延出した後、左方に略直角に折れ曲がって左方へ延びている。電線カバー14は、左右方向に細長く延びた形状をなしており、電線13を覆うようになっている。電線カバー14は、コネクタハウジング12の後方の位置に、コネクタハウジング12からやや離間して配されるようになっている。
【0037】
電線カバー14は、上方に開口する第1電線カバー26と、第1
電線カバー
26に上方から組み付けられて、第1電線カバー26の開口を覆う第2電線カバー27と、を備える。第1電線カバー26の側壁には、複数の電線カバーロック部28が外方に突出して形成されている。第2電線カバー27の側壁には、電線カバーロック部28に対応する位置に、電線カバーロック受け部29が形成されている。電線カバーロック受け部29は、側方から見て門形状をなしている。電線カバーロック部28に電線カバーロック受け部29が弾性的に係止することにより、第1電線カバー26と第2電線カバー27とが一体に組み付けられるようになっている。
【0038】
第1電線カバー26と第2電線カバー27とが組み付けられた状態において、電線カバー14の前壁には、左右方向の略右半分の領域に、前方に開口する電線導入口30が形成されている。コネクタハウジング12から導出された電線13は、この電線導入口30から電線カバー14内に導入されるようになっている。
【0039】
電線カバー14の左端部寄りの位置には、前後方向に拡幅された分岐部31が設けられている。この分岐部31の内部において、複数の電線13が、分岐部31の前側に配されるものと、分岐部31の後側に配されるものと、に分岐される。
【0040】
分岐部31の後側には、複数の電線13のうち、2本の大径電線13Aと、この大径電線13Aよりも直径の小さな3本の小径電線13Bと、が配索されている。分岐部31の前側には、2本の小径電線13Bが配索されている
【0041】
分岐部31の後側に配された電線13には、ゴム栓32が外嵌されている。ゴム栓32の略右半分は、複数の電線13がそれぞれ挿通される複数(本実施形態では5個)の電線貫通孔33を有する電線貫通部34とされる。ゴム栓32の略左半分は、5本の電線13を一括して包囲する合成樹脂製のシース35に外嵌するシース外嵌部36とされる。
【0042】
ゴム栓32の外周には左右方向に貫通する円筒形状をなす合成樹脂製のキャップ37が外嵌されている。このキャップ37によって、ゴム栓32が径方向の内方に押圧され内嵌されることにより、電線13とゴム栓32とが液密にシールされる。キャップ37と、ゴム栓32により、止水部材51が構成される。
【0043】
分岐部31の後側には、キャップ37を前方及び後方から挟む挟持壁38が上下方向に立ち上がって形成されている。この挟持壁38によりキャップ37が電線カバー14内で保持されるようになっている。
【0044】
第1電線カバー26と第2電線カバー27とが組み付けられた状態で、電線カバー14の左端部には、2本の電線13が導出される小径導出口39と、シース35で包囲された5本の電線13が導出される大径導出口40と、が左方に開口している。小径導出口39が電線カバー14の前側に設けられており、大径導出口40が電線カバー14の後側に設けられている。
【0045】
サービスカバー15
サービスカバー15は、コネクタハウジング12のうちアウターハウジング17の前端縁41のやや後方から、電線カバー14のうち電線導入口30の孔縁部42までに跨って、コネクタハウジング12及び電線カバー14に装着されている。これにより、サービスカバー15は、コネクタハウジング12のうちアウターハウジング17の前端縁41よりも後方の部分と、電線カバー14のうち電線導入口30の孔縁部42よりも前方の部分とを外方から覆うようになっている。
【0046】
サービスカバー15は、上方に開口する第1サービスカバー43と、第1サービスカバー43に上方から組み付けられる第2サービスカバー44と、を備える。第1サービスカバー43と第2サービスカバー44とが組み付けられた状態では、サービスカバー15は前後方向に貫通する筒状に形成される。
【0047】
第1サービスカバー43の左右両側壁の外面には、外方に突出するサービスカバー係止部45が形成されている。第2サービスカバー44の左右両側壁には、サービスカバー係止部45に対応する位置に、下方に延びるサービスカバー係止受け部46が形成されているサービスカバー係止受け部46は、側方から見て門形状をなしている。サービスカバー係止部45にサービスカバー係止受け部46が弾性的に係止することにより、第1サービスカバー43と第2サービスカバー44とが一体に組み付けられるようになっている。
【0048】
サービスカバー15の左右両側壁は、第1係止部18と第1係止受け部19とを覆う第1包囲壁47とされる。また、サービスカバー15の上壁は、第2係止部23と第2係止受け部とを覆う第2包囲壁48とされる。
【0049】
第2係止部23、及び第2係止受け部の直上部分は第2包囲壁48で覆われるようになっている。一方、第2係止部23、及び第2係止受け部の直上部分から、やや左方にずれた位置、やや右方にずれた位置、及びやや後方にずれた位置には、上方から見て矩形状に開口された解除操作孔49が形成されている。この解除操作孔49から図示しない治具を挿入して第2係止部23と第2係止受け部との係止構造を解除することができるようになっている。解除操作孔49の開口面積は、治具が挿入可能に設定されていると共に、第2係止部23と第2係止受け部との係止構造を解除できる程度に治具を操作することが可能に設定されている。
【0050】
メンテナンス作業の一例
続いて、本実施形態に係るコネクタ10のメンテナンス作業の一例について説明する。メンテナンス作業の工程については、以下の記載に限定されない。
【0051】
図6に示すように、コネクタ10と、相手側コネクタ11とは、互いに嵌合した状態で使用された場合に、相手側コネクタ11と、アウターハウジング17との境界部分に、泥等の異物50が付着する場合がある。
【0052】
まず、サービスカバー係止部45と、サービスカバー係止受け部46との係止構造を解除し、第2サービスカバー44を第1サービスカバー43から取り外す(
図7参照)。すると、第1係止部18と、第1係止受け部19とが露出する。また、コネクタハウジング12の後端部であって、電線13が後方へ導出される部分が露出する。
【0053】
第1サービスカバー43をアウターハウジング17から離間させないで、第1係止部18と第1係止受け部19との係止構造を解除する。次いで、インナーハウジング16を後方に引っ張ることにより、アウターハウジング17からインナーハウジング16を取り外す(
図8参照)。
【0054】
これにより、インナーハウジング16、インナーハウジング16の端子収容部20から導出された電線13、及び電線13を覆う電線カバー14が、相手側コネクタ11、アウターハウジング17、及び第1サービスカバー43から、分離される。
【0055】
このとき、相手側コネクタ11と、アウターハウジング17との嵌合状態は維持されているので、相手側コネクタ11とアウターハウジング17との境界部分に付着した異物50は、相手側コネクタ11と、アウターハウジング17との間には入り込まないようになっている。
【0056】
次いで、端子収容部20から、リペア対象の端子を引き抜いてリペアを実行する。
【0057】
リペア作業が終了した後、電線13に端末に接続された端子を端子収容部20内に収容する
【0058】
アウターハウジング17に対して、後方から、インナーハウジング16を挿入する。このとき、第1サービスカバー43とアウターハウジング17とを離間させていないので、第1サービスカバー43がインナーハウジング16の案内部材として機能し、インナーハウジング16とアウターハウジング17との誤嵌合を抑制することができるようになっている(
図7参照)。
【0059】
アウターハウジング17とインナーハウジング16とを、第1係止部18と第1係止受け部19とによって係止する。その後、第2サービスカバー44を第1サービスカバー43に組み付ける。これにより、コネクタ10のメンテナンス作業が終了する。
【0060】
本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係るコネクタ10は、相手側コネクタ11と嵌合可能なコネクタハウジング12と、コネクタハウジング12から相手側コネクタ11との嵌合方向の後方に離間した位置に配されると共に、コネクタハウジング12から嵌合方向の後方へ導出された電線13を覆う電線カバー14と、コネクタハウジング12と電線カバー14とに跨って組み付けられたサービスカバー15と、を備える。
【0061】
上記の構成によれば、電線カバー14はコネクタハウジング12から嵌合方向(前後方向)の後方に離間した位置に配されているので、サービスカバー15をコネクタハウジング12から取り外すことにより、コネクタハウジング12のうち電線13が導出された部分を露出させることができる。これにより、メンテナンス時に電線カバー14を分解する手間を省くことができるので、コネクタ10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、コネクタハウジング12は、相手側コネクタ11に内嵌するインナーハウジング16と、相手側コネクタ11に外嵌するアウターハウジング17と、を有し、アウターハウジング17は、インナーハウジング16と係止する第1係止部18と、相手側コネクタ11と係止する第2係止部23と、を有する。
【0063】
上記の構成によれば、以下の作用効果を奏することができる。まず、第1係止部18によってアウターハウジング17とインナーハウジング16とを係止することによりコネクタハウジング12を形成する。この状態のコネクタハウジング12と、相手側コネクタ11と、を嵌合させる。このとき、相手側コネクタ11とアウターハウジング17とを第2係止部23によって係止すると共に、相手側コネクタ11にアウターハウジング17を外嵌させる。これにより、コネクタハウジング12と相手側コネクタ11とが嵌合される。
【0064】
次に、メンテナンス作業時には、アウターハウジング17の第1係止部18と、インナーハウジング16の第1係止受け部19との係止を解除し、インナーハウジング16を、相手側コネクタ11及びアウターハウジング17から離脱させる。これにより、メンテナンス作業時においても、アウターハウジング17と、相手側コネクタ11との間の嵌合状態を維持することができる。これにより、アウターハウジング17から相手側コネクタ11を離脱させることに起因して、コネクタ10の性能が低下することを抑制することができる。例えば、アウターハウジング17から相手側コネクタ11を離脱させた場合に、アウターハウジング17と相手側コネクタ11との境界部分に付着した異物50が、相手側コネクタ11の外面又は、アウターハウジング17の内面に入り込むことを抑制することができるので、相手側コネクタ11とコネクタ10との間のシール性が低下することを抑制することができる。この結果、メンテナンス作業時に、コネクタ10の性能低下に注意する必要がなくなるので、コネクタ10のメンテナンス作業の効率が向上する。
【0065】
リペア作業終了後は、インナーハウジング16を相手側コネクタ11に嵌合させると共に、第1係止部18によってインナーハウジング16とアウターハウジング17とを係止する。このとき、相手側コネクタ11とアウターハウジング17との間は嵌合状態が維持されているので、メンテナンス作業の前後において、コネクタ10の性能が低下することを抑制することができる。例えば、相手側コネクタ11とアウターハウジング17との境界部分に付着した異物50が、相手側コネクタ11の外面、又は、アウターハウジング17の内面に移動することを抑制できる。この結果、コネクタハウジング12と相手側コネクタ11との再嵌合時においても、コネクタ10の性能低下に注意する必要がなくなるので、コネクタ10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、サービスカバー15は、コネクタハウジング12と電線カバー14とに跨って組み付けられた状態で、第1係止部18を覆う第1包囲壁47を有する。
【0067】
上記の構成によれば、第1係止部18に異物50が接触して、インナーハウジング16とアウターハウジング17とが離脱してしまうことを抑制することができる。一方、メンテナンス作業時は、サービスカバー15を取り外すことにより、容易に第1係止部18を露出させることができる。これにより、作業者は第1係止部18を操作することにより、インナーハウジング16とアウターハウジング17との係止を解除して、アウターハウジング17からインナーハウジング16を離脱させることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、サービスカバー15は、コネクタハウジング12と電線カバー14とに跨って組み付けられた状態で、第2係止部23を覆う第2包囲壁48を有し、第2包囲壁48には、第2係止部23の解除操作を可能とする解除操作孔49が貫通されている。
【0069】
上記の構成によれば、サービスカバー15を取り外すことなく、相手側コネクタ11とアウターハウジング17との係止構造を解除することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、電線13が挿通される電線貫通孔33を有するゴム栓32と、ゴム栓32に外嵌されるキャップ37と、を備えた止水部材51を有し、電線カバー14内に止水部材51が取り付けられている。
【0071】
上記の構成によれば、電線カバー14内において、電線13を確実にシールすることができる。また、他の部材などが止水部材51に接触してシール性が低下することを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、サービスカバー15は、第1サービスカバー43と、第2サービスカバー44とが、第1サービスカバー43及び第2サービスカバー44の一方に設けられたサービスカバー係止部45と、他方に設けられたサービスカバー係止受け部46とが係止されることにより、一体に組み付けられている。
【0073】
上記の構成によれば、サービスカバー係止部45とサービスカバー係止受け部46との係止構造を解除することにより、サービスカバー15を容易にコネクタハウジング12から取り外すことができる。これにより、コネクタ10のメンテナンス性を更に向上させることができる。
【0074】
<実施形態2>
続いて、実施形態2に係るコネクタ60ついて、
図9から
図11を参照しつつ説明する。
図9に示すように、サービスカバー65を構成する第1サービスカバー61の左右両側壁の前端部寄りの位置には、それぞれ、左右方向について外方に突出する円柱状をなす軸部62が設けられている。
【0075】
第2サービスカバー63の左右両側壁の前端部寄りの位置であって、上記の軸部62に対応する位置には、軸部62に対して軸部62の径方向について外方から係合する軸受け部64が設けられている。軸受け部64は下方に延びると共に二股に分かれて形成されており、二股に分かれた部分が軸部62を前後方向から挟み込むようにして、軸部62と係合するようになっている。二股に分かれた軸受け部64の前後方向の間隔は、軸部62の直径と同じか、やや大きく設定されている。また、二股に分かれた軸受け部64の下端部は、互いに近づくように曲がっており、軸部62が軸受け部64から容易に離脱しないようになっている。
【0076】
図10及び
図11に示すように、サービスカバー係止部45とサービスカバー係止受け部46との係止構造が解除された状態で、且つ、軸部62が、二股に分かれた軸受け部64に挟まれた状態において、第2サービスカバー63は、軸受け部64の上下方向の長さ寸法の分だけ、上下方向に移動可能になっている。また、上記の状態において、第2サービスカバー63は、軸部62を中心にして回転可能になっている。
【0077】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0078】
本実施形態に係るコネクタ60において、メンテナンス作業を行う場合には、例えば、以下のようにする。
【0079】
サービスカバー係止部45と、サービスカバー係止受け部46との係止構造を解除する。
図10に示すように、第2サービスカバー63を上方に移動させる。すると、二股に分かれた軸受け部64内において、軸部62が相対的に下方へ移動する。軸部62が軸受け部64の下端部にまで達すると、幅狭に形成された軸受け部64の先端部によって、軸部62が下方に移動することが抑制される。
【0080】
次いで、第2サービスカバー63を、軸部62を中心にして、
図10における矢線Lで示す方向に回転させる。すると。第1サービスカバー61の後端部と、第2サービスカバー63の後端部との間隔が広がる。これにより、第1サービスカバー61と第2サービスカバー63とを分離させることなく、第1係止部18と、第1係止受け部19とを外部に露出させることができる。
【0081】
作業者は、第1係止受け部19を操作して、第1係止部18との係止構造を解除することにより、インナーハウジング16をアウターハウジング17から分離させることができる。
【0082】
端子のリペア作業が終了した後、インナーハウジング16をアウターハウジング17に、後方から組み付ける。このとき、第1サービスカバー61と第2サービスカバー63とが分離することなくアウターハウジング17側に残留しているので、インナーハウジング16がアウターハウジング17へとガイドされるようになっている。これにより、メンテナンス終了後において、インナーハウジング16とアウターハウジング17とが誤嵌合することが抑制される。
【0083】
その後、第2サービスカバー63を、軸部62を中心にして、
図11における矢線Rで示す方向に回転させる。第2サービスカバー63を
図10に示す位置にまで回転させた後、第2サービスカバー63を下方に移動させる。サービスカバー係止部45とサービスカバー係止受け部46とを係止させることにより、第2サービスカバー63と第1サービスカバー61とを一体に組み付ける。これにより、コネクタ60のメンテナンス作業が終了する。
【0084】
上記の構成によれば、サービスカバー係止部45と、サービスカバー係止受け部46との係止構造を解除したのち、軸部62を中心として第2サービスカバー63を回転させることにより、コネクタハウジング12から電線カバー14を離脱させるための離脱構造を露出させることができる。これにより、第1サービスカバー61と第2サービスカバー63とを分離させなくてもよいので、メンテナンス作業時における部品の管理を容易に行うことができる。これにより、コネクタ
60のメンテナンス性を向上させることができる。
【0085】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することが可能である。
【0086】
(1)実施形態1においてはインナーハウジング16にはシールリング22が外嵌される構成としたが、シールリング22は相手側コネクタ11に内嵌される構成としてもよい。また、例えば異物50の少ない環境下において使用される場合には、シールリング22を設けなくてもよい。
【0087】
(2)実施形態1において、コネクタ10から導出される電線13は、1本〜4本、又は、6本以上であってもよい。
【0088】
(3)実施形態1において、メンテナンス作業時に、第2サービスカバー44に加えて、
図12に示すように、第1サービスカバー43もアウターハウジング17から離脱させてもよい。
【0089】
(4)実施形態1,2においては、サービスカバー15,65は第1サービスカバー43,61及び第2サービスカバー44,63の2個の部品が組み合わされる構成としたが、これに限られず、サービスカバーは、1個の部品からなる構成としてもよいし、また、3個以上の部品が組み合わされる構成としてもよい。
【0090】
(5)実施形態1,2においては、サービスカバー15,65は解除操作孔49を有する構成としたが、これに限られず、サービスカバー15,65が解除操作孔49を有しない構成としてもよい。
【0091】
(6)コネクタ10の端子収容部20に収容される端子は、雌端子でもよく、また、雄端子であってもよい。
【0092】
(7)実施形態1,2においては、コネクタハウジングはインナーハウジングとアウターハウジングの2個の部品を組み合わせてなる構成としたが、これに限られず、コネクタハウジングは1個の部品からなる構成としてもよい。