(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、位置合わせが行なわれた前記X線画像の透過率と前記中間画像の透過率とを異ならせて重ね合わせることにより前記重ね合わせ画像を生成する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
前記制御装置は、位置合わせが行なわれた前記X線画像と前記中間画像とのいずれか一方を白黒反転させて重ね合わせることにより前記重ね合わせ画像を生成する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
前記制御装置は、位置合わせが行なわれた前記X線画像の表示色と前記中間画像の表示色とを異ならせて重ね合わせることにより前記重ね合わせ画像を生成する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
前記制御装置は、前記撮影装置による前記X線画像の生成が終了した後、再生要求に従って、前記重ね合わせ画像を連続して再生するように前記表示装置を制御する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の手法では、撮影開始から終了までの一連の撮影画像が記録(保存)され、記録された第1のサブセットから生成される中間画像(静止画)と、記録された第2のサブセットから選択されるマスク画像(静止画)とが重ね合わされて表示される。この特許文献1に記載の手法は、記録(保存)された過去の撮影画像に基づいて表示画像を生成するものであり、表示のリアルタイム性において課題がある。
【0006】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、撮影されたX線画像をデバイスが表示された画像とともにリアルタイムに表示可能なX線撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、X線撮影システムは、被検体にX線を照射して被検体のX線画像を順次生成するように構成された撮影装置と、撮影装置により生成されたX線画像を表示する表示装置と、表示装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、X線画像におけるマーカーの位置に基づいて、X線画像から、被検体の体内に挿入されたデバイスが表示された中間画像を生成する。制御装置は、中間画像が生成された後、X線画像が新規に生成される毎に、X線画像におけるマーカーの位置と中間画像におけるマーカーの位置とに基づいて、X線画像のマーカーを中間画像のマーカーにマッチングさせることによりX線画像と中間画像との位置合わせを行なう。そして、制御装置は、位置合わせが行なわれたX線画像と中間画像とを重ね合わせることにより生成された重ね合わせ画像を表示するように表示装置を制御する。
【0008】
このX線撮影システムによれば、デバイスが表示された中間画像が生成された後、X線画像が新規に生成される毎に、X線画像と中間画像との位置合わせを行なった上で重ね合わせ画像を表示装置にリアルタイムに表示することができる。その結果、被検体の状態をリアルタイムに確認しながらインターベンション治療を行なうことができる。
【0009】
好ましくは、制御装置は、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、マーカーが検知された最新のX線画像を用いて生成された重ね合わせ画像を表示するように表示装置を制御する。
【0010】
このX線撮影システムにおいては、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、中間画像との位置合わせを行なうことができないので、新規に生成されるX線画像に代えて、マーカーが検知された最新のX線画像と中間画像との重ね合わせ画像が表示される。したがって、このX線撮影システムによれば、位置関係が不確定な重ね合わせ画像が表示されるのを防止するとともに、位置合わせが行なわれた重ね合わせ画像のうち最新の画像を表示することができる。
【0011】
また、好ましくは、制御装置は、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、マーカーが検知されたX線画像のうち最もコントラストの高いX線画像を用いて生成された重ね合わせ画像を表示するように表示装置を制御する。
【0012】
このX線撮影システムにおいては、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、中間画像との位置合わせを行なうことができないので、新規に生成されるX線画像に代えて、マーカーが検知されたX線画像のうち最もコントラストの高い画像と中間画像との重ね合わせ画像が表示される。したがって、このX線撮影システムによれば、位置関係が不確定な重ね合わせ画像が表示されるのを防止するとともに、位置合わせが行なわれた重ね合わせ画像のうち最もコントラストの高い画像を表示することができる。
【0013】
さらに好ましくは、制御装置は、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、X線の照射を停止するように撮影装置を制御する。
【0014】
これにより、被検体の不要な被ばくを避けることができる。なお、マーカーが検知されないX線画像からは重ね合わせ画像が生成されないので、X線の照射を停止しても、表示装置における表示に影響はない。
【0015】
好ましくは、制御装置は、X線画像においてマーカーを検知できない場合は、マーカーの不検知を表示するように表示装置を制御する。
【0016】
これにより、X線撮影システムの利用者は、X線画像においてマーカーを検知できないために表示内容が変更されること(X線画像が新規に生成される毎のリアルタイム表示ではなくなること)を認識することができる。
【0017】
好ましくは、制御装置は、デバイスが表示された複数のX線画像の各々におけるマーカーの位置に基づいて、複数のX線画像の位置合わせを行ない、位置合わせが行なわれた複数のX線画像を重ね合わせることにより中間画像を生成する。
【0018】
これにより、中間画像においてデバイスが強調して表示されるので、重ね合わせ画像においてデバイスを明確に視認することが可能となる。
【0019】
好ましくは、制御装置は、所定の条件が成立するまでに生成されたX線画像に基づいて中間画像を生成する。
【0020】
これにより、所定の条件の成立をトリガーにして、その条件が成立するまでに生成されたX線画像に基づいて中間画像を自動的に生成することができる。
【0021】
さらに好ましくは、所定の条件は、被検体に造影剤を注入する装置から被検体への造影剤の注入が開始されると成立する。
【0022】
また、好ましくは、所定の条件は、撮影装置により生成されたX線画像において被検体への造影剤の注入が検知されると成立する。
【0023】
これにより、造影剤の注入をトリガーにして、造影剤が注入される前に撮影されたX線画像に基づいて中間画像を自動的に生成することができる。
【0024】
好ましくは、制御装置は、位置合わせが行なわれたX線画像の透過率と中間画像の透過率とを異ならせて重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成する。
【0025】
また、好ましくは、制御装置は、位置合わせが行なわれたX線画像と中間画像とのいずれか一方を白黒反転させて重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成する。
【0026】
また、好ましくは、制御装置は、位置合わせが行なわれたX線画像の表示色と中間画像の表示色とを異ならせて重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成する。
【0027】
これらによれば、X線画像に表示された表示対象と、中間画像に表示されたデバイスとを明確に区別して視認することが可能となる。
【0028】
好ましくは、制御装置は、中間画像が生成されると、重ね合わせ画像の表示が開始されることを表示するように表示装置を制御する。
【0029】
これにより、X線撮影システムの利用者は、中間画像を生成するフェーズ(中間画像生成フェーズ)から、重ね合わせ画像を表示するフェーズ(血管表示フェーズ)に移行したことを認識することができる。
【0030】
好ましくは、制御装置は、撮影装置によるX線画像の生成が終了した後、再生要求に従って、重ね合わせ画像を連続して再生するように表示装置を制御する。
【0031】
これにより、中間画像との位置合わせが行なわれたX線画像のみを、利用者等からの再生要求に従って表示装置で再生表示することができる。
【0032】
好ましくは、デバイスは、被検体の血管に挿入されたステントである。制御装置は、被検体の血管に造影剤が注入される前に中間画像を生成し、中間画像が生成された後、被検体の血管に造影剤を注入して撮影されるX線画像が新規に生成される毎に、X線画像と中間画像との位置合わせを行ない、重ね合わせ画像を表示するように表示装置を制御する。
【0033】
このX線撮影システムによれば、被検体の血管に挿入されたステントと血管との位置関係をリアルタイムに確認しながらインターベンション治療を行なうことができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、撮影されたX線画像をデバイスが表示された画像とともにリアルタイムに表示可能なX線撮影システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態に従うX線撮影システムの全体構成図である。
図1を参照して、X線撮影システム100は、撮影装置10と、制御装置30と、表示装置40と、操作部50とを備える。
【0039】
撮影装置10は、X線照射制御部12と、X線照射部14と、撮影テーブル16と、X線像検出部20と、X線画像生成部22とを含む。X線照射制御部12は、操作部50からの指示に従って、X線照射の開始/終了を制御するとともに、管電圧や管電流等の撮影条件を制御する。
【0040】
X線照射部14は、X線管と、コリメータと、移動装置とを含んで構成される(いずれも図示せず)。X線照射部14は、X線照射制御部12により設定される撮影条件に従ってX線を発生し、撮影テーブル16上の被検体18に向けてX線を照射する。X線管は、移動装置に取付けられており、移動装置によって上下及び水平方向に移動可能となっている。コリメータは、X線管に設けられており、X線管から照射されるX線の照射野を調整する。
【0041】
X線像検出部20は、X線管から照射されて撮影テーブル16及び被検体18を透過したX線を検出する。X線像検出部20は、代表的には、フラットパネルディテクタ(以下「FPD(Flat Panel Detector)」と称する。)によって構成される。FPDは、蛍光体によって入射X線を蛍光に変換してから電気信号に変換する、いわゆる間接型のFPDであってもよいし、アモルファスセレン(a−Se)等のX線変換膜によって入射X線を電気信号に直接変換する、いわゆる直接型のFPDであってもよい。
【0042】
X線画像生成部22は、X線像検出部20において入射X線から変換された電気信号を所定の周期毎にX線像検出部20から取得し、X線画像を生成して制御装置30へ出力する。X線画像生成部22は、たとえば毎秒15フレームのX線画像を順次生成して制御装置30へ出力する。
【0043】
制御装置30は、制御部32と、記憶部34とを含む。制御部32は、演算処理装置と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力バッファ等を含んで構成される(いずれも図示せず)。制御部32は、X線画像生成部22により順次生成されるX線画像をX線画像生成部22から取得し、メモリ(ROM)に記憶されたプログラムに従って、取得されるX線画像に対して各種処理を実行する。そして、制御部32は、各種処理が施されたX線画像を表示するように表示装置40を制御する。制御部32により実行される処理の具体的な内容については、後ほど詳しく説明する。
【0044】
記憶部34は、たとえば、ハードディスクやソリッドステートドライブ等の大容量の記憶装置を含んで構成される。記憶部34は、撮影装置10により撮影されたX線画像のデータを蓄える。また、記憶部34は、撮影装置10による撮影終了後の再生用に、表示装置40に表示される画像のデータも蓄える。
【0045】
表示装置40は、撮影装置10により生成されたX線画像を表示するディスプレイである。表示装置40は、制御装置30において各種処理が施されたX線画像のデータを制御装置30から受けて表示する。表示装置40は、たとえば、タッチパネルを備えるディスプレイによって構成される。表示装置40に表示される画像についても、後ほど制御部32の処理とともに説明する。
【0046】
操作部50は、X線撮影システム100を利用する医師や技師等(以下、X線撮影システム100の「ユーザ」と称する。)が操作可能な入力装置である。X線撮影システム100のユーザは、操作部50から、たとえば、撮影装置10によるX線撮影の開始/終了を指示したり、撮影装置10の撮影条件を設定したり、表示装置40の表示状態を指示したりすることができる。
【0047】
図2は、このX線撮影システム100を用いたインターベンション治療に用いられるカテーテルの構成を概略的に示す図である。
図2を参照して、カテーテル60は、その内部にガイドワイヤ61を含む。ガイドワイヤ61には、デバイス62が設けられている。デバイス62は、たとえばステンレス等の金属によって構成される筒状かつメッシュ状のステントである。カテーテル60を用いて血管内の狭窄部位にデバイス62を配置し、デバイス62の内部に設けられるバルーン(図示せず)によりデバイス62を膨らませて留置することによって、狭窄部位を広げて血流を正常に保つことができる。
【0048】
デバイス62の近傍には、X線撮影時にデバイス62の位置を特定するためのマーカー63が設けられている。この例では、ガイドワイヤ61におけるデバイス62の両端に一対のマーカー63が設けられている。マーカー63は、たとえば金やプラチナ、タンタル等の金属によって構成されるX線不透過の部材である。撮影されたX線画像においてマーカー63の位置を検知することによって、デバイス62の位置を特定することができる。
【0050】
カテーテルを用いてデバイスを血管内に留置するインターベンション治療においては、X線撮影装置により被検体を連続的にX線撮影した状態で、血管内にデバイス(ステント)を挿入し、デバイスの挿入が確認されると、造影剤を注入して血管を可視化して、デバイスと血管(病変部位)との位置関係が確認される。
【0051】
この際、上記の特許文献1に記載のように、撮影開始から終了までを記録した一連の撮影画像を、造影剤が注入される前のフレーム群と、造影剤が注入された後のフレーム群とに分け、造影剤注入前のフレーム群から生成される中間画像(デバイスが表示された画像)と、造影剤注入後のフレーム群から適宜選択される血管画像(造影剤により血管が可視化された画像)とを重ね合わせて表示する手法がある。
【0052】
しかしながら、この手法は、記録(保存)された過去の一連の撮影画像に基づいて表示画像を生成するものであり、被検体の状態をリアルタイムに確認しながらインターベンション治療を行なうことができない。
【0053】
そこで、この実施の形態に従うX線撮影システム100では、撮影されたX線画像をリアルタイムに表示装置40に表示可能なシステムが提供される。このX線撮影システム100では、被検体18の撮影が開始されてから撮影が終了するまでの撮影区間が、造影剤の注入前後で中間画像生成フェーズと血管表示フェーズとに分けられる。
【0054】
図3は、このX線撮影システム100における処理の流れの概要を示した図である。
図3を参照して、時刻t0において、撮影装置10による被検体18の撮影が開始されるものとする。
【0055】
時刻t0から造影剤の注入が開始されるまでの時刻t1までは、中間画像生成フェーズである。中間画像生成フェーズでは、造影剤注入前のデバイス62が表示された中間画像が生成される。この実施の形態では、造影剤注入前の複数のX線画像を、マーカー63(
図2)の位置に基づいて位置合わせを行なった上で重ね合わせることにより、中間画像が生成される。画像の位置合わせについては、一対のマーカー63の位置を基準にして、画像間でマーカー63が互いに重なりあうように、画像を移動したり、拡大又は縮小したり、回転したりすることで、画像の位置合わせが行なわれる。
【0056】
なお、中間画像の生成に用いるX線画像は、撮影が開始された時刻t0から造影剤の注入が開始される時刻t1までに撮影される画像の全てを必ずしも用いる必要はなく、たとえば、ユーザによる中間画像の生成指示後に撮影される8枚から十数枚程度のX線画像を重ね合わせたものを中間画像としてもよい。
【0057】
中間画像生成フェーズにおいて中間画像が生成され、時刻t1において造影剤の注入が開始されると、中間画像生成フェーズから血管表示フェーズへ移行する。血管表示フェーズでは、造影剤の注入により血管(血流)が可視化されたX線画像が生成される。そして、X線画像が新規に生成される毎に、その新規に生成されたX線画像に、中間画像生成フェーズにおいて生成された中間画像を重ね合わせた重ね合わせ画像が生成され、表示装置40に表示される。
【0058】
新規に生成されたX線画像と中間画像との位置合わせについては、生成されたX線画像において検知されるマーカー63の位置と、中間画像におけるマーカー63の位置とに基づいて、生成されたX線画像のマーカー63に中間画像のマーカー63をマッチングさせることにより、生成されたX線画像と中間画像との位置合わせが行なわれる。すなわち、中間画像の生成時と同様に、一対のマーカー63の位置を基準にして、生成されたX線画像のマーカー63と中間画像のマーカー63とが重なりあうように、画像を移動したり、拡大又は縮小したり、回転したりすることで、両画像の位置合わせが行なわれる。
【0059】
すなわち、この血管表示フェーズでは、造影剤により血管が可視化された一連のX線撮影画像の収集後に所望の画像(たとえばマーカー63が明白に検知できる画像)を選択して中間画像と重ね合わせて表示するのではなく、X線画像が新規に生成される毎に、中間画像を重ね合わせた画像がリアルタイムに表示装置40に表示される。これにより、被検体の状態をリアルタイムに確認しながらインターベンション治療を行なうことができる。
【0060】
なお、造影剤が注入されると、マーカー63の視認性が低下する。そして、時刻t2において、造影剤の注入が進むことによりX線画像においてマーカー63が消失すると(マーカー63を検知できなくなると)、この実施の形態では、X線の照射が停止されるとともに、表示装置40において、マーカー63が消失する直前に表示されていた画像が維持される(以下、この画像維持を「ラストイメージホールド」とも称する。)。
【0061】
すなわち、この実施の形態では、造影剤によってマーカー63を検知できなくなった場合は、中間画像との位置合わせを行なうことができないので、新規に生成されるX線画像に代えて、マーカー63が検知された最新のX線画像と中間画像との重ね合わせ画像(ラストイメージ)が表示装置40に表示される(ラストイメージホールド)。これにより、位置関係が不確定な重ね合わせ画像が表示されるのを防止するとともに、位置合わせが行なわれた重ね合わせ画像のうち最新の画像を表示することができる。また、X線の照射が停止されるので、被検体の不要な被ばくを避けることができる。
【0062】
なお、造影剤の注入が開始されると、中間画像生成フェーズから血管表示フェーズへ移行するところ、造影剤の注入が開始されたか否かは、たとえば、造影剤の注入を行なうインジェクタからの造影剤の注入を示す信号(
図1)に基づいて判定することができる。或いは、撮影されたX線画像において、造影剤の注入を検知することにより造影剤の注入開始を判定してもよい。
【0063】
また、中間画像生成フェーズから血管表示フェーズへの移行は、造影剤の注入開始以外の条件で行なってもよい。たとえば、X線の照射が開始されてから生成されたX線画像のフレーム数が所定数を超えた場合や、X線の照射が開始されてから所定時間を経過した場合等に、フェーズ移行を行なうものとしてもよい。なお、これらの条件が成立すること、及び造影剤の注入が開始されることは、この発明における「所定の条件」が成立することに相当する。
【0064】
図4は、
図1に示した制御部32により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、たとえば、操作部50においてユーザが当該処理の開始を入力すると開始される。
【0065】
図4を参照して、制御部32は、X線照射部14からのX線の照射を開始して撮影装置10による被検体18のX線撮影を開始する(ステップS10)。X線の照射が開始されると、制御部32は、中間画像の生成が指示されたか否かを判定する(ステップS15)。この中間画像生成の指示は、たとえば操作部50(
図1)からユーザが入力することができる。そして、中間画像の生成が指示されると(ステップS15においてYES)、制御部32は、中間画像を生成する中間画像生成処理を実行する(ステップS20)。
【0066】
図5は、
図4のステップS20において実行される中間画像生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5を参照して、制御部32は、X線画像生成部22により新規に生成されたX線画像を取得する(ステップS110)。なお、X線画像生成部22は、たとえば毎秒15フレームのX線画像を生成する。
【0067】
X線画像生成部22からX線画像が取得されると、制御部32は、取得されたX線画像から一対のマーカー63(
図2)を検出する(ステップS120)。マーカー63の検出手法には、公知の種々の画像認識技術を用いることができる。なお、中間画像生成フェーズでは、造影剤は注入されていないので、マーカー63の視認性は高く、マーカー63は容易に検出され得る。
【0068】
マーカー63が検出されると、制御部32は、検出されたマーカー63の位置に基づいて、ステップS110において今回取得されたX線画像と、それまでに取得されたX線画像(既に画像の重ね合わせが行なわれている場合には、それまでの重ね合わせ画像)との位置合わせを行なう(ステップS130)。具体的には、ステップS120において検出された一対のマーカー63の位置と、それまでに取得されたX線画像における一対のマーカー63の位置とに基づいて、両画像におけるマーカー位置をマッチングさせることにより、画像の位置合わせが行なわれる。
【0069】
なお、ステップS110において取得されたX線画像が1枚目(1フレーム目)の場合には、まだ重ね合わせる画像がないので、ステップS130及び後述のステップS140の処理は省略される。
【0070】
画像の位置合わせが行なわれると、制御部32は、ステップS110において今回取得されたX線画像に、それまでに取得されたX線画像(既に画像の重ね合わせが行なわれている場合には、それまでの重ね合わせ画像)を重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS140)。
【0071】
次いで、制御部32は、ステップS140において生成された重ね合わせ画像において重ね合わされている画像の枚数がN枚(たとえば8枚から十数枚程度)以上であるか否かを判定する(ステップS150)。画像枚数がN枚未満である場合は(ステップS150においてNO)、制御部32は、ステップS110へ処理を戻し、X線画像生成部22からの次のX線画像の取得を待つ。
【0072】
ステップS150において、画像枚数がN枚以上であると判定されると(ステップS150においてYES)、制御部32は、生成された重ね合わせ画像を中間画像として記憶部34(
図1)に保存する(ステップS160)。
【0073】
再び
図4を参照して、ステップS20において中間画像が生成されると、制御部32は、造影剤の注入が開始されたか否かを判定する(ステップS25)。そして、造影剤の注入が開始されたものと判定されると(ステップS25においてYES)、制御部32は、中間画像生成フェーズから血管表示フェーズへ移行することをユーザに報知するための処理を実行する(ステップS30)。たとえば、制御部32は、フェーズ移行が行なわれることを表示するように表示装置40を制御する。なお、フェーズ移行の報知は、音声等により行なわれてもよい。
【0074】
血管表示フェーズへの移行後、制御部32は、X線画像生成部22により新規に生成されたX線画像を取得する(ステップS40)。なお、血管表示フェーズへの移行後に取得されるX線画像は、造影剤が注入されることにより血管が可視化された画像である。そして、制御部32は、取得されたX線画像を記憶部34(
図1)に保存する(ステップS50)。
【0075】
次いで、制御部32は、ステップS40において取得されたX線画像においてマーカー63を検知可能か否かを判定する(ステップS60)。血管内に造影剤が注入されると、血管が可視化される一方で、マーカー63の視認性は低下する。そして、造影剤の注入が進むと、X線画像においてマーカー63を検知できなくなる。
【0076】
取得されたX線画像においてマーカー63が検知される場合は(ステップS60においてYES)、制御部32は、ステップS40において取得された新規のX線画像に、中間画像生成処理において生成された中間画像を重ね合わせて表示する重ね合わせ表示処理を実行する(ステップS70)。
【0077】
図6は、
図4のステップS70において実行される重ね合わせ表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、制御部32は、
図4のステップS40において取得されたX線画像から一対のマーカー63(
図2)を検出する(ステップS210)。次いで、制御部32は、
図4のステップS20における中間画像生成処理により生成された中間画像を記憶部34(
図1)から取得する(ステップS220)。
【0078】
続いて、制御部32は、ステップS210において検出されたマーカー63の位置に基づいて、
図4のステップS40において今回取得された新規のX線画像と、中間画像との位置合わせを行なう(ステップS230)。具体的には、中間画像からも一対のマーカー63を検出し、ステップS210において検出されたマーカー63の位置に、中間画像のマーカーの位置をマッチングさせることにより、取得された新規のX線画像と中間画像との位置合わせを行なう。より詳しくは、ステップS210において検出されたマーカー63と中間画像のマーカー63とが重なりあうように、画像を移動したり、拡大又は縮小したり、回転したりすることで、両画像の位置合わせが行なわれる。
【0079】
画像の位置合わせが行なわれると、制御部32は、今回取得された新規のX線画像に中間画像を重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS240)。そして、制御部32は、その生成された重ね合わせ画像を表示装置40に表示するように表示装置40を制御する(ステップS250)。また、制御部32は、一連のX線画像の収集・表示後に、生成された重ね合わせ画像を表示装置40において再生可能なように、ステップS240において生成された重ね合わせ画像を記憶部34(
図1)に保存する(ステップS260)。
【0080】
再び
図4を参照して、ステップS70において重ね合わせ表示処理が実行されると、制御部32は、ステップS40へ処理を戻し、X線画像生成部22により新規に生成される次のX線画像の取得を待つ。
【0081】
ステップS60において、取得されたX線画像においてマーカー63を検知できない場合は(ステップS60においてNO)、制御部32は、取得されたX線画像においてマーカー63を検知できないことをユーザに報知するための処理を実行する(ステップS75)。たとえば、制御部32は、マーカー63を検知できていない旨を表示するように表示装置40を制御する。なお、この報知についても、音声等で行なってもよい。
【0082】
さらに、制御部32は、X線照射部14からのX線の照射を停止するように操作部50へ指示を出力する(ステップS80)。そして、制御部32は、マーカー63が検知不可となる直前における表示装置40の表示を維持するように表示装置40を制御する(ステップS90)。すなわち、マーカー63が検知された最新のX線画像と中間画像との重ね合わせ画像(ラストイメージ)の表示が表示装置40において維持される(ラストイメージホールド)。
【0083】
図7から
図9は、
図6のステップS250において表示装置40に表示される重ね合わせ画像の表示態様例を示す図である。
【0084】
図7を参照して、この例では、制御部32は、造影剤注入後の新規に生成されたX線画像の透過率と中間画像の透過率とを異ならせて重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成し、表示装置40に表示させる。透過率が低いほど濃い(透過性の低い)画像となり、透過率が高いほど薄い(透過性の高い)画像となる。図示されるように、透過率を適宜異ならせて両画像を表示させることによって、取得されたX線画像に表示される血管64と、中間画像に表示されるデバイス62とのいずれも、重ね合わせ画像上で明瞭に視認することができる。なお、取得されるX線画像の透過率と中間画像の透過率とを操作部50からユーザが変更できるようにしてもよい。
【0085】
図8を参照して、この例では、制御部32は、中間画像を白黒反転させて、取得されたX線画像に重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成し、表示装置40に表示させる。また、
図9を参照して、この例では、制御部32は、取得されたX線画像を白黒反転させた画像に中間画像を重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成し、表示装置40に表示させる。このように、取得されたX線画像と中間画像とのいずれか一方を白黒反転させて重ね合わせて表示することにより、取得されたX線画像に表示される血管64と、中間画像に表示されるデバイス62とのいずれも、重ね合わせ画像上で明瞭に視認することができる。
【0086】
なお、その他の例として、制御部32は、造影剤注入後の新規に生成されたX線画像の表示色と中間画像の表示色とを異ならせて重ね合わせることにより重ね合わせ画像を生成し、表示装置40に表示させてもよい。このようにして生成される重ね合わせ画像によっても、取得されたX線画像に表示される血管64と、中間画像に表示されるデバイス62とを明瞭に区別して視認することが可能となる。
【0087】
なお、この実施の形態では、一連のX線撮影が終了した後、再生要求に従って、血管表示フェーズにおいて生成された重ね合わせ画像を記憶部34から取得し、表示装置40において連続再生することができる。再生要求は、たとえば、操作部50(
図1)からのユーザによる要求であってもよいし、一連のX線撮影が終了した後、予め定められたタイミングで自動的になされるものであってもよい。
【0088】
図10は、一連のX線撮影の終了後に、表示装置40において連続再生される重ね合わせ画像の再生範囲を示す図である。
図10を参照して、たとえば、時刻t0において撮影装置10による撮影が開始された後、20フレーム目までが中間画像生成フェーズであり、時刻t1において造影剤の注入が開始されることによって、21フレーム目から血管表示フェーズに移行したものとする。そして、血管表示フェーズ中の41フレーム目の取得画像においてマーカー63を検知できなくなった場合(時刻t2)、21フレーム目から40フレーム目までの画像が再生範囲として選択される。
【0089】
図11は、制御部32により実行される画像再生処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、一連のX線撮影の終了後に、再生要求に従って開始される。
【0090】
図11を参照して、制御部32は、再生要求に従って、
図6の重ね合わせ表示処理において生成され記憶部34に保存された一連の重ね合わせ画像を記憶部34から取得する(ステップS310)。そして、制御部32は、記憶部34から取得した一連の重ね合わせ画像を表示装置40において連続再生するように表示装置40を制御する(ステップS320)。
【0091】
以上のように、この実施の形態によれば、デバイス62が表示された中間画像が生成された後、X線画像が新規に生成される毎に、マーカー63の位置に基づいて新規のX線画像と中間画像との位置合わせを行なった上で重ね合わせ画像を表示装置40にリアルタイムに表示することができる。その結果、被検体18の状態を表示装置40上でリアルタイムに確認しながらインターベンション治療を行なうことができる。
【0092】
また、この実施の形態においては、血管表示フェーズにおいて、造影剤の注入が進むことにより、新規に生成されるX線画像においてマーカー63を検知できなくなると、マーカー63が検知された最新のX線画像と中間画像との重ね合わせ画像が表示される(ラストイメージホールド)。したがって、この実施の形態によれば、位置関係が不確定な重ね合わせ画像が表示されるのを防止するとともに、位置合わせが行なわれた重ね合わせ画像のうち最新の画像を表示装置40に表示することができる。さらに、この実施の形態では、マーカー63を検知できなくなると、X線の照射が停止されるので、被検体18の不要な被ばくを避けることができる。
【0093】
また、この実施の形態によれば、中間画像生成フェーズにおいて、デバイス62が表示された複数のX線画像を重ね合わせることにより中間画像が生成されるので、中間画像においてデバイス62が強調して表示され、重ね合わせ画像においてデバイス62を明瞭に視認することが可能となる。
【0095】
上記の実施の形態では、血管表示フェーズにおいて、新規に生成されるX線画像にてマーカー63を検知できなくなると、マーカー63が検知された最新のX線画像と中間画像との重ね合わせ画像を表示するものとしたが(ラストイメージホールド)、マーカー63が検知されたX線画像のうち最もコントラストの高い画像を選択して、中間画像と重ね合わせて表示装置40に表示するようにしてもよい。
【0096】
図12は、この変形例1における制御部32により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、上記の実施の形態における
図4のフローチャートに対応するものである。このフローチャートに示される一連の処理も、たとえば、操作部50においてユーザが当該処理の開始を入力すると開始される。
【0097】
図12を参照して、ステップS410からS480の処理は、それぞれ
図4に示したステップS10からS80の処理と同じである。そして、この変形例1では、ステップS480においてX線の照射が停止すると、制御部32は、血管表示フェーズにおいてそれまでに生成された重ね合わせ画像の中から最もコントラストの高い画像を記憶部34から取得する(ステップS485)。そして、制御部32は、取得された高コントラストの重ね合わせ画像を表示するように表示装置40を制御する(ステップS490)。
【0098】
この変形例1によっても、造影剤の注入によってマーカー63を検知できない場合に、位置関係が不確定な重ね合わせ画像が表示されるのを防止することができる。そして、位置合わせが行なわれた重ね合わせ画像のうち最もコントラストの高い画像を表示装置40に表示することができる。
【0100】
上記の実施の形態及び変形例1では、血管表示フェーズにおいて、新規に生成されるX線画像にてマーカー63を検知できなくなると、X線の照射を停止するものとしたが、X線撮影の終了が指示されるまでは、X線照射を停止することなく、新規に生成されるX線画像を順次表示装置40に表示させるとともに記憶部34に保存するようにしてもよい。マーカー63を検知できないため、新規に生成されるX線画像と中間画像との位置合わせを行なうことはできないけれども、X線撮影の終了が指示されるまでは、生成されたX線画像を表示及び保存するものである。
【0101】
図13は、この変形例2における制御部32により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートも、上記の実施の形態における
図4のフローチャートに対応するものである。このフローチャートに示される一連の処理も、たとえば、操作部50においてユーザが当該処理の開始を入力すると開始される。
【0102】
図13を参照して、ステップS510からS575の処理は、それぞれ
図4に示したステップS10からS75の処理と同じである。そして、この変形例2では、ステップS575においてマーカー63の不検知が報知されると、制御部32は、引き続き、X線画像生成部22により新規に生成されたX線画像を取得する(ステップS580)。
【0103】
そして、制御部32は、取得されたX線画像を表示装置40に表示させるとともに、記憶部34(
図1)に保存する(ステップS585)。次いで、制御部32は、X線撮影が終了したか否かを判定する(ステップS590)。なお、X線撮影の終了は、たとえば、操作部50からユーザが指示することができる。
【0104】
X線撮影が終了していなければ(ステップS590においてNO)、制御部32は、ステップS580へ処理を戻し、X線画像生成部22により生成される次のX線画像の取得を待つ。ステップS590においてX線撮影が終了したものと判定されると(ステップS590においてYES)、制御部32はエンドへと処理を移行し、一連の処理が終了する。
【0105】
この変形例2によれば、血管表示フェーズにおいて、造影剤の注入によりマーカー63を検知できなくなり、取得されるX線画像と中間画像との位置合わせができなくても、X線撮影の終了が指示されるまでは、X線照射を停止することなく、新規に生成されるX線画像を表示装置40に表示するとともに、記憶部34に保存することができる。
【0106】
なお、上記においては、造影剤の注入によりX線画像においてマーカー63が検知できなくなった場合にラストイメージホールドする画像を、マーカー63が検知された最新のX線画像と中間画像とを重ね合わせた画像(実施の形態)、又はマーカー63が検知されたX線画像のうち最もコントラストの高い画像と中間画像とを重ね合わせた画像(変形例1)としたが、本発明はこれに限られない。本発明においてラストイメージホールドする画像は、デバイス62と血管64との相対位置が認識できる画像であればよい。
【0107】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。