特許第6947143号(P6947143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947143
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】画像表示モジュールおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20210930BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20210930BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210930BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   G03B21/14 Z
   H05B33/14 A
   H01L27/32
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-174621(P2018-174621)
(22)【出願日】2018年9月19日
(65)【公開番号】特開2020-46529(P2020-46529A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2021年3月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】腰原 健
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−062108(JP,A)
【文献】 特開昭62−143087(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0196413(US,A1)
【文献】 特表2015−515732(JP,A)
【文献】 特開平06−141262(JP,A)
【文献】 特開平04−127140(JP,A)
【文献】 特開2000−056410(JP,A)
【文献】 特開2000−066301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
G03B 21/00
G03B 21/14
H05B 33/12 − 33/14
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光素子を有する第1画素を複数備え、複数の前記第1画素の各々から第1波長域の第1色光を射出する第1表示パネルと、
第2発光素子を有する第2画素と第3発光素子を有する第3画素とを複数備え、複数の前記第2画素の各々から前記第1波長域とは異なる第2波長域の第2色光を射出し、複数の前記第3画素の各々から前記第1波長域および前記第2波長域とは異なる第3波長域の第3色光を射出する第2表示パネルと、
前記第1色光を透過もしくは反射させ、前記第2色光および前記第3色光を反射もしくは透過させるダイクロイックミラーを有し、前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を合成するダイクロイックプリズムを有する合成光学系と、を備え
前記第1色光は緑色光であり、前記第2色光は青色光であり、前記第3色光は赤色光であり、
前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、互いに寸法が異なり、
前記第2画素の面積は、前記第1画素の面積よりも大きく、
前記第1画素の面積は、前記第3画素の面積よりも大きい、画像表示モジュール。
【請求項2】
前記第2画素の水平方向の寸法と前記第3画素の水平方向の寸法との合計は、前記第1画素の水平方向の寸法の2倍である、請求項1に記載の画像表示モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の画像表示モジュールを備えた、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示モジュールおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクター等の画像表示装置の構成要素として、互いに異なる色光を射出する3枚の表示パネルと、各表示パネルから射出された色光を合成する色合成プリズムと、を備えた画像表示モジュールが従来から知られている。
【0003】
下記の特許文献1に、青色光を射出する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する第1表示ユニットと、緑色光を射出する有機EL素子を有する第2表示ユニットと、赤色光を射出する有機EL素子を有する第3表示ユニットと、3つの表示ユニットからの光を合成するクロスダイクロイックプリズムと、を備えた電気光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−230151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電気光学装置において、クロスダイクロイックプリズムは2枚のダイクロイックミラーが互いに交差した構成を有するため、画像の中央に2枚のダイクロイックミラーの交差部分に起因した線状の欠陥が生じ、画像品位が低下する、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の画像表示モジュールは、第1発光素子を有する第1画素を複数備え、複数の前記第1画素の各々から第1波長域の第1色光を射出する第1表示パネルと、第2発光素子を有する第2画素と第3発光素子を有する第3画素とを複数備え、複数の前記第2画素の各々から前記第1波長域とは異なる第2波長域の第2色光を射出し、複数の前記第3画素の各々から前記第1波長域および前記第2波長域とは異なる第3波長域の第3色光を射出する第2表示パネルと、前記第1色光を透過もしくは反射させ、前記第2色光および前記第3色光を反射もしくは透過させるダイクロイックミラーを有し、前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を合成するダイクロイックプリズムを有する合成光学系と、を備え、前記第1色光は緑色光であり、前記第2色光は青色光であり、前記第3色光は赤色光であり、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、互いに寸法が異なり、前記第2画素の面積は、前記第1画素の面積よりも大きく、前記第1画素の面積は、前記第3画素の面積よりも大きい
【0007】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールにおいて、前記第1色光は緑色光であり、前記第2色光は青色光であり、前記第3色光は赤色光であってもよい。
【0008】
前記第2表示パネルにおいて、前記第2画素の面積は前記第3画素の面積よりも大きくてもよい。
【0009】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールにおいて、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、互いに寸法が同じであり、前記複数の第2画素と前記複数の第3画素とは、前記第2表示パネルの水平方向および垂直方向において交互に配置されていてもよい。
【0010】
前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光からなる合成画像において、前記複数の第1画素の像の位置と前記複数の第2画素および前記複数の第3画素の像の位置とがずれていてもよい。
【0011】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールにおいて、前記複数の第1画素の像の位置と前記複数の第2画素および前記複数の第3画素の像の位置とが前記合成画像の水平方向にずれていてもよい。
【0012】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールにおいて、前記複数の第1画素の像の位置と前記複数の第2画素および前記複数の第3画素の像の位置とが前記合成画像の垂直方向にずれていてもよい。
【0013】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールにおいて、前記複数の第1画素の像の位置と前記複数の第2画素および前記複数の第3画素の像の位置とが前記合成画像の斜め方向にずれていてもよい。
【0014】
本発明の一つの態様の画像表示モジュールは、第1波長域の第1色光を射出する第1表示パネルと、前記第1波長域とは異なる第2波長域の第2色光と、前記第1波長域および前記第2波長域とは異なる第3波長域の第3色光を射出する第2表示パネルと、前記第1色光を透過もしくは反射させ、前記第2色光および前記第3色光を反射もしくは透過させるダイクロイックミラーを有し、前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を合成するダイクロイックプリズムを有する合成光学系と、を備え、前記第1表示パネルは、前記第1色光を射出する複数の第1発光素子を有し、前記第2表示パネルは、前記第2色光を射出する複数の第2発光素子と、前記第3色光を射出する複数の第3発光素子とを有する。
【0015】
本発明の一つの態様の画像表示装置は、本発明の一つの態様の画像表示モジュールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の画像表示装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】画像表示装置の表示部の光学系を示す斜視図である。
図3】表示部を第3方向から見た平面図である。
図4】画像表示モジュールを第3方向から見た平面図である。
図5】第1表示パネルの正面図である。
図6】第2表示パネルの正面図である。
図7】各表示パネルを構成する発光素子の断面図である。
図8】合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
図9】第1変形例の合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
図10】第2変形例の合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
図11】第2実施形態の第2表示パネルの正面図である。
図12】合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1図8を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の画像表示装置の概略構成を示す斜視図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態の画像表示装置100は、シースルー型のアイグラスディスプレイ等の頭部装着型画像表示装置として構成され、テンプル111,112を左右に有するフレーム110を備えている。画像表示装置100は、後述する表示部10がフレーム110に支持されている。画像表示装置100は、表示部10から射出された画像を使用者に虚像として認識させる。第1実施形態において、画像表示装置100は、左眼用の表示部101と右眼用の表示部102とを含む表示部10を備えている。左眼用の表示部101と右眼用の表示部102とは、同一の構成を有し、左右対称に配置されている。
【0019】
以下の説明では、左眼用の表示部101を中心に説明し、右眼用の表示部102の説明を省略する。なお、以下の説明では、使用者から見て左右方向を第1方向Xとし、前後方向を第2方向Zとし、上下方向を第3方向Yとする。また、第1方向Xの一方側(左側)にX1を付し、第1方向Xの他方側(右側)にX2を付し、第2方向Zの一方側(後側)にZ1を付し、第2方向Zの他方側(前側)にZ2を付し、第3方向Yの一方側(上側)にY1を付し、第3方向Yの他方側(下側)にY2を付す。ここで、左眼用の表示部101と右眼用の表示部102とは対称に配置されているため、表示部101と表示部102とは、第1方向Xの一方側X1と他方側X2とが左右で反転する。
【0020】
(表示部の全体構成)
図2は、図1に示す表示部10の光学系の構成を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示す表示部10を第3方向Yからみた平面図である。なお、図2および図3には、赤色光、緑色光、および青色光に対応する部分に(R)、(G)、(B)を付してある。また、各表示パネル20から射出される色光Lのうち、観察者の眼Eに画像光L0として入射する有効光束のみを図示してある。また、有効光束として、表示パネル20の中央の画素から射出される有効光束を実線で示し、表示パネル20の一方側の端部の画素から射出された有効光束を長い破線で示し、表示パネル20の他方側の端部の画素から射出された有効光束を短い破線で示してある。
【0021】
図2および図3に示すように、画像表示装置100の表示部10(左眼用の表示部101)は、複数の色光が合成された合成光Lbを射出する画像表示モジュール150と、画像表示モジュール150から射出された合成光Lbを射出部58に導く導光光学系30と、を備えている。画像表示モジュール150は、複数の表示パネル20と、複数の表示パネル20から射出された色光を合成する合成光学系60と、を備えている。合成光学系60と導光光学系30との間には、投射光学系70が設けられている。合成光学系60から射出された合成光Lbは、投射光学系70を介して導光光学系30に入射する。投射光学系70は、正のパワーを有する1つのコリメートレンズによって構成されている。
【0022】
導光光学系30は、合成光Lbが入射する透光性の入射部40と、第1方向Xの一方端51側が入射部40に接続された透光性の導光部50とを備えている。本実施形態において、入射部40と導光部50とは、一体の透光性部材によって構成されている。
【0023】
入射部40は、合成光学系60から射出された合成光Lbが入射する入射面41と、入射面41から入射した合成光Lbを入射面41との間で反射する反射面42と、を有する。入射面41は、第2方向Zの一方側Z1に向いた平面、非球面、または自由曲面等からなり、投射光学系70を介して合成光学系60と対向している。投射光学系70は、入射面41の第1方向Xの他方側X2の端部412との間隔が入射面41の第1方向の一方側X1の端部411との間隔より広くなるように斜めに配置されている。入射面41には反射膜等が形成されていないが、入射面41は臨界角以上の入射角で入射した光を全反射する。したがって、入射面41は、光透過性および光反射性を有している。
【0024】
反射面42は、入射面41に対して第2方向Zの他方側Z2に位置する面からなる。反射面42は、第1方向Xの他方側X2の端部422が第1方向Xの一方側X1の端部421よりも入射面41から遠くに位置するように斜めに設けられている。したがって、第3方向Yから見たとき、入射部40は、略三角形状の形状を有している。
【0025】
反射面42は、平面、非球面、または自由曲面等からなる。反射面42には、反射膜等が形成されておらず、臨界角以上の入射角で入射した光を全反射する構成であってもよい。また、反射面42は、アルミニウム、銀、マグネシウム、クロム等を主成分とする反射性を有する金属層が形成された構成であってもよい。
【0026】
導光部50は、一方端51(一方側X1の端部)から第1方向Xの他方端52側(他方側X2の端部)に向けて延在する第1面56(第1反射面)と、第1面56に対して第2方向Zの一方側Z1で第1面56と平行に対向して第1方向Xの一方端51側から他方端52側に向けて延在する第2面57(第2反射面)と、第2面57の入射部40から離れた個所に設けられた射出部58と、を有する。
【0027】
第1面56と反射面42とは、斜面43を介して連続した面で構成されている。第1面56と第2面57との第2方向Zの厚さ(導光部50の第2方向Zの寸法)は、入射部40の第2方向Zの寸法よりも薄い。第1面56および第2面57は、導光部50と外界(空気)との屈折率差に基づいて、臨界角以上の入射角で第1面56および第2面57に入射した光を全反射する。そのため、第1面56および第2面57には反射膜等が形成されていない。
【0028】
射出部58は、導光部50の第2面57側の一部に構成されている。射出部58においては、第3方向Yから見たときに第2面57に対する法線方向から第1方向Xの一方側X1に傾いた複数の部分反射面55が互いに平行に第1方向Xに沿って並んだ形態で設けられている。射出部58は、第2面57のうち、複数の部分反射面55に第1方向Xで重なる部分であり、第1方向Xにおいて所定の幅を有する領域である。複数の部分反射面55の各々は、透光性部材の内部に設けられた誘電体多層膜から構成されている。
【0029】
複数の部分反射面55のうちの少なくとも一つは、誘電体多層膜と、アルミニウム、銀、マグネシウム、クロム等を主成分とする反射性の金属層(薄膜)との複合層であってもよい。部分反射面55が金属層を含んでいる場合、部分反射面55の反射率を高める効果、もしくは部分反射面55の透過率および反射率の入射角依存性や偏光依存性を最適化できる効果が得られる。なお、射出部58には、回折格子やホログラム等の光学素子が設けられていてもよい。
【0030】
(光学装置の構成)
図4は、図2および図3に示す画像表示モジュール150を第3方向Yから見たときの模式図である。図5は、第1表示パネルの正面図である。図6は、第2表示パネルの正面図である。
【0031】
図4に示すように、画像表示モジュール150は、第1表示パネル21と、第2表示パネル22と、からなる2つの表示パネル20と、合成光学系60と、を備えている。
【0032】
図5に示すように、第1表示パネル21は、各々が第1発光素子を備えた複数の第1画素26を備えており、複数の第1画素26の各々から第1波長域の第1色光L1Gを射出する。図6に示すように、第2表示パネル22は、各々が第2発光素子を備えた複数の第2画素27と、各々が第3発光素子を備えた複数の第3画素28と、を備えている。第2表示パネル22は、複数の第2画素27の各々から第1波長域とは異なる第2波長域の第2色光L2Bを射出し、複数の第3画素28の各々から第1波長域および第2波長域と異なる第3波長域の第3色光L3Rを射出する。
【0033】
合成光学系60は、第1表示パネル21の射出面、および第2表示パネル22の射出面に対して斜めに配置されたダイクロイックミラー611を備えたダイクロイックプリズム61によって構成されている。ダイクロイックプリズム61は、投射光学系70に対向する射出面616と、射出面616に対向する第1入射面614と、射出面616と第1入射面614とに交差する第2入射面615と、第2入射面615に対向する端面613と、を有している。第3方向Yから見たとき、ダイクロイックミラー611は、射出面616と端面613とが交差する角部と、第1入射面614と第2入射面615とが交差する角部と、を結ぶ対角線に沿って形成されている。
【0034】
第1表示パネル21は、第1入射面614に対向して配置され、第2表示パネル22は、第2入射面615に対向して配置されている。ダイクロイックミラー611は、第1表示パネル21から射出された第1色光L1Gを透過させて射出面616から射出させるとともに、第2表示パネル22から射出された第2色光L2Bおよび第3色光L3Rを反射させて射出面616から射出させる。このようにして、第1表示パネル21から射出された緑色光(第1色光L1G)と、第2表示パネル22から射出された青色光および赤色光(第2色光L2Bおよび第3色光L3R)とが合成された合成光Lbが、射出面616から投射光学系70に射出される。
【0035】
なお、ダイクロイックミラー611は、上記の特性とは逆に、第1表示パネル21から射出された第1色光L1Gを反射させるとともに、第2表示パネル22から射出された第2色光L2Bおよび第3色光L3Rを透過させる特性を有していてもよい。この構成によっても、ダイクロイックミラー611は、第1色光L1G、第2色光L2Bおよび第3色光L3Rを合成することができる。この場合、合成光Lbは、ダイクロイックプリズム61の端面613から射出される。
【0036】
上記構成の画像表示モジュール150において、第1色光L1G、第2色光L2B、および第3色光L3Rの各々は、3原色の色光(赤色光、緑色光、および青色光)のいずれかに対応する。本形態において、第1表示パネル21から射出される第1色光L1Gのピーク波長は、第2表示パネル22から射出される第2色光L2Bのピーク波長よりも長く、第3色光L3Rのピーク波長よりも短い。すなわち、第1表示パネル21から射出される第1色光L1Gは緑色光である。第2表示パネル22から射出される第2色光L2Bは青色光であり、第2表示パネル22から射出される第3色光L3Rは赤色光である。
【0037】
本実施形態において、青色光は、スペクトルのピーク波長が例えば400nm〜500nmの青色波長域に位置する光である。緑色光は、スペクトルのピーク波長が例えば500nm〜580nmの緑色波長域に位置する光である。赤色光は、スペクトルのピーク波長が例えば580nm〜780nmの赤色波長域に位置する光である。
【0038】
以下の説明において、図5および図6に示す表示パネル20の横方向は、発光領域E1において走査線が延在する方向であって、水平方向Hと称する。これに対して、表示パネル20の縦方向は、発光領域E1においてデータ線が延在する方向であって、垂直方向Vと称する。
【0039】
表示パネル20は、例えば、トップエミッション型の有機EL装置で構成されている。図5および図6に示すように、表示パネル20は、発光領域E1と、非発光領域E2と、を有する。発光領域E1は、複数の画素の各々において有機EL層の発光/非発光が制御されることによって画像が生成される領域である。発光領域E1は、複数の画素がマトリクス状に配列された矩形状の領域である。後述する発光層293は、封止膜257および保護基板255によって覆われている。
【0040】
非発光領域E2は、発光領域E1の周囲を囲む矩形枠状の領域である。つまり、非発光領域E2は、発光領域E1の外縁から表示パネル20の外縁100aまでの領域である。表示パネル20の外縁20aは、後述する基板250の外縁である。本実施形態において、非発光領域E2は、表示パネル20の額縁領域に相当する。非発光領域E2は、実装領域E3を含んでいる。
【0041】
実装領域E3には、複数の実装端子19が設けられている。制御信号および電源電位は、制御回路および電源回路等の各種の外部回路(図示せず)から各実装端子19に供給される。外部回路は、例えば実装領域E3に接合された可撓性の配線基板(図示せず)に実装される。
【0042】
図5に示すように、第1表示パネル21は、各々が第1発光素子を有する複数の第1画素26を備えている。第1表示パネル21は、複数の第1画素26の各々から第1波長域の第1色光を射出する。本実施形態において、第1色光は緑色光であり、第1画素26は例えば500nm〜580nmの緑色波長域(第1波長域)の光を射出する。
【0043】
図6に示すように、第2表示パネル22は、各々が第2発光素子を有する複数の第2画素27と、各々が第3発光素子を有する複数の第3画素28と、を備えている。第2表示パネル22は、複数の第2画素27の各々から第1波長域とは異なる第2波長域の第2色光を射出し、複数の第3画素28の各々から第1波長域および第2波長域とは異なる第3波長域の第3色光を射出する。本実施形態において、第2色光は青色光であり、第3色光は赤色光である。したがって、第2画素27は、例えば400nm〜500nmの青色波長域(第2波長域)の光を射出し、第3画素28は、例えば580nm〜780nmの赤色波長域(第3波長域)の光を射出する。
【0044】
本実施形態において、第1画素26、第2画素27および第3画素28の各々は、略正方形状の形状を有し、水平方向Hおよび垂直方向Vの寸法が互いに同じである。したがって、第1画素26、第2画素27および第3画素28の各々は、面積も互いに同じである。
【0045】
図6に示すように、第2表示パネル22において、最上行の複数の画素は、左端から第3画素28、第2画素27、第3画素28、第2画素27、…の順に配列され、上から2行目の複数の画素は、左端から第2画素27、第3画素28、第2画素27、第3画素28、…の順に配列され、以降はこの繰り返しとなっている。すなわち、複数の第2画素27と複数の第3画素28とは、第2表示パネル22の水平方向Hおよび垂直方向Vにおいて交互に配置されている。
【0046】
図7は、各表示パネル20を構成する発光素子の断面図である。第1発光素子260、第2発光素子270および第3発光素子280は、有機EL層を含む有機機能層の材料が異なるものであって、基本構成は共通である。
【0047】
図7に示すように、第1発光素子260、第2発光素子270および第3発光素子280は各々、有機エレクトロルミネッセンス素子である。したがって、第1表示パネル21および第2表示パネル22のいずれにおいても、基板250の一方の面に複数層の絶縁膜251が形成され、絶縁膜251の層間を利用して各種配線や駆動素子が形成されている。また、絶縁膜251に対して基板250とは反対側に、第1発光素子260、第2発光素子270および第3発光素子280が形成されている。本実施形態において、第1発光素子260、第2発光素子270および第3発光素子280の各々は、反射層296、画素電極(陽極)としての第1電極291、正孔輸送層292、発光層293、電子輸送層294、および共通電極(陰極)としての第2電極295などが積層された構造を有している。また、第1電極291と正孔輸送層292との間に、正孔注入層が形成されることもある。
【0048】
本実施形態において、第1発光素子260(第1画素26)、第2発光素子270(第2画素27)および第3発光素子280(第3画素28)の各々は、蛍光あるいは燐光を射出する。すなわち、第1発光素子260、第2発光素子270および第3発光素子280において、電子と正孔とが再結合して励起状態が形成された際の一重項励起子によって発光が発生する場合には蛍光が射出される。また、電子と正孔とが再結合して励起状態が形成された際の三重項励起子、および一重項励起子の項間交差によって形成された三重項励起子によって発光が発生する場合には燐光が射出される。
【0049】
正孔輸送層292は、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が用いられる。
【0050】
電子輸送層294としては、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等のフェナントロリン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、アザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が用いられる。
【0051】
正孔注入層としては、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N、 N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が用いられる。
【0052】
発光層293において、ホストとしては、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のキノリノラト系金属錯体、トリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体等が用いられる。
【0053】
発光層293において、赤色光用のドーパントとして、テトラアリールジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等が用いられる。また、赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子のうちの少なくとも一つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つもの等が用いられる。
【0054】
青色光用のドーパントとしては、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が用いられる。また、青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体等が用いられる。
【0055】
緑色光用のドーパントとしては、キナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が用いられる。また、緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。中でも、これら金属錯体の配位子のうちの少なくとも一つが、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものが好ましい。
【0056】
本実施形態において、第1発光素子260、第2発光素子270、および第3発光素子280の各々は、例えば以下の構造を有している。
第1発光素子260:
正孔輸送層292=40nm
発光層293=10質量%の緑色用ドーパントを含むホスト材(15nm)
電子輸送層294=25nm
第2発光素子270:
正孔輸送層292=40nm
発光層293=8質量%の青色用ドーパントを含むホスト材(15nm)
電子輸送層294=25nm
第3発光素子280:
正孔輸送層292=40nm
発光層293=1.5質量%の赤色用ドーパントを含むホスト材(15nm)
電子輸送層294=25nm
【0057】
本実施形態において、有機EL素子を、光共振器を備えたトップエミッション型素子として構成する場合、第1電極291に対して基板250の側にアルミニウム等の反射層296が形成され、第2電極295は、マグネシウム−銀合金からなる厚さが10nmのハーフミラー層によって構成される。図7では、第1発光素子260、第2発光素子270、および第3発光素子280において、各層を同一の厚さで表してあるが、第1電極291や発光層293等の膜厚を調整して、第2電極295と反射層296との間の光学長が調整される。本形態において、波長域は、以下の関係にある。
第2色光L2Bの波長域<第1色光L1Gの波長域<第3色光L3Rの波長域
したがって、第1電極291や発光層293等の厚さは、以下の関係にある。
第2発光素子270<第1発光素子260<第3発光素子280
【0058】
上述したように、第1色光L1G、第2色光L2Bおよび第3色光L3Rがダイクロイックプリズム61によって合成されることにより、第1色光L1G、第2色光L2Bおよび第3色光L3Rからなる合成画像G1が形成される。
【0059】
図8は、合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
図8に示すように、合成画像G1において、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とはずれている。具体的には、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とは、合成画像G1の水平方向Hに画素の水平方向ピッチの1/2の距離だけずれている。なお、画素の水平方向ピッチは、水平方向に隣り合う2つの画素の中心間距離である。
【0060】
上記の構成を実現するために、第1表示パネル21と第2表示パネル22とは、合成画像G1が形成された際に複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とが水平方向Hに画素の水平方向ピッチの1/2の距離だけずれるように、ダイクロイックプリズム61に対して位置合わせされている。
【0061】
(基本動作)
図3に示すように、入射部40から入射した平行光からなる合成光Lbは、入射面41で入射する際に屈折し、反射面42に向かう。次に、合成光Lbは、反射面42で反射された後、再び入射面41に向かう。その際、合成光Lbは、臨界角以上の入射角で入射面41に入射するため、入射面41で反射され、導光部50に向かう。
【0062】
本実施形態では、入射部40において平行光からなる合成光Lbが入射面41に入射する構成になっているが、入射面41および反射面42を自由曲面等によって構成し、非平行光からなる合成光Lbが入射面41に入射した後、反射面42と入射面41との間で反射する間に平行光に変換される構成が採用されてもよい。この場合、投射光学系70を省略することができる。
【0063】
導光部50では、合成光Lbが第1面56と第2面57との間で反射して第1方向Xの一方側X1から他方側X2に進行する。その後、部分反射面55に入射した合成光Lbの一部は、部分反射面55で反射して射出部58から観察者の眼Eに向けて射出される。また、部分反射面55に入射した合成光Lbの残りは、部分反射面55を透過し、第1方向Xの他方側X2で隣り合う次の部分反射面55に入射する。このため、複数の部分反射面55の各々において、第2方向Zの一方側Z1に反射した合成光Lbは、射出部58から観察者の眼Eに向けて射出される。
【0064】
このようにして、観察者は、第1表示パネル21から射出された第1色光L1Gと、第2表示パネル22から射出された第2色光L2Bおよび第3色光L3Rとが合成されて形成されたカラー画像を認識することができる。画像表示装置100において、観察者が認識する画像は、第1方向Xに沿う方向が水平方向Hであり、第3方向Yに沿う方向が垂直方向Vである。また、外界から導光部50に入射した光は、導光部50に入射した後、部分反射面55を透過して観察者の眼Eに到達する。このため、観察者は、外界の景色をシースルーで視認することができる。
【0065】
本実施形態の画像表示モジュール150においては、合成光学系60が1枚のダイクロイックミラー611を備えたダイクロイックプリズム61から構成されているため、2枚のダイクロイックミラーが中央で交差したクロスダイクロイックプリズムを備えた従来の画像表示モジュールと異なり、画像の中央に筋状の欠陥が生じることがなく、画像品位を従来よりも高めることができる。
【0066】
また、本実施形態では、緑色光を射出する第1表示パネル21と青色光および赤色光を射出する第2表示パネル22が備えられており、画素内で緑色光と青色光とが重畳される領域と、緑色光と赤色光とが重畳される領域と、によってカラー画像が生成される。光の3原色のうち、人間の目には緑色光が最も視感度が高いため、本実施形態によれば、使用者の眼にとって明るい画像が得られる画像表示モジュール150を提供することができる。
【0067】
また、表示パネル20の数が2つで済むため、画像表示モジュール150の組み立て作業を効率良く行うことができる。また、第1表示パネル21および第2表示パネル22の各々はいずれも有機EL素子を備えた表示パネルであるため、液晶パネルとは異なり、バックライト等の照明装置を必要としない。これにより、画像表示モジュール150を備えた画像表示装置100の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0068】
ここで、複数の第1画素の像の位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像の位置とがずれておらず、互いの画素が完全に重なった比較例の画像表示モジュールを想定する。比較例の画像表示モジュールにおいて、例えば画素が1列に並んだ特定の1ラインを点灯させる場合、緑色光と赤色光とが合成される画素と、緑色光と青色光とが合成される画素とが交互に並ぶことになる。このとき、黄色を表示する画素とシアン色を表示する画素とがラインの長さ方向に交互に並んで1ラインの表示が構成される。そのため、表示に違和感が生じるおそれがある。
【0069】
これに対し、本実施形態の画像表示モジュール150においては、図8に示すように、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とが水平方向Hに半ピッチだけずれているため、一つの第1画素の像26sは互いに隣り合う第2画素の像27sと第3画素の像28sとに跨がって配置される。すなわち、緑色を表示する第1画素の像26sのうち、半分の領域は青色を表示する第2画素の像27sと重なり、残りの半分の領域は赤色を表示する第3画素の像28sと重なる。
【0070】
したがって、特定の1ラインを点灯させたとしても、黄色を表示する1画素の半分の領域とシアン色を表示する1画素の半分の領域とがラインの幅方向に並び、このパターンがその上下では左右反転した状態でラインの長さ方向に繰り返し並んだパターンによって、1ラインの表示が構成される。すなわち、本実施形態の画像表示モジュール150においては、比較例の画像表示モジュールに比べて、黄色を表示する領域とシアン色を表示する領域とが細かく入り組んだパターンで1ラインの表示が構成される。これにより、本実施形態の画像表示モジュール150によれば、比較例の画像表示モジュールに比べて、特定の画像を表示した際の違和感を緩和することができる。
【0071】
本実施形態の画像表示モジュール150は、以下の構成を備えていてもよい。
以下の構成においても、特定の画像を表示した際の違和感を緩和できる、という第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0072】
(第1変形例)
図9は、第1変形例の合成画像G2における第1画素と第2画素および第3画素との重ね合わせ状態を示す図である。
図9に示すように、第1変形例の画像表示モジュールにおいて、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とは、合成画像G2の垂直方向Vに画素の垂直方向ピッチの1/2の距離だけずれている。なお、画素の垂直方向ピッチは、垂直方向に隣り合う2つの画素の中心間距離である。
【0073】
(第2変形例)
図10は、第2変形例の合成画像G3における第1画素と第2画素および第3画素との重ね合わせ状態を示す図である。
図10に示すように、第2変形例の画像表示モジュールにおいて、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像27s,28sの位置とは、合成画像G3の斜め方向に画素の斜め方向ピッチの1/2の距離だけずれている。なお、画素の斜め方向ピッチは、画素の斜め方向(対角線方向)に並ぶ2つの画素の中心間距離である。
【0074】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図11および図12を用いて説明する。
第2実施形態の画像表示モジュールおよび画像表示装置は第1実施形態と同様であり、第2表示パネルの構成が第1実施形態と異なる。そのため、画像表示モジュールおよび画像表示装置の全体構成の説明は省略する。
図11は、第2実施形態の第2表示パネルの正面図である。図12は、合成画像における各画素の重ね合わせ状態を示す図である。
図11および図12において、第1実施形態の図6および図8と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0075】
第2実施形態の画像表示モジュールにおいて、第1表示パネルの構成は、図5に示した第1実施形態の第1表示パネル21の構成と同様である。すなわち、複数の第1画素26の各々は、略正方形状の形状を有しており、第1画素26の水平方向Hの寸法と垂直方向Vの寸法とは互いに等しい。
【0076】
第2実施形態においては、図11に示すように、第2表示パネル32において、第2画素37と第3画素38とは略長方形状の形状を有する。第2画素37および第3画素38の垂直方向Vの寸法は、第1画素26の垂直方向Vの寸法と等しい。第2画素37の水平方向Hの寸法と第3画素38の水平方向Hの寸法とは、互いに異なり、かつ、第1画素26の水平方向Hの寸法とも異なる。
【0077】
第2画素37の水平方向Hの寸法は、第1画素26の水平方向Hの寸法よりも長く、第3画素38の水平方向Hの寸法は、第1画素26の水平方向Hの寸法よりも短い。すなわち、第1画素26の水平方向Hの寸法をW1(図5参照)とし、第2画素37の水平方向Hの寸法をW2とし、第3画素38の水平方向Hの寸法をW3とすると、各画素26,37,38の水平方向Hの寸法の関係は、W3<W1<W2である。したがって、第2表示パネル32において、第2画素37の面積は、第3画素38の面積よりも大きい。また、第2画素37の水平方向Hの寸法W2と第3画素38の水平方向Hの寸法W3との合計は、第1画素26の水平方向Hの寸法W1の2倍と略等しい。
【0078】
第2表示パネル32において、最上行の複数の画素は、左端から第3画素38、第2画素37、第3画素38、第2画素37、…の順に配列され、上から2行目の複数の画素は、左端から第2画素37、第3画素38、第2画素37、第3画素38、…の順に配列され、以降はこの繰り返しとなっている。すなわち、複数の第2画素37と複数の第3画素38とは、第2表示パネル32の水平方向Hおよび垂直方向Vにおいて交互に配置されている。
画像表示モジュールのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0079】
図12に示すように、合成画像G4において、複数の第1画素の像26sの位置と複数の第2画素および複数の第3画素の像37s,38sの位置とはずれている。具体的には、第2画素および第3画素の各々の像37s,38sは、隣り合う2つの第1画素の像26sの双方に跨がって配置される。
【0080】
第2実施形態においても、高品位で明るい画像が得られる、特定の画像を表示した際の違和感を緩和できる、小型で軽量、低コストの画像表示装置を実現できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
さらに第2実施形態の画像表示モジュールによれば、以下の効果を奏することができる。
第1実施形態で例示したように、発光層293の構成材料は発光色によって異なる。また、一般に青色光用の発光層材料は、緑色光用の発光層材料および赤色光用の発光層材料に比べて寿命が短いという傾向がある。したがって、各発光層材料に対して同じ電流密度で駆動電流を供給した場合、青色光用の発光層材料では、緑色光用もしくは赤色光用の発光層材料に比べて発光効率の低下が早く生じる、という問題を有している。
【0082】
上記の観点から、第2実施形態の第2表示パネル32において、寿命が相対的に短い青色光用発光層材料を用いた第2画素37の面積は、寿命が相対的に長い赤色光用発光層材料を用いた第3画素38の面積よりも大きい。そのため、仮に第2画素37と第3画素38とに同じ量の駆動電流を供給したとしても、第2画素37における単位面積当たりの電流密度は、第3画素38における単位面積当たりの電流密度に比べて小さくなる。これにより、第2画素37の発光層材料の寿命を延ばすことができ、画像表示モジュールとして、表示品位を保ちつつ寿命を確保することができる。なお、第2画素37の面積と第3画素38の面積との比については、発光層材料の寿命に応じて適宜設定すればよい。
【0083】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態で例示した画像表示モジュールおよび画像表示装置の各構成要素の材料、数、配置、形状等の具体的構成は、適宜変更が可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、画像表示モジュールとして有機ELパネルとダイクロイックプリズムとを組み合わせた構成の例を挙げたが、画像表示パネルは有機ELパネルに限ることなく、無機ELパネル、マイクロLEDパネル等の自発光型パネルを用いてもよい。
【0085】
また、上記実施形態で説明した画像表示モジュールを備えた画像表示装置の例として、プロジェクター、ビデオカメラやスチルカメラなどの撮像装置に利用される電子式ビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0086】
21…第1画像表示パネル、22,32…第2画像表示パネル、26…第1画素、26s…(第1画素の)像、27,37…第2画素、27s,37s…(第2画素の)像、28,38…第3画素、28s,38s…(第3画素の)像、60…合成光学系、61…ダイクロイックプリズム、100…画像表示装置、150…画像表示モジュール、260…第1発光素子、270…第2発光素子、280…第3発光素子、611…ダイクロイックミラー、G1,G2,G3,G4…合成画像、L1G…第1色光、L2B…第2色光、L3R…第3色光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12