特許第6947250号(P6947250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947250
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】電子機器、測位制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/49 20100101AFI20210930BHJP
   G01S 19/28 20100101ALI20210930BHJP
   G01S 19/34 20100101ALI20210930BHJP
   G01S 19/26 20100101ALI20210930BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20210930BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20210930BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   G01S19/49
   G01S19/28
   G01S19/34
   G01S19/26
   G01C21/26 P
   G01C21/28
   G08G1/005
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-105711(P2020-105711)
(22)【出願日】2020年6月19日
(62)【分割の表示】特願2018-6960(P2018-6960)の分割
【原出願日】2018年1月19日
(65)【公開番号】特開2020-170007(P2020-170007A)
(43)【公開日】2020年10月15日
【審査請求日】2021年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠田 尚登
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6724934(JP,B2)
【文献】 特開2016−017904(JP,A)
【文献】 特開2004−184121(JP,A)
【文献】 特開2009−085662(JP,A)
【文献】 特開2009−243940(JP,A)
【文献】 特開2002−156438(JP,A)
【文献】 特開2010−223594(JP,A)
【文献】 特開2007−093483(JP,A)
【文献】 特開2008−032604(JP,A)
【文献】 特開2006−023206(JP,A)
【文献】 特開2004−271310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00−5/14
G01S 19/00−19/55
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位衛星からの信号を受信する受信部を間欠的に動作させ、前記信号から電子機器の第1位置を測位する測位制御手段と、
前記信号に含まれるエフェメリス情報に基づいて、前記エフェメリス情報を取得した前記複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得手段と、
前記電子機器が備えるセンサからの検出結果から得られる、前記電子機器が存在する位置における斜度及び前記電子機器の移動によって生じる動作情報を取得するセンサ情報取得手段と、
前記第1位置を取得した後に前記センサ情報取得手段によって取得された前記動作情報に基づいて、前記第1位置から移動した前記電子機器の第2位置を取得する自律測位手段と、
前記センサ情報取得手段によって取得された前記斜度と前記衛星配置情報取得手段によって取得された前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された測位衛星に対応するエフェメリス情報に基づいて、前記受信部の間欠的な動作においてオンさせてから第1位置の測位が完了するまでの予想測位時間を取得する測位時間取得手段と、
前記自律測位手段によって取得される単位時間あたりの前記第2位置の推定誤差の発生量に基づいて、前記予想測位時間における前記第2位置の推定誤差である第1推定誤差、及び、前記第1位置から前記第2位置まで移動した場合の前記第2位置の推定誤差である第2推定誤差を、前記受信部の間欠的な動作においてオフされている間に取得する推定誤差取得手段と、を備え、
前記測位制御手段は、前記第1推定誤差と前記第2推定誤差との和が所定の許容誤差未満となる場合、前記受信部における間欠的な動作をさせないように制御する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記センサ情報取得手段は、前記電子機器の移動における進行方向の斜度を取得し、
前記特定手段は、前記進行方向の斜度と前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記測位時間取得手段は、前記受信部が受信した前記信号に含まれる測位の精度情報と、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星として特定された測位衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、前記受信部の間欠的な動作においてオンさせてから第1位置の測位が完了するまでの予想測位時間を取得する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、
前記特定手段は、前記地図情報と前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定手段は、前記地図情報における地形の起伏と前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
子機器が実行する測位制御方法であって、
複数の測位衛星からの信号を受信する受信部を間欠的に動作させ、前記信号から電子機器の第1位置を測位する測位制御ステップと、
前記信号に含まれるエフェメリス情報に基づいて、前記エフェメリス情報を取得した前記複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得ステップと、
前記電子機器が備えるセンサからの検出結果から得られる、前記電子機器が存在する位置における斜度及び前記電子機器の移動によって生じる動作情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記第1位置を取得した後に前記センサ情報取得ステップによって取得された前記動作情報に基づいて、前記第1位置から移動した前記電子機器の第2位置を取得する自律測位ステップと、
前記センサ情報取得ステップによって取得された前記斜度と前記衛星配置情報取得ステップによって取得された前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定された測位衛星に対応するエフェメリス情報に基づいて、前記受信部の間欠的な動作においてオンさせてから第1位置の測位が完了するまでの予想測位時間を取得する測位時間取得ステップと、
前記自律測位ステップによって取得される単位時間あたりの前記第2位置の推定誤差の発生量に基づいて、前記予想測位時間における前記第2位置の推定誤差である第1推定誤差、及び、前記第1位置から前記第2位置まで移動した場合の前記第2位置の推定誤差である第2推定誤差を、前記受信部の間欠的な動作においてオフされている間に取得する推定誤差取得ステップと、を含み、
前記測位制御ステップは、前記第1推定誤差と前記第2推定誤差との和が所定の許容誤差未満となる場合、前記受信部における間欠的な動作をさせないように制御する、
ことを特徴とする測位制御方法。
【請求項7】
子機器を制御するコンピュータに、
複数の測位衛星からの信号を受信する受信部を間欠的に動作させ、前記信号から電子機器の第1位置を測位する測位制御手段、
前記信号に含まれるエフェメリス情報に基づいて、前記エフェメリス情報を取得した前記複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得手段、
前記電子機器が備えるセンサからの検出結果から得られる、前記電子機器が存在する位置における斜度及び前記電子機器の移動によって生じる動作情報を取得するセンサ情報取得手段、
前記第1位置を取得した後に前記センサ情報取得手段によって取得された前記動作情報に基づいて、前記第1位置から移動した前記電子機器の第2位置を取得する自律測位手段、
前記センサ情報取得手段によって取得された前記斜度と前記衛星配置情報取得手段によって取得された前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する特定手段、
前記特定手段によって特定された測位衛星に対応するエフェメリス情報に基づいて、前記受信部の間欠的な動作においてオンさせてから第1位置の測位が完了するまでの予想測位時間を取得する測位時間取得手段、
前記自律測位手段によって取得される単位時間あたりの前記第2位置の推定誤差の発生量に基づいて、前記予想測位時間における前記第2位置の推定誤差である第1推定誤差、及び、前記第1位置から前記第2位置まで移動した場合の前記第2位置の推定誤差である第2推定誤差を、前記受信部の間欠的な動作においてオフされている間に取得する推定誤差取得手段、として機能させ、
前記測位制御手段は、前記第1推定誤差と前記第2推定誤差との和が所定の許容誤差未満となる場合、前記受信部における間欠的な動作をさせないように制御する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、測位制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS等の測位衛星を用いた測位を間欠的に行い、GPS測位が行われていない間の位置を自律航法(デッドレコニング)によって推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−155802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、自律航法(デッドレコニング)後、GPS測位を行う際に、現在地の立地条件によってGPS信号の受信環境が悪化し、測位までの時間が長期化した場合、自律航法において想定している以上の誤差が蓄積してしまうため、要求される測位性能が担保できなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、
複数の測位衛星からの信号を受信する受信部を間欠的に動作させ、前記信号から電子機器の第1位置を測位する測位制御手段と、
前記信号に含まれるエフェメリス情報に基づいて、前記エフェメリス情報を取得した前記複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得手段と、
前記電子機器が備えるセンサからの検出結果から得られる、前記電子機器が存在する位置における斜度及び前記電子機器の移動によって生じる動作情報を取得するセンサ情報取得手段と、
前記第1位置を取得した後に前記センサ情報取得手段によって取得された前記動作情報に基づいて、前記第1位置から移動した前記電子機器の第2位置を取得する自律測位手段と、
前記センサ情報取得手段によって取得された前記斜度と前記衛星配置情報取得手段によって取得された前記衛星配置情報に基づいて、前記複数の測位衛星のうち、前記第2位置において捕捉可能な測位衛星を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された測位衛星に対応するエフェメリス情報に基づいて、前記受信部の間欠的な動作においてオンさせてから第1位置の測位が完了するまでの予想測位時間を取得する測位時間取得手段と、
前記自律測位手段によって取得される単位時間あたりの前記第2位置の推定誤差の発生量に基づいて、前記予想測位時間における前記第2位置の推定誤差である第1推定誤差、及び、前記第1位置から前記第2位置まで移動した場合の前記第2位置の推定誤差である第2推定誤差を、前記受信部の間欠的な動作においてオフされている間に取得する推定誤差取得手段と、を備え、
前記測位制御手段は、前記第1推定誤差と前記第2推定誤差との和が所定の許容誤差未満となる場合、前記受信部における間欠的な動作をさせないように制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の一実施形態である電子機器の概略図である。
図1B】電子機器の使用形態例を示す模式図である。
図2】電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1の電子機器の機能的構成のうち、測位制御処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4】受信可能なGPS衛星の数が変化する状態を示す模式図である。
図5A】GPS信号の間欠的な受信を行う場合の制御形態の例を示す模式図であり、GPS信号の間欠的な受信を行う場合の基本的な制御形態の例を示す図である。
図5B】GPS信号の間欠的な受信を行う場合の制御形態の例を示す模式図であり、GPS信号の受信環境が不良であるときに、基本的な制御形態で制御された場合の例を示す図である。
図5C】GPS信号の間欠的な受信を行う場合の制御形態の例を示す模式図であり、本発明の制御形態で制御された場合の例を示す図である。
図6】電子機器が実行する測位制御処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】受信可能なGPS衛星の数が変化する状態を示す模式図である。
図8】電子機器が実行する測位制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1Aは、本発明の一実施形態である電子機器1の概略図である。また、図1Bは、電子機器1の使用形態例を示す模式図である。
本実施形態の電子機器1は、後述する測位制御処理を実行することにより、測位衛星からの信号に基づく測位を実行する。
また、電子機器1は、各種センサを備えるセンサユニットとして機能し、計測対象に装着されることにより、計測対象の動きをセンシングしてセンサ情報を取得する。そして、電子機器1は、取得したセンサ情報(例えば、加速度及び地磁気)を用いて、自律航法による測位を実行する。なお、本実施形態においては、トレッキング等のアクティビティを行うユーザに電子機器1を装着することにより、ユーザの動作をセンシングするものとする。一例として、電子機器1は、ユーザが背負うリュックサックのショルダーストラップに装着することができる。
【0010】
図2は、電子機器1のハードウェア構成を示すブロック図である。
電子機器1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、GPS部16と、センサ部17と、撮像部18と、入力部19と、出力部20と、記憶部21と、通信部22と、ドライブ23と、を備えている。
【0011】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部21からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0012】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0013】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、GPS部16、センサ部17、撮像部18、入力部19、出力部20、記憶部21、通信部22及びドライブ23が接続されている。
【0014】
GPS部16は、図示しないGPS受信アンテナを介して、複数のGPS衛星からのGPS信号(衛星の航路を示す情報・時刻情報等)を受信する。CPU11は、GPS部16が受信したGPS信号に基づいて、機器の現在位置を示す緯度及び経度、高度の情報等の位置情報を取得する。
【0015】
センサ部17は、地磁気センサ17aと、ジャイロセンサ(角速度センサ)17bと、加速度センサ17cと、気圧センサ17dと、を備え、これらセンサによる検出結果のデータをCPU11に出力する。なお、センサ部17には、これらのセンサの他、電子機器1で実行される処理に必要な各種センサ(気温センサ等)を適宜備えることができる。
【0016】
撮像部18は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
撮像部18にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0017】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、デジタル信号が生成され、撮像部18の出力信号として出力される。
このような撮像部18の出力信号を撮像画像のデータとして、CPU11や図示しない画像処理部等に適宜供給される。
【0018】
入力部19は、各種ボタン等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部20は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
本実施形態においては、画像やアイコン等を表示するディスプレイとなる出力部20にタッチやスワイプ等の入力操作可能な入力部19が重畳的に配置されて、インターフェースとなるタッチパネルを構成する。
【0019】
記憶部21は、フラッシュメモリ等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
【0020】
通信部22は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)あるいはWi−Fi(Wireless Fidelity)等の規格に準拠した無線通信や、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したケーブル等での有線通信によって、他の装置(例えば、スマートフォン)との間で行う通信を制御する。なお、通信部22は、複数の通信方式により通信を行う機能を有していてもよい。
【0021】
ドライブ23には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ23によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部21にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部21に記憶されている各種データも、記憶部21と同様に記憶することができる。
【0022】
図3は、図1の電子機器1の機能的構成のうち、測位制御処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
測位制御処理とは、電子機器1において、GPS信号の間欠的な受信と歩行者デッドレコニングを用いた現在位置の推定とを併せて測位を行う際に、GPS信号の非受信時における受信条件に基づいて、GPS信号の受信のオン/オフを制御する一連の処理をいう。
【0023】
測位制御処理が実行される場合には、図3に示すように、CPU11において、GPS情報取得部51と、センサ情報取得部52と、デッドレコニング部53と、受信条件判定部54と、測位制御部55と、が機能する。
また、記憶部21の一領域には、位置情報記憶部71と、GPS情報記憶部72と、デッドレコニング情報記憶部73と、が設定される。
【0024】
位置情報記憶部71には、GPS信号の受信によって取得された位置情報及び歩行者デッドレコニングにより取得された位置情報が時刻情報と共に記憶される。
GPS情報記憶部72には、GPSによる測位のためのGPS関連情報が記憶される。例えばGPS情報記憶部72には、GPS測位で用いられるエフェメリス情報や、受信したGPS信号の信号品質及び測位精度に関する情報、さらにGPS衛星の配置情報等が記憶される。
【0025】
デッドレコニング情報記憶部73には、歩行者デッドレコニングによる位置の推定に関連するデッドレコニング関連情報が記憶される。例えば、デッドレコニング情報記憶部73には、歩行者デッドレコニングにおける位置の推定誤差の発生度合いを示す情報が記憶される。本実施形態においては、歩行者デッドレコニングにおける位置の推定誤差の発生度合いを示す情報として、単位時間あたりの位置の推定誤差の発生量(距離)が記憶されている。この場合、ユーザが移動していない時間には、推定誤差をゼロとすることができる。なお、歩行者デッドレコニングにおける位置の推定誤差の発生度合いを示す情報として、単位移動距離当たりの位置の推定誤差の発生量(距離)を記憶しておくこととしてもよい。歩行者デッドレコニングにおける位置の推定誤差の発生度合いを示す情報は、実測あるいはシミュレーションによって取得することができる。
【0026】
GPS情報取得部51は、GPS部16によってGPS信号が受信されている場合、GPS信号に基づいて、位置情報(緯度、経度及び高さ)を取得する。
センサ情報取得部52は、センサ部17によって取得される各種センサの検出結果を取得する。
【0027】
デッドレコニング部53は、GPS部16によってGPS信号が受信されていない場合、センサ情報取得部52によって取得された各種センサの検出結果に基づいて、歩行者デッドレコニングによりユーザの移動方向及び移動距離を算出する。本実施形態において、デッドレコニング部53は、地磁気センサ17a及び/またはジャイロセンサ17bにより進行方向を取得し、加速度センサ17cにより歩数等を取得して、ユーザの移動軌跡を取得する。また、デッドレコニング部53は、気圧センサ17dにより、高度差を取得する。そして、デッドレコニング部53は、GPS信号に基づいて取得された位置情報に対し、歩行者デッドレコニングにより算出した移動方向に移動距離を加算することにより、位置情報を取得する。
【0028】
受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足するか否か(エフェメリス情報の下限値以上であるか否か)を判定する。受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足する場合、現在の進行方向及び現在位置の斜度(立地条件情報)とGPS情報記憶部72に記憶されているGPS衛星の配置情報とから、現在地において捕捉できるGPS衛星を特定する。なお、現在の進行方向は、例えば地磁気センサ17aの検出結果から取得することができ、現在位置の斜度は、例えば加速度センサ17cの検出結果から取得することができる。また、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報(より具体的には、現在地において捕捉できると特定されたGPS衛星から取得したエフェメリス情報)に基づいて、GPSの予想測位時間を算出する。さらに、受信条件判定部54は、算出した予想測位時間に対応する歩行者デッドレコニングの推定誤差、及び、現在までの歩行者デッドレコニングにおいて発生している位置の推定誤差を算出する。そして、受信条件判定部54は、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値(予想測位時間に対応する歩行者デッドレコニングの推定誤差、及び、現在までの歩行者デッドレコニングにおいて発生している位置の推定誤差の和)が許容誤差の値以上であるか否かを判定する。なお、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上である場合、測位制御部55によって、GPS信号の受信がオンされる。
【0029】
測位制御部55は、受信条件判定部54によって、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足していないと判定された場合及び歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上であると判定された場合、GPS信号の受信をオンにする。なお、測位制御部55は、測位制御処理が開始された直後やユーザによる指示が行われた場合にも、GPS信号の受信をオンする。また、測位制御部55は、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得されたか否かを判定する。測位制御部55は、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得された場合、取得されたエフェメリス情報をGPS情報記憶部72に記憶する。また、測位制御部55は、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得された場合、GPS衛星の配置情報を算出し、算出したGPS衛星の配置情報をGPS情報記憶部72に記憶した後、GPS信号の受信をオフする。
【0030】
このような機能が実現されることにより、電子機器1においては、GPS信号の受信がオフされている状態において、GPS信号の受信条件を判定し、GPS信号の受信をオンしてからGPSにより位置情報が取得されるまでに、歩行者デッドレコニングにより累積する推定誤差の値が許容誤差の値以上となるか否かが逐次判定される。
【0031】
図4は、受信可能なGPS衛星の数が変化する状態を示す模式図である。
図4に示すように、ユーザが山の北側斜面に位置している場合、南の方向にある衛星(図4中の斜線部A1内の衛星)が受信不可能な状態となる。また、ユーザが山の東側斜面に位置している場合は、西の方向にある衛星(図4中の斜線部A2内の衛星)が受信不可能な状態となる。このように、ユーザが位置する斜面の違いにより、捕捉可能な衛星数が異なるものとなる。また、仮に、ユーザが位置する斜面と反対の方向にある衛星からGPS信号を受信できたとしても、受信信号のCN値が低下する。
【0032】
図5A図5Cは、GPS信号の間欠的な受信を行う場合の制御形態の例を示す模式図であり、図5Aは、GPS信号の間欠的な受信を行う場合の基本的な制御形態の例、図5Bは、GPS信号の受信環境が不良であるときに、図5Aの基本的な制御形態で制御された場合の例、図5Cは、本発明の制御形態で制御された場合の例を示す図である。
図5Aに示すように、基本的な制御形態では、予め設定されたタイミングでGPS信号の受信がオンとなり、GPSがFixした後、GPS信号の受信がオフとされる。このとき、GPSがFixするまでに所定の時間を要する。そして、GPS信号の受信がオフとされた後、歩行者デッドレコニングが行われる。その後、歩行者デッドレコニングによる許容誤差を超える前に、再びGPS信号の受信がオンとされる。
【0033】
ここで、図5Bに示すように、GPS信号の受信環境が不良である場合、GPS信号の受信をオンした後、タイムアウトとして予め設定された時間以上、GPSがFixしない事態が発生し、この場合、一旦、GPS信号の受信をオフしてからリトライが行われる。このような処理が繰り返されると、GPSのFixまでに要する時間が長期化し、歩行者デッドレコニングによる許容誤差を超える場合がある。そのため、要求される測位性能が充足されないこととなる。
【0034】
これに対し、図5Cに示すように、本発明の制御形態では、GPS信号の受信がオフされている状態において、GPS信号の受信条件を判定し、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上となると判定された場合には、GPS信号の受信をオンする。
これにより、GPSがFixするまでのタイミングを早め、歩行者デッドレコニングによる許容誤差を超える事態を抑制することができる。
即ち、測位衛星からの信号を間欠的に受信して行われる測位をより適切に制御し、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことが可能となる。
【0035】
[動作]
次に、電子機器1の動作を説明する。
図6は、電子機器1が実行する測位制御処理の流れを説明するフローチャートである。
測位制御処理は、入力部19を介して測位制御処理の開始を指示する操作が行われることにより開始される。
【0036】
ステップS1において、測位制御部55は、GPS信号の受信をオンにする。
ステップS2において、測位制御部55は、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得されたか否かを判定する。
GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得されていない場合、ステップS2においてNOと判定されて、ステップS2の処理が繰り返される。
一方、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得された場合、ステップS2においてYESと判定されて、取得したエフェメリス情報、受信したGPS信号の信号品質及び測位精度に関する情報がGPS情報記憶部72に記憶され、処理はステップS3に移行する。
【0037】
ステップS3において、測位制御部55は、GPS衛星の配置情報を算出し、算出したGPS衛星の配置情報をGPS情報記憶部72に記憶する。
ステップS4において、測位制御部55は、GPS信号の受信をオフする。
ステップS5において、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足するか否か(エフェメリス情報の下限値以上であるか否か)を判定する。
現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足しない場合、ステップS5においてNOと判定されて、処理はステップS1に移行する。
一方、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足する場合、ステップS5においてYESと判定されて、処理はステップS6に移行する。
【0038】
ステップS6において、受信条件判定部54は、現在の進行方向及び現在位置の斜度とGPS情報記憶部72に記憶されているGPS衛星の配置情報とから、現在地において捕捉できるGPS衛星を特定する。
ステップS7において、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報のうち、現在地において捕捉できると特定されたGPS衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、GPSの予想測位時間を算出する。
ステップS8において、受信条件判定部54は、算出した予想測位時間に対応する歩行者デッドレコニングの推定誤差を算出する。
ステップS9において、受信条件判定部54は、現在までの歩行者デッドレコニングにおいて発生している位置の推定誤差を算出する。
【0039】
ステップS10において、受信条件判定部54は、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値(予想測位時間に対応する歩行者デッドレコニングの推定誤差、及び、現在までの歩行者デッドレコニングにおいて発生している位置の推定誤差の和)が許容誤差の値以上であるか否かを判定する。
歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上でない場合、ステップS10においてNOと判定されて、処理はステップS5に移行する。
一方、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上である場合、ステップS10においてYESと判定されて、処理はステップS1に移行する。
このような処理が、測位制御処理の終了を指示する操作が行われるまで繰り返される。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る電子機器1は、GPS信号の受信がオフされている状態において、GPS信号の受信条件を判定し、GPS信号の受信をオンしてからGPSにより位置情報が取得されるまでに、歩行者デッドレコニングにより累積する推定誤差の値が許容誤差の値以上となるか否かを逐次判定する。そして、電子機器は、歩行者デッドレコニングの予想誤差の値が許容誤差の値以上となると判定した場合には、GPS信号の受信をオンする。
これにより、GPSがFixするまでのタイミングを早め、歩行者デッドレコニングによる許容誤差を超える事態を抑制することができる。
即ち、測位衛星からの信号を間欠的に受信して行われる測位をより適切に制御し、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成は、第1実施形態の図2に示すハードウェア構成と同様である。
また、第2実施形態に係る電子機器1の機能的構成のうち、受信条件判定部54の構成以外は、第1実施形態の図3に示す機能的構成と同様である。
以下、第1実施形態と異なる部分である受信条件判定部54の機能的構成及び測位制御処理の流れについて主として説明する。
【0042】
受信条件判定部54は、GPS信号の受信がオンされている場合に、現在の進行方向及び現在位置の斜度から、GPS衛星の捕捉において死角となる範囲(全天の中で見通せない範囲)を記憶する。また、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足するか否か(エフェメリス情報の下限値以上であるか否か)を判定する。受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足する場合、現在の進行方向及び現在位置の斜度(立地条件)から、GPS衛星の捕捉において死角となる範囲(全天の中で見通せない範囲)を算出する。そして、受信条件判定部54は、記憶された死角となる範囲と、新たに算出した死角となる範囲とのずれが予め設定された大きさ以上となっているか否かを判定する。なお、記憶された死角となる範囲と、新たに算出した死角となる範囲とのずれが予め設定された大きさ以上となっている場合、捕捉可能な衛星数が大きく変化し、GPS信号の受信中に蓄積されたエフェメリス情報が使用できなくなっていると考えられるため、測位制御部55によって、GPS信号の受信がオンされる。
【0043】
図7は、受信可能なGPS衛星の数が変化する状態を示す模式図である。
図7に示すように、ユーザが山の北側斜面に位置している場合、南の方向の所定範囲(図7中の斜線部A3)がGPS衛星の捕捉において死角となる。また、ユーザが山の南側斜面に位置している場合は、北の方向の所定範囲(図7中の斜線部A4)がGPS衛星の捕捉において死角となる。このように、ユーザが位置する斜面の違いにより、全天の中で見通せない範囲が変化するため、捕捉可能な衛星数が異なるものとなる。
【0044】
これに対し、上述の機能が実現されることにより、電子機器1においては、GPS信号の受信がオンされている場合にGPS衛星の捕捉において死角となる範囲と、GPS信号の受信がオフされている場合にGPS衛星の捕捉において死角になる範囲とを比較し、これらの範囲が大きく異なる場合には、GPS信号の受信がオンされる。
これにより、GPS信号の受信がオフされている場合に、GPS信号の受信がオンされていた際に蓄積したエフェメリス情報が使用できなくなり、GPSのFixまでに要する時間が過度に長くなることを抑制できる。即ち、GPSがFixするまでのタイミングを早めることができる。
したがって、測位衛星からの信号を間欠的に受信して行われる測位をより適切に制御し、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うこと可能となる。
【0045】
[動作]
次に、電子機器1の動作を説明する。
図8は、電子機器1が実行する測位制御処理の流れを説明するフローチャートである。
測位制御処理は、入力部19を介して測位制御処理の開始を指示する操作が行われることにより開始される。
【0046】
ステップS21において、測位制御部55は、GPS信号の受信をオンにする。
ステップS22において、測位制御部55は、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得されたか否かを判定する。
GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得されていない場合、ステップS22においてNOと判定されて、ステップS22の処理が繰り返される。
一方、GPSがFixし、エフェメリス情報が予め定められた規定数以上取得された場合、ステップS22においてYESと判定されて、取得したエフェメリス情報、受信したGPS信号の信号品質及び測位精度に関する情報がGPS情報記憶部72に記憶され、処理はステップS23に移行する。
【0047】
ステップS23において、受信条件判定部54は、現在の進行方向及び現在位置の斜度から、GPS衛星の捕捉において死角となる範囲(全天の中で見通せない範囲)を記憶する。
ステップS24において、測位制御部55は、GPS信号の受信をオフする。
【0048】
ステップS25において、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足するか否か(エフェメリス情報の下限値以上であるか否か)を判定する。
現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足しない場合、ステップS25においてNOと判定されて、処理はステップS21に移行する。
一方、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報が予め定められた条件を充足する場合、ステップS25においてYESと判定されて、処理はステップS26に移行する。
【0049】
ステップS26において、現在の進行方向及び現在位置の斜度から、GPS衛星の捕捉において死角となる範囲(全天の中で見通せない範囲)を算出する。
ステップS27において、受信条件判定部54は、ステップS23で記憶された死角となる範囲と、ステップS26で新たに算出した死角となる範囲とのずれが予め設定された大きさ以上となっているか否かを判定する。
ステップS23で記憶された死角となる範囲と、ステップS26で新たに算出した死角となる範囲とのずれが予め設定された大きさ以上となっていない場合、ステップS27においてNOと判定されて、処理はステップS25に移行する。
一方、ステップS23で記憶された死角となる範囲と、ステップS26で新たに算出した死角となる範囲とのずれが予め設定された大きさ以上となっている場合、ステップS27においてYESと判定されて、処理はステップS21に移行する。
このような処理が、測位制御処理の終了を指示する操作が行われるまで繰り返される。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る電子機器1は、GPS信号の受信がオンされている場合にGPS衛星の捕捉において死角となる範囲と、GPS信号の受信がオフされている場合にGPS衛星の捕捉において死角になる範囲とを比較し、これらの範囲が大きく異なる場合には、GPS信号の受信をオンする。
これにより、GPS信号の受信がオフされている場合に、GPS信号の受信がオンされていた際に蓄積したエフェメリス情報が使用できなくなり、GPSのFixまでに要する時間が過度に長くなることを抑制できる。即ち、GPSがFixするまでのタイミングを早めることができる。
したがって、測位衛星からの信号を間欠的に受信して行われる測位をより適切に制御し、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことが可能となる。
【0051】
以上のように構成される電子機器1は、GPS部16と、GPS情報取得部51と、センサ情報取得部52と、受信条件判定部54と、を備える。
GPS部16は、測位衛星からの電波を受信する。
GPS情報取得部51は、GPS部16によりエフェメリス情報を取得し、当該エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する。
センサ情報取得部52は、当該電子機器1が存在する現在地の立地条件情報を取得する。
受信条件判定部54は、現在地の立地条件情報と衛星配置情報とに基づいて、エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星の数を特定する。
これにより、GPS信号を受信していない場合であっても、GPS信号の受信条件を判定することができるため、GPS信号の受信を行う適切なタイミングを判定することができる。
したがって、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことができる。
【0052】
センサ情報取得部52は、当該電子機器1の移動における進行方向及び斜度を取得する。
受信条件判定部54は、進行方向の斜度と衛星配置情報に基づいて、エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星を特定する。
これにより、電子機器1が存在する位置において、地形等の影響を反映させて、GPS信号を受信可能な衛星を特定することができる。
【0053】
受信条件判定部54は、現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、GPS部16による予想測位時間を取得する。
これにより、GPS信号の受信がオフされている場合に、GPS信号の受信をオンした後に測位に要する時間を推定することが可能となる。
【0054】
GPS情報取得部51は、衛星信号の精度情報を取得する。
受信条件判定部54は、精度情報及び現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、GPS部16による予想測位時間を取得する。
これにより、衛星信号の精度情報を反映させて、GPS信号の受信がオフされている場合に、GPS信号の受信をオンした後に測位に要する時間を推定することが可能となる。
【0055】
電子機器1は、測位制御部55を備える。
測位制御部55は、GPS部16を間欠駆動させる。
また、測位制御部55は、予想測位時間に基づいてGPS部16のオン・オフ制御を行う。
これにより、予想測位時間が長期化することが見込まれる状況となった場合に、GPS部16をオンし、GPSによって速やかに測位することが可能となる。
【0056】
測位制御部55は、予想測位時間に基づいて、GPS部16がオフされている間に累積する予想誤差を算出し、予想誤差が予め設定されている許容誤差以上となる場合、GPS部16をオンする。
これにより、GPS部16がオフされている場合に、測位誤差をより正確に予想して、GPSによる測位を行うことが可能となる。
【0057】
センサ情報取得部52は、当該電子機器1の移動における進行方向及び斜度を取得する。
受信条件判定部54は、進行方向の斜度と衛星配置情報とに基づいて、測位衛星の捕捉において死角となる範囲を取得する。
これにより、測位衛星の捕捉において死角となる範囲の変化に基づいて、GPSによる測位を行うことが可能となる。
【0058】
GPS情報取得部51は、GPS部16により受信された測位衛星からの電波に基づいて、現在位置の位置情報を取得する。
これにより、要求される測位性能が担保された正確な位置情報を取得することができる。
【0059】
また、電子機器1は、GPS部16と、センサ情報取得部52と、測位制御部55と、を備える。
測位制御部55は、GPS部16を間欠駆動させる。
センサ情報取得部52は、当該電子機器1が存在する現在地の立地条件情報を取得する。
測位制御部55は、当該電子機器1が存在する現在地の立地条件情報に基づいて、GPS部16のオン・オフ制御を行う。
これにより、GPS信号を受信していない場合であっても、GPS信号の受信条件を判定することができるため、GPS信号の受信を行う適切なタイミングを判定することができる。
したがって、要求される測位性能が担保できる衛星測位を行うことができる。
【0060】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、GPSによって測位を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、本発明は、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、あるいは、中国のBeiDou等、衛星を利用した種々の測位システムに適用することができる。
また、上述の実施形態で実行される自律航法としては、歩行者向け、あるいは、その他の各種デッドレコニング技術を採用することができる。
【0061】
上述の実施形態では、立地条件として、現在の進行方向及び現在位置の斜度を取得するものとして説明したが、これに限られない。即ち、現在位置から信号を受信可能な衛星を判定できれば、立地条件として、地図情報または地形情報を取得することとしてもよい。地図情報としては、例えば、市街図等が含まれ、立地する建物の高さ等を取得することができる。また、地形情報としては、地形図等が含まれ、地形の起伏等を取得することができる。
【0062】
また、第1実施形態において、受信条件判定部54は、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報(より具体的には、捕捉できるGPS衛星の数)に基づいて、GPSの予想測位時間を算出するものとしたが、これに限られない。例えば、GPS信号の測位精度に関する情報または信号品質に関する情報に基づいて、GPSの予想測位時間を算出したり、現在蓄積されている有効なエフェメリス情報(より具体的には、現在地において捕捉できると特定されたGPS衛星から取得したエフェメリス情報)、GPS信号の測位精度に関する情報及び信号品質に関する情報のうちの1つまたは複数の組み合わせに基づいて、GPSの予想測位時間を算出してもよい。
【0063】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態を組み合わせた実施形態とすることが可能である。即ち、第1実施形態及び第2実施形態における受信条件判定部54の機能を共に実装し、第1実施形態における判定条件及び第2実施形態における判定条件をそれぞれ判定した結果に応じて、GPS信号の受信をオンするように制御することができる。
【0064】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子機器1は、センサユニットを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、測位機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、スマートウォッチ、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0065】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子機器1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0066】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0067】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図2のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital
Versatile Disk),Blu−ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM12や、図2の記憶部21に含まれる半導体メモリ等で構成される。
【0068】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
測位衛星からの電波を受信する受信部を有する電子機器であって、
前記受信部によりエフェメリス情報を取得し、当該エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得手段と、
当該電子機器が存在する現在地の立地条件情報を取得する立地条件取得手段と、
前記現在地の立地条件情報と前記衛星配置情報とに基づいて、前記エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星を特定する衛星特定手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
[付記2]
前記立地条件取得手段は、当該電子機器の移動における進行方向及び斜度を取得し、
前記衛星特定手段は、前記進行方向の斜度と前記衛星配置情報に基づいて、前記エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星を特定することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記衛星特定手段により現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、前記受信部による予想測位時間を取得する測位時間取得手段、
を備えることを特徴とする付記1または2に記載の電子機器。
[付記4]
衛星信号の精度情報を取得する精度情報取得手段を備え、
前記測位時間取得手段は、前記精度情報及び前記衛星特定手段により現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星から取得したエフェメリス情報に基づいて、前記受信部による予想測位時間を取得することを特徴とする付記3に記載の電子機器。
[付記5]
前記受信部を間欠駆動させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記予想測位時間に基づいて前記受信部のオン・オフ制御を行うことを特徴とする付記3または4に記載の電子機器。
[付記6]
前記制御手段は、前記予想測位時間に基づいて、前記受信部がオフされている間に累積する予想誤差を算出し、前記予想誤差が予め設定されている許容誤差以上となる場合、前記受信部をオンすることを特徴とする付記5に記載の電子機器。
[付記7]
前記立地条件取得手段は、当該電子機器の進行方向及び斜度を取得し、
前記衛星特定手段は、前記進行方向の斜度と前記衛星配置情報とに基づいて、前記測位衛星の捕捉において死角となる範囲を取得することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記8]
前記受信部を間欠駆動させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記衛星特定手段により現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星に基づいて、前記受信部のオン・オフ制御を行うことを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記9]
前記受信部を間欠駆動させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記衛星特定手段により現在地において捕捉可能な測位衛星と特定された測位衛星及び前記測位衛星の捕捉において死角となる範囲の少なくともいずれかに基づいて、前記受信部のオン・オフ制御を行うことを特徴とする付記1または7に記載の電子機器。
[付記10]
前記受信部により受信された測位衛星からの電波に基づいて、現在位置の位置情報を取得する位置情報取得手段を備えることを特徴とする付記1乃至9のいずれか一つに記載の電子機器。
[付記11]
測位衛星からの電波を受信する受信部を有する電子機器であって、
前記受信部を間欠駆動させる制御手段と、
当該電子機器が存在する現在地の立地条件情報を取得する立地条件取得手段と、を備え、
前記制御手段は、当該電子機器が存在する現在地の立地条件情報に基づいて、前記受信部のオン・オフ制御を行うことを特徴とする電子機器。
[付記12]
測位衛星からの電波を受信する受信部を有する電子機器が実行する測位制御方法であって、
エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得ステップと、
当該電子機器が存在する現在地の立地条件情報を取得する立地条件取得ステップと、
前記現在地の立地条件情報と前記衛星配置情報とに基づいて、前記エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星を特定する衛星特定ステップと、
を含むことを特徴とする測位制御方法。
[付記13]
測位衛星からの電波を受信する受信部を有する電子機器を制御するコンピュータに、
エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星それぞれの衛星配置情報を取得する衛星配置情報取得機能と、
当該電子機器が存在する現在地の立地条件情報を取得する立地条件取得機能と、
前記現在地の立地条件情報と前記衛星配置情報とに基づいて、前記エフェメリス情報を取得した複数の測位衛星のうち、現在地において捕捉可能な測位衛星を特定する衛星特定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0071】
1・・・電子機器,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・GPS部,17・・・センサ部,17a・・・地磁気センサ,17b・・・ジャイロセンサ,17c・・・加速度センサ,17d・・・気圧センサ,18・・・撮像部,19・・・入力部,20・・・出力部,21・・・記憶部,22・・・通信部,23・・・ドライブ,31・・・リムーバブルメディア,51・・・GPS情報取得部,52・・・センサ情報取得部,53・・・デッドレコニング部,54・・・受信条件判定部,55・・・測位制御部,71・・・位置情報記憶部,72・・・GPS情報記憶部,73・・・デッドレコニング情報記憶部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8