(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA4、A3、A2、A1(A4>A3>A2>A1とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A4以下、A3以下、A2以下、A1以上、A2以上、A3以上、A1〜A2、A1〜A3、A1〜A4、A2〜A3、A2〜A4、A3〜A4等が例示される。
【0013】
[環状オレフィン樹脂用コーティング剤:コーティング剤ともいう]
本開示は、アルキレンジ(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂化合物、及びオキシムエステル構造含有光重合開始剤を含む、環状オレフィン樹脂用コーティング剤を提供する。
【0014】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
<活性エネルギー線硬化性樹脂化合物:(A)成分ともいう>
活性エネルギー線硬化性樹脂化合物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0016】
活性エネルギー線硬化性樹脂化合物は、アルキレンポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0017】
本開示において、アルキレンポリ(メタ)アクリレートは、オキシ(メタ)アクリロイル基
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
を複数個有する化合物であって、当該化合物からオキシ(メタ)アクリロイル基を除いた部分が、炭素原子及び水素原子からなる飽和炭化水素基のみから構成される化合物を意味する。
【0018】
本開示において、アルキレンジ(メタ)アクリレートは、オキシ(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物であって、当該化合物からオキシ(メタ)アクリロイル基を除いた部分が、アルキレン基のみから構成される化合物を意味する。
【0019】
アルキレンジ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化2】
(式中、R
a1は、水素原子又はメチル基であり、R
a2は、アルキレン基であり、R
a3は、水素原子又はメチル基である。)
で表される。
【0020】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基等が例示される。
【0021】
直鎖アルキレン基は、−(CH
2)
n−(nは1以上の整数)の一般式で表現できる。直鎖アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デカメチレン基等が例示される。
【0022】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基であって、環状構造を有さない基である。分岐アルキレン基は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基等が例示される。
【0023】
シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0024】
単環は、例えば、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造である。また、縮合環は、例えば、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造である。架橋環は、例えば、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造である。
【0025】
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0026】
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0027】
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
【0028】
なお、アルキレン基には、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基を組み合わせた基も含まれる。上記組み合わせた基は、シクロアルキレンアルキレン基、アルキレンシクロアルキレンアルキレン基等が例示される。
【0029】
シクロアルキレンアルキレン基は、
−R
calkylene−R
alkylene−
(式中、R
calkyleneは、シクロアルキレン基を表し、R
alkyleneは、アルキレン基を表す)
で表わされる基である。
【0030】
アルキレンシクロアルキレンアルキレン基は、
−R
alkylene−R
calkylene−R
alkylene−
(式中、R
calkyleneは、シクロアルキレン基を表し、R
alkyleneは、アルキレン基を表す)
で表わされる基である。
【0031】
直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0032】
分岐アルキレンジ(メタ)アクリレートは、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、イソノナンジオールジアクリレート等が例示される。
【0033】
シクロアルキレンジ(メタ)アクリレートは、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシシクロヘキシル)メタン,2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシシクロヘキシル)プロパン,2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシシクロヘキシル)ブタン,1,4−ジ(メタ)アクリロキシメチルシクロヘキサン,シクロヘキサン(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素化ビスフェノールBジ(メタ)アクリレート(2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシシクロヘキシル)ブタン)等が例示される。
【0034】
1つの実施形態において、上記コーティング剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂化合物として、アルキレンジ(メタ)アクリレートのみを含むことが好ましく、耐擦傷性の観点からはシクロアルキレンジ(メタ)アクリレートのみを含むことがより好ましく、密着性の観点からは非環状アルキレンジ(メタ)アクリレートのみを含むことがより好ましい。
【0035】
上記コーティング剤固形分100質量%中の活性エネルギー線硬化性樹脂化合物の含有量の上限及び下限は、99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は5〜99質量%が好ましい。
【0036】
<オキシムエステル構造含有光重合開始剤:(B)成分ともいう>
オキシムエステル構造含有光重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0037】
1つの実施形態において、オキシムエステル構造含有光重合開始剤は、下記構造式:
【化3】
(式中、R
o1は、アリール基又はアルキル基であり、R
o2はアルキル基であり、R
o3は、アリール基である。)
で表される化合物が好ましく、下記構造式:
【化4】
(式中、R
o1は、アリール基又はアルキル基であり、R
o2はアルキル基であり、R
o3は、アリール基である。)
で表される化合物がより好ましい。
【0038】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0039】
直鎖アルキル基は、−C
nH
2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表現できる。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカメチル基等が例示される。
【0040】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基であって、環状構造を有さない基である。分岐アルキル基は、i−プロピル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が例示される。
【0041】
シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。またシクロアルキル基は、1つ以上の水素が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0042】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0043】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0044】
なお、アルキル基には、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基を組み合わせた基も含まれる。上記組み合わせた基は、シクロアルキルアルキル基等が例示される。
【0045】
シクロアルキルアルキル基は、
R
calkyl−R
alkyl−
(式中、R
calkylは、シクロアルキル基を表し、R
alkylは、アルキル基を表す)
で表わされる基である。
【0046】
アリール基は、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾイル基等が例示される。
【0047】
アリール基は、置換されていてもよい。アリール基の置換基は、アルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、カルボニルアリール基等が例示される。
【0048】
置換アリール基は、
【化5】
等が例示される。
【0049】
オキシムエステル構造含有光重合開始剤は、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](すなわち2−((ベンゾイルオキシ)イミノ)−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)オクタン−1−オン);
エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(すなわち1−(((1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)エチリデン)アミノ)オキシ)エタン−1−オン)等が例示される。
【0050】
オキシムエステル構造含有光重合開始剤の市販品は、Irgacure OXE 01、Irgacure OXE 02、Irgacure OXE 03、Irgacure OXE 04(以上、BASFジャパン(株)製)、アデカオクトマーN−1919、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(以上、(株)ADEKA製)等が例示される。
【0051】
上記コーティング剤固形分100質量%中のオキシムエステル構造含有光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、30、25、20、15、10、5、3、1、0.5、0.2、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0.1〜30質量%が好ましい。
【0052】
上記コーティング剤における活性エネルギー線硬化性樹脂化合物とオキシムエステル構造含有光重合開始剤との質量比(活性エネルギー線硬化性樹脂化合物の質量/オキシムエステル構造含有光重合開始剤の質量)の上限及び下限は、990、900、750、500、250、100、75、50、25、20、19、17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.17等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は0.17〜990が好ましい。
【0053】
<紫外線吸収剤:(C)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記コーティング剤は、紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0054】
紫外線吸収剤は、高エネルギーをもつ紫外線を吸収し、無害のエネルギーに転換し、再輻射することによって、紫外線遮断効果をもたらす成分である。紫外線吸収剤は、サリシレート構造含有紫外線吸収剤、ベンゾフェノン構造含有紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール構造含有紫外線吸収剤、置換アクリロニトリル構造含有紫外線吸収剤、トリアジン構造含有紫外線吸収剤、ベンゾエート構造含有紫外線吸収剤、ポリマー型紫外線吸収剤等が例示される。
【0055】
サリシレート構造含有紫外線吸収剤は、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート等が例示される。
【0056】
ベンゾフェノン構造含有紫外線吸収剤は、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等が例示される。
【0057】
ベンゾトリアゾール構造含有紫外線吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール等が例示される。
【0058】
置換アクリロニトリル構造含有紫外線吸収剤は、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル等が例示される。
【0059】
トリアジン構造含有紫外線吸収剤は、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(1−イソオクチルオキシカルボニルエトキシ)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
【0060】
ベンゾエート構造含有紫外線吸収剤は、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が例示される。
【0061】
ポリマー型紫外線吸収剤は、3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4−ヒドロキシフェネチル=(メタ)アクリレート、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールに由来する構成単位を有するポリマー等が例示される。
【0062】
上記コーティング剤固形分100質量%中の紫外線吸収剤の含有量の上限及び下限は、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0〜70質量%が好ましい。
【0063】
上記コーティング剤における紫外線吸収剤と活性エネルギー線硬化性樹脂化合物との質量比(紫外線吸収剤の質量/活性エネルギー線硬化性樹脂化合物の質量)の上限及び下限は、14、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は0〜14が好ましい。
【0064】
上記コーティング剤における紫外線吸収剤とオキシムエステル構造含有光重合開始剤との質量比(紫外線吸収剤の質量/オキシムエステル構造含有光重合開始剤の質量)の上限及び下限は、700、500、250、100、75、50、25、20、19、17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は0〜700が好ましい。
【0065】
<有機溶媒:(D)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記コーティング剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0066】
有機溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル溶媒;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソン社製。)等の石油系溶媒;クロロホルム等のハロアルカン溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒等が例示される。
【0067】
コーティング剤100質量%における有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜90質量%が好ましい。
【0068】
なお、コーティング剤に含まれる有機溶媒には、(A)〜(C)成分を製造する際に使用される有機溶媒が含まれていてもよい。
【0069】
<添加剤>
上記コーティング剤には、上記(A)〜(D)成分のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0070】
添加剤は、光増感剤、酸化防止剤、光安定剤、レベリング剤、顔料等が例示される。
【0071】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、上記コーティング剤100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。また、(A)〜(D)成分のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0072】
上記コーティング剤は、(A)〜(B)成分、並びに必要に応じて(C)〜(D)成分及び添加剤が、各種公知の手段により分散・混合されることにより製造され得る。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0073】
上記コーティング剤は、易接着処理を行っていない環状オレフィン樹脂用コーティング剤として使用され得る。
【0074】
[コーティング剤キット]
本開示は、上記環状オレフィン樹脂用コーティング剤、及びオキシムエステル構造非含有光重合開始剤を含むコーティング剤を含む、コーティング剤キットを提供する。
【0075】
<オキシムエステル構造非含有光重合開始剤を含むコーティング剤:オキシム非含有コーティング剤ともいう>
オキシムエステル構造非含有光重合開始剤は、単独又は2種以上で含まれ得る。
【0076】
オキシムエステル構造非含有光重合開始剤は、α−ヒドロキシアルキルフェノン、無置換又は置換アルキルフェノン、無置換又は置換ベンジル、無置換又は置換ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、オキシムエステル、置換チオキサントン等が例示される。
【0077】
α−ヒドロキシアルキルフェノンは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチルプロパノン))、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン)等が例示される。
【0078】
無置換又は置換アルキルフェノンは、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、ベンゾイン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が例示される。
【0079】
無置換又は置換ベンジルは、ベンジル、p−アニシル等の無置換又は置換ベンジル等が例示される。
【0080】
無置換又は置換ベンゾフェノンは、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が例示される。
【0081】
アシルホスフィンオキシドは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が例示される。
【0082】
置換チオキサントンは、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が例示される。
【0083】
オキシム非含有コーティング剤固形分100質量%におけるオキシムエステル構造非含有光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、30、28、25、23、20、17、15、13、10、9、7、5、2、1、0.5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0.5〜30質量%が好ましい。
【0084】
1つの実施形態において、オキシム非含有コーティング剤は活性エネルギー線硬化性樹脂化合物を含む。活性エネルギー線硬化性樹脂化合物は、単独又は2種以上で含まれ得る。活性エネルギー線硬化性樹脂化合物は上述したものの他、(メタ)アクリロイル基を3個以上有するアルキレンポリ(メタ)アクリレート、オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレート、ポリマーポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0085】
<(メタ)アクリロイル基を3個以上有するアルキレンポリ(メタ)アクリレート>
(メタ)アクリロイル基を3個以上有するアルキレンポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0086】
<オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレート>
オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートは、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0087】
本開示において、オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートは、オキシ(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物であって、当該化合物からオキシ(メタ)アクリロイル基を除いた部分が、酸素原子、炭素原子及び水素原子のみを単結合で結合することにより構成されている化合物を意味する。
【0088】
(ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート)
ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化6】
(式中、mは1以上の整数であり、R
b1〜R
b6は、それぞれ独立に水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつR
b1〜R
b6の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基である。なお、R
b3及びR
b5は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0089】
また、「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」とは、例えば上記構造式において、mが2であるとき、
【化7】
R
b3AとR
b3Bとは異なる基であってよく、R
b5AとR
b5Bとは異なる基であってよいことを意味する(以下同様)。
【0090】
ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0091】
(ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート)
ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化8】
(式中、pは1以上の整数であり、R
b7〜R
b10は水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつR
b7〜R
b10の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基である。なお、R
b9は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0092】
ポリトリメチロールポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0093】
(ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート)
ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化9】
(式中、qは1以上の整数であり、R
b11〜R
b13は、それぞれ独立に水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつR
b11〜R
b13の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基である。なお、R
b12は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0094】
ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0095】
オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートはアルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性されていてもよい。
【0096】
オキシアルキレンポリ(アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)は、上述したオキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートのオキシ(メタ)アクリロイル基が
【化10】
(式中、qは1〜16の整数であり、R
1’〜R
2’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。)
に置換された化合物である。
【0097】
オキシアルキレンポリ(エポキシ変性(メタ)アクリレート)は、上述したオキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートのオキシ(メタ)アクリロイル基が
【化11】
(式中、R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。)
に置換された化合物である。
【0098】
<ポリマーポリ(メタ)アクリレート>
本開示において、「ポリマーポリ(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリマーを意味する。
【0099】
ポリマーポリ(メタ)アクリレートは、公知の手法を用いて製造され得る。ポリマーポリ(メタ)アクリレートの製造方法は、エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーとα,β−不飽和カルボン酸とを反応させる方法等が例示される。
【0100】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、7モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、7〜100モル%が好ましい。
【0101】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、62、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、10〜100質量%が好ましい。
【0102】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、93、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜93モル%が好ましい。
【0103】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、38、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜90質量%が好ましい。
【0104】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100モル%に対し反応させるα,β−不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、10〜100モル%が好ましい。
【0105】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100質量%に対し反応させるα,β−不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、5〜50質量%が好ましい。
【0106】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーは、公知のラジカル重合法を用いて製造され得る。
【0107】
1つの実施形態において、オキシム非含有コーティング剤に含まれる活性エネルギー線硬化性樹脂化合物は、オキシアルキレンポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0108】
オキシム非含有コーティング剤固形分100質量%における活性エネルギー線硬化性樹脂化合物の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜100質量%が好ましい。
【0109】
1つの実施形態において、オキシム非含有コーティング剤は紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、単独又は2種以上で含まれ得る。紫外線吸収剤は上述したもの等が例示される。
【0110】
オキシム非含有コーティング剤固形分100質量%における紫外線吸収剤の含有量の上限及び下限は、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜80質量%が好ましい。
【0111】
1つの実施形態において、オキシム非含有コーティング剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。有機溶媒は上述したもの等が例示される。
【0112】
オキシム非含有コーティング剤100質量%における有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0〜90質量%が好ましい。
【0113】
[硬化物]
本開示は、上記環状オレフィン樹脂用コーティング剤、又は上記コーティング剤キットの硬化物を提供する。
【0114】
硬化条件は後述のもの等が例示される。
【0115】
[積層物]
本開示は、上記硬化物を含む、積層物を提供する。
【0116】
1つの実施形態において、環状オレフィン樹脂基材の少なくとも片面に上記環状オレフィン樹脂用コーティング剤、又は上記コーティング剤キットの硬化物からなる硬化物層が積層している。1つの実施形態において、環状オレフィン樹脂基材の少なくとも片面に上記環状オレフィン樹脂用コーティング剤の硬化物からなる環状オレフィン樹脂用コーティング剤硬化物層が積層し、環状オレフィン樹脂用コーティング剤硬化物層にオキシム非含有コーティング剤の硬化物からなるオキシム非含有コーティング剤硬化物層が積層する。
【0117】
環状オレフィン樹脂基材の厚みも特に限定されないが、10〜2000μm程度が好ましい。また、硬化物層の厚みは特に限定されないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
【0118】
1つの実施形態において、上記環状オレフィン樹脂基材は、易接着処理を行っていない環状オレフィン樹脂基材である。
【0119】
上記積層物は各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、積層物の製造方法は、アンダーコート剤を基材の少なくとも片面に塗工する工程(塗工工程)、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層を形成する工程(活性エネルギー線硬化工程)を含む。
【0120】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、フローコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0121】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が0.1〜30g/m
2程度が好ましく、1〜20g/m
2程度がより好ましい。
【0122】
(活性エネルギー線硬化工程)
活性エネルギー線硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線等が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整できる。高圧水銀灯を使用する場合には、80〜160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度2〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10〜300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置により、搬送速度5〜50m/分程度の条件で硬化させるのが好ましい。
【実施例】
【0123】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0124】
実施例1
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、HDDA(ダイセル・オルネクス(株)製)を固形分として95質量部、Irgacure OXE01(BASFジャパン(株)製)を固形分として5質量部混合し、メチルエチルケトンにて固形分が20%になるように調整して樹脂組成物を得た。製造した樹脂組成物を、バーコーターを用いて、厚さ100μmのゼオノアフィルムZF−16(日本ゼオン(株)製)上に乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布し、80℃60秒で市販の温風乾燥機において乾燥させた。その後、窒素雰囲気下でメタルハライドランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して積層物を得た。
【0125】
別途言及がない限り、実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0126】
実施例5
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、ビスコート#300(大阪有機化学工業(株)製)を固形分として55質量部、光重合開始剤OMNIRAD 184(IGM Regins(株)製)を固形分として5質量部、紫外線吸収剤TINUVIN477(BASFジャパン(株)製)を固形分として40質量部混合し、メチルエチルケトンにて固形分が30%になるように調整して樹脂組成物を得た。製造した樹脂組成物を、実施例2で製造した積層物上に、バーコーターを用いて、乾燥後の膜厚が3μmになるように塗布し、80℃60秒で市販の温風乾燥機において乾燥させた。その後、窒素雰囲気下でメタルハライドランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して積層物を得た。
【0127】
【表1】
【0128】
<略称の説明>
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製)
ライトアクリレートMPD−A:3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製)
ライトアクリレートA−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(共栄社化学(株)製)
ビスコート#300:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(大阪有機化学工業(株)製)
Irgacure OXE01:1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](すなわち2−((ベンゾイルオキシ)イミノ)−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)オクタン−1−オン)(BASFジャパン(株)製)
Irgacure OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(すなわち1−(((1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)エチリデン)アミノ)オキシ)エタン−1−オン)(BASFジャパン(株)製)
Irgacure OXE03:オキシムエステル構造含有光重合開始剤(BASFジャパン(株)製)
Irgacure OXE04:オキシムエステル構造含有光重合開始剤(BASFジャパン(株)製)
OMNIRAD 184:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM Regins(株)製)
SpeedcureTPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(LAMBSON社製)
OMNIRAD 819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Regins(株)製)
OMNIRAD 754:オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステルの混合物(IGM Regins(株)製)
OMNIRAD 907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IGM Regins(株)製)
OMNIRAD 127:2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(IGM Regins(株)製)
Esacure One:2官能アルファヒドロキシケトン(IGM Regins(株)製)
TINUVIN 477:紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン)(BASFジャパン(株)製)
【0129】
<基材密着性の評価>
上記で得られた積層物に対し、JIS K5600−5−4に準じ、100マス碁盤目剥離試験により、密着性を評価した。結果の表示は(剥離試験で残ったマス目の数/100)である。
【解決手段】本開示は、アルキレンジ(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂化合物、及びオキシムエステル構造含有光重合開始剤を含む、環状オレフィン樹脂用コーティング剤を提供する。