特許第6947322号(P6947322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6947322
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】電池管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20210930BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20210930BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H02J7/00 Y
   B60L58/10
   H01M10/48 P
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2021-36509(P2021-36509)
(22)【出願日】2021年3月8日
【審査請求日】2021年7月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】飯田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】繁森 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−527528(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/072002(WO,A1)
【文献】 特開2012−210007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
B60L7/00−13/00
B60L15/00−58/40
G01R31/36−31/396
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を示す電池情報を取得して監視する監視部(33)と、前記監視部との間でデータを送受信し、無線通信を実行可能な無線回路部(35)と、を有する監視装置(30)と、
前記無線回路部との間で無線通信を行い、前記電池情報に基づいて所定の処理を実行する制御装置(40)と、を備え、
前記制御装置は、前記監視装置に対して前記電池情報の送信を要求する要求データを送信し、前記監視装置は、前記要求データを受信すると、前記電池情報を含む応答データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記要求データに対して前記応答データの受信が正常になされた通信成立と前記応答データの受信が正常になされない通信不成立とを区別可能な通信成立情報を含ませて次の要求データを送信し、
前記要求データは、所定の周期で送信される周期データを含み、
前記無線回路部は、前記監視部により取得された複数回分の前記電池情報を個別に蓄積可能な送信バッファ(350)を含み、ひとつの前記要求データに対して前記送信バッファ内の一回分の前記電池情報を前記制御装置に送信し、前記通信成立情報に基づいて、通信成立の場合に対応する前記電池情報を前記送信バッファから削除し、通信不成立の場合に前記電池情報を前記送信バッファに保持する、電池管理システム。
【請求項2】
前記無線回路部は、前記要求データである第1要求データに応じて前記送信バッファ内の前記電池情報を送信するときに、送信する前記電池情報である第1電池情報とは別であり、未送信の第2電池情報の蓄積情報を前記応答データに含ませて、前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記第2電池情報が蓄積されている情報を受信すると、前記第1要求データと同一の周期内で、前記第2電池情報の送信を要求する第2要求データを、前記要求データとして前記監視装置に送信する、請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1要求データに対して前記第1電池情報を含む前記応答データを正常に受信すると、前記第2要求データに通信成立を示す情報を含めて前記監視装置に送信し、
前記無線回路部は、前記第2要求データを受信すると、通信が成立した前記第1電池情報を前記送信バッファ内から削除するとともに、前記送信バッファ内の前記第2電池情報を前記制御装置に送信する、請求項2に記載の電池管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1要求データに対して前記第1電池情報を含む前記応答データを受信したものの受信エラーが生じている場合に、通信成立を示す情報を含めずに前記第2要求データを前記監視装置に送信し、
前記無線回路部は、前記第2要求データを受信すると、前記第1電池情報を前記送信バッファ内から削除せずに保持したまま、前記送信バッファ内の前記第2電池情報を前記制御装置に送信する、請求項2に記載の電池管理システム。
【請求項5】
前記送信バッファに空きがない場合に、前記無線回路部は、前記送信バッファ内のデータをすべて削除する、請求項1〜4いずれか1項に記載の電池管理システム。
【請求項6】
一周期内で送信可能なデータを超えた場合に、前記無線回路部は、前記送信バッファ内に蓄積されたデータをすべて削除する、請求項1〜4いずれか1項に記載の電池管理システム。
【請求項7】
前記周期データは、前記監視装置に対して前記電池情報の取得および送信を要求し、
前記監視部は、前記取得の要求に応じて、前記電池情報を取得する、請求項1〜6いずれか1項に記載の電池管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電池管理システムを開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6093448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、組電池管理装置は、第1の電池セル管理装置に対する通信エラーを連続して検出すると、第1の電池管理セル装置との無線通信が不可能であると判断する。そして、組電池管理装置は、第1の電池セル装置とは別の第2の電池セル管理装置を経由して、第1の電池セル管理装置との無線通信を行う。このように、電池セル管理装置(監視装置)と組電池管理装置(制御装置)との間の通信障害の発生にともなって、電池情報を含むデータの欠落(抜け)が生じる。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、電池管理システムにはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示されるひとつの目的は、電池情報を含むデータの欠落を抑制できる電池管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電池管理システムは、
電池の状態を示す電池情報を取得して監視する監視部(33)と、監視部との間でデータを送受信し、無線通信を実行可能な無線回路部(35)と、を有する監視装置(30)と、
無線回路部との間で無線通信を行い、電池情報に基づいて所定の処理を実行する制御装置(40)と、を備え、
制御装置は、監視装置に対して電池情報の送信を要求する要求データを送信し、監視装置は、要求データを受信すると、電池情報を含む応答データを制御装置に送信し、
制御装置は、要求データに対して応答データの受信が正常になされた通信成立と応答データの受信が正常になされない通信不成立とを区別可能な通信成立情報を含ませて次の要求データを送信し、
要求データは、所定の周期で送信される周期信号を含み、
無線回路部は、監視部により取得された複数回分の電池情報を個別に蓄積可能な送信バッファ(350)を含み、ひとつの要求データに対して送信バッファ内の一回分の電池情報を制御装置に送信し、通信成立情報に基づいて、通信成立の場合に対応する電池情報を送信バッファから削除し、通信不成立の場合に電池情報を送信バッファに保持する。
【0007】
開示された電池管理システムでは、監視装置の無線回路部が、送信バッファを含んでいる。このため、送信バッファに、複数回分の電池情報を蓄積することができる。送信バッファに蓄積された電池情報は、制御装置との通信が成立した場合に削除され、不成立の場合には削除されずに送信バッファに保持される。この結果、電池情報を含むデータの欠落を抑制することができる。
【0008】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電池パックを備える車両を示す図である。
図2】電池パックの概略構成を示す斜視図である。
図3】組電池を示す平面図である。
図4】第1実施形態に係る電池管理システムの構成を示すブロック図である。
図5】電池情報の要求および応答のシーケンスを示す図である。
図6】要求および応答の一例を示すタイミングチャートである。
図7】要求および応答の別例を示すタイミングチャートである。
図8】第2実施形態に係る電池管理システムにおいて、電池情報の要求応答シーケンスの一例を示す図である。
図9】要求および応答の一例を示すタイミングチャートである。
図10】要求および応答の別例を示すタイミングチャートである。
図11】第3実施形態に係る電池管理システムにおいて、無線ICが実行するデータ削除を示す図である。
図12】無線ICが実行するデータ削除の別例を示す図である。
図13】電池管理システムのその他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0011】
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、本実施形態に係る電池管理システムが搭載される車両、特に、電池管理システムを備える電池パック周辺の構成について説明する。図1は、車両の概略構成を示す図である。車両は、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電動車両である。
【0012】
<車両>
図1に示すように、車両10は、電池パック(BAT)11と、PCU12と、MG13と、ECU14を備えている。PCUは、Power Control Unitの略称である。MGは、Motor Generatorの略称である。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。
【0013】
電池パック11は、後述する組電池20を備えており、充放電可能な直流電圧源を提供する。電池パック11は、車両10の電気負荷に電力を供給する。電池パック11は、PCU12を通じてMG13へ電力を供給する。電池パック11は、PCU12を通じて充電される。電池パック11は、主機バッテリと称されることがある。
【0014】
電池パック11は、たとえば図1に示すように、車両10のフロントコンパートメントに配置される。電池パック11は、リアコンパートメント、座席下、または床下などに配置されてもよい。たとえばハイブリッド自動車の場合、エンジンが配置されるコンパートメントは、エンジンコンパートメント、エンジンルームと称されることがある。
【0015】
PCU12は、ECU14からの制御信号にしたがい、電池パック11とMG13との間で双方向の電力変換を実行する。PCU12は、電力変換器と称されることがある。PCU12は、たとえばインバータを含んでいる。インバータは、直流電圧を交流電圧、たとえば三相交流電圧に変換してMG13へ出力する。インバータは、MG13の発電電力を直流電圧に変換してコンバータへ出力する。PCU12は、コンバータを含んでもよい。コンバータは、電池パック11とインバータとの間の通電経路に配置される。コンバータは、直流電圧を昇降圧する機能を有する。
【0016】
MG13は、交流回転電機、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG13は、車両10の走行駆動源、すなわち電動機として機能する。MG13は、PCU12により駆動されて回転駆動力を発生する。MG13が発生した駆動力は、駆動輪に伝達される。MG13は、車両10の制動時に発電機として機能し、回生発電を行う。MG13の発電電力は、PCU12を通じて電池パック11に供給され、電池パック11内の組電池20に蓄えられる。
【0017】
ECU14は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを含む構成である。プロセッサは、演算処理のためのハードウェアである。プロセッサは、たとえばコアとしてCPUを含んでいる。CPUは、Central Processing Unitの略称である。メモリは、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータ等を非一時的に格納または記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリは、プロセッサによって実行される種々のプログラムを格納している。
【0018】
ECU14は、たとえば電池パック11から組電池20に関する情報を取得し、PCU12を制御することにより、MG13の駆動および電池パック11の充放電を制御する。ECU14は、電池パック11から、組電池20の電圧、温度、電流、SOC、SOHなどの情報を取得してもよい。ECU14は、組電池20の電圧、温度、電流などの電池情報を取得して、SOCやSOHを算出してもよい。SOCは、State Of Chargeの略称である。SOHは、State Of Healthの略称である。
【0019】
ECU14のプロセッサは、たとえばメモリに格納されたPCU制御プログラムに含まれる複数の命令を実行する。これにより、ECU14は、PCU12を制御するための機能部を複数構築する。ECU14では、メモリに格納されたプログラムが複数の命令をプロセッサに実行させることで、複数の機能部が構築される。ECU14は、EVECUと称されることがある。
【0020】
<電池パック>
次に、図2および図3に基づき、電池パック11の構成の一例について説明する。図2は、電池パック11の内部を模式的に示す斜視図である。図2では、筐体を二点鎖線で示している。図3は、各電池スタックの上面を示す平面図である。
【0021】
図2に示すように、電池パック11は、組電池20と、複数の監視装置30と、制御装置40と、筐体50を備えている。筐体50は、電池パック11を構成する他の要素、つまり組電池20、監視装置30、および制御装置40を収容している。
【0022】
以下では、図2に示すように、略直方体である筐体50の各面のうち、車両10への搭載面において、長手方向をX方向と示し、短手方向をY方向と示す。図2において、下面が搭載面である。そして、搭載面に対して垂直となる上下方向をZ方向と示す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する位置関係にある。本実施形態では、車両10の左右方向がX方向に相当し、前後方向がY方向に相当し、上下方向がZ方向に相当する。図2および図3の配置は一例にすぎず、車両10に対して電池パック11をどのように配置してもよい。
【0023】
組電池20は、X方向に並んで配置された複数の電池スタック21を有している。電池スタック21は、電池ブロック、電池モジュールと称されることがある。組電池20は、複数の電池スタック21が直列に接続されて構成されている。各電池スタック21は、複数の電池セル22を有している。電池スタック21は、直列に接続された複数の電池セル22を有している。本実施形態の電池スタック21は、Y方向に並んで配置された複数の電池セル22が直列に接続されて構成されている。組電池20は、上記した直流電圧源を提供する。組電池20、電池スタック21、および電池セル22が、電池に相当する。
【0024】
電池セル22は、化学反応によって起電圧を生成する二次電池である。二次電池として、たとえばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池を採用することができる。リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池である。電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池の他、固体の電解質を用いたいわゆる全固体電池も含み得る。
【0025】
各電池スタック21の上面において、X方向の両端には、直線状のバスバーユニット23が配置されている。つまり各電池スタック21には、一対のバスバーユニット23が配置されている。バスバーユニット23は、複数の電池セル22を電気的に接続している。図3に示すように、各電池セル22は、扁平形状に形成されており、Y方向において側面同士が重なるように積層されている。電池セル22は、X方向の両端に、Z方向、より詳しくは上方を示すZ+方向に突出する正極端子25および負極端子26を有している。電池セル22は、Y方向において、正極端子25および負極端子26が交互に配置されるように積層されている。
【0026】
各バスバーユニット23は、正極端子25および負極端子26を電気的に接続する複数のバスバー24と、複数のバスバー24を覆うバスバーカバー27を有している。バスバー24は、銅などの導電性が良好な金属を材料とする板材である。バスバー24は、Y方向において隣り合う電池セル22の正極端子25と負極端子26とを電気的に接続している。これにより、各電池スタック21において、複数の電池セル22が電気的に直列に接続されている。なお、各電池スタック21において、Y方向の一端側に配置される電池セル22の正極端子25は、所定の正極配線に接続され、他端側に配置される電池セル22の負極端子26は、所定の負極配線に接続されている。
【0027】
バスバーカバー27は、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成されている。バスバーカバー27は、複数のバスバー24を覆うようにY方向に沿って電池スタック21の端から端まで直線状に設けられている。
【0028】
監視装置30は、複数の電池スタック21に対して個別に設けられている。監視装置30は、図2に示すように、各電池スタック21において一対のバスバーユニット23の間に配置されている。監視装置30は、バスバーユニット23にネジ等で固定されている。監視装置30は、後述するように、制御装置40との間で無線通信可能に構成されている。監視装置30が備える後述のアンテナ37は、Z方向において、バスバーユニット23と重ならないように、つまりZ方向においてバスバーユニット23よりも突出するように配置されている。
【0029】
制御装置40は、X方向の一端に配置されている電池スタック21の外側側面に取り付けられている。制御装置40は、各監視装置30と無線通信可能に構成されている。制御装置40が備える後述のアンテナ42は、Z方向において、監視装置30の無線アンテナと同程度の高さに配置されている。つまり制御装置40のアンテナ42は、Z方向において、バスバーユニット23よりも突出するように設けられている。
【0030】
電池パック11において、監視装置30および制御装置40が、後述する電池管理システムを提供する。つまり電池パック11は、電池管理システムを備えている。
【0031】
<電池管理システム>
次に、図4に基づいて、電池管理システムの概略構成について説明する。図4は、電池管理システムの構成を示すブロック図である。
【0032】
図4に示すように、電池管理システム100は、複数の管理装置(SBM)30と、制御装置(ECU)40を備えている。SBMは、Satellite Battery Moduleの略称である。制御装置40は、電池ECU、BMUと称されることがある。BMUは、Battery Management Unitの略称である。電池管理システム100は、無線通信を利用して電池を管理するシステムである。電池管理システム100では、ひとつの制御装置40と複数の監視装置30との間で、無線通信が実行される。
【0033】
<監視装置>
まず、監視装置30について説明する。各監視装置30の構成は互いにほぼ共通であるため、共通構成について以下に説明する。監視装置30は、電源回路(PSC)31と、マルチプレクサ(MUX)32と、監視IC(MIC)33と、マイコン(MC)34と、無線IC(WIC)35と、フロントエンド回路(FE)36と、アンテナ(ANT)37を備えている。監視装置30内の各要素間の通信については、有線で行われる。
【0034】
電源回路31は、電池スタック21から供給される電圧を用いて、監視装置30が備える他の回路要素の動作電源を生成する。本実施形態では、電源回路31が、電源回路311、312、313を含んでいる。電源回路311は、電池スタック21から供給される電圧を用いて所定の電圧を生成し、監視IC33に供給する。電源回路312は、電源回路311にて生成された電圧を用いて所定の電圧を生成し、マイコン34に供給する。電源回路313は、電源回路311にて生成された電圧を用いて所定の電圧を生成し、無線IC35に供給する。
【0035】
マルチプレクサ32は、電池パック11が備える複数のセンサ60の検出信号を入力し、ひとつの信号として出力する選択回路である。マルチプレクサ32は、監視IC33からの選択信号にしたがい、入力を選択(切り替え)してひとつの信号として出力する。センサ60は、電池セル22それぞれの物理量を検出するセンサ、および、いずれの電池セル22であるかを判別するためのセンサなどを含んでいる。物理量検出センサは、たとえば電圧センサ、温度センサ、電流センサなどを含んでいる。
【0036】
監視IC33は、マルチプレクサ32を通じて、セル電圧、セル温度、セル判別などの電池情報をセンシング(取得)し、マイコン34に送信する。監視IC33は、セル監視回路(CSC)と称されることがある。CSCは、Cell Supervising Circuitの略称である。監視IC33は、自己を含む監視装置30の回路部分の故障診断を実行し、監視データとして電池情報とともに診断結果を送信する機能を有してもよい。監視IC33は、マイコン34から送信された電池情報の取得を要求するデータを受信すると、マルチプレクサ32を通じて電池情報をセンシングし、電池情報を含む少なくとも含む監視データをマイコン34に送信する。監視IC33が、監視部に相当する。
【0037】
マイコン34は、プロセッサであるCPU、メモリであるROMおよびRAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに格納された種々のプログラムを実行することで、複数の機能部を構築する。ROMは、Read Only Memoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。
【0038】
マイコン34は、監視IC33によるセンシングや自己診断のスケジュールを制御する。マイコン34は、監視IC33から送信された監視データを受信し、無線IC35に送信する。マイコン34は、監視IC33に電池情報の取得を要求するデータを送信する。一例として、本実施形態のマイコン34は、無線IC35から送信された電池情報の取得を要求するデータを受信すると、監視IC33に電池情報の取得を要求するデータを送信する。
【0039】
無線IC35は、データを無線で送受信するためのRF回路を含んでいる。無線IC35は、RF回路に加えて、マイコンを含んでもよい。無線IC35は、送信データを変調し、RF信号の周波数で発振する送信機能を有している。無線IC35は、受信データを復調する受信機能を有している。RFは、radio frequencyの略称である。
【0040】
無線IC35は、マイコン34から送信された監視情報を含むデータを変調し、フロントエンド回路36およびアンテナ37を介して制御装置40に送信する。無線IC35は、電池情報を含む送信データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信する。無線通信に必要なデータは、たとえば識別子(ID)や誤り検出符号などを含む。無線IC35は、SBM30と制御装置40との間の通信のデータサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する。
【0041】
無線IC35は、制御装置40から送信されたデータをアンテナ37およびフロントエンド回路36を介して受信し、復調する。たとえば無線IC35は、電池情報の送信要求を含むデータを受信すると、要求に対する応答として、電池情報を含むデータを制御装置40に送信する。一例として、本実施形態の無線IC35は、電池情報の取得要求を含むデータを受信すると、取得要求に関するデータ(情報)をマイコン34に送信する。無線IC35が、無線回路部に相当する。
【0042】
無線IC35は、電池情報を蓄積する送信バッファ(BUF)350を有している。送信バッファ350は、電池情報を含む監視データ一時的に保持する。送信バッファ350は、複数回分の監視データ、つまり監視IC33が複数回取得した電池情報を蓄積可能に構成されている。本実施形態の送信バッファ350は、RF回路内に構成されたハードウェア回路である。無線IC35がマイコンを備える構成では、ソフトウェア上で送信バッファ350を構成してもよい。無線IC35は、制御装置40が送信した通信成立情報を受信すると、通信が成立した監視データを送信バッファ350から削除する。
【0043】
フロントエンド回路36は、無線IC35とアンテナ37とのインピーダンス整合のための整合回路、および、不要な周波数成分を除去するフィルタ回路を有している。
【0044】
アンテナ37は、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射する。アンテナ37は、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換する。
【0045】
<制御装置>
次に、制御装置40について説明する。制御装置40は、電源回路(PSC)41と、アンテナ(ANT)42と、フロントエンド回路(FE)43と、無線IC(WIC)44と、メインマイコン(MMC)45と、サブマイコン(SMC)46を備えている。制御装置40内の各要素間の通信については、有線で行われる。
【0046】
電源回路41は、バッテリ(BAT)15から供給される電圧を用いて、制御装置40が備える他の回路要素の動作電源を生成する。バッテリ15は、車両10に搭載された、電池パック11とは別の直流電圧源である。バッテリ15は、車両10の補機に電力を供給するため、補機バッテリと称されることがある。本実施形態では、電源回路41が、電源回路411、412を含んでいる。電源回路411は、バッテリ15から供給される電圧を用いて所定の電圧を生成し、メインマイコン45やサブマイコン46に供給する。図の簡略化のため、電源回路411とサブマイコン46との電気的な接続を省略している。電源回路412は、電源回路411にて生成された電圧を用いて所定の電圧を生成し、無線IC44に供給する。
【0047】
アンテナ42は、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射する。アンテナ42は、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換する。
【0048】
フロントエンド回路43は、無線IC44とアンテナ42とのインピーダンス整合のための整合回路、および、不要な周波数成分を除去するフィルタ回路を有している。
【0049】
無線IC44は、データを無線で送受信するためのRF回路を有している。無線IC44は、無線IC35と同様の構成を有している。無線IC44は、送信機能および受信機能を有している。無線IC44は、監視装置30から送信されたデータをアンテナ42およびフロントエンド回路43を介して受信し、復調する。そして、電池情報を含む監視データを、メインマイコン45に送信する。無線IC44は、メインマイコン45から送信されたデータを受信して変調し、フロントエンド回路43およびアンテナ42を介して監視装置30に送信する。無線IC44は、送信データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信する。無線通信に必要なデータは、たとえば識別子(ID)や誤り検出符号などを含む。無線IC44は、監視装置30と制御装置40との間の通信のデータサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する。
【0050】
メインマイコン45は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。ROMは、CPUによって実行される種々のプログラムを格納している。メインマイコン45は、監視装置30に対して処理を要求するコマンドを生成し、該コマンドを含む送信データを、無線IC44に送信する。
【0051】
メインマイコン45は、たとえば電池情報を含む監視データの送信を要求する送信要求コマンドを生成する。メインマイコン45は、送信要求コマンドを含む送信データに、監視データの取得を要求する取得要求コマンドを含ませることができる。メインマイコン45は、送信要求コマンドを含む送信データに、監視装置30との間の無線通信が正常になされたか否かを示す通信成立情報を含ませることができる。
【0052】
メインマイコン45は、無線IC44から送信された電池情報を含む監視データを受信し、監視データに基づいて所定の処理を実行する。たとえばメインマイコン45は、取得した電池情報を、ECU14に送信する処理を実行する。メインマイコン45は、電池情報に基づいてSOCおよび/またはSOHを算出し、算出したSOC、SOHを含む電池情報をECU14に送信してもよい。メインマイコン45は、電池情報に基づいて、各電池セル22の電圧を均等化させる均等化処理を実行してもよい。メインマイコン45は、車両10のIG信号を取得し、IG信号に基づいて車両10の駆動状態に応じて上記した処理を実行してもよい。メインマイコン45は、電池情報に基づいて、電池セル22の異常を検出する処理を実行してもよいし、異常検出情報をECU14に送信してもよい。
【0053】
サブマイコン46は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。ROMは、CPUによって実行される種々のプログラムを格納している。サブマイコン46は、制御装置40内の監視処理を実行する。たとえばサブマイコン46は、無線IC44とメインマイコン45との間のデータを監視してもよい。サブマイコン46は、メインマイコン45の状態を監視してもよい。サブマイコン46は、無線IC44の状態を監視してもよい。
【0054】
<電池情報の送受信>
次に、図5に基づき、制御装置40とひとつの監視装置30との間の電池情報の送受信について説明する。図5は、電池情報の要求および応答のシーケンスの一例を示している。図5では、監視IC33をMIC33、無線IC35をWIC35、制御装置40をECU40と示している。
【0055】
図5に示すように、制御装置40は、監視装置30に対して、電池情報を含む監視データの取得要求および送信要求を含む要求データを送信する(ステップS10)。ステップS10の送信データが、要求データのうち、所定の周期で送信される周期データに相当する。要求は、指示と称されることがある。送信する要求データには、制御装置40が前回の送受信、つまり前回の要求および応答において、電池情報を含む応答データを正常に受信したか否かを示す通信成立情報も含まれる。たとえば電源投入後の初回の送受信の場合、通信成立情報を通信不成立としてもよい。電源オフにより、送信バッファ350の全データが削除されているため、通信成立情報を通信成立としてもよい。
【0056】
監視装置30の無線IC35は、要求データを受信すると、通信成立情報が通信成立を示す場合に、通信成立したデータ、つまり前回の監視データを送信バッファ350から削除する(ステップS20)。前回データの削除は、通信成立の場合にのみ実行される。通信不成立の場合には、前回の監視データは送信バッファ350から削除されず、保持される。
【0057】
次いで、無線IC35は、電池情報を含む監視データの取得要求を、監視IC33に対して送信する(ステップS30)。本実施形態では、無線IC35は、取得要求を、マイコン34を介して監視IC33に送信する。
【0058】
監視IC33は、取得要求を受信すると、センシングを実行する(ステップS40)。監視IC33は、センシングを実行し、マルチプレクサ32を通じて各電池セル22の電池情報を取得する。また、監視IC33は、回路の故障診断を実行する。
【0059】
そして、監視IC33は、電池情報を含む監視データを無線IC35に送信する(ステップS50)。本実施形態では、電池情報とともに故障診断結果を含む監視データを送信する。監視IC33は、マイコン34を介して無線IC35に送信する。
【0060】
無線IC35は、監視IC33が取得した監視データを受信すると、監視データを送信バッファ350に蓄積する(ステップS60)。そして、無線IC35は、送信バッファ350に蓄積された監視データのうち、一回分の監視データを含む送信データを応答データとして制御装置40に対して送信する(ステップS70)。無線IC35は、たとえば送信バッファ350に蓄積された監視データを時系列で古い順に送信する。無線IC35は、以前の監視データが送信バッファ350に蓄積されていない場合に、ステップS60で取得したデータ、つまり今回取得の監視データを、制御装置40に対して送信する。
【0061】
制御装置40は、ステップS10の処理を実行した後に、通信成立を判断する(ステップS80)。制御装置40は、送受信の一周期内において、電池情報を含む監視データを正常に受信したか否かを判断し、この判断結果を、次回送信する通信成立情報に反映する。
【0062】
通信成立情報は、制御装置40が正常に受信した通信成立と、正常に受信しなかった通信不成立とを区別可能な情報である。制御装置40は、たとえば一周期内で電池情報を含む監視データを受信できなかった場合に、通信不成立と判断する。制御装置40は、一周期よりも短い所定の時間内に監視データを受信できなかった場合に、通信不成立と判断してもよい。たとえば制御装置40は、送信する要求データにシーケンス番号を含め、シーケンス番号を応答データにて返信してもらうことで、タイムアウトチェックを行ってもよい。また、制御装置40は、受信できたものの、受信時に実行する検査により通信エラーを検出した場合にも、通信不成立と判断する。制御装置40は、データの受信時に、たとえば誤り検出符号を用いた検査を実行する。通信成立情報は、通信成立を示す情報および/または通信不成立を示す情報を含めばよい。通信成立を示す情報および通信不成立を示す情報のいずれか一方の実を含む場合でも、無線IC35は、前回通信が成立したか否かを判断することができる。
【0063】
電池管理システム100は、上記したステップS10〜S80の処理を、所定の周期で繰り返し実行する。
【0064】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態の電池管理システム100によれば、監視装置30の無線IC35が、送信バッファ350を含んでいる。送信バッファ350は、監視装置30の監視IC33による複数回分の監視データ、つまり複数回分の電池情報を蓄積することができる。送信バッファ350に蓄積された監視データは、制御装置40からの通信成立情報により、制御装置40との通信が正常になされた場合に削除される。一方、通信が正常になされなかった場合には、監視データは削除されずに送信バッファ350に保持され、再送される。この結果、電池情報を含むデータの欠落を抑制することができる。
【0065】
無線通信の場合、有線通信に対して通信速度が遅く、通信頻度が少ない場合が多い。このため、電池セル22の電圧などの物理量の少なくともひとつに異常が生じた場合、または、故障診断情報により異常が検出された場合、監視データの欠落が生じると、値が急激に変更される可能性がある。値が急激に変更されると、制御が急激に変更されることとなり、安全性に問題はないものの、操作性に影響が生じる虞がある。これに対し、本実施形態によれば、異常を示す監視データの欠落を抑制することができる。これにより、操作性への影響を抑制することができる。
【0066】
また、監視データの欠落を抑制することで、監視データの累積で推定する要素、たとえば電池ダメージの累積などを精度よく推定することが可能となる。また、異常の検出を、閾値を超えた回数によって行う場合がある。この場合も、監視データの欠落を抑制することで、異常の検出タイミングを早めることが可能となる。
【0067】
図6および図7は、本実施形態に係る電池管理システム100において、送受信、つまり要求および応答の一例を示すタイミングチャートである。図6では、複数周期にわたり送受信が正常になされる例を示している。図7では、送受信が正常にされない場合の一例を示している。
【0068】
図6および図7に示すT1、T2、T3のそれぞれは、送受信の一周期を示している。TxAは、制御装置40から監視装置30へ送信される要求データを示している。TxAは、周期データに相当する。Rxは、監視装置30から制御装置40へ送信される応答データのうち、監視データを示している。Rxに付記した数字は、監視IC33が何回目(何周期目)に取得した監視データかを示している。たとえばRx1は、第1周期T1で取得した監視データである。以下では、第1周期T1の処理を実行する段階で、送信バッファ350に監視データが蓄積されていないことを前提としている。
【0069】
通信が正常になされた場合、データTxAに含まれる通信成立情報により、送信バッファ350に蓄積された前回の監視データが削除される。このため、図6に示すように、通信成立が継続すると、取得した監視データを、その周期内で応答信号として制御装置40に送信することができる。つまり取得した最新の電池情報を含む監視データを、制御装置40に送信することができる。制御装置40は、最新の監視データに基づく処理を実行することができる。
【0070】
図7に示す例では、第1周期T1において、制御装置40がデータRx1を正常に受信できない。このため、第2周期T2において、データTxAに含まれる通信成立情報は、通信不成立を示す。これにより、送信バッファ350のデータRx1は保持され、第2周期T2の応答データとして送信される。第2周期T2で取得されたデータRx2は、第2周期T2では送信されず、送信バッファ350に保持される。第2周期T2において、制御装置40は、データRx1を正常に受信する。このため、データRx2は、第3周期T3で送信される。このように、通信が不成立のデータを削除することなく、再度送信することができる。つまり電池情報を含むデータの欠落を抑制することができる。
【0071】
本実施形態では、制御装置40から電池情報を含む監視データの取得および送信を要求し、監視IC33がそれに応じて監視データの取得および送信を行う。これにより、監視IC33は、通信スケジュールを管理および把握する必要がなくなる。また、制御装置40により通信スケジュールを一元管理することにより、通信スケジュールの管理および変更を簡単に行うことが可能となる。また、監視IC33における制御を簡素化することができる。
【0072】
本実施形態では、通信成立の前回データを送信バッファ350から削除した後に、監視IC33が取得した監視データを送信バッファ350に蓄積する例を示した。しかしながら、取得した監視データを送信バッファ350に蓄積した後に、通信成立の前回データを送信バッファ350から削除してもよい。ステップS70のデータ送信処理を実行する前に、通信成立の前回データの削除と今回取得した監視データの蓄積がなされればよい。
【0073】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、監視データの要求および応答の処理を、一周期に一回だけ実行する例を示した。これに代えて、要求および応答の処理を、送信バッファ350の蓄積データに応じて複数回実行してもよい。
【0074】
図8は、本実施形態に係る電池管理システム100において、電池情報の要求および応答のシーケンスの一例を示している。図8は、図5に対応している。ステップS60までの処理は先行実施形態と同様である。このため、ステップS10〜ステップS50の記載を省略し、ステップS60から図示している。
【0075】
図8に示すように、無線IC35は、ステップS60の処理、つまり監視IC33が取得した監視データを送信バッファ350に蓄積する処理を実行した後、ステップS70Aの処理を実行する。ステップS70Aでは、先行実施形態に記載のステップS70の処理に代えて、送信バッファ350に蓄積された一回分の監視データとともに、未送信蓄積情報を送信する。未送信蓄積情報は、送信バッファ350に蓄積された、ステップS70Aで送信する監視データとは別の監視データであって、この送受信周期で未送信の監視データに関する情報である。たとえば未送信の監視データ数でもよいし、未送信の監視データを特定する識別子などでもよい。ステップS70Aの処理で送信される監視データに含まれる電池情報が、第1電池情報に相当する。未送信の監視データに含まれる電池情報が、第2電池情報に相当する。
【0076】
ステップS70Aの実行後、先行実施形態同様、制御装置40は、先行実施形態同様、ステップS80の処理、つまり通信成立判断を実行する。
【0077】
制御装置40は、受信した応答データ中の未送信蓄積情報に基づいて、追加送信処理の判断を実行する(ステップS90)。制御装置40は、たとえば未送信データの有無と送受信周期の残時間とに基づいて、追加の送受信処理が可能か否かを判断し、可能と判断すると、ステップS100の処理を実行する。不可能と判断すると、ステップS100の処理を実行せず、次の周期においてステップS10の処理から実行する。
【0078】
制御装置40は、ステップS100において、ステップS10の処理から監視データの取得要求を除いた処理を実行する。つまり監視データの送信要求および通信成立情報を含む要求データを送信する。なお、ステップS10の処理で送信される要求データが、第1要求データに相当する。ステップS100で送信される要求データが、第2要求データに相当する。
【0079】
監視装置30の無線IC35は、ステップS100で処理された要求データを受信すると、ステップS110の処理を実行する。ステップS110は、ステップS20と同様の処理である。無線IC35は、ステップS110において、通信成立情報が通信成立を示す場合に、通信成立した前回の監視データを送信バッファ350から削除する。
【0080】
受信した要求データには取得要求が含まれていないため、追加の送受信処理では、ステップS30〜ステップS60と同様の処理は実行しない。無線IC35は、ステップS110の処理が終了すると、ステップS120の処理を実行する。ステップS120は、ステップS70Aと同様の処理である。
【0081】
ステップS120の実行後、制御装置40は、ステップS130の処理およびステップS140の処理を実行する。ステップS130は、ステップS80と同様の処理であり、ステップS140は、ステップS90と同様の処理である。図8に示す二点鎖線で囲んだ処理、つまりステップS100〜ステップS140の処理が追加の送受信処理である。ステップS140において、制御装置40は、追加の送受信処理が可能と判断すると、再び追加の送受信処理を実行する。このように、送信バッファ350に未送信の監視データがあり、かつ、周期内での送受信が可能な場合に、追加の送受信処理を繰り返し実行する。
【0082】
無線IC35は、たとえば上記した処理において送信バッファ350のフラグ管理を行ってもよい。送信バッファに蓄積されている監視データを送信処理した場合にフラグに1をセットする。この状態で通信成立の場合に、該当する監視データを送信バッファ350から削除する。一方、通信不成立の場合には、該当する監視データに対するフラグを0にリセットする。これにより、通信不成立の場合には、監視データは削除されず保持される。この手法は、先行実施形態に適用することができる。
【0083】
送信バッファ350は、複数の監視データが蓄積されている場合に、たとえば取得の古い順に監視データの送信処理を行う。送信バッファ350は、一周期内で追加の送信(ステップS120)を実行するとき、操作位置をひとつずらす。以上により、一周期内において、最初に送信した監視データが通信不成立の場合にその監視データを削除せず保持し、別の監視データを送信処理することができる。
【0084】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態では、無線IC35が制御装置40からの要求データ(第1要求データ)に応じて送信バッファ350に蓄積された監視データ(電池情報)を送信する際に、送信する電池情報(第1電池情報)とは別であり、未送信の電池情報(第2電池情報)の蓄積情報を応答データに含めて送信する。制御装置40は、蓄積情報を含む応答データを受信すると、第1要求データと同一の周期内で、未送信の電池情報の送信を要求する要求データ(第2要求データ)を監視装置30に送信する。つまり送信バッファ350に残データがある場合に、追加の送受信処理を実行する。この結果、先行実施形態同様に監視データの欠落を抑制しつつ、最新の監視データの送信に遅れが生じるのを抑制することができる。
【0085】
たとえば組電池20の充放電制御や、PCU12およびMG13の制御には、最新の電池情報を用いることが好ましい。本実施形態によれば、監視データの欠落が影響する、電池ダメージの累積などの推定精度を高めるとともに、最新の監視データが重要である各種制御の精度を向上することができる。
【0086】
図9および図10は、本実施形態に係る電池管理システム100において、要求および応答の一例を示すタイミングチャートである。図9および図10は、上記した図6および図7に対応している。TxAは第1要求データを示し、TxBは第2要求データ(追加の要求データ)を示している。TxAは、周期データに相当する。ここでも、第1周期T1の処理を実行する段階で、送信バッファ350にデータが蓄積されていないことを前提としている。
【0087】
図9は、制御装置40が、第1周期T1において、監視装置30が送信したデータRx1を受信できない例を示している。制御装置40は、未蓄積情報を受信することができない。第2周期T2において、データTxAに含まれる通信成立情報は、通信不成立を示す。このため、監視装置30は、データTxAを受信すると、送信バッファ350に蓄積されているデータRx1を削除せずに保持する。監視装置30は、第2周期T2の応答データとして、送信バッファ350からデータRx1を送信する。第2周期T2で取得されたデータRx2は、送信されず、送信バッファ350に保持される。このため、応答信号は、データRx1と、未送信データありを示す未送信蓄積情報を含む。
【0088】
第2周期T2において、制御装置40は、データRx1を正常に受信する。未送信の監視データがあるため、制御装置40は、追加の送信要求を含むデータTxBを送信する。監視装置30は、データTxBを受信すると、データTxBに含まれる通信成立情報に基づき、送信バッファ350に蓄積されているデータRx1を削除する。また、送信バッファ350からデータRx2を送信する。応答信号は、データRx2と、未送信データなしを示す未送信蓄積情報を含む。
【0089】
第2周期T2において、制御装置40は、データRx2を正常に受信する。未送信データがないため、制御装置40は、追加の送信要求を実行しない。第3周期T3において、データTxAに含まれる通信成立情報は、データRx2の通信成立を示す。監視装置30は、データTxAを受信すると、通信成立情報に基づき、送信バッファ350に蓄積されているデータRx2を削除する。また、取得したデータRx3を送信バッファ350から送信する。
【0090】
図10は、制御装置40が、第1周期T1で制御装置40をできず、第2周期T2でデータRX1を受信するもの検査によって通信エラーを検出した例を示す。第2周期T2において、監視装置30がデータRx1を再送するまでの流れは、図9と同じであるため、説明を割愛する。データRx1は、未送信データありを示す未送信蓄積情報が付与されて送信される。
【0091】
第2周期T2において、制御装置40は、データRx1を受信するものの、誤り訂正符号を用いた検査などにより通信エラーを検出する。未送信データがあるため、制御装置40は、追加の送信要求を含むデータTxBを送信する。データTxBは、通信不成立を示す通信成立情報を含む。監視装置30は、データTxBを受信すると、データTxBに含まれる通信成立情報に基づき、送信バッファ350に蓄積されているデータRx1を削除せずに保持する。また、送信バッファ350からデータRx2を送信する。応答信号は、データRx2と、未送信データなしを示す未送信蓄積情報を含む。
【0092】
第2周期T2において、制御装置40は、データRx2を正常に受信する。未送信データがないため、制御装置40は、追加の送信要求を実行しない。第3周期T3において、データTxAに含まれる通信成立情報は、データRx2の通信成立を示す。監視装置30は、データTxAを受信すると、通信成立情報に基づき、送信バッファ350に蓄積されているデータRx2を削除する。監視装置30は、第3周期T3の応答データとして、送信バッファ350からデータRx1を送信する。第3周期T3で取得されたデータRx3は、送信されず、送信バッファ350に保持される。応答信号は、データRx1と、未送信データありを示す未送信蓄積情報を含む。
【0093】
第3周期T3において、制御装置40は、データRx1を正常に受信する。未送信データがあるため、制御装置40は、追加の送信要求を含むデータTxBを送信する。監視装置30は、データTxBを受信すると、データTxBに含まれる通信成立情報に基づき、送信バッファ350に蓄積されているデータRx1を削除する。また、送信バッファ350からデータRx3を送信する。応答信号は、データRx3と、未送信データなしを示す未送信蓄積情報を含む。
【0094】
図9および図10に示す例からも分かるように、本実施形態によれば、監視データの欠落を抑制しつつも、最新の監視データの送信に遅れが生じるのを抑制することができる。
【0095】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では特に言及しなかったが、所定の条件を満たす場合に、送信バッファ350に蓄積されたデータをすべて削除するようにしてもよい。
【0096】
図11は、本実施形態に係る電池管理システム100において、無線IC35が実行する処理を示す図である。無線IC35は、送信バッファ350に空きがない場合、つまり監視IC33が取得した新たな監視データを送信バッファ350に蓄積できない場合に、送信バッファ350内の監視データをすべて削除する。つまり監視データが蓄積されていない初期状態に戻す。これにより、新たに取得した監視データ(dataG)を送信バッファ350に蓄積することができる。
【0097】
無線IC35は、送信バッファ350内の監視データの蓄積情報に基づいて、空きがあるか否かを判断し、空きがないと判断すると送信バッファ350の全テータを一括削除してもよい。たとえばパワーオンリセットなどのハード処理により、全データを削除してもよい。ソフトウェア上でリセット処理を実行し、全データを削除してもよい。
【0098】
また、監視装置30と制御装置40との接続確立状態を解除し、この解除にともなって全テータを削除してもよい。この場合、いわゆるペアリングなどの接続確立作業が再び必要となる。また、制御装置40が送信バッファ350の空き状況を判断し、送信バッファ350に蓄積された全データの削除指示を監視装置30に送信してもよい。監視装置30は、全データの削除指示を受信すると、送信バッファ350の全テータを一括削除する。制御装置40は、たとえば未送信蓄積情報および通信成立情報に基づいて、送信バッファ350の空き状況を判断してもよい。
【0099】
<第3実施形態のまとめ>
上記したように、本実施形態では、送信バッファ350に空きがない場合に、無線IC35が送信バッファ350内の監視データをすべて削除する。したがって、監視装置30と制御装置40との間の通信環境が悪化して通信異常、つまり通信不成立が継続した場合において、新たに取得した監視データが送信できなくなるのを抑制することができる。たとえば追加の送受信処理を実行する構成において、新たに取得した監視データを取得した周期内において送信できなくなるのを抑制することができる。
【0100】
<変形例>
送信バッファ350に蓄積された全データを削除するタイミングは、送信バッファ350に空きがない状態に限定されない。たとえば送信バッファ350に蓄積できるデータ数よりも、送受信の一周期で送信可能なデータ数の方が少ないこともあり得る。このような場合、一周期内で送信可能なデータを超えた場合に、無線IC35は、送信バッファ350内に蓄積された全データを削除してもよい。
【0101】
たとえば一周期に監視装置30から送信可能なデータ数が3つの場合、図12に示すように、送信バッファ350に3つの監視データが蓄積されている。新たに取得する監視データを含めると4つの監視データを蓄積することになるため、無線IC35は、送信バッファ350内の監視データをすべて削除する。これにより、新たに取得した監視データ(dataG)を送信バッファ350に蓄積することができる。
【0102】
第3実施形態およびその変形例に示した全データの削除については、先行実施形態のいずれとも組み合わせが可能である。
【0103】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0104】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0105】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【0106】
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0107】
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化されたひとつ以上の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサとひとつ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成されたひとつ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。つまりプロセッサ等が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。たとえばプロセッサが備える機能の一部または全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、ひとつ以上のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサは、CPUの代わりに、MPUやGPU、DFPを用いて実現されていてもよい。プロセッサは、CPUや、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。プロセッサは、システムオンチップ(SoC)として実現されていても良い。さらに、各種処理部は、FPGAや、ASICを用いて実現されていても良い。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDDやSSD、フラッシュメモリ、SDカードなど、多様な記憶媒体を採用可能であるDFPは、Data Flow Processorの略称である。SoCは、System on Chipの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。HDDは、Hard disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。SDは、Secure Digitalの略称である。
【0108】
たとえば監視装置30がマイコン34を備える例を示したが、これに限定されるものではない。図13に示すように、監視装置30がマイコン34を備えない構成の電池管理システム100を採用してもよい。図13は、図4に対応している。この構成では、無線IC35が、監視IC33との間でデータの送受信を行う。監視IC33によるセンシングや自己診断のスケジュール制御については、無線IC35が実行してもよいし、制御装置40のメインマイコン45が実行してもよい。
【0109】
制御装置40が周期的に送信する要求データとしての周期データ(TxA)が、電池情報を含む監視データの取得要求および送信要求を含む例を示したが、これに限定されるものではない。周期データに、監視データの取得要求を含まず、監視データの送信要求のみを含んでもよい。監視装置30は、制御装置40からの取得要求をトリガにして新たな監視データを取得するのではなく、送受信周期に応じて予め設定された所定周期で監視データを取得してもよい。所定周期は、たとえば送受信の一周期に一致する。
【0110】
電池スタック21ごとに監視装置30を配置する例を示したが、これに限定されない。たとえば複数の電池スタック21に対して、ひとつの監視装置30を配置してもよい。ひとつの電池スタック21に対して、複数の監視装置30を配置してもよい。
【0111】
電池パック11が、ひとつの制御装置40を備える例を示したが、これに限定されない。複数の制御装置40を備えてもよい。つまり電池パック11は、ひとつ以上の監視装置30とひとつ以上の制御装置40を備えればよい。電池管理システム100は、ひとつの制御装置40とひとつ以上の監視装置30との間に構築される無線通信システムを複数組備えてもよい。
【0112】
監視装置30が、監視IC33をひとつ備える例を示したが、これに限定されない。複数の監視IC33を備えてもよい。この場合において、監視IC33ごとに無線IC35を設けてもよいし、複数の監視IC33に対して、ひとつの無線IC35を設けてもよい。
【0113】
組電池20を構成する電池スタック21および電池セル22の配置や個数は上記した例に限定されない。電池パック11において、監視装置30および/または制御装置40の配置は、上記した例に限定されない。
【符号の説明】
【0114】
10…車両、11…電池パック、12…PCU、13…MG、14…ECU、15…バッテリ、20…組電池、21…電池スタック、22…電池セル、23…バスバーユニット、24…バスバー、25…正極端子、26…負極端子、27…バスバーカバー、30…監視装置、31、311、312、313…電源回路、32…マルチプレクサ、33…監視IC、34…マイコン、35…無線IC、350…送信バッファ、36…フロントエンド回路、37…アンテナ、40…制御装置、41、411、412…電源回路、42…アンテナ、43…フロントエンド回路、44…無線IC、45…メインマイコン、46…サブマイコン、50…筐体、60…センサ、100…電池管理システム
【要約】
【課題】電池情報を含むデータの欠落を抑制できる電池管理システムを提供すること。
【解決手段】監視装置は、電池情報を取得する監視IC33と、無線IC35を有する。制御装置40は、無線IC35との間で無線通信を行う。制御装置40は電池情報の送信を要求する要求データを送信し、監視装置30は要求データを受信すると電池情報を含む応答データを制御装置40に送信する。制御装置40は、要求データに対する応答データの通信成立情報を含ませて次の要求データを送信する。無線IC35は、複数回分の電池情報を個別に蓄積可能な送信バッファ350を含み、ひとつの要求データに対して送信バッファ350内の一回分の電池情報を送信する。無線IC35は、通信成立の場合に対応する電池情報を送信バッファ350から削除し、通信不成立の場合に電池情報を送信バッファ350に保持する。
【選択図】図4
図1
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図13