【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年11月26日パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1−1−1)において開催された第37回日本分子生物学会年会にて発表
【文献】
腸管センチネルを標的とした炎症性腸疾患治療法の開発, 「炎症の慢性化機構の解明と制御」研究領域 領域活動・評価報告書−平26年度終了研究課題− (2014) <https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/evaluation/posteriori/h26/JST_P08_inflam_2014.pdf>
【文献】
Crit. Care Med. (2002) vol.30, no.5(Suppl.), p.S214-S219
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記CD169が、配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
前記抗体が、モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組み換え抗体または抗イディオタイプ抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、炎症性腸疾患を抑制する抗体および該抗体を含む医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
腸管粘膜近傍に常在するマクロファージは、IL−10依存的に腸内細菌に対する免疫寛容を維持していると考えられているが、常在菌との平和的共存状態と病原菌の侵入とを識別する分子学的および細胞学的機序はほとんど明らかになっていない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、腸管粘膜近傍に常在するマクロファージのうち、CD169マクロファージが消化管粘膜固有層に常在し、炎症性腸疾患の病態形成に重要な役割を担うことを見出した。第一に、CX3CR1陽性マクロファージが粘膜固有層全体に均一に分布するのに対し、CD169マクロファージは粘膜直下にはほとんど存在せず、その大部分が粘膜筋板側に偏在していることを見出した。第二に、CD169マクロファージを消失したマウスでは、デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran Sodium Sulfate(DSS)誘導性腸炎の臨床症状が劇的に改善することを見出した。また、これらのマウスでは腸管粘膜に浸潤するLy6C高発現炎症性マクロファージが顕著に減少していたが、一方で、好中球、好酸球、樹状細胞の数には大きな変動は認められなかった。
【0007】
上記の結果から、本発明者らはCD169マクロファージが腸管上皮の損傷と、それに伴う腸管細菌の侵入とに応答して何らかのシグナル分子を産生し、炎症性マクロファージを動員する可能性があると考え、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第1の側面は:
(1)CD169を発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体
に関する。
本発明の一態様は:
(2)配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するCD169またはその相同分子を発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する、(1)に記載の抗体;
(3)配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するCD169またはその相同分子を発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する、(1)又は(2)に記載の抗体
である。
【0009】
また、本発明者らは、更なる鋭意研究の結果、CD169マクロファージの遺伝子発現の網羅的解析により、腸炎発症時にはCCL8遺伝子がCD169マクロファージ選択的に強発現することを新たに見出した。
従って、本発明の一態様は:
(4)サイトカインCCL8に結合する抗体
である。
また、本発明の好適な態様は:
(5)配列番号6または配列番号8で示されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するサイトカインCCL8またはその相同分子に結合する、(4)に記載の抗体;
(6)配列番号6または配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するサイトカインCCL8またはその相同分子に結合する、(4)または(5)に記載の抗体;
(7)配列番号6で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1〜76位のアミノ酸の領域において、又は、配列番号8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、1〜78位のアミノ酸の領域においてエピトープを認識する、(4)〜(6)のいずれか1項に記載の抗体;
【0010】
(8)配列番号9で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の抗体;
(9)配列番号9で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の抗体;
(10)配列番号15で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の抗体;
(11)配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の抗体;
【0011】
(12)ヒト化抗体またはヒト抗体である、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の抗体;
(13)モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組み換え抗体または抗イディオタイプ抗体である、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の抗体;
(14)ハイブリドーマ17D6株(NITE AP−02055)、
ハイブリドーマ1D5株(NITE AP−02056)、
ハイブリドーマ2G6株(NITE AP−02057)または
ハイブリドーマ10C7株(NITE AP−02058)
から産生される、(1)〜(13)のいずれか1項に記載の抗体
である。
【0012】
(15)(1)〜(14)のいずれか1項に記載の抗体を含む、医薬組成物
に関する。
また、本発明の好ましい態様は:
(16)炎症性腸疾患治療用の、(15)に記載の医薬組成物。
【0013】
更に本発明の第3の側面は:
(17)哺乳類において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、
(1)〜(16)のいずれか1項に記載の抗体を、治療的に有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、炎症性腸疾患を抑制することができる抗体または該抗体を含んだ医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明は、炎症性腸疾患を抑制する抗体および該抗体を含む医薬組成物に関する。
【0017】
具体的に、本発明の第1の側面は、CD169を発現する細胞、好ましくはCD169を表面に発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体である。例えば、ヒトCD169前駆体のアミノ酸配列およびマウスCD169前駆体のアミノ酸配列はそれぞれ、NCBI Reference Sequence:NP_075556およびNP_035556に開示されている。ヒトCD169前駆体のアミノ酸配列およびマウスCD169前駆体のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号1および3に示す。
【化1】
【化2】
また、ヒトCD169のアミノ酸配列およびマウスCD169のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号2および4に示す。
【化3】
【化4】
本発明において、「CD169」には、全長タンパク質およびその断片の両方を含むことを意図する。断片とは、CD169ポリペプチドの任意の領域を含むペプチドであり、天然のCD169ポリペプチドの機能を有していなくてもよい。また、「CD169」には、更にCD169相同分子およびその断片も含まれるものとする。CD169相同分子には、天然のCD169と例えば70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるものとする。
【0018】
ここで、本発明において「抗体」の語には、抗体そのものに加え、当該抗体の断片、特に抗原結合断片も含むものとする。当該断片には例えば、一本鎖抗体(scFv)、scFv二量体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ドメイン抗体などが含まれるものとする。さらに、本発明の抗体は複数の抗原に対して特異的に結合する多特異性抗体であってもよい。また、本発明の抗体には例えば、ハイブリドーマを使用して産生されたものの他、遺伝子組み換え技術を使用して作製された組み換えポリペプチドも含まれるものとする。
「抗体依存性細胞傷害活性」とは、「抗体依存性細胞傷害(Antibody−dependent cellular cytotoxicity(ADDC))」と同義であり、標的細胞の表面抗原に結合した抗体のFc部分に、Fcγレセプター保有細胞が、Fcγレセプターを介して付着し、標的細胞を殺傷、消失または不活性化する活性をいう。ここで、本発明における前記標的細胞は、CD169を表面に発現する細胞である。
CD169マクロファージは、腸管上皮の損傷と、それに伴う腸管細菌の侵入に応答して何らかのシグナル分子を産生し、炎症性マクロファージを動員すると考えられ、前記抗体は、CD169を表面に発現する細胞に特異的に結合してCD169を表面に発現する細胞を殺傷、消失または不活性化することにより炎症性腸疾患を治療または予防することができる。
【0019】
本発明の抗体は、一態様において、配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列と、例えば70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するCD169またはその相同分子を発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する。当該抗体は好ましくは、配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列と、例えば70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するCD169またはその相同分子を、表面に発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する。
更に、本発明の抗体は、一態様において、配列番号1〜4のいずれかで示されるCD169またはその相同分子を発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する。当該抗体は好ましくは、配列番号1〜4のいずれかで示されるCD169またはその相同分子を、表面に発現する細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を有する。
【0020】
CD169マクロファージは、サイトカインの一種であるCCL8を産生する。例えば、ヒトCCL8は、99個のアミノ酸からなるCCL8前駆体から、1〜23個のアミノ酸からなるシグナル配列が切断され、76個のアミノ酸からなる成熟型のCCL8ポリペプチドとして細胞外に分泌される。
ヒトCCL8前駆体のアミノ酸配列は、NCBI Reference Sequence:NP_005614に開示されている。ヒトCCL8前駆体のアミノ酸配列およびヒトCCL8の成熟型のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号5および配列番号6に示す。
【化5】
【化6】
また、例えば、マウスCCL8は、97個のアミノ酸からなるCCL8前駆体から、1〜19個のアミノ酸からなるシグナル配列が切断され、78個のアミノ酸からなる成熟型のCCL8ポリペプチドとして細胞外に分泌される。マウスCCL8前駆体のアミノ酸配列は、NCBI Reference Sequence:NP_067418に開示されている。マウスCCL8前駆体のアミノ酸配列およびマウスCCL8の成熟型のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号7および配列番号8に示す。
【化7】
【化8】
腸炎発症時には、CCL8遺伝子がCD169マクロファージに選択的に強発現していることから、CCL8は、CD169マクロファージによって産生され、炎症性の単球を動員することによって腸炎を誘発する可能性があると考えられる。従って、本発明の一態様は、サイトカインCCL8に結合する抗体である。炎症性の単球を動員して腸炎を誘発すると考えられるCCL8ポリペプチドに抗体を結合させることにより、腸炎の誘発を抑制することができる。
【0021】
本発明において、「CCL8ポリペプチド」とは、全長タンパク質およびその断片の両方を含むことを意図する。断片とは、CCL8ポリペプチドの任意の領域を含むペプチドであり、天然のCCL8ポリペプチドの機能を有していなくてもよい。また、「CCL8ポリペプチド」には、更にCCL8相同分子およびその断片も含まれるものとする。CCL8相同分子には、天然のCCL8ポリペプチドと例えば50%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上、非常に好ましくは75%以上、さらに特に好ましくは80%以上、さらに非常好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるものとする。
【0022】
従って、本発明の一態様において、前記抗体は、配列番号6または配列番号8で示されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するサイトカインCCL8またはその相同分子に結合する。また、好ましくは、前記抗体は、配列番号6または配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するサイトカインCCL8またはその相同分子に結合する。
更に詳細には、前記抗体は、配列番号6で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち1〜76位のアミノ酸の領域において、又は、配列番号8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち1〜78位のアミノ酸の領域においてエピトープを認識する。
本発明において、「エピトープ」とは、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはマウス、ラットまたはヒトの体内において、抗原性および/または免疫原生を有するCCL8ポリペプチドの部分ペプチドを意味する。抗原性を有するCCL8の部分ペプチドであるエピトープは、免疫アッセイ等、当業者に既知の方法により決定することができる。エピトープは例えば、以下の方法によって決定することができる。まず、公知のオリゴペプチド合成技術を用い、CCL8ポリペプチドの様々な部分構造を作製する。具体的には、CCL8ポリペプチドのC末端またはN末端から適当な長さで順次短くした一連のポリペプチドを検討し、大まかな認識部位を決定した後に更に短いペプチドを合成して、それらとの反応性を調べることによって決定することができる。
【0023】
本発明の抗体としては例えば、下記で説明する17D6、1D5、10C7および2G6が挙げられる。
17D6は、配列番号6または8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、例えば1〜20位、好ましくは1〜17位、より好ましくは1〜15位、さらに好ましくは1〜14位、最も好ましくは1〜13位のアミノ酸領域においてエピトープを認識する。
1D5は、配列番号6または8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、例えば1〜15位、好ましくは1〜10位、より好ましくは1〜7位、さらに好ましくは1〜5位、最も好ましくは1〜4位のアミノ酸領域においてエピトープを認識する。
10C7は、配列番号6または8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、例えば1〜15位、好ましくは1〜10位、より好ましくは1〜7位、さらに好ましくは1〜5位、最も好ましくは1〜4位のアミノ酸領域においてエピトープを認識する。
2G6は、配列番号6で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、例えば3〜76位、好ましくは5〜76位、より好ましくは10〜76位、さらに好ましくは15〜76位、最も好ましくは20〜76位のアミノ酸領域においてエピトープを認識する。また、2G6は、配列番号8で示されるサイトカインCCL8ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、例えば3〜78位、好ましくは5〜78位、より好ましくは10〜78位、さらに好ましくは15〜78位、最も好ましくは20〜78位のアミノ酸領域においてエピトープを認識する。
【0024】
本発明に係る抗体は例えば、以下のような相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)を含む。
配列番号9で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3。
【0025】
また、本発明の抗体には、
配列番号9で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む抗体が包含される。
【0026】
更に、本発明に係る抗体には、
配列番号9で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む抗体;
配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む抗体;および
配列番号9で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR1と、
配列番号10で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR2と、
配列番号11で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域のCDR3と、
配列番号12で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR1と、
配列番号13で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR2と、
配列番号14で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域のCDR3と
を含む抗体
が包含される。
【0027】
また、本発明に係る抗体は例えば、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域とを含む。
【0028】
本発明に係る抗体には、
配列番号15で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む抗体;
配列番号15で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む抗体;
配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む抗体;および
配列番号15で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域と、
配列番号16で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む前記軽鎖可変領域と
を含む抗体
が包含される。
【0029】
更に、本発明の抗体は例えば、モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組み換え抗体または抗イディオタイプ抗体である。
【0030】
本発明の抗体がモノクローナル抗体である場合、当該分野で既知の方法によって作製することができる。本発明のモノクローナル抗体の作製方法の一例を以下に詳述するが、これに限定されるものではない。
【0031】
(1)抗体産生細胞の調製
抗原であるCD169またはCCL8ポリペプチドと、当業者に周知のアジュバント、例えばフロインドの完全又は不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物としては公知のハイブリドーマ作製法に用いられる動物を支障なく使用することができる。具体的には、たとえばマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ等を使用することができる。ただし、摘出した抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞の入手容易性等の観点から、マウス、ラットまたはハムスターを被免疫動物とするのが好ましい。
【0032】
また、実際に使用するマウス及びラットの系統は特に制限はなく、マウスの場合には、たとえば各系統A、AKR、BALB/c、BDP、BA、CE、C3H、C57BL、C57BR、DBA、FL、HTH、HT1、LP、NZB、NZW、RF、RIII、SJL、SWR、WB、129等が、ラットの場合には、たとえば、Low、Lewis、Spraque−Dawley、ACI、BN、Fischer、Wistar等が、またハムスターの場合はArmenia等を用いることができる。これらのげっ歯類は例えば日本クレア、日本チャールスリバー等実験動物飼育販売業者より入手することができる。
【0033】
また、抗原のヒトとマウスでの相同性を考慮し、自己抗体を除去する生体機構を低下させたマウス、すなわち自己免疫疾患マウスを用いることも好ましい。なお、これらマウス又はラットの免疫時の週齢は、好ましくは5〜12週齢、さらに好ましくは6〜8週齢である。
【0034】
CD169またはCCL8によって動物を免疫するには、例えば、Weir,D.M.,Handbook of Experimental Immunology Vol.I. II. III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964)等に詳しく記載されている公知の方法を用いることができる。
【0035】
これらの免疫法のうち、好適なものは例えば以下の通りである。
まず、抗原または抗原を発現させた細胞を動物の皮内又は腹腔内に投与する。ただし、免疫効率を高めるためには両者の併用が好ましく、前半は皮内投与を行い、後半又は最終回のみ腹腔内投与を行うと、特に免疫効率を高めることができる。
抗原の投与スケジュールは、被免疫動物の種類、個体差等により異なるが、一般に、抗原投与回数3〜6回、投与間隔2〜6週間であり、好ましくは、投与回数3〜4回、投与間隔2〜4週間である。また、抗原の投与量は、動物の種類、個体差等により異なるが、一般には0.05〜5mg、好ましくは0.1〜0.5mg程度とする。
追加免疫は、上記の抗原投与の1〜6週間後、好ましくは2〜4週間後、さらに好ましくは2〜3週間後に行う。追加免疫を行う際の抗原投与量は、動物の種類、大きさ等により異なるが、一般に、例えばラットの場合には、0.05〜5mg、好ましくは0.1〜0.5mg、さらに好ましくは0.1〜0.2mg程度とする。
【0036】
上記追加免疫から1〜10日後、好ましくは2〜5日後、さらに好ましくは2〜3日後に被免疫動物から抗体産生細胞を含む脾臓細胞又はリンパ球を無菌的に取り出す。なお、その際に血清抗体価を測定し、抗体価が十分高くなった動物を抗体産生細胞の供給源として用いれば、以後の操作の効率を高めることができる。
ここで用いられる抗体価の測定法としては、例えば、RIA法又はELISA法を挙げることができるがこれらの方法に制限されない。例えばELISA法によるラット血清抗体価の測定は、以下に記載するような手順により行うことができる。
【0037】
まず、精製又は部分精製した抗原をELISA用96穴プレート等の固相表面に吸着させ、さらに抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係な蛋白質、例えばウシ血清アルブミン(以下「BSA」という)により覆い、該表面を洗浄後、第一抗体として段階希釈した試料(例えばマウス血清)に接触させ、上記抗原に試料中の抗体を結合させる。
さらに第二抗体として酵素標識抗体を加えてラット抗体に結合させ、洗浄後、該酵素の基質を加え、基質分解に基づく発色による吸光度の変化等を測定することにより、抗体価を算出する。
これらの脾臓細胞又はリンパ節細胞からの抗体産生細胞の分離は、公知の方法(例えば、Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495,;Kohler et al.,Eur.J.Immnol.(1977)6,p.511,;Milstein et al.,Nature(1977),266,p.550,;Walsh,Nature,(1977)266,p.495,)に従って行うことができる。例えば、脾臓細胞の場合には、細胞を細切してステンレスメッシュで濾過した後、イーグル最小必須培地(MEM)に浮遊させて抗体産生細胞を分離する一般的方法を採用することができる。
【0038】
(2)骨髄腫細胞の調製
細胞融合に用いる骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ細胞」とも称する)には特段の制限はなく、公知の細胞株から適宜に選択して用いることができる。ただし、融合細胞からハイブリドーマを選択する際の利便性を考慮して、その選択手続が確立しているHGPRT(Hipoxanthine−guanine phosphoribosyl transferase)欠損株を用いるのが好ましい。
【0039】
すなわち、マウス由来のX63−Ag8(X63)、NS1−ANS/1(NS1)、P3X63−Ag8.Ul(P3Ul)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO、BU.1等、ラット由来の210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)等、ヒト由来のU266AR(SKO−007)、GM1500・GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LON−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)等である。これらのHGPRT欠損株は例えば、American Type Culture Collection(ATCC)等から入手することができる。
【0040】
これらの細胞株は、適当な培地、例えば8−アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミン、2−メルカプトエタノール、ゲンタマイシン、及びウシ胎児血清(以下「FBS」という)を加えた培地に8−アザグアニンを加えた培地]、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;以下「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;以下「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3乃至4日前に正常培地[例えば、10%FBSを含むASF104培地(味の素(株)社製)]で継代培養し、融合当日に2×10
7以上の細胞数を確保しておく。
【0041】
(3)細胞融合
抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、公知の方法(Weir,D.M.,Handbook of Experimental Immunology Vol.I. II. III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A. and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964)等)に従い、細胞の生存率を極度に低下させない程度の条件下で適宜実施することができる。このような方法としては、例えば、ポリエチレングリコール等の高濃度ポリマー溶液中で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合する化学的方法、電気的刺激を利用する物理的方法等を用いることができる。
【0042】
例えば、上記化学的方法は下記の通り実施される。
すなわち、高濃度ポリマー溶液としてポリエチレングリコールを用いる場合には、分子量1500〜6000、好ましくは2000〜4000のポリエチレングリコール溶液中で、30〜40℃、好ましくは35〜38℃の温度で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを1〜10分間、好ましくは5〜8分間混合する。
【0043】
(4)ハイブリドーマ群の選択
上記細胞融合により得られるハイブリドーマの選択方法は特に制限はないが、通常HAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)選択法(Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495;Milstein et al.,Nature(1977)266,p.550)が用いられる。
この方法は、アミノプテリンで生存し得ないHGPRT欠損株のミエローマ細胞を用いてハイブリドーマを得る場合に有効である。すなわち、未融合細胞及びハイブリドーマをHAT培地で培養することにより、アミノプテリンに対する耐性を持ち合わせたハイブリドーマのみを選択的に残存させ、かつ増殖させることができる。
【0044】
(5)単一細胞クローンへの分割(クローニング)
ハイブリドーマのクローニング法としては、例えばメチルセルロース法、軟アガロース法、限界希釈法等の公知の方法を用いることができる(例えばBarbara,B.M. and Stanley,M.S.:Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Company,San Francisco(1980)参照)。これらの方法のうち、特に限界希釈法が好適である。
【0045】
あらかじめハイブリドーマを0.2〜0.5個/0.2mlになるように培地中で希釈し、この希釈したハイブリドーマの浮遊液を各ウェルに0.1mlずつ入れ、一定期間毎(例えば3日毎)に約1/3の培地を新しいものに交換しながら2週間程度培養を続けることによってハイブリドーマのクローンを増殖させることができる。
抗体価の認められたウェルについて、例えば限界希釈法によるクローニングを2〜4回繰返し、安定して抗体価の認められたものをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択することができる。
【0046】
このようにしてクローニングされたハイブリドーマ株の例としては、ハイブリドーマ17D6株、ハイブリドーマ1D5株、ハイブリドーマ2G6株およびハイブリドーマ10C7株を挙げることができる。ハイブリドーマ17D6株、ハイブリドーマ1D5株、ハイブリドーマ2G6株およびハイブリドーマ10C7株は独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に2015年5月22日付けで寄託されている。
ハイブリドーマ17D6株は17D6の名称で受託番号NITE P−02055(受領番号NITE AP−02055)が付与され、ハイブリドーマ1D5株は1D5の名称で受託番号NITE P−02056(受領番号NITE AP−02056)が付与され、ハイブリドーマ2G6株は2G6の名称で受託番号NITE P−02057(受領番号NITE AP−02057)が付与され、ハイブリドーマ10C7株は10C7の名称で受託番号NITE P−02058(受領番号NITE AP−02058)が付与されている。
なお、本明細書中においては、ハイブリドーマ17D6が産生する抗体を、「17D6」といい、ハイブリドーマ1D5が産生する抗体を、「1D5」といい、ハイブリドーマ2G6が産生する抗体を、「2G6」といい、ハイブリドーマ10C7が産生する抗体を、「10C7」という。従って、本発明の抗体には、ハイブリドーマ17D6株(NITE P−02055)、ハイブリドーマ1D5株(NITE P−02056)、ハイブリドーマ2G6株(NITE P−02057)またはハイブリドーマ10C7株(NITE P−02058)から産生される抗体も包含される。
【0047】
(6)ハイブリドーマ培養によるモノクローナル抗体の調製
このようにして選択されたハイブリドーマは、これを培養することにより、モノクローナル抗体を効率よく得ることができるが、培養に先立ち、目的とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすることが望ましい。スクリーニングには当該分野で既知の方法を使用することができる。
【0048】
抗体価の測定は、例えば上記(1)の項目で説明したELISA法により行うことができる。上記の方法によって得たハイブリドーマは、液体窒素中又は−80℃以下の冷凍庫中に凍結状態で保存することができる。
【0049】
また、クローニングを完了したハイブリドーマは、HAT培地からアミノプテリンを除いたHT培地で数回継代した後、正常培地に換えて培養することができる。大量培養は、大型培養瓶を用いた回転培養、あるいはスピナー培養で行われる。
この大量培養における上清を、ゲル濾過等、当業者に周知の方法を用いて精製することにより、本発明の蛋白質に特異的に結合するモノクローナル抗体を得ることができる。
【0050】
また、同系統のマウス、あるいは免疫不全マウスの腹腔内にハイブリドーマを注射し、該ハイブリド−マを増殖させることにより、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることができる。
腹腔内に投与する場合には、事前(3〜7日前)に2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(2,6,10,14−tetramethyl pentadecane)(プリスタン)等の鉱物油を投与すると、より多量の腹水が得られる。
【0051】
たとえば、ハイブリドーマと同系統のマウスの腹腔内に予め免疫抑制剤を注射し、T細胞を不活性化した後、20日後に10
6〜10
7個のハイブリドーマ・クローン細胞を、血清を含まない培地中に浮遊(0.5ml)させて腹腔内に投与し、通常腹部が膨満し、腹水にたまったところでマウスより腹水を採取する。この方法により、培養液中に比べて約100倍以上の濃度のモノクローナル抗体が得られる。
【0052】
上記方法により得たモノクローナル抗体は、例えばWeir,D.M.:Handbook of Experimental Immunology,Vol.I,II,III,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1978)に記載されている方法、すなわち、硫安塩析法、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー法、アフィニティークロマトグラフィー法等で精製することができる。精製の簡便な方法としては、市販のモノクローナル抗体精製キット(例えば、MAbTrap GIIキット;ファルマシア社製)等を利用することもできる。このようにして得られるモノクローナル抗体は、ポリペプチドCD169またはCCL8に対して高い抗原特異性を有する。
【0053】
(7)モノクローナル抗体の検定
このようにして得られたモノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスの決定は以下のように行うことができる。まず、同定法としてはオクテルロニー(Ouchterlony)法、ELISA法、又はRIA法が挙げられる。
【0054】
オクテルロニー法は簡便ではあるが、モノクローナル抗体の濃度が低い場合には濃縮操作が必要である。一方、ELISA法又はRIA法を用いた場合は、培養上清をそのまま抗原吸着固相と反応させ、さらに第二次抗体として各種イムノグロブリンアイソタイプ、サブクラスに対応する抗体を用いることにより、モノクローナル抗体のアイソタイプ、サブクラスを同定することが可能である。また、さらに簡便な方法として、市販の同定用のキット(例えば、マウスタイパーキット;バイオラッド社製)等を利用することもできる。
さらに、蛋白質の定量は、フォーリンロウリー法、及び280nmにおける吸光度[1.4(OD280)=イムノグロブリン1mg/ml]より算出する方法により行うことができる。
【0055】
本発明の抗体には、更に、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体、ヒト抗体なども含まれる。これらの抗体は、国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部ホームページ
http://www.nihs.go.jp/dbcb/mabs.htmlまたは和氣秀徳「抗体医薬」,岡山医学会雑誌,第121巻,August 2009,第119−122 頁等に記載の既知の方法を用いて製造することができる。
【0056】
キメラ抗体としては、抗体の可変領域と定常領域が互いに異種である抗体が挙げられ、例えば、マウス由来抗体の可変領域をヒト由来の定常領域に接合したキメラ抗体が挙げられる(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,6851−6855,(1984)参照)。
【0057】
ヒト化抗体としては、CDRのみをヒト由来の抗体に組み込んだ抗体、CDR移植法によって、CDRの配列に加え一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体を挙げることができる(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91,969−973,(1994)参照)。
【0058】
さらに、ヒト抗体とは、ヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列のみを有するヒト抗体を意味する。ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト抗体産生マウスを用いた方法(Tomizuka,K.et al.,Nature Genetics(1997)16,p.133−143,;Kuroiwa, Y.et.al.,Nuc.Acids Res.(1998)26,p.3447−3448;Yoshida,H.et.al.,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69−73(Kitagawa,Y.,Matuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers, 1999.;Tomizuka,K.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722−727等を参照。)によって取得することができる。
【0059】
本発明の第2の側面は、上記抗体を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、好ましくは、炎症性腸疾患治療用の医薬組成物である。炎症性腸疾患には、クローン病、潰瘍性大腸炎等が含まれる。
本発明の医薬組成物は、薬学上許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤、補助剤等を更に含んでもよい。
【0060】
上記医薬組成物の投与経路は、治療に最も効果的なものを使用するのが好ましく、経口投与または非経口投与であってよい。非経口投与としては、気道内投与、直腸内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経鼻投与、腹腔内投与等が挙げられる。
上記医薬組成物の投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤等、当該分野で公知の投与形態が挙げられる。マウスの静脈内投与の場合は例えば、1回50〜100マイクログラム程度が投与される。また、投与回数は例えば、1週間に1〜3回程度である。
【0061】
更に、本発明の第3の側面は、哺乳類において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、上記抗体を、治療的に有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法に関する。ここで、炎症性腸疾患に関する「治療」の語には、炎症性腸疾患を治療することに加え、炎症性腸疾患を抑制または軽減することを含むものとする。ここで、哺乳類には、ラット、マウス、ハムスター、サルおよびヒトが含まれる。
【0062】
本発明によれば、炎症性腸疾患に作用する因子に特異的に作用することができ、それ故、望まれない副作用を軽減して炎症性腸疾患を抑制することができる。
【実施例】
【0063】
動物
C57BL/6Jマウスは、CLEA Japan(Tokyo,Japan)から、Wistarラットはオリエンタル酵母から購入したものを用いた。CD169−DTRマウスは、申請者の研究グループで作製したものを用いた。CX3CR1
gfpマウス(Jung,S.et al.Analysis of fractalkine receptor CX(3)CR1 function by targeted deletion and green fluorescent protein reporter gene insertion.Mol Cell Biol 20,4106−14(2000)参照)は、D.LittmanおよびS.Jung(Weizmann Institute of Science,Israel)からご提供いただいたものを使用し、特定病原菌無感染環境(SPF)で飼育した。
マウスを用いた実験は全て、東京薬科大学の動物実験委員会、または、理化学研究所、免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI)の動物実験委員会により承認されており、適用可能なガイドラインおよび規則に則って行われた。
【0064】
病理組織学的検索
肛門側結腸を、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。パラフィン切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。GFPの検出のため、4%パラホルムアルデヒド/4%スクロース/0.1Mリン酸緩衝液、pH7.2で1時間固定した組織を、OCTで急速凍結させた。F4/80またはCD169の検出には、固定せず免疫組織化学を行った。14μm厚さの凍結切片を乾燥させ、PBSで水和した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、0.8%H
2O
2/PBSでクエンチした。内因性ビオチンを、ビオチンブロッキングシステム(Dako,CA)でブロックした後、TN blocking buffer/1.5% normal goat serum/0.2% Triton X−100/PBS(Perkin Elmer,MA)または2%Block Ace(Dainippon,Japan)/1.5% normal goat serum/0.2% Triton X−100/PBSでブロックした。それらの切片を、ビオチン化抗CD169(M7)、抗F4/80(CI:A3−1)又は抗GFP(ab69313)抗体でインキュベートし、さらにTSAビオチンシステム(Perkin Elmer,MA)を用いて増感した。免疫染色した凍結切片は蛍光顕微鏡(BZ−8100またはBZ−X700,Keyence,Japan)で観察した。TUNEL染色は、ApopTag In Situ Apoptosis Detection Kit(Millipore,CA)を用いて行った。上皮からCX3CR1
+またはCD169
+細胞までの距離を、Image J software(NIH)で定量化した。
その結果、CX3CR1マクロファージが粘膜固有層全体に均一に分布するのに対し、CD169マクロファージは粘膜直下には認められず、ほとんどが粘膜筋板側に偏在していることが示された(
図2参照)。
【0065】
粘膜固有層(LP)細胞の調製
既存のプロトコル(Weigmann,B.et al.Isolation and subsequent analysis of murine lamina propria mononuclear cells from colonic tissue.Nat Protoc 2,2307−11(2007)参照)に若干の改変を加え粘膜固有層細胞を調製した。
結腸の内容物を、PBSで数回洗浄し、長軸方向に切り開いた。2〜3cmの結腸片を、2%FBS/20mM EDTA,pH7.2を添加したHBSS中で15分間、37℃でインキュベートした。それらの組織をPBS中で洗浄し、EDTAを洗い落とし、スパチュラをスライドさせることによって残存する上皮層を除去した。組織を約5mmにミンチし、2%FCS、150μg/mL Liberase TL、500μg/ml DNase I(Roche,Germany),1% Dispase(BD Biosciences,CA),10mM HEPES(Nacalai,Japan),1% ペニシリン・ストレプトマイシンを添加したRPMIに懸濁し、37℃で40分間インキュベートした。酵素処理した細胞液を、70μm Cell Strainer(BD Biosciences,CA)で濾過し、RPMI/2%FCS/1%ペニシリン・ストレプトマイシンで洗浄した。全LP細胞をFcブロッカー(BD Biosciences,CA)でインキュベートした後、CD11bまたはCD11C発現細胞を磁気ビーズによって分取した。一部の実験では、セルソーター(FACS Aria,BD Biosciences,CAまたはSH800,SONY,Japan)によってさらに細かく分画化した。単核細胞は40%および80%Percoll溶液(GE Healthcare,Sweden)を用いた密度勾配法で分取した。
【0066】
<CD169マクロファージ非存在下での腸炎の改善>
(1)DSS誘導性結腸炎
野生型マウスおよびCD169マクロファージがいないマウス(CD169−DTRマウス)それぞれに、3.0〜3.5%のDSS(MW5000,Wako,Japan)を含んだ飲用水を7日間、その後、通常の飲用水を経口投与した。毎日または1日置きに、DSSの投与から14日間、体重をモニターした。一部の実験では、25ng/体重gのDT(Sigma,MO)を、DSSの投与1日前および3日前に腹腔内投与した。
体重変化のモニター結果を
図3に示す。CD169マクロファージを消失したマウスでは、DSS誘導性腸炎の臨床症状が劇的に改善した。
(2)フローサイトメトリー
LP細胞を、Fcブロッカー(2.4G2)でインキュベートし、その後、抗体混合液で染色した。用いた抗体、およびそのクローンを以下に記載する。抗F4/80(CI:A3−1),抗CD169(M7),抗Ly6C(HK1.4),抗Ly6G(1A8),抗Siglec−F(E50−2440)。ビオチン化したラットIgG2b(RTK4530)を、抗CD169のアイソタイプコントロールとして用いた。死細胞を除外するため、7AADを細胞懸濁液に添加した。FACS Verse(BD Biosciences,CA)によって細胞を分析した。
これらのマウスでは腸管粘膜に浸潤するLy6C高発現炎症性マクロファージ数が顕著に減少していた。しかしながら、好中球、好酸球に大きな変動は認められなかった(
図4参照)。
【0067】
以上の結果は、CD169マクロファージが腸管上皮の損傷と、それに伴う腸内細菌の侵入に応答して何らかのシグナル分子を産生し、炎症性マクロファージを動員する可能性を示唆する。
【0068】
<CD169マクロファージに由来する腸炎憎悪物質の探索>
(1)マイクロアレイ分析
CD169
+およびCD169
−骨髄性細胞を、WTナイーブマウスまたは4日間3.5%DSSを投与した結腸炎マウスのLPから、セルソーター(FACS Aria,BD Biosciences,CA)を用いて精製した。CD169,CD11b,CD11c分子の発現レベルの違いによりLP細胞をR1〜R4に4分画した。R1はCD169マクロファージ、R2は好中球、好酸球および炎症マクロファージ、R3は好酸球と常在マクロファージ、R4は樹状細胞に相当する。分画細胞の純度は約90%であった。分画骨髄性細胞から抽出した全RNAが、Affimetrix Mouse Genome 430 2.0 Array chipにハイブリダイズした。Genespring softwareを用いて遺伝子発現ヒートマップを作成した(
図5参照)。
【0069】
(2)定量的PT−PCR(qRT−PCR)
結腸組織またはLPマクロファージ由来の全RNAを、製造元のプロトコルに従って、RNeasy Mini若しくはMicro kit(QIAGEN,Nederland)又はRNAspin Mini kit(GE Healthcare,Sweden)によって抽出した。cDNAをReverTra Ace(TOYOBO,Japan)を用いて合成した。得られたcDNAを鋳型にTHUNDERBIRD SYBR qPCR Mix(TOYOBO,Japan)によってqRT−PCRを行った。一部の実験では、WT−Ovation RNA Amplification System(NuGEN,CA)を用いてRNAを増幅した。qRT−PCR反応は、リアルタイムPCRシステム(StepOne Plus,Applied Biosystems,CA)で行った。発現レベルを、βアクチンまたは18リボゾームRNA(rRNA)で標準化し、特に明記しない限り、ナイーブコントロールに対するfold inductionとして表示した(
図6参照)。
【0070】
以上の結果から、腸炎発症時にCD169マクロファージに、サイトカイン遺伝子CCL8が選択的に強発現していることを同定した。
【0071】
<抗体CCL8モノクローナル抗体の作製>
(1)モノクローナル抗体の作製
抗CD169抗体を作製するため、CD169分子を発現するHEK293T細胞を、ウィスターラットに3回腹腔内投与した。初回免疫時には、TiterMax Gold(TiterMax,GA)も投与した。脾細胞をPEG1500(Roche,Germany)によってNSO
bcl2骨髄腫細胞に融合させた(Ray,S.&Diamond,B.Generation of a fusion partner to sample the repertoire of splenic B cells destined for apoptosis.Proc Natl Acad Sci USA 91,5548−51(1994)参照)。HAT(Sigma,MO)および1%BM−Condimed(Roche,Germany)を含んだDMEM/10%FCS中で、ハイブリドーマ細胞を選択した。WR−CD169細胞(CD169分子を定常的に発現するWR19L細胞)に発現したCD169分子に対する抗体を安定的に産生する2つのクローン(M4およびM7)を、フローサイトメトリーによって選別した。抗CCL8抗体作製のため、アジュバント中に乳化されたCCL8ペプチド(1〜13:EKLTGPDKAPVTC)を、ウィスターラットの足蹠に、皮下投与した。上述した方法で、リンパ節細胞と骨髄腫細胞を融合し、約1600のハイブリドーマを作製した。CCL8タンパク質を特異的に検出する抗体産生ハイブリドーマをELISA法で選別した(
図7参照)。
【0072】
(2)マウスCCL8 ELISAの構築
抗CCL8抗体(MAB790,R&D,MN)を96ウェルプレート(Greiner,Germany)に固相化した。Assay Diluent(BD Biosciences,CA)で2時間ブロックした後、Assay Diluentで2倍希釈したマクロファージ培養上清を各ウェルにアプライし、室温で2時間インキュベートした。プレートを1時間、1.25μg/mlのビオチン化ラットIgG抗CCL8(clone 12G8,申請者の研究室で作製したもの)でインキュベートした後、HRP−streptavidinで30分間インキュベートした。最後に、基質溶液(TMB Microwell Peroxidase Substrate System,KPL,MD)を各ウェルに添加し、発色した。2M硫酸によって反応を停止し、450nmでの吸光度を、microplate reader(BioRad,CA)によって測定した。
【0073】
(3)細胞移動アッセイ
抗CCL8抗体の遊走阻害活性を、5μm pore transwell system(Corning,NY)を用いて評価した。5x10
5 個のWEHI−3細胞(マウス単球系細胞株)を、トランスウェルのチャンバー上層に、600μlの無血清RPMIまたは100nMのケモカイン(CCL8)添加無血清RPMIをチャンバー下層に入れ、単球の遊走を促進した。4時間後、チャンバー下層に移動した細胞を計数した(
図8参照)。CCL8による単球の遊走阻害活性を有する抗CCL8抗体を選別した。
【0074】
<抗体CCL8抗体によるマウス炎症性腸疾患の抑制>
(1)DSS誘導性腸炎
マウスに、3.0〜3.5%のDSS(MW5000,Wako,Japan)を含んだ飲用水を7日間経口投与し、その後、通常の飲用水に切り替えた。毎日または1日置きに、DSSの投与から14日間、体重をモニターした。一部の実験では、25ng/体重gのDT(Sigma)を、DSSの投与1日前および3日前に腹腔内投与した。
CCL8の機能を生体内で阻害するため、100μgの抗CCL8抗体(クローン17D6、申請者の研究室で作製したもの)をDSS投与3日および4日後に静脈内投与した(
図10参照)。
体重変化のモニター結果を
図11に示す。CCL8に対する中和抗体を投与したマウスでは、中和抗体を投与しなかったマウスに比較して体重減少などの臨床症状が改善した。この実験結果は、上記中和抗体を投与することにより、DSS誘導性腸炎を抑制できることを示す。
(2)病理組織学的検索
上記「病理組織学的検索」の項で述べた方法に準じて、抗体を投与したマウス(以下、「抗体投与群」という。)と投与しなかったマウス(以下、「抗体非投与群」という。)について組織破壊の程度を検討した。結果を
図12および13に示す。
図12から、抗体投与群のマウスでは、腸管短縮が軽度で、血便等も抑制されていた。更に、
図13からは、抗体投与群のマウスの腸では、絨毛構造が維持され、組織の破壊が抑制されているのに対し、抗体非投与群のマウスの腸では、上皮がほぼ完全に脱落し、絨毛構造が破壊されていることがわかった。
【0075】
<抗CCL8抗体可変領域のアミノ酸配列の解析>
抗CCL8抗体可変領域のアミノ酸配列の解析は、Duebel et al. J Immunol Methods. 1994 Sep 30;175(1):89-95. (1994)に記載の方法に従って行った。以下に可変領域のアミノ酸配列の解析の一例を記載する。
ハイブリドーマ(17D6)から全RNAを抽出し、mRNAから逆転写でcDNAを作成した。そのcDNAを鋳型に、免疫グロブリンGの重鎖および軽鎖の、CDR1〜CDR3を含む可変領域を、以下のプライマーを用いてPCRで増幅した。
(重鎖)
Bi3b:
[配列番号17]AGGT(C/G)(A/C)AACTGCAG(C/G)AGTC(A/T)GG
Bi4:
[配列番号18]CCAGGGGCCAGTGGATAGACAAGCTTGGGTGTCGTTTT
(軽鎖)
Bi6:
[配列番号19]GGTGATATCGTGAT(A/G)AC(C/A)CA(G/A)
Bi5c:
[配列番号20]GAAGATGGATCCAGCGGCCGCAGCATCAGC
【0076】
増幅したPCR断片の重鎖をPst I/Hind IIIで、軽鎖をEcoR V/BamHIで制限酵素処理した。これを、同じ制限酵素で切断したプラスミドベクター(pBluescript II SK+)のマルチクローニングサイトに挿入し、大腸菌に形質転換した。
大腸菌からプラスミドを精製し、挿入したPCR断片をDNAシークエンスし、アミノ酸配列を決定した。CDR1、CDR2、CDR3相当部分の決定はインターネットに公開されている解析システム:IMGT/V−QUEST(Brochet,X. et. al.,Nucl. Acids Res.36,W503−508(2008).PMID:18503082)を利用して行った。
【0077】
重鎖可変領域CDR1、重鎖可変領域CDR2および重鎖可変領域CDR3のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号9、配列番号10および配列番号11に示し、軽鎖可変領域CDR1、軽鎖可変領域CDR2および軽鎖可変領域CDR3のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号12、配列番号13および配列番号14に示す。
また、重鎖可変領域の配列を配列番号15に、軽鎖可変領域の配列を配列番号16に示す。
【化9】
【化10】
【化11】