(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947384
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】プラズマ生成装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20210930BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
H05H1/24
A61L9/22
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-104014(P2017-104014)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-200770(P2018-200770A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】520506822
【氏名又は名称】アイラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】牧田 實
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕二
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/065310(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/006714(WO,A1)
【文献】
特表2010−507206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に電磁波入力部を備え、該入力部から他端側に向かって延設される電磁波伝送線路が主面に形成される直方体状の第1基板と、
主面に放電部、共振部及び放電部と共振部を繋ぐ連結部からなる共振電極を形成した直方体状の第2基板と、
前記第1基板が配設される天板と、
前記第2基板が複数配設される底板と、
前記放電部との間で放電を生じせしめる接地電極と、
前記第1基板及び第2基板を、主面同士が対向するように前記天板及び底板を連結する連結部材とからなり、
前記底板には、前記第2基板間に立設するシールド板が配設されているプラズマ生成装置。
【請求項2】
前記接地電極は、天板、底板又は連結部材の何れかに配設した請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項3】
前記接地電極は、櫛歯状に構成した請求項1又は2に記載のプラズマ生成装置。
【請求項4】
対向する前記第1基板及び第2基板の主面間には、板状の結合度調整板を配設するようにした請求項1、2又は3に記載のプラズマ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ生成装置、特に小型でありながら生成するプラズマの体積が大きいプラズマ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大気圧下でプラズマを生成するプラズマ生成装置としては、絶縁破壊によるプラズマの生成装置の他、バリア放電やプラズマジェットを利用した生成装置が提案されている。
【0003】
本発明者等は、電磁波波共振構造(マイクロ波共振構造)により、内燃機関の点火装置としても使用することのできるプラズマ生成装置を開発した(特許文献1)。このプラズマ生成装置は、外部発振器から入力したマイクロ波を共振構造により昇圧し、先端の放電電極と接地電極間で放電を生じさせる構造である。外部から繰り返しパルス状のマイクロ波を入力すれば、繰り返しの放電をさせることができ、安定したプラズマを生成し、内燃機関に利用するときは安定した着火を行うことができる。また、プラズマ(OHラジカル)をプラズマ生成領域に連続的に供給することができる。これによって、内燃機関においてはリーンでの燃焼(希薄燃焼)が可能である。直径は約4mm程度であり、通常のスパークプラグ(直径12mm)の1/3程度であるため、内燃機関の吸排気バルブ径の大径化も可能となり、内燃機関の高効率化にも寄与できる。また、小径であるから、シリンダヘッドに多数配設し、多点着火用の補助点火装置にも適するものである。
【0004】
また、本発明者等は、特許文献1と同様の共振構造を基板上に構成したプラズマ生成装置(特に、内燃期間用の点火装置として利用するプラズマ生成装置も提案している。このプラズマ生成装置は、電極や電磁波の伝送経路を基板状にパターンとして形成したもので、製造が容易、かつ、低コストで製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014−115707号公報
【特許文献2】国際公開第2017/065310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のプラズマ生成装置は、小径であるゆえ、生成されるプラズマの体積が小さい。そのため、対象物の表面を改質したり、対象物(有害物)の除菌・殺菌をしたりする用途として、作用範囲が限定される。また、内燃機関の点火装置として使用する場合、特に大型の内燃機関、又は天然ガス等のガソリンよりも着火性に劣る燃料の点火に用いる場合、着火性が不十分な場合がある。
【0007】
また、特許文献2のプラズマ生成装置も、プラズマ生成領域が小さいという同様の問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易かつ安価に製造することができるプラズマ生成装置で十分な大きさのプラズマを生成することのできるプラズマ生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明のプラズマ生成装置は、
一端に電磁波入力部を備え、該入力部から他端側に向かって延設される電磁波伝送線路が主面に形成される直方体状の第1基板と、
主面に放電部、共振部及び放電部と共振部を繋ぐ連結部からなる共振電極を形成した直方体状の第2基板と、
前記第1基板が配設される天板と、
前記第2基板が複数配設される底板と、
前記放電電極との間で放電を生じせしめる接地電極と、
前記第1基板及び第2基板を、主面同士が対向するように前記天板及び底板を連結する連結部材とからなり、
前記底板には、前記第2基板間に立設するシールド板が配設されている。
【0010】
本発明のプラズマ生成装置は、複数の放電電極によって十分な大きさのプラズマ生成領域を生成する。
【0011】
上記構成において、前記接地電極は、天板、底板又は連結部材の何れかに配設することができる。
【0012】
さらにこれらの場合において、前記接地電極は、櫛歯状に構成することができる。
【0013】
さらにこれらの場合において、対向する第1基板及び第2基板の主面間には、板状の結合度調整板を配設することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の絶縁基板から構成することで、容易かつ安価に製造することができるとともに、共振部及び放電電極を二重に設けるようにすることで、十分な大きさのプラズマを生成することのできるプラズマ生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ生成装置を示す外観図で、(a)は天板及び天板に配設した第1基板の平面図、(b)は底板及び底板に配設した第2基板の平面図、(c)は第1基板を配設した天板と第2基板を配設した底板の側面図である。
【
図2】同プラズマ生成装置のプラズマ生成部の拡大図で、(a)はアンテナ部を第1基板から突出させた例、(b)はアンテナ部が位置する第1基板の厚みを薄くした例、(c)はアンテナ部以外の電磁波伝送線路が形成されている第1基板と天板との間に、金属板を配設した例を示す。
【
図3】同プラズマ生成装置の分解状態の斜視図である。
【
図4】同プラズマ生成装置の証圧回路の等価回路を示す図である。
【
図5】同プラズマ生成装置の別の実施例を示し、(a)は天板及び天板に配設した第1基板の平面図、(b)は底板及び底板に配設した第2基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
<実施形態1>プラズマ生成装置
本実施形態1は、本発明に係るプラズマ生成装置である。このプラズマ生成装置1は、
図1に示すように、一端に電磁波発振器MWと接続される電磁波入力部30を備え、この入力部30から他端側に向かって延設される電磁波伝送線路3が主面に形成される直方体状の第1基板2Aと、主面に放電部4a、共振部4b及び放電部4aと共振部4bを繋ぐ連結部4cからなる共振電極4を形成した直方体状の第2基板2Bと、第1基板2Aが配設される天板6Aと、第2基板2Bが複数配設される底板6Bと、放電部4aとの間で放電を生じせしめる接地電極5と、第1基板2A及び第2基板2Bを、主面同士が対向するように天板6A及び底板6Bを連結する連結部材7とからなり、第2基板2Bが配設される底板6Bには、第2基板2B間に立設するシールド板8が配設されている。
【0018】
第1基板2A及び第2基板2Bは、セラミックス(例えば、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム、コーディライト、ムライト等)の粉末(以下、セラミックス原料という)を焼成して形成する絶縁基板である。具体的には、セラミックス原料にバインダ・溶媒を加え混合粉砕して均一なスラリーを製造する。その後、スプレードライ(噴霧乾燥)により造粒して顆粒とする。この顆粒を、CIP成形(冷間等方圧成形)、プレス成形、射出成形等により所望形状のセラミックス成形体を成形した後、焼成炉において焼成する。CIP成形は、顆粒をゴム型に入れて水圧を利用して成型する方法、プレス成形は金型に顆粒を入れて成形する方法で小型の板状体を成形する場合に適しており、本実施形態の絶縁基板を成形する方法として最適である。また、絶縁基板は、上述した材料の他、樹脂製のプレート、例えばフッ素樹脂やガラスエポキシ材を使用したものであっても構わない。
【0019】
第1基板2A及び第2基板2Bの主面に形成される電磁波伝送線路3及び共振電極4は、金属粉末(例えば、電気抵抗の低い銀、銅、タングステン、モリブデン等)を主成分とする導体ペーストを
図1(a)及び
図1(b)に示すような構成となるようにスクリーン印刷等の手法によって絶縁基板上に印刷する。この際、放電部4aは、接地電極5との間で絶縁破壊が生じプラズマ放電が生じる部分であり、一定の厚み(例えば、1mm〜3mm)のある金属製(例えば、銅、タングステン、モリブデン、真鍮等)とすることが好ましい。また、導体ペーストの印刷ではなく、電磁波伝送線路3及び共振電極4の形状全体を金属板で構成し、第1基板2A及び第2基板2Bに貼り付けて構成することもできる。
【0020】
電磁波伝送線路3は、第1基板2Aの短辺の一端に配設した電磁波入力部30と電気的に接続され第1基板2Aの主面の長手方向の略全長に亘って形成されている線路3bと、線路3bの先端(反電磁波入力部30側の短辺)に形成されるアンテナ部3aとから構成される。アンテナ部3aの幅は、線路3bの線路幅よりも大きく、長さは線路3bの線路幅と略同一の長さとしている。電磁波伝送線路3は、
図1(a)に示すように、平面視T字状となるようにしている。電磁波伝送線路3のインピーダンスは線路幅、第1基板の誘電率及び第1基板の厚みによって決定される。電磁波入力部30(例えば、SMAコネクタ)と電磁波発振器MWとを連結する連結手段のインピーダンスを(例えば、通常仕様の同軸ケーブルの場合、多くは50Ω)考慮して決定される。
【0021】
アンテナ部3aは、後述する放電部4aと同様に、電磁波伝送線路3の他の部分よりも厚みを大きくすることが好ましい、また、
図2に示すように、アンテナ部3aは第1基板2Aの端部からはみ出すように配設することが好ましい。このように、アンテナ部3aを、第1基板2Aの端部からはみ出すように構成することで、ストリップラインである電磁波伝送線路3のインピーダンスが上がることで当該部分の電圧が上昇し、放電部4aと接地電極5との間で生じた種火となるプラズマに起因した放電(プラズマ)が大きく成長する。ストリップラインのインピーダンスは、ストリップラインが形成される誘電体の誘電率の平方根に反比例するため、アンテナ部3aを第1基板2Aの端部からはみ出すように構成し、
図2(a)に示すアンテナ部3aの背面に空間Kを形成することで、当該部分の誘電率が1となりインピーダンスは大きくなる。また、アンテナ部3aの取付安定性を考慮する観点から、アンテナ部3aが形成される部分のみ第1基板2Aの厚みが薄くなるよう、
図2(b)に示す欠落部20形成することもできる。また、第1基板2Aをそのままにして、アンテナ部3a以外の電磁波伝送線路3が形成されている第1基板2Aと天板6Aとの間に、
図2(c)に示す金属板60を配設することによって、アンテナ部3a近傍の電圧を上昇させることもできる。
【0022】
第2基板2Bは、底板6Bに複数配設されている。配設数は、特に限定するものではないが、本実施形態においては、2基配設する例を示す。第2基板2Bに形成されている共振電極4は、放電部4a、共振部4b及び放電部4aと共振部4bを電気的に接続する連結部4cとから構成される。共振部4b及び連結部4cの幅及び長さは、第2基板2Bの誘電率及び厚みとともに、共振電極4の共振周波数を決定する要素であり詳細に計算して決定される。放電部4aは、放電スパークによる摩耗対策により、1mm〜3mm程度の厚みとすることが好ましい。放電部4a、共振部4b及び連結部4cの形成パターンは、連結部4cの長手方向を対象軸とした対象形状としても構わないが、本実施形態においては、
図1(b)に示すように共振部4bの中心ではなく一端部側から連結部4cを延設し、放電部4aも連結部4cの先端から90°屈曲させるように構成する。そして、2基の第2基板2Bは、シールド板8を対象軸として放電部4a、共振部4b及び連結部4cのパターンが対象となるようにする。底板6Bへは、シールド板8に放電部4a及び連結部4cが近接するように配設する。これによって、連結部4cが共振部4bの中心から延設される場合と比べて、天板6Aに配設される電磁波伝送線路3を流れる電磁波と良好に結合する。
【0023】
また、第2基板2Bの誘電率及び厚さと、放電部4a、共振部4b及び連結部4cの幅及び長さとは電磁波発振器MWから発振される電磁波(例えば、2.45GHzのマイクロ波等)に合わせて共振する寸法となるように緻密に計算され、決定される。
【0024】
底板6Bに配設する第2基板2Bは
図5に示すように、4基配設することもできる。この場合、天板6Aに配設する第1基板の電磁波伝送線路3の線路3bを分岐させる。
【0025】
連結部材7は、第1基板2Aを配設した天板6Aと、第2基板2Bを配設した底板6Bとを連結し、箱状のプラズマ生成装置1を構成する部材である。連結部材7は、その形状を特に限定するものではないが、本実施形態においては、
図3に示すように天板6A及び底板6Bの長手方向(線路3bと平行方向)の両端部に位置させ、両基板の主面間の距離を決定する直方体状のスペーサ70と、天板6Aを覆うケース上蓋71と、底板6Bを載置するとともに、屈曲させた一端部に接地電極5を形成したケース本体72とから構成される。そして、天板6A、底板6Bに開口した挿通孔の対応箇所に、それぞれの部材に開口した挿通孔を合致させて、ボルトを挿通し、ナットで締結することによって固定する。
【0026】
図3に示す、プラズマ生成装置1は、ケース上蓋71と、接地電極5を形成したケース本体72を使用した例を示すが、
図1、
図2に示すように接地電極5を底板6Aに形成し、ケース上蓋71及びケース本体72を省略することもできる。
【0027】
第1基板2A及び第2基板2Bの主面間(
図1(c)の二点鎖線Lの位置)には、電磁波伝送線路3と共振電極4との結合度を調整する調整板9を配設する。調整板9は、電磁波伝送線路3と共振電極4との電磁波の結合度を調製するように、金属板で電磁波伝送線路3と共振電極4との間を遮蔽するように構成するものであれば特に限定するものではないが、
図3に示すように、微調整可能なようにボルト挿通用の挿通孔を長孔として仮締め状態で長手方向に移動可能となるように構成することが好ましい。なお、この結合度の調整板9は、電磁波伝送線路3の共振電極4の寸法、第1基板2A及び第2基板2Bの誘電率及び厚み、さらに主面間の距離を電磁波の結合に最適な寸法に調整することができた場合には配設することを要しない。
【0028】
上記構成において、外部の電磁波発振器MWから供給される電磁波(本実施形態においては2.45GHzのマイクロ波)は、電磁波伝送線路3から共振電極4に容量結合によって結合するとともに、昇圧され、共振電極4の放電部4aと接地電極5との間の電位差が高められる。その結果、放電部4aと接地電極5との間で1次プラズマSP1(
図2(a)参照)が生成される。電磁波伝送線路3と共振電極4は、容量結合されるコンデンサを形成している。
【0029】
1次プラズマSP1が生成されることで、インピーダンスの不整合が生じるが、電磁波伝送線路3を通る電磁波は、アンテナ部3aから1次プラズマSP1に供給され、1次プラズマSP1が維持拡大される。そして、本実施形態においては、放電部4aが2箇所に存在するため、1次プラズマSP1も2箇所で発生し、2箇所で発生した1次プラズマSP1が共に拡大され、生成領域の大きなプラズマとなる。このとき、上述したようにアンテナ部3a近傍の電圧を高めるように構成することで、アンテナ部3aは1次プラズマSP1に電磁波を供給する役割だけでなく、接地電極5とアンテナ部3aとの間で放電プラズマを生成させることができ、1次プラズマSP1と合わせてさらに大きなプラズマとなる効果を奏する。
【0030】
図4は、本実施形態の昇圧手段の等価回路である(本等価回路は、便宜上共振部を1つとして表している)。まず、プラズマが発生していない状態では、抵抗Rp1、Rp2の両端は解放状態と等価であると考える。外部の電磁波発振器MWから電磁波(マイクロ波)が入力されると、まずコンデンサC1に電流が流れる。この供給される電磁波の周波数に共振して、コンデンサC2、C3及びリアクタンスLで形成されるループ回路に強い共振電流が流れると、特にコンデンサC3の両端に高い電圧が発生する。コンデンサC3の両端で絶縁破壊となり、放電してプラズマが発生する(これは上述の1次プラズマSP1に相当する)。コンデンサC3の両端には、電気回路的には解放状態から抵抗Rp1が並列に接続された状態に変化することとなる。この状態では、インピーダンスの不整合状態が起きているので、反射波が大きくなる。次に、コンデンサC3の両端で発生した1次プラズマSP1を種火として電磁波伝送線路の先端部(アンテナ部3a)との間で放電が発生する。これにより、伝送線とグランド(GND)の間に強い電流が流れる(電気回路的には、解放状態から抵抗Rp2が接続された状態となる)。しかし、伝送線と直結した経路による放電では共振部分(共振電極4の共振部4b)を介さないから、インピーダンス不整合による反射の発生量が大幅に減少する。これにより入力電力を高効率にプラズマに与えることができる。これは、単にアンテナ部3aから1次プラズマSP1に電磁波が照射することでプラズマを拡大させるだけでなく、
図2(a)に示すアンテナ部3aと接地電極5との距離が、1次プラズマSP1が生成されることによって近づくこととなり、係る部分でさらなる絶縁破壊は生じ、1次プラズマSP1が成長すると考えられる。
【0031】
電磁波発振器MWは、上述したように電磁波(マイクロ波)をナノ秒〜ミリ秒まで任意変更することのできるパルス発振装置であるため、様々なパルス発振パターンを簡単に変更することができる。これによって電離時のエネルギ状態を変更させ発生するラジカルの種類を容易にコントロールすることができる。
【0032】
このようにして生成されたプラズマは、例えば、印刷装置のインクカートリッジの上流側で被印刷物の表面を改質し、インクの付着性を向上させることができる。さらに、印字面が平面ではなく曲面状態であっても、プラズマ生成装置1は、インクカートリッジの印字面からの高さを微調整可能に取り付けることで任意の曲率に沿って、かつ、一定のギャップでプラズマを生成し被印刷物表面を良好に改質することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明の無電極ランプは、印刷装置の表面改質装置として好適に用いることができる他、水や空気の消臭殺菌の他、プラズマを利用する種々の装置の用途としても好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 プラズマ生成装置プ
2A 第1基板
2B 第2基板
3 電磁波伝送線路3
4 共振電極
4a 放電部
4b 共振部
4c 連結部
5 接地電極
6A 天板
6B 底板
7 連結部材
8 シールド板
9 結合度調整板
MW マイクロ波発振器