(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力信号は、LDRディスプレイによって8ビットビデオとして表示可能であり、HDRディスプレイによってHDRビデオとして表示可能である、請求項1に記載の方法。
前記複数の画像センサは、少なくとも高露光(HE)センサと、中間露光(ME)センサとを含み、シーケンスの融合は、飽和されていないHEピクセル値および前記飽和されているピクセル値に対応するMEピクセル値の使用を含む、請求項1に記載の方法。
前記パイプラインは、フィールドプログラマブルゲートアレイおよび特定用途向け集積回路から成る群から選択された処理デバイスによって提供され、さらに、前記画像センサのそれぞれは、カラーフィルタアレイを備え、前記方法はさらに、前記融合の後に前記HDR信号をデモザイク処理することを含む、請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、LDRおよびHDR表示のためにリアルタイムでビデオをブロードキャストするための方法101のステップを示す。方法101は、光を撮像装置のレンズを通して受信するステップ107を含む。1つまたはそれを上回るビーム分割器が、光を複数の画像センサ上に衝突する異なる経路の中に分割する113。各画像センサは、次いで、センサのピクセル毎に、ピクセル値の形態で信号を捕捉する125。センサが、例えば、1920×1080ピクセルを有する場合、ピクセル値は、センサから接続される処理デバイスにストリームさせるであろう。本方法は、フレーム独立様式において、処理デバイス219上のパイプライン231を通して複数のセンサのそれぞれからのピクセル値501をストリームさせるステップ129を含む。パイプライン231は、飽和されているピクセル値を識別する、カーネル演算135を含む。ピクセル値501は、融合される139。典型的には、融合された画像は、デモザイク処理され145、これは、HDR画像を生成する。HDR画像は、トーンマッピングされ、LDR画像を生成する。
【0017】
次いで、LDR画像の値は、HDR画像の値から減算され、残留物のセットを判定する。LDR画像および残留物は、組み合わせられた画像信号の中に組み合わせられ、これは、ブロードキャストされる151。
【0018】
組み合わせられた画像信号は、従来のLDRディスプレイデバイスによって、また、HDRディスプレイデバイスによって受信および表示されることができる。その意味において、リアルタイムHDRビデオカメラは、後方互換性があり、従来のLDRディスプレイデバイスによって表示されることができる、HDRビデオのライブかつリアルタイムのブロードキャストを提供する。LDRデバイスは、8ビットLDR信号のみを「確認」および表示する。任意のHDRデバイスは、信号を解凍し、LDR信号と残留物を組み合わせ、フルHDR信号を再構成する。
【0019】
説明される方法101では、複数の画像センサは全て、単一レンズ311を通して画像を同時に捕捉する125。パイプライン231およびカーネル演算135は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路等の集積回路によって提供されてもよい。画像センサはそれぞれ、カラーフィルタアレイ307を含んでもよい。好ましい実施形態では、方法101は、融合するステップ139後、HDR画像をデモザイク処理するステップ145を含む。複数の画像センサは、好ましくは、光レベル以外は光学的に同じ画像を捕捉する。
【0020】
本発明の特徴は、ピクセル値501が、フレーム独立様式においてパイプライン処理されることである。ピクセル値501のシーケンスは、処理デバイス219を通してストリームされ129、ピクセル値501を画像センサ上の全てのピクセルから受信することを待機せずに、融合される139。これは、処理デバイス219上のいずれの場所も、完全な画像を記憶しないように、取得ステップ125、ストリームステップ129、および融合ステップ139が、処理デバイス219上のパイプライン231を通してピクセル値501のシーケンスをストリーム129させることによって行われ得ることを意味する。ピクセル値が、パイプラインを通してストリームされるため、最終HDRビデオ信号は、リアルタイムで生成される。装置201は、方法101のステップを行い、したがって、リアルタイムHDRビデオカメラの機能を提供する。リアルタイムは、カメラからのHDRビデオが、カメラが場面を捕捉することと本質的に同時に表示され得ることを意味する(例えば、信号がセンサからディスプレイに進む速度からビデオのフレームを上回らない待ち時間を差し引いた速度であり、これは、現在の技術水準では典型的には1/60秒である)。画像データを後処理する要件が存在せず、画像の「フレーム」全体を捕捉、記憶、比較、または処理する要件も存在しない。
【0021】
出力は、方法101および装置201が、異なる露光レベルにおける複数のセンサを使用して、複数の同型画像(すなわち、光レベル以外は同じである)を捕捉し、それらを融合するため、HDRビデオ信号となる。高露光(HE)センサからのデータは、画像の一部が暗い場合に使用され、中間露光(ME)(またはそれより低い)センサからのデータは、画像の一部がより明るく照明される場合に使用される。方法101および装置201は、HEおよびME(および随意にLE)画像を融合し、HDRビデオ信号を生成する。具体的には、方法101および装置201は、画像内の飽和されているピクセルを識別し、それらの飽和されているピクセルとより低い露光のセンサから導出された値を置換する。好ましい実施形態では、画像センサのうちの1つ上の第1のピクセルからの第1のピクセル値は、いくつかの規定されたレベルを上回る、例えば、最大可能ピクセル値の少なくとも90%である場合、飽和として識別される。
【0022】
図2は、HDRビデオ処理のための装置201を示す。装置201は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)等の処理デバイス219を含む。複数の画像センサ265は、処理デバイス219に結合される。装置201は、フレーム独立様式において、処理デバイス219上のパイプライン231を通して複数の画像センサ265のそれぞれからのピクセル値501をストリームさせるように構成される。パイプライン231は、飽和されているピクセル値501を識別する、カーネル演算413と、ピクセル値501を融合し、HDR画像を生成する、融合モジュールとを含む。
【0023】
カーネル演算413は、HEセンサ213上の所与のピクセルに関して、所与のピクセルを囲繞するピクセルの近傍601からの値を検査し、ピクセルの近傍601内の飽和されている値を見出し、MEセンサ211上の対応する近傍601からの情報を使用して、所与のピクセルに関する値を推定することによって、ピクセル値501が複数の画像センサ265のそれぞれからストリームされるにつれて、それらに作用する。
【0024】
装置201の種々の構成要素は、印刷回路基板205を介して、接続されてもよい。装置201はまた、メモリ221と、随意に、プロセッサ227(ARMマイクロコントローラのような汎用プロセッサ等)とを含んでもよい。装置201はさらに、入出力デバイス239またはディスプレイ267のうちの1つまたはそれを上回るものを含む、またはそれに接続されてもよい。メモリは、RAMまたはROMを含むことができ、好ましくは、少なくとも1つの有形非一過性媒体を含む。プロセッサは、Intel(Santa Clara, CA)によって商標名XEON E7で販売されているプロセッサまたはAMD(Sunnyvale, CA)によって商標名OPTERON6200で販売されているプロセッサ等、当技術分野において公知の任意の好適なプロセッサであってもよい。本発明による入力/出力デバイスは、ビデオディスプレイユニット(例えば、液晶ディスプレイまたはLEDディスプレイ)、キー、ボタン、信号生成デバイス(例えば、スピーカ、チャイム、または光)、タッチスクリーン、加速度計、マイクロホン、セルラー無線周波数アンテナ、メモリカードのためのポート、および、例えば、ネットワークインターフェースカード(NIC)、Wi−Fiカード、またはセルラーモデムであることができる、ネットワークインターフェースデバイスを含んでもよい。装置201は、記憶デバイス241を含む、またはそれに接続されてもよい。複数のセンサは、好ましくは、複数のセンサ265が光レベル以外は同じ画像を同時に受信することを可能にする、配列で提供される。
【0025】
図3は、複数のセンサ265のための配列を示す。複数のセンサは、好ましくは、少なくとも、高露光(HE)センサ213と、中間露光(ME)センサ211とを含む。各画像センサは、その独自のカラーフィルタアレイ307を有してもよい。カラーフィルタアレイ307は、各ピクセルが赤色、緑色、または青色光のいずれかを受信するように、Bayerフィルタとして動作してもよい。当技術分野において公知のように、Bayerフィルタは、センサからストリームされるピクセル値のシーケンスが、赤色、緑色、青色、緑色、赤色、緑色、青色、緑色、赤色、緑色、青色、緑色、…等に関する値に対応するように、赤色、緑色、青色、緑カラーフィルタの反復グリッドを含む。
【0026】
図3に示されるように、装置201はまた、レンズ311および少なくとも1つのビーム分割器301を含む、または光学的に接続されてもよい。HEセンサ213、MEセンサ211、レンズ311、および少なくとも1つのビーム分割器301は、光の入射ビーム305を受信し、光のビーム305を、少なくとも、HEセンサ213上に衝突する第1の経路と、MEセンサ211上に衝突する第2の経路とに分割するように配列される。好ましい実施形態では、装置201は、3つの撮像センサ上に同時に集束されるように、部分的反射性表面のセットを使用して、単一撮影レンズ311からの光を分割する。好ましい実施形態では、光は、ビーム分割器のうちの1つを通して2回逆指向され、3つのサブ画像は赤色、緑色、および青色に分割されず、代わりに、その光レベル以外は光学的に同じである。
図3に示される、本設計は、装置が、カメラに進入する光の大部分を使用して、HDR画像を捕捉することを可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態では、光学分割システムは、空気/プラスチック界面におけるFresnel反射に依拠し、したがって、その実際の透過率/反射率(T/R)値が角度の関数である、2つの皮膜されていない2ミクロン厚のプラスチックビーム分割器を使用する。ガラスもまた、好適な材料オプションである。一実施形態では、第1のビーム分割器301は、45°角度であって、92/8の近似T/R比率を有し、これは、カメラレンズ311からの光の92%が、第1のビーム分割器301を通して伝送され、高露光(HE)センサ213上に直接指向されることを意味する。ビーム分割器301は、第1のものと同一光学性質を有するが、光経路に対して90°角度に位置付けられ、94/6の近似T/R比率を有する、第2の皮膜されていないビーム分割器319に向かって、レンズ311からの光の8%を上向きに反射させる(
図3に示されるように)。
【0028】
上向きに反射された全光の8%のうち、94%(または全光の7.52%)は、第2のビーム分割器319を通して伝送され、中間露光(ME)センサ211上に集束される。この上向きに反射された光の他の6%(または全光の0.48%)は、第2のビーム分割器319によって、第1のビーム分割器301(再び、45°である)に向かって下方に逆反射され、それを通して92%(または全光の0.44%)が、低露光(LE)センサ261上に伝送および集束される。本配列を用いることで、HE、MEおよびLEセンサは、それぞれ、カメラレンズ311によって集められた全光の92%、7.52%、および0.44%を用いて画像を捕捉する。したがって、カメラレンズ311によって集められた全光のうちの合計99.96%が、画像センサによって捕捉される。したがって、HEおよびME露光は、12.2倍(3.61絞り値)分離され、MEおよびLEは、17.0倍(4.09絞り値)分離され、これは、本構成がセンサのダイナミックレンジを7.7絞り値拡張させるように設計されることを意味する。
【0029】
本ビーム分割器配列は、装置201を光効率的にする。すなわち、レンズ311によって集められた全光のわずか0.04%のみが、無駄となる。これはまた、全3つのセンサが同一場面を「確認」することを可能にし、したがって、全3つの画像は、その光レベル以外は光学的に同じである。当然ながら、描写される実施形態201の装置では、ME画像は、奇数回の反射を受け、したがって、他の画像と比較して、左右反転されるが、これは、ソフトウェア内で容易に修正される。好ましい実施形態では、3つのセンサは、独立して、直接、同期モジュールを含む、パイプラインの中に入射ピクセル値をストリームさせる。本同期モジュールは、複数のセンサからシステムへのデータ到着時間における僅かな段階相違を補正することができる。
【0030】
したがって、ビーム分割器301は、光の大部分を第1の経路に、光のより少ない量を第2の経路に指向することが分かる。好ましくは、第1の経路および第2の経路は、それぞれ、HEセンサ213およびMEセンサ211上に衝突し、光レベル以外は光学的に同じ画像を生成する。描写される実施形態では、装置201は、低露光(LE)センサを含む。
【0031】
好ましい実施形態では、ピクセル値は、シーケンスで、HEセンサ213、MEセンサ211、およびLEセンサ261から、直接、処理デバイス219にストリームされる。それらのシーケンスは、それらが処理デバイス219上に到着するにつれて同期されなくてもよい。
【0032】
図3によって示されるように、方法101は、入射光をレンズ311を通して受信するステップ107と、少なくとも1つのビーム分割器301を介して、光を複数の画像センサ上に分割するステップ113とを含んでもよく、光の入射ビーム305の少なくとも95%は、複数の画像センサによって捕捉される。
【0033】
装置201は、(1)運動を考慮するための画像操作を必要としない、光学的に整合された複数の露光画像を同時に捕捉し、(2)利用可能な画像センサのダイナミックレンジを拡張し(我々の現在のプロトタイプでは、7撮影絞り値を上回って)、(3)実装が安価であって、(4)単一の標準的カメラレンズ311を利用し、(5)レンズ311からの光を効率的に使用する。
【0034】
方法101は、好ましくは、(1)露光において3を上回る絞り値分だけ分離された画像を組み合わせ、(2)事前にデモザイク処理されたピクセルデータを空間的に混成し、望ましくないアーチファクトを低減させ、(3)放射輝度的に正しいHDR画像を生成し、(4)利用可能な最高忠実性(最低量子化雑音)ピクセルデータを使用する。装置201は、種々の異なるセンサタイプと協働することができ、カメラレンズとセンサとの間に位置するビーム分割器に基づいて、光学アーキテクチャを使用する。
【0035】
図4は、装置201上の処理デバイス219を示す。記載されるように、処理デバイス219は、1つまたはそれを上回るFPGA、ASIC、または他の集積回路によって提供されてもよい。センサからのピクセル値は、処理デバイス219上のパイプライン231を通してストリームされる。処理デバイス219内のパイプライン231は、ピクセル値501がフローする順序において、ピクセル値501が処理デバイス219上に複数の画像センサ265からストリームされるにつれて、ピクセル値501を同期させるための同期モジュール405と、カーネル演算413と、融合モジュール421と、デモザイク処理モジュール425と、トーンマッピングオペレータ427とを含む。
【0036】
トーンマッピングオペレータ427は、LDR信号を生成する。圧縮モジュール431は、HDR信号からLDR信号を減算し、結果として生じる残りをLDR信号と再び組み合わせ、組み合わされた信号をブロードキャストのために伝送する。
【0037】
パイプライン231は、色補正モジュール、HDR変換モジュール、およびHDR圧縮モジュール等の1つまたはそれを上回る補助モジュールを含んでもよい。
【0038】
図5は、ピクセル値501が処理デバイス219上に複数の画像センサ265からストリームされるにつれて、ピクセル値501を同期させるための同期モジュール405の動作を示す。
図5に描写されるように、HE_1ピクセル値およびME_1ピクセル値は、同期モジュール405にほぼ同時に到着する。しかしながら、HE_2ピクセル値は、ME_2と比較して遅れて到着し、LEピクセル値のシーケンス全体が、遅れて到着するであろう。同期モジュール405は、先に到着したピクセル値を巡回させ、それらを対応する後に着信するピクセル値と同時に解放する、小ラインバッファを含有することができる。同期されたピクセル値は、次いで、パイプライン231を通してカーネル演算413にストリームされる。
【0039】
図6は、ピクセル値がカーネル演算413に提示される方法を図示する。
図6の上部分は、HEセンサ213を描写する。各正方形は、センサ213の1つのピクセルを描写する。白色中心を伴う、塗り潰された黒色ボックスは、考慮のための所与のピクセル615と、所与のピクセル615を囲繞するピクセルの近傍601とを図示するように描かれている。塗り潰された黒色ボックスは、実際には、センサ213(CMOS動画撮影用カメラセンサ等)上には現れず、単に近傍601が含むものを図示し、近傍601がピクセル値501のシーケンス621がカーネル演算413に提示されるときに現れる状態を理解することを補助するために描かれている。
【0040】
図6の下部分は、同期モジュール405後、それらがカーネル演算413の中にストリームされるにつれたピクセル値のシーケンス621を示す。センサ213上のピクセルの近傍601からのピクセル値501は、依然として、例証を補助するために、「黒く塗り潰されている」。考慮下の所与のピクセル615は、2つの黒色ピクセルによって両側が囲繞されているため、センサ上のピクセルの列から容易に見分けることができる。2つのシーケンス621が存在し、そのうちの1つは、描写されるHEセンサ213から生じ、そのうちの1つは、MEセンサ211から生じる。
【0041】
ピクセル値501をカーネル演算413を通してストリームさせるステップは、HEセンサ213上の第1のピクセル615を囲繞するピクセルの近傍601からの値を検査し、ピクセルの近傍601内の飽和されている値を見出し、MEセンサ211からの対応する近傍613からの情報を使用して、第1のピクセル615に関する値を推定するステップを含む。これは、以下により詳細に説明されるであろう。これを遂行するために、処理デバイスは、異なるセンサからの対応するピクセル値間で比較を行わなければならない。これは、考慮下のピクセル615を近傍601からの各ピクセルに隣接させて、かつ別のセンサ上の対応する近傍からの各ピクセルに隣接させて設置する方式において、ピクセル値をカーネル演算を通してストリームさせることが有用であり得る。
【0042】
図7は、パイプラインが、以下のピクセル値、すなわち、センサ213上の右に1つ目のピクセルからのピクセル値、センサ213上の右に2つ目のピクセルからのピクセル値、左に1つ目のピクセルからのピクセル値、左に2つ目のピクセルからのピクセル値のそれぞれに隣接させて現在のピクセル615を設置するように、回路をモデル化するアプローチを示す。
図7に示されるように、データは、パイプラインの本部分の中にフローし、そして4回コピーされる。コピー毎に、異なりかつ特定の量の遅延が、主分岐に追加される。5つのコピー全てが、並行してフローし続ける。したがって、全5つのコピーにわたる同時スナップショットは、所与の現在のピクセル値615および近傍601からの他のピクセル値を網羅する。このように、現在処理されているピクセルの両側のピクセル値が、現在処理されているピクセルとともに、その処理ステップにおいて使用されることができる。したがって、処理デバイスは、同時に、所与のピクセルのピクセル値を読み取り、近傍の値と比較することができる。
図7に図示されるアプローチは、比較のために、上側近傍および下側近傍、対角線近傍、ならびに別のセンサ上の対応する近傍からのピクセル値に拡張されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、ピクセル値501をカーネル演算413を通してストリーム129させるステップは、一時的に、第1のピクセルからの値をピクセルの近傍601から生じる各値に近接させて設置する、ピクセル値501を処理デバイス219内の経路621を通してストリーム129させるステップを含む。
【0043】
近傍比較は、飽和されているピクセルに関する置換値を使用すべきかどうかと、どの置換値を使用すべきかとを判定するために使用されてもよい。近傍比較を使用するアプローチは、融合の議論の後に以下でさらに議論される。置換値は、ピクセル値501のシーケンス621が融合モジュール421によって融合139されるときに使用されるであろう。融合139するステップは、飽和されているピクセル値501の少なくともいくつかをHDR画像から除外する。
【0044】
異なる露光を伴うLDR画像のセットからのHDR画像を融合するための以前のアルゴリズムは、典型的には、LDR画像をデモザイク処理し、近傍ピクセル情報を考慮せずに、データをピクセル毎に融合した後に行われる。
【0045】
最小数のカメラセンサを用いて可能な最広ダイナミックレンジを捕捉するために、LDR画像を従来のHDR取得方法を用いてよりも露光においてさらに離して位置付けることが好ましい。先行技術方法は、量子化および雑音効果のため、望ましくないアーチファクトをもたらし、それらの問題は、あるトーンマッピングオペレータ(TMO)が適用されるとき、悪化される。それらのTMOは、ダイナミックレンジが圧縮されると、画像内で僅かな勾配差を増幅させ、それらを可視にし、融合アーチファクトも同様に増幅させる。
【0046】
図8は、アーチファクトを低減させる(例えば、参照することによって組み込まれる、「Debevec and Malik, 1997, Recovering high dynamic range radiance maps from photographs, Proceedings of ACM SIGGRAPH 1997:369−378」における融合アルゴリズムで使用される加重係数と比較して)、融合のアプローチを図示する。
図8における「HEセンサ」、「MEセンサ」、および「LEセンサ」バーは、3つのセンサによって測定された場面照明の範囲を提示する。
【0047】
例証のために、本システムは、16のみの一意の明るさ値を測定し、センサが、露光において1絞り値のみ(2倍)分離される、4ビットセンサ(装置201内で使用され得るような12ビットセンサとは対照的に)を用いて簡略化される。CMOSセンサは、略線形関係を入射露光とその出力値との間に呈するため、3つのセンサからの値は、従来の対数スケールの代わりに、入射放射照度の線形関数としてグラフ化される。
【0048】
常時、Debevec and Malikのもの等の単純加重関数を用いて、全3つのセンサからのデータを使用する、先行技術アルゴリズムによる画像の融合は、アーチファクトを導入する。先行技術では、各センサからのデータは、点線によって示されるように、三角関数を用いて加重され、したがって、LEセンサからのデータが、HEセンサのものより粗く量子化される場合でも、低明るさ値(示されるサンプル照明レベルのように)におけるLEセンサからの寄与は、ゼロではない。
【0049】
本発明の方法は、対照的に、可能な限りより高い露光センサからのデータ値を使用し、飽和の近傍にあるとき、次により暗いセンサからのデータ内に混成させる。
【0050】
図8は、LEセンサが場面放射照度を他の2つのセンサより粗く測定することを示す。例えば、HEセンサは、LEセンサが単一インクリメントを記録する前に、勾配内で4つの異なるピクセル値を測定し得る。加えて、常時、ある程度の少量の雑音がピクセル値に存在し、LEセンサ内の±1の誤差は、本実施例に関しては、HEセンサ内の12の値範囲に及ぶ。Debevecand Malikのアルゴリズムは、これらの値をともに混成するが、方法101および装置201は、可能である場合、最長露光センサ(より低雑音)のみからのピクセル値を使用し、ピクセルが飽和に近づくと、次により暗い露光内に混成させる。
【0051】
ある実施形態では、方法101および装置201は、LDR画像を融合するとき、個々のピクセルのみを検査するのではなく、また、脱雑音プロセスに役立てるための付加的情報を提供し得る、近傍ピクセル601(
図6参照)も考慮する。
【0052】
本発明による融合139の一側面は、可能な最も明るく最も良好に露光されるセンサからのピクセルデータを排他的に使用することである。したがって、HE画像からのピクセルが、可能な限り使用され、ME画像内のピクセルは、HEピクセルが飽和に近づく場合のみ使用される。対応するMEピクセルが、飽和レベルを下回る場合、MEピクセルがHEピクセルを12.2倍下回る放射照度を受信することを前提として、カメラの応答曲線に基づいて、HEピクセルに関連してそれを調節する、係数によって乗算される。
【0053】
図9は、ピクセル値を調節するための係数を求めるために使用される、カメラ応答曲線901を示す。3センサ実施形態では、HEセンサが飽和レベルを上回るとき、対応するMEピクセルが飽和レベルを上回る場合、類似プロセスが、低露光LE画像内の同一ピクセルに適用される。
【0054】
それらが飽和するまで、HEセンサからの値を排他的に使用し、次いで、単に、次のセンサに切り替える、「勝者総取り方式」アプローチによる融合は、遷移が生じる場所でバンディングアーチファクトをもたらすことが見出され得る。そのようなバンディングアーチファクトを回避するために、方法101および装置201は、2つのセンサ間のピクセル値を空間的に混成することによって、1つのセンサから次のセンサに遷移する。これを行うために、方法101および装置201は、評価されているピクセル615の周囲の近傍601を走査する(
図6参照)。本領域内の任意の近傍ピクセルが飽和される場合、考慮下のピクセルは、ピクセルクロストークまたは漏出を受け得、方法101および装置201は、近傍601内のその近傍に基づいて、ピクセルに関する値を推定するであろう。
【0055】
方法101および装置201は、デモザイク処理が飽和されている領域内の色を破損させ得るため、個々のBayerカラーフィルタアレイ画像をデモザイク処理145することに先立って、融合139を行う。例えば、場面の明るい橙色セクションは、飽和されている赤色ピクセルを有し得る一方、緑色および青色ピクセルは、該当しない。画像が、HDRに融合される前にデモザイク処理される場合、デモザイク処理された橙色は、飽和されている赤色ピクセルデータおよび非飽和緑色/青色ピクセルデータから算出されるであろう。その結果、橙色セクションの色相は、正しくなく再現されるであろう。これらのアーチファクトを回避するために、方法101および装置201は、デモザイク処理に先立って、HDR融合を行う。
【0056】
画像が、デモザイク処理ステップに先立って融合されるため、方法101および装置201は、放射照度の代わりに、ピクセル値を用いて作用する。放射輝度的に正しいHDR画像を生成するために、方法101および装置201は、これらが波長の関数として若干変化するため、ピクセル色毎に適切なビーム分割器透過率値を使用して、HE、ME、およびLEセンサの放射照度レベルを整合させる。方法101および装置201は、異なる値を使用して、色チャネルのそれぞれを整合させるが、便宜上、プロセスは、平均値を用いて説明される。ピクセル値は、カメラ応答曲線901を通して転換され、結果として生じる放射照度は、露光レベル比率(HE/MEに関しては平均12.2倍)によって調節され、本新しい放射照度値は、カメラ応答曲線901を通して新しいピクセル値に逆転換される。
【0057】
図9は、HE、ME、およびLEセンサの放射照度レベルを整合させるための3ステップHDR変換プロセスを示す。HDR変換プロセスは、ピクセル比率曲線に到達するために全てのHEピクセル値(例えば、1から4096)に対して行われてもよく、これは、同一放射照度に関して各MEピクセル値をHEセンサ上の対応するピクセル値に転換するためのスケーリング係数を与える。実際は、別個のピクセル比率曲線が、Bayerパターンにおいて色(R、G、B)毎に計算される。ピクセル値をHEおよびME画像間(またはMEおよびLE画像間)で比較するとき、単純乗算器が、使用されてもよい、またはピクセル比率曲線は、ルックアップテーブル(LUT)として使用され、4096未満のHEピクセル値をMEピクセル値に、またはその逆に転換してもよい。HEピクセル値が、飽和されると、ピクセル比率曲線は、そこで得られる最後の値(約8)を使用して拡張される。
【0058】
カメラ応答曲線901は、ブラケット露光のセットを取り、露光とピクセル値(線形ドメイン内のスケール定数内)を関連させる単調増加関数を求めることによって測定されることができる。
【0059】
図9は、未加工カメラデータから算出された曲線を示すが、線形最良適合から算出された曲線もまた、使用され得る。
【0060】
図9は、カメラが場面放射照度をピクセル値に転換する方法を示す、カメラ応答曲線を与える。所与のHE値に関してとられるべきMEピクセル値を算出するために、HEピクセル値(1)は、最初に、場面放射照度(2)に転換され、これは、次に、12.2の我々のHE/ME減衰比率によって除算される。本新しい放射照度値(3)は、カメラ応答曲線を通して予期されるMEピクセル値(4)に転換される。本グラフは、略線形であるが、有意な平滑化または線形適合の適用を伴わずに未加工データから算出されるため、それほど完璧ではない。3つの画像の放射照度レベルが整合されると、融合139は、行われてもよい。
【0061】
融合139の例証的実施例では、2つの位置合わせされたLDR画像(1つは、高露光画像IHEであって、もう1つは、中間露光画像IMEである)が、HDR画像IHDRに融合139されることになる。融合139は、高露光画像IHE内の情報を用いて開始され、次いで、必要に応じて、次により暗い露光画像IMEからのデータ内で組み合わせられる。上記で説明された遷移アーチファクトを低減させるために、方法101および装置201は、N(x,y)として示されるように、周囲(2k+1)×(2k+1)ピクセル近傍601からの情報を考慮することによって、各ピクセル場所(x,y)に作用する。
【0062】
図6に図示されるようないくつかの実施形態では、方法101および装置201は、5×5ピクセル近傍601(k=2)を使用して、その値がある特定の量、例えば、最大ピクセル値の90%(例えば、センサ213が12ビットCMOSセンサである場合、4096)を上回る場合、ピクセルが飽和されていると定義する。
ある実施形態では、融合139は、センサ213上のピクセル615およびその近傍601(
図6参照)に関する4つのケース毎に、特定の動作を含む。
【0063】
ケース1:ピクセル615は、飽和されておらず、近傍601も、飽和されているピクセルを有しておらず、したがって、ピクセル値は、そのまま使用される。
【0064】
ケース2:ピクセル615は、飽和されていないが、近傍601が、1つまたはそれを上回る飽和されているピクセルを有し、したがって、近傍内に存在する飽和の量に応じて、IHE(x,y)におけるピクセル値と次により暗い露光IME(x,y)におけるものとの間で混成する。
【0065】
ケース3:ピクセル615は、飽和されているが、近傍601は、1つまたはそれを上回る飽和されていないピクセルを有し、これは、IHE(x,y)に関する値をより良好に推定するために使用され得る。すなわち、近傍内の飽和されていないピクセルと中心ピクセルとの間のME画像内のピクセル値の比率を計算し、ME比率の本マップを使用して、考慮下の飽和されているピクセルの実際の値を推定する。
【0066】
ケース4:ピクセル615は、飽和されており、近傍601内の全てのピクセルも、飽和されており、したがって、高露光画像からの有効情報は存在せず、ME画像を使用して、IHDR(x,y)=IME(x,y)を設定する。
【0067】
3つのLDR画像が存在するとき、上記のプロセスは、単に、2回目の反復において繰り返され、IHDRとIHEおよびILEとIMEを置換する。このように、データは、最低露光に向かって進みながら、より高い露光から融合139され、より高い露光データが飽和またはその近傍にあるとき、データは、より低い露光からのみ使用される。
【0068】
これは、全3つの色チャネルを考慮して、
図9のものに類似するカメラ応答曲線を使用して、デモザイク処理145され、ピクセル値から放射照度に転換され得る、HDR画像を生成する。最終HDRフルカラー画像は、次いで、トーンマッピングされてもよい(例えば、FDRTools、HDR Expose、Photomatix等の商業用ソフトウェアパッケージを用いて)
【0069】
装置201は、カメラ本体内に搭載される3つのSilicon Imaging SI−1920HD最高仕様動画撮影用CMOSセンサを使用して実装されてもよい。それらのセンサは、標準的Bayerカラーフィルタアレイとともに、1920×1080ピクセル(5平方ミクロン)を有し、約10絞り値(雑音を除外する)のダイナミックレンジを測定することができる。センサは、カメラを小ピンホール光源に照準し、HEセンサを下方に係止し、次いで、止めねじを調節し、MEおよびLEセンサを整合させることによって整合される。
【0070】
カメラ本体は、Hasselbladレンズマウントを含み、高性能相互交換可能商業用レンズの使用を可能にしてもよい。ビーム分割器に関して、装置は、Edmund Opticsによって販売されているもの等の皮膜されていないペンシルビーム分割器[製品番号NT39−482]を含んでもよい。装置201は、方法101のステップを行ってもよい。好ましくは、複数の画像センサは、少なくとも高露光(HE)センサ213と、中間露光(ME)センサ211とを含み、融合は、飽和されていないHEピクセル値501と、飽和されているピクセル値に対応するMEピクセル値501との使用を含む。複数のセンサはさらに、低露光(LE)センサ261を含んでもよく、方法101は、HEセンサ213およびMEセンサ211の両方から生じる飽和されているピクセル値501を識別するステップを含んでもよい。ピクセル値は、パイプラインを通してストリームされるため、飽和されているピクセル値501の少なくともいくつかは、処理デバイス219において複数の画像センサの全てのピクセルからの値を受信する前に識別されることが可能であって、方法101は、依然として、後に着信するピクセル値501をカーネル演算413を通してストリーム129させながら、シーケンスの一部の融合139を開始するステップを含んでもよい。
【0071】
ビーム分割器、レンズ、またはフィルタ等の光学構成要素は、「スペクトル的に中立」であると標識される場合でも、伝送される光の量に若干の波長依存差を有し得ることを理解されたい。すなわち、各画像センサは、その独自の「色補正空間」を有すると言え、それによって、そのセンサからの画像は、その色補正空間から真の色に補正される必要がある。光学システムは、較正されることができ(例えば、較正カードの写真を撮影することによって)、色補正行列が、画像センサ毎に、記憶されることができる。HDRビデオパイプラインは、次いで、ピクセル値を1つのセンサから別のセンサの色補正空間に向かって調節する反直感的ステップを行うことができ、これは、ある場合には、色を真の色から微調整することを伴い得る。これは、1つのセンサからのRGB値のベクトルを他のセンサの色補正行列の逆行列によって乗算することによって遂行されてもよい。第2のセンサに対する本色補正後、ストリームは、融合され、結果として生じるHDRビデオ信号は、真の色に色補正される(例えば、RGBベクトルを適用可能な色補正行列によって乗算することによって)。この色補正プロセスは、各画像センサのスペクトル差を考慮する。
【0072】
図10は、HDRパイプラインが複数のセンサのそれぞれのスペクトル特性における差異を補正し得る、色補正プロセス1001を示す。センサ間の若干の波長依存差を補正するために、電子入力と電子出力との間の関係が、既知の入力を使用して実験的に測定されることができる。センサ毎に、補正係数を算出することによって、センサによって検出された情報は、さらなる処理に先立って補正されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、パイプライン231は、色補正のためのモジュールを含む。色補正プロセスのステップは、パイプラインに沿った複数の場所において適用されてもよく、したがって、色補正は、FPGA上の異なる場所において特定のモジュールを介して実装されてもよい。併せて、それらのモジュールは、色補正プロセス1001を実装する、色補正モジュールと称され得る。
【0073】
色補正プロセス1001は、2つのセンサからの画像を融合する前に、その色補正空間からの1つのセンサのデータを別のセンサの色補正空間に転換する。融合された画像データは、次いで、第3のセンサからの画像データと組み合わせられる前に、その第3のセンサの色補正空間に転換されることができる。プロセスは、所望に応じた数のセンサに関して繰り返されてもよい。全てのセンサの画像が、組み合わせられた後、最終の組み合わせられた画像は、デモザイク処理145されてもよく、次いで、真の色に色補正されてもよい。
【0074】
色補正プロセス1001は、1つのセンサから次のセンサに色情報を保存するように、2つの画像が一度に融合される段階において、複数のセンサからの画像が融合されることを可能にする。例示的目的のために、
図10では、HEセンサからのHEピクセル値は、MEセンサからのMEピクセル値と融合される。融合の結果は、次いで、LEセンサからのLEピクセル値と融合される。
【0075】
色補正プロセス1001をガイドする基本原理は、最初に、暗画像を次の最明画像の色補正空間に転換し、次いで、2つの「非デモザイク処理」(またはカラーフィルタアレイ[CFA]Bayerパターン化)画像をともに融合することである。
【0076】
色補正プロセス1001は、MEセンサ、LEセンサ、およびSEセンサを伴う装置201に関して、3つの一般的段階、すなわち、SE色補正空間(CCS)段階、ME色補正空間段階、およびLE色補正空間段階を含む。色補正プロセスは、最初に、SE色補正空間段階から開始し、これは、最初に、LEピクセル値をデモザイク処理1045するステップと、次いで、結果として生じるベクトルをME画像の色補正空間に変換1051するステップを含む。デモザイク処理プロセス1045は、ピクセル毎に、フルカラーRGBベクトル値をもたらす。
【0077】
デモザイク処理1045された後、LE画像データが、次に、ME色補正空間に変換1045される。本目的は、LEピクセルの色(ここでは、RGBベクトルによって説明される)をMEアレイの色(MEアレイの色の不完全性の全てを伴う)に整合することである。変換1051を行うために、LE RGBベクトルは、色補正行列によって変換1051される。例えば、等式1−3は、色補正行列を使用して、それぞれ、HE、ME、およびLEセンサに関する色値を補正する方法を示す。等式1は、色補正行列を使用して、HEセンサの色値を補正する方法を示し、値A1−A9を含む、3×3行列係数は、ピクセル値を強化または弱化させるために選択された係数を表し、RGB行列(RLE、GLE、およびBLE)は、LEセンサからのデモザイク処理されたRGB出力信号を表す。ある場合には、3×3行列係数は、デモザイク処理された出力を期待(すなわち、いわゆる「真」)値に対して比較することによって導出されることができる。例えば、3×3行列係数は、デモザイク処理されたRGB出力値と基準色チャート(例えば、Macbethチャート)からの基準値との間の最小2乗多項式モデル化によって導出されることができる。同様に、等式2は、色補正行列を使用して、MEセンサの色値を補正する方法を示し、RGB行列(RME、GME、およびBME)は、MEセンサからのデモザイク処理されたRGB出力信号を表し、等式3は、色補正行列を使用して、SEセンサの色値を補正する方法を示し、RGB行列(RME、GME、およびBME)は、SEセンサからのデモザイク処理されたRGB出力値を表す。
等式1−[A]、すなわち、LEセンサのための色補正行列を使用してSEピクセル値を補正する。
【数1】
等式2−[B]、すなわち、MEセンサのための色補正行列を使用してMEピクセル値を補正する。
【数2】
等式3−[C]、すなわち、SEセンサに関する色補正行列を使用してSEピクセル値を補正する。
【数3】
【0078】
画像を第1の色補正空間(CCS)から第2の色補正空間に転換するために、1つまたはそれを上回るセンサからの色補正行列が、使用されることができる。本プロセスは、色補正空間間の転換または色補正空間の較正と称され得る。第1の色補正空間または第2の色補正空間のいずれも、捕捉された画像の真の色を正確に反映させていない。第1および第2の色補正空間の両方とも、ずれを有し、それらのずれは、一般に、相互から異なる。したがって、各センサからのRGB値は、真の色として現れるために、それらのRGB値に関する一意の色補正行列によって乗算されなければならない。
本発明は、画像をLEセンサの色補正空間からMEセンサの色補正空間に転換するための方法1001を含み、以下の等式4に図示される。
等式4−LEピクセル値をLE色補正空間からME色補正空間に転換する。
【数4】
【0079】
等式4では、LEセンサのピクセル値(R、G、B)は、LEセンサの補正行列[C]によって乗算され、次いで、MEセンサの補正行列[B]の逆行列によって乗算される。結果は、MEセンサの色補正空間内にある、ピクセル値(R、G、B)のセットとなる。
【0080】
本発明の方法は、2つのセンサからの画像が、正確に組み合わせられる、または融合され得るように、第2のセンサの色補正空間と第1のセンサの色補正空間の整合を可能にする。2つのセンサからの画像をHDR画像の中に組み合わせることに先立って、第2の色補正空間の全てのずれを第1の色補正空間に適用するための方法は、これまで知られていない。複数のCFAセンサからのデータを組み合わせるための典型的方法は、画像を組み合わせることに先立って、各センサのデータを較正された色カードから測定された「真」値に色補正することに依拠する。これは、HDRシステムにおいて問題となり、より明るいセンサの画像は、飽和されている有意な部分を有し、その飽和されている部分は、実際には、組み合わせるとき、より暗いセンサの画像から利用されているはずであることが知られている。飽和されているピクセルに基づいて、色情報を有する画像を色補正することは、色を誤識別させるであろう。したがって、HDRシステムでは、画像を組み合わせることに先立って、より明るい画像(例えば、「真」色値)を色補正することは、色をモザイクパターン化画像から作成する際、飽和されているピクセルデータの使用のため、色が誤識別されることにつながるであろう。本理由から、我々は、以下を規定する。(1)より暗い画像は、その色情報をより明るい画像の色空間に整合するように変換され、(2)本変換されたより暗い画像は、より明るい画像と組み合わせられ、次いで、(3)最終の組み合わせられた画像は、「真」色値に色変換される。
【0081】
本発明に提供される解決策は、より暗いセンサからのデータの[(a)デモザイク処理1045、(b)色補正1051、および(c)モザイク処理1057]ステップを行い、それによって、全てのデータが、より暗いセンサのデータとより明るいセンサのデータを融合するステップに先立って、その非デモザイク処理された状態に正確に戻されることを確実にすることによって、本飽和ピクセル色誤識別問題を回避する。
【0082】
さらに、2つのセンサからの画像の融合に先立って、本発明は、2つのセンサの色補正空間を整合させる。本変換は、2つの画像(第1および第2の色補正空間センサから)が非デモザイク処理されたフォーマットでピクセル毎に正確に融合され得ることを確実にする。これは、特に、第2のセンサの色補正空間が「真の」色補正空間と異なることが既知であるとき、1つのセンサの色補正空間を第2のセンサの色補正空間に整合させるように変化させるというように、一見、反直感的であるように考えられ得る。しかしながら、これは、(1)より明るいセンサの色情報が融合に先立ってデモザイク処理されないことと、(2)画像の融合に先立って両センサからの色データがともに整合されることとを確実にする際に重要な特徴である。色補正プロセス1001は、それ自体が処理デバイス219上のパイプライン231内のカーネルとして実装され得る、行列を使用する。したがって、色補正プロセス1001は、それらがピクセル値を受信するにつれて、カーネルが適用されるため、HDRパイプラインワークフローと互換性がある。
【0083】
LE情報が、LE色補正空間からME色補正空間に変換1051された後、変換された値は、モザイク処理1057される(すなわち、デモザイク処理プロセスが逆転される)。変換されたスカラーピクセル値は、ここでは、MEセンサによって検出されたBayerパターン化スカラーMEピクセル値に比較可能であり、プロセス1001は、MEおよびHE非デモザイク処理(すなわち、スカラー)センサデータの融合1061を含む。
【0084】
ME色補正空間内の融合された非デモザイク処理画像は、次いで、デモザイク処理1067される。本デモザイク処理1064は、上記に説明されるデモザイク処理1045に類似するが、デモザイク処理プロセスを受けるCFAピクセル値は、ここでは、ME色補正空間と関連付けられる。デモザイク処理1067は、ME色空間内のRGBベクトルを生成する。それらのRGBベクトルは、HE色空間に変換1071される一方、また、色補正される([B][A]−1[RGB])。ME色補正行列は、等式2において上記されたデモザイク処理された色値を用いて決定され得る。色補正されたME情報は、ME色補正行列をSE色補正行列の逆行列によって乗算することによって、ME色補正空間からHE色補正空間に変換1071される。
【0085】
ME情報が、ME色補正空間からHE色補正空間に変換1071された後、変換されたベクトルは、モザイク処理1075される(すなわち、デモザイク処理プロセスが、逆転される)。これは、変換されたME CFA Bayerパターン化ピクセル値が、HEセンサによって検出されたHEピクセル値と融合1079することを可能にする。色補正プロセス1001における本時点で、HEおよびMEセンサによって検出された変換された色情報は、ここで、HEセンサによって検出された色情報に整合するように較正される。本新しく融合された色値データセットは、ここでは、HE色補正空間205内の色値を表す。
【0086】
図11は、高ダイナミックレンジ(HDR)ビデオと低ダイナミックレンジ(LDR)ビデオの組み合わせられたブロードキャストのための方法1301を図示する。方法1301は、HDRおよびLDRビデオのストリームを提供する。方法1301は、センサ165のアレイを使用して、一連の画像を表す情報を検出するステップ125と、情報を処理するステップ1309と、典型的には、1つのフレーム未満の検出と伝送との間の遅延を伴って、HDRおよびLDR表示のための情報をリアルタイムで伝送するステップ1321とを含む。
【0087】
色処理後、パイプラインは、HDRビデオ信号を生成する。そのHDRビデオ信号は、次いで、トーンマッピングされ1313、LDRビデオ信号を生成する。トーンマッピングされた信号は、LDR信号として組み合わせられた信号内に含まれる。加えて、トーンマッピングの出力は、残留物を判定するための減算1315において使用される。
【0088】
パイプラインは、リアルタイムで、LDR信号をHDR信号から減算する(HDR−LDR=残留物)、減算1315のためのモジュールを含むことができる。減算モジュール後のフローは、一対のストリーム、すなわち、LDRビデオ信号および残留信号である。好ましくは、色情報は全て、LDR信号内にある。
【0089】
LDR信号または残留物のいずれかは、任意の好適な圧縮またはエンコーディング(例えば、MPEGエンコーディング)を受けてもよい。対のストリームは、8ビットLDR信号と、HDR表示を提供する、残留物とを含む。本デュアル信号は、通信ネットワークを経由してブロードキャストされ、実際、テレビネットワーク、セルラーネットワーク、またはインターネットを経由してブロードキャストされてもよい。信号を受信するデバイスは、そのデバイスの容量に従って、ビデオを表示する。LDRディスプレイデバイスは、8ビットLDR信号を「確認」し、ビデオを標準的ダイナミックレンジで表示するであろう。HDRディスプレイデバイスは、残留物を解凍し、デュアルストリームをHDR信号(例えば、12ビット、または、例えば、22ビット)の中に組み合わせ、ビデオを高ダイナミックレンジで表示するであろう。
【0090】
したがって、方法1301および装置201は、リアルタイムHDRビデオ捕捉ならびに単一伝送におけるHDRおよびLDR出力の同時送達のために使用されてもよい。処理1309は、処理デバイス219からビデオ(ブロードキャスト)出力までのワークフローを含んでもよい。方法1301および装置201は、全て同型画像を単一レンズを通して得て、結果として生じるピクセル値をパイプラインを通してストリームさせ、融合されたHDRビデオ信号内の飽和されているピクセルに取って代わる、複数のセンサ等の本明細書に説明される特徴を使用して、リアルタイム処理および相補的HDR/LDR表示を提供する。方法101および装置201はそれぞれ、センサのアレイを使用して、ビデオ情報を捕捉し、そのビデオ情報をリアルタイムで処理し、HDRおよびLDR互換性フォーマットでビデオ情報をリアルタイムで伝送する。
【0091】
特許、特許出願、特許刊行物、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文書の参照および引用が、本開示全体を通して行なわれる。そのような文書は全て、あらゆる目的のために、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
均等物
【0092】
本明細書に図示および説明されるものに加え、本発明およびその多くのさらなる実施形態の種々の修正が、本明細書に引用される科学および特許文献の参考文献を含む、本書の全内容から、当業者に明白となるであろう。本明細書における主題は、その種々の実施形態およびその均等物における本発明の実践に適合され得る、重要な情報、例示、および指針を含有する。