特許第6947501号(P6947501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947501
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】セメント組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/26 20060101AFI20210930BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20210930BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20210930BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   C04B7/26ZAB
   C04B14/28
   C04B18/08 Z
   C04B28/02
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-231913(P2016-231913)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-87111(P2018-87111A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】安藝 朋子
(72)【発明者】
【氏名】星野 清一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 大亮
(72)【発明者】
【氏名】平尾 宙
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−201519(JP,A)
【文献】 特開2015−194475(JP,A)
【文献】 特開2015−010009(JP,A)
【文献】 特開2012−242171(JP,A)
【文献】 特開2016−070718(JP,A)
【文献】 中西陽一郎ら,普通ポルトランドセメントの諸仕様が水和熱および強さに及ぼす影響,宇部三菱セメント研究報告,2009年,Vol.10,P.25-32
【文献】 小川 彰一ら ,フライアッシュ混合セメントの耐硫酸塩性に及ぼすフライアッシュの特性とSO3量および石灰石微粉末の効果,セメント・コンクリート論文集,2012年, 66 巻 1 号, p. 414-421,https://doi.org/10.14250/cement.66.414
【文献】 尾崎 秀夫,堺 孝司,セメント代替少量混合成分のコンクリート性能への影響,セメントコンクリート論文集,2013年,Vol.67 No.1,P.259-265
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00−32/02, C04B40/00−40/06, C04B103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸率(S.M.)が1.80〜2.40で、鉄率(I.M.)が1.65〜2.35で、かつ、フリーライムの含有率が1.0質量%未満である普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物と、石膏と、フライアッシュと、ブレーン比表面積が5,000cm/gを超える石灰石粉末、を含むセメント組成物であって、
上記セメント組成物は、高炉スラグ粉末及び珪石粉末を含まない、又は、高炉スラグ粉末及び珪石粉末の少なくとも1種を、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物100質量部に対して、5.5質量部以下の量で含み、
上記石膏の量(SO換算)と、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量の合計100質量%中の、上記石膏の量(SO換算)の割合が、0.8〜3.0質量%であり、
上記石膏の量(SO換算)、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量、上記フライアッシュの量、及び上記石灰石粉末の量の合計100質量%中、上記フライアッシュの割合が22〜27質量%、上記石灰石粉末の割合が3〜8質量%であり、
上記フライアッシュの単位質量中の、NaO、KO、MgO、SO、TiO、P及びMnOの各々の質量が、下記式(1)を満たすものであることを特徴とするセメント組成物。
(NaO+0.658×KO)/(MgO+SO+TiO+P+MnO)=0.54〜1.00 ・・・(1)
【請求項2】
上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の、ボーグ式を用いて算出した3CaO・SiOと2CaO・SiOの質量比(3CaO・SiO/2CaO・SiO)が5.0未満である請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の、ボーグ式を用いて算出した3CaO・Al23の含有率が10.5〜13.5質量%である請求項1又は2に記載のセメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントの一部をフライアッシュで置換してなるフライアッシュ混合セメントは、水酸化カルシウムとフライアッシュのポゾラン反応により、安定なケイ酸カルシウム水和物等の化合物を生成して緻密な組織を形成する。そのため、フライアッシュ混合セメントは、水密性、化学抵抗性、及び、長期強度発現性に優れている。
また、ポゾラン反応による発熱量は、ポルトランドセメントの水和による発熱量に比べて少ないため、フライアッシュ混合セメントの水和熱は、ポルトランドセメントの水和熱よりも少なくなる。また、フライアッシュは、それ自体、球状の微粒子であるから、ボールベアリング作用により、コンクリート等の流動性を向上させるため、コンクリート等の製造における単位水量を少なくすることができ、フライアッシュ混合セメントを用いた硬化体の乾燥収縮を小さくすることができる。
さらに、セメント製造における環境負荷の観点からも、フライアッシュ混合セメントは、セメント製造時のCO排出量や、原料である石灰石や化石燃料などの天然資源の使用量を少なくすることができ、また、副産物であるフライアッシュを有効活用できるなど、多くの環境負荷低減効果を有している。
【0003】
フライアッシュ混合セメントはこのように多くの長所を有するが、一般社団法人セメント協会のホームページによると、2014年度のフライアッシュセメントの生産高は74千t/年である。該生産高は、セメントの総生産高(56,700千t/年)の0.13%に過ぎない。このようにフライアッシュ混合セメントが普及しない理由として、例えば、初期の強度発現性が低いため、所定の強度を得るまでに長期の養生を要する点等が挙げられる。
【0004】
かかるフライアッシュ混合セメントの強度発現性に関連して、燃料となる石炭の性状や、火力発電所の運転状態により品質が変動するフライアッシュの中から、好ましい品質を有するフライアッシュを評価して選別する等の提案がある。
例えば、特許文献1では、石炭灰を大量に含む、強度発現性の良好なモルタルやコンクリート組成物のセメント/石炭灰比(質量比)は、石炭灰の20%のスラリー液のpHが11.0以上の場合は、0.5以上、該液のpHが9.0以上11.0未満の場合は、0.7以上、該液のpHが6.0以上9.0未満の場合は、1.0以上としている。
また、特許文献2では、安定的に良好な強度発現性を有するセメントの製造に適したフライアッシュは、リートベルト解析法で求められる格子定数が0.4935nm以下であるα−石英を含み、BET比表面積が5.0m/g以下であるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−156971号公報
【特許文献2】特開2011−20867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
強度発現性に優れたセメント組成物を用いたモルタル等の硬化体であっても、乾燥収縮によるひび割れの発生によって、該硬化体からなる構造物の強度や耐久性が著しく低下する場合がある。このことから、セメント組成物はモルタル等として使用した際に乾燥収縮の小さいものが好ましい。
本発明の目的は、フライアッシュを多く含む(例えば、7.5〜30質量%)場合であっても、強度発現性に優れ、かつ、モルタル等として使用した際に乾燥収縮の小さいセメント組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ケイ酸率(S.M.)が1.80〜2.40、フリーライムの含有率が1.0質量%未満である普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物と、石膏と、フライアッシュと、ブレーン比表面積が5,000cm/gを超える石灰石粉末を含み、石膏(SO換算)と普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の合計量100質量%中の、石膏(SO換算)の割合が特定の数値範囲内であり、石膏(SO換算)、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物、フライアッシュ、及び石灰石粉末の合計量100質量%中、フライアッシュ及び石灰石粉末の各割合が特定の数値範囲内であり、かつ、フライアッシュの単位質量中のNa2O、K2O、MgO、SO3、TiO2、P25及びMnOの各々の質量が特定の式を満たすものであるセメント組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
【0008】
[1] ケイ酸率(S.M.)が1.80〜2.40で、かつ、フリーライムの含有率が1.0質量%未満である普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物と、石膏と、フライアッシュと、ブレーン比表面積が5,000cm/gを超える石灰石粉末、を含むセメント組成物であって、上記石膏の量(SO換算)と、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量の合計100質量%中の、石膏の量(SO換算)の割合が、0.8〜3.0質量%であり、上記石膏の量(SO換算)、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量、上記フライアッシュの量、及び上記石灰石粉末の量の合計100質量%中、フライアッシュの割合が7.5〜30質量%、石灰石粉末の割合が2.5質量%を超え、10質量%以下であり、上記フライアッシュの単位質量中の、Na2O、K2O、MgO、SO3、TiO2、P25及びMnOの各々の質量が、下記式(1)を満たすものであることを特徴とするセメント組成物。
(Na2O+0.658×K2O)/(MgO+SO3+TiO2+P25+MnO)=0.20〜1.00 ・・・(1)
[2] 上記フライアッシュ中の石英の、リートベルト解析法を用いて得られた格子体積の値が113.5〜114.5Åである前記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の、ボーグ式を用いて算出した3CaO・SiO2と2CaO・SiO2の質量比(3CaO・SiO2/2CaO・SiO2)が5.0未満である前記[1]又は[2]に記載のセメント組成物。
[4] 上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の、ボーグ式を用いて算出した3CaO・Al23の含有率が10.5〜13.5質量%である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のセメント組成物は、強度(例えば、モルタル圧縮強さ)発現性に優れ、かつ、モルタル等として使用した際に乾燥収縮の小さいものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のセメント組成物は、ケイ酸率(S.M.)が1.80〜2.40で、かつ、フリーライムの含有率が1.0質量%未満である普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物と、石膏と、フライアッシュと、ブレーン比表面積が5,000cm/gを超える石灰石粉末、を含むセメント組成物であって、石膏の量(SO換算)と、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量の合計100質量%中の、石膏の量(SO換算)の割合が、0.8〜3.0質量%であり、石膏の量(SO換算)、上記普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量、フライアッシュの量、及び石灰石粉末の量の合計100質量%中、フライアッシュの割合が7.5〜30質量%、石灰石粉末の割合が2.5質量%を超え、10質量%以下であり、フライアッシュの単位質量中の、Na2O、K2O、MgO、SO3、TiO2、P25及びMnOの各々の質量が、下記式(1)を満たすものである。
(Na2O+0.658×K2O)/(MgO+SO3+TiO2+P25+MnO)=0.2〜1.0 ・・・(1)
以下、詳細に説明する。
【0011】
1.セメント組成物の構成材料
(1)普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物
本発明で使用する普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物(以下、単に「セメントクリンカー」ともいう。)のケイ酸率(S.M.)は、1.80〜2.40、好ましくは1.85〜2.37、より好ましくは1.90〜2.35である。ケイ酸率が1.80未満であると、セメントクリンカー中の3CaO・Al(アルミネート相;以下、「CA」ともいう。)および4CaO・Al・Fe(フェライト相;以下、「CAF」ともいう。)の含有量が多くなり、セメント組成物の流動性や、長期材齢における強度(例えば、材齢28日以上におけるモルタル圧縮強さ)発現性が低下し、該セメント組成物を用いた硬化体(ペースト、モルタル又はコンクリート)の乾燥収縮が大きくなる。ケイ酸率が2.40を超えると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
【0012】
セメントクリンカーの水硬率(H.M.)は、セメントクリンカーの製造の容易性や、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは2.00〜2.20、より好ましくは2.05〜2.19、特に好ましくは2.10〜2.18である。
セメントクリンカーの鉄率(I.M.)は、セメントクリンカーの製造の容易性や、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは1.60〜2.40、より好ましくは1.65〜2.37、特に好ましくは1.75 〜2.35である。
【0013】
セメントクリンカーのフリーライムの含有率は、1.0質量%未満、好ましくは0.1〜0.8質量%、より好ましくは0.2〜0.7質量%である。該含有率が1.0質量%以上であると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
【0014】
セメントクリンカーの、ボーグ式を用いて算出した3CaO・Al23の含有率は、好ましくは10.5〜13.5質量%、より好ましくは10.8〜13.2質量%、特に好ましくは11.0〜13.1質量%である。該含有率が10.5質量%以上であれば、セメント組成物の強度発現性がより向上する。該含有率が13.5質量%以下であれば、セメント組成物の流動性がより向上し、該セメント組成物を用いた硬化体の乾燥収縮がより小さくなる。
また、セメントクリンカーの、ボーグ式を用いて算出した3CaO・SiO2(エーライト;以下、「CS」)ともいう。)と2CaO・SiO2(ビーライト;以下、「CS」ともいう。)の質量比(3CaO・SiO2/2CaO・SiO2)は、好ましくは5.0未満、より好ましくは3.0〜4.95、特に好ましくは3.3〜4.9である。該比が5.0未満であれば、セメントクリンカーの製造の容易性がより向上し、セメント組成物の強度発現性がより向上する。
【0015】
なお、本明細書中、セメントクリンカー中のC3S、C2S、C3A、C4AFの各含有率は、セメントクリンカー全量(100質量%)中の割合として、セメントクリンカー原料やセメントクリンカー(焼成物)の化学成分に基づき、下記のボーグの計算式を用いて算出される。
3S(質量%)=(4.07×CaO(質量%))−(7.60×SiO2(質量%))−(6.72×Al23(質量%))−(1.43×Fe23(質量%))
2S(質量%)=(2.87×SiO2(質量%))−(0.754×C3S(質量%))
3A(質量%)=(2.65×Al23(質量%))−(1.69×Fe23(質量%))
4AF(質量%)=3.04×Fe23(質量%)
【0016】
セメントクリンカーの原料としては、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO原料、粘土等のAl23原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe23原料、等を使用することができる。
なお、本発明においては、セメントクリンカーの原料として、前記原料に加えて、産業廃棄物、一般廃棄物及び発生土から選ばれる一種以上を使用することができる。セメントクリンカーの原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び発生土から選ばれる一種以上を使用することは、廃棄物の有効利用を促進させる観点から好ましい。
ここで、産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物(ただし、後述する「発生土」を除く。)をいう。産業廃棄物としては、例えば、生コンスラッジ、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、製鉄汚泥等)、建設廃材、コンクリート廃材、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰等が挙げられる。
一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物(ただし、後述する「発生土」を除く。)をいう。一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。
発生土とは、建設工事に伴い副次的に発生する土砂(例えば、地盤の掘削により生じるボーリング廃土)や汚泥(建設汚泥;例えば、地盤改良工事で生じる、セメントミルクと掘削土の混合物)をいう。
【0017】
本発明で使用する普通ポルトランドセメントクリンカーは、上述した原料を、所望の水硬率、ケイ酸率、鉄率となるように混合した後、好ましくは1,350〜1,550℃(より好ましくは1,400〜1,500℃)で焼成することで製造される。
各原料を混合する方法は、特に限定されるものではなく、慣用の混合装置等を用いて行えばよい。
また、焼成に使用する装置も、特に限定されるものではなく、例えば、ロータリーキルン等を用いればよい。なお、ロータリーキルンを用いて焼成する場合、燃料代替廃棄物(例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等)を使用することができる。
【0018】
焼成によって得られた普通ポルトランドセメントクリンカー(塊状物)を、ボールミル等の慣用の粉砕装置を用いて粉砕することで、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物を得ることができる。該粉砕物のブレーン比表面積は、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点、さらには粉砕のコスト低減の観点から、好ましくは3,000〜3,400cm/g、より好ましくは3,050〜3,350cm/gである。
【0019】
(2)石膏
本発明で使用する石膏としては、例えば、二水石膏、半水石膏、および無水石膏等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性および強度発現性の観点から、二水石膏と半水石膏の混合物を用いることが好ましい。二水石膏と半水石膏の合計100質量%中の半水石膏の割合は、セメント組成物の流動性および強度発現性の観点から、SO換算で、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは30〜85質量%、特に好ましくは40〜80質量%である。
また、石膏のブレーン比表面積は、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは5,000〜15,000cm/g、より好ましくは6,000〜1,4000cm/gである。
【0020】
(3)フライアッシュ
本発明で使用するフライアッシュは、フライアッシュの単位質量中の、Na2O、K2O、MgO、SO3、TiO2、P25及びMnOの各々の質量が、下記式(1)を満たすものである。
(Na2O+0.658×K2O)/(MgO+SO3+TiO2+P25+MnO)=0.20〜1.00 ・・・(1)
上記式(1)から導き出される質量比は0.20〜1.00、好ましくは0.25〜0.80、より好ましくは0.28〜0.70、特に好ましくは0.30〜0.60である。該質量比が0.20未満であると、セメント組成物の強度発現性が低下する。該質量比が1.00を超えると、セメント組成物を用いた硬化体の乾燥収縮が大きくなる。
【0021】
フライアッシュ中の石英の、リートベルト解析法を用いて得られた格子体積の値は、セメント組成物の強度発現性の観点から、好ましくは113.5〜114.5Å、より好ましくは113.6〜114.4Å、特に好ましくは113.7〜114.3Åである。また、該値が上記範囲内であれば、該セメント組成物を用いた硬化体の乾燥収縮をより小さくすることができる。
なお、通常、フライアッシュは、石英を5〜25質量%含むものである。
フライアッシュ中の石英の、リートベルト解析法を用いて得られた格子体積の値は、該フライアッシュのX線回析図に基づき、例えば、Bruker社製の解析ソフト(商品名:「TOPAS ver2.1」)、及び、ICDD(International Centre for Diffraction Data)のPDFデータベースから得られる結晶構造データ(データベースの検索に用いられるICDD nunmber:331161(Quartz))を用いて得ることができる。
【0022】
さらに、フライアッシュの締め固め密度は、好ましくは1.0cm/g以上、より好ましくは1.05〜1.5cm/g、より好ましくは1.1〜1.45cm/g、特に好ましくは1.2〜1.4cm/gである。該密度が1.0cm/g以上であれば、セメント組成物の流動性をより向上させ、該セメント組成物を用いた硬化体の乾燥収縮をより小さくすることができる。
なお、上記締め固め密度は、ホソカワミクロン社製の粉体特性評価装置(商品名:パウダテスタ PT−D)を用いて、フライアッシュを100cmのカップ内に充填しながら、該カップを180秒間で180回タッピングした後、該カップ内で締め固まったフライアッシュの質量を測定し、該測定値を用いて算出した値である。
【0023】
フライアッシュのブレーン比表面積は、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは2,500〜6,000cm/g、より好ましくは2,700〜5,000cm/g、特に好ましくは2,900〜4,000cm/gである。
また、フライアッシュを、975±25℃で15分間加熱した場合における、フライアッシュの質量減少率は、セメント組成物の流動性、及び強度発現性の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは1.0〜4.5質量%、特に好ましくは1.5〜4.0質量%である。
【0024】
(4)石灰石粉末
本発明で使用する石灰石粉末のブレーン比表面積は、5,000cm/gを超えるものであり、好ましくは5,300〜15,000cm/g、より好ましくは5,500〜14,000cm/g、さらに好ましくは6,000〜13,000cm/g、さらに好ましくは6,300〜12,000cm/g、特に好ましくは6,500〜11,000cm/gである。ブレーン比表面積が5,000cm/g以下であると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
【0025】
2.セメント組成物の組成(構成材料の割合)及び製造方法
(1)各材料の割合
本発明のセメント組成物において、SO換算による石膏の量と、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量の合計100質量%中の、SO換算による石膏の量の割合は、0.8〜3.0質量%、好ましくは0.9〜2.0質量%、より好ましくは1.0〜1.5質量%である。該割合が0.8質量%未満であると、セメント組成物の流動性が低下する。該割合が3.0質量%を超えると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
また、SO換算による石膏の量と、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量の合計100質量%中の、全SOの量の割合は、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは1.5〜3.0質量%、より好ましくは1.7〜2.6質量%、特に好ましくは1.8〜2.4質量%である。
【0026】
本発明のセメント組成物において、SO換算による石膏の量と、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量、フライアッシュの量、及び石灰石粉末の量の合計100質量%中、フライアッシュの量の割合は、7.5〜30質量%、好ましくは13〜27質量%、より好ましくは14〜25質量%である。該割合が7.5質量%未満であると、セメント組成物の流動性が低下し、セメント組成物を用いた硬化体の乾燥収縮が大きくなる。また、フライアッシュの有効活用を促進する観点から好ましくない。該割合が30質量%を超えると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
【0027】
本発明のセメント組成物において、SO換算による石膏の量と、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物の量、フライアッシュの量、及び石灰石粉末の量の合計100質量%中、石灰石粉末の量の割合は、2.5質量%を超え、10質量%以下、好ましくは3〜8質量%、より好ましくは4〜6質量%である。該割合が上記数値範囲外であると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
【0028】
本発明のセメント組成物は、上述したセメントクリンカーの粉砕物、石膏、フライアッシュ及び石灰石粉末の他に、必要に応じて、高炉スラグ粉末と珪石粉末の少なくとも1種を、セメントクリンカー100質量部に対して、5.5質量部以下の量で含んでいてもよい。
【0029】
(2)セメント組成物の製造方法
本発明のセメント組成物の製造方法としては、例えば、以下の(a)〜(b)の方法が挙げられる。
(a)普通ポルトランドセメントクリンカーと石膏を同時に粉砕し、次いで、フライアッシュと石灰石粉末(ブレーン比表面積が5,000cm/gを超えるもの)を添加して混合する方法
該方法において、普通ポルトランドセメントクリンカーと石膏の粉砕は、粉砕物のブレーン比表面積が、好ましくは3,000〜3,400cm/g、より好ましくは3,100〜3,350cm/gとなるまで行うことが好ましい。
(b)普通ポルトランドセメントクリンカーと石膏と石灰石を同時に粉砕し、次いで、フライアッシュを添加して混合する方法
該方法において、普通ポルトランドセメントクリンカーと石膏と石灰石の粉砕は、粉砕物のブレーン比表面積が、好ましくは3,000〜3,400cm/g、より好ましくは3,100〜3,350cm/gとなるまで行うことが好ましい。なお、該粉砕によって、粉砕物に含まれる石灰石粉末のブレーン比表面積は、5,000cm/gを超えるものとなる。
【0030】
本発明のセメント組成物は、水、及び、必要に応じて配合される他の材料(例えば、細骨材、粗骨材、減水剤等)と混合されることによって、ペースト、モルタル、又はコンクリートとして使用される。
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、又はポリカルボン酸系等の、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、又は高性能AE減水剤を使用することができる。
本発明のセメント組成物をモルタル又はコンクリートとして使用する場合には、骨材として、モルタルやコンクリートの製造に使用される通常の細骨材(例えば、川砂、陸砂、砕砂等)や粗骨材(例えば、川砂利、山砂利、砕石等)を使用することができる。また、骨材の一部または全部として、溶融スラグ(例えば、都市ゴミ、都市ゴミ焼却灰、及び下水汚泥焼却灰から選ばれる一種以上を溶融して製造されたもの)、高炉スラグ、製鋼スラグ、銅スラグ、碍子屑、ガラスカレット、陶磁器廃材、クリンカーアッシュ、廃レンガ、コンクリート廃材等の廃棄物を使用することもできる。
なお、必要に応じて、本発明の目的に支障のない範囲内で、空気連行剤、消泡剤等の混和剤を使用してもよい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[普通ポルトランドセメントクリンカーA〜Gの製造]
下水汚泥、石炭灰、発生土等と、石灰石等の一般的なポルトランドセメントクリンカーの原料を用いて、得られる普通ポルトランドセメントクリンカー(A〜G)の水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)、及び鉄率(I.M.)が、表1に示す値となるように、セメント組成物の原料を調製した。調製した原料を、小型ロータリーキルンを用いて、1,450℃で焼成して、塊状物である普通ポルトランドセメントクリンカーA〜Gを得た。
【0032】
【表1】
【0033】
普通ポルトランドセメントクリンカーA〜Gの製造で使用した材料以外の使用材料を以下に示す。
(1)排脱二水石膏:住友金属社製の排脱二水石膏を最大粒径が1.2mm以下となるように解砕したもの
(2)半水石膏:上記排脱二水石膏を140℃で加熱したもの
(3)石灰石粉末A:ブレーン比表面積8,500cm/g
(4)石灰石粉末B:ブレーン比表面積4,200cm/g
(5)細骨材:「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に定める標準砂
(6)減水剤:ポリカルボン酸系高性能AE減水剤、BASFジャパン製、商品名「マスターグレニウムSP8N」
(7)消泡剤:非イオン界面活性剤、日華化学社製、商品名「フォームレックス747」
(8)フライアッシュA〜E:表2に示すもの
(9)水:水道水
【0034】
【表2】
【0035】
[実施例1〜8、比較例1〜12]
排脱二水石膏と半水石膏を、排脱二水石膏と半水石膏の合計100質量%中の半水石膏の割合が50質量%(SO換算によるもの)となるように混合してなる石膏(以下、「混合石膏」ともいう。)を製造した。
表3に示す種類の普通ポルトランドセメントクリンカー(表3中、「クリンカー」と示す。)に、SO換算による混合石膏と、普通ポルトランドセメントクリンカーの合計100質量%中、SO換算による混合石膏の割合が、1.1〜1.3質量%となり、かつ、全SOの割合が2.0質量%となる量の混合石膏を添加した後、バッチ式ボールミキサを用いて粉砕して、ブレーン比表面積が3,200±100cm/gである普通ポルトランドセメントを製造した。
得られた普通ポルトランドセメントに、SO換算による混合石膏と、普通ポルトランドセメントクリンカーの粉砕物、フライアッシュ、及び石灰石粉末の合計100質量%中、表3に示す種類の材料(フライアッシュ、石灰石粉末)の各割合が、表3に示す値となる量の各材料を添加した後、混合して、セメント組成物1〜20を得た。なお、セメント組成物20は、市販されている普通ポルトランドセメントに相当するものである。
【0036】
【表3】
【0037】
得られたセメント組成物1〜20について、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
(1)モルタルフローの測定
水とセメント組成物の質量比(水/セメント組成物)が0.3、細骨材とセメント組成物の質量比(細骨材/セメント組成物)が1.4、消泡剤とセメント組成物の質量比(消泡剤/セメント組成物)が0.001、減水剤とセメント組成物の質量比(減水剤/セメント組成物)が0.0065となる量で、セメント組成物等のこれら材料を混合して、モルタルを調製した。これら材料の混練は、ホバートミキサーを用いて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠(ただし、混練時間は、ここに記載されている時間よりも2分間長いものとした。)して行った。なお、混練に際して、減水剤と消泡剤は水と同時にミキサーに投入した。
得られたモルタルについて、「JIS A 1171(ポリマーセメントモルタルの試験方法)」に記載されたスランプコーンを用いて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」のフロー試験に準拠して、混練直後のモルタルフロー値を、15回の落下運動を行わないで測定した。
(2)モルタル圧縮強さの測定
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して、材齢3日、7日、28日における、モルタル圧縮強さを測定した。
(3)乾燥収縮の測定
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して、モルタルを調製し、「JIS A 1129−3(モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法−第3部:ダイヤルゲージ法)」に準拠して、材齢182日におけるモルタルの乾燥収縮の値を測定した。
なお、乾燥収縮の値の絶対値が小さいほど、乾燥収縮の程度が小さいことを意味する。
結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
表4から、本発明のセメント組成物(実施例1〜8)を用いたモルタルは、モルタルフローおよびモルタル圧縮強さが大きく、かつ、乾燥収縮の値の絶対値が小さいものである。以下、詳しく説明する。
具体的には、フライアッシュの種類が異なる以外は、実施例1〜3と同じセメント組成物である比較例1(フライアッシュ中の上記式(1)から導き出される質量比が0.14であるもの)、比較例2(フライアッシュ中の上記式(1)から導き出される質量比が1.39であるもの)と、実施例1〜3を比較すると、以下のことがわかる。
比較例1のモルタル圧縮強さ(材齢3日:27.1N/mm、材齢7日:41.8N/mm、材齢28日:60.0N/mm)は、実施例1〜3のモルタル圧縮強さ(材齢3日:28.1〜28.9N/mm、材齢7日:43.6〜44.6N/mm、材齢28日:62.7〜63.7N/mm)よりも小さい。
比較例2の乾燥収縮の値の絶対値(850μm)は、実施例1〜3の乾燥収縮の値の絶対値(726〜763μm)よりも大きい。
【0040】
また、普通ポルトランドセメントクリンカーの種類が異なる以外は、実施例1、4〜6と同じセメント組成物である比較例3(普通ポルトランドセメントクリンカーのケイ酸率が2.47であるもの)、比較例4(普通ポルトランドセメントクリンカーのケイ酸率が1.61であるもの)、比較例5(普通ポルトランドセメントクリンカーのフリーライムの含有率が1.65質量%であるもの)と、実施例1、4〜6を比較すると、以下のことがわかる。
比較例3のモルタル圧縮強さ(材齢3日:26.2N/mm、材齢7日:42.0N/mm、材齢28日:59.5N/mm)は、実施例1、4〜6のモルタル圧縮強さ(材齢3日:27.9〜28.9N/mm、材齢7日:43.8〜44.6N/mm、材齢28日:62.2〜63.5N/mm)よりも小さい。
比較例4のモルタルフロー(236mm)及び材齢28日におけるモルタル圧縮強さ(60.0N/mm)は、実施例1、4〜6のモルタルフロー(258〜278mm)及び材齢28日におけるモルタル圧縮強さ(62.2〜63.5N/mm)よりも小さい。また、比較例4の乾燥収縮の値の絶対値(879μm)は、実施例1、4〜6の乾燥収縮の値の絶対値(726〜765μm)よりも大きい。
比較例5のモルタル圧縮強さ(材齢3日:26.6N/mm、材齢7日:42.1N/mm、材齢28日:60.3N/mm)は、実施例1、4〜6のモルタル圧縮強さ(材齢3日:27.9〜28.9N/mm、材齢7日:43.8〜44.6N/mm、材齢28日:62.2〜63.5N/mm)よりも小さい。
【0041】
また、フライアッシュの割合が異なる以外は、実施例1(フライアッシュ:22質量%)、実施例7(フライアッシュ:15質量%)と同じセメント組成物である比較例6(フライアッシュ:5質量%)、比較例7(フライアッシュ:35質量%)と、実施例1、7を比較すると、以下のことがわかる。
比較例6のモルタルフロー(256mm)は、実施例1、7のモルタルフロー(262〜278mm)よりも小さく、比較例6の乾燥収縮の値の絶対値(842μm)は、実施例1、7の乾燥収縮の値の絶対値(726〜772μm)よりも大きい。
比較例7のモルタル圧縮強さ(材齢3日:22.1N/mm、材齢7日:35.1N/mm、材齢28日:50.7N/mm)は、実施例1、7のモルタル圧縮強さ(材齢3日:28.9〜30.3N/mm、材齢7日:44.6〜45.6N/mm、材齢28日:63.5〜64.9N/mm)よりも小さい。
【0042】
また、石灰石粉末の割合が異なる以外は、実施例1(石灰石粉末:5質量%)、実施例8(石灰石粉末:7質量%)と同じセメント組成物である比較例8(石灰石粉末:1質量%)、比較例9(石灰石粉末:15質量%)と、実施例1、8を比較すると、以下のことがわかる。
比較例8〜9のモルタル圧縮強さ(材齢3日:20.8〜26.5N/mm、材齢7日:33.8〜39.6N/mm、材齢28日:47.7〜51.8N/mm)は、実施例1、8のモルタル圧縮強さ(材齢3日:28.5〜28.9N/mm、材齢7日:44.2〜44.6N/mm、材齢28日:63.5〜63.8N/mm)よりも小さい。
また、石灰石粉末のブレーン比表面積が異なる以外は、実施例1(石灰石粉末のブレーン比表面積:8,500cm/g)と同じセメント組成物である比較例10(石灰石粉末のブレーン比表面積:4,200cm/g)と、実施例1を比較すると、比較例10のモルタル圧縮強さ(材齢3日:26.6N/mm、材齢7日:41.6N/mm、材齢28日:60.0N/mm)は、実施例1のモルタル圧縮強さ(材齢3日:28.9N/mm、材齢7日:44.6N/mm、材齢28日:63.5N/mm)よりも小さいことがわかる。
【0043】
さらに、実施例1〜8と、比較例11(フライアッシュを使用しないもの)、比較例12(セメントクリンカー粉砕物のケイ酸率が、本発明で規定する数値範囲を外れており、かつ、フライアッシュを使用しないもの)を比較すると、以下のことがわかる。
実施例1〜8のモルタルフロー(258〜280mm)は、比較例11〜12のモルタルフロー(245〜252mm)よりも大きい。実施例1〜8のモルタル圧縮強さ(材齢3日:27.9〜30.3N/mm、材齢7日:43.6〜45.6N/mm、材齢28日:62.2〜64.9N/mm)は、比較例11〜12のモルタル圧縮強さ(材齢3日:27.2〜27.3N/mm、材齢7日:42.8〜43.0N/mm、材齢28日:58.9〜61.1N/mm)よりも大きい。実施例1〜8の乾燥収縮の値の絶対値(726〜772μm)は、比較例11〜12の乾燥収縮の値の絶対値(867〜957μm)よりも小さい。