(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2領域は、前記第1領域の各辺について、前記第1領域の一辺を移動させて前記第1領域よりも拡大させた4つの拡大領域と、前記第1領域の各辺について、前記第1領域の一辺を移動させて前記第1領域よりも縮小させた4つの縮小領域とを含む
請求項3に記載の移動物体検出装置。
前記範囲特定情報は、前記第1領域の基準位置から前記第3領域の基準位置までのベクトルと、前記第3領域の基準位置から前記第3領域の前記基準の位置に対して対角となる位置までのベクトルとを含む
請求項9に記載の移動物体検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施例の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
<第1実施例>
図1は、第1実施例に係る移動物体検出装置の全体構成図である。
【0014】
移動物体検出装置10は、例えば、PC(Personal Computer)で構成され、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、外部機器I/F14と、表示装置15と、入力装置16と、各部を通信可能に接続するバス17とを備える。
【0015】
外部機器I/F14は、ケーブル等を介して、外部の機器(例えば、監視カメラ20)と通信するためのインターフェースである。監視カメラ20は、監視対象箇所を観察するように設置されており、監視対象箇所の動画像データを移動物体検出装置10に出力する。
【0016】
CPU11は、補助記憶装置13からメモリ12に呼び出されたプログラムを実行し、補助記憶装置13に格納されているデータを用いて、各種処理を実行する。メモリ12は、例えば、RAM(RANDOM ACCESS MEMORY)であり、CPU11で実行されるプログラムや、必要な情報を記憶する。補助記憶装置13は、例えばバードディスク、フラッシュメモリなどであり、CPU11で実行されるプログラムや、CPU11に利用されるデータを記憶する。表示装置15は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種情報を表示する。入力装置16は、例えば、マウス、キーボード等であり、各種入力を受け付ける。
【0017】
図2は、第1実施例に係る移動物体検出装置の機能構成図である。
【0018】
移動物体検出装置10は、動画像入力部の一例としての画像入力部101と、背景差分処理部102と、キーポイント処理部103と、第1領域推定部の一例としての初期領域推定部104と、第2領域決定部の一例としての候補領域決定部105と、物体分類部106と、存在領域決定部107と、存在領域表示部108とを備える。画像入力部101、背景差分処理部102、キーポイント処理部103、初期領域推定部104、候補領域決定部105、物体分類部106、存在領域決定部107、及び存在領域表示部108は、CPU11がメモリ12に読み出されたプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
画像入力部101は、監視カメラ20により撮影された動画像(動画像のそれぞれのフレームの画像(フレーム画像))を入力する。
【0020】
背景差分処理部102は、入力されたフレーム画像における背景差分を取得する処理(背景差分処理)を実行する。背景差分処理においては、監視カメラ20により撮影される監視箇所における、移動物体が含まれていない背景画像が必要となる。この背景画像は、例えば、監視カメラ20により予め撮影され、補助記憶装置13に記憶されている。背景画像は、フレーム画像における移動物体の検出において重要でない部分を決定する。
【0021】
背景差分処理部102は、同一の監視カメラ20により撮影された、新たなフレーム画像と、背景画像とに対して、画素単位の比較を実行する。具体的には、背景差分処理部102は、フレーム画像の各画素のカラー情報と、背景画像の同一の画素のカラー情報とを比較する。画像差分処理部102は、それらの画素の色の違いが所定のしきい値を超える場合には、異なる、すなわち、移動物体を表している画素としてマークする。また、画像差分処理部102は、それらの画素が同じカラー情報の場合には、その画素が背景であるとしてマークする。この結果、フレーム画像における、異なるとしてマークされた画素群は、移動物体を示しており、この画素群中には、キーポイント(特徴点)が存在する。
【0022】
キーポイント処理部103は、2つの異なるフレーム画像(例えば、時間的に連続する2つのフレーム画像)のそれぞれのキーポイント(特徴点)を抽出し、それぞれのフレーム画像間のキーポイントのマッチングを行い、フレーム画像間のマッチするキーポイントの移動ベクトルを特定し、移動ベクトルに基づいて同一の移動物体を示すキーポイントをグループ化(クラスタリング)するキーポイント処理を実行する。
【0023】
図3は、第1実施例に係るキーポイント処理部によるキーポイント処理を説明する図である。
【0024】
キーポイント処理では、キーポイント処理部103は、背景差分処理が行われたフレーム画像について、エッジ検出を行い、エッジにおける勾配を算出する。大きい勾配は、よいキーポイントを示す指標となる。キーポイント処理部103は、勾配に基づいて、キーポイントを抽出する。キーポイント処理部103は、キーポイントを決定した後に、エッジパターンを利用してキーポイントの特徴ベクトルを算出する。
【0025】
キーポイント処理部103は、2つの異なるフレーム画像から抽出されたすべてのキーポイントについての特徴ベクトルを算出した後に、それぞれについてのユークリッド距離を算出する。キーポイント処理部103は、一方のフレーム画像におけるそれぞれのキーポイントについて、それに対応する特徴ベクトルが、他方のフレーム画像における最も近い特徴ベクトルに対応するキーポイントを最もマッチするキーポイントとみなす。
図3(a)、(b)には、一方のフレーム画像f1におけるキーポイント31と、そのキーポイント31に対応する他方のフレーム画像f2におけるキーポイント32とを示している。なお、この段階では、不正確なマッチが発生する。しかしながら、不正確なマッチは、以降の段階で検出されるので問題はない。
【0026】
キーポイント処理部103は、キーポイントのクラスタリングを行う際には、マッチしたキーポイント間の動きベクトルを算出する。キーポイント処理部103は、2つの連続するフレーム画像からのマッチするキーポイントを取得し、2つのフレーム画像における画素単位の位置を解析する。キーポイント処理部103は、フレーム画像の枠におけるユークリッド距離を計算することにより、動きベクトルを割り当てる。
図3(c)には、このようにして求められた動きベクトル33を示している。
【0027】
次に、キーポイント処理部103は、同じ移動物体に属するキーポイントを同一のクラスタ(グループ)にするためのクラスタリングを行う。キーポイント処理部103は、動きベクトルが同じ方向を示す、近接するキーポイントについては、同じ移動物体に属するとして同一のクラスタとする。また、キーポイント処理部103は、
図3(d)のキーポイント35のように、動きベクトルが同じ方向であるが、大多数のキーポイントから離れているキーポイントは、異なる移動物体に属する、すなわち、同一のクラスタではないとみなしている。また、キーポイント処理部103は、
図3(d)のキーポイント34に示すように、大多数のキーポイントが属するクラスタの領域内又はクラスタの領域に近接するキーポイントは、同一の移動物体に属するとみなしている。このようなキーポイントは、前の段階での、マッチするキーポイントの検出が間違っていたものであると考えられる。
【0028】
初期領域推定部104は、キーポイント処理部103により同一のクラスタとされたキーポイント群に対して、
図3(d)に示すように、クラスタに対応する対象の移動物体をカバーする画像領域(初期領域IR:第1領域)を推定する。ここで、初期領域IRは、同一のクラスタのキーポイント群が含まれる最小の矩形領域としてもよく、移動物体がこの領域にカバーされるように、これよりもわずかに大きい矩形領域としてもよい。
【0029】
候補領域決定部105は、初期領域IRに基づいて、移動物体が存在する可能性のある複数の候補領域TR(第2領域)を決定する。
【0030】
図4は、第1実施例に係る候補領域を説明する図である。なお、初期領域IRと、候補領域(TR1〜TR8)とのいずれか3辺については、全く同じ位置で重なっているが、
図4においては、各領域を把握容易にするために、便宜的にわずかにずらした状態で示している。
【0031】
本実施例では、候補領域決定部105は、
図4に示すように、初期領域IRの右辺RSだけを右辺RSに垂直な幅(左右方向の幅)が所定の割合(例えば、10%)だけ拡大するように移動(右方向移動)させた候補領域TR1と、初期領域IRの右辺RSだけを幅が所定の割合(例えば、10%)だけ縮小するように移動(左方向移動)させた候補領域TR2と、初期領域IRの左辺LSだけを幅が所定の割合(例えば、10%)だけ拡大するように移動(左方向移動)させた候補領域TR3と、初期領域IRの左辺LSだけを幅が所定の割合(例えば、10%)だけ縮小するように移動(右方向移動)させた候補領域TR4と、初期領域IRの上辺USだけを幅(上下方向の幅)が所定の割合(例えば、10%)だけ拡大するように移動(上方向移動)させた候補領域TR5と、初期領域IRの上辺USだけを幅が所定の割合(例えば、10%)だけ縮小するように移動(下方向移動)させた候補領域TR6と、初期領域IRの下辺DSだけを幅(上下方向の幅)が所定の割合(例えば、10%)だけ拡大するように移動(下方向移動)させた候補領域TR7と、初期領域IRの下辺DSだけを幅が所定の割合(例えば、10%)だけ縮小するように移動(上方向移動)させた候補領域TR8と、を候補領域として決定している。このように、候補領域を決定することにより、対象の移動物体の大きさに適合する領域の候補を適切に検出することができるようになる。特に、初期領域IRの各辺について移動させた候補領域を用意することにより、移動物体がいずれの方向にずれていた場合であっても適切に移動物体が存在する領域を得ることができる。
【0032】
物体分類部106は、初期領域IRと、候補領域TR1〜TR8との9つのそれぞれの領域について、対象の移動物体であるか否かについて評価する。対象の移動物体としては、物体の全体であってもよく、物体の一部分であってもよく、例えば、人間としてもよいし、人間の部分である顔としてもよい。本実施形態では、フレーム画像よりも小さい、これらの少数の領域のみに対して対象の移動物体が存在するか否かについて評価するので、処理量を低減することができ、処理時間を低減することができる。
【0033】
物体分類部106は、対象の移動物体であるか否かについて評価として、領域が所定の移動物体である確からしさを示す確度を決定する。物体分類部106としては、例えば、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)により、領域の画像を用いて、領域が対象の移動物体である確からしさを示す確度を出力する構成としてもよい。なお、CNNは、対象とする移動物体である確度を適切に決定できるように、予め学習させておく必要がある。物体分類部106の構成として、CNNを用いることにより、非常に高い正確性と、監視システムに必要なリアルタイム性(短時間での処理の実行)とを実現することができる。
【0034】
物体分類部106により決定された確度は、対象の移動物体の大きさに、より高精度に適合している領域を決定するために利用することができる。すなわち、決定された確度が高い領域ほど、対象の移動物体の大きさに高精度に適合している領域であるといえる。
【0035】
存在領域決定部107は、物体分類部106により決定された、各領域についての確度に基づいて、最も高い確度に決定された領域を特定し、この領域を移動物体が存在する領域(存在領域)に決定し、フレーム画像における存在領域の位置を存在領域表示部108に通知する。なお、決定した存在領域の画像を用いて更なる処理(例えば、移動物体についてのより詳細な認識処理等)に利用するようにしてもよい。この存在領域は、移動物体の大きさに、より高精度に適合しているので、移動物体に対する更なる処理における処理精度を向上することができる。
【0036】
存在領域表示部108は、存在領域決定部107から通知された存在領域の位置に基づいて、表示装置15にフレーム画像を表示させるとともに、フレーム画像中において、通知された存在領域に対応する範囲を識別可能に表示させる。これにより、表示装置15のフレーム画像中の移動物体の存在領域を適切に表示させることができ、ユーザは移動物体を適切に把握することができる。
【0037】
次に、第1実施例に係る移動物体検出装置の処理動作について説明する。
【0038】
図5は、第1実施例に係る移動物体検出処理のフローチャートである。
【0039】
まず、画像入力部101は、監視カメラ20により撮影された動画像のそれぞれのフレーム画像を入力する(ステップS10)。
【0040】
次いで、背景差分処理部102は、入力されたフレーム画像における背景差分を取得する処理を実行する(ステップS11)。
【0041】
次いで、キーポイント処理部103は、2つの異なるフレーム画像のそれぞれのキーポイントを抽出し(ステップS12)、それぞれのフレーム画像間のキーポイントのマッチングを行い(ステップS13)、フレーム画像間のマッチするキーポイントの移動ベクトルを特定し、移動ベクトルに基づいて同一の移動物体を示すキーポイントをクラスタリングする(ステップS14)。
【0042】
次いで、初期領域推定部104は、キーポイント処理部103により同一のクラスタとされたキーポイント群に対して、クラスタに対応する移動物体をカバーする画像の初期領域IRを推定する(ステップS15)。
【0043】
次いで、候補領域決定部105は、初期領域IRに基づいて、移動物体が存在する可能性のある複数の候補領域TRを決定する(ステップS16)。
【0044】
次いで、物体分類部106は、初期領域IRと、候補領域TRとのそれぞれの領域について、対象の移動物体が存在するか否かについて評価する(ステップS17)。
【0045】
次いで、存在領域決定部107は、物体分類部106により決定された、各領域についての確度に基づいて、最も高い確度に決定された領域を特定し、当該領域を移動物体が存在する存在領域に決定し、フレーム画像における存在領域の位置を存在領域表示部108に通知する(ステップS18)。
【0046】
次いで、存在領域表示部108は、存在領域決定部107から通知された存在領域の位置に基づいて、表示装置15にフレーム画像を表示させるとともに、フレーム画像における通知された存在領域に対応する範囲を識別可能に表示させる(ステップS19)。なお、ステップS19が終了した後には、移動物体検出装置10は、ステップS10からの処理と同様な処理を、処理に使用した2つのフレーム画像のうちの新しいフレーム画像と、その後続のフレーム画像とを対象に実行する。
【0047】
上記実施例によると、初期領域IRと、他の候補領域との中から移動物体に最も適合する領域を容易かつ適切に検出することができる。
【0048】
<第2実施例>
次に、第2実施例に係る移動物体検出装置について説明する。なお、
図2に示す各構成を用いて第2実施例について説明する。
【0049】
第2実施例は、直前のフレーム画像に対する処理時における移動物体の初期領域IRに対する存在領域の範囲を利用して、次のフレーム画像における移動物体の存在領域を検出するようにすることにより、処理の負荷を低減するようにしたものである。これは、初期領域IRに対する存在領域の範囲は、同一の移動物体であれば、フレーム画像が異なっても同様な対応関係が維持されている可能性が比較的高いことに着目したものである。
【0050】
第2実施例における存在領域決定部107(範囲特定情報登録部の一例)は、初期領域に対する存在領域の範囲を特定可能な情報(範囲特定情報)を、メモリ12(記憶部の一例)に格納する。
【0051】
図6は、第2実施例に係る範囲特定情報の一例を示す図である。
【0052】
範囲特定情報は、
図6に示すように、例えば、初期領域IRの基準位置(例えば、左上の点)から存在領域ORの基準位置(例えば、左上の点)までのベクトルVと、存在領域ORの基準点から存在領域ORの対向する点(右下の点)までのベクトルWとを含む情報であってもよい。この範囲特定情報によると、初期領域IRの基準位置を基準として、存在領域ORの範囲を適切に表すことができる。
【0053】
また、存在領域決定部107(第3領域特定部の一例)は、メモリ12に直前の処理における範囲特定情報があるか否かを判定し、範囲特定情報がある場合には、現在の初期領域を基準に範囲特定情報に対応する領域を存在領域候補(第3領域の一例)に決定し、物体分類部106に通知する。また、存在領域決定部107は、物体分類部106から通知された確度が所定の閾値以上であるか否かを判定し、確度が所定の閾値以上である場合には、存在領域候補が存在候補として適切であることを意味しているので、存在領域候補を存在領域に決定する一方、確度が所定の閾値より小さい場合には、存在領域候補は存在候補には適さないので、第1実施例と同様の処理、すなわち、初期範囲IRと、複数の候補領域の中から存在領域を決定するための処理を行わせるようにする。
【0054】
物体分類部106は、存在領域決定部107から通知された存在領域候補に対して、対象の移動物体である確度を特定し、特定した確度を存在領域決定部107に通知する。
【0055】
次に、第2実施例に係る移動物体検出装置の処理動作について説明する。
【0056】
図7は、第2実施例に係る移動物体検出処理のフローチャートである。なお、
図5に示す移動物体検出処理と同様なステップには、同一の符号を付している。
【0057】
ステップS10〜ステップS15の処理が終了した後に、存在領域決定部107は、メモリ12に直前の処理における範囲特定情報があるか否かを判定する(ステップS21)。この結果、直前の処理における範囲特定情報がない場合(ステップS21:NO)には、存在領域決定部107は、ステップS16〜S18の処理を実行させるようにする。
【0058】
一方、直前の処理における範囲特定情報がある場合(ステップS21:YES)には、現在の初期領域(直前のステップS15で推定された初期領域)を基準に範囲特定情報に対応する領域を存在領域候補に決定し、存在領域候補を物体分類部106に通知する(ステップS22)。
【0059】
次いで、物体分類部106は、通知された存在領域候補に対して、対象の移動物体である確度を特定し、存在領域決定部107に通知する(ステップS23)。
【0060】
次いで、存在領域決定部107は、物体分類部106から通知された確度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS24)。この結果、確度が所定の閾値より小さい場合(ステップS24:NO)には、存在領域決定部107は、存在領域候補は存在領域には適していないので、ステップS16〜S18の処理を実行させるようにする。
【0061】
一方、確度が所定の閾値以上である場合(ステップS24:YES)には、存在領域候補が存在領域として適していることを意味しているので、存在領域決定部107は、存在領域候補を存在領域に決定し、処理をステップS26に進める(ステップS25)。
【0062】
次いで、存在領域を決定した後(ステップS18、又はステップS25を実行した後)には、存在領域決定部107は、初期領域に対する存在領域の範囲を示す範囲特定情報を、メモリ12に格納し(ステップS26)、処理をステップS19に進める。
【0063】
上記第2実施例によると、直前の処理における範囲特定情報を用いて、存在領域候補を決定し、その存在領域候補の画像が対象の移動物体である確からしさを示す確度が所定の閾値以上である場合には、存在領域候補を存在領域と決定するので、複数の候補領域を決定し、各候補領域の評価を行う処理を行わずに済み、処理負荷を低減できるとともに、処理時間を短縮することができる。
【0064】
<第3実施例>
次に、第3実施例に係る移動物体検出システムについて説明する。
【0065】
第3実施例に係る移動物体検出システムは、移動物体検出装置10による処理を、ネットワークを介して接続されたクライアント装置200と、サーバ装置300とで実現するようにしたシステムである。
【0066】
移動物体検出システムは、クライアント装置200と、サーバ装置300とを備える。クライアント装置200と、サーバ装置300とは、ネットワーク400を介して接続されている。ネットワーク400は、インターネットであっても、イントラネットであってもよい。サーバ装置300は、クライアント装置200のそばに配置しなくてもよく、例えば、遠隔地(例えば、外国)に配置することができる。
【0067】
クライアント装置200は、CPU201と、メモリ202と、補助記憶装置203と、外部機器I/F204と、通信I/F205と、表示装置206と、入力装置207と、各部を通信可能に接続するバス208とを備える。
図1に示す移動物体検出装置10と同一の名称の構成は、同様な構成となっている。通信I/F205は、ネットワーク400を介してサーバ装置300と通信するためのインターフェースである。
【0068】
クライアント装置200は、
図2に示す画像入力部101を備えるとともに、画像入力部101で入力したフレーム画像を、ネットワーク400を介してサーバ装置300に送信する送信部をさらに有している。
【0069】
サーバ装置300は、CPU301と、メモリ302と、補助記憶装置303と、通信I/F304と、表示装置305と、入力装置306と、各部を通信可能に接続するバス307とを備える。
図1に示す移動物体検出装置10と同一の名称の構成は、同様な構成となっている。通信I/F304は、ネットワーク400を介してクライアント装置200と通信するためのインターフェースである。
【0070】
サーバ装置300は、
図2に示す、背景差分処理部102と、キーポイント処理部103と、初期領域推定部104と、候補領域決定部105と、物体分類部106と、存在領域決定部107とを備える。本実施例では、背景差分処理部102は、ネットワーク400を介してクライアント装置200から送信されるフレーム画像を受信する機能をさらに有している。
【0071】
なお、存在領域表示部108については、クライアント装置200と、サーバ装置300のいずれか一方に設けるようにしてもよく、クライアント装置200側に設ける場合には、サーバ装置300は、ネットワーク400を介して存在領域の位置を通知する送信部を有するようにし、クライアント装置200の存在領域表示部108は、通知に基づいて、フレーム画像中に存在領域を識別可能に表示するようにすればよい。
【0072】
第3実施例に係る移動物体検出システムによると、クライアント装置200における処理の負荷を軽減することができる。
【0073】
<第4実施例>
次に、第4実施例に係る移動物体検出システムについて説明する。
【0074】
第4実施例に係る移動物体検出システムは、ハードウエアの構成は、
図8に示す移動物体検出システムと同様である。
【0075】
第4実施例に係る移動物体検出システムは、クライアント装置200からサーバ装置300に対してフレーム画像の全体ではなく、フレーム画像の一部を送信することにより、送信する画像データのサイズを低減するようにしたものである。
【0076】
クライアント装置200は、
図2に示す画像入力部101と、背景差分処理部102と、キーポイント処理部103と、初期領域推定部104とを備える。初期領域推定部104は、推定された初期領域を含む、フレーム画像の一部の領域を送信する機能をさらに有する。初期領域推定部104は、初期領域と、サーバ装置300の存在領域決定部107により存在領域として使用される領域とを含む、フレーム画像の一部分の領域(部分画像)をサーバ装置300に送信する。
【0077】
サーバ装置300は、
図2に示す候補領域決定部105と、物体分類部106と、存在領域決定部107とを備える。候補領域決定部105は、ネットワーク400を介してクライアント装置200から送信される部分画像を用いて、候補領域を決定する。なお、存在領域表示部108については、クライアント装置200と、サーバ装置300のいずれに設けるようにしてもよい。
【0078】
次に、第4実施例に係る移動物体検出システムの処理動作について説明する。
【0079】
図9は、第4実施例に係る移動物体検出処理の一部のシーケンス図である。
【0080】
まず、監視カメラ20は、フレーム画像f1を取得し(ステップS100)、取得したフレーム画像f1をクライアント装置200に送信する(ステップS101)。次いで、監視カメラ20は、次のフレーム画像f2を取得し(ステップS102)、取得したフレーム画像f2をクライアント装置200に送信する(ステップS103)。以降、監視カメラ20は、逐次フレーム画像を取得し、取得したフレーム画像をクライアント装置200に送信する。
【0081】
一方、クライアント装置200のキーポイント処理部103は、監視カメラ20から送信されたフレーム画像f1を取得すると、フレーム画像f1からキーポイントkp1を特定する(ステップS201)。次いで、クライアント装置200のキーポイント処理部103は、監視カメラ20から送信されたフレーム画像f2を取得すると、フレーム画像f2からキーポイントkp2を特定する(ステップS202)。
【0082】
次いで、キーポイント処理部103は、フレーム画像f1のキーポイントkp1と、フレーム画像f2のキーポイントkp2との間のマッチングを行い(ステップS203)、マッチしたキーポイント間の動きベクトルを特定し(ステップS204)、動きベクトルに基づいて、キーポイントをクラスタリングする(ステップS205)。
【0083】
次いで、初期領域決定部104は、キーポイント処理部103により同一のクラスタとされたキーポイント群に対して、クラスタに対応する移動物体をカバーする画像の初期領域IRを推定し(ステップS206)、推定した初期領域IRと、サーバ装置300で候補領域とされる可能性のある領域とを含む部分画像をサーバ装置300に送信する(ステップS207)。
【0084】
これに対して、サーバ装置300では、クライアント装置200から送信される部分画像を用いて、
図5のステップS16以降の処理と同様な処理を実行する。
【0085】
第4実施例に係る移動物体検出システムでは、クライアント装置200からサーバ装置300に対してフレーム画像の全体ではなく、フレーム画像の一部を送信するようにしたので、例えば、クライアント装置200とサーバ装置300との間のネットワークが、長距離無線通信等の帯域幅が狭い場合であっても支障なく、移動物体検出処理を行うことができる。
【0086】
<第5実施例>
次に、第5実施例に係る移動物体検出装置について説明する。
【0087】
第5実施例に係る移動物体検出装置10は、候補領域決定部105による処理を変更したものである、候補領域決定部105は、キーポイントの動きベクトルの大きさをキーポイント処理部103から受け取り、動きベクトルの大きさに基づいて、
図4に示すような候補領域を決定する際の初期領域IRの幅に対して変動する幅の割合を変更する。例えば、動きベクトルの大きさが大きいほど、変動する幅の割合を大きくするようにしてもよい。変動する幅の基準とする動きベクトルの大きさとしては、初期領域内のすべてのキーポイントの動きベクトルの大きさの平均としてもよく、初期領域のキーポイントの動きベクトルのうちで最も大きい動きベクトルの大きさとしてもよい。
【0088】
第5実施例によると、移動物体の動きに応じて、候補範囲の大きさを適切に調整することができ、候補範囲内に移動物体が存在する可能性を高くすることができる。
【0089】
なお、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0090】
例えば、上記実施例では、監視カメラにより撮影された動画像を逐次入力して処理対象としていたが、本発明はこれに限られず、例えば、予めカメラにより撮影され、補助記憶装置13に記憶されている動画像を処理対象としてもよく、外部の装置から送信される動画像を処理対象としてもよい。
【0091】
また、上記実施例におけるキーポイントの検出方法や抽出方法としては、上記方法に限られず、SIFT(Scale−Invariant Feature Transform)、SURF(Speed Up Robust Features)、HOG(Histograms of Oriented Gradients)、BRISK(Binary Robust Invariant Scalable Keypoints)を用いるようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施例では、初期領域や候補領域の画像が対象の移動物体である確度を、CNNを用いて決定するようにしていたが、本発明はこれに限られず、CNN以外の方法、例えば、画像マッチングを行うことにより、画像が対象の移動物体である確度を決定するようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施例では、移動物体検出処理においては、連続する2つのフレーム画像を対象として処理を行うようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、所定のフレームだけ離れた2つのフレーム画像を対象として処理を行うようにしてもよい。このようにすると、処理量を低減しつつ、比較的高精度に対象の移動物体の存在領域を特定することができる。
【0094】
また、上記実施例では、初期領域と、それに対する候補領域との中から最も確度の高い領域を存在領域に決定するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、最も確度の高い領域の確度が所定値以下である場合には、この領域を新たな初期領域として、同様な処理を行うようにして、得られる確度が所定値以上となるまで同様な処理を繰り返し実行するようにしてもよい。このようにすると、より確度の高い領域を存在領域とすることができる。
【0095】
また、上記実施例では、移動物体検出装置、移動物体検出システムの各機能部を、プロセッサがプログラムを実行することにより構成される例を示していたが、本発明はこれに限られず、各機能部の一部又は全部を、例えば集積回路等のハードウエアによって構成するようにしてもよい。また、上記実施例において、機能部を構成するプログラムは、プログラムコードを記録した記録媒体により提供されてもよい。この場合には、記録媒体のプログラムをコンピュータのプロセッサが読み出して実行することにより、機能部を実現することができる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM,ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いてよい。また、機能部を構成するプログラムを、ネットワークを介して配信することによって、コンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶部又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが記憶部や記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。