【実施例】
【0037】
生物材料
構築物は、根こぶ(gall)線虫であるメロイドギネ・ジャワニカ(Meloidogyne javanica)にそれぞれ耐性であり、影響を受けやすい大豆遺伝子型の親PI595099及びBRS133を用いて生じさせた。この高配から、F4世代において、感受性集団の個体256−S、259−S及び266−S、並びに耐性集団である個体JF7002、JF7027及びJF7056を選択し、本試験に用いた。
【0038】
また、線虫に感受性である品種ピンタド(Pintado)は、異なる試料から構築され、遺伝子Gmhsp17.6−L(GenBank受入番号:M11317)のプロモーター領域における異なるAT
(n)を含む発現カセットを用いて大豆胚の形質転換工程において、粒子衝突を介して用いられた。
【0039】
実施例1:プロモーター及び完全遺伝子の単離及び特徴付け
マイクロサテライトマーカーSOYHSP176プライマーを用いて感受性材料の増幅断片の初期配列決定から得た遺伝子Gmhsp17.6−Lの完全配列を用いて、初期に、感受性遺伝子型だけがマイクロサテライトマーカーSOYHSP176を増幅したことを考慮して、分析中の全ての遺伝子型におけるバンドを得るために、新規なプライマーセットを設計した(
図1)。
【0040】
プライマー(pSoyHsp
AleI F 5’CAC CGC GGT G GAA TTC TGA AAT TGG GTC TTT TTG3’;pSoyHsp
NcoI R 5’CCA TGG AAT GGG GAC ACT CGA GGT ATT3’)は、遺伝子Gmhsp17.6−Lのプロモーター領域の開始において合成され、後のクローニング用に制限部位を付した。
図2は、GenBankで利用可能である遺伝子Gmhsp17.6−Lの配列におけるプライマーアニーリング部位を示す。
【0041】
より新しいプライマーセット(pSoyHSP
PstI
F 5’GGG CTG CAG GAA TTC TGA AAT TGG GTC TTT TTG3’;SoyHSPCL
R 5’CCC CCC GGG TTA ACC AGA GAT TTC TAT AGC CT3’)を設計し、これは、コード領域のプロモーターの開始から終止コドンまでの全遺伝子を増幅し、根こぶ線虫であるM.javanicaに感受性である遺伝子型と耐性である遺伝子型との間のプロモーター良識のAT
(n)挿入物以外に、遺伝子配列における他の相違の存在を確認するためであった。
図3は、完全な遺伝子を増幅し、配列決定するために設計された、GenBankで利用可能である、遺伝子Gmhsp17.6−Lの配列におけるプライマーアニーリング部位を示す。
【0042】
種子由来のゲノムDNAを全ての分析された試料から抽出した。各々の分析した試料からの約50mgの種子は、カミソリの刃で薄片にスライスし、1.5mLマイクロチューブに回収し、300μLの抽出緩衝液を添加した。材料を粉砕し、さらに700μLの抽出緩衝液を添加した。以下の表に示されたプロトコールに従って抽出緩衝液を調製した:
表1:ゲノムDNA抽出緩衝液の調製に使用された試薬:
【0043】
【表1】
【0044】
30秒〜1分間、ボルテックスを用いて溶液をホモジナイズし、4分間、16,000×gで室温にて遠心分離した。懸濁液を新しい1.5mLチューブに移し、前回と同じ条件で新たに遠心分離工程に提供し、新しい1.5mLチューブに移した。
【0045】
タンパク質を排除するために、0.1mgのプロテイナーゼKと0.01mMのCaCl
2を試料に添加し、水浴中で37℃にて90分間インキュベートした。900μLの冷イソプロパノールを添加し、2分間インキュベーション後、7分間、16,000×gで遠心分離を行った。上清を捨て、ペレットを90分間乾燥させた。40μg/μLのRNase Aを含む300μLのTE緩衝液(Tris−HCl 1M、pH8.0、EDTA 0.5M、pH8.0)にペレットを再懸濁させ、RNAを排除するために、もう一度、水浴中で37℃にて90分間、試料をインキュベートした。次に、新たに沈殿工程を行い、最終的に、DNAペレットを300μLのTE緩衝液に再懸濁させ、分光偏光計を用いて定量し、その質及び完全性を0.8%アガロースゲルにおいて確認した。
【0046】
全ての耐性試料及び感受性試料から、プロモーター領域と完全遺伝子配列を増幅するために、PCR反応をPerkin Elmer 9600サーモサイクラーを用いて行い、30ngの鋳型DNA、10×反応緩衝液(100mMのTris−HCl pH8.3、500mMのKCl、及び400μLの超純水)、1.5mMのMgCl2、1.3mMのdNTP、1UのTaq DNAポリメラーゼ、及び5μMの各FとRプライマーから構成され、超純水を用いて最終体積を10μLにして完了した。
【0047】
DNA試料を増幅するために使用した熱サイクルプログラムは、以下のように構成される:94℃で7分間の初期変性段階、続く、94℃で1分間の変性、60℃で1分間のアニーリング、及び72℃で2分間の伸長の30サイクル。72℃で7分間のサイクルを最終に行った。増幅生成物を1%アガロースゲルで分離し、1×TBE緩衝液(108g Tris塩基、55gボロン酸、40mLのEDTA 0.5M pH8.0、及び蒸留水、最終体積を1Lとして完了する)を用いて調製され、エチジウムブロマイド(10mg/mL)で染色した。Kodak Digital DC290システムを用いてイメージを得た。
【0048】
増幅した断片(
図4及び5)は、PureLink(商標)Quick Gel Extraction(Invitrogen)キットを用いて、製造業者の使用説明書に従って抽出された。DNAを精製後、−20℃にて保存した。次に、DNAを定量し、断片とプラスミドベクターとの間の連結反応をTOPO(登録商標)TAクローニングキット(Invitrogen)を用いて行った。連結反応は以下の構成であった:2μL超純水;1μL塩溶液(7μLの塩溶液の希釈:21μLの超純水);1μLのTOPO(登録商標)ベクター及び2μL(約10ng)の精製バンド。試料を室温にて5分間インキュベートした。
【0049】
得られたベクターは、エレクトロポレーションを通じて、大腸菌(DH10B菌株)細胞形質転換のために使用された。エレクトロコンピテント細胞を調製し、グリセロールストックからプレートストリーキングを通じて単離されたコロニーを得た。次に、5個の単一コロニーは、一晩、10mLのLB培地−Luria Bertani(1Lの蒸留水に対して、トリプトファン、酵母エキス及びNaOHの20g混合物)中で37℃にて200rpmで培養された(プレ接種)5mLのプレ接種は、OD500が0.5〜0.7に到達するまで、37℃にて300rpm回転した500mLのLB培地に添加された。この期間後、氷上で20分間、細胞をインキュベートし、無菌状態で、氷で予め冷やした250mL遠沈管に移した。4,278×gで15分間、4℃での遠心分離工程を行い、上清を捨て、ペレットを冷却した10%グリセロールの500mL中に再懸濁させた。同じ条件下で新たに遠心分離を行い、上清を捨て、ペレットを冷却した10%グリセロールの250mLに再懸濁させた。もう一度、遠心分離工程を行い、ペレットを冷却した10%グリセロールの20mLに再懸濁させた。溶液を50mLの滅菌チューブに移し、3997×gで15分間、4℃にて遠心分離を行った。最終行程として、ペレットを冷却した10%グリセロールの1mL〜2mLに再懸濁させた。エレクトロコンピテント細胞を500μLのマイクロチューブに分注し、−80℃の冷凍庫で保存した。
【0050】
2.5kV、25μFに設定したMicroPulser(BioRad)エレクトロポレーター、及び200又は400オームに設定したパルスコントローラーでエレクトロポレーションを行った。2μLの連結反応物及び100μLのエレクトロコンピテント細胞を用いた。細胞救出は、15mLの滅菌Falconチューブにおいて、1mLのSOC培地 (0.5g酵母エキス、2gトリプトファン、10mMのNaCl、2.5mMのKCl、10mMのMgCl
2、10mMのMgSO
4、20mMグルコース、及び96mMの蒸留水)中の細菌懸濁液を培養し、37℃にて1時間200rpmでインキュベートすることによって得られた。この期間後、300μLのエレクトロポレーションした細胞は、アンピシリン(100μg/30mL)を補足し、IPTG/X−Gal(50μlのIPTG−イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド0.1M、及び10μLのX−Gal− −ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(50mg/mL)/プレート)を含む固体LB培地に播種した。プレートを37℃にて、一晩、コロニー増殖のためにインキュベートした。組換えコロニーの選択はlacZシステムを用いて行い、組換えコロニーは、白いコロニーを示し、非組換えコロニーは青いコロニーを示す。これは、lacZ遺伝子産物と基質(X−Gal)との反応の得られる生産物に起因している。
【0051】
次に、断片のクローニング及びサイズを確認するために、プラスミドDNA抽出物は、1mLのCG培地−サイクルグロー(100mLの水に対して4gの市販混合物)及び100μL/mLのアンピシリン(50mLのCG培地に対して50μLのアンピシリン(100mg/mL))を含む、96ウェルマイクロプレート中に単一の白色コロニーの接種によって実施された。プレートを密封し、37℃にて320rpmで22時間、材料をインキュベートした。
【0052】
プラスミド抽出を進める前に、成長細菌の永続培養を得て、一晩増殖させたCG培地75mlと50%無菌グリセロールを滅菌プレートに含む。この培養物を−80℃で超冷凍庫にて保存し、ストックとした。
【0053】
ミニプレップを続行し、細胞の堆積物を得るために、マイクロプレートを6分間、1,310×g、10℃で遠心分離した。上清を捨て、吸収ペーパー上にプレートを素早く逆さにした。次に、200μLのGET(20%グルコース、0.5M EDTA pH8.0、1M Tris−HCl pH7.4及び500mLに満たすための水)を各植えるに添加し、プレートを密封し、2分間、ボルテックスを用いて激しく振とうし、細胞を再懸濁させた。新たに9分間、1,310×g、10℃の遠心分離を行い、上清を捨て、吸収ペーパー上にプレートを素早く逆さにし、乾燥させた。
【0054】
RNase A(10mg/mL)を含む65μLのGETをマイクロプレートの各ウェルに添加した。全ての材料は、ボルテックスを用いて再懸濁させ、「U」底のプレートに移した。次に、各ウェルに65μLのNaOH 0.2N/SDS 1%(0.5mL NaOH 4M+1mL SDS 10%+超純水、10mLの体積になるようにする)を添加した。この溶液は、使用される工程の直前に調製された。プレートを密封し;材料を5〜10分間の反転により混合し、10分間室温にてインキュベートした。接着シールに溶液が残らなくなるまで、数秒の迅速遠心分離を行った。
【0055】
各ウェルに、4℃で保存した3M酢酸カリウム(KOAc)60mLを添加し、プレートを密封し、材料を10回反転することによって混合し、10分間のインキュベートを氷上で行った。15分間、1,310×g、4℃の遠心分離工程を行い、80μLの上清をMillipore(登録商標)(MAGV N22)プレートに移し、250μLの「V」底ポリプロピレン製マイクロプレートの上部に予め固定した。プレートを5分間、1,310×g、4℃にて遠心分離し、又は全容積が底プレート(V底)に移されるまで行われた。Millipore(登録商標)プレートを取り出し、捨て、「V」底プレートに移されるろ過された溶液に80μLのイソプロパノールを添加した。
【0056】
「V」底プレートをアルコール耐性接着剤を用いて密封し、材料を反転して混合した。45分、1,310×g、4℃の遠心分離工程を行い、上清をプレートを反転することによって捨て、150μLの冷70%エタノールを各試料に添加した。プレートを再度、5分間、1,310×g、4℃にて遠心分離し、上清を捨てた後、吸収ペーパー上にプレートを反転させ、素早く82×g、4℃でスピンダウンした。プレートをペーパータオルで覆い、60分間室温にて乾燥させ、最終的には、DNAを30μLの超純水に再懸濁させた。プレートを密封し、プラスミドDNAの完全な溶出のために室温にて一晩インキュベートした。この期間の経過後、プラスミドDNAを含むプレートを−20℃の冷凍庫に保存した。
【0057】
試料は、配列決定のために調製される前に、挿入物の存在及びそのサイズを確認するために、制限酵素を用いて消化反応に供された。消化反応物は、1.5μLの試薬3酵素緩衝液;0.5μLのEcoRI(10U/μL);5μLのプラスミドDNA(約10ng)及び8μLの超純水から構成させ、37℃で2時間インキュベートした。この期間の経過後、反応物のアリコートを1%アガロースゲル電気泳動に供した。
【0058】
断片は、ABI Prism 3100(Appied Biosystems)キャピラリーシークエンサーによって配列決定され、この場合、DNA二本鎖の両配向に基づいて、ABI Prism BigDyeターミネーターサイクルシークエンシング(Applied Biosystem)キットを使用し、異なる反応物と異なる配列決定実験、M13R及びFプライマーを用いた。配列決定反応は、各試料から1.5μLのDNAをプレート上に置き、以下の表に記載のプロトコールに従って調製した反応混合物の8.5μLを用いた。
【0059】
表2:配列決定反応のために使用した反応混合物の調製に用いた試薬
【0060】
【表2】
【0061】
配列決定反応は、Applied Biosystemサーモサイクラーを以下の条件で行った:96℃で2分間;96℃で15秒間、50℃で15秒間、及び60℃で4分間の30サイクル。最終的に、DNA沈殿のための反応は、各試料に75%のイソプロパノールを80μL添加して行い、次に、15分間、室温にてインキュベートし、遮光し、45分間、1,310×gの遠心分離を行った。
【0062】
上清を捨て、100μLの70%エタノールを用いてペレットを洗浄し、次に、15分間、1,310×gの遠心分離工程を行った。上清を捨て、室温にて、遮光し、ペレットを乾燥させた。配列決定機械における試料適用について、10μLのhi−ホルムアミドにペレットを再懸濁させ、次に、DNA変性を引き起こすために、95℃、5分間、サーモサイクラーで使用をインキュベートした。DNAの再アニーリングを回避するために、プレートを即座に氷に移し、その後、配列決定機械に置いた。
【0063】
プロモーター領域及び完全な遺伝子領域の配列決定後、生物学的配列の配列データベースサーチを行い、得られた断片と既知のDNA、及びタンパク質配列の間の類似性を検証した(
図6)。これを達成するために、プログラムBLASTnとBLSATx(Altschul et al.(1997),Nucleic Acids Res.25:3389−3402)を用いた。ヌクレオチド配列(
図7及び
図8)並びにアミノ酸配列(
図9)のアラインメントはまた、適切なソフトウェア、例えば、Vector NTI Advanced 10.0.1(Invitrogen Corp.),BioEdit Sequence Alignment Editor and Clustal Wを用いて行った。
【0064】
実施例2:遺伝子発現の調節研究−RPA
親遺伝子型PI595099(耐性)及びBRS133(感受性)をRPA実験のために選択した。大豆に存在する熱ショックタンパク質Gmhsp17.6−L(GenBank受入番号:M11317)の完全配列から、プライマーセットをコード配列に対して設計した(RPA2
F 5’GAC ATC ATC AAA CAA GAG AA3’及びRPA2
R 5’TCT CTC CGC TAA TCT GAA3’)。
【0065】
分析した親試料由来の種子DNA抽出物、PCRを通じた断片の増幅、PCRにより生じた生成物のクローニング及び配列決定は、前述の項目において従前に詳述されたプロトコールに従って行われた。
【0066】
親PI595099(耐性)及びBRS133(感受性)由来の総RNAは、2つの異なる処置(M.ジャワニカ線虫卵の接種及び非接種)に供された大豆根から抽出された。トリゾール試薬(Life Technology)キットを用いて抽出を行った。すり鉢と乳棒を用いて液体窒素中で根を粉砕し、オートクレーブしたファルコンチューブに移し、ドラフトで保存し、これは20mLのトリゾールを含む。ホモジナイゼーション後、試料を5分間、室温(15〜30℃)にて試料をインキュベートした。1mLのトリゾールの各々に対して0.2mLのクロロホルムを添加し、15秒の激しい撹拌後、溶液を室温(15〜30℃)にてさらに3分間インキュベートした。次に、12.240×g、15分間、4℃の遠心分離工程を行った。RNAを含む液相を新しいファルコンチューブに移し、最初に使用したトリゾール1mLの各々に対して、0.5mLのイソプロパノールを用いて沈殿させた。溶液を室温(15〜30℃)で10分間インキュベートした。12.240×g、10分間、4℃の新たな遠心分離工程を行った。チューブの底に形成したペレットには沈殿したRNAが含まれる。全上清を取り除き、RNAペレットを75%エタノール(使用したトリゾール1mLの各々に対して1mLエタノール)を用いて洗浄した。溶液を4.285×g、5分間、4℃で遠心分離を行い、再度、全上清(エタノール)を除いた。ペレットを溶解するために、400μLのDEPC水を添加した(必要に応じて、ペレットを溶解するために温度を50〜60℃に上昇させた)。抽出後、総RNAを分光偏光計で定量した;その完全性を2%アガロースゲルで検証し、最後に、−80℃で超冷凍庫で保存した。
【0067】
初期に、対象の断片を含むプラスミドを線状化した。30.6μLのDEPC水、4μLの緩衝液、1μgの精製プラスミド、0.4μLのBSA、及び1μLの制限酵素ApaIを含む反応物を37℃、2時間、サーモサイクラーでインキュベートした。この期間の経過後、プラスミドは、1体積のフェノールを用いて精製され、ボルテックスを用いて2分間混合され、11.750×g、10分間、4℃の遠心分離工程に供された。次に、水相を回収し、酢酸アンモニウム(NH
4OAc)を添加して、最終濃度を0.5Mにした。3体積の冷95%エタノールを添加し、溶液を−20℃にて1時間インキュベートした。11.750×g、4℃、15分間の新たな遠心分離工程を行い、上清を注意深く捨てた。チューブを開け;ペレットを5分間乾燥させ、次に、30μLのDEPC水に再懸濁させ、−20℃にて冷凍庫で保存した。
【0068】
プローブを得ること
プローブを得るための転写反応は、MAXIScript(商標)インビトロ転写(Ambion Inc.)キットを用いて行った。RNAポリメラーゼT7とP
32−標識したホスフェートジデオキシヌクレオチド(CTP)を用いた。最初に、全てのキット試薬を解凍し、氷上で維持した。ただし、室温に保存しなければならないTranscription緩衝液(登録商標)は除く。全最終体積20μLを用いた転写反応は、1.5mLマイクロチューブで、室温にて、以下の表に記載のプロトコールに従って行った。
【0069】
表3:放射活性プローブの転写反応に使用される試薬
【0070】
【表3】
【0071】
次に、全ての試薬をマイクロチューブ中で穏やかに混合し、反応物を37℃にて1移管、サーモサイクラーを用いてインキュベートした。2UのDNase I RNaseフリーを添加し、反応物を15分間、37℃にてインキュベートした。1体積のゲルローディング緩衝液(95%ホルムアミド、0.025%ブロモフェノールブルー、0.025%キシレンシアノール、0.5mM EDTA、0.025SDS)を反応物に添加し、チューブを3〜5分間、85〜95℃で加熱し、全試料を5%ポリアクリルアミドゲル、尿素8M、1×TBE緩衝液上に適用した。
【0072】
12.01gの尿素、3.12mLの40%アクリルアミド:ビス−アクリルアミド(19:1)及び2.5mLの10×TBEを用いて、最終体積が25mLのゲルを調製した。ゲルの最終体積が超えるのを避けるために少量の水をさらに添加した。尿素を溶解するために、ヒーターを備えた磁気撹拌システム中で溶液を維持し、その後、冷却し;シリンダーに移し、最終体積のゲルをDEPC水で満たした。次に、12.5μLのTEMEDを添加し、最後に156.2μLの10%過硫酸アンモニウムを添加した。
【0073】
この溶液を即座にガラスプレートに適用し、ウェルコム(well comb)を置き、プレートを動かすことなしに重合をさせた。ガラスプレート及び電気泳動チャンバーを洗浄し、RNase AWAY(登録商標)(Invitrogen−Life Technology)を用いて処理することからなる、これらの材料の前処理を施すことができる。より小さなプレート上で、1〜3mLのRepelをドラフト中で提供し、5〜10分間、プレートを乾燥させることができる。この処理は、電気泳動後のゲル除去を促進する。
【0074】
電気泳動を行う前に、プレートを洗浄し、過剰の尿素を排除し、ウェルコムの除去後、注射器の助けでランニング緩衝液を用いてウェルを洗浄した。チャンバーに対して所定電圧を用いたゲルの20〜30分の予備駆動を行い、その後、使用を適用した。プローブのサイズに従って、約2時間の電気泳動を200〜300ボルトで行った。
【0075】
全長プローブだけをゲル精製した。これを達成するために、電気泳動後、プレート開け、ゲルをプラスチックフィルムで覆い、バンド位置の同定をガイドするために記されたオートラジオグラフィーフィルムを約1時間晒した。次に、フィルムを5分間、暗室中で、現像液に浸して現像し、過剰分を除き、洗浄のために約3分間水に浸し、最後に固定溶液中に5分浸した。次に、フィルムを水に浸し、空気乾燥させた。フィルムとゲルを並べて、全長転写物の位置を特定した。ゲルの対象領域を取り出し、350mLの溶出緩衝液(0.5M酢酸アンモニウム、1mMのEDTA、2%SDS)を含むマイクロチューブに移した。プローブを含むチューブを4℃にて一晩インキュベートし、プローブ再生を最大にし、それをハイブリダイゼーションする時まで20℃で保存した。プローブを標識するためのキットは、その質をモニターするための正の対照を与えた。
【0076】
250bpのラットβ−アクチン遺伝子の挿入物を含む対照DNA、直線化されたpTRIPLEscriptプラスミドからプローブを合成し、ラット肝臓総RNAにハイブリダイズした。それらもキットに与えられた。2つの対照チューブは、酵母総RNAのみを含み、RNase酵素の活性を検証するために使用された。このようにして、酵素陽性対照チューブはRNaseと緩衝液を含み、一方、陰性対照チューブは酵素を含まない緩衝液だけを含んだ。
【0077】
試料ハイブリダイゼーションと消化
HySpeed(商標)RPA−Hygh−スピードハイブリダイゼーション・リボヌクレアーゼ保護アッセイ(Ambion Inc.)キットを用いて、リボヌクレアーゼ保護アッセイは(RPA)を行った。各マイクロチューブに対して、標識プローブを総RNA(20mg)に(高い比活性を有する、約100〜800pgの250nt又は1〜10fmolの2〜8×104cpm)添加した。また、30mgの酵母総RNAを試料に添加し、最終50mg/試料を得た。10mLの酵母総RNA(50mg)を含む2つの他の酵素対照チューブを得て、1つは、プローブ陽性対照としてラット肝臓総RNAを含んだ。プローブ+試料を共沈させるために、0.5MのNH
4OAcと3体積の冷95%エタノールを添加し、ホモジナイゼーション後、チューブを15分間−20℃でインキュベートした。最大速度(最小8.160×g)で5分間、4℃にて遠心分離工程を行った。上清を除去し、ペレットを乾燥させた。10mLのHySpeedハイブリダイゼーション緩衝液(登録商標)(予め95℃に加熱)を各試料に添加し、このチューブを即座に95℃(水浴又はサーモサイクラー)でインキュベートした。ペレットを溶解するために、試料を数秒間ボルテックスし、95℃に戻した。ペレットを完全に溶解後、チューブを95℃で3分間、68℃で10分間インキュベートした。温度を68℃に維持しなければならず、移動工程は30秒以下でなければならない。最初に、HySpeed RNase消化緩衝液(登録商標)を解凍し、RNase A/T1と緩衝液の混合物(1:100希釈−99mLの緩衝液中の1mL RNase)を各試料に対して、100mLの適切な体積で調製し、室温にて保存した。100mLの混合RNase A/T1+緩衝液を各試料、及び酵母総RNAだけを含む対照チューブに添加し、酵素を含まない100mLのHySpeed RNase消化(登録商標)緩衝液を1つのチューブに添加し、酵素を含む完全な混合物を他の対照チューブに添加した。試料をボルテックスし、37℃にて30分間、消化させるためにインキュベートした。150mLのHySpeedインキュベーション/沈殿緩衝液(登録商標)を試料に添加し、素早くボルテックスし、チューブを15分間、−20℃の冷凍庫でインキュベートした。消化後、試料を15分間、最大速度、4℃にて遠心分離し、上清を除去し、ゲルローディング緩衝液(通常9〜10mLの体積)中に再懸濁させた。ピペットによるホモジナイゼーション後、チューブを3〜4分間、90〜95℃に加熱し、再生を避けるために即座に氷に移した。5%ポリアクリルアミドゲル、8M尿素に試料を適用し、1×TBE緩衝液に希釈し、200〜300ボルトで約2時間の電気泳動を行い、保護された断片を分離した。電気泳動後、前述のプロトコールに詳述されたフィルム露光及び現像について標準的な手法を行った(
図10)。
【0078】
実施例3:遺伝子発現−RT−qPCR−温室に設定された実験
遺伝子Gmhsp17.6−Lのプロモーターの発現試験については、RT−PCR技術を用いて、材料PI595099、BRS133、256−S、259−S、266−S、JF7002、JF7027及びJF7056は由来の種子は、成長チャンバーで発芽ペーパー上に播種され、8日後、苗をプラスチック容器に移した。温室で、これらの苗は、発生J2の感染段階で幼虫のメロイドギネ・ジャワニカで感染させた。使用された線虫集団は、品種Doko由来の大豆植物から得た。根からの線虫卵抽出物は、0.5%次亜塩素酸塩溶液中で30秒間、ブレンダーを用いて材料を挽くことによって得られた。根を水中で洗浄し、排除サイズ500を有するミニスクリーンを用いて卵を回収した。その後、遊離(free)卵懸濁液を26℃に設定した孵化チャンバーに移し、24時間ごとに、ジャワニカ(J2)を回収して、冷蔵室に保存した。ジャワニカJ2をPetersチャンバーで定量した。ピペットの助けを得て、664のJ2/ml(植物あたり)を接種し、接種の第1、3及び6日後に、試験中の8個の材料の各々の3つの大豆植物由来の根をバルクで回収し、ジャワニカで接種されたものと接種されていないもの(対照処理)について液体窒素に移した。RNA抽出実験の開始まで、根を超冷凍庫(−80℃)で保存した。
【0079】
RT−qPCRプライマー設計
リアルタイムPCRに使用したプライマー(SoyHspPSC
F 5’GCT GTG TGT CAT TGT CAT CGA A3’;SoyHspPSC
R5’CAC GGT CTA TTT CTT GCC TAC ATC3’)は、Gmhsp17.6−L遺伝子(GenBank受入番号:M11317)の配列pos終止コドン(TAA−ヌクレオチド位置884)を用いて、Primer Express 2.0(Appied Biosystems)プログラムで設計された。これらのプライマーは、約80bpの断片を増幅するために使用された。プライマーを設計するためにPrimer Expressプログラムに適用された選択されたパラメータは、50bp〜150bp(120bpはRT−PCRに推奨される)のアンプリコン長、40%〜60%のCG含量、最大では一列に4個のG塩基、58℃〜60℃のプライマーTm(融解温度)、FとRプライマー間のTmの最大相違が1℃であり、一列に最大4個の同一塩基を避けるべきである。その後、プライマー二量体の形成を分析するために、プログラムOMIGAを使用し、3’末端の6遊離塩基の最小の存在を観察した。
【0080】
cDNA合成用の総RNA入手
リアルタイムPCR実験を行うために、総RNAをトリゾール試薬(Invitrogen−Life Technology)を用いて抽出した。最初に、1mLのトリゾール/試料をファルコンチューブに分注し、55℃に加熱した。試料の植物組織を液体窒素中でホモジナイズし、0.1gを窒素に維持されたチューブに分注された。その後、1mLの加熱したトリゾールを試料に添加し、1分間ボルテックスし、素早くスピンダウンし、2分間55℃にてインキュベートした。試料を4℃、20分間、16.000×gで遠心分離し、200μLのクロロホルムを含むチューブに上清を移し、残渣を捨てた。試料を振とうし、室温(22〜25℃にて)2分間インキュベートし、次に、16.000×g、30分間、4℃にて遠心分離した。上清を新しいチューブに移し、8MのLiClを1/3体積添加した。振とう後、チューブをフリーザー中で−80℃、1時間インキュベートした。溶液を解凍するために、チューブを40℃の水浴中に1〜3分維持し、16.000×g、4℃にて30分間遠心分離した。上清を除去し、捨て、RNAを含むペレットを妨げることを避ける各試料に400μLの75%エタノールを添加し、チューブを穏やかに反転した。4℃、5分間、16.000×gの遠心分離工程を行い、上清を除去し、完全に捨てた。100μLの超純水をペレットに添加し、チューブを穏やかに軽く叩いて、ペレットを溶解した(ペレットが迅速に溶解しない場合、さらに100μLの超純水を添加することができるが、次の工程で酢酸ナトリウムとイソプロパノールの体積を2倍にすべきである)。次に、10μLの酢酸ナトリウム(3M)と100μLのイソプロパノールを添加し、チューブを穏やかに反転した。試料を−80℃で30分間インキュベートし、水浴に37℃で1〜3分間移し、16.000×g、4℃にて15分間遠心分離した。上清を除去し、400μLの70%エタノールを添加し、もう一度、チューブを16.000×g、4℃にて15分間遠心分離した。上清を除去し、捨て、10分間、ペレットをベンチで乾燥させた。最後に、50μLの超純水(又はペレットがすぐに溶解しない場合には100μL)を添加し、ペレットと溶液を37℃にて10分間加熱し、ペレットの溶解を促進した。RNAを定量し、−80℃のフリーザー中に保存した。逆転写反応に関して、RNAを希釈し、cDNA合成は、逆転写酵素(モロニー(Moloney)マウス白血病ウイルス:M−MLV)を用いて行われた。このようにして、1.5mgの総RNAをマイクロチューブに分注し、DEPC水を最終体積9mLまで添加し、6mMのランダムプライマーを反応に添加し、次に80℃にて3分間インキュベーションした。この期間の経過後、チューブを氷上で冷却し、14mLの混合物を試料に添加した。この混合物は、以下の表に記載されたプロトコールに従って調製された。
【0081】
表4:cDNA合成用の混合物調製に使用された試薬
試薬 反応あたりの体積
5×第1鎖緩衝液6mL dNTP(2.5mM) 4mL
DTT(0.1M) 2mL
逆転写酵素 2mL
【0082】
反応物をサーモサイクラーを用いて、37℃にて1時間インキュベートし、その後、10分、65℃の工程を行った。cDNAを−20℃にて保存した。
【0083】
RT−qPCR
PCR反応は、サーモサイクラー7300リアルタイムシステム(Applied Biosystem)を使用し、製造業者の使用説明書に従って、Platinum(登録商標)SYBER(登録商標)グリーンqPCR SuperMix UDG(Invitrogen−Life Technology)キットを用いて行われた。Applied Biosystemによって推奨されるように、増幅効率曲線は、標的遺伝子Gmhsp17.6−Lと内因性対照遺伝子rRNA 18S(GenBank受入番号:X02623.1)(試料標準化のために使用される)について行われた。実験プレートは、両方の遺伝子について3点測定で試料を用いて設定された。曲線は傾きを与え、それは、プライマーの増幅効率を計算するために使用され、両遺伝子について類似し、100%(値1)に近くなければならない。相対的定量化のための増幅反応は、分析された試料の各々について回収の3日からcDNAのバルクを用いて行われた。別々の実験において、親使用について2つのリアルタイムPCR実験、及び集団試料について2つを行った。親菌株BRS133とPI595099、及び感受性集団由来の6個の得られた個体、259−S、259−S及び266−S、並びに耐性JF7002、JF7027及びJF7056は、線虫接種処理及び非接種処理について分析された。反応は3点測定で行い、8.0μLの超純水、0.5μLのROX、12.5μLのSYBER(登録商標)グリーンqPCR SuperMix UDG及び2μLのバルクDNA(約1.5μg)から成っていた。増幅反応のサイクリングパラメータは以下の通りであった:50℃にて2分間;95℃にて2分間;次に、95℃にて15秒、60℃にて30秒、及び72℃にて30秒の45サイクル。データを伸長工程(72℃)にて回収した。相対的定量化を結論付けた後、プライマー二量体の形成、非特異的(inespecific)増幅、可能なエラー及び汚染を検証するために、解離曲線を行った。RT−PCR−によって生じたデータの解釈は、SDS−配列検出システム(Applied Biosystem)ソフトウェアを用いて行われた。
【0084】
これらの分析では、相対的遺伝子発現(RQ)の計算を個別に行い、較正(値1)として、非接種試料を用いて、線虫接種処理及び非接種処理について、別々に試料を比較した。RQ値はΔCt法を用いて計算した。このようにして、遺伝子発現のレベル(RQ)は、各処理の標的試料のCtを内因性対照Ctで差し引くことによって計算し、ΔCtを生じさせる。この値は、対照試料のΔCtから差し引かれ(較正−値1)、ΔΔCtの値を得る。RQは式2−ΔΔCtを通じて得られる。ここで、2は標的遺伝子効率(100%=1)の合計と、100%効率曲線で得られた内因性対照(100%=1)の合成に対応する(Livak and Schmittgen(2001),Methods 25:402−408)。標的遺伝子及び内因性遺伝子の効率は、100%に近くなければならないが、必ずしもそうでなくてもよいが、それらはより低くてもよく、しかしながら、それらは近くなければならない。そして、この場合、式2−ΔΔCtの値2は、標的遺伝子と内因性遺伝子の効率の合計によって置換される。根こぶ線虫M.ジャワニカによる接種及び非接種の治療における親菌株BRS133及びPI595099の分析について、非接種の試料PI595099を較正(値1X)として使用し、感受性群(256−S、259−S及び266−S)の分析及び耐性集団(JF7002、JF2027及びJF7056)について、非接種の感受性試料256−Sを較正試料として使用した。この材料は、Gmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域の配列決定において、低数のAT(n)挿入物を示したという事実に起因して選ばれた。
【0085】
実施例4:Gmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域における、異なるサイズのAT(n)挿入物を含む発現カセット構築物
耐性個体はGmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域における高数のAT(n)挿入物を示し、これらの個体は、RT−PCRに供された場合、根こぶ線虫M.ジャワニカで接種されると、高レベルのこの遺伝子発現を示すことが確認されると、発現カセットをGmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域における、異なる数のAT挿入物を含むように構築されるように決定された。これらの構築物の利用の目的は、これらのプロモーターは、AT(n)挿入物とともに、他の遺伝子の発現を誘導し、またそれらの遺伝子の応答、異なるストレスによるそれらの活性化若しくは非活性化を評価することができる。粒子衝突を用いて、線虫感受性品種BRS133とPintado由来の大豆胚を形質転換するためにカセットを使用した。得られた構築物において、Gmhsp17.6−L遺伝子のプロモーターは、異なるストレスへの胚の曝露後、組織化学的アッセイを介した発現を有するGus遺伝子前に位置している。
【0086】
8個の分析された試料であるBRS133、PI595099、256−S、266−S、JF7002、JF2027及びJF7056のプロモーター領域を含む発現カセットを得て、全体で96カセット(各材料について12個)であった。しかしながら、ただ2つの構築物をこの試験の次の工程に使用し、それは、AT(9)である、より少ない数の挿入物を有する感受性親BRS133由来の増幅されたプロモーター領域を含むカセットpAG1/プロモーターGmhsp
BRS133と、AT(32)を有する耐性集団JF7027由来の個体からの増幅されたプロモーター領域を含むカセットpAG1/プロモーターGmhsp
JF7027であった。プラスミドpAG1は発現カセットを構築するための鋳型として選ばれた。設計されたストラテジーは、プラスミドに存在するアクチン遺伝子由来のact2プロモーターの除去、及び感受性親菌株BRS133と、耐性集団JF7027の個体である、分析されるべき材料由来の増幅されたプロモーターの挿入であった。また、このプラスミドは、それらのカセットを用いた形質転換プロセスが上手くいく場合に、組織化学的アッセイを通じて、トランスジェニック胚における視覚化によって許可さえる、β−グルクロニダーゼ酵素をコードするレポーター遺伝子Gusを示す。また、プラスミドpAG1は、653位における突然変異により、除草剤Imazapyr(2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−3−ピリジンカルボン酸)(Tu et al.(2004),Weed control methods handbook;London:Academic)が属するクラスに含まれる除草剤イミダゾリノンに対する耐性を与えるシロイヌナズナ由来の酵素のアセト乳酸ピルビン酸リアーゼ(AHAS)−アセト乳酸シンターゼ(ALS)をコードするals/ahas遺伝子のプロモーター(ahas 5)、コード配列(ahas)及びターミネーター(ahas t)を含む。このようにして、この遺伝子は、形質転換後、除草剤含有培地において陽性植物の選択を可能にする。
図13はプラスミドマップを示す。このストラテジーを発展させるために、Wizard Plus Maxipreps DNA精製システム(Promega)キットを用いてプラスミドDNA抽出を行った。このようにして、単一コロニーは、抗生物質アンピシリン(0.5mg)を含む2〜5mLのLB培地に植菌され、37℃にて8時間、200rpmで回転させながらインキュベートした(プレ接種物)。1mLのプレ接種物を500mLのLB/アンピシリン培地に移し、37℃にて12〜20時間、200rpmで回転させながらインキュベートした。250mLチューブに細胞を分注し、5.000×gで10分間、室温にて遠心分離し、上清を捨て、15mLの細胞再懸濁液(50mM Tris−HCl、pH7.5、19mMのEDTA、100μg/mLのRNase A)にペレットを完全に再懸濁させた。15mLの細胞溶解溶液(0.2M NaOH、1%SDS)を添加し、反転して混合し、溶液を20分間、室温でインキュベートした。次に、15mLの中和溶液(1.32M酢酸カリウム、pH4.8)を添加し、溶液を反転して混合し、白色フレークの形成をもたらし、溶解物は粘性が低かった。沈殿した材料は、ゲノムDNA、タンパク質、細胞残屑及びSDSを含む。14.000×g、15分間、室温での遠心分離工程を行い、上清は、Whatman 1フィルターペーパーを含むシリンダーでろ過された。体積を測定し、50mL遠沈管に移し、室温の0.5体積のイソプロパノールを添加し、反転して混合した。14.000×g、15分間、室温での新たな遠心分離工程を行い、上清を捨て、ペレットを2mLのTE緩衝液に再懸濁させた。このDNAを含む溶液に、10mLのWizard Maxipreps DNA精製レジン(登録商標)を添加し、レジン+DNAの混合物は、真空ポンプに連結されたMaxicolumnに移された。真空にし、25mLのカラム洗浄溶液(80mM酢酸カリウム、8.3mMのTris−HCl、pH7.5、40μMのEDTA、55%エタノール)を添加し、さらに真空にした。5mLの80%エタノールをMaxicolumnに適用し、真空にし、その後、全体咳のエタノールをカラムに通過させ、さらに1分間真空を維持した。次に、Maxicolumnを50mLファルコンチューブに移し、1.300×gで5分間遠心分離した。レジンを乾燥させるために、真空をさらに5分間行った。最後に、Maxicolumnをキットから与えられるチューブに移し、1.5mLの予熱した水(65℃〜70℃)をカラムに添加した。1分経過後、DNAを溶出するために、遠心分離工程(1.300×g、5分間、室温)を行った。抽出後、プラスミドDNAを定量し、1%アガロースゲルにおいてその完全性を検証した。act2プロモーター切り出し(−1000bp)について、制限酵素消化を行った。第1段階では、pAG1を酵素Pst1とNot1による二重消化に供した。この消化により、約5.500bp(als/ahas遺伝子のプロモーター−ahas 5、コード配列−ahas及びターミネーター−ahas tに対応する)と6.500pb(Gus遺伝子、act2プロモーター及びプラスミド骨格、Ori及びNosに対応する)の2つの断片を得た。消化反応物は、10μLのプラスミドDNA(約1.5μg)、2μLのReact 2緩衝液、5.0μLのPst1酵素(10U/μL)、及び3μLの超純水から構成された。チューブを37℃にて2時間、サーモサイクラーを用いてインキュベートした。この期間の経過後、さらに2μLのPst1酵素(10U/μL)を溶液に添加し、37℃にて2時間、サーモサイクラーを用いてインキュベートした。同じマイクロチューブで、Not1を用いた反応を行い、3.5μLのNot1酵素(10U/μL)、1.5μLのReat 2緩衝液及び2μLのNaCl(1M)を添加した。新たに2時間、37℃のインキュベートし、この期間の経過後、さらに2μLのNot1酵素を添加した。37℃のサーモサイクラーを用いて反応を一晩維持した。pAG1消化した断片を0.8%アガロースゲルにおいて分離し、前述のプロトコールに従って、PureLink(商標)Quick Gel Extraction(Invitrogen)キットを用いてゲルを抽出した。消化の第2工程では、より大きな断片(6.500pb)は、act2プロモーターの切り出しのために制限酵素BamHIで消化された。反応物は、0.5μLのBamHI酵素、15μLのReact 3緩衝液、12μLのDNA消化断片、及び1μLの超純水から構成された。サーモサイクラーを用いて、マイクロチューブを2時間、37℃にてインキュベートした。この期間の経過後、さらに0.5μLのBamHI酵素を添加し、反応物をさらに37℃にて一晩インキュベートした。断片を0.8%アガロースゲルにおいて分離し、より大きな断片(Gus遺伝子、プラスミドDNA、Ori及びNosに対応する)は、製造業者の使用説明書に従って、PureLink(商標)Quick Gel Extraction(Invitrogen)キットを用いてゲル精製した。親菌株BRS133と耐性個体JF7027から異なる増幅されたプロモーターを含む発現カセット構築物を得るために、連結反応は、11μLの超純水、それぞれ試験した試料からの2μL(約10ng)のAhas断片、1μL(約10ng)のGus断片、Gmhsp17.6−Lプロモーター由来の1μL(約10ng)の精製されたバンド、4μLのリガーゼ緩衝液及び1μLのT4リガーゼ酵素を混合して行った。反応を一晩、14℃にてインキュベートした。2つの選択した試料由来のプロモーター領域断片は、プライマーpSoyHspPstI
F(5’GGG CTG CAG GAA TTC TGA AAT TGG GTC TTT TTG3’)及びpSoyHspBamHI
R(5’CCC GGA TCC AAT GGG GAC ACT CGA GGT ATT3’)を用いて、ゲノムDNAから増幅された。プライマーにおいて設計及び合成された制限酵素部位により、act2プロモーターを従前に位置したのと同じ位置で正しい配向のGmhsp17.6−L遺伝子のプロモーターのクローニングが可能になった。前述のプロトコールに従って、E.coli細胞、DH10B菌株は、カセットの連結反応を用いてエレクトロポレートされ、LB培地中で一晩、37℃にて増殖させた。得られたコロニーから、特定のプライマーを用いた一連のPCR増幅、制限酵素を用いた消化反応は、構築物のクローニングが成功したことを検証するために行われた。発現カセットが得られたという成功を証明するこの工程後、Gmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域に特異的なプライマー、pAG1プラスミドの、Ahas遺伝子(654bp)については(Ahas1
F5’ACT AGA GAT TCC AGC GTC AC3’;Ahas2
R5’GTG GCT ATA CAG ATA CCT GG3’)、及びNosターミネーターについては(Nos1
F5’GAA TCC TGT TGC CGG TCT TG3’; Nos3
R5’TTA TCC TAG TTT GCG CGC TA3’)を用いてPCR反応は、全ての得られた試料を用いて行われた。
図14、15及び16は、それぞれ、得られた発現カセットの各々の12試料のGmhsp17.6−Lのプロモーター領域の増幅、Ahasの一部及びNos領域の一部を示す。
【0087】
実施例5:一時的発現又はGUS(β−グルクロニダーゼ)活性の研究
粒子衝突を介したトランスジェニック植物の取得
発現カセットpAG1/プロモーターGmHSP
BRS133及びpAG1/プロモーターGmHSP
JF7027を用いて形質転換されたトランスジェニック植物を得るために、最初に、プラスミドDNA抽出を前述のプロトコールに従って行った。この手法により、バイオバリティクス法、遺伝子銃法又は粒子衝突を介した形質転換手法に使用されるのに十分な多量のプラスミドDNAが得られた。この手法では、植物中の遺伝材料の導入は、微粒子を用いて行われ、通常、内因性DNAで被覆された、0.4〜0.2mmの直径を有する金又はタングステンでできている。粒子を対象のDNA分子で被覆し、高圧下でのヘリウムガス放電によって引き起こされる衝撃波により高速で加速し、発射する。標的細胞又は組織に衝突した場合、破壊することなしに細胞壁及び原形質膜を貫通し(Klein et al.(1987),Nature 327:70−73)、内因性DNAは、細胞液の作用によって微粒子から解離し、植物ゲノムに組み込まれなければならない。インビトロで培養され、再生された後、これらのトランスジェニック組織又は細胞は、遺伝子改変された植物を生じる(Brasileiro and Aragao(2001),Plant Biotechnol J.3(3):113−121;Rech et al.(2008),Nat Protoc 3:410−418)。
【0088】
種子除染
根こぶ線虫にともに感受性である品種BRS133及びPintado由来の大豆種子を用いた。計量後、種子は、70%エタノールで10分間、その後、1%ナトリウム(V/V)で20分間の浸漬により除染された。層流フード中で、オートクレーブした蒸留水で種子を3回洗浄し、種子の2倍量の水に埋め込み、約16時間〜18時間、水和のために浸漬し続けた。
【0089】
胚の単離及び衝突用の支持プレートの調製
除湿機及び低い部屋の湿度にするエアコンを用いて、水和された種子から胚を単離した。無菌した鉗子及び外科用ブレードの助けにより、種子を切開し、胚軸を除き、乾燥を避けるため、蒸留水を含むペトリディッシュに移した。次に、実体顕微鏡の助けにより、葉原基を切り出し、頂端分裂組織領域を露呈した。層流フード中のフィルターペーパーに胚を移し、過剰な水を取り除き、それは、屈折する粒子に対する障壁として振る舞う形質転換効率を低下させることができる。衝突について、16mm径の中心塩(デッドゾーン)は、無菌鉗子を用いて、MS培地(Murashige and Skoog Salt)、3%スクロース及び0.8%フィタゲル(pH5.7)を含む小さなペトリディッシュ中に設計された。実体顕微鏡の助けにより、プレート中の溝に胚を配置し、頂端分裂組織領域を上に向けた。担体メンブレン支持体及び支持シリンダーを火で滅菌し、4つの破壊メンブレンセットを別々にし、使用するまでイソプロパノール中に浸漬し続けた。担体メンブレンをそれらの支持体中に集めた。
【0090】
タングステン微粒子の滅菌及び洗浄
遠沈管において、60mgのM10タングステン微粒子を計量し、それは、約100回の発射には十分な材料である。この遠沈管に、10mLの70%エタノールを添加した;溶液を激しくホモジナイズし、撹拌機上で、動きを維持するには十分な速度で15分間維持した。15.000gで5分の遠心分離工程を行い、微粒子沈下の阻害を避けるために、マイクロピペットの助けにより、上清を除去し、捨てた。1mLの滅菌蒸留水をこのチューブに添加し、混合物を撹拌機を用いて激しくホモジナイズし、もう一度15.000gで5分間遠心分離した。上清を捨て、洗浄工程を2回繰り返した。最終洗浄し、上清を捨てた後、微粒子を1mLの50%グリセロール(V/V)中に再懸濁した。
【0091】
タングステン微粒子のDNAコーティング
1.5mLの遠沈管に、50μLの微粒子懸濁液を分注し、ホモジナイゼーションのために15分間ソニケーターに供し、このようにして、微粒子の凝集を避け、均一な沈殿を可能にした。最小6μgに同等なDNAを上清に添加し、マイクロピペットの助けにより、穏やかにホモジナイズした。50μLのCaCl
2(2.5M)を溶液に添加し、穏やかにホモジナイズした後、20μLのスペルミジンを添加した。さらにホモジナイゼーション後、適合したチューブ撹拌機で、溶液を10分間、室温にて、穏やかに回転させながらインキュベートした。チューブを10秒間、最大速度で沈降させ、上清を注意深く除去し、捨て、微粒子の再懸濁液を避けた。150μLの100%エタノールを添加した;溶液を激しくホモジナイズし、10秒間、最大速度(スピン)でもう一度遠心分離した。上清を除去し、洗浄工程をもう一度繰り返した。上清を捨てた後、最終洗浄で、24μLの100%エタノールは、激しくホモジナイズされた試料に添加された。最後に、上清の3.2μLのアリコートは、メンブレン支持体上に予め配置された各担体メンブレンの中心領域に適用された。各沈殿は、DNAで被覆された微粒子を含む6個の担体メンブレンを調製するには十分である。微粒子の適用後、シリカゲルを含むプレート上でメンブレンを即座に保存し、解剖チャンバーに維持した。それは、50%を超える空気の相対湿度の状態へのDNA被覆された微粒子の曝露が凝集を可能するためであり、結果として、外来遺伝子発現の頻度を減少させる。
【0092】
遺伝子銃の使用及び衝突実験
いくつかの変更を加えたが、Aragaoら(Crop.Sci.42:1298−1302(2002))によって開発されたプロトコールに従って、根こぶ線虫に感受性である品種BRS133及びPintado由来の大豆種子胚の分裂組織部位を発射の標的とした。衝突前、層流フードを70%エタノールで清潔にし、UV照射(15分間)により滅菌した。保持スクリーン、胚を含むペトリディッシュ、4つセットであり、イソプロパノールに浸漬した破壊メンブレン、及び外来DNAを含む担体メンブレンをオペレーターの近くに維持した。ヘリウムガスシリンダーのバルブを開け、圧力を1.200psiに設定した。その後、破壊メンブレンセット(300psi/メンブレン)は、高圧ヘリウムガスチャンバーの遠端に配置し、密封スクリューをきつく閉め、高圧チャンバーを反転させ、真空チャンバーにフィットさせた。衝突されるべき材料を含むプレートを配置し、支持体シリンダー上に、DNA被覆された微粒子を含む、保持スクリーン及び担体メンブレン支持体も配置した。注意深く、支持体シリンダーを配置し、真空チャンバーを閉めた。圧力が27pol/Hgに到達するまで、チャンバー内で真空を可能にする値を緩やかに開け、このとき、このバルブを閉じた。高圧チャンバー内にヘリウムガスを押し込めるバルブを開き、破壊膜がヘリウムガスの存在により曲がりを示したとき、引き金を押すことによって発射した。発射後、バルブを閉じ、一方、高圧チャンバーからのヘリウムガスを放出するバルブを開いた。その後、真空を開放するバルブをゆっくり開け、衝突される胚を含むプレートを装置から取り出した。各衝突では、これらの工程を繰り返した。各衝突後、大部分の胚を異なるプレートに移し、非生物的及び生物的ストレスに供した。しかしながら、いくつかの胚は、BAP 5mg/mL(ベンジルアミノプリン)3%スクロース、0.6%寒天(pH)を添加したMS培地を含むプレートに移し、その中で、再生誘導のために、18時間維持され、28℃で光から保護された。
【0093】
トランスジェニック胚の選択
トランスジェニック細胞と非トランスジェニック細胞との識別は、個別に又は同じ形質転換ベクター中の対象遺伝子に連結して、酵素活性を有するタンパク質を発現する選択遺伝子を植物ゲノムに導入することにより行うことができる。作用様式に従って、マーカー遺伝子は、抗生物質への耐性を付与する遺伝子、除草剤への耐性を付与する遺伝子、及びポジティブ選択を有するマーカー遺伝子として分類される(Brasileiro and Dusi (1999),In:TORRES,A.C;CALDAS,L.S.;BUSO,J.A.Ed.Cultura de tecidos.and transformagao genetica de Plantas.Brasilia:Embrapa−SPI/Embrapa−CNPH,1999.p.679−735.v.2)。遺伝子ahasは、除草剤への耐性を付与する遺伝子に分類される。この遺伝子は、アセトヒドロキシル酸シンターゼ(AHAS)酵素の改変形態をコードし、アセト乳酸シンターゼ(ALS)としても知られている。この配列の653位への変異により、アスパラギンによるセリンの置換をもたらし、改変酵素を生じさせ、除草剤クラスのイミダゾリノンによって認識されない。この遺伝子で形質転換された分裂組織細胞は、選択分子の分裂組織部位への全体の転移及び内因性AHAS酵素の不活性化の基づくプロセスにおいて、除草剤Imazapyrの存在下で選択される。選択剤は頂端分裂組織に局在するため、非トランスジェニック細胞は死滅し、植物に生育するトランスジェニック細胞の生存が支持される(Aragao and Brasileiro(2002),J.P.Physio,14(I))。このようにして、再生後、いくつかの胚は、選択培地MS、3&スクロース、0.15μMのImazapyr除草剤、0.8%寒天及びB5ビタミン(pH5.7)を含むプラスチックカップに移され、約45日間、成長チャンバーで、28℃にて、16時間の光周期で生育された。光強度は50μmol m−2s−1であり、相対湿度は80%を超えた。次に、再生された植物は、オートクレーブされた砂:バーミキュライト(1:1)を含むプラスチックカップに移され、栄養溶液(pH6.6)で加筆された。後に、順化のために、カップをプラスチックバックで覆い、必要に応じて栄養溶液で散水し、さらに28〜30日間、成長チャンバーで生育した。順化のこの器官の経過後、プラスチックバッグを取り除き、特異的プライマーを用いたPCR技術を介して、分子分析及び陽性植物の特定のために試料回収が可能な限り、通常に発育させることができた。
【0094】
種々のストレスに供されたトランスジェニック胚を用いた実験
根こぶ線虫に感受性であり、種々の発現カセット(親感受性株BRS133(S−pAG1/プロモーターGmHSP
BRS133)及び耐性集団JF7027由来の個体(R−pAG1/プロモーターGmHSP JF7027)から増幅されたGmhsp17.6−L遺伝子のプロモーター領域を含む)で形質転換された大豆品種BRS133及びPintado由来の胚は、生物的ストレス、この場合は、M.ジャワニカのジャワニカJ2による接種、及び非生物的ストレス、例えば、熱、冷却、塩分及び脱水(干ばつ)に供された。非トランスジェニック胚(CN−負の対象)及びpAG1プラスミドのみで形質転換した胚(CP−正の対象)を同じ処置に供した。熱ストレスを適用し、胚を25℃(室温)、35℃及び45℃(温室中)にて維持した。4℃(冷蔵庫)及び15℃(温室)の処理は冷却ストレスに用いた。これらのストレスは、2時間、4時間、及び24時間の時点で溶液中で胚に適用された。脱水(干ばつ)は、温室にて37℃にて行い、フィルターペーパー上で2時間、4時間、及び6時間の時点で維持した。塩分ストレスについては、胚は、200mM及び400mMのNaCl濃度で24時間維持された。生物的ストレスは、24時間、48時間、及び72時間、J2発生段階(2.000〜3.000のJ2/mL)で線虫を含む溶液で胚を維持することによって行われた。
図17は、ストレスをどのように適用したかを示す。
【0095】
種々の発現カセットを用いて形質転換され、種々のストレスに供された胚における組織化学的アッセイ
Gus遺伝子の発現産物は、組織化学的アッセイを通じて、植物組織におけるその酵素的活性を検出することによって、選択のマーカーレポーターとして使用され得る。この定量的方法は、b−グルクロニダーゼ酵素によって、酸素の存在下で不溶性の青色沈澱物をもたらす二量体を生じさせる、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−D−グルクロニド(X−gluc)基質の開裂に基づいている。この方法論は、組織特異性、プロモーターの単離、トランスジェニック植物の同定、及び移動条件に関する遺伝子発現制御研究を補助する(Brasileiro(1998),In:Brasileiro,A.C.M.;Carneiro,V.T.C.(ed.).Manual de trans formacao genetica de plantas.Brasilia:Embrapa − SPI/Embrapa−Cenargen,1998,p.143−154;Aragao et al.(2000),Theor.Appl.Gen,101:1−6))。このようにして、種々のカセットで形質転換され、その後に種々のストレスに供された、2つの遺伝子型であるBRS133とPintadoの胚をプレートに移し、試料を覆うには十分な体積でX−Gluc反応緩衝液を添加した。この緩衝液は、85mLのジメチルホルムアミド中に8.5mgのX−Glucを希釈することによって調製された。リン酸緩衝液(NaH2PO4−50mM pH7.0)は、17mL、最後は17mLのTriton X−100の体積に添加された。この溶液を調製後、冷蔵庫で保存した。胚及び緩衝液を含むプレートを密封し、暗所中、温室にて37℃で約16時間インキュベートした。その後、緩衝液を取り除き、1mLの70%エタノールを添加して、反応を停止させた。試料を実体顕微鏡(SQZ−DS4−BI(Tecnival))下で分析し、画像を獲得して結果を書面にした。組織化学的アッセイは、ストレスに供した後、試薬X−Glucが実施さえると、品種BRS133はより強い応答を示すことが示され、これは、青色スポットが明確であり、形質転換された細胞を示す制限された領域において視認されるためである。この不溶性の青色沈澱物は、β−グルクロニダーゼをコードする構築カセットに存在するGus遺伝子反応産物であり、この酵素は、O2の存在下で沈殿する二量体を形成するX−Gluc基質と反応する。品種Pintadoからの胚アッセイ結果を分析する場合、ストレスの大部分において、正の青色スポットは検出されなかった。この品種では、内因性GUS発現がより高く、完全な青色胚をもたらし、その結果が分析と干渉する。大豆胚のバックグランド内因性GUS活性は以前の研究において報告されていた。Hu及び共同研究者(Plant Cell Reports,9:1−5,1990)は、53の種々の植物種を分析し、葉、果実部分、種子及び胚における固有のGUS活性を試験した。この研究では、大豆は、新鮮な果実由来の成熟胚と脱水された種子の成熟胚において、強力な正の染色を示し、内因性GUS活性の結果を示した。このようにして、熱ストレスは、温室中で2時間、4時間、及び24時間、25℃、35℃、及び45℃の温度にトランスジェニック胚を供することによって適用された。
図18、19及び20は、それぞれ、試験された両品種に対するこれらの処置を示す。冷却ストレスは、冷蔵庫及び温室中で、2時間、4時間、及び24時間、4℃及び15℃の温度にトランスジェニック胚を供することによって適用された(
図21及び22)。このストレスについて、組織化学的反応の陽性青色スポットに関する、品種間の相違は、Pintado胚においてより非常に顕著であり、それらは構造的に青色であり、内因性GUS活性に起因している。従前の文献(Hu et al.(1990),Plant Cell Reports,9:1−5)に記載されている。もう一度、品種BRS133由来の胚は、組織化学的アッセイに対してより良好な応答を示し、それは、この品種が選択されるものであり、この研究の次の工程で使用されなければならないことを示す。塩分ストレス実験は、対照としての水、200mM、400mMの濃度のNaCl濃度に24時間、トランスジェニック胚を維持することによって行われた。品種BRS133由来の胚は、このアッセイに正に応答し続け、制限された領域で青色スポットを示し、以前のストレスとは相違し、品種Pintadoは明らかでありかつ検出可能な応答を示さなかった。
図23はそれらの結果を示す。干ばつストレスは、フィルターペーパー上に37℃で胚を配置し、温室中で2時間、4時間、及び6時間維持することによって適用された。もう一度、品種BRS133は、組織化学的アッセイに陽性応答を示し、一方、品種Pintadoは、再度、陰性応答を示した。後者は、
図24に示される通り、内因性GUS発現の結果として、胚の非特異的な青色染色を示した。根こぶ線虫M.ジャワニカの感染段階であるジャワニカJ2を用いて、品種BRS133及びPintado由来の胚への感染は生物的ストレスを構築した。約2000〜3000のJ2/ mLをトランスジェニック試料とともにインキュベートし、24時間、48時間及び72時間維持した。結果は、品種BRS133(
図25)は、組織化学的アッセイの陽性の青色スポットを示したことを表し、これは、カセット発現が満足いくように起きたことを示す。この時間を経過したとき、胚は、それらの局面が改変され、赤茶色を示し、対照試料を含むことを示している。この変化は、72時間後により視認され、感染時に、ホルモン及び物質を注射する染色の感染形態によって胚を攻撃することによって引き起こすことができ、それは、宿主植物の根において起こるのと同じように、細胞改変を可能にする。しかしながら、Rと命名された胚は、耐性カセットpAG1/プロモーターGmhsp
JF7027で形質転換されたものであり、影響が少ないという局面を有し、72時間で接種された試料は、元の局面を維持し、白色であり、これは、どうも、より高い数のAT(n)繰り返しで、耐性集団JF7027からの個体由来のGmhsp17.β−L遺伝子のプロモーター領域を含むカセットが、おそらく、より高い発現レベルのシャペロンにより、病原体攻撃に対するより良好な応答を示すことを示唆している。Pintado由来の胚はまた、J2線虫の接種により生物的ストレスに供された場合、構成的に青色に染色される組織化学的アッセイに対して負の応答に加えて、色の変化の応答を示し、48時間から、特に72時間からより顕著であった。
図26は結果を示す。
【0096】
生物的ストレス及び非生物的ストレスに供された後、組織化学的アッセイはマーカー遺伝子Gusの存在を検出した、品種BRS133及びPintadoに対する示された結果から結論付けることがえきるが、しかし、高い内因性活性も、特に品種Pintadoにおいて観察され、異なる材料が形質転換プロセスへの明確な応答を示したことを示唆している。
【0097】
Gus発現はまさに形質転換の証拠として考えられると言及するには価値があるが、植物ゲノムへのGus遺伝子の組込みの決定的証拠としては不十分である(Potrykus(1990),Physiologia Plantarum 79:129−134)。内因性DNA配列の組込みの決定的証拠は、分子生物学的技術を介して、特異的プローブを用いてゲノムDNAハイブリダイゼーションによって与えられる。