(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換準備信号送信処理において、動作モードの切り換えが必要な複数の前記双方向通信後ろ機のうち、最下流に配置された前記双方向通信後ろ機のみに前記切換準備信号を送信する
ことを特徴とする請求項1または2記載のリネン設備。
前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換信号送信処理において、一の前記双方向通信後ろ機から前記切換準備完了信号を受信するたびに、前記切換準備完了信号を送信した前記双方向通信後ろ機に前記切換信号を送信する
ことを特徴とする請求項1または2記載のリネン設備。
前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機からの信号の受信のみ可能な一または複数の単方向通信後ろ機を備え、
前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換信号送信処理において、前記切換準備信号送信処理において前記切換準備信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換準備完了信号を受信したときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記単方向通信後ろ機の全てに前記切換信号を送信し、
一または複数の前記単方向通信後ろ機のそれぞれは、前記先頭機から前記切換信号を受信したときに、動作モードを切り換える動作モード切換処理を行なう
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリネン設備。
前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記処理ラインを搬送される複数の布類のそれぞれを特定する情報を含む布類特定情報を一または複数の前記双方向通信後ろ機に送信する布類特定情報送信処理を行い、
前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、
前記先頭機から前記布類特定情報を受信する布類特定情報受信処理と、
前記布類特定情報のうち、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を特定する情報である最後布類特定情報を抽出する最後布類特定情報抽出処理と、
前記最後布類特定情報抽出処理の後、前記最後布類特定情報に基づいて、処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応するか否かを判断する最後布類特定処理と、を行なう
ことを特徴とする請求項1または7記載のリネン設備。
前記布類特定情報には、布類の寸法を示す第1パラメータと、該布類の処理順番、該布類の前記処理ラインにおける位置、および該布類と直前の布類との間隔のうちの一または複数を示す一または複数の第2パラメータとが含まれており、
前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、前記最後布類特定処理において、前記第1パラメータの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応し、かつ、一または複数の前記第2パラメータのいずれかの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応する場合に、前記処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応すると判断する
ことを特徴とする請求項9記載のリネン設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
布類処理装置には処理対象の布類の種類によって動作モードを切り換えるものがある。従来のリネン設備は、作業員が布類の種類を切り換える操作を行なうと、先頭の投入機が所定の待ち時間新規の布類の受け付けを停止するよう制御されている。投入機をこのように制御することで、処理ラインを搬送されている全ての布類が末尾の折畳み機から排出されるのを待つ。その後、布類処理装置の動作モードを切り換える。
【0006】
投入機の待ち時間は、布類が先頭の投入機に投入されてから末尾の折畳み機から排出されるまでにかかる時間に、余裕をみた時間を加算して設定される。一般に、待ち時間は数十秒である。布類の種類を切り換える操作をするたびに、数十秒の待ち時間が発生するため、その分リネン設備の生産効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、布類処理装置の動作モードの切り換えに要する待ち時間を短縮できるリネン設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のリネン設備は、処理ラインの先頭に配置された布類処理装置である先頭機と、前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機と双方向に通信可能な一または複数の双方向通信後ろ機と、を備え、前記先頭機は、布種類の切換操作を受け付ける入力部と、リネン設備制御部と、
複数の布種類と、複数の前記布種類のそれぞれに対応する一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれの動作モードとが記憶された記憶部と、を備え、前記リネン設備制御部は、
前記入力部が前記切換操作を受け付けたときに、前記記憶部を参照し、前記切換操作前の布種類と前記切換操作後の布種類とから、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機を特定する後ろ機特定処理と、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換準備信号を送信する切換準備信号送信処理と、前記切換準備信号送信処理において前記切換準備信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換準備完了信号を受信したときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する切換信号送信処理と、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときから、前記切換信号送信処理で前記切換信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまでの間、新規の布類の受け付けを停止する待ち処理と、を行い、一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれは、個別制御部を備え、前記個別制御部は、前記先頭機から前記切換準備信号を受信した後、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を排出したことを判断する排出判断処理と、前記排出判断処理の後、前記先頭機に前記切換準備完了信号を送信する切換準備完了信号送信処理と、前記先頭機から前記切換信号を受信したときに、動作モードを切り換える動作モード切換処理と、前記動作モード切換処理の後、前記先頭機に前記切換完了信号を送信する切換完了信号送信処理と、を行なうことを特徴とする。
第2発明のリネン設備は、処理ラインの先頭に配置された布類処理装置である先頭機と、前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機と双方向に通信可能な一または複数の双方向通信後ろ機と、を備え、前記先頭機は、布種類の切換操作を受け付ける入力部と、リネン設備制御部と、を備え、前記リネン設備制御部は、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換準備信号を送信する切換準備信号送信処理と、前記切換準備信号送信処理において前記切換準備信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換準備完了信号を受信したときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する切換信号送信処理と、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときから、前記切換信号送信処理で前記切換信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまでの間、新規の布類の受け付けを停止する待ち処理と、を行い、一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれは、個別制御部を備え、前記個別制御部は、前記先頭機から前記切換準備信号を受信した後、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を特定する情報である最後布類特定情報に基づいて、処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応するか否かを判断する最後布類特定処理と、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を排出したことを判断する排出判断処理と、前記排出判断処理の後、前記先頭機に前記切換準備完了信号を送信する切換準備完了信号送信処理と、前記先頭機から前記切換信号を受信したときに、動作モードを切り換える動作モード切換処理と、前記動作モード切換処理の後、前記先頭機に前記切換完了信号を送信する切換完了信号送信処理と、を行ない、前記最後布類特定情報には、布類の寸法を示す第1パラメータと、該布類の処理順番、該布類の前記処理ラインにおける位置、および該布類と直前の布類との間隔のうちの一または複数を示す一または複数の第2パラメータとが含まれており、前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、前記最後布類特定処理において、前記第1パラメータの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応し、かつ、一または複数の前記第2パラメータのいずれかの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応する場合に、前記処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応すると判断することを特徴とする。
第3発明のリネン設備は、第1
または第2発明において、前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換準備信号送信処理において、動作モードの切り換えが必要な複数の前記双方向通信後ろ機のうち、最下流に配置された前記双方向通信後ろ機のみに前記切換準備信号を送信することを特徴とする。
第4発明のリネン設備は、第1
または第2発明において、前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換信号送信処理において、一の前記双方向通信後ろ機から前記切換準備完了信号を受信するたびに、前記切換準備完了信号を送信した前記双方向通信後ろ機に前記切換信号を送信することを特徴とする。
第5発明のリネン設備は、第1
〜第4発明のいずれかにおいて、前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機からの信号の受信のみ可能な一または複数の単方向通信後ろ機を備え、前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記切換信号送信処理において、前記切換準備信号送信処理において前記切換準備信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換準備完了信号を受信したときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記単方向通信後ろ機の全てに前記切換信号を送信し、一または複数の前記単方向通信後ろ機のそれぞれは、前記先頭機から前記切換信号を受信したときに、動作モードを切り換える動作モード切換処理を行なうことを特徴とする。
第6発明のリネン設備は、第5発明において、前記先頭機は、複数の布種類と、複数の前記布種類のそれぞれに対応する一または複数の前記単方向通信後ろ機のそれぞれの動作モードとが記憶された記憶部を備え、前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときに、前記記憶部を参照し、前記切換操作前の布種類と前記切換操作後の布種類とから、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記単方向通信後ろ機を特定する後ろ機特定処理を行なうことを特徴とする。
第7発明のリネン設備は、処理ラインの先頭に配置された布類処理装置である先頭機と、前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機と双方向に通信可能な一または複数の双方向通信後ろ機と、を備え、前記先頭機は、布種類の切換操作を受け付ける入力部と、リネン設備制御部と、
複数の布種類と、複数の前記布種類のそれぞれに対応する一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれの動作モードとが記憶された記憶部と、を備え、前記リネン設備制御部は、
前記入力部が前記切換操作を受け付けたときに、前記記憶部を参照し、前記切換操作前の布種類と前記切換操作後の布種類とから、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機を特定する後ろ機特定処理と、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する切換信号送信処理と、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときから、前記切換信号送信処理で前記切換信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまでの間、新規の布類の受け付けを停止する待ち処理と、を行い、一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれは、個別制御部を備え、前記個別制御部は、前記先頭機から前記切換信号を受信した後、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を排出したことを判断する排出判断処理と、前記排出判断処理の後、動作モードを切り換える動作モード切換処理と、前記動作モード切換処理の後、前記先頭機に前記切換完了信号を送信する切換完了信号送信処理と、を行なうことを特徴とする。
第8発明のリネン設備は、処理ラインの先頭に配置された布類処理装置である先頭機と、前記処理ラインの前記先頭機より下流に配置された一または複数の布類処理装置であって、前記先頭機と双方向に通信可能な一または複数の双方向通信後ろ機と、を備え、前記先頭機は、布種類の切換操作を受け付ける入力部と、リネン設備制御部と、を備え、前記リネン設備制御部は、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときに、動作モードの切り換えが必要な一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する切換信号送信処理と、前記入力部が前記切換操作を受け付けたときから、前記切換信号送信処理で前記切換信号を送信した一または複数の前記双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまでの間、新規の布類の受け付けを停止する待ち処理と、を行い、一または複数の前記双方向通信後ろ機のそれぞれは、個別制御部を備え、前記個別制御部は、前記先頭機から前記切換信号を受信した後、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を特定する情報である最後布類特定情報に基づいて、処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応するか否かを判断する最後布類特定処理と、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を排出したことを判断する排出判断処理と、前記排出判断処理の後、動作モードを切り換える動作モード切換処理と、前記動作モード切換処理の後、前記先頭機に前記切換完了信号を送信する切換完了信号送信処理と、を行ない、前記最後布類特定情報には、布類の寸法を示す第1パラメータと、該布類の処理順番、該布類の前記処理ラインにおける位置、および該布類と直前の布類との間隔のうちの一または複数を示す一または複数の第2パラメータとが含まれており、前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、前記最後布類特定処理において、前記第1パラメータの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応し、かつ、一または複数の前記第2パラメータのいずれかの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応する場合に、前記処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応すると判断することを特徴とする。
第9発明のリネン設備は、第1
または第7発明において、前記先頭機の前記リネン設備制御部は、前記処理ラインを搬送される複数の布類のそれぞれを特定する情報を含む布類特定情報を一または複数の前記双方向通信後ろ機に送信する布類特定情報送信処理を行い、前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、前記先頭機から前記布類特定情報を受信する布類特定情報受信処理と
、前記布類特定情報のうち、前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類を特定する情報である最後布類特定情報を抽出する最後布類特定情報抽出処理と、前記最後布類特定情報抽出処理の後、前記最後布類特定情報に基づいて、処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応するか否かを判断する最後布類特定処理と、を行なうことを特徴とする。
第10発明のリネン設備は、
第9発明において、前記布類特定情報には、布類の寸法を示す第1パラメータと、該布類の処理順番、該布類の前記処理ラインにおける位置、および該布類と直前の布類との間隔のうちの一または複数を示す一または複数の第2パラメータとが含まれており、前記双方向通信後ろ機の前記個別制御部は、前記最後布類特定処理において、前記第1パラメータの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応し、かつ、一または複数の前記第2パラメータのいずれかの観点で前記処理対象の布類が前記最後布類特定情報に対応する場合に、前記処理対象の布類が前記切換操作の直前に前記先頭機に供給された布類に対応すると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、双方向通信後ろ機の切換準備が完了したタイミングで動作モードの切り換えを開始するので、動作モードの切り換えを開始するまでに余分な時間が生じず、先頭機の待ち時間を短縮できる。
第2発明によれば、第1パラメータと第2パラメータとを用いることで、処理対象の布類が最後の布類に対応するか精度良く判断できる。
第3発明によれば、動作モードの切り換えが必要な複数の双方向通信後ろ機のうち、最下流に配置された双方向通信後ろ機のみについて切換準備が完了したことを確認するだけでも、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機の切換準備が完了したと判断できる。
第4発明によれば、切換準備が完了した双方向通信後ろ機は、他の双方向通信後ろ機の切換準備の完了を待つことなく動作モードの切り換えを開始するので、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機の動作モードの切り換えが完了するまでに要する時間を短縮できる。その結果、先頭機の待ち時間をさらに短縮できる。
第5発明によれば、リネン設備に単方向通信後ろ機が含まれる場合でも、単方向通信後ろ機の動作モードの切り換えを行なうことができる。
第6発明によれば、記憶部に記憶された情報に基づいて、動作モードの切り換えが必要な単方向通信後ろ機を特定できる。
第7発明によれば、双方向通信後ろ機の切換準備が完了したタイミングで動作モードの切り換えを開始するので、動作モードの切り換えを開始するまでに余分な時間が生じず、先頭機の待ち時間を短縮できる。
第8発明によれば、第1パラメータと第2パラメータとを用いることで、処理対象の布類が最後の布類に対応するか精度良く判断できる。
第9発明によれば、布類特定情報に基づいて最後の布類を特定できる。
第10発明によれば、第1パラメータと第2パラメータとを用いることで、処理対象の布類が最後の布類に対応するか精度良く判断できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
(リネン設備)
本発明の第1実施形態に係るリネン設備Aの構成を説明する。
図1に示すように、リネン設備Aは布類Fを処理する複数の布類処理装置10、20、30、40で構成されている。複数の布類処理装置10、20、30、40が直列に接続されることで処理ラインが構成されている。布類Fは処理ラインを搬送されながら、各種の布類処理装置10、20、30、40により各種の処理が施される。
【0012】
ここで、「布類」はリネン設備Aの処理対象物である。布類として、デュベカバー、包布、シーツ、ピロケース、タオルなどの方形状布類、浴衣、病衣などの衣類が挙げられる。「布類処理装置」は布類に対して何らかの処理を施す装置である。布類処理装置として、洗濯機、脱水機、乾燥機、捌き装置、投入機、ロールアイロナー、検査装置、折畳み機、結束機が挙げられる。
【0013】
本明細書では、処理ラインを構成する複数の布類処理装置10、20、30、40のうち、処理ラインの先頭に配置された布類処理装置10を「先頭機」と称する。また、処理ラインを構成する複数の布類処理装置10、20、30、40のうち、処理ラインの先頭機10より下流に配置された布類処理装置20、30、40を「後ろ機」と称する。後ろ機は一台でもいいが、通常複数台である。
【0014】
後ろ機20、30、40のうち、先頭機10と双方向に通信可能な後ろ機を「双方向通信後ろ機」と称する。双方向通信後ろ機は一台でもよいし、複数台でもよい。後ろ機20、30、40のうち、先頭機10からの信号の受信のみ可能な後ろ機を「単方向通信後ろ機」と称する。単方向通信後ろ機は一台でもよいし、複数台でもよい。また、単方向通信後ろ機を設けない構成としてもよい。
【0015】
本実施形態において、布類処理装置10、20、30、40は、投入機10、ロールアイロナー20、検査装置30、および折畳み機40である。すなわち、本実施形態のリネン設備Aは、投入機10、ロールアイロナー20、検査装置30、および折畳み機40で構成されている。投入機10、ロールアイロナー20、検査装置30、および折畳み機40はこの順に接続され、処理ラインを構成している。
【0016】
洗濯済みの布類Fは、作業員Wにより投入機10に投入されてたるみの無い整姿状態に展開された後、ロールアイロナー20でアイロン掛けされ、検査装置30で品質検査が行われ、折畳み機40で折り畳まれる。
【0017】
投入機10は布類Fが投入される装置である。投入機10は布類Fをたるみのない整姿状態に整えてロールアイロナー20に受け渡す。投入機10は布類Fを把持するチャックや、布類Fを搬送するコンベアを備えている。布類Fの一辺の両角部をチャックで把持して吊り下げることで、布類Fを展開できる。
【0018】
ロールアイロナー20は布類Fをアイロン掛けする装置である。ロールアイロナー20は一または複数の加熱ロールを備えている。布類Fを加熱ロールに接触させながら搬送することで、連続的に布類Fを乾燥させることができる。
【0019】
検査装置30は布類Fを撮影した画像に基づいて布類Fの品質を検査する装置である。検査装置30で不良と判断された布類Fは、後続の折畳み機40で別途排出され、繰り返し洗濯するなどの処理が行われる。
【0020】
折畳み機40は布類Fを折り畳む装置である。折畳み機40は布類Fを搬送する複数のコンベアと、コンベアで搬送されている布類Fを所定の折り位置で折り畳む複数の折装置とを備えている。折装置は、折板と、折板を駆動させるアクチュエータとからなる。折装置は、折板を2つのコンベアの接続部に向かって進退させるよう構成されている。布類Fの折り位置がコンベアの接続部に達したタイミングで折板を駆動させ、布類Fの折り位置をコンベアの接続部に向かって突き込む。折り畳まれた状態の布類Fをコンベアの接続部に進入させることで布類Fを折り畳む。このような折動作を複数回繰り返すことで、布類Fを所定の形状に折り畳むことができる。
【0021】
図2に示すように、各布類処理装置10、20、30、40は個別制御部11、21、31、41を備えている。各個別制御部11、21、31、41はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータで構成されている。各個別制御部11、21、31、41はそれに対応する布類処理装置10、20、30、40の動作を制御する機能を有する。
【0022】
先頭機10は個別制御部11のほかにリネン設備制御部13を備えている。リネン設備制御部13はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータで構成されている。リネン設備制御部13はリネン設備A全体を制御する機能を有する。
【0023】
リネン設備制御部13と、後ろ機30の個別制御部31と、後ろ機40の個別制御部41とは、ネットワーク回線51で接続されており、双方向に通信可能となっている。したがって、本実施形態において後ろ機30、40は先頭機10と双方向に通信可能な双方向通信後ろ機である。ネットワーク回線51は、例えばLAN(Local Area Network)である。イーサネット(登録商標)ケーブルを用いた有線LANでもよいし、無線LANでもよい。
【0024】
リネン設備制御部13と後ろ機20の個別制御部21とは通信線52で接続されている。個別制御部21はリネン設備制御部13からの信号の受信のみ可能となっている。したがって、本実施形態において後ろ機20は先頭機10からの信号の受信のみ可能な単方向通信後ろ機である。
【0025】
先頭機10は布類検知部12を備えている。布類検知部12は先頭機10に備えられた各種センサの検知結果などから得られる布類の情報(以下、「先頭機布類検知情報」と称する。)を取得する機能を有する。布類検知部12が取得した先頭機布類検知情報は個別制御部11を介してリネン設備制御部13に入力されている。先頭機布類検知情報には、新規の布類が供給された時点と、現に処理している布類の寸法と、現に処理している布類とその直前に供給された布類との間隔とが含まれる。
【0026】
先頭機10が投入機10である場合、作業員が布類を把持させる投入チャックの開閉状態から、新規の布類が供給された時点を検知できる。布類の一辺の両角部を把持して広げる展開チャックの開き幅から、布類の幅寸法を検知できる。コンベアに設けられた光電センサが布類を検知している時間と、そのコンベアの搬送速度とから、布類の縦寸法を求めることができる。コンベアに設けられた光電センサが布類を検知していない時間と、そのコンベアの搬送速度とから、布類とその直前の布類との間隔を求めることができる。
【0027】
各双方向通信後ろ機30、40は布類検知部32、42を備えている。各布類検知部32、42は対応する双方向通信後ろ機30、40に備えられた各種センサの検知結果などから得られる布類の情報(以下、「後ろ機布類検知情報」と称する。)を取得する機能を有する。各布類検知部32、42が取得した後ろ機布類検知情報は対応する個別制御部31、41に入力されている。後ろ機布類検知情報には、現に処理している布類の寸法と、現に処理している布類とその直前に供給された布類との間隔と、布類が排出された時点とが含まれる。
【0028】
双方向通信後ろ機30が検査装置30である場合、カメラで撮影した布類の画像から、布類の幅寸法および縦寸法を求めることができる。コンベアに設けられた光電センサが布類を検知していない時間と、そのコンベアの搬送速度とから、布類とその直前の布類との間隔を求めることができる。排出コンベアに設けられた光電センサにより、布類が排出された時点を検知できる。
【0029】
双方向通信後ろ機40が折畳み機40の場合、コンベアに設けられた光電センサが布類を検知している時間と、そのコンベアの搬送速度とから、布類の縦寸法を求めることができる。コンベアに設けられた光電センサが布類を検知していない時間と、そのコンベアの搬送速度とから、布類とその直前の布類との間隔を求めることができる。布類を排出する機構が動作したタイミングから、布類が排出された時点を検知できる。
【0030】
各布類処理装置10、20、30、40は、処理対象の布類の種類(以下、「布種類」と称する。)によって動作モードを切り換える。すなわち、各布類処理装置10、20、30、40は複数の動作モードを有しており、処理対象の布種類に最適な動作モードで動作するよう制御される。
【0031】
例えば、投入機10の場合、布種類によって、各種装置の動作パターン(布類を展開する力の強さ、シワ取り機構の動作時間や動作タイミングなど)、コンベアの搬送速度などを切り換える。ロールアイロナー20の場合、布種類によって、コンベアの搬送速度などを切り換える。検査装置30の場合、布種類によって、画像処理のパラメータ、コンベアの搬送速度などを切り換える。折畳み機40は、布種類によって、折装置の動作パターン(折り回数や折り方など)、コンベアの搬送速度などを切り換える。
【0032】
先頭機10は記憶部15を備えている。記憶部15には各布類処理装置10、20、30、40の動作モードの情報が記憶されている。リネン設備制御部13は記憶部15にアクセス可能となっている。
【0033】
例えば、記憶部15には表1に示す形態で動作モードの情報が記憶されている。
【表1】
【0034】
表1においてF1、F2、F3、F4、F5は布種類の別を意味する。布種類として、デュベカバー(普通品質)、デュベカバー(高品質)、デュベカバー(色付き)、包布、シーツが挙げられる。
【0035】
表1においてM11、M12、M13、M14、M15は先頭機10の動作モードの別を意味する。先頭機10は5つの動作モードを有する。例えば、布種類F1の場合には動作モードM11が選択される。布種類F5の場合には動作モードM15が選択される。各動作モードM11、M12、M13、M14、M15には、先頭機10の設定値(各種装置の動作パターン、コンベアの搬送速度などの設定値)の情報も含まれる。
【0036】
同様に、M21、M22は単方向通信後ろ機20の動作モードの別を意味する。M31、M32、M33は双方向通信後ろ機30の動作モードの別を意味する。M41、M42、M43は双方向通信後ろ機40の動作モードの別を意味する。
【0037】
なお、表1はあくまで例示であって、各布類処理装置10、20、30、40が有する動作モードの数はこれに限定されない。布種類と動作モードとの組み合わせもこれに限定されない。
【0038】
また、記憶部15にはリネン設備Aを構成する全ての双方向通信後ろ機、および単方向通信後ろ機の動作モードの情報が記憶されている。双方向通信後ろ機が一台の場合には、その双方向通信後ろ機の動作モードの情報が記憶される。双方向通信後ろ機が複数台の場合には、それら複数台の双方向通信後ろ機の動作モードの情報が記憶される。同様に、単方向通信後ろ機が一台の場合には、その単方向通信後ろ機の動作モードの情報が記憶される。単方向通信後ろ機が複数台の場合には、それら複数台の単方向通信後ろ機の動作モードの情報が記憶される。リネン設備Aに単方向通信後ろ機が含まれない場合には、単方向通信後ろ機の動作モードの情報は記憶されない。
【0039】
すなわち、記憶部15には、複数の布種類F1、F2、F3、F4、F5と、複数の布種類F1、F2、F3、F4、F5のそれぞれに対応する一または複数の双方向通信後ろ機のそれぞれの動作モードとが記憶されている。また、リネン設備Aに単方向通信後ろ機が含まれる場合には、記憶部15には、複数の布種類F1、F2、F3、F4、F5のそれぞれに対応する一または複数の単方向通信後ろ機のそれぞれの動作モードも記憶されている。
【0040】
先頭機10は、作業員による布種類の切換操作を受け付ける入力部14を備えている。入力部14は、例えばタッチパネルで構成されている。作業員は今まで先頭機10に供給していた布類と異なる布種類の布類の供給を開始する直前に、入力部14を用いて布種類を切り換える操作を行なう。例えば、布種類F1の布類を先頭機10に供給していたところ、布種類F5の布類の供給を開始する場合には、その直前に布種類F1から布種類F5に切り換える操作を行なう。
【0041】
入力部14の操作結果はリネン設備制御部13に入力されている。したがって、リネン設備制御部13は布種類の切換操作が行われたこと、および切換前後の布種類を認識できる。また、リネン設備制御部13は布種類の切換操作が行われた場合に、各布類処理装置10、20、30、40の動作モードを切り換える処理を行なう。
【0042】
(動作モード切換処理)
つぎに、リネン設備Aによる動作モードの切換処理を説明する。
動作モードの切換処理は、リネン設備Aが稼働している間常に実行される常時処理と、布種類の切換操作が行われたときに実行される適時処理とからなる。以下、順に説明する。
【0043】
(常時処理)
まず、
図3に示すフローチャートに基づき、常時処理を説明する。
先頭機10のリネン設備制御部13は布類特定情報を生成する(ステップS101:布類特定情報生成処理)。布類特定情報には現時点において処理ラインを搬送される複数の布類のそれぞれを特定する情報が含まれる。
【0044】
例えば、布類特定情報には表2に示す情報が含まれる。すなわち、布類特定情報には、処理ラインを搬送されている布類の「処理順番」と、その布類の処理ラインにおける「位置」と、その布類の「寸法」と、その布類と直前の布類との「間隔」とが含まれる。
【表2】
【0045】
「処理順番」は布類が先頭機10に供給された順番である。通常、リネン設備Aの稼働開始直後に先頭機10に供給された布類の処理順番は1であり、その後先頭機10に布類が供給されるたびにカウントアップされる。表2に示す例では、処理ラインに5枚の布類が搬送されている。処理順番が150の布類は処理ラインの最下流を搬送されている。処理順番が154の布類は先頭機10に直近に供給された布類である。この直近の布類の処理順番はリネン設備Aの処理枚数といいかえることができる。
【0046】
処理ラインにおける「位置」は、布類特定情報を生成した時点における布類の位置である。処理ラインにおける位置を、布類が先頭機10に供給された時点からの経過時間で表してもよいし、経過時間とコンベアの搬送速度とから求めた搬送距離として表してもよい。
【0047】
布類の「寸法」には、布類の幅寸法(搬送方向と直交する方向の寸法)および縦寸法(搬送方向に沿った方向の寸法)の両方が含まれてもよいし、いずれか一方だけが含まれてもよい。
【0048】
布類の「間隔」は、その布類とその直前に供給された布類との処理ラインにおける間隔である。例えば、処理順番が154の布類と処理順番が153の布類との間隔である。布類の間隔を、布類と布類との間の時間間隔で表してもよいし、コンベア上の距離間隔として表してもよい。
【0049】
リネン設備制御部13は布類検知部12が取得した先頭機布類検知情報に基づいて布類特定情報を生成する。先頭機布類検知情報に含まれる新規の布類が供給された時点をカウントすることで「処理順番」を求める。先頭機布類検知情報に含まれる新規の布類が供給された時点からの経過時間、または経過時間とコンベアの搬送速度とから求められた搬送位置を処理ラインにおける「位置」とする。先頭機布類検知情報に含まれる布類の寸法、布類の間隔を、そのまま布類特定情報として用いる。
【0050】
なお、本明細書では、布類の「寸法」を「第1パラメータ」と称する。また、布類の「処理順番」、布類の処理ラインにおける「位置」、および布類と直前の布類との「間隔」のそれぞれを「第2パラメータ」と称する。布類特定情報には、これら3つの第2パラメータの全てが含まれてもよいし、いずれか一または複数が含まれてもよい。
【0051】
つぎに、リネン設備制御部13は生成した布類特定情報を全ての双方向通信後ろ機30、40に送信する(ステップS102:布類特定情報送信処理)。そうすると、各双方向通信後ろ機30、40の個別制御部31、41は、先頭機10から布類特定情報を受信する(ステップ201:布類特定情報受信処理)。
【0052】
リネン設備制御部13は布類特定情報生成処理(ステップS101)および布類特定情報送信処理(ステップS102)を所定時間間隔(例えば、1秒間隔、0.1秒間隔)で繰り返し行なう。そのつど、各双方向通信後ろ機30、40の個別制御部31、41は布類特定情報を受信する。したがって、先頭機10と双方向通信後ろ機30、40とは、最新の布類特定情報を共有できる。
【0053】
(適時処理)
つぎに、
図4および
図5に示すフローチャートに基づき、適時処理を説明する。
作業員は今まで先頭機10に供給していた布類と異なる布種類の布類の供給を開始する直前に、入力部14を用いて布種類の切換操作を行なう(ステップS301:切換操作)。
【0054】
そうすると、先頭機10のリネン設備制御部13は、動作モードの切り換えが必要な後ろ機を特定する(ステップS302:後ろ機特定処理)。具体的には、リネン設備制御部13は入力部14が切換操作を受け付けたときに記憶部15を参照する。そして、切換操作前の布種類と切換操作後の布種類とから、動作モードの切り換えが必要な一または複数の双方向通信後ろ機を特定する。また、切換操作前の布種類と切換操作後の布種類とから、動作モードの切り換えが必要な一または複数の単方向通信後ろ機を特定する。
【0055】
例えば、布種類F1から布種類F3に切り換えた場合を想定する。双方向通信後ろ機30の布種類F1に対応する動作モードはM31であり、布種類F3に対応する動作モードはM32である。切換前後の布種類F1、F3に対応する動作モードM31、M32が相違するため、双方向通信後ろ機30は動作モードの切り換えが必要である。
【0056】
双方向通信後ろ機40の布種類F1に対応する動作モードはM41であり、布種類F3に対応する動作モードはM41である。切換前後の布種類F1、F3に対応する動作モードM41が一致するため、双方向通信後ろ機40は動作モードの切り換えが必要ない。
【0057】
例えば、布種類F1から布種類F5に切り換えた場合を想定する。単方向通信後ろ機20の布種類F1に対応する動作モードはM21であり、布種類F5に対応する動作モードはM22である。切換前後の布種類F1、F5に対応する動作モードM21、M22が相違するため、単方向通信後ろ機20は動作モードの切り換えが必要である。同様に、先頭機10、および双方向通信後ろ機30、40の動作モードを切り換える必要がある。
【0058】
このように、記憶部15に記憶された動作モードの情報に基づいて、動作モードの切り換えが必要な双方向通信後ろ機、および単方向通信後ろ機を特定できる。
【0059】
後ろ機特定処理(ステップS302)において、いずれの布類処理装置10、20、30、40も動作モードの切り換えが必要ないと判断された場合(ステップS303においてNo)、リネン設備制御部13はそのまま処理を終了する。
【0060】
後ろ機特定処理(ステップS302)において、先頭機10のみ動作モードの切り換えが必要であると判断される場合がある。例えば、布種類F1から布種類F2に切り換えた場合である。この場合も、リネン設備制御部13はそのまま処理を終了する(ステップS303においてNo)。
【0061】
なお、先頭機10の動作モードの切り換えが必要な場合、リネン設備制御部13は先頭機10の個別制御部11に動作モードの切り換えを指示する。個別制御部11はリネン設備制御部13からの指示に基づいて先頭機10の動作モードを切り換える。
【0062】
単方向通信後ろ機20および双方向通信後ろ機30、40のいずれも動作モードの切り換えが必要ない場合、後述の「待ち処理」を行わない。そのため、作業員が布類を先頭機10に供給する作業に待ち時間が発生することがない。
【0063】
後ろ機特定処理(ステップS302)において、単方向通信後ろ機20および双方向通信後ろ機30、40のいずれかについて動作モードの切り換えが必要であると判断された場合(ステップS303においてYes)、リネン設備制御部13は先頭機10の個別制御部11に指示を出し、先頭機10において新規の布類の受け付けを停止する(ステップS304:受付停止)。
【0064】
先頭機10における新規の布類の受け付けは、ステップS304から後述のステップ309まで停止される。この期間の新規の布類の受け付けを停止する処理を「待ち処理」と称する。
【0065】
つぎに、リネン設備制御部13は、後ろ機特定処理(ステップS302)で特定した動作モードの切り換えが必要な一または複数の双方向通信後ろ機の全てに切換準備信号を送信する(ステップS305:切換準備信号送信処理)。
【0066】
例えば、布種類F1から布種類F3に切り換えた場合、動作モードの切り換えが必要な双方向通信後ろ機30のみに切換準備信号を送信する。例えば、布種類F1から布種類F5に切り換えた場合、動作モードの切り換えが必要な双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方に切換準備信号を送信する。
【0067】
以下、双方向通信後ろ機40に切換準備信号を送信したと仮定して、ステップS401〜S405の双方向通信後ろ機40の処理を説明する。なお、双方向通信後ろ機30に切換準備信号を送信した場合の双方向通信後ろ機30の処理も同様である。
【0068】
双方向通信後ろ機40の個別制御部41は、先頭機10から切換準備信号を受信する(ステップS401:切換準備信号受信処理)。このとき、個別制御部41は、前記の常時処理により先頭機10から送信された布類特定情報を参照する。そして、布類特定情報のうち、切換操作の直前に先頭機10に供給された布類(以下、「最後布類」と称する。)を特定する情報(以下、「最後布類特定情報」と称する。)を抽出する(ステップS402:最後布類特定情報抽出処理)。
【0069】
例えば、表2に示す布類特定情報において最後布類特定情報は、処理順番が154の布類の情報である。すなわち、布類特定情報のうち、処理順番が一番大きい布類の情報が最後布類特定情報に相当する。また、布類特定情報のうち、布類の位置が一番上流に近い布類の情報が最後布類特定情報に相当するともいえる。
【0070】
なお、布類特定情報に含まれる各種情報のうち、布類の「位置」は時間の経過とともに変化する。したがって、最後布類特定情報に含まれる布類の「位置」も時間の経過とともに変化する。
【0071】
つぎに、個別制御部41は、双方向通信後ろ機40が現に処理している布類についての後ろ機布類検知情報を布類検知部42から取得する。そして、最後布類特定情報と後ろ機布類検知情報とを比較し、現に処理している布類が最後布類に相当するか否かを判断する。すなわち、個別制御部41は、最後布類特定情報に基づいて、処理対象の布類が最後布類に対応するか否かを判断する(ステップS403:最後布類特定処理)。
【0072】
最後布類特定処理(ステップS403)は例えば以下のように行われる。
個別制御部41は以下に説明する観点1〜4のそれぞれについて、処理対象の布類が最後布類特定情報に対応するか判断する。
【0073】
観点1:寸法(第1パラメータ)
後ろ機布類検知情報に含まれる布類の寸法と、最後布類特定情報に含まれる布類の寸法とが一致する場合に、観点1において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応すると判断する。
【0074】
観点2:処理順番(第2パラメータ)
双方向通信後ろ機40における布類の処理順番と、最後布類特定情報に含まれる布類の処理順番とが一致する場合に、観点2において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応すると判断する。ここで、双方向通信後ろ機40における布類の処理順番は、布類が双方向通信後ろ機40から排出された順番である。双方向通信後ろ機40における布類の処理順番は、後ろ機布類検知情報に含まれる布類が排出された時点をカウントアップして生成される。
【0075】
観点3:位置(第2パラメータ)
後ろ機布類検知情報に含まれる布類が排出された時点において、処理ラインにおける双方向通信後ろ機40の布類の排出位置と、最後布類特定情報に含まれる布類の位置とが一致する場合に、観点2において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応すると判断する。ここで、処理ラインにおける双方向通信後ろ機40の布類の排出位置は、予め双方向通信後ろ機40に設定されている。
【0076】
観点4:間隔(第2パラメータ)
後ろ機布類検知情報に含まれる布類の間隔と、最後布類特定情報に含まれる布類の間隔とが一致する場合に、観点4において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応すると判断する。
【0077】
布類の寸法は、他のパラメータに比べて精度良く測定できる。したがって、このパラメータを用いれば、最後布類以外の布類を精度良く排除できる。しかし、リネン設備Aに同寸法の複数の布類が供給される場合には、布類の寸法のみで最後布類を特定することはできない。
【0078】
布類の位置は、比較的検知精度が低い。リネン設備Aを構成する複数の布類処理装置10、20、30、40の相対的な位置は、設置の仕方により変わるからである。
【0079】
リネン設備Aに何らかのエラーが発生した場合、リネン設備Aを搬送されている処理途中の布類が処理ラインから排出されることがある。布類の排出が発生した場合、同一の布類であっても。先頭機10の処理順番と、双方向通信後ろ機40の処理順番とが一致しない場合がある。また、最後布類の直前の布類が処理ラインから排出された場合、先頭機10で検知した最後布類の間隔と、双方向通信後ろ機40で検知した最後布類の間隔とが一致しなくなる。
【0080】
以上のように、各パラメータ単独では、最後布類を精度よく検知できないおそれがある。そこで、これらのパラメータを組み合わせて最後布類を検知することが好ましい。例えば、観点1(第1パラメータの観点)において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応し、かつ、観点2〜4のいずれか(第2パラメータのいずれかの観点)において処理対象の布類が最後布類特定情報に対応する場合に、処理対象の布類が最後布類に対応すると判断する。
【0081】
以上のように、布類特定情報に基づいて最後布類を特定できる。また、第1パラメータと第2パラメータとを用いることで、処理対象の布類が最後布類に対応するか精度良く判断できる。
【0082】
つぎに、個別制御部41は双方向通信後ろ機40が最後布類を排出したことを判断する(ステップS404:排出判断処理)。最後布類特定処理(ステップS403)で特定された最後布類が排出されたことを布類検知部42が検知した場合に、最後布類を排出したと判断する。
【0083】
つぎに、個別制御部41は先頭機10に切換準備完了信号を送信する(ステップS405:切換準備完了信号送信処理)。そうすると、リネン設備制御部13は切換準備完了信号を受信する(ステップS306:切換準備完了信号受信処理)。
【0084】
リネン設備制御部13は、切換準備信号送信処理(ステップS305)において切換準備信号を送信した一または複数の双方向通信後ろ機の全てから切換準備完了信号を受信するまで待つ。例えば、切換準備信号送信処理(ステップS305)において双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方に切換準備信号を送信した場合、双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方から切換準備完了信号を受信するまで待つ。リネン設備制御部13が切換準備完了信号を受信するのを待つことで、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機の切換準備が完了したと判断できる。
【0085】
つぎに、リネン設備制御部13は、後ろ機特定処理(ステップS302)で特定した動作モードの切り換えが必要な一または複数の単方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する(ステップS307:切換信号送信処理)。
【0086】
単方向通信後ろ機20の個別制御部21は、先頭機10から切換信号を受信したときに、動作モードを切り換える(動作モード切換処理)。したがって、リネン設備Aに単方向通信後ろ機20が含まれる場合でも、単方向通信後ろ機20の動作モードの切り換えを行なうことができる。
【0087】
また、リネン設備制御部13は、後ろ機特定処理(ステップS302)で特定した動作モードの切り換えが必要な一または複数の双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する(ステップS307:切換信号送信処理)。
【0088】
以下、双方向通信後ろ機40に切換信号を送信したと仮定して、ステップS406〜S408の双方向通信後ろ機40の処理を説明する。なお、双方向通信後ろ機30に切換信号を送信した場合の双方向通信後ろ機30の処理も同様である。
【0089】
双方向通信後ろ機40の個別制御部41は先頭機10から切換信号を受信する(ステップS406:切換信号受信処理)。そして、個別制御部41は双方向通信後ろ機40の動作モードを切り換える(ステップS407:動作モード切換処理)。
【0090】
なお、リネン設備制御部13が送信する切換信号に、双方向通信後ろ機40の切り換え後の動作モードにおける設定値を含めればよい。個別制御部41は切換信号に含まれる設定値を適用することで、双方向通信後ろ機40の動作モードを切り換える。
【0091】
リネン設備制御部13が送信する切換信号に動作モードの別の情報のみを含めてもよい。この場合、双方向通信後ろ機40には、予め各動作モードに対応する設定値が記憶されている。個別制御部41は切換信号に含まれる動作モードの別の情報に基づいて、その動作モードに対応する設定値を適用することで、双方向通信後ろ機40の動作モードを切り換える。
【0092】
つぎに、双方向通信後ろ機40の個別制御部41は動作モード切換処理(ステップS407)が完了した後、先頭機10に切換完了信号を送信する(ステップS408:切換完了信号送信処理)。
【0093】
リネン設備制御部13は切換完了信号を受信する(ステップS308:切換完了信号受信処理)。この際、リネン設備制御部13は、切換信号送信処理(ステップS307)において切換信号を送信した一または複数の双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまで待つ。例えば、切換信号送信処理(ステップS307)において双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方に切換信号を送信した場合、双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方から切換完了信号を受信するまで待つ。リネン設備制御部13が切換完了信号を受信するのを待つことで、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機の動作モードの切り換えが完了したと判断できる。
【0094】
つぎに、リネン設備制御部13は先頭機10の個別制御部11に指示を出し、先頭機10において新規の布類の受け付けを開始する(ステップS309:受付開始)。したがって、先頭機10は入力部14が切換操作を受け付けたとき(ステップS304)から、双方向通信後ろ機から切換完了信号を受信するまで(ステップS309)の間、新規の布類の受け付けを停止する。
【0095】
以上のように、双方向通信後ろ機の切換準備が完了したタイミングで動作モードの切り換えを開始するので、動作モードの切り換えを開始するまでに余分な時間が生じない。例えば、双方向通信後ろ機30のみ動作モードの切り換えが必要な場合、最後布類が双方向通信後ろ機30から排出されたタイミングで双方向通信後ろ機30の動作モードの切り換えを開始する。したがって、最後布類が双方向通信後ろ機40から排出されるまで待つことがない。また、双方向通信後ろ機40の動作モードの切り換えが必要な場合、最後布類が双方向通信後ろ機40から排出されたタイミングで双方向通信後ろ機40の動作モードの切り換えを開始する。したがって、従来必要であった余裕の時間を設ける必要がない。
【0096】
動作モードの切り換えを開始するまでに余分な時間が生じないので、先頭機10の待ち時間を短縮できる。そのため、リネン設備Aの生産効率が向上する。
【0097】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係るリネン設備Aを説明する。
本実施形態のリネン設備Aは第1実施形態の適時処理のうち切換準備信号送信処理(ステップS305)が異なる。
【0098】
リネン設備制御部13は、切換準備信号送信処理(ステップS305)において、動作モードの切り換えが必要な複数の双方向通信後ろ機の全てに切換準備信号を送信するのに代えて、動作モードの切り換えが必要な複数の双方向通信後ろ機のうち、最下流に配置された双方向通信後ろ機のみに換準備信号を送信する。
【0099】
例えば、布種類F1から布種類F5に切り換えた場合、2つの双方向通信後ろ機30、40の動作モードの切り換えが必要である。このうち、最下流に配置された双方向通信後ろ機40のみに切換準備信号を送信する。
【0100】
この場合、リネン設備制御部13は、切換準備完了信号受信処理(ステップS306)において、最下流に配置された双方向通信後ろ機40から切換準備完了信号を受信するまで待つ。
【0101】
このように、動作モードの切り換えが必要な複数の双方向通信後ろ機30、40のうち、最下流に配置された双方向通信後ろ機40のみについて切換準備が完了したことを確認するだけでも、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機30、40の切換準備が完了したと判断できる。最下流の双方向通信後ろ機40から最後布類が排出された場合には、その上流の双方向通信後ろ機30からも最後布類が排出されているからである。
【0102】
〔第3実施形態〕
つぎに、本発明の第3実施形態に係るリネン設備Aを説明する。
本実施形態のリネン設備Aは第1実施形態の適時処理のうち切換信号送信(ステップS307)が異なる。
【0103】
リネン設備制御部13は、切換信号送信処理(ステップS307)において、一の双方向通信後ろ機から切換準備完了信号を受信するたびに、切換準備完了信号を送信した双方向通信後ろ機に切換信号を送信する。
【0104】
例えば、まず双方向通信後ろ機30から切換準備完了信号を受信したときに、双方向通信後ろ機30に切換信号を送信する。その後、双方向通信後ろ機40から切換準備完了信号を受信したときに、双方向通信後ろ機40に切換信号を送信する。
【0105】
切換準備が完了した双方向通信後ろ機30は、他の双方向通信後ろ機40の切換準備の完了を待つことなく動作モードの切り換えを開始する。そのため、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機30、40の動作モードの切り換えが完了するまでに要する時間を短縮できる。
【0106】
例えば、双方向通信後ろ機30の動作モードの切り換えに要する時間が、双方向通信後ろ機40の動作モードの切り換えに要する時間よりも長いとする。双方向通信後ろ機40の切換準備完了を待って双方向通信後ろ機30、40の動作モードの切り換えを開始すると、双方向通信後ろ機40よりも後に双方向通信後ろ機30の動作モードの切り換えが完了する。これに対して本実施形態のように処理を行えば、双方向通信後ろ機30の動作モードの切り換えは、双方向通信後ろ機40の動作モードの切り換えよりも先に開始されるので、その分無駄な時間を短縮できる。その結果、先頭機10の待ち時間をさらに短縮できる。
【0107】
〔第4実施形態〕
つぎに、本発明の第4実施形態に係るリネン設備Aを説明する。
本実施形態のリネン設備Aは第1実施形態の適時処理の一部が異なる。以下、
図6および
図7に示すフローチャートに基づき、第1実施形態と異なる処理を主として説明する。
【0108】
先頭機10のリネン設備制御部13は、切換操作(ステップS501)、後ろ機特定処理(ステップS502)、ステップS503、受付停止(ステップS504)を行なう。これらの処理は第1実施形態におけるステップS301〜S304と同様である。
【0109】
つぎに、リネン設備制御部13は、後ろ機特定処理(ステップS502)で特定した動作モードの切り換えが必要な一または複数の双方向通信後ろ機の全てに切換信号を送信する(ステップS505:切換信号送信処理)。
【0110】
例えば、布種類F1から布種類F3に切り換えた場合、動作モードの切り換えが必要な双方向通信後ろ機30のみに切換信号を送信する。例えば、布種類F1から布種類F5に切り換えた場合、動作モードの切り換えが必要な双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方に切換信号を送信する。
【0111】
以下、双方向通信後ろ機40に切換信号を送信したと仮定して、ステップS601〜S606の双方向通信後ろ機40の処理を説明する。なお、双方向通信後ろ機30に切換信号を送信した場合の双方向通信後ろ機30の処理も同様である。
【0112】
双方向通信後ろ機40の個別制御部41は、先頭機10から切換信号を受信する(ステップS601:切換信号受信処理)。つぎに、個別制御部41は、最後布類特定情報抽出処理(ステップS602)、最後布類特定処理(ステップS603)、排出判断処理(ステップS604)を行なう。これらの処理は第1実施形態におけるステップS402〜S404と同様である。
【0113】
つぎに、個別制御部41は、動作モード切換処理(ステップS605)、切換完了信号送信処理(ステップS606)を行なう。これらの処理は第1実施形態におけるステップS407、S408と同様である。
【0114】
つぎに、リネン設備制御部13は切換完了信号を受信する(ステップS506:切換完了信号受信処理)。この際、リネン設備制御部13は、切換信号送信処理(ステップS505)において切換信号を送信した一または複数の双方向通信後ろ機の全てから切換完了信号を受信するまで待つ。例えば、切換信号送信処理(ステップS505)において双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方に切換信号を送信した場合、双方向通信後ろ機30および双方向通信後ろ機40の両方から切換完了信号を受信するまで待つ。リネン設備制御部13が切換完了信号を受信するのを待つことで、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機の動作モードの切り換えが完了したと判断できる。
【0115】
つぎに、リネン設備制御部13は先頭機10の個別制御部11に指示を出し、先頭機10において新規の布類の受け付けを開始する(ステップS507:受付開始)。したがって、先頭機10は入力部14が切換操作を受け付けたとき(ステップS504)から、双方向通信後ろ機から切換完了信号を受信するまで(ステップS507)の間、新規の布類の受け付けを停止する。
【0116】
以上のように、双方向通信後ろ機の切換準備が完了したタイミングで動作モードの切り換えを開始するので、動作モードの切り換えを開始するまでに余分な時間が生じない。その結果、先頭機10の待ち時間を短縮できる。
【0117】
しかも、2つの双方向通信後ろ機30、40に切換信号を送信した場合、双方向通信後ろ機30は、他の双方向通信後ろ機40の切換準備の完了を待つことなく動作モードの切り換えを開始する。そのため、動作モードの切り換えが必要な全ての双方向通信後ろ機30、40の動作モードの切り換えが完了するまでに要する時間を短縮できる。