(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、
図7で示すように、ワイヤを編むことで形成された筒状のワイヤネット301の一方の端部に結束コネクタ303を設けたケーブルグリップ305が知られている。なお、ワイヤネット301の他方の端は開口している(開放されている)。
【0003】
ここで、ワイヤネット301の他方の端からケーブル(
図7では図示せず)をワイヤネット301内に挿入し、結束コネクタ303を引っ張る。すると、ワイヤネット301の端部が絞られてワイヤネット301の径が小さくなり、ワイヤネット301がケーブルに付勢力をもって密着する。
【0004】
そして、ワイヤネット301とケーブルとの間の摩擦力によって、ワイヤネット301でケーブルを把持(保持)することができるようになっている。
【0005】
なお、従来のケーブルグリップに関する技術文献として、特許文献1を掲げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ケーブルに従来のケーブルグリップ305を取り付ける際、ケーブルグリップの径がケーブルに対して大きすぎるとケーブルが抜けてしまい、ケーブルグリップの径がケーブルに対して小さすぎるとケーブルが入らない。そのため、従来のケーブルグリップ305は、取り付けられるケーブルの径によって型番(サイズ)を使い分けており、使用されるケーブルクリップのラインアップが多種にわたっている。また、吊り上げ治具としてケーブルに取り付けられた従来のケーブルグリップ305は、取り外すことがなく再使用することがない。
【0008】
本発明は、従来よりも広範囲のサイズ(径)のケーブルを保持することができるとともに、再使用が可能であるケーブルクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、ネットと、前記ネットでケーブルを包み込んで保持するときに、前記ネットを筒状に形成する留め具と、
前記ネットの一部に設置されている結束コネクタとを有し、前記ケーブルを包み込んで保持するときに筒状になる前記ネットの一方の端部は、前記結束コネクタで塞がれており、前記ネットを平板状に展開させると前記ネットは略扇形に形成されており、
前記結束コネクタは、前記略扇形の小さいほうの円弧のところで前記ネットを束ねて保持しているケーブルグリップである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーブルグリップにおいて、前記ネットで前記ケーブルを包み込んで保持したときに、前記ネットは円筒状になり、前記留め具で留められている前記ネットの端が螺旋状になるように構成されているケーブルグリップである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来よりも広範囲のサイズ(径)のケーブルを保持することができるとともに、再使用が可能であるケーブルクリップを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るケーブルグリップ1は、たとえば、ケーブル3の先端を保持することで、ケーブル3を管路(図示せず)内に引き入れるとき使用されるものである。ケーブルグリップ1は、
図1〜
図4で示すように、ネット(網状部材)5と留め具7とを備えて構成されている。
【0015】
ネット5は、たとえば、ワイヤ9を編むことによって網状に形成されており、可撓性を備えている。ネット5は、これが展開された状態をネット5の厚さ方向で見ると所定形状に形成されている。
【0016】
留め具7は、ネット5に設けられており、ネット5でケーブル3を包み込んで保持するときに、ネット5を筒状に形成(係止)するものである(ネット5の筒状の形状を維持するためのものである)。
【0017】
なお、留め具7での係止がされていない状態(留めがされていない状態)では、ネット5は、後述する結束コネクタ11近傍の部位を除いて平板状(平面状)に展開できるようになっている。また、ネット5が筒状に形成されるときの筒(ネット5)の内径や外径は、留め具7によるネット5の係止位置を変えることで、変更することができるようになっている。
【0018】
ネット5でケーブル3を包み込んで保持しているときには、
図4で示すように、ネット5は円筒状に形成される。円筒状に形成されているネット5の、留め具7で留められているネット5の端13、15は、螺旋状になる。
【0019】
また、ネット5でケーブル3を包み込んで保持しているときには、筒状のネット5の周方向の一部(端13からこの近傍にかけての部位、端15からこの近傍にかけての部位)で、ネット5同士が重なっている。
【0020】
ケーブルグリップ1には、結束コネクタ11が設けられている。結束コネクタ11は、ネット5の一部に一体的に設置されている。
【0021】
そして、ケーブル3を包み込んで保持するときに筒状になるネット5の一方の端(ネットの筒の中心軸の延伸方向における一方の端;上端)が、結束コネクタ11で塞がれている。
【0022】
なお、ケーブル3を包み込んで保持するときに筒状になるネット5の他方の端(下端)は開口している。すなわち、ケーブル3を包み込んで保持するときに筒状になっているネット5は、有底円筒状になる。そして、ケーブル3の端部が、ネット5の開口部(ネット5の他方の端)19から筒状のネット5内に入り込んでいる。
【0023】
ここで、ケーブルグリップ1についてさらに詳しく説明する。
【0024】
ネット5単体は、平板状に展開させることができる。平板状に展開されているネット5をこの厚さ方向で見ると、たとえば、略扇形に形成されている。略扇形は、第1の扇形から第2の扇形を除去した形状である。この場合、第1の扇形と第2の扇形とはお互いが相似の関係になっている。第1の扇形は、第2の扇形よりも大きくなっている。また、第1の扇形の中心角の位置と、第2の扇形の中心角の位置とはお互いが一致している。
【0025】
ここで、略扇形の大きい方の円弧(第1の扇形の円弧)を第1の円弧とし、略扇形の小さい方の円弧(第2の扇形の円弧)を第2の円弧とし、第1の円弧の一方の端と第2の円弧の一方の端とをつないでいる線分(直線)を第1の線分とし、第1の円弧の他方の端と第2の円弧の他方の端とをつないでいる線分(直線)を第2の線分とする。
【0026】
結束コネクタ11は、第2の円弧のところで、ネット5を束ねて保持している。したがって、結束コネクタ11が設けられているネット5は、留め具7による係止がされていなければ、結束コネクタ11近傍の部位を除いて平面状に展開されるようになっている。
【0027】
留め具7は複数設けられており、各留め具7は、第1の線分のところ(ネットの端13)で、第1の線分の延伸方向に所定の間隔をあけてならんで設けられている。
【0028】
また、各留め具7のそれぞれは、第2の線分のところ(ネットの端15)のところもしくはこの端15から所定の距離だけ離れている複数の箇所(第2の線分の延伸方向に所定の間隔をあけてならんでいる箇所)でネット5に係止されるようになっている。
【0029】
なお、平板状に展開されているネット5単体が、この厚さ方向で見て、四角形状等の他の所定形状に形成されていてもよい。
【0030】
次に、留め具7について詳しく説明する。
【0031】
留め具7は、
図5、
図6で示すように、留め具本体21と、第1のフック形成部材23と第2のフック形成部材25とを備えて構成されている。
【0032】
留め具本体21は直方体状に形成されており、ネット5の端13のワイヤ9に一体的に設けられている。第1のフック形成部材23は、
図6で示すように、正面視において「J」字状に形成されており、留め具本体21と一体になって留め具本体21の1つの面(ワイヤ9とは反対側の面)から突出している。
【0033】
図6で示すように、第2のフック形成部材25は、正面視において「I」字状に形成されている。第2のフック形成部材25は、留め具本体21に移動自在に設けられており、この移動によって環状部位27を形成し(
図6(a)(d)参照)、また、環状部位27を解放する(無くす)ようになっている(
図6(b)(c)参照)。
【0034】
また、第2のフック形成部材25には、つまみ部29が一体で設けられている。つまみ部29は、フック形成部材23、25が突出している面と隣接している留め具本体21の面から僅かに突出している。
【0035】
なお、常態(つまみ部29や第2のフック形成部材25に環状部位27を解放する力が加わっていない状態)では、図示しないバネ等の弾性体で付勢されているこことで、第2のフック形成部材25が
図6の左方向に付勢されて環状部位27が形成されている。
【0036】
上記常態において、つまみ部29に、
図6(b)に矢印で示す力を加えると、第2のフック形成部材25が
図6の右方向に移動し、環状部位27が解放されるようになっている。
【0037】
そして、環状部位27が解放されている状態で、
図6(c)で示すように、環状部位27内に、ネット5の端15のワイヤ9もしくは端15から所定の距離だけ離れているところのワイヤ9を入れ、
図6(b)に矢印で示す力を取り除く。すると、第2のフック形成部材25が
図6の左方向に移動し、環状部位27が形成され、ワイヤ9が保持され、ネット5が筒状に形成されるようになっている(
図6(d)参照)。
【0038】
なお、
図6(c)(d)で示すワイヤ9は、ネット5の各格子のうちの1つの格子を形成しているものである。
【0039】
次に、ケーブルグリップ1によるケーブル3の保持動作について説明する。
【0040】
初期状態では、
図2で示すように、留め具7がネット5の端15等から外れており、ネット5は、ある程度巻かれた態様になっているが、各端13、15はお互いが離れており、筒状にはなっていないものとする。
【0041】
上記初期状態において、
図3で示すように、ネット5内に、複数本もしくは1本のケーブル3の端部を挿入する。
【0042】
続いて、ケーブル3をネット5で付勢力を持って巻き、ネット5の端15もしくはこの端部から所定の距離だけ離れた箇所で、留め具7をネット5のワイヤ9に留める。このとき、ネット5が円筒状になるように、端13、15を螺旋状に延伸させる。また、留め具7を留めるネット5の位置は、挿入されたケーブル3の外径によって適宜調整される。
【0043】
ケーブル3の保持を解除するときには、ワイヤ9を留めていた留め具7をワイヤ9から外す。この後、ケーブルグリップ1は、他のサイズのケーブル3にも再利用される。
【0044】
ケーブルグリップ1によれば、ケーブル3を包み込んで保持するときに、留め具7によってネット5が筒状に形成されるので、留め具7によるネット5の係止位置を変えることで、従来よりも広範囲のサイズ(径)のケーブル3(場合によっては複数本のケーブル3)を保持することができる。また、ケーブル3を保持している状態から留め具7による係止を解放すれば、ネット5が再び平面状に展開するので、再使用することができる。
【0045】
また、ケーブルグリップ1によれば、ネット5でケーブル3を包み込んで保持するときに、ネット5が円筒状になるとともに、留め具7で留められているネットの端13、15が螺旋状になる。これにより、付勢力をもってネット5でケーブル3を包み込むことが容易になり、ケーブル3を一層確実に保持することができる。
【0046】
また、ケーブルグリップ1によれば、ケーブル3を包み込んで保持するときに筒状になるネット5の一方の端部が結束コネクタ11で塞がれているので、ケーブルグリップ1を引っ張るための結束コネクタ11を用いてネット5を容易にしかも強固に筒状に形成することができる。