【文献】
Ryu Komatsu et.al.,Repeatedly Foldable Book-Type AMOLED Display,SID 2014 DIGEST,San Diego, CA,2014年06月03日,Volume 45, Book 1,Page 326-329
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態は、透明基材;及び前記透明基材の少なくとも片面に形成されたハードコーティング層を含み、
1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であり、
下記の数式1で定義される物性を満たすハードコーティングフィルムに関する。
〔数1〕
A/B×100<50%
前記式中、
Aは応力−歪み曲線において歪み0〜1%の区間の面積を示し、
Bは応力−歪み曲線の下の全体面積を示す。
【0020】
前記鉛筆硬度は、JISK5400に準する鉛筆硬度試験によって得られた値で、ハードコーティングフィルムの硬度を示す。この鉛筆硬度試験は、1kgの荷重で鉛筆硬度試験の測定操作を5回繰り返し行い、測定の結果、4回以上スクラッチなどの外見異常が目視されない場合に、その試験時に使用した鉛筆の硬度を鉛筆硬度とする。例えば、3Hの鉛筆を使用して5回の試験操作を行い、4回以上外見異常が生じなかった場合、当該材料の鉛筆硬度は少なくとも3Hである。
【0021】
前記応力−歪み曲線(stress−strain curve)は応力−歪みグラフ、応力−歪み線図などの用語と混用されることがあり、応力−歪み曲線は材料の試片に加えた荷重と歪み程度を測定して得ることができる。例えば、ASTM D 882に基づき、万能試験機(Universal Testing Machine:UTM)を利用して測定及び導出することができる。このようにして導出されたハードコーティングフィルムの応力−歪み曲線は
図1に示すような形態になり、Aは歪み0〜1%の区間(例えば、
図1のX軸において0〜1%の区間)の面積を示し、Bは応力−歪み曲線の下の全体面積、すなわちフィルムの靱性(toughness)を示す。
【0022】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上と高硬度であり、且つA/B×100値を50%未満に調節することで優れた耐屈曲性を示し、繰り返しの折り畳みが可能である。
【0023】
前記した鉛筆硬度及びA/B×100値は、ハードコーティングフィルムを構成する透明基材の種類、厚さ、ハードコーティング層を形成する組成物の成分、組成、ハードコーティング層の厚さを適宜変更することで容易に調節することができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記透明基材としては、透明性のあるプラスチックフィルムであればいずれも使用可能である。例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどの高分子から形成されたフィルムであってよい。これらの高分子は、単独で、または2種以上を混合して用いていてよい。
【0025】
前記透明基材の厚さは特に制限されないが、10〜1000μm、具体的には20〜150μmであってよい。前記透明基材の厚さが10μm未満であるとフィルムの強度が低下して加工性が劣化し、また1000μmを超えると透明性が低下したりハードコーティングフィルムの重量が大きくなるという問題が発生する。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記ハードコーティング層は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択された1種以上を含む光硬化型樹脂;光開始剤;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成されていてよい。
【0027】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどを用いていてよく、特にウレタン(メタ)アクリレートを用いていてよい。
【0028】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物を当該分野で公知の方法にて触媒存在下で反応させて製造することができる。前記分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリトリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレートの混合物、及びジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレートの混合物などがある。また前記イソシアネート基を有する化合物の具体的な例としては、1,4−ジイソシアナートブタン、1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,8−ジイソシアナートオクタン、1,12−ジイソシアナートドデカン、1,5−ジイソシアナート−2−メチルペンタン、トリメチル−1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、トランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシレン−1,3−ジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、及びトリメタンプロパノールとトルエンジイソシアネートのアダクトなどがある。
【0029】
前記光硬化型(メタ)アクリレートモノマーの具体的な例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールヘキサトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートなどがある。
【0030】
前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーをそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて含んでいてよい。
【0031】
前記光硬化型樹脂は、ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲で用いていてよい。前記光硬化型樹脂の含量が1重量%未満であると塗膜の形成が難しく、塗膜が形成できたとしても十分なレベルの硬度を有するハードコーティング層を製造することができず、またその含量が80重量%を超えるとハードコーティング組成物の塗布及び硬化後に形成された塗膜の収縮によってカーリングがひどくなるという問題が生じることがある。
【0032】
前記光開始剤は、光の照射によってラジカルを形成することができるものであって当該技術分野において用いられるものであれば制限されることなく用いていてよい。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、及び水素引抜型光開始剤などを用いていてよい。
【0033】
具体的に、前記光開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルホリノプロパノン−1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4,4−ジメトキシアセトフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイドなどがある。
【0034】
前記光開始剤の含量は特に限定されず、例えば、ハードコーティング組成物100重量%に対し0.1〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%の範囲で含まれていてよい。含量が0.1重量%未満であると硬化が十分に進行しないため、所望のコーティング層の機械的物性や密着性が得られなくなることがあり、また10重量%を超えると硬化収縮によって接着力の不良、クラック、カールなどの問題点が生じることがある。
【0035】
前記溶剤は、当該技術分野において用いられるものであれば制限されることなく用いていてよい。具体的に、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、アセテート系(エチルアセテート、プロピルアセテート、ノルマルブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル系(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)が用いられていてよい。前記例示された溶剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いていてよい。
【0036】
前記溶剤は、ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し10〜95重量%の範囲で含まれていてよい。10重量%未満であると粘度が高くなり作業性に劣るだけでなく透明基材の膨潤を十分に進行させることができず、また95重量%を超えると乾燥過程で時間が多く掛かり経済性に劣るという短所がある。
【0037】
前記ハードコーティング組成物は、無機ナノ粒子をさらに含んでいてよい。
【0038】
前記無機ナノ粒子は、光学特性を阻害せず且つ機械的特性、特に硬度をさらに向上するために用いられる成分であり、平均粒径が1〜100nm、好ましくは5〜50nmであるものを用いていてよい。なお、粒子の粒径が前記範囲未満であると、組成物中で凝集が起こることで均一な塗膜を形成することができなく且つ前記効果を期待することができず、これとは逆に、前記範囲を超えると、最終得られた塗膜の光学特性が低下するだけでなく、かえって機械的物性が劣化するという問題が生じる。
【0039】
このような無機ナノ粒子の材質は金属酸化物であってよく、SiO
2、Al
2O
3、ZnO、ZrO
2、BaTiO
3、TiO
2、Ta
2O
5、Ti
3O
5、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb
2O
3、SnO、及びMgOからなる群より選択された1種以上を用いていてよく、好ましくは、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2などを用いていてよい。前記無機ナノ粒子は、直接製造したもの、または市販中のものを購入して用いていてよい。市販中の製品である場合、有機溶剤に20〜60重量%の濃度で分散されてなるものを用いていてよい。
【0040】
前記無機ナノ粒子は、前記ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し固形分含量を基準に40重量%以下、例えば10〜30重量%の範囲で含まれていてよい。10重量%未満であると、耐磨耗性、耐スクラッチ性、鉛筆硬度などの機械的物性が十分に得られないことがあり、また40重量%を超えると、硬化性を損なわせることでかえって機械的物性が劣化し、外観不良につながることがある。
【0041】
前記ハードコーティング組成物は、前記した成分に加えて、更に、当該技術分野において一般に用いられる成分、例えばレベリング剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などが含まれていてよい。
【0042】
前記レベリング剤は、前記ハードコーティング組成物の塗布の際にコーティング性を向上し且つハードコーティング層の表面の静止摩擦係数を下げるためのものであって、コーティング層の硬化後表面平滑性の高い物質が用いられていてよい。前記レベリング剤としては、シリコン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、及びアクリル高分子系レベリング剤などを用いていてよく、これらの中でもハードコーティング組成物のコーティング後表面側に偏在して表面エネルギーを低く維持することができるシリコン系レベリング剤が好ましい。市販中のレベリング剤の例としては、BYKケミー社製のBYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−313、BYK−333、BYK−371、BYK−377、BYK−378、BYK−3440、BYK−UV3500、BYK−3550、BYK−UV3570、テゴケミー社製のTEGO Glide 100、TEGO Glide 450、TEGO Glide B1484、TEGO Glide 420、TEGO Glide 482、TEGO Glide 410、TEGO Glide 415などを用いていてよい。
【0043】
前記レベリング剤は、前記ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し0.01〜1重量%の範囲で用いられ、その含量が0.01重量%未満であると、レベリング剤が表面に十分に分布できないため表面摩擦系数の低減が難しく、また1重量%を超えると、他の成分との相溶性が低下することによる沈降の発生や性能対比の経済性の劣化が生じることがある。
【0044】
前記ハードコーティング層は、前記ハードコーティング組成物を透明基材の片面または両面に塗布し乾燥した後、UV硬化させて形成することができる。
【0045】
前記ハードコーティング組成物は、ダイコーター、エアーナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、マイクログラビア、スピンコーティングなどの公知の方式を適宜使用して、透明基材に塗工(Coating Process)が可能である。
【0046】
前記ハードコーティング組成物を透明基材に塗布した後は、30〜150℃の温度で10秒〜1時間、より具体的には、30秒〜30分間揮発物を蒸発させ乾燥させた後、UV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、具体的に約0.01〜10J/cm
2であってよく、より具体的に、0.1〜2J/cm
2であってよい。
【0047】
このとき、UV硬化は、ハードコーティング層の表面硬化度の向上のために酸素濃度を500ppm以下に維持した状態、特に窒素雰囲気下で行うのが有利である。例えば、UV硬化の際にコーティング層の表面に窒素をパージすることで酸素濃度を500ppm以下に維持することができる。
【0048】
前記過程を通して形成されるハードコーティング層の厚さは、具体的に5〜15μmであってよい。前記ハードコーティング層の厚さが前記範囲内に含まれる場合、優れた硬度を示し且つ優れた耐屈曲性を示すことができる。
【0049】
本発明の一実施形態は、上述したハードコーティングフィルムが備えられた偏光板に関する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述したハードコーティングフィルムを偏光フィルムの少なくとも片面に積層してなるものであってよい。
【0050】
前記偏光フィルムは、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが用いられていてよい。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなるものが用いられていてよい。これらの偏光フィルムの厚さは特に制限されないが、一般的には5〜80μm程度である。
【0051】
本発明の一実施形態は、上述したハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置、特にフレキシブル(flexible)ディスプレイに関する。一例として、本発明のハードコーティングフィルムが備えられた偏光板を画像表示装置に組み込むことで、可視性に優れた多様な画像表示装置を製造することができる。また、本発明のハードコーティングフィルムは、フレキシブルディスプレイのウィンドウとして用いられていてよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型などの各種の駆動方式のLCDに用いられていてよい。また、本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、プラズマディスプレイ、フィールドエミションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの各種の画像表示装置にも用いられていてよい。
【0053】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例及び実験例は単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されないことは当業者にとって自明である。
【0054】
製造例1:ハードコーティング組成物の製造
20重量部のウレタンアクリレート(10官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製、Miramer MU9500)、20重量部のペンタエリトリトールトリアクリレート(3官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製)、20重量部のナノジリカゾル(12nm、固形分40%、触媒化成社製、V8802)、30重量部のメチルエチルケトン、7重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、2.5重量部の光開始剤(Ciba社製、I−184)、及び0.5重量部のレベリング剤(BYKケミー社製、BYK3570)を撹拌機にて配合し、ポリプロピレン(PP)材質のフィルタを利用してろ過して、ハードコーティング組成物を製造した。
【0055】
第造例2:ハードコーティング組成物の製造
10重量部のウレタンアクリレート(10官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製、Miramer MU9500)、10重量部のペンタエリトリトールトリアクリレート(3官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製)、50重量部のナノジリカゾル(12nm、固形分40%、触媒化成社製、V8802)、20重量部のメチルエチルケトン、7重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、2.5重量部の光開始剤(Ciba社製、I−184)、及び0.5重量部のレベリング剤(BYKケミー社製、BYK3570)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを利用してろ過して、ハードコーティング組成物を製造した。
【0056】
第造例3:ハードコーティング組成物の製造
20重量部のウレタンアクリレート(2官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製、Miramer PU210)、50重量部のエチレンオキサイド含有アクリレート(3官能、ミウォンスペシャリティケミカル社製、Miramer M3190)、20重量部のメチルエチルケトン、7重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、2.5重量部の光開始剤(Ciba社製、I−184)、及び0.5重量部のレベリング剤(BYKケミー社製、BYK3570)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを利用してろ過して、ハードコーティング組成物を製造した。
【0057】
実施例1:ハードコーティングフィルムの製造
前記第造例1で得られたハードコーティング組成物を、ポリイミドフィルム(50μm)の一方の面に硬化後の厚さが10μmになるようにコートしてから溶剤の乾燥及びUV積算光量500mJ/cm
2を照射することで片面コーティングを実施した後、ポリイミドフィルムのもう一方の面に同様に硬化後の厚さが10μmになるようにコートしてから乾燥及びUV硬化を施してハードコーティングフィルムを製造した。
【0058】
実施例2:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1において両面のハードコーティング層の厚さをそれぞれ8μmにしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0059】
実施例3:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1において両面のハードコーティング層の厚さをそれぞれ15μmにしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0060】
実施例4:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1において第造例1のハードコーティング組成物を、ポリイミドフィルム(50μm)の一方の面に硬化後の厚さが10μmになるようにコートしてから溶剤乾燥及びUV積算光量500mJ/cm
2を照射することで片面コーティングのみを実施して、ハードコーティングフィルムを製造した。
【0061】
比較例1:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1においてハードコーティング組成物を第造例2のハードコーティング組成物にしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0062】
比較例2:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1においてハードコーティング組成物を第造例3のハードコーティング組成物にしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0063】
比較例3:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1において両面のハードコーティング層の厚さをそれぞれ3μmになるようにしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0064】
比較例4:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1において両面のハードコーティング層の厚さをそれぞれ20μmになるようにしたことを除き、実施例1と同様にしてハードコーティングフィルムを製造した。
【0065】
実験例1:物性の評価
実施例及び比較例で得られたハードコーティングフィルムの物性をそれぞれ下記の評価法にて評価した後、その結果を下記の表1に表した。
【0066】
(1)応力−歪み曲線
ハードコーティングフィルムを幅5mm、長さ10cmにカットした後、UTM治具間の距離が5cmになるようにフィルムを長さ方向に配設した。すなわち、測定するサンプルの領域は幅5mm、長さ5cmであった。測定は4mm/minの速度で治具を引っ張ってフィルムが破断する時点までの応力と歪み値を測定して応力−歪み曲線を測定した。
【0067】
(2)鉛筆硬度
荷重1kg下、45度方向に鉛筆をセットした後、ハードコーティングフィルムをガラス上に固定し、フィルムのハードコーティング面に対して各鉛筆硬度を有する鉛筆にて5回評価した後、4回以上スクラッチが見られない硬度を鉛筆硬度と表記した。
【0068】
(3)耐屈曲性
実施例1〜3で得られたハードコーティングフィルムの場合は、向きとは関係なく実施し、実施例4で得られたハードコーティングフィルムの場合は、ハードコーティングフィルムのハードコーティング層が内側に向くようにして、フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返し実施した後、折り曲げ部分にクラックが発生したか否かを目視にて評価した。
【0069】
<評価基準>
OK:折り曲げ部分にクラック発生なし
NG:折り曲げ部分にクラック発生あり
【0071】
前記表1から分かるように、鉛筆硬度が4H以上であり、A/B×100<50%で定義される物性を満たす実施例1〜4のハードコーティングフィルムは、高硬度であり且つ20万回の繰り返しの折り畳みでも折り曲げ部分にクラックが発生することなく優れた耐屈曲性を有することが確認された。これに対し、比較例1〜4の場合は、鉛筆硬度が低いか耐屈曲性が不良であった。
【0072】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な技術は単に好適な実現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0073】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。