(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947593
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】列車制御システム
(51)【国際特許分類】
B61L 3/12 20060101AFI20210930BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
B61L3/12 C
B60L15/40 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-175701(P2017-175701)
(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公開番号】特開2019-51756(P2019-51756A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】舟越 亮博
(72)【発明者】
【氏名】池田 新樹
(72)【発明者】
【氏名】菅原 淳
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−183345(JP,A)
【文献】
特開平10−138924(JP,A)
【文献】
特開2008−013043(JP,A)
【文献】
特開平06−255490(JP,A)
【文献】
特開2000−313335(JP,A)
【文献】
特開2015−037337(JP,A)
【文献】
米国特許第04352475(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 − 99/00
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
H04L 27/00 − 27/38
H04B 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置したループコイルに車上装置から変調された列車検知信号を送信し、該ループコイルを介して地上装置で受信した列車検知信号を復調して列車の在線/非在線を検出し、列車を制御するシステムであって、
前記車上装置から送信される列車検知信号のマークスペース比を車上装置の種類に応じて変え、地上装置で受信した列車検知信号の高調波成分のうち1次以外の成分に基づいて車上装置の種類を判別する、列車制御システム。
【請求項2】
前記列車検知信号の高調波成分のうち1次成分で列車の在線/非在線を判定し、2次成分の有無で車上装置の種類を判別する、ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項3】
前記列車検知信号の高調波成分のうち1次成分で列車の在線/非在線を判定し、1次成分と2次成分のレベル比で車上装置の種類を判別する、ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項4】
前記列車検知信号における高調波の1次成分を通過する列車検知用フィルタと、前記列車検知信号における高調波の2次成分を通過する種類判別用フィルタとを備える、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の列車制御システム。
【請求項5】
前記列車検知用フィルタの出力レベルを検出する列車検知用レベル検出器と、前記列車検知用レベル検出器の出力が列車検知用閾値を超えたか否かを判定する列車検知用信号閾値判別部と、前記種類判別用フィルタの出力レベルを検出する種類判別用レベル検出器と、前記種類判別用レベル検出器の出力が種類判別用閾値を超えたか否かを判定する種類判別用信号閾値判別部とを備える、ことを特徴とする請求項4に記載の列車制御システム。
【請求項6】
前記列車検知信号の高調波成分のうち1次成分が所定の閾値以上のレベルのときに列車の在線と判定する、ことを特徴とする請求項2乃至5いずれか1つの項に記載の列車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車検知信号により列車の在線/非在線と車上装置の種類を判別し、列車の制御を行う列車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新交通システムでは、ゴムタイヤによる走行をしているため、レールによる軌道回路のような車軸短絡方式による列車検知ができない。このため、一般的には車上装置からアンテナを介して地上のループコイルに列車検知信号(以下、TD信号と略称する)を送信し、このTD信号の有無を地上装置で検知して、該当ループコイル(軌道)上における列車の在線/非在線を検出している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−13043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地上装置を新たな信号システムに更新する場合、多数の車両に搭載されている機器も交換しなければならないため、過渡期においては新旧の車上装置が混在することがある。そこで、上記特許文献1では、車上装置から送信するTD信号の搬送波の位相を車上装置の種類により変えることにより、既設の車上装置(旧信号対応車上装置)と新型の車上装置(新信号対応車上装置)を識別している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案されている技術では、地上装置側で情報を受信する場合に、TD信号を受信して復調する回路の他に、搬送波の位相を検出する複雑な回路が必要となる。また、TD信号とこのTD信号と同じ周波数帯域に入ってくる雑音とのレベル比(S/N比)を十分にとる必要があるため、車上装置から送信するTD信号の出力を大きくしなければならない、という課題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、復調の方式が異なる複雑な回路を設けたり、列車検知信号の出力を大きくしたりすることなく、車上装置の種類を判別できる列車制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る列車制御システムは、地上に設置したループコイルに車上装置から変調された列車検知信号を送信し、該ループコイルを介して地上装置で受信した列車検知信号を復調して列車の在線/非在線を検出し、列車を制御するシステムであって、前記車上装置から送信される列車検知信号のマークスペース比を車上装置の種類に応じて変え、地上装置で受信した列車検知信号の高調波成分の
うち1次以外の成分に基づいて車上装置の種類を判別する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、列車検知信号の高調波成分の相違に基づいて車上装置の種類を判別するので、復調の方式が異なる複雑な回路を設けたり、列車検知信号の出力を大きくしたりすることなく、車上装置の種類を判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る列車制御システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1に示したTD信号受信装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】旧信号対応車上装置と新信号対応車上装置におけるTD信号のMS比の例を示す波形図である。
【
図4】旧信号対応車上装置におけるTD信号のスペクトルを示す図である。
【
図5】新信号対応車上装置におけるTD信号のスペクトルを示す図である。
【
図6】
図1及び
図2に示した列車制御システムにおける列車の在線/非在線の検出と車上装置の種類の判別動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る列車制御システムの構成例を示している。このシステムは、地上に設置したループコイルLCに車上装置1から変調されたTD信号を送信し、該ループコイルLCを介して地上装置2で受信したTD信号を復調して列車の在線/非在線を検出し、列車を制御するようになっており、いわゆるATC/TD(自動列車制御/列車検知:Automatic Train Control / Train Detection)と呼ばれるものである。
【0011】
列車に搭載される車上装置1には、TD信号送信装置3とATC信号受信装置4が設けられており、地上装置2にはTD信号受信装置5とATC信号送信装置6が設けられている。TD信号送信装置3は、TD信号を生成してアンテナ17を介して地上のループコイルLCに送信するものであり、搬送波発生部7、変調部8、増幅器(AMP)9、変調波設定部10、及びTD信号用フィルタ16等を備えている。変調波設定部10には、本例では新信号対応車上装置(または新設車両)用にマークスペース比(MS比)が「1:1」の変調波と、旧信号対応車上装置(または既設車両)用にMS比が「3:1」の変調波とが設定されている。そして、搬送波発生部7で発生した搬送波を、変調波設定部10に設定されている変調波により変調部8で振幅変調してTD信号を生成し、増幅器9で増幅した後、TD信号用フィルタ(バンドパスフィルタ)16を介して出力するようになっている。
【0012】
TD信号受信装置5は、ループコイルLCから受信したTD信号を復調するために変調波を検出する変調波検出部11と、この変調波検出部11により検出した変調波からTD信号を識別し、列車の在線を示す列車検知出力、列車の非在線を示す列車非検知出力、及び既設の車上装置(旧信号対応車上装置)か新型の車上装置(新信号対応車上装置)かを示す新旧信号切替出力信号をそれぞれ出力するTD信号識別部12とを含んでいる。ATC信号送信装置6は、TD信号受信装置5で受信した車上装置1の種類(新信号対応車上装置か、あるいは旧信号対応車上装置か)に対応する列車制御信号(ATC信号)を、ループコイルLCを介して車上装置1に送信するものである。このATC信号送信装置6は、新信号対応のATC信号を出力する新ATC信号送信機13、旧信号対応のATC信号を出力する旧ATC信号送信機14、及びこれら送信機13,14から出力されるATC信号を、TD信号識別部12から出力される新旧信号切替出力信号に基づいて切り替える新旧ATC信号送信切替部15を含んでいる。そして、新旧ATC信号送信切替部15で選択された、新ATC信号送信機13または旧ATC信号送信機14から出力されるATC信号が、車上装置1のATC信号用フィルタ(バンドパスフィルタ)18を介してATC信号受信装置4に供給されて列車が制御されるようになっている。
【0013】
図2は、
図1におけるTD信号受信装置5の構成例を示す機能ブロック図である。変調波検出部11は、振幅変調波から変調波成分を抽出するものであり、検波器20と、TD信号(本例では振幅変調波であり、ここではTD変調波と称する)の1次成分を通過する列車検知用フィルタ25と、TD変調波の2次成分を通過する種類判別用フィルタ26とを備えている。また、TD信号識別部12は変調波識別部22とTD信号検出部23とを備えており、変調波識別部22は、列車検知用レベル検出器27と種類判別用レベル検出器28とを含んでいる。そして、列車検知用フィルタ25を通過したTD変調波における1次成分のレベルが列車検知用レベル検出器27で検出される。また、種類判別用フィルタ26を通過したTD変調波における2次成分のレベルが種類判別用レベル検出器28で検出される。
【0014】
TD信号検出部23は、列車検知用信号閾値判別部29と種類判別用信号閾値判別部30とを備えている。列車検知用信号閾値判別部29でTD変調波の1次成分が列車検知用閾値以上であると判定されると、列車検知出力が地上装置2に入力されて列車の在線が認識され、列車検知用閾値未満であると判定されると、新旧ATC信号送信切替部15へ列車の非在線を示す列車非検知出力が供給される。この新旧ATC信号送信切替部15へ送る信号は、列車非在線時にどのような信号を送るか予め決めておき、その信号を送信するようにすると良い。また、種類判別用信号閾値判別部30でTD変調波の2次成分が種類判別用閾値以上であると判定されると、新旧信号切替出力信号として新型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給され、種類判別用閾値未満であると判定されると、新旧信号切替出力信号として旧型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給される。
【0015】
図3は、既設の車上装置(旧信号対応車上装置)と新設の車上装置(新信号対応車上装置)における各TD信号のMS比の例を示す波形図である。本例では、(a)図に示すように既設の車上装置のMS比は「3:1」に設定され、(b)図に示すように新設の車上装置のMS比は「1:1」に設定されている。
なお、既設の車上装置では、TD信号をMS比が「3:1」の振幅変調波としているが、これは、列車を検知する地上装置が抑圧方式としていたためであった(Mを大きくした方が抑圧作用に有利となるため)。現状では非抑圧方式となっており、Mを大きくする必要はない。そこで、新設の車上装置のTD信号としてMS比を「1:1」としている。
但し、MS比が「3:1」と「1:1」は、現状のシステムを考慮した一例であって、地上装置2で受信したTD信号の高調波成分の相違に基づいて車上装置1の種類を判別できれば良いので、これらの比に限定されるものではない。
【0016】
図4はMS比が「3:1」の変調波のスペクトルを示しており、旧信号対応車上装置におけるTD信号のスペクトルに対応する。また、
図5はMS比が「1:1」の変調波のスペクトルを示しており、新信号対応車上装置におけるTD信号のスペクトルに対応している。列車を検知するためには、TD信号の変調波の1次成分を検出する。そのため、MS比が変わったとしても、列車検知の機能に相違はない。
【0017】
これに対し、MS比が「1:1」の場合は、1次、3次、5次、7次、9次、…というように変調波の奇数次成分しか発生せず、MS比が「3:1」の場合には、1次、2次、3次、5次、6次、7次、9次、…というように4次、8次、12次、…が発生しない。すなわち、MS比が「1:1」の場合は、TD変調波の1周期Tの分割数nが2(n=2)であり、2の倍数の次数の変調波は発生しない。一方、MS比が「3:1」の場合は、1周期Tの分割数nが4(n=4)であり、4の倍数の次数の変調波は発生しない。ここで、MS比が「3:1」と「1:1」の場合の大きなスペクトルの相違は、2次、6次、10次、…の成分が発生しているか否かである。本発明では、この点に着目し、新旧の車上装置の識別をTD信号の2次成分の有無で判別する。なお、スペクトラム振幅が大きい2次成分が好ましいが、6次成分、10次成分、…の有無でも判別できる。
【0018】
次に、上記のような構成において、
図6のフローチャートにより列車の在線/非在線と車上装置1の種類の判別動作について説明する。車上装置1のTD信号送信装置3から、既設の車上装置か新設の車上装置かに応じて
図3(a)または
図3(b)に示したようなTD信号が出力され、地上装置2のTD信号受信装置5に入力される(ステップS1)。このTD信号は、変調波検出部11に入力され、検波器20により検波された後、TD変調波の1次成分を通過する列車検知用フィルタ25によりフィルタ処理が実行されるとともに(ステップS2)、TD変調波の2次成分を通過する種類判別用フィルタ26によりフィルタ処理が実行される(ステップS3)。
【0019】
続いて、変調波識別部22でフィルタ処理後のレベル値の検出が行われる。すなわち、列車検知用フィルタ25の出力が列車検知用レベル検出器27に供給されて列車検知用のレベル検出が行われる(ステップS4)。また、種類判別用フィルタ26の出力が種類判別用レベル検出器28に供給されて種類判別用のレベル検出が行われる(ステップS5)。上記列車検知用レベル検出器27の出力信号は、TD信号検出部23の列車検知用信号閾値判別部29に供給されて1次成分が所定の閾値以上か否かが判定される(ステップS6)。上記種類判別用レベル検出器28の出力信号は、TD信号検出部23の種類判別用信号閾値判別部30に供給されて2次成分が所定の閾値以上か否かが判定される(ステップS7)。
【0020】
そして、列車検知用信号閾値判別部29で1次成分が所定の閾値以上であると判定されると、列車の在線が検知されたと判断されて列車検知出力が出力され(ステップS8)、所定の閾値未満であると判定されると、列車は非在線であると判断されて列車非検知出力が出力される(ステップS9)。また、列車検知用信号閾値判別部29で1次成分が所定の閾値以上であり、且つ種類判別用信号閾値判別部30で2次成分が所定の閾値以上であると判定されると(ステップS10)、種類判別用信号閾値判別部30から新旧信号切替出力信号として新型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給される(ステップS12)。更に、列車検知用信号閾値判別部29で1次成分が所定の閾値以上であり、且つ種類判別用信号閾値判別部30で2次成分が所定の閾値未満であると判定されると(ステップS11)、種類判別用信号閾値判別部30から新旧信号切替出力信号として旧型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給される(ステップS13)。
【0021】
なお、ステップS10とステップS11については、より安全を考慮して、列車が在線時に新型または旧型を判定して信号を送ることにしているものであるが、列車の在線条件を考慮しなくても制御に支障がないため、このステップS10とステップS11を省略しても良い。この場合には、ステップS7で2次成分が所定の閾値以上であると判定されたときに、新旧信号切替出力信号として新型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給され、2次成分が所定の閾値未満であると判定されたときに、新旧信号切替出力信号として旧型判定出力が新旧ATC信号送信切替部15へ供給される。
新旧ATC信号送信切替部15へ供給された旧型判定出力によって旧ATC信号送信機14の出力が選択され、新型判定出力によって新ATC信号送信機13の出力が選択される。そして、選択された送信機13または14の出力が、車上装置1のATC信号用フィルタ18を介してATC信号受信装置4によって受信され、列車の在線/非在線と車上装置1の種類の判別結果に基づいて列車が制御される。
【0022】
上述したように、本発明では、従来と同等のTD信号検出回路を用い、検出の論理を変えることにより、新信号対応車上装置(あるいは新設車両)か、旧信号対応車上装置(あるいは既設車両)かを判別する。すなわち、車上装置1から送信するTD信号のMS比を、新設車両か既設車両かに応じて変え、地上装置2で受信した信号の高調波の2次成分の有無を検出して新設車両か既設車両かを判別する。換言すれば、TD信号のMS比が「1:1」なのか、「3:1」なのかによって出力される変調波のスペクトル成分に違いが生ずるので、ヌル点の違いを使って見分けることができる。よって、変調波の周波数などを変える必要がなく、既存の設備を生かせるので、復調の方式が異なる複雑な回路を設ける必要がない。
【0023】
なお、
図2における変調波検出部11とTD信号識別部12に、破線で囲んだ回路部100を付加する必要があるが、この回路部100はフィルタ、レベル検出器及び新旧判定部等であり、回路規模の増大は比較的小さくて済む。また、列車の在線/非在線は、TD信号の高調波成分のうち1次成分で判別し、2次成分の有無で車上装置1の新旧を判別するので、レベルの大きな信号を利用でき、TD信号の出力を大きくする必要もない。
【0024】
<変形例1>
上述した実施形態では、TD信号の高調波成分のうち1次成分で列車の在線/非在線を判定し、2次成分の有無で車上装置の種類を判別したが、TD信号の高調波成分のうち1次成分で列車の在線/非在線を判定し、1次成分と2次成分のレベル比で車上装置の種類を判別するようにしても良い。1次成分のレベルに対して、2次成分のレベルの相対的な比を考慮することで検出精度を上げることができる。
【0025】
<変形例2>
また、列車の在線は、TD信号の高調波成分のうち1次成分が所定の閾値以上のレベルのときに列車の在線と判定する。列車種類判別の際、1次成分が所定の閾値以上あることを判定条件に含めることで、耐ノイズ性を向上できる。
【0026】
<変形例3>
MS比が「1:1」を新信号対応車上装置に割り当て、MS比が「3:1」を旧信号対応車上装置に割り当てる場合を例に取って説明したが、MS比の割り当てはこれに限られるものではないことは勿論であり、高調波成分の相違に基づいて車上装置の種類を判別できれば任意のMS比に設定できる。
【0027】
<変形例4>
更に、TD信号識別部12をハードウェアで実現する例について説明したが、マイクロコンピュータ等のソフトウェアでも同様な機能を実現できる。
【0028】
以上の実施形態で説明された回路構成や動作手順等については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…車上装置、2…地上装置、3…TD信号送信装置、4…ATC信号受信装置、5…TD信号受信装置、6…ATC信号送信装置、7…搬送波発生部、8…変調部、9…増幅器、10…変調波設定部、11…変調波検出部、12…TD信号識別部、13…新ATC信号送信機、14…旧ATC信号送信機、15…新旧ATC信号送信切替部、20…検波器、22…変調波識別部、23…TD信号検出部、25…列車検知用フィルタ、26…種類判別用フィルタ、27…列車検知用レベル検出器、28…種類判別用レベル検出器、29…列車検知用信号閾値判別部、30…種類判別用信号閾値判別部、LC…ループコイル