(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行う、第一設定部と、
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う第二設定部と、
を備える、設定装置。
前記位置情報の入力時又は前記入力時以前に入力された、リファレンス層の幅であるリファレンス層幅と前記位置情報とから、第二配線層における前記リファレンス層の領域設定である第三設定を行う第三設定部を、さらに備える、請求項1に記載された設定装置。
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、第三配線層における配線が禁止された層である第三配線禁止層の第三配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第三配線層における、前記第三配線禁止層の領域設定である第三設定を行う第三設定部と、
を備える、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載された設定装置。
インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行う処理と、
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う処理とを、
コンピュータに実行させる設定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、
図2を参照して説明する本実施形態の設定装置が領域設定対象とする多層配線基板の例である配線基板200の構成を表す概念図である。配線基板200は、絶縁層31乃至33の各々と配線層21乃至23の各々とが交互に積層された構成を有する。
【0014】
本実施形態の設定装置は、CADによる各領域設定を、配線層21乃至23の各々に対して行う。なお、
図1に表す配線基板200は配線層が3層のみだが、本実施形態の設定装置が領域設定の対象とする配線層の数は任意である。
【0015】
配線層21には、インピーダンス指定配線1の領域が設定される。以下、インピーダンス指定配線の領域が設定される配線層を「基準配線層」ということにする。その他の配線層は、基準配線層である配線層21から上下に何番目の層であるかにより表現され得る。例えば、配線層22は、基準配線層である配線層21の下2番目の配線層である。
【0016】
基準配線層である配線層21には、インピーダンス指定配線1の領域以外に、インピーダンス指定配線1の領域に隣接して、配線が禁止される層である配線禁止層61の領域が設定される。配線禁止層61の領域は、例えば、インピーダンス指定配線1の中心線901を中心とする配線禁止幅Wf1により規定される。
【0017】
配線層21におけるインピーダンス指定配線1及び配線禁止層61の領域の外側は、配線可能層71の領域である。本実施形態では、インピーダンス指定配線、配線禁止層及びリファレンス層のいずれの領域も設定されていない領域は配線可能層71であるとする。
【0018】
図1の例では、配線層22には、配線禁止層61の領域のみが設定されている。配線禁止層61の領域は、例えば、中心線901の配線層22への投影線を中心とする配線禁止幅Wf2により規定される。
【0019】
図1の例では、配線層23には、リファレンス層81の領域のみが設定されている。リファレンス層81は、典型的には、グランド層である。リファレンス層81の領域は、例えば、中心線901の配線層23への投影線を中心とするリファレンス層幅Wrにより規定される。
【0020】
次に、
図1に表すような各配線層の領域設定を行う本実施形態の設定装置の例について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態の設定装置の例である設定装置100の構成を表す概念図である。
【0022】
設定装置100は、入力処理部101と、設定処理部102と、記憶部103と、出力部104とを備える。設定装置100は、例えば、コンピュータである。
【0023】
入力処理部101は、キーボードや受信装置等の外部から入力された入力情報を、記憶部103に格納させる。当該入力情報には、
図1を参照して説明した例のような領域設定を行うための条件を表す条件情報が含まれる。
【0024】
当該条件情報には、少なくとも、インピーダンス指定配線の中心線(
図1の中心線901に相当)を表す情報とインピーダンス指定配線幅(
図1のインピーダンス指定配線幅Wiに相当)が含まれる。前記中心線を表す中心線情報は、例えば、基準配線層面の座標についての関数である。
【0025】
前記条件情報には、また、各配線層における配線禁止幅が含まれ得る。当該配線禁止幅は、配線禁止層の領域を設定する配線層を特定する特定情報と結び付けられている。当該特定情報は、例えば、基準配線層を基準として上下何番目の配線層であるかを表す情報である。
【0026】
前記条件情報には、また、リファレンス層幅が含まれ得る。当該リファレンス層幅は、リファレンス層の領域を設定する配線層を特定する特定情報と結び付けられている。当該特定情報は、例えば、基準配線層を基準として上下何番目の配線層であるかを表す情報である。
【0027】
なお、前記条件情報が、前記配線禁止幅の代わりに、配線禁止層の端部のインピーダンス指定配線端部からの距離(
図1に表す距離X)を含む場合も想定され得る。その場合、入力処理部101は、距離Xとインピーダンス指定配線幅Wiとから配線禁止幅Wf1=2X+Wiを求め、その配線禁止幅Wf1を記憶部103に格納させても構わない。あるいは、入力処理部101は、距離Xを記憶部103に格納させ、以降に設定処理部102が行う処理で、配線禁止幅Wf1=2X+Wiが導出されても良い。
【0028】
また、前記条件情報が、インピーダンス指定配線の中心線を表す関数の代わりに、当該中心線に対応する不連続な座標情報を含む場合も想定され得る。その場合に、入力処理部101は、当該座標からスプライン関数やS−スプライン関数等により、中心線を表す関数を導出しても良い。あるいは、入力処理部101は、前記座標情報を記憶部103に格納させ、以降に設定処理部102が行う処理で、前記座標情報から中心線を表す関数が導出されても良い。
【0029】
また、前記条件情報のうち、前記配線禁止幅や前記リファレンス層幅は、前記中心線情報や前記インピーダンス指定配線幅より以前に、入力処理部101により記憶部103に格納されていても良い。前記配線禁止幅や前記リファレンス層幅の格納の後に、前記中心線情報や前記インピーダンス指定配線幅が変更されても構わない。
【0030】
設定処理部102は、入力処理部101により、記憶部103に前述の条件情報が新たに格納されたかを監視する。そして、設定処理部102は、条件情報が新たに格納されたと判定すると、その条件情報に含まれるインピーダンス指定配線の中心線を表す情報及びインピーダンス指定配線幅に従い、基準配線層にインピーダンス指定配線の配線領域を設定する。インピーダンス指定配線の中心線を表す情報は、前述のように、例えば、基準配線層面の座標についての関数として表されている。座標に関する関数で与えられた線から所定の線幅を領域に設定する処理は、例えば、一般的な作図ソフトやCADで行われるものであり、周知である。
【0031】
なお、インピーダンス指定配線は、配線間隔Waの二本の配線の組である場合も想定され得る。その二本の配線の組は、例えば、差動配線である。その場合は、インピーダンス指定配線の中心線を表す関数は、例えば、二本の配線の組の中心線を表す関数とする。そして、設定処理部102は、まず、その中心線を中心とする2×Wi+Waの幅の領域から、その中心線を中心とする配線間隔Waの領域を除外した領域を、インピーダンス指定配線の配線領域に設定する。
【0032】
なお、設定処理部102が行う当該設定処理の具体例は、
図3を参照して後述される。また、前記条件情報から当該設定処理された各配線層についての領域設定との対応例は、
図4乃至
図10を参照して後述される。
【0033】
記憶部103は、入力処理部101及び設定処理部102が指示する情報を格納する。記憶部103が格納する情報には、入力処理部101からの前記条件情報が含まれる。記憶部103は、また、入力処理部101や設定処理部102が上記処理を行うためのプログラムや情報を保持する。記憶部103は、また、入力処理部101及び設定処理部102が指示する格納情報を、設定装置100の備える指定された構成に送付する。
【0034】
出力部104は、設定処理部102が指示する情報を出力する。当該出力情報には、設定処理部102による設定処理結果が含まれる。出力部104は、例えば、ディスプレイや送信装置である。
【0035】
図3は、
図2に表す設定処理部102が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0036】
設定処理部102は、例えば、外部からの開始情報の入力により
図3に表す処理を開始する。
【0037】
そして、設定処理部102は、S101の処理として、新たな条件情報が格納されたかについての判定を行う。条件情報の内容は、
図2を参照して説明された通りである。設定処理部102は、記憶部103が保持している条件情報の少なくとも一部が変更された場合には、新たに条件情報が格納されたと判定する。
【0038】
設定処理部102は、S101の処理による判定結果がyesの場合は、S102の処理を行う。一方、設定処理部102は、S101の処理による判定結果がnoの場合は、S101の処理を再度行う。
【0039】
設定処理部102は、S102の処理を行う場合は、同処理として、その時点で設定されている各基板層の各設定領域を削除する。ただし、設定処理部102は、その時点で設定されている設定領域がない場合は、何も行わない。
【0040】
そして、設定処理部102は、S103の処理として、基準配線層に、インピーダンス指定配線の領域を設定する。設定処理部102は、当該設定を、インピーダンス指定配線の中心線を中心とするインピーダンス指定配線幅の範囲をインピーダンス指定配線の領域とすることにより行う。
【0041】
そして、設定処理部102は、S104の処理として、インピーダンス指定配線の中心線を中心とする指定された配線禁止幅の範囲を配線禁止層に設定する。ただし、設定処理部102は、S103の処理により設定されたインピーダンス指定配線の領域は配線禁止層から除外する。ここでの指定された配線禁止幅は、記憶部103に格納された最新の条件情報に含まれる基準配線層の配線禁止幅である。
【0042】
次に、設定処理部102は、S105の処理として、記憶部103が保持する最新の条件情報に、基準配線層以外の配線層についての配線禁止幅の指定が含まれているかについての判定を行う。
【0043】
設定処理部102は、S105の処理による判定結果がyesの場合は、S106の処理を行う。一方、設定処理部102は、S105の処理による判定結果がnoの場合は、S107の処理を行う。
【0044】
設定処理部102は、S106の処理を行う場合は、同処理として、記憶部103が保持する最新の条件情報において配線禁止幅が指定された各配線層について、その配線禁止幅により配線禁止層の領域設定を行う。ただし、基準配線層については、配線禁止層が既に設定されているので、S106の処理対象の配線基板からは除外される。前記設定は、その配線層にインピーダンス指定配線の中心線を投影したことを想定した線を中心とする配線禁止幅を配線禁止層の領域とするものである。そして、設定処理部102は、S107の処理を行う。
【0045】
設定処理部102は、S107の処理を行う場合は、同処理として、記憶部103が保持する最新の条件情報においてリファレンス層幅の指定があるかについての判定を行う。
【0046】
設定処理部102は、S107の処理による判定結果がyesの場合は、S108の処理を行う。一方、設定処理部102は、S107の処理による判定結果がnoの場合は、S109の処理を行う。
【0047】
設定処理部102は、S108の処理を行う場合は、同処理として、リファレンス層幅が指定された各配線層について、そのリファレンス層幅によるリファレンス層の領域設定を行う。当該設定は、その配線層にインピーダンス指定配線の中心線を投影したことを想定した線を中心とするリファレンス層幅をリファレンス層の領域とするものである。そして、設定処理部102は、S109の処理を行う。
【0048】
設定処理部102は、S109の処理を行う場合は、同処理として、
図3に表す処理を終了するかについての判定を行う。設定処理部102は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
【0049】
設定処理部102は、S109の処理による判定結果がyesの場合は、
図3に表す処理を終了する。一方、設定処理部102は、S109の処理による判定結果がnoの場合は、S101の処理を再度行う。
【0050】
次に、
図4乃至
図10を参照して、
図2に表す設定処理部102が、
図3に表す処理を行った場合の、設定結果例を説明する。
【0051】
図4は、第一の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図4(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その1)を表す。
図4(b)乃至(d)は
図4(a)に表す条件情報(その1)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0052】
図4(a)に表す条件情報(その1)においては、基準配線層である配線層21について、インピーダンス指定配線の中心線901を表す関数F1と、インピーダンス指定配線幅Wiが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS103の処理により、
図4(b)に表すように、中心線901を中心とするインピーダンス指定配線幅Wiの領域をインピーダンス指定配線1の領域に設定している。
【0053】
図4(a)に表す条件情報(その1)においては、さらに、配線層21の配線禁止幅Wf1が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS104の処理により、
図4(b)に表すように、中心線901を中心とする配線禁止幅Wf1の領域からインピーダンス指定配線1の領域を除外した領域を、配線禁止層61の領域に設定している。
【0054】
図4(a)に表す条件情報(その1)においては、さらに、配線層21の下のN層について配線禁止幅Wf2が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS106の処理により、
図4(c)に表すように、中心線901を配線層21の下のN層に投影した線の各々を中心とする配線禁止幅Wf2の領域を、各配線層における配線禁止層61の領域に設定している。
【0055】
図4(a)に表す条件情報(その1)においては、さらに、配線層21の下のN+1番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理により、
図4(d)に表すように、中心線901を配線層21の下のN+1番目の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
【0056】
図5は、第二の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図5(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その2)を表す。
図5(b)乃至(d)は
図5(a)に表す条件情報(その2)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0057】
図5(a)乃至(d)の説明は、インピーダンス指定配線の中心線を表す関数が
図4(a)に表す関数F1ではなく関数F2である点を除き、
図4(a)乃至(d)の説明と同じである。
【0058】
図6は、第三の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図6(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その3)を表す。
図6(b)及び(c)は
図6(a)に表す条件情報(その3)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0059】
図6(a)に表す条件情報(その3)においては、基準配線層である配線層21以外についての配線禁止幅の指定がない。そのため、
図2に表す設定処理部102は、
図3に表すS105の処理によりnoを判定し、S106の処理を行わない。そのため、配線層21以外の配線層についての配線禁止層の設定は行われない。
【0060】
図6(a)に表す条件情報(その3)において、配線層21の下の2番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理を行う。設定処理部102は、同処理により、
図6(c)に表すように、中心線901を配線層21の下2番目(直下)の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
【0061】
図7は、第四の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図7(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その4)を表す。
図7(b)乃至(f)は
図7(a)に表す条件情報(その4)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0062】
図7(a)に表す条件情報(その4)においては、
図4(a)に表す条件情報(その1)に含まれる指定情報に加えて、基準配線層である配線層21の上のN+1番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理により、
図7(b)に表すように、中心線901を配線層21の上のN+1番目の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
【0063】
図7(a)に表す条件情報(その4)においては、
図4(a)に表す条件情報(その1)に含まれる指定情報に加えて、さらに、配線層21の上のN層について配線禁止幅Wf2が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS106の処理により、
図7(c)に表すように、中心線901を配線層21の上のN層に投影した線の各々を中心とする配線禁止幅Wf2の領域を、各配線層における配線禁止層61に設定している。
【0064】
なお、
図7(d)乃至(f)の内容は、
図7(a)に表す条件情報(その4)の
図4(a)に表す条件情報(その1)と重なる内容に基づくものであり、
図4(b)乃至(d)の内容と同じである。
【0065】
図8は、第五の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図8(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その5)を表す。
図8(b)乃至(d)は
図8(a)に表す条件情報(その5)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0066】
図8(a)に表す条件情報(その5)においては、基準配線層である配線層21以外についての配線禁止幅の指定がない。そのため、
図2に表す設定処理部102は、
図3に表すS105の処理によりnoを判定し、S106の処理を行わない。そのため、配線層21以外の配線層についての配線禁止層の設定は行われない。
【0067】
図8(a)に表す条件情報(その5)において、配線層21の上下のN+1番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理を行う。設定処理部102は、同処理により、
図8(b)及び(d)に表すように、中心線901を配線層21の上下N+1番目の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
【0068】
図9は、第六の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図9(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その6)を表す。
図9(b)乃至(e)は
図9(a)に表す条件情報(その6)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0069】
図9(a)に表す条件情報(その6)においては、基準配線層である配線層21の下のN層について配線禁止幅Wf2が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS106の処理により、
図9(d)に表すように、中心線901を配線層21の下のN層に投影した線の各々を中心とする配線禁止幅Wf2の領域を、各配線層における配線禁止層61に設定している。
【0070】
図9(a)に表す条件情報(その6)においては、さらに、配線層21の上の2番目の配線層及び下のN+1番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理を行う。設定処理部102は、同処理により、
図9(b)に表すように、中心線901を配線層21の上の2番目(直上)の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。設定処理部102は、
図3のS108の処理により、また、
図9(e)に表すように、中心線901を配線層21の下のN+1番目の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
【0071】
図10は、第七の条件情報例に対応する領域設定結果例を表す概念図である。
図10(a)は、
図2に表す記憶部103が保持する最新の条件情報例である条件情報(その7)を表す。
図10(b)乃至(d)は
図10(a)に表す条件情報(その7)に基づいて、設定処理部102が
図3に表す処理を行った場合の、領域設定結果例を表す。
【0072】
図10(a)に表す条件情報(その7)においては、二本の配線の組からなるインピーダンス指定配線の中心線がインピーダンス指定配線の中心線901とされている。二本の配線の組は例えば差動配線である。そして、条件情報(その7)においては、それぞれのインピーダンス指定配線幅Wiに加えて、二本のインピーダンス指定配線の配線間隔Waが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3に表すS103の処理により、
図10(b)に表すように、中心線901を中心とする幅2×Wi+Waの領域から、中心線901を中心とする配線間隔Waの領域を除外した領域をインピーダンス指定配線1に設定している。
【0073】
図10(a)に表す条件情報(その7)においては、さらに、基準配線層である配線層21の配線禁止幅Wf1が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS104の処理を行う。設定処理部102は、同処理により、
図10(b)に表すように、中心線901を中心とする配線禁止幅Wf1の領域からS103の処理により設定されたインピーダンス指定配線1の領域を除外した領域を、配線禁止層61に設定している。
【0074】
図10(a)に表す条件情報(その7)においては、さらに、配線層21の下のN層について配線禁止幅Wf2が指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS106の処理により、
図10(c)に表すように、中心線901を配線層21の下のN層に投影した線の各々を中心とする配線禁止幅Wf2の領域を、各配線層における配線禁止層61に設定している。
【0075】
図10(a)に表す条件情報(その7)においては、さらに、配線層21の下のN+1番目の層についてリファレンス層幅Wrが指定されている。そのため、設定処理部102は、
図3のS108の処理を行う。設定処理部102は、同処理により、
図10(d)に表すように、中心線901を配線層21の下のN+1番目の層に投影した線を中心とするリファレンス層幅Wrの領域を、その配線層におけるリファレンス層81の領域に設定している。
[効果]
本実施形態の設定装置は、CADによるインピーダンス指定配線の領域設定を行う際に、予め設定された情報に基づき、配線禁止層及びリファレンス層の領域設定を自動的に行う。そのため、前記設定装置は、CADによるインピーダンス指定配線の領域設定の際の配線禁止層やリファレンス層の領域設定や変更をより容易にする。そのため、前記設定装置は、CADによるインピーダンス指定配線の領域設定の際に生じる配線禁止層やリファレンス層の設定や変更に誤りが生じる確率を低減する。
【0076】
図11は実施形態の設定装置の最小限の構成である設定装置100xの構成を表すブロック図である。
【0077】
設定装置100xは、第一設定部102axと第二設定部102bxとを備える。
【0078】
第一設定部102axは、インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行う。
【0079】
第二設定部102bxは、前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う。前記第一配線禁止幅は、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の幅である。
【0080】
設定装置100xは、インピーダンス指定配線の領域設定を行う際に、前記位置情報と前記第一配線禁止幅とから、前記第一配線禁止層の領域設定を自動的に行う。そのため、前記設定装置は、インピーダンス指定配線の領域設定の際の配線禁止層の領域設定に誤りが生じる確率を低減する。
【0081】
そのため、設定装置100xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0082】
なお、設定装置100xは、例えば、
図2に表す設定装置100である。
【0083】
また、第一設定部102axは、例えば、
図2に表す設定処理部102の、
図3に表すS103の処理を行う部分である。
【0084】
また、第二設定部102bxは、例えば、
図2に表す設定処理部102の、
図3に表すS104の処理を行う部分である。
【0085】
また、前記インピーダンス指定配線は、例えば、
図1及び
図4乃至
図10に表すインピーダンス指定配線1である。
【0086】
また、配線位置を表す位置情報は、例えば、
図1及び
図4乃至
図10に表す中心線901の位置を表す情報である。
【0087】
また、前記第一配線層は、例えば、前述の基準配線層であり、前記基準配線層は、例えば、
図1及び
図4乃至
図10に表す配線層21である。
【0088】
また、前記第一配線禁止層は、
図1及び
図4乃至
図10に表す配線禁止層61である。
【0089】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0090】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行う、第一設定部と、
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う第二設定部と、
を備える、設定装置。
(付記2)
前記位置情報の入力時又は前記入力時以前に入力された、リファレンス層の幅であるリファレンス層幅と前記位置情報とから、第二配線層における前記リファレンス層の領域設定である第三設定を行う第三設定部を、さらに備える、付記1に記載された設定装置。
(付記3)
前記第二配線層の層数が複数である、付記2に記載された設定装置。
(付記4)
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、第三配線層における配線が禁止された層である第三配線禁止層の第三配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第三配線層における、前記第三配線禁止層の領域設定である第三設定を行う第三設定部と、
を備える、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された設定装置。
(付記5)
前記第三配線層の層数が複数である、付記4に記載された設定装置。
(付記6)
前記インピーダンス指定配線が、複数本の配線の組である、付記5に記載された設定装置。
(付記7)
前記複数本の配線が互いに平行である、付記6に記載された設定装置。
(付記8)
前記複数本が二本である、付記6又は付記7に記載された設定装置。
(付記9)
前記インピーダンス指定配線が差動配線である、付記8に記載された設定装置。
(付記10)
前記位置情報が、前記インピーダンス指定配線の中心線を表す、付記1乃至付記8のうちのいずれか一に記載された設定装置。
(付記11)
インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行い、
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う、
設定方法。
(付記12)
インピーダンスの値の範囲が指定されたインピーダンス指定配線の配線位置を表す位置情報と、前記インピーダンス指定配線の幅とから第一配線層における前記インピーダンス指定配線の領域設定である第一設定を行う処理と、
前記位置情報の格納時又は前記格納以前に格納された、前記第一配線層における配線が禁止された層である第一配線禁止層の第一配線禁止幅と前記位置情報とから、前記第一配線層における、前記第一配線禁止層の領域設定である第二設定を行う処理とを、
コンピュータに実行させる設定プログラム。