(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6947845
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】閉鎖手段を備えたボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 39/16 20060101AFI20210930BHJP
【FI】
B65D39/16
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-559083(P2019-559083)
(86)(22)【出願日】2018年4月24日
(65)【公表番号】特表2020-517546(P2020-517546A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2018060508
(87)【国際公開番号】WO2018197518
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年11月19日
(31)【優先権主張番号】2018773
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519381414
【氏名又は名称】エスピーアイ グループ エス エイ アール エル
【氏名又は名称原語表記】SPI GROUP S.A.R.L
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(72)【発明者】
【氏名】ユリ シェフラー
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
スイス国特許発明第00243573(CH,A)
【文献】
仏国特許発明第00412480(FR,A)
【文献】
実開昭56−028954(JP,U)
【文献】
実開平02−131948(JP,U)
【文献】
実開昭56−100354(JP,U)
【文献】
中国実用新案第204776588(CN,U)
【文献】
登録実用新案第3145385(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/16
B65D 45/24
B65D 55/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルおよび閉鎖部材であって、前記ボトルは、ネックと、前記ネックの端部の開口部と、前記開口部を閉鎖する閉鎖部材と、前記閉鎖部材を前記開口部の縁部に固定するロック手段とを含み、前記ロック手段は、前記ネックのネック部分を囲むカラーと、前記カラーにヒンジ結合されたロックレバーとを備え、前記ボトルは非気体状液体をする、ボトルおよび閉鎖手段において、
前記閉鎖部材は、本体と、前記ロックレバーと係合する外向きに延びる突耳とを備えること、および前記ロックレバーは、その上面で前記突耳と解放可能に係合するリンク部材を備え、前記ロックレバーは、前記リンク部材が前記開口部の縁部に前記閉鎖部材をクランプする閉鎖位置に引き込み可能であり、前記突耳が左右対称な一対であり、かつ、前記ロックレバーが左右対称な一対であり、前記閉鎖位置において、前記リンク部材が前記ボトルから離間していること、
前記突耳には、前記ロックレバーの前記リンク部材の自由遠位端を受ける受座が設けられていること、および、
前記受座が前記突耳に形成された局所的なくぼみを備えること、および/または前記突耳が前記ロックレバーから離れるように上向きに傾斜して延びていること、
を特徴とするボトルおよび閉鎖手段。
【請求項2】
前記ネックは前記ネック部分に隣接する隆起部を備え、前記カラーは前記隆起部と前記閉鎖位置で係合すること、を特徴とする請求項1に記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項3】
前記隆起部は、前記開口部の前記縁部を構成するさらに肉厚にされたネック部分の肩部であり、前記リンク部材は、前記カラーと前記突耳との間の前記肉厚にされたネック部分をまたぐこと、を特徴とする請求項2に記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項4】
前記リンク部材が、前記カラーからその自由遠位端まで延びるループを備えること、を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項5】
前記リンク部材は、その自由遠位端に、前記突耳を捕捉して囲む目穴を備えることを特徴とする、請求項4に記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項6】
前記ループは、前記突耳を捕捉して囲む前記目穴を形成するように前記自由遠位端に前記突耳よりも小さい寸法の狭窄部を備えること、を特徴とする請求項5に記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項7】
前記閉鎖部材が、前記開口部に嵌合して延びる弾性底部を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項8】
前記閉鎖部材の前記弾性底部はエラストマーまたはコルクよりなることを特徴とする、請求項7に記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項9】
前記ロック手段は金属で作られていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のボトルおよび閉鎖手段。
【請求項10】
前記閉鎖部材は、前記開口部の反対側に装飾品を担持することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のボトルおよび閉鎖手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルおよび閉鎖手段に関し、前記ボトルは、ネックと、ネックの端部の開口と、開口を閉鎖する閉鎖部材と、閉鎖部材を開口の縁部に固定するロック手段とを含み、前記ロック手段は、前記ネックのネック部分を囲むカラーと前記カラーにヒンジ連結されたロックレバーを備え、前記ボトルは非気体状液体を収容する。
【背景技術】
【0002】
このようなボトルは中国実用新案第204776588号から知られている。この既知の閉鎖手段を備えたボトルは、ボトルの首部分を囲むカラーと、前記カラーにヒンジ連結された一対のリンク部材とを備える。ボトルの開口部はキャップによって閉じられ、キャップは下方に延びる対応する一対の突耳を有し、それらの自由遠位端にフックを備える。前記リンク部材は、突耳の背面で前記フックと係合する。ボトルは、リンク部材に結合されたレバーを押し下げて、リンク部材をそれらが係合する突耳とともに下げることによって、しっかりと閉じることができる。これによりキャップをボトルにクランプすることができ、開口部を密閉することができる。レバーを上げると、ボトルへのキャップのクランプ力が解放されるため、キャップを開口部から持ち上げることができる。
【0003】
既知のボトルおよび閉鎖機構の欠点は、ボトルを開閉する間、リンク部材とキャップの突耳が相互に係合し絡み合う関係にあり、閉鎖の操作を妨げることである。さらに、既知の閉鎖手段は、ボトルを閉じるのに役立つだけであり、ボトルからキャップを開放することは実質的に援助なしで実行されている。さらに、既知の閉鎖部材は、多くの高級アルコール飲料にとって商業的に重要な、ボトルをより豪華で魅力的な外観にするいかなる手段もほとんど提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、本発明の目的は、既知のボトルおよび閉鎖手段のこれらの欠点のうちの1つ以上を少なくともかなりの程度まで解決する閉鎖手段を備えたボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、冒頭の段落に記載したタイプのボトルにおいて、前記閉鎖部材は、ソリッドコアと前記ロックレバーに係合する外方向に延びる突耳とを備えること、および前記ロックレバーはその上面で前記突耳に解放可能に係合するリンク部材を備え、前記ロックレバーは、前記リンク部材が前記開口部の縁部に前記閉鎖部材をクランプする閉鎖位置に引き込み可能であることを特徴とする。既知の閉鎖手段とは異なり、これらの閉鎖手段は、外向きに延びる突耳の上面に係合する。この係合位置から解放されると、前記リンク部材は突耳から離れ、したがって、閉鎖部材のさらなる操作を妨げない。また、ボトルを閉じるとき、リンク部材を係合する前に、最初に閉鎖部材を開口部に配置することができるので、この状態においても両方の部材が互いに干渉することはない。これにより、ボトルの開閉が非常に便利になるが、安全性が低下することはなく、また、閉鎖部材は、ボトルをより高級な外観にするプラットフォームを提供する。
【0006】
閉状態では、カラーと閉鎖部材の間にクランプ力が加えられ、この力はリンク部材によって伝達される。閉状態においてカラーをネック部分に固定するために、本発明によるボトルの特定の実施形態においては、前記ネックは前記ネック部分に隣接する隆起部を備え、前記カラーが閉位置で前記隆起部と係合することを特徴とする。前記カラーが前記隆起部と係合すると、前記隆起部はカラーに反力を及ぼす。これにより、カラーがボトルのネック部分に保持される。
【0007】
前記リンク部材に追加の自由長を提供するため、従って前記ロックレバーの追加の移動の自由を提供するために、本発明によるボトルの好ましい実施形態においては、前記隆起部は、前記開口部の前記縁部を構成するさらに肉厚にされたネック部分の肩部であり、前記リンク部材は、前記カラーと前記突耳との間の前記肉厚にされたネック部分をまたぐことを特徴とする。
【0008】
前記外向きに延びる突耳は、前記リンク部材によってそれらの上面で係合される。前記突耳のこの主水平面上に前記リンク部材を適切かつ均等に位置させるために、本発明によるボトルの好ましい実施形態においては、前記突耳に、前記ロックレバーの前記リンク部材の自由遠位端を受ける受座が設けられていることを特徴とする。これらの受座が存在するため、前記リンク部材は、それらがこれらの受座内に入りそれらが捕捉されることによって容易に正しい位置に位置させることができる。受座の位置が装置で設定されるので、前記ロックレバーを引っ込めると、閉鎖部材の両側でクランプ力の均等分布が得られる。一実施形態では、本発明によるボトルは、前記受座が前記突耳に形成された局所的なくぼみであること、および/または前記突耳が前記ロックレバーから離れて傾斜して延びることを特徴とする。
【0009】
本発明によるボトルのさらなる特定の実施形態においては、前記リンク部材が、前記カラーからその自由遠位端まで延びるループを備えることを特徴とする。これらのループは、リンク部材の使いやすさを提供し、この場合には、単にループを突耳の周りに置き、前記ロックレバーを引き引っ込めるだけで、前記閉鎖部材の前記突耳をループの自由端に係合することができる。
【0010】
本発明によるボトルの特に好ましい実施形態においては、前記リンク部材が、その自由遠位端に、前記突耳を捕捉して囲む目穴を含むことを特徴とする。この場合には、前記リンク部材は突耳と係合するだけでなく、突耳を捕捉する。結果として、前記ロックレバーが引っ込められると、閉鎖部材が開口部内に引き込まれるまたは開口部上に引き付けられるだけでなく、レバーが解放されると、閉鎖部材が開口部からある程度まで持ち上げられる。レバーを放すと、リンク部材が突耳に上向きの力を加え、この力は突耳を捕捉する目穴の縁によって伝達される。リンク部材がループである本発明によるボトルの特定の実施形態においては、この点で、前記ループは、前記突耳を捕捉して囲む前記目穴を形成するように前記自由遠位端に前記突耳よりも小さい寸法の狭窄部を備えることを特徴とする。
【0011】
本願に記載した種類のボトルは、通常、液体、特にスピリットまたは他の(アルコール)飲料を収容するために使用される。本発明によるボトルのさらなる特定の実施形態においては、ボトルを耐漏洩状態で確実に密封するために、前記閉鎖部材が、前記開口部にぴったりフィットして延びる弾性底部を備えることを特徴とし、より具体的には、前記閉鎖部材の前記弾性部分は、エラストマーまたはコルクよりなることを特徴とする。前記閉鎖部材の底部の弾力性のために、閉鎖部材が開口部の縁部にクランプされると、閉鎖部材は開口部の縁部の正確な形状および寸法に適合する。コルクを使用することで、製品の呼吸も維持され、コニャック、ブランデー、ウィスキー、ウォッカ、テキーラなどの豪華なスピリットや酒類に見合った素敵で魅力的な外観を閉鎖部材に与えることが可能になる。
【0012】
この後者の点で、本発明によるボトルのさらなる特定の実施形態においては、少なくとも実質的に、前記ロック手段は金属製、特に少なくとも貴金属の外観を有する金属製であることを特徴とする。強くて丈夫であることに加えて、ボトルに含まれる製品の豪華な性質は、閉鎖機構に貴金属を使用するか、貴金属でメッキされた、または貴金属様塗膜でコーティングされた金属を使用することによって強調される。これは、本発明によるボトルのさらなる特定の実施形態においてさらに強調され、該実施形態は前記閉鎖部材が開口部の反対側に装飾品を担持することを特徴とする。特に、そのような装飾品は、ボトル内の製品の品質と排他性を際立たせる装飾または他の種類の魅力的で排他的な外観を備えてもよい。
【0013】
ここで、特定の実施形態および添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本発明によるボトルの特定の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図は概略的に描かれており、必ずしも同じ縮尺ではないことに留意されたい。特に、いくつかの寸法は、明確にするために、より大きくまたはより小さく拡大されていることがある。同様の部分は、図面全体を通して同じ参照番号で示されている。
【0016】
図1は、開封段階における本発明によるボトルおよび閉鎖機構の実施形態を示す。ボトル10は、ガラス、セラミック、または他のあらゆる種類の丈夫な水密材料で作ることができる。この例では、通常500〜1000mlの用量を有し、一般にオパリンガラスまたはホワイトガラスと呼ばれる審美的な質感を有するガラスボトルが使用される。このようなボトルは、たとえばコニャック、ブランデー、ウィスキー、ウォッカ、テキーラなどの贅沢なスピリッツや酒に使用することができる。ボトル10は、ネック12とともに胴部11を備え、縁部14で囲まれたネック端部の開口部13を通じてアクセス可能である。ネック12は、上部122に隣接する下部ネック部121を備え、肩部123と縁部14との間がいくぶん厚くなっている。
【0017】
ボトルをしっかりと閉じることができるようにするために、ボトルには閉鎖手段が設けられている。前記閉鎖手段は、開口部13に嵌合するキャップまたは栓の形態の閉鎖部材20を備える。キャップ20の底部22は、ゴムまたは他の任意のエラストマー化合物、または本例におけるコルク、等の弾性材料で形成される。この底部22の弾力性により、ボトル10を適切に密封するための開口部13への密接嵌合が保証される。前記キャップは正面にボトルおよびその中に含まれる製品にさらに豪華な外観を与える装飾25または他の魅力的な装飾を担持する。本発明によれば、この閉鎖部材20には、半径方向外向きに延びる突耳25が設けられる。これらの突耳は、キャップ20の両側に延び、それぞれ、キャップ20の中心からほぼ同じ距離に受座27を備える。
図2Aおよび
図2Bの例では、受座27は前記突耳25に形成された局所的なくぼみよりなる。あるいは、突耳25にわずかに上向きの傾斜を与え、受座28をキャップに隣接して形成してもよい。これは
図2Cおよび2Dに示されている。
【0018】
閉鎖手段は、閉鎖部材20を開口部13に固定することができるロック手段をさらに備える。これらのロック手段は、ネック12の上部122に隣接してネック部121の周りに位置するカラー30を備える。従って、前記カラー30は上部122の肩部123で形成される隆起部に支えられる。両側にロックレバー35がカラー30にヒンジ連結される。カラー30およびロックレバーは両方とも本実施形態では金属で形成され、特に金メッキまたは金塗装金属で形成される。金属は強度と耐久性をもたらすだけでなく、特に金のような貴金属で作られている場合またはそのように見せる場合には、ボトルのイメージと外観を高めることもできる。
【0019】
ロックレバー35はそれぞれ、リンク部材352と共にレバー351を備える。リンク部材352はラッチまたは留め金を備え、カラーに対してレバー351の枢動点から一定の距離でレバー351に枢動可能に連結される。結果として、レバー351を引き下げると、ラッチ352がこの操作により引っ込められる。
図1に示すように、ラッチ352は、レバー352の周りにヒンジ結合されたワイヤループを備え、該ワイヤループは遠位端の近くに狭窄部353を有して遠位端に目穴355を形成する。前記狭窄部353は、以下でさらに詳細に説明するように、受座27の部分で突耳25の幅よりも小さい寸法に作られている。
【0020】
ボトル10を閉じるために、閉鎖部材20が開口部の上に置かれる(
図2A参照)。次に、ラッチ352を振り上げて突耳25の上に置き(
図2A〜2Dを参照)、ラッチの遠位端を突耳25の上面と係合し、くぼみ27の位置に着座させる(
図2Bを参照)。この状態では、突耳25がラッチ352の目穴部分355内に捕捉される。代替的に、
図2Cに示すように、ラッチ352は、突耳25のわずかな傾斜により滑り落ちて受座28に着座するようにしてもよい(
図2Dを参照)。両代替例とも、キャップの中心に対する突耳の最終位置はキャップの両側で同じになることが保証される。
【0021】
閉鎖部材20をボトルに固定するために、次にレバー351がラッチ352と共にそれらの最終位置に到達するまで引き下げられる(
図2D参照)。これにより、ラッチ352を介して下向きの力が突耳25に加わり、閉鎖部材20をしっかり開口部13の内部に押し込み且つ縁部14に押し付けてボトル10を密封する。
【0022】
ボトルのロックを解除してボトルを開くには、前の手順を逆の順序で実行すればよい。この場合にはラッチ352の目穴部分355がそれらが取り囲む突耳25と係合するため、この場合にはラッチが次第に解除されて最終的に突耳から離れるので、これらの突耳25およびしたがって閉鎖部材20がある程度まで持ち上げられる。これにより、特に閉鎖部材20のコルク底部22が開口部13の内側にかなり深く沈められていても、ボトル10の開封が大幅に容易になる。
【0023】
本発明は、単に一つの実施形態を参照してより詳細に説明したが、本発明は、所与の実施形態に決して限定されないことは理解されるであろう。それどころか、当業者であれば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、また発明技能を行使する必要なしに、多くの変形および実施形態を想到することができる。