特許第6948013号(P6948013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948013
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20210930BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20210930BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/20 F
   B60R16/02 610D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-111308(P2018-111308)
(22)【出願日】2018年6月11日
(65)【公開番号】特開2019-216504(P2019-216504A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 孝祐
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225674(JP,A)
【文献】 特開2014−187063(JP,A)
【文献】 特開2003−289191(JP,A)
【文献】 特開2012−200141(JP,A)
【文献】 特開2001−326306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が装着される部品装着部が表面に設けられた箱本体と、前記箱本体の前記表面を覆蓋するカバー部材と、を備え、
前記カバー部材の天壁部の内面には、前記電気部品に向かって突出する放熱部材保持部が設けられており、該放熱部材保持部に保持された可塑性放熱部材が、前記電気部品の表面に対して接触されており、
前記放熱部材保持部が、前記天壁部の前記内面より前記箱本体側に向かって突出して設けられた筒形状の周壁部と、該周壁部の内部に位置して該周壁部の軸方向に延びる軸部を含んでおり、前記可塑性放熱部材の一部が前記放熱部材保持部から前記電気部品に向かって突出して前記電気部品の前記表面に接触されており、
前記周壁部の内面には前記軸方向に平行に延びるリブが突設されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記周壁部が円筒形状であり、前記軸部が同心状に配設されている請求項に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記軸部の先端部が前記周壁部の突出端部よりも前記箱本体側に向かって延び出している請求項1または2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記軸部の前記先端部が、前記箱本体側に向かって先細となるテーパ部を有している請求項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記軸部の前記テーパ部が、前記軸部よりも軸直角方向の寸法が大きくされた拡幅部を有しており、前記拡幅部と前記軸部の間に段差面が形成されている請求項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱に関し、特に、箱本体の表面を覆蓋するカバー部材を備えた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の電装系には、リレーボックスやヒューズボックス、ジャンクションボックス等の電気接続箱が用いられており、かかる電気接続箱に多数のリレーやヒューズ等の電気部品を集中して配設することによって、電気配線の効率化や交換等のメンテナンス性の向上が図られている。
【0003】
ところで、電気接続箱は、特開平11−307954号公報(特許文献1)等に記載されているとおり、バスバーやプリント基板等から構成される内部回路を収容する箱本体を備えている。箱本体の表面には、電気部品が装着される複数の部品装着部が設けられており、カバー部材によって箱本体の表面が覆蓋されるようになっている。
【0004】
ところが、近年の自動車電装品の増加に伴い、ヒューズやリレーなどの発熱性の高い電気部品が増えると共に、電気接続箱は設置場所のスペースの関係からその大きさが制限されて、電気接続箱内の高密度化も進んでいる。特に、ヒューズの可溶部やリレーのコイル部は発熱量がきわめて大きい。このため、密閉した電気接続箱内に熱がこもり易くなると共に局部的な過熱が発生することにより、ヒューズやリレーの機能を損ねるおそれがあった。
【0005】
これに対して、カバー部材の内面に放熱部材を固定し、箱本体の上面を覆蓋した状態で放熱部材がヒューズの表面に接触するようにすることによりヒューズで発生した熱を外部に逃がす方法が、例えば特開2007−295706号公報(特許文献2)に記載されている。しかしながら、かかる放熱部材は弾力性のある樹脂製とされていることから、電気部品の表面に放熱部材を接触させるためには比較的大きな力で放熱部材を電気部品に対して押圧する必要があり、電気部品にダメージを与えるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−307954号公報
【特許文献2】特開2007−295706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、電気部品に対する放熱部材の接圧を低減しつつ、電気部品の表面に安定して放熱部材を接触させることが可能な、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、電気部品が装着される部品装着部が表面に設けられた箱本体と、前記箱本体の前記表面を覆蓋するカバー部材と、を備え、前記カバー部材の天壁部の内面には、前記電気部品に向かって突出する放熱部材保持部が設けられており、該放熱部材保持部に保持された可塑性放熱部材が、前記電気部品の表面に対して接触されており、前記放熱部材保持部が、前記天壁部の前記内面より前記箱本体側に向かって突出して設けられた筒形状の周壁部と、該周壁部の内部に位置して該周壁部の軸方向に延びる軸部を含んでおり、前記可塑性放熱部材の一部が前記放熱部材保持部から前記電気部品に向かって突出して前記電気部品の前記表面に接触されており、前記周壁部の内面には前記軸方向に平行に延びるリブが突設されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、カバー部材の天壁部の内面には、電気部品に向かって突出する放熱部材保持部が設けられており、放熱部材保持部に保持されている可塑性を有する可塑性放熱部材が、電気部品の表面に対して接触している。放熱部材が可塑性を有していることから、電気部品の表面に接触される可塑性放熱部材の接圧を低減しつつ、可塑性放熱部材を電気部品の表面に沿って変形させることにより安定して電気部品の表面に接触させることができる。それゆえ、電気部品にダメージを与えるおそれを回避乃至は低減して、電気部品で発生した熱を可塑性放熱部材およびカバー部材を介して効率的に電気接続箱の外部に逃がすことができるのである。
【0010】
なお、可塑性を有する放熱部材としては、例えば粘土状で凹凸に良く密着する放熱用のシリコーン製のパテシートや、放熱用のシリコーン製のグリース等が採用可能である。
【0012】
本態様によれば、放熱部材保持部が、筒形状の周壁部とその内部に配設された軸部を含んでいることから、周壁部と軸部の間に可塑性放熱部材を充填するように押し込むだけで、かかる周壁部と軸部により可塑性放熱部材を所定位置に配置しつつ接触保持することができる。これにより、可塑性放熱部材が放熱部材保持部から下方に向かって抜け落ちることを防止して、可塑性放熱部材を確実且つ安定して保持することができる。しかも、放熱部材保持部から突出した可塑性放熱部材の一部が電気部品の表面に接触されることから、可塑性放熱部材の可塑性を損なうことなく、可塑性放熱部材を電気部品の表面に接触させることができ、接圧の低減や電気部品との接触面積の増大といった効果を有利に実現することができる。また、周壁部の内面には軸方向に平行に延びるリブが突設されていることから、可塑性放熱部材がリブにガイドされて放熱部材保持部の周壁部内にスムーズに圧入されると共に、かかるリブにより可塑性放熱部材と周壁部との接触面積が増大し、可塑性放熱部材が放熱部材保持部から下方に向かって抜け落ちることが一層有利に防止されている。
【0013】
本発明の第の態様は、前記第の態様に記載のものにおいて、前記周壁部が円筒形状であり、前記軸部が同心状に配設されているものである。
【0014】
本態様によれば、放熱部材保持部が、円筒形状の周壁部を有していることから、内部に押し込まれる可塑性放熱部材が隙間なく充填され易く、周壁部と可塑性放熱部材の接触面積を確実に確保することができ、放熱部材保持部による可塑性放熱部材の安定した保持を有利に実現できる。加えて、軸部と周壁部が同心状に配されていることから、可塑性放熱部材をより均等に周壁部内に収容配置することができ、安定的な可塑性放熱部材の保持が有利に実現され得る。
【0017】
本発明の第の態様は、前記第一または第二の態様に記載のものにおいて、前記軸部の先端部が前記周壁部の突出端部よりも前記箱本体側に向かって延び出しているものである。
【0018】
本態様によれば、軸部の先端部が周壁部の突出端部よりも箱本体側に向かって延び出していることから、放熱部材保持部から電気部品に向かって突出して電気部品の表面に接触される可塑性放熱部材の一部を安定して位置決め保持することができる。それゆえ、電気部品の表面に可塑性放熱部材を確実に接触させることができる。
【0019】
本発明の第の態様は、前記第の態様に記載のものにおいて、前記軸部の前記先端部が、前記箱本体側に向かって先細となるテーパ部を有しているものである。
【0020】
本態様によれば、軸部の先端部が、箱本体側に向かって先細となるテーパ部を有していることから、かかる軸部をガイドとして可塑性放熱部材を放熱部材保持部の周壁部内にスムーズに押し入れることができる。
【0021】
本発明の第の態様は、前記第の態様に記載のものにおいて、前記軸部の前記テーパ部が、前記軸部よりも軸直角方向の寸法が大きくされた拡幅部を有しており、前記拡幅部と前記軸部の間に段差面が形成されているものである。
【0022】
本態様によれば、軸部のテーパ部が、軸部よりも軸直角方向の寸法が大きくされた拡幅部を有しており、拡幅部と軸部の間に段差面が形成されている。これにより、テーパ部がアンカー機能を発揮して、放熱部材保持部から突出する可塑性放熱部材の一部をより一層安定して保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カバー部材の天壁部の内面には、電気部品に向かって突出する放熱部材保持部が設けられており、放熱部材保持部に保持されている可塑性放熱部材が、電気部品の表面に接触している。放熱部材が可塑性を有していることから、電気部品の表面に接触される可塑性放熱部材の接圧を低減しつつ、可塑性放熱部材を電気部品の表面に沿って変形させて安定して電気部品の表面に接触できる。それゆえ、電気部品にダメージを与えるおそれを回避乃至は低減して、電気部品で発生した熱を可塑性放熱部材およびカバー部材を介して効率的に電気接続箱の外部に逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱を示す平面図。
図2図1におけるII−II断面拡大図。
図3図1におけるIII−III断面拡大図。
図4図1に示すカバー部材の底面図。
図5図4におけるV−V断面図。
図6】本実施形態の放熱部材保持部の他の態様を示す断面拡大図であって、図5に示す挿入図に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1〜5に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示す。より詳細には、電気接続箱10は、図2〜3に示されているように、箱本体12と、箱本体12の表面14を覆蓋するカバー部材たるアッパカバー16と、箱本体12の裏面18を覆蓋するロアカバー20、とを含んで構成されている。なお、以下の説明において、上方とは、図2〜3中の上方、下方とは、図2〜3中の下方を言い、また前方とは、図1中の右方、後方とは、図1中の左方を言い、さらに長手方向とは、図1中の左右方向、幅方向とは、図1中の上下方向を言うものとする。
【0027】
箱本体12は、図1〜3に示されているように、全体として長手矩形ブロック形状を呈しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の絶縁性の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。かかる箱本体12の表面14には、部品装着部を構成するリレー装着部22やヒュージブルリンク装着部24やヒューズ装着部26が、上方に向かって開口形成されている。図2〜3に示されているように、箱本体12の裏面18には、複数の端子収容孔28が下方に向かって開口形成されており、図示しない電線の端末に接続された端子金具が端子収容孔28に収容配置されるようになっている。また、箱本体12には、内部回路を構成する図示しないバスバーが、図示しないバスバー収容溝等に収容配置されるようになっている。
【0028】
そして、箱本体12の表面14側から、各リレー装着部22やヒュージブルリンク装着部24や各ヒューズ装着部26に対して、電気部品としてのリレー30やヒュージブルリンク32や図示しないヒューズが装着される。これにより、リレー30やヒュージブルリンク32やヒューズから下方に向かって突出するタブ端子36が上述した電線の端末に設けられた端子金具やバスバー等に導通接続されるようになっている。
【0029】
また、図1,3に示されているように、箱本体12の周壁部38の長手方向の斜向かいに対向する部分の上端部には、箱本体12の表面14を覆蓋するアッパカバー16をロック固定するための被ロック部39が外方に向かって突設されている。さらに、箱本体12の周壁部38の下端部には、箱本体12の裏面18を覆蓋するロアカバー20をロック固定するための図示しないロック部が外方に向かって突設されている。
【0030】
加えて、図2〜3に示されているように、箱本体12の周壁部38は二重壁構造とされており、二重壁構造によって周壁部38の上端部に設けられ上方に向かって開口する上方凹溝部40aと、二重壁構造によって周壁部38の下端部に設けられ下方に向かって開口する下方凹溝部40bと、を備えている。
【0031】
一方、アッパカバー16は、図1〜5に示されているように、全体として下方に向かって開口する略矩形箱体形状を有しており、合成樹脂から形成された一体成形品とされている。より詳細には、図4〜5に示されているように、アッパカバー16は、略長手矩形状の天壁部42と、天壁部42の外周縁部から下方に向って突出する2つの周壁部44,46を備えて構成されている。かかる2つの周壁部44,46は、天壁部42の内面48のうち箱本体12の周壁部38に対応する位置に設けられ且つ底面視で略逆L字状の領域を囲む二重壁部44と、天壁部42の内面48のうち二重壁部44で囲まれていない(図4中、左手前側)領域の外周縁部から下方に向って突出するカバー壁部46と、を含んで構成されている。ここで、二重壁部44は、図2〜5に示されているように、周方向に延出する内壁部44aおよび外壁部44bが隙間を隔てて配設されて構成されている。外壁部44bは内壁部44aよりも下方に向かって大きく突設されており(図2〜3参照)、外部からの水等の浸入が有利に防止されている。一方、カバー壁部46は、例えば図3に示されているように、二重壁部44の外壁部44bよりもさらに下方に向かって突設されており、箱本体12の前方側(図3中、左側)の周壁部38を全体を完全に覆うように構成されている。かかる箱本体12の前方側の周壁部38には、例えばバッテリのプラス電源やオルタネータのプラス電源に接続された図示しない電源入力端子がボルト締め固定されている電源接続部が設けられている。
【0032】
また、図1,3〜4に示されているように、アッパカバー16の周壁部を構成する二重壁部44の長手方向の斜向かいに対向する部分の下端部において、箱本体12に設けられた被ロック部39に対応する位置には、かかる被ロック部39にロック嵌合されるロック部50が外方に向かって突設されている。
【0033】
さらに、図2〜5に示されているように、アッパカバー16の天壁部42の内面48には、リレー30に向かって突出する放熱部材保持部52が設けられている。より詳細には、放熱部材保持部52は、天壁部42の内面48より箱本体12側に向かって突出して設けられた略円筒形状の周壁部54と、かかる周壁部54の内部に位置して周壁部54の軸方向(図4中、底面視における周壁部54の中心を通る紙面に垂直な方向)に延びる軸部56を含んで構成されている。すなわち、軸部56は周壁部54の同心状に配設されているのである。加えて、周壁部54の内面には、周方向の等間隔に離隔した8箇所において軸方向に平行に略三角断面形状で延びるリブ58が突設されている(図4参照)。また、軸部56の先端部が、全体として箱本体12側に向かって先細となるテーパ部60を有しており、周壁部54の突出端部62よりも箱本体12側に向かって延び出している(図2〜3参照)。
【0034】
そして、図2〜3に示されているように、このような構成とされた放熱部材保持部52に対して、可塑性放熱部材64が充填されて周壁部54と軸部56の間に保持されるようになっている。可塑性放熱部材64を充填する際には、軸部56の先端部が箱本体12側に向かって先細となるテーパ部60を有していることから、軸部56の先端部をガイドとして可塑性放熱部材64を放熱部材保持部52の周壁部54内にスムーズに押し入れることができるようになっている。また、周壁部54が円筒形状とされていることから、可塑性放熱部材64が隙間なく充填され易く、周壁部54の内面にはリブ58が突設されていることから、可塑性放熱部材64の周壁部54との接触面積を増大させて放熱部材保持部52による可塑性放熱部材64の安定した保持を有利に実現できる。しかも、放熱部材保持部52の周壁部54と軸部56が同心状に配置されていることから、可塑性放熱部材64を均等に周壁部54内に充填でき、安定的な可塑性放熱部材64の保持が有利に実現され得る。なお、可塑性放熱部材64としては、例えば粘土状で凹凸に良く密着する放熱用のシリコーン製のパテシートや、放熱用のシリコーン製のグリース等が用いられている。そして、かかる可塑性放熱部材64の一部が、放熱部材保持部52を構成する周壁部54の突出端部62からリレー30に向かって突出して、リレー30の表面66に接触されるようになっている。
【0035】
このようなアッパカバー16を箱本体12の表面14を覆蓋するように組み付ける際には、図2〜3に示されているように、アッパカバー16の二重壁部44の内壁部44aを、箱本体12の周壁部38の上方凹溝部40aに挿し入れる。これにより、アッパカバー16の各ロック部50が箱本体12の被ロック部39に係合して、アッパカバー16が箱本体12の表面14を覆蓋した状態にロック固定されるのである。
【0036】
一方、ロアカバー20は、合成樹脂から形成された一体成形品とされており、図2〜3に示されているように、上方に開口する略箱体形状とされている。また、ロアカバー20の周壁部68の上端部には、箱本体12の図示しないロック部に対応する位置において、かかる箱本体12のロック部と係合して箱本体12の裏面18を覆蓋状態に固定保持する被ロック部70が外方に向かって突設されている。
【0037】
このような構造とされた電気接続箱10によれば、アッパカバー16の天壁部42の内面48には、リレー30に向かって放熱部材保持部52が突設されており、放熱部材保持部52に充填された可塑性放熱部材64がリレー30の表面66に接触されている。リレー30の表面66に接触されている可塑性放熱部材64は可塑性を有していることから、リレー30の表面66への接触時の接圧を低減しつつ、可塑性放熱部材64がリレー30の表面66に沿って変形することで安定してリレー30の表面66に対して接触させることができる。それゆえ、リレー30にダメージを与えるおそれを回避乃至は低減して、リレー30で発生した熱を可塑性放熱部材64およびアッパカバー16の天壁部42を介して効率的に電気接続箱10の外部に逃がすことができるのである。
【0038】
また、放熱部材保持部52は、周壁部54とその内部に設けられた軸部56を含んで構成されていることから、周壁部54の内部に可塑性放熱部材64を充填するだけで、周壁部54と軸部56の間に可塑性放熱部材64を挟持して、可塑性放熱部材64を放熱部材保持部52の周壁部54内に安定的に保持することができる。しかも、可塑性放熱部材64の一部が、放熱部材保持部52の周壁部54の突出端部62からリレー30に向かって突出してリレー30の表面66に接触されていることから、可塑性放熱部材64の可塑性を損なうことなく、可塑性放熱部材64のリレー30の表面66に対する接圧の低減や接触面積の増大といった効果も有利に実現することができる。
【0039】
加えて、軸部56の先端部が周壁部54の突出端部62よりも箱本体12側に向かって延び出していることから、可塑性放熱部材64の一部を周壁部54の突出端部62からリレー30に向かって突出させて、リレー30の表面66に可塑性放熱部材64を確実に接触させることを容易に実現可能としている。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。例えば、上記実施形態では、放熱部材保持部52の軸部56の先端部が全体として箱本体12側に向かって先細となるテーパ部60を有していたが、図6に示す本実施形態の他の態様としての放熱部材保持部72の軸部74のように、軸部74の先端部に設けられたテーパ部76が軸部74よりも軸直角方向の寸法が大きくされた(図6中、R>r)拡幅部78を有しており、拡幅部78と軸部74の間に段差面80が形成されていてもよい。これにより、テーパ部76の拡幅部78と軸部74の間に形成された段差面80がアンカー機能を発揮して、放熱部材保持部72の周壁部54から突出する可塑性放熱部材64の一部をより一層安定して保持することができる。なお、段差面80は図6に示す天壁部42の内面48に平行なものに限定されず、天壁部42の内面48に向かって傾斜するようになっていてもよいし、天壁部42の内面48から離隔する方向に向かって傾斜するようになっていてもよい。また、上記実施形態では、放熱部材保持部52,72の周壁部54は円筒形状とされていたが、四角形状や多角形形状や十字形状や星形状等の任意の形状のものが採用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10:電気接続箱、12:箱本体、14:表面、16:アッパカバー(カバー部材)、22:リレー装着部(部品装着部)、24:ヒュージブルリンク装着部(部品装着部)、26:ヒューズ装着部(部品装着部)、28:端子収容孔、30:リレー(電気部品)、32:ヒュージブルリンク(電気部品)、42:天壁部、48:内面、52,72:放熱部材保持部、54:周壁部、56,74:軸部、58:リブ、60,76:テーパ部、62:突出端部、64:可塑性放熱部材、66:表面、78:拡幅部、80:段差面
図1
図2
図3
図4
図5
図6