(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における請求項1に記載の発明は、
矩形の繰返し
連続パルス波形の駆動電圧により伸縮する圧電素子を有する振動部材に結合して前記振動部材とともに振動する駆動軸を有する駆動部材と、
レンズを支持するためのレンズ支持体を有し、前記駆動軸の振動によって前記レンズの光軸方向と一致する前記駆動軸の軸方向に移動可能に前記駆動軸に摩擦結合された移動体と、
前記移動体の前記軸方向の位置を検出して出力する位置センサと、を備え、
前記駆動電圧は、前記位置センサが出力した前記移動体の前記軸方向の位置に応じて
定電圧駆動によって制御されるものであって、
前記波形により、前記移動体の移動開始位置から予め決められた第1所定位置の方向に向かって前記移動体が移動し、
前記方向で、前記移動開始位置から前記第1所定位置よりも前記移動開始位置に近い第2所定位置に到達するまでの間の全ての位置における前記移動体の移動速度の方が前記第2所定位置から前記第1所定位置に到達するまでの間の前記移動体の移動速度よりも小さく且つ前記第2所定位置から前記第1所定位置に到達するまで前記移動体の移動速度が一定に保たれる前記駆動電圧が印加され、前記第1所定位置に前記移動体が到達したことを前記位置センサが検出して出力したときに、当該一定に保たれている前記移動体の移動速度よりも前記第1所定位置から前記方向に沿った目標停止位置に到達するまでの間の前記移動体の移動速度の方が小さく、且つ、前記第1所定位置から前記目標停止位置に到達するまで前記移動体の移動速度が一定であるように保たれる前記駆動電圧が印加され、
前記目標停止位置に前記移動体が到達したことを前記位置センサが検出して出力したときに前記移動体の移動が停止するように前記駆動電圧の印加が停止される
ように前記駆動電圧が制御される
ことを特徴とするリニア駆動装置
である。
【0012】
したがって、停止前の移動体の移動速度を小さくしても安定した位置で移動体を停止させることができる。そのため、移動体の停止位置が安定したスローストップを実現して可聴領域の雑音の発生を十分に抑制することができるという効果が得られる。
【0014】
移動体の移動開始時の移動速度を遅くするいわゆるスロースタートを実現することができるので、移動体の移動開始時に発生する可聴領域の雑音も抑制することができ、さらに静かな移動体の移動を実現することができる。
【0017】
本発明における請求項
2に記載の発明は、
前記駆動電圧は、前記波形により、前記移動開始位置から前記第2所定位置までの間の前記移動体の移動速度が漸増するように制御されることを特徴とする請求項
1記載のリニア駆動装置
である。
【0018】
滑らかな加速ができるので、駆動軸と移動体の結合部分の不要な磨耗を防ぐことができ、長寿命のリニア駆動装置とすることができる。
【0020】
移動体をスロースタート、スローストップさせても素早く滑らかに加減速できるので、移動開始から目標停止位置までの移動時間を短くすることができる。
【0024】
移動体をより滑らかに減速させることが可能である。
【0025】
本発明における請求項8に記載の発明は、
前記移動速度は前記波形の周波数の変化に応じて変化したものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のリニア駆動装置
である。
【0026】
定電圧制御ができ、移動速度が小さくなっても駆動電圧は変わらないので、1周期における駆動力も変わらない。そのため従来技術のように低電圧領域になって途中で動かなくなりにくく、確実に移動体を目標停止位置まで移動させることができる。そのため制御が比較的楽である。
【0027】
本発明における請求項9に記載の発明は、
前記振動部材は、弾性基板を有し、弾性基板の少なくとも一面に前記圧電素子を付着したことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のリニア駆動装置
である。
【0028】
薄い振動部材とすることができるので、薄いリニア駆動装置とすることができる。
【0029】
本発明における請求項10に記載の発明は、
前記移動体は、レンズを有し、当該レンズを支持するためのレンズ支持体であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のリニア駆動装置
である。
【0030】
停止前のレンズ支持体の移動速度を小さくしても安定した位置でレンズ支持体を停止させることができる。そのため、レンズ支持体の停止位置が安定したスローストップを実現して可聴領域の雑音の発生を十分に抑制することができるという効果が得られる。
【0031】
本発明における請求項11に記載の発明は、
2組の前記駆動部材、前記レンズ支持体及び前記位置センサを備え、一組はズームレンズ用、他組はフォーカスレンズ用として、両組駆動部材が駆動する前記レンズ支持体の駆動方向と光軸を一致させたことを特徴とする請求項10記載のリニア駆動装置
である。
【0032】
同一の光軸に基づいて配置するので、リニア駆動装置を小型にすることができる。
【0033】
本発明における請求項
6の発明は、
被写体からの光を集束させるレンズと、
前記レンズが集束させた前記被写体からの光を受光して出力する撮像素子と、
矩形の繰返し
連続パルス波形の駆動電圧によって、伸縮することができる圧電素子を有する振動部材と、前記振動部材とともに振動する駆動軸と、を有する駆動部材と、
前記駆動軸の振動によって前記レンズの光軸方向と一致する前記駆動軸の軸方向に移動可能に前記駆動軸に摩擦結合され、前記レンズを支持するレンズ支持体と、
前記レンズ支持体の前記軸方向の位置を検出して出力する位置センサと、
前記位置センサが出力した前記レンズ支持体の前記軸方向の位置に応じて前記
矩形の繰返し
連続パルス波形の駆動電圧を生成して前記圧電素子に印加する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部が生成する前記駆動電圧は、前記位置センサが出力した前記レンズ支持体の前記軸方向の位置に応じて
定電圧駆動によって制御されるものであって、前記波形により、前記レンズ支持体の移動開始位置から予め決められた第1所定位置の方向に向かって前記レンズ支持体が移動し、
前記方向で、前記移動開始位置から前記第1所定位置よりも前記移動開始位置に近い第2所定位置に到達するまでの間の全ての位置における前記レンズ支持体の移動速度の方が前記第2所定位置から前記第1所定位置に到達するまでの間の前記レンズ支持体の移動速度よりも小さく且つ前記第2所定位置から前記第1所定位置に到達するまで前記レンズ支持体の移動速度が一定に保たれる前記駆動電圧が印加され、前記第1所定位置に前記レンズ支持体が到達したことを前記位置センサが検出して出力したときに、当該一定に保たれている前記レンズ支持体の移動速度よりも前記第1所定位置から前記方向に沿った目標停止位置に到達するまでの間の前記レンズ支持体の移動速度の方が小さく、且つ、前記第1所定位置から前記目標停止位置に到達するまで前記レンズ支持体の移動速度が一定であるように保たれる前記駆動電圧が印加され、前記目標停止位置に前記レンズ支持体が到達したことを前記位置センサが検出して出力したときに前記レンズ支持体の移動が停止するように前記駆動電圧の印加が停止されるように制御されることを特徴とするカメラ装置
である。
【0034】
レンズ駆動装置の可聴領域の雑音の発生を十分に抑制することができる。そのため、カメラ装置においても静音であり、動画撮影時にもレンズを移動させることができるという効果が得られる。
【0035】
本発明における請求項
7の発明は、
請求項
6記載のカメラ装置を備えたことを特徴とする電子機器
である。
【0036】
カメラ装置が静音であるため、電子機器が備えているカメラ装置で動画撮影時にもレンズを移動させることができるという効果が得られる。
【0037】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるリニア駆動装置10について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1に示すように、電子機器1はカメラ装置3を備えており、カメラ装置3はリニア駆動装置10を備えている。
【0039】
電子機器1は、例えば、携帯電話やスマートフォンに代表される携帯端末装置や手のひらサイズのパーソナルコンピュータ等の可搬型の機器を含む。また、監視カメラシステムのような据え置き型の機器をも含む。
【0040】
また、本実施の形態1において、リニア駆動装置10は、ズームレンズ及び/またはフォーカスレンズを駆動するためのレンズ駆動装置とした。
【0041】
リニア駆動装置10は、駆動部材22、42と、移動体としてのレンズ支持体26、46と、位置センサ28、48と、を備えて構成される。
【0042】
駆動部材22、42は、繰返し波形の駆動電圧により伸縮する圧電素子14、34を有する振動部材18、38に結合して振動部材18、38とともに振動する駆動軸20、40を有する。
【0043】
レンズ支持体26、46は、駆動軸20、40の振動によって駆動軸20、40の軸方向に移動可能に駆動軸20、40に摩擦結合される。
【0044】
レンズ支持体26、46は、被写体(図示せず)からの光を撮像素子56に集束させるレンズ24、44を支持するためのものである。
【0045】
位置センサ28、48は、レンズ支持体2
6、4
6の軸方向の位置を検出して出力するものである。
【0046】
ここで、レンズ24はズームレンズであり、駆動部材22、レンズ支持体26及び位置センサ28はズームレンズ用の組である。
【0047】
レンズ44はフォーカスレンズであり、駆動部材42、レンズ支持体46及び位置センサ48はフォーカスレンズ用の組である。
【0048】
駆動部材22、42は、振動部材18、38と駆動軸20、40とで構成される。
【0049】
振動部材18、38は、弾性基板16、36の少なくとも一面に圧電素子14、34を付着して構成される。
【0050】
弾性基板16、36は弾性を有する銅等の金属板である。
【0051】
圧電素子14、34はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電効果を有する素子である。
【0052】
圧電素子14、34の両面には図示しない給電用端子を設ける。給電用端子の一方は弾性基板16、36が兼ねても良い。
【0053】
図1においては、弾性基板16、36の一面に圧電素子14、34を付着したいわゆるユニモルフ型の例を示したが、弾性基板16、36の両面に圧電素子14、34を付着したいわゆるバイモルフ型であっても構わない。また、いわゆる積層型であっても構わない。
【0054】
駆動軸20、40は、軽量なカーボン等で構成された軸であり、その一端の端面が振動部材16、36の一面に固定される。固定は接着で構わない。固定される駆動軸20、40の端面の面積は軸本体部の面積よりも小さくなるようにしても良い。その分だけ後述する振動部材16、36の振動に寄与する面積が大きくなるので、振動部材16、36の外径寸法が同じでも駆動力を大きくすることができる。
【0055】
駆動部材22、42は、駆動軸20、40の両端部がゴムブッシュ52で外周側から弾性加圧されて支持されることにより筐体12に固定される。そのため、振動部材18、38は駆動軸22、42と給電関連の部材を除いては外部とは接触していない。したがって、外部の部材との接触による振動の減衰がないので、駆動軸20、40に伝達される駆動力が大きい。
【0056】
駆動軸20、40の振動部材16、36と反対側の端部はゴムブッシュ52に接着固定されるが、振動部材16、36に近い側の端部は接着されない。
【0057】
レンズ支持体26、46は両ゴムブッシュ52で支持された間の駆動軸20、40の本体部に配置される。
【0058】
駆動軸20、40の軸方向は光軸方向と一致するように組立てられる。
【0059】
レンズ支持体26、46は、樹脂で形成され、その中央部に孔部を有してレンズ24、44を支持できるようになっている。レンズ支持体26、46の駆動軸20、40との接触部は金属部材で構成されて駆動軸20、40とは線接触するようにバネ等で付勢されて摩擦結合されている。摩擦結合しているだけなので、レンズ支持体26、46は駆動軸20、40上を軸方向に沿って移動することができる。
【0060】
レンズ支持体26、46の駆動軸20、40と摩擦結合している方との反対側は、U字形をして軸部材40、20に係合しており、レンズ支持体26、46が駆動軸20、40を中心に回転しないようになっている。
【0061】
筐体12は、リニア駆動装置10の外装であり、駆動部材22、42、レンズ支持体26、46、位置センサ28、48等を所定の位置に配置している。筐体12は、樹脂で形成され、被写体側の中心にレンズ54を配置するための孔や被写体側とは反対側に撮像素子56を取付けた基板58を配置するための開口が設けられている。
【0062】
被写体からの光はレンズ54、24、44を通って撮像素子56上に集束する。撮像素子56が受光した光は電気信号に変換されてカメラ装置3本体に出力される。
【0063】
位置センサ28、48はレンズ支持体26、46の軸方向の位置を検出して駆動制御部60に出力するためのセンサである。
【0064】
本実施の形態1においては、MRセンサをレンズ支持体26、46に設け、磁気スケールとしてスケール30、50を筐体12に設けた。スケール30、50は、位置センサ28、48に向けた磁極を光軸方向に交互に並べたものを用いた。
【0065】
位置センサ28、48とスケール30、50の配置は、レンズ支持体26、46、筐体12のどちらにどちらを配置しても良い。本実施の形態1においては、位置センサ28、48はMRセンサを用いたが、ホールセンサ等を用いても構わないし、センサ種類によっては、スケール30、50を用いる必要も無い。
【0066】
駆動制御部60は、圧電素子14、34に
図2に示すような繰返し波形の駆動電圧を印加してレンズ支持体26、46を移動させる。本実施の形態1において、繰返し波形は矩形波とした。
【0067】
矩形波が印加される(T0)と、まず圧電素子14、34は厚さ方向に伸び、面内方向に縮む。電圧は急激に立ち上がるが、弾性基板16、36の弾性に抗して変形するので、変形は比較的ゆっくりと進行し、振動部材18、38は
図1において中央部が上方に移動するように弓なりに変形する。
【0068】
振動部材18、38の変形に伴い駆動軸20、40及びレンズ支持体26、46も上方へ移動する。
【0069】
電圧値に相当する変形量まで変形すると(T1)、電圧が一定の間(T1→T2)は、振動部材18、38はその姿勢を保ち、電圧が0になる(T2)と、圧電素子14、34の変形が解除され、弾性基板16、36の弾性力のために振動部材18、38の変形は一瞬のうちに元に戻る。それに伴って駆動軸20、40も元の位置に戻る(T2→T3)。
【0070】
しかし、レンズ支持体26、46は、その慣性力が摩擦係合の摩擦力に打ち勝って、その場所に留まる。そのため、矩形波1周期分の印加(T0→T4)でその駆動電圧で振動部材18、38が変形する分だけ、レンズ支持体26、46が移動する。
【0071】
これを繰り返すことにより、レンズ支持体26、46は
図1において上方に移動する。下方に移動するときは、駆動電圧を逆に印加する。
【0072】
圧電素子14、34は超音波の周波数領域で駆動するものの、従来は、レンズ支持体26、46が移動する際に可聴領域の雑音が発生することがあった。
【0073】
次に、本実施の形態1において、駆動制御部60が生成する駆動電圧の波形について説明する。
【0074】
図3に示すように、駆動制御部60は、位置センサ28、48が検出して出力したレンズ支持体26、46の軸方向の位置に応じて駆動電圧を制御する。
【0075】
すなわち、駆動制御部60は、第1所定位置P1、第2所定位置P2のようなあらかじめ決められた位置にレンズ支持体26、46が到達したことを検知すると、駆動電圧の周波数を変化させることによって、レンズ支持体26、46の移動速度を変化させる。
【0076】
駆動電圧は、位置センサ28、48が出力したレンズ支持体26、46の軸方向の位置に応じた繰返し波形である。前述のように繰返し波形は矩形波である。
【0077】
駆動電圧は、レンズ支持体26、46の移動開始位置Pstartから第1所定位置P1の方向に向かってレンズ支持体26、46が移動し、第1所定位置P1に到達するまでの間のレンズ支持体26、46の移動速度よりも、第1所定位置P1から軸方向に沿ったレンズ支持体26、46の目標停止位置Pstopに到達するまでの間のレンズ支持体26、46の移動速度の方が小さくなるようにした繰返し波形を持つ。
【0078】
そして、目標停止位置Pstopにレンズ支持体26、46が到達したときにレンズ支持体26、46の移動が停止する繰返し波形を持つ。
【0079】
本実施の形態1において、レンズ支持体26、46の移動速度は繰返し波形の周波数に応じたものである。
【0080】
すなわち、レンズ支持体26、46が第1所定位置P1に到達するまでの間の周波数よりも、第1所定位置P1から目標停止位置Pstopまでの間の周波数の方が小さくなるようにした。
【0081】
図2に示すように、駆動電圧が同じ場合、1周期のレンズ支持体26、46の変位は同じなので、駆動電圧の周波数が小さいほどレンズ支持体26、46の移動速度は小さい。
【0082】
レンズ支持体26、46の停止時において、スローストップを実現できるので可聴領域の雑音の発生を十分に抑制することができる。
【0083】
また、目標停止位置Pstopにレンズ支持体26、46が到達したことを位置センサ28、48が検出して出力することにより、駆動制御部60は駆動電圧の印加を停止する。駆動電圧の印加が停止されることによりレンズ支持体26、46は移動を停止する。
【0084】
したがって、本実施の形態1のリニア駆動装置10は停止前のレンズ支持体26、46の移動速度を小さくしても安定した位置でレンズ支持体26、46を停止させることができる。
【0085】
また、本実施の形態1においては、定電圧駆動として、移動速度の制御は繰返し波形の周波数に応じたものとして行っているので、移動速度が小さくなっても駆動電圧は変わらず、1周期における駆動力も変わらない。そのため従来技術のように低電圧領域になって途中で動かなくなる事態にはなりにくく、確実にレンズ支持体26、46を目標停止位置Pstopまで移動させることができる。そのため制御が比較的楽である。
【0086】
また、レンズ支持体26、46は、第1所定位置P1までは高速度で移動し最後の第1所定位置P1から目標停止位置Pstopまでのみが低速で移動するので、全体として短時間で移動を完了することができる。
【0087】
また、
図3に示すように、本実施の形態1において、レンズ支持体26、46の移動開始時の移動速度を遅くするいわゆるスロースタートも実現した。
図3において、軸方向で、第1所定位置P1よりも移動開始位置Pstartに近い第2所定位置P2を設定した。そして、駆動電圧は、レンズ支持体26、46の移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの間のレンズ支持体26、46の移動速度の方が、第2所定位置P2から第1所定位置P1までの間のレンズ支持体26、46の移動速度よりも小さい波形となるようにした。
【0088】
このスロースタートの場合も移動開始時の駆動電圧の周波数を小さいものとすることで、レンズ支持体26、46の移動速度を小さいものとした。
【0089】
レンズ支持体26、46の移動開始時の移動速度を遅くするいわゆるスロースタートを実現することができるので、レンズ支持体26、46の移動開始時に発生する可聴領域の雑音も抑制することができる。そのため、スローストップのみの場合よりもさらに静かなレンズ支持体26、46の移動を実現することができる。
【0090】
また、レンズ支持体26、46は、第2所定位置P2から第1所定位置P1までは高速度で移動し移動開始から第2所定位置P2までと第1所定位置P1から停止までのみが低速で移動するので、全体として短時間で移動を完了することができる。
【0091】
ここで、第1所定位置P1、第2所定位置P2は、あらかじめ移動開始位置Pstartから目標停止位置Pstopまでのそれぞれ例えば20%、80%の位置等と設定しておけば良いので、設定が容易である。
【0092】
また、
図3において、移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの周波数や距離と第1所定位置P1から目標停止位置Pstopまでの周波数や距離は同じであるように表現しているが、それぞれを個別に設定して構わない。後述の変形例についても同様である。
【0093】
また、本実施の形態1において、駆動電圧の波形は、デューティ比を50%として図面を作成しているが、他のデューティ比として構わない。また、駆動電圧の周波数を変える際に、デューティ比が一定ではなく、1つのパルス幅が一定となるようにして駆動電圧の周波数を変えても構わない。これも、後述の変形例についても同様である。
【0094】
また、本実施の形態1において、駆動電圧の波形は、矩形波のパルスである必要はなく、例えば、鋸歯状波形でも構わないし、駆動し速度変更できるのであれば正弦波のような波形であっても構わない。また、移動速度の変更は、駆動電圧の周波数の変更で行ったが、例えば駆動電圧値を変更して行っても構わないし、組み合わせて行っても構わない。これらも、後述の変形例についても同様である。
【0095】
次に、本実施の形態1の駆動電圧波形の第1変形例について、説明する。
【0096】
図4に示すように、この第1変形例では、駆動電圧は、第1所定位置P1からレンズ支持体26、46の目標停止位置Pstopまでの間のレンズ支持体26、46の移動速度が漸減する波形とした。すなわち、この第1変形例では、駆動電圧の周波数が第1所定位置P1からレンズ支持体26、46の目標停止位置Pstopまでの間に漸減するようにした。
【0097】
さらに駆動電圧は、移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの間のレンズ支持体26、46の移動速度が漸増する波形とした。すなわち、駆動電圧の周波数が移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの間に漸増するようにした。
【0098】
第1所定位置P1からレンズ支持体26、46の目標停止位置Pstopまでの間のレンズ支持体26、46の移動速度が漸減するようにしたため滑らかな減速ができるので、駆動軸20、40とレンズ支持体26、46の結合部分の不要な磨耗を防ぐことができ、長寿命のリニア駆動装置10とすることができる。同様に、移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの間のレンズ支持体26、46の移動速度が漸増するようにしたため滑らかな加速ができるので、駆動軸20、46とレンズ支持体10の結合部分の不要な磨耗を防ぐことができ、長寿命のリニア駆動装置10とすることができる。
【0099】
また、レンズ支持体26、46が目標停止位置Pstopに到達したことを位置センサ28.48が検出することでレンズ支持体26、46の移動が停止されるので、レンズ支持体26、46は移動速度が漸減して小さくても安定した位置で停止できる。
【0100】
次に、本実施の形態1の駆動電圧波形の第2変形例について、説明する。
【0101】
図5に示すように、この第2変形例では、軸方向で、第2所定位置P2と第1所定位置P1との間に2か所の所定位置である第3所定位置P3と第4所定位置P4を設定した。
【0102】
駆動電圧は、第2所定位置P2の方に近い第3所定位置P3から第1所定位置P1の方に近い第4所定位置P4までの間でレンズ支持体26、46の移動速度が最大であるような波形にした。
【0103】
また、第2所定位置P2から第3所定位置P3までの間の移動速度が、移動開始位置Pstartから第2所定位置P2までの間の移動速度と最大の移動速度との中間であるような波形にした。
【0104】
さらに、第4所定位置P4から第1所定位置P1までの間の移動速度が最大の移動速度と第1所定位置P1からレンズ支持体26、46の目標停止位置Pstopまでの間の移動速度との中間であるような波形にした。
【0105】
よりきめ細かい制御ができるので、より静音に、より短時間でレンズ支持体26、46の移動を完了させることができる。
【0106】
また、
図6に示すように、第2所定位置P2から第3所定位置P3までの間の移動速度が漸増する波形としても良い。また、第4所定位置P4から第1所定位置P1の間の移動速度が漸減する波形としても良い。レンズ支持体26、46をより滑らかに加速または減速させることが可能である。
【0107】
また、図示はしていないが、移動開始位置Pstartから第2所定位置P2の間の移動速度が漸増する波形としても良いし、第1所定位置P1と目標停止位置Pstopの間の移動速度が漸減する波形としても良い。
【0108】
また、第3所定位置P3または第4所定位置P4のいずれか一方を省いて、
図3または
図4の波形と
図5または
図6の波形を組合わせたような波形としても構わない。
【0109】
また、本実施の形態1においては、第4所定位置P4までを記載したが、第5所定位置P5以降を増やしても構わない。
【0110】
本実施の形態1において、リニア駆動装置10は、ズームレンズ及び/またはフォーカスレンズを駆動するためのレンズ駆動装置とした。しかし、それに限るものではなく、例えば、レンズを光軸と直交する方向に駆動したり、撮像素子をその面内方向に駆動したりして手振れを補正するレンズや撮像素子の駆動装置としても構わない。その場合、移動体は、この手振れ補正用のレンズを支持するレンズ支持体や撮像素子を支持する撮像素子支持体となる。