特許第6948143号(P6948143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948143
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】空間演出装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 19/16 20060101AFI20210930BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210930BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   G09F19/16
   G09F9/00 313
   G09F13/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-79500(P2017-79500)
(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公開番号】特開2018-180272(P2018-180272A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】517131019
【氏名又は名称】川島 一通
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】川島 一通
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−126476(JP,A)
【文献】 特開平11−295639(JP,A)
【文献】 特開2016−077711(JP,A)
【文献】 米国特許第05726806(US,A)
【文献】 特開2010−148684(JP,A)
【文献】 実開平02−036895(JP,U)
【文献】 実開昭56−018979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
13/00 − 13/46
19/16
G02B 27/10 − 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせ鏡となるように正面視前後に配置される一対のマジックミラー板と、
前記一対のマジックミラー板の間に形成される電飾空間において、少なくとも正面視上方に点在するように配置される複数の電飾装置と、
前記一対のマジックミラー板のうち、後方のマジックミラー板の背後であって、前記電飾装置よりも正面視下方において、正面視したときに前記電飾装置と重ならないように配置される特定実体物と、
前記電飾装置よりも正面視下方に配置され、前記特定実体物へ向けて光を照射するための照明装置と、を備え、
前記電飾装置が発光することで、前記一対のマジックミラー板のうち、前方のマジックミラー板を介して、当該電飾装置の発光及び前記後方のマジックミラー板に映る像を視認可能とし、
前記照明装置が光を照射することで、前記前方のマジックミラー板及び前記後方のマジックミラー板を介して、前記特定実体物を視認可能とし、
前記電飾装置が発光し、かつ前記照明装置が光を照射することで、前記前方のマジックミラー板を介して、当該電飾装置の発光、前記後方のマジックミラー板に映る像及び前記特定実体物のいずれも視認可能とすることを特徴とする空間演出装置。
【請求項2】
前記特定実体物の後方に映像表示装置を備え、
前記映像表示装置に所定の画像を表示することで、前記前方のマジックミラー板及び前記後方のマジックミラー板を介して、当該所定の画像を視認可能とすることを特徴とする請求項1記載の空間演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マジックミラー板を用いた空間演出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マジックミラー板であって透過率と反射率とを等しくしたハーフミラー板と、高い反射率となっている通常のミラー板とを用いて合わせ鏡とすることで、像を連続的に反射させて視覚効果を生じさせる空間演出装置が知られている。特に、特許文献1に開示されているように、所定の空間における床面の略全体にハーフミラー板及び通常のミラー板を合わせ鏡となるように設置することで空間における床面を演出するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−107412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような空間演出装置によって生じる演出効果としては、像の反射が連続して生じることで空間に奥行きが感じられる程度のものにとどまってしまい、インパクトに欠けるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、マジックミラー板を用いて、従来に無い演出効果を生じさせることが可能な空間演出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
【0007】
(1)本発明は、合わせ鏡となるように正面視前後に配置される一対のマジックミラー板(第1マジックミラー板12 、第2マジックミラー板13 )と、前記一対のマジックミラー板の間に形成される電飾空間において、少なくとも正面視上方に点在するように配置される複数の電飾装置(電飾装置23における光源25)と、前記一対のマジックミラー板のうち、後方のマジックミラー板(第2マジックミラー板13)の背後であって、前記電飾装置よりも正面視下方において、正面視したときに前記電飾装置と重ならないように配置される特定実体物(フィギュア21)と、前記電飾装置よりも正面視下方に配置され、前記特定実体物へ向けて光を照射するための照明装置(照明装置22)と、を備え、前記電飾装置が発光することで、前記一対のマジックミラー板のうち、前方のマジックミラー板(第1マジックミラー板12)を介して、当該電飾装置の発光及び前記後方のマジックミラー板に映る像を視認可能とし、前記照明装置が光を照射することで、前記前方のマジックミラー板及び前記後方のマジックミラー板を介して、前記特定実体物を視認可能とし、前記電飾装置が発光し、かつ前記照明装置が光を照射することで、前記前方のマジックミラー板を介して、当該電飾装置の発光、前記後方のマジックミラー板に映る像及び前記特定実体物のいずれも視認可能とすることを特徴とする空間演出装置(空間演出装置1)である。
本発明によれば、合わせ鏡の原理を利用することで空間に奥行きが感じられるのと同時に実体物が視認可能となることで、奥行きを感じる空間の中に実体物が存在するかのような視覚効果を得ることが可能となる。
【0008】
(2)また、本発明に係る空間演出装置は、前記特定実体物の後方に映像表示装置(液晶ディスプレイ20)を備え、前記映像表示装置に所定の画像(表示画像30A、30B、30C)を表示することで、前記前方のマジックミラー板及び前記後方のマジックミラー板を介して、当該所定の画像を視認可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マジックミラー板を用いて、従来に無い演出効果を生じさせることが可能な空間演出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】空間演出装置の右側面概略図である。
図2】空間演出装置の正面概略図である。
図3】空間演出装置の第3の演出効果を発揮した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の説明により、本発明がそれに限定されるものではなく、当業者にとって容易に実施できる程度の設計変更は本発明の技術的思想に属するものである。
【0012】
(空間演出装置1の概要)
図1は、本発明の空間演出装置1を右側面から見た場合の概略図である。また、図2は、本発明の空間演出装置1を第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13を取り外した状態で正面から見た場合の概略図である。
なお、本明細書において、空間演出装置1に設けられた各構成部品についての、前後(正面背面)、左右(側面)、上下(天面底面)の方向は、各構成部品を空間演出装置1に設置した状態で空間演出装置1を正面視したときの方向を示すものとする。
【0013】
空間演出装置1は、後述する演出効果を発揮することができる程度の明度まで暗くすることが可能な施設内に設置される。当該施設に入場した来場者は、第1マジックミラー板12と対向するように臨むことで後述する演出効果を体感することができる。
【0014】
図1のように、空間演出装置1は、施設の床面から所定の高さとなる位置に配置される底面板11を備え、また、底面板11の上面において合わせ鏡となるように配置される第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13を備える。そして、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13の間に配置される電飾装置23を備える。また、第2マジックミラー板13の後方に配置されるフィギュア21(特定実体物)と液晶ディスプレイ20(映像表示装置)を備える。また、フィギュア21に向けて下方から光を照射する照明装置22を備える。
【0015】
底面板11は透明なアクリル板によって形成されており、支柱(図示省略)によって支えられている。また底面板11の下面前端には、床面に向けて垂直に延びる幕板15が設けられている。そして、底面板11及び幕板15によって空間を仕切ることで、底面下空間4が形成される。
【0016】
なお、底面板11はアクリル板以外の部材でもよく、少なくとも透過性を有しており、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13やフィギュア21を配置することができる部材であればよい。
【0017】
第1マジックミラー板12は、反射率の方が透過率よりも大きくなるように構成されたマジックミラー板である。本形態では、反射率が約92パーセント(透過率が約8パーセント)となるマジックミラー板が用いられている。そして、第1マジックミラー板12は底面板11の上面前端に配置されており、天面板10に向けて垂直に延びている。また、第1マジックミラー板12の上端と天面板10との間には、電飾装置23を配置可能な隙間が形成されている。
【0018】
第2マジックミラー板13は、第1マジックミラー板12と同様に、反射率の方が透過率よりも大きくなるように(反射率が約92パーセント、透過率が約8パーセント)構成されたマジックミラー板である。そして、第2マジックミラー板13は、第1マジックミラー板12の後方であって、第1マジックミラー板12と所定の角度(本実施形態では45度)を成して合わせ鏡となるように配置されている。
具体的には、第2マジックミラー板13の下端が第1マジックミラー板12の下端と略同位置となるように配置され、第2マジックミラー板13の上端が後方に向けて傾倒している。そして、第1マジックミラー板12と第2マジックミラー板13との成す角度は45度となっている。
また、第2マジックミラー板13の上端は液晶ディスプレイ20の上端の近傍に位置している。
【0019】
そして、第1マジックミラー板12、第2マジックミラー板13及び天面板10によって仕切られた空間により、電飾空間2が形成される。
また、第2マジックミラー板13、底面板11及び後述する背面壁14によって仕切られた空間により、実体物空間3が形成される。
【0020】
なお、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13の透過率と反射率は後述の演出効果を発揮することができる範囲内で適宜変更してもよい。たとえば、透過率と反射率とが等しくなるようにしてもよい。換言すれば、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13はいずれも、透過率と反射率とが等しくなっているハーフミラー板としてもよい。
【0021】
電飾装置23は外部の電源(図示省略)から電力が供給されることで発光することが可能な電飾であって、光源25や配線24によって構成される。光源25としてはLEDや電球など既存の光源を採用することができる。
電飾装置23は電飾空間2に配置され、スイッチや制御装置(いずれも図示省略)の操作によって種々の発光パターンで発光することが可能である。
【0022】
フィギュア21は特定のモチーフをかたどった人形として構成される。モチーフとしては人物、動物、漫画等のキャラクターを採用することができ、他にも神仏を模した像や建物のミニチュア、置物等を採用することもできる。
フィギュア21は実体物空間3(第2マジックミラー板13の後方)であって、液晶ディスプレイ20の前方に配置される。
【0023】
液晶ディスプレイ20は特定の文字や画像、動画を表示する表示用デバイスとして構成される。外部の制御装置(図示省略)によって制御されることで、種々の表示パターンで文字や画像等の表示を実行することが可能である。
図2に示すように、液晶ディスプレイ20は映像表示部20Aと枠部20Bを備え、枠部20Bは光の反射を抑えるため黒色によって形成されている。
液晶ディスプレイ20は実体物空間3であって、フィギュア21の後方に配置される。
なお、表示用デバイスとしては液晶ディスプレイに限られず、プロジェクタ装置等の種々の表示用デバイスを採用することができる。
【0024】
照明装置22は外部の電源(図示省略)から電力が供給されることで、フィギュア21に向けて底面板11を介して光を照射することが可能な照明器具によって構成される。照明器具の光源としてはLEDや電球など既存の光源を採用することができる。
照明装置22は底面下空間4に配置され、スイッチや制御装置(いずれも図示省略)の操作によって種々の発光パターンで発光することが可能である。
【0025】
天面板10は反射率が高い(ほぼ100パーセントの反射率)ミラー板により構成されている。すなわち、天面板10は、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13と異なり、通常の鏡である。
天面板10は空間演出装置1における天井を構成する板である。そして、天面板10と第2マジックミラー板13とは、所定の角度(本実施形態では45度)を成して構成された合わせ鏡となっている。
【0026】
背面壁14は空間演出装置1の背面を構成するものである。また、図2に示す左側面壁15及び右側面壁16はそれぞれ空間演出装置1の側面を構成するものであり、天面板10と同様に、反射率が高い(ほぼ100パーセント)ミラー板、すなわち、通常の鏡により構成されている。そして、左側面壁15と右側面壁16とは合わせ鏡となっている。
なお、左側面壁15及び右側面壁16は、ミラー板では無く、通常の板等により構成してもよい。また、背面壁14、左側面壁15、右側面壁16は空間演出装置1が設置される施設の壁により代用してもよい。また、後述する演出効果を発揮することができる程度の暗さを確保できるならば、天面板10、背面壁14、左側面壁15、右側面壁16の全て、又はいずれかを設けずに開放された状態によって空間演出装置1を構成してもよい。
【0027】
(演出効果)
次に、空間演出装置1による演出効果について説明をする。
まず、電飾装置23や照明装置22を発光させず、空間演出装置1における電飾空間2や実体物空間3側よりも来場者側の明度が明るい状態(空間演出装置1による演出効果を発揮させていない状態)では、明るさの違いから、来場者は電飾空間2や実体物空間3側の透過像を視認することはできず、第1マジックミラー板12に反射する来場者側の反射像のみ視認することになる。
【0028】
一方、施設内の明度を暗くして、電飾装置23のみを発光させた状態(空間演出装置1による演出効果のうち第1の演出効果を発揮した状態)においては、明るさの違いから、来場者は第1マジックミラー板12に反射する来場者側の反射像を視認することはできず、第1マジックミラー板12を介して来場者側に透過する電飾空間2における電飾装置23の発光及び第2マジックミラー板13に映る反射像を視認することになる。
第2マジックミラー板13に映る反射像は電飾空間2を映すものである。上述の状態においては照明装置22が光を照射しておらず、実体物空間3側よりも電飾空間2側の方が明るくなるため、第2マジックミラー板13を透過する実体物空間3側の像を来場者は視認することができなくなっている。
【0029】
また、第1マジックミラー板12と第2マジックミラー板13とは合わせ鏡となっているため、反射の連続によって、第2マジックミラー板13に映る反射像は電飾空間2が連続的に続いているように見えるものとなり、空間に奥行きを感じるような視覚効果を得ることができる。
【0030】
更に、第2マジックミラー板13は天面板10とも合わせ鏡となっているため、第1マジックミラー板12と同様に、第2マジックミラー板13及び天面板10により生じる反射の連続によっても視覚効果を得ることができる。加えて、第1マジックミラー板12を通して天面板10を見上げることによっても天面板10に映る反射像を視認することができ、電飾空間2が連続的に続いているような視覚効果を得ることができる。更に、左側面壁と及び右側面壁16とは通常の鏡により構成されており、かつ合わせ鏡となっているため、左右方向の反射の連続によって、電飾空間2が左右方向に連続的に続いているように見える。これにより、左右方向にも広がり(左右方向への奥行き)を感じるような視覚効果も得ることができる。
【0031】
そして、施設内の明度を暗くして、照明装置22が光を照射した状態(空間演出装置1による演出効果のうち第2の演出効果を発揮した状態)においては、明るさの違いから、来場者は第1マジックミラー板12に反射する来場者側の反射像を視認することはできず、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13を介して来場者側に透過する実体物空間3におけるフィギュア21を視認することになる。
上述の状態においては、電飾装置23を発光させていないため、電飾空間2側よりも実体物空間3側の方が明るくなり、第2マジックミラー板13に映る電飾空間2側の反射像を来場者は視認することができず、第2マジックミラー板13を透過する実体物空間3におけるフィギュア21を視認することが可能となる。
従って、来場者は第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13を通して実体物空間3におけるフィギュア21の透過像を視認することになる。
【0032】
そして、施設内の明度を暗くして、電飾装置23を発光させ、かつ照明装置22が光を照射した状態(空間演出装置1による演出効果のうち第3の演出効果を発揮した状態)においては、明るさの違いから、来場者は第1マジックミラー板12に反射する来場者側の反射像を視認することはできない。そして、電飾装置23の発光の明るさと照明装置22からの照射光の明るさとに応じて、第1マジックミラー板12を介して来場者側に透過する電飾空間2における電飾装置23の発光及び第2マジックミラー板13に映る反射像と、第2マジックミラー板13を透過する実体物空間3におけるフィギュア21とを視認することが可能となる。
具体的には、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13は反射率の方が透過率よりも高くなっているため、たとえば、第2マジックミラー板13を透過した照明装置22からの照射光が電飾装置23の発光よりも暗い場合には、電飾装置23の発光及び第2マジックミラー板13に映る反射像が、実体物空間3におけるフィギュア21よりも優先して視認される。すなわち、この場合には、実体物空間3におけるフィギュア21を視認することは困難となる。これに対して、第2マジックミラー板13を透過した照明装置22からの照射光が電飾装置23の発光よりも明るい場合には、電飾装置23の発光及び第2マジックミラー板13に映る反射像を視認可能となるとともに、実体物空間3におけるフィギュア21も視認可能となる。
【0033】
第3の演出効果を発揮した状態における一例を、図3を用いて具体的に説明する。
図3に示すように、第3の演出効果を発揮する状態においては、空間演出装置1の内部及び来場者側の空間について明度を暗くしているため、電飾装置23における配線24や液晶ディスプレイ20における映像表示部20Aや枠部20Bを明確に視認することはできない。
その状態であっても、電飾装置23における光源25が発する発光(以下、単に「発光32」とする)や第2マジックミラー13に映る発光32の反射像(以下、単に「演出光31」とする)は第1マジックミラー板12を介して視認することができる。
また、照明装置22がフィギュア21に向けて光源25の発光よりも明るい光を照射することで(第2マジックミラー板13を透過した照明装置22からの照射光が電飾装置23の発光よりも明るくなるような強い光を、照明装置22が照射することで)、実体物空間3におけるフィギュア21の像が第2マジックミラー板13及び第1マジックミラー板12を透過する。これにより、第1マジックミラー板12及び第2マジックミラー板13を通して、実体物空間3におけるフィギュア21を視認することができる。
【0034】
ここで、空間演出装置1においては、フィギュア21の配置場所や光源25の発光の明るさ及び照明装置22が照射する光の明るさ、照明装置22が照射する光の位置との関係により、第2マジックミラー板13において、演出光31を視認することができる場所と、フィギュア21を視認することができる場所が生じるようになっている。つまり、強い光が照射されることで実体物空間3側が明るくなるフィギュア21の周辺については第2マジックミラー板13を介してフィギュア21を視認することができ、フィギュア21から離れており、照明装置22から照射されて届く光の明るさよりも光源25の発光の明るさが上回る場所、又は照明装置22が照射する光が届かない場所については第2マジックミラー板に映る反射像である演出光31を視認することができる。
【0035】
第3の演出効果を発揮した状態において、さらに液晶ディスプレイ20にて表示画像30A、30B、30Cを表示する。表示画像30Aは人物の顔を表した写真画像であり、表示画像30Bはハート型のモチーフ画像であり、表示画像30Cは「ありがとう」の文字を表した文字画像である。なお、表示する画像はこれらに限られず、種々の画像や動画を表示することができる。
この場合においてもフィギュア21を視認することになる場合と同様に、液晶ディスプレイ20が各表示画像を表示することで、表示箇所の付近の明るさが電飾空間2側の明るさを上回れば、当該表示箇所の付近を視認することになる。
【0036】
このように、第3の演出効果を発揮した状態においては、第1マジックミラー板12を通して、発光32、演出光31、フィギュア21が同時に視認可能となるため、演出光31を視認することができる場所については、第1の演出効果と同様に電飾空間2が連続的に続いているように見え、空間に奥行き及び広がりを感じるような視覚効果を得ることができ、更にそれに囲まれるようにフィギュア21を視認することができるため、奥行き及び広がりのある空間の中にフィギュア21が鎮座しているかのような印象を与えることができるという優れた演出効果を提供することができる。
【0037】
更に、第1から第3の演出効果を切り替えて発揮することができるため、変化に富んだインパクトのある演出効果を提供することができる。
【0038】
更に、液晶ディスプレイ20には様々な表示画像を表示することが可能となるため、来場者に合わせて適切な画像を表示することで、より高い演出効果を提供することができる。
【0039】
最後に、上述の実施の形態の変形例について説明する。
上述の実施の形態では、照明装置22は底面下空間4に配置されていたが、これに限定されるものではなく、実体物空間3におけるフィギュア21の目の前や各側面壁に配置するようにしてもよい。
このような場合においては、底面板11は透明部材にしなくともよい。
【0040】
上述の実施の形態では、フィギュア21は1つのみ配置したが、これに限定されるものではなく、複数のフィギュア21を配置してもよい。このような場合においては、複数のフィギュア21のそれぞれに対応するように照明装置22を設けて、別個に光を照射可能とすることで、演出の実行状況に応じて視認することができるフィギュア21を異ならせることが考えられる。これにより、より変化に富んだ演出効果を提供することができる。
【0041】
上述の実施の形態では、実体物空間3にフィギュア21と液晶ディスプレイ20の双方を配置するとしたが、これに限られるものではなく、実体物空間3にフィギュア21のみを配置してもよいし、また実体物空間3に液晶ディスプレイ20のみを配置してもよい。
【0042】
上述の実施の形態では、第1マジックミラー板12と第2マジックミラー板13との角度を45度としたが、これに限られるものではなく、上述した演出効果を発揮することが可能な範囲内において適宜変更することができる。
また、第1マジックミラー板12と第2マジックミラー板13とを並行かつ合わせ鏡となるように配置してもよい。このような場合においては、第2マジックミラー板13に映る反射像の視覚効果(第1の演出効果)として、電飾空間2が無限に続くような視覚効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 空間演出装置
2 電飾空間
3 実体物空間
4 底面下空間
10 天面板
11 底面板
12 第1マジックミラー板
13 第2マジックミラー板
20 液晶ディスプレイ
21 フィギュア
22 照明装置
23 電飾装置
図1
図2
図3