特許第6948180号(P6948180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948180
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】食品加工装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20210930BHJP
【FI】
   F25D23/06 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-140096(P2017-140096)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-20069(P2019-20069A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 HCJ2017 開催場所 住 所 東京都江東区有明3−10−1 東京ビッグサイト 開催日 平成29年2月21日〜24日 4日間
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸本 和也
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−144276(JP,A)
【文献】 実開平05−042983(JP,U)
【文献】 特開2010−270930(JP,A)
【文献】 特開2014−142170(JP,A)
【文献】 特開平11−270960(JP,A)
【文献】 特開2005−134061(JP,A)
【文献】 特開2011−067666(JP,A)
【文献】 特開2005−097994(JP,A)
【文献】 特開2000−180036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/06−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口を有する収納庫(3)と、収納庫(3)の前面開口を開閉する扉(20)と、収納庫(3)内に冷気あるいは暖気を供給する処理空気供給装置(5)とを備え、収納庫(3)内に収納された食品に対して冷却処理あるいは加熱処理を行う食品加工装置であって、
収納庫(3)は、金属製の内箱(30)と外箱(40)とで形成される空間に断熱材(25)を充填してなる前面開口を有する断熱箱体(4)であり、前面開口の開口縁に位置する内箱(30)の周縁端部(33)と外箱(40)の周縁端部(43)との間には、両箱(30・40)の周縁端部(33・43)を連結する合成樹脂製の連結材(50)が配置されており、
連結材(50)には、庫内側に位置して内箱(30)の周縁端部(33)が装着される装着部(52)が形成されており、
装着部(52)と内箱(30)の周縁端部(33)との間には封止剤を硬化してなる封止部(64)が形成されており、
装着部(52)の庫内側の端部に、封止剤充填用の凹入部(65)が凹み形成されており、
装着部(52)が、内箱(30)の周縁端部(33)の前面を受け止める前受壁(56)と、内箱(30)の周縁端部(33)の後面を受け止める後受壁(57)と、これら前後の受壁(56・57)の間に形成されて内箱(30)の周縁端部(33)が差し込み装着される装着溝(58)とを含み、
凹入部(65)が、前受壁(56)の庫内側の先端部(56a)に、庫外側に向って凹入する状態で凹み形成されており、
凹入部(65)の後部が、装着溝(58)の庫内側の開口部に連通していることを特徴とする食品加工装置。
【請求項2】
凹入部(65)が、庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成されている、請求項1記載の食品加工装置。
【請求項3】
収納庫(3)の前面側の開口縁と、当該開口縁に対向する扉(20)の後面との間に、マグネットキャッチ構造(21)が設けられており、
マグネットキャッチ構造(21)は、扉(20)の後面に設けられる磁石を備えるドアパッキン(22)と、開口縁に沿って配置される磁性金属板製の吸着板(23)とで構成されており、
連結材(50)に吸着板(23)が配設されている、請求項1又は2記載の食品加工装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫内に収納された食品に対して冷却処理あるいは加熱処理を行う食品加工装置に関して、特に断熱箱体の内箱と外箱とを連結する連結材のシール構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の分野において、断熱箱体を構成する金属製の内箱と外箱とを、合成樹脂製の連結材で連結することは、例えば特許文献1等に開示されており公知である。特許文献1に記載の冷蔵庫では、前面開口を有する冷蔵庫本体を、内箱、外箱及び両箱間に充填される断熱材で構成している。冷蔵庫本体の前面開口周縁には、両箱の周端縁を連結する連結材(化粧枠)が設けられている。連結材には、内箱の周端縁を係合狭持する装着部が形成されている。同様の構成の連結材を備える断熱箱体は、特許文献2にも見受けられる。このように連結材により内箱と外箱とが連結されていると、内箱の冷熱が外箱に伝導することを抑えることができるので、外箱に結露が付着することを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭46−16397号公報(第2図参照)
【特許文献2】特開2003−207265号公報(図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば収納庫内に収納された食品に対して冷却処理を行う「ブラストチラー」と称される食品加工装置では、調理直後の高温の食材に対して、マイナス温度の冷気を当てて、食材を0℃にまで急速冷却する。このため、食品の収納庫への収納時と、食品に対する急速冷却処理後では、収納庫の庫内温度が急激に変化することが避けられず、先の特許文献1、2のような断熱箱体の構成を採った場合には、特に断熱箱体の庫内側に位置する金属製の内箱と、合成樹脂製の連結材との熱膨張率差により、両者の密着性が損なわれて、両者が分離して、両者の隙間から断熱箱体の内部に水分が浸入するおそれがある。
【0005】
本発明は、収納庫内に収納された食品に対して冷却処理あるいは加熱処理を行う食品加工装置において、断熱箱体の庫内側に位置する金属製の内箱と、合成樹脂製の連結材との熱膨張率差に起因して、両者間のシール性が損なわれて、水分が断熱箱体の内部に浸入することを確実に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前面開口を有する収納庫3と、収納庫3の前面開口を開閉する扉20と、収納庫3内に冷気あるいは暖気を供給する処理空気供給装置5とを備え、収納庫3内に収納された食品に対して冷却処理あるいは加熱処理を行う食品加工装置を対象とする。収納庫3は、金属製の内箱30と外箱40とで形成される空間に断熱材25を充填してなる前面開口を有する断熱箱体4であり、前面開口の開口縁に位置する内箱30の周縁端部33と外箱40の周縁端部43との間には、両箱30・40の周縁端部33・43を連結する合成樹脂製の連結材50が配置されている。連結材50には、庫内側に位置して内箱30の周縁端部33が装着される装着部52が形成されている。そして、装着部52と内箱30の周縁端部33との間には封止剤を硬化してなる封止部64が形成されており、装着部52の庫内側の端部に、封止剤の充填用の凹入部65が凹み形成されていることを特徴とする。
【0007】
装着部52は、内箱30の周縁端部33の前面を受け止める前受壁56と、内箱30の周縁端部33の後面を受け止める後受壁57と、これら前後の受壁56・57の間に形成されて内箱30の周縁端部33が差し込み装着される装着溝58とを含むものとする。そして凹入部65が、前受壁56の庫内側の先端部56aに、庫外側に向って凹入する状態で凹み形成されており、凹入部65の後部が、装着溝58の庫内側の開口部に連通している形態を採ることができる。
【0008】
凹入部65は、庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成されていることが望ましい。
【0009】
収納庫3の前面側の開口縁と、当該開口縁に対向する扉20の後面との間に、マグネットキャッチ構造21が設けられており、マグネットキャッチ構造21は、扉20の後面に設けられる磁石を備えるドアパッキン22と、開口縁に沿って配置される磁性金属板製の吸着板23とで構成されており、連結材50に吸着板23が配設されている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、装着部52の庫内側の端部に、封止剤の充填用の凹入部65を凹み形成して、この凹入部65内に封止剤を充填して、これが凹入部65内で硬化することで封止部64が形成されるようにした。これによれば、当該凹入部65が形成されていない形態に比べて、より多くの封止剤を使って封止部64を形成することができるので、連結材50と内箱30の周縁端部33との接合部分を確実にシールすることができる。以上より、本発明によれば、合成樹脂製の連結材50と金属製の内箱30の周縁端部33との熱膨張差により、両者50・30の接合部分が分離しようとした場合でも、封止部64により当該接合部分にシール破壊が生じることを防いで、断熱箱体4の内部に水分が浸入することを確実に防ぐことができる。従って、本発明によれば、内箱30と連結材50との接合部分におけるシール性が良好であり、信頼性に優れた食品加工装置を得ることができる。
【0011】
装着部52は、内箱30の周縁端部33の前面を受け止める前受壁56と、内箱30の周縁端部33の後面を受け止める後受壁57と、これら前後の受壁56・57の間に形成されて内箱30の周縁端部33が差し込み装着される装着溝58とを含むものとすることができる。また、上記のような装着部52の構成を採る場合には、凹入部65は、前受壁56の庫内側の先端部56aに、庫外側に向って凹入する状態で凹み形成されており、凹入部65の後部が、装着溝58の庫内側の開口部に連通している形態を採ることが望ましい。これによれば、装着溝58内に内箱30の周縁端部33を差し込み装着するだけで、当該装着溝58の庫内側の開口部の近傍に位置する内箱30の周縁端部33を、凹入部65に臨むような姿勢状態とすることができる。以上より、凹入部65内に封止剤を封入することで、装着溝58の庫内側の開口部の近傍に位置する内箱30の周縁端部33と、連結材50との接合部分を確実にシールすることができる。
【0012】
凹入部65が、庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成されていると、凹入部65の内形寸法をストレート状とする形態に比べて、連結材50の庫内側の端部(前受壁56)の厚み寸法を大きく採ることができる。従って、凹入部65を設けたことに伴う連結材50の庫内側の端部(先端部56a)の剛性低下を抑えて、当該端部が破損することを効果的に防ぐことができる。凹入部65の奥端部の隅々まで封止剤を充填することが容易となり、封止剤の充填密度がばらつくことを抑えて、封止部64による均一なシール性を確保することもできる。
【0013】
収納庫3の前面側の開口縁と、当該開口縁に対向する扉20の後面との間に、マグネットキャッチ構造21が設けられており、マグネットキャッチ構造21は、扉20の後面に設けられる磁石を備えるドアパッキン22と、開口縁に沿って配置される磁性金属板製の吸着板23とで構成されており、連結材50に吸着板23が配設されている形態を採ることができる。これによれば、内箱30や外箱40の周縁端部33・43を磁性金属片として代用する形態に比べて、マグネットと磁性金属片23との間隔距離を短くすることができる。従って、マグネットの吸着力に由来する扉20の姿勢保持作用力が良好に発揮されるので、扉20が不用意に開姿勢となることを防いで、閉姿勢にある扉20を安定した状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る食品加工装置の要部の横断平面図である。
図2】食品加工装置の縦断側面図である。
図3】食品加工装置の正面図である。
図4】断熱箱体の分解斜視図である。
図5】連結材を説明するための要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
図1から図5に本発明に係る食品加工装置を、食品に対して粗熱取り、急速冷却、あるいは急速凍結などの冷却処理を行う急速冷却庫(ブラストチラー)に適用した実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1図4および図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2、および図3において、急速冷却庫は、冷却庫本体1と、冷却庫本体1の下方に設けられた機械室2とで構成される。冷却庫本体1は、前面開口を有する収納庫3を備える縦長の断熱箱体4からなり、収納庫3の内部左方に蒸発器(処理空気供給装置)5と送風ファン6が配置されている。送風ファン6から送給された庫内の空気は、蒸発器5を通過する間の熱交換によって冷却され、蒸発器5の前後の隙間から右向きに送給されて収納庫3内を循環する。機械室2の内部には、圧縮機7、凝縮器8、凝縮器8用の送風ファン9などが収容されている。圧縮機7および凝縮器8と、蒸発器5とは冷媒通路を介して接続されている。
【0016】
図3において符号10は、蒸発器5と送風ファン6とを備える冷却器ユニットを示す。冷却器ユニット10は、左右に開口を有する四角枠状のケース本体11と、ケース本体11の右側開口を塞ぐように設けられるケース蓋12とで構成される。収納庫3の内部には、左右一対の載置棚部14が多段状に設けられており、食品を載せたホテルパン15を左右一対の載置棚部14に差込み装着することで、収納庫3内に上下多段状にホテルパン15を配置することができる。冷却処理時には、蒸発器5を運転状態にし、送風ファン6を駆動することにより、ホテルパン15上の食材を冷却することができる。
【0017】
冷却庫本体1の前面開口は、揺動開閉式の扉20により開閉される。扉20は左端側がヒンジに軸支されており、閉じた姿勢から前方左方に揺動開閉される。冷却庫本体1と扉20との間には、マグネットキャッチ構造21が設けられており(図1参照)、このマグネットキャッチ構造21により、扉20は閉じ姿勢に保持される。マグネットキャッチ構造21は、扉側のドアパッキン22と、冷却庫本体1側の磁性金属片(吸着板)23とで構成される。ドアパッキン22には、磁性金属片23に磁気吸着するマグネットが内設されている。
【0018】
図4および図5に示すように、断熱箱体4は、金属製の内箱30と、金属製の外箱40と、両箱30・40を連結する合成樹脂製の連結材50と、両箱30.40の対向隙間に充填された断熱材25(図1参照)とで構成される。内箱30は、後壁31a、右側壁31b、左側壁31c、上壁31d、および下壁31eとを備え、前面開口32を有する四角容器状に形成されている。前面開口32に臨む、右側壁31b、左側壁31c、上壁31d、および下壁31eのそれぞれの開口縁には、各壁31b〜31eの端縁を外方(庫外側)に屈曲することで、係合片となる周縁端部33が外向きに張り出し形成されている。
【0019】
図4に示すように、外箱40は、後壁41a、右側壁41b、左側壁41c、上壁41d、および下壁41eとを備え、前面開口42を有する四角容器状に形成されている。外箱40の内形寸法は、内箱30の外形寸法よりも断熱材25の充填空間の分だけ大きく設定されている。前面開口42に臨む右側壁41b、左側壁41c、上壁41d、および下壁41eのそれぞれの開口縁には、各壁41b〜41eの端縁を内方(庫内側)に屈曲することで、係合片となる周縁端部43が内向きに張り出し形成されている。
【0020】
図4に示すように、断熱箱体4の前面開口の開口縁に配置されて、内箱30と外箱40とを連結する連結材50は、当該前面開口の四周辺に対応して、上連結材50a、下連結材50b、右連結材50c、および左連結材50dに4分割されている。各連結材50a〜50dは、押し出し成形により成形された押し出し材を切断してなる長材であり、両箱30・40の周縁端部33・43の間の隙間を埋める基部51と、基部51の庫内側に設けられて、内箱30の周縁端部33が装着される内装着部(装着部)52と、基部51の庫外側に設けられて、外箱40の周縁端部43が装着される外装着部53と、基部51の前面に設けられて磁性金属片23が装着される収容部54とを備える。連結材50は、両箱30・40の周縁端部33・43を連結するとともに、両箱30・40間の熱伝導を遮断している。図1図4において、符号55は、基部51と内外の装着部52・53との境界部における、該基部51の後面側に突設された補強用のリブを示す。
【0021】
内装着部52は、内箱30の周縁端部33の前面を受け止める前受壁56と、内箱30の周縁端部33の後面を受け止める後受壁57と、これら前後の受壁56・57の間に形成されて内箱30の周縁端部33が差し込み装着される装着溝58とを有する二股状に形成されている。同様に、外装着部53は、外箱40の周縁端部43の前面を受け止める前受壁60と、外箱40の周縁端部43の後面を受け止める後受壁61と、これら前後の受壁60・61の間に形成されて外箱40の周縁端部43が差し込み装着される装着溝62とを有する二股状に形成されている。
【0022】
図1に示すように、連結材50の前受壁56と内箱30の周縁端部33との接合部分には、封止剤を硬化してなる封止部64が形成されている。本実施例では、連結材50の前受壁56の庫内側の先端部56aに凹入部65を凹み形成しており、この凹入部65内に封止剤を充填することで封止部64が形成されている。前受壁56は、前後方向における厚み寸法が均一な基部56bと、基部56bから庫内側に伸びて、該基部56bにより片持状に支持されて、凹入部65を有する先端部56aとで構成される。
【0023】
より詳しく見てみると、図1に示すように、前受壁56の周縁端部33側(後面側)の壁は、庫外方向から庫内方向に向ってストレート状に伸びて、周縁端部33に接触する第1壁70aと、第1壁70aに連設されて前方側に向って伸びる第2壁70bと、第2壁70bの遊端側に連設されて庫外方向から庫内方向に向ってストレート状に伸びて、前受壁56の庫内側の先端部56aに至る第3壁70cとで構成されており、これら第2壁70bと第3壁70cとにより凹入部65が区画されている。第2壁70bは、第1壁70aに連続する基端側が庫外側に位置し、第3壁70cに連続する遊端側が庫内側に位置する傾斜面とされている。これにより、凹入部65は、庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成されている。また、第2壁70bと第3壁70cとの境界に形成されるコーナー部は鈍角に形成されている。
【0024】
このように、連結材50の前受壁56の庫内側の先端部56aに凹入部65が形成されており、この凹入部65内に封止剤を充填することで封止部64が形成されていると、当該凹入部65が形成されていない形態に比べて、より多くの封止剤を使って、封止部64を形成して、連結材50と内箱30の周縁端部33との接合部分をシールすることができる。これによれば、合成樹脂製の連結材50と金属製の内箱30の周縁端部33との熱膨張差により、両者50・30の接合部分が分離しようとした場合でも、封止部64により当該接合部分にシール破壊が生じることを防ぎ、断熱箱体4の内部に水分が浸入することをより確実に抑えることができる。また、庫内の洗浄時、あるいは清掃時に封止剤が剥離しにくく、長期にわたって良好なシール性を確保することができる。以上より、本実施例によれば、内箱30と連結材50との接合部分におけるシール性が良好であり、信頼性に優れた急速冷却庫を得ることができる。
【0025】
そのうえで、第2壁70bが基端側が庫外側に位置し、遊端側が庫内側に位置する傾斜面とされていると、当該第2壁70bを後方側から前方側に向って真っ直ぐに伸びるストレート面とする形態に比べて、片持ち状に支持される先端部56aの厚み寸法を大きく採ることができる。従って、凹入部65を設けたことに伴う先端部56aの剛性低下を抑えて、先端部56aが破損することを効果的に防ぐことができる。また、第2壁70bの基端側が庫外側に位置し、遊端側が庫内側に位置する傾斜面とされていると、第2壁70bと第3壁70cとのコーナー部を鈍角とすることができるので、当該コーナー部にひけなどの成形不良が発生することを防ぐことができる。従って、この点でも先端部56aの剛性低下を抑えて、先端部56aが破損することを防ぐことができる。
【0026】
さらに、第2壁70bと第3壁70cとのコーナー部が鈍角であると、当該コーナー部が直角である形態に比べて、当該コーナー部に対して封止剤を均一に充填することが容易となる。従って、当該コーナー部に対する封止剤の充填密度がばらつくことを抑えて、封止部64による均質なシール性を確保することができる。凹入部65を庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成したので、凹入部65の奥端部の隅々まで封止剤を充填することが容易であり、この点でも封止部64による良好なシール性を確保することができる。凹入部65を庫外側に向って内形寸法が小さくなる先窄まり状に形成したので、封止剤の周縁端部33との接触面積を大きくすることができる。従って、この点でも封止部64による良好なシール性を確保することができる。
【0027】
特に、連結材50の内装着部52を、前受壁56と、後受壁57と、これら前後の受壁56・57の間に形成されて内箱30の周縁端部33が差し込み装着される装着溝58とを有する二股状に形成されていると、該装着溝58による周縁端部33の差し込みにより、前受壁56が周縁端部33から離れて、両者56・33の接合部分のシール性が不良となりやすい。かかる問題は、特に、成形や加工上の寸法誤差によって、連結材50の装着溝58の間隔寸法や、内箱30の周縁端部33の厚み寸法が僅かに異なる場合に顕著となりやすい。これに対して、本実施例では、凹入部65を形成し、より多くの封止剤を使って、封止部64を形成して、連結材50と内箱30の周縁端部33との接合部分をシールしたので、上記のように、寸法上のばらつきが生じる場合でも、確実に両者56・33の間をシールすることができる。
【0028】
また、本実施例によれば、凹入部65内にコーキングガンのノズルを進入させたうえで、該ノズルから封止剤を塗布するだけで封止部64を形成することが可能となるので、前受壁56の表面等に対するマスキング処理が不要となる。従って、断熱箱体4の製造工程を簡素化して、断熱箱体4の製造コストの削減に貢献できる。凹入部65により封止剤の塗布量を確認しながら、封止部64の形成作業を進めることができるので、均一な封止部64を確実に形成できる利点もある。
【0029】
図1に示すように、収容部54は、内装着部52の前受壁56と、外装着部53の前受壁60のそれぞれの対向位置に陥没形成された一対の凹溝で構成されており、これら凹溝に磁性金属片23の庫内外の縁部が受け止められた状態で、磁性金属片23は収容部54に装着される。収容部54に装着されたとき、磁性金属片23は冷却庫本体1の開口周縁の前面側に露出しており、当該磁性金属片23に対向する扉20の四周縁にマグネット入りのドアパッキン22が配設されている(図3参照)。このように、磁性金属片23が連結材50に形成されていると、内箱30や外箱40の周縁端部33・43を磁性金属片として代用する形態に比べて、マグネットと磁性金属片23との間隔距離を短くすることができるので、マグネットの吸着力に由来する扉20の姿勢保持作用力が良好に発揮される。そのうえで、磁性金属片23が前面側に露出していると、例えば連結材50の後面側に磁性金属片23が配設されている形態に比べて、扉20を閉姿勢とした際のマグネットと磁性金属片23との間隔距離をより短くすることができるので、マグネットの磁気吸着力に由来する扉20の姿勢保持作用力がより良好に発揮される。以上より、本実施例に係る急速冷却庫によれば、扉20が不用意に開姿勢となることを防いで、閉姿勢にある扉20を安定した状態で維持することが可能となる。
【0030】
上記実施例では、本発明の食品加工装置を急速凍結などの冷却処理を行う急速冷却庫に適用した例を示したが、本発明はこれに限られず、食品に対して加熱処理を行う加熱庫等にも適用することができる。上記実施例では、連結材50の内装着部52は、装着溝58を有する二股状に形成されていたが、本発明はこれに限られず、前受壁56のみで内装着部52が形成されていてもよい。外装着部53の庫外側の端部にも、封止剤充填用の凹入部65を凹み形成することができる。
【符号の説明】
【0031】
3 収納庫
4 断熱箱体
5 処理空気供給装置(蒸発器)
20 扉
21 マグネットキャッチ構造
22 ドアパッキン
23 吸着片(磁性金属片)
30 内箱
33 内箱の周縁端部
40 外箱
43 外箱の周縁端部
50 連結材
52 装着部
56 前受壁
57 後受壁
58 装着溝
64 封止部
65 凹入部
図1
図2
図3
図4
図5